特許第6233258号(P6233258)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233258
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】受電システム及びマスタ受電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20171113BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20171113BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H02J7/00 P
   H02J7/00 301B
   H02J7/00 302B
   H02J7/00 302C
   H02J7/34 B
   B60L11/18 C
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-190210(P2014-190210)
(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-63646(P2016-63646A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2016年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大介
【審査官】 稲葉 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−140289(JP,A)
【文献】 特開2014−27854(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/137232(WO,A1)
【文献】 特開2014−96927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
H02J 3/00−5/00
H02J 1/00−1/16
B60L 1/00−3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両制御部を有する車両に搭載されたメイン蓄電装置から放電された放電電力を受電する受電システムにおいて、
前記放電電力を交流電力に変換する第1変換部、及び、前記車両制御部と通信可能な受電制御部を有するマスタ受電装置と、
前記車両と前記マスタ受電装置とを接続するマスタケーブルと、
前記マスタ受電装置から前記放電電力を受電可能であって、前記放電電力を交流電力に変換する第2変換部を有するスレーブ受電装置と、
前記マスタ受電装置と前記スレーブ受電装置とを接続するスレーブケーブルと、
を備え、
前記受電システムは、前記マスタケーブルを介して前記車両と前記マスタ受電装置とが接続され、且つ、前記スレーブケーブルを介して前記マスタ受電装置と前記スレーブ受電装置とが接続された場合に、前記放電電力が前記マスタ受電装置及び前記スレーブ受電装置に分配されるように構成されており、
前記マスタケーブルは、
前記車両に取り付け可能なマスタコネクタと、
前記放電電力が伝送されるマスタ放電電力線と、
を備え、
前記マスタコネクタは、前記マスタケーブルに設けられたマスタコネクタロック線から動作電力が供給された場合に前記マスタコネクタをロックするマスタロック回路を有し、
前記スレーブケーブルは、
前記マスタ受電装置に取り付け可能な第1スレーブコネクタと、
前記スレーブ受電装置に取り付け可能な第2スレーブコネクタと、
前記放電電力が伝送されるスレーブ放電電力線と、
前記動作電力が伝送されるスレーブコネクタロック線と、
を備え、
前記第1スレーブコネクタは、前記スレーブコネクタロック線から前記動作電力が供給された場合に前記第1スレーブコネクタをロックする第1スレーブロック回路を有し、
前記第2スレーブコネクタは、前記スレーブコネクタロック線から前記動作電力が供給された場合に前記第2スレーブコネクタをロックする第2スレーブロック回路を有し、
前記マスタ受電装置は、
前記車両に設けられたサブ蓄電装置を用いて前記マスタコネクタロック線に前記動作電力を供給する動作電力供給回路と、
前記マスタ放電電力線と前記スレーブ放電電力線とを接続するマスタ放電分配ラインと、
前記マスタ放電電力線と前記スレーブコネクタロック線とを接続するマスタロック分配ラインと、
前記マスタロック分配ライン上に設けられ、前記放電電力を用いて前記動作電力を生成する生成回路と、
前記マスタロック分配ライン上に設けられたマスタロック制御スイッチング素子と、
前記マスタ放電分配ライン上に設けられたマスタ放電制御スイッチング素子と、
を備えていることを特徴とする受電システム。
【請求項2】
前記スレーブ受電装置は第1スレーブ受電装置であり、前記スレーブケーブルは第1スレーブケーブルであり、前記スレーブ放電電力線は第1スレーブ放電電力線であり、前記スレーブコネクタロック線は第1スレーブコネクタロック線であり、
前記受電システムは、第2スレーブケーブルを介して前記第1スレーブ受電装置と接続された場合に前記第1スレーブ受電装置から前記放電電力を受電するものであって、前記第2変換部を有する第2スレーブ受電装置を備え、
前記第2スレーブケーブルは、
前記第1スレーブ受電装置に取り付け可能な第3スレーブコネクタと、
前記第2スレーブ受電装置に取り付け可能な第4スレーブコネクタと、
前記放電電力が伝送される第2スレーブ放電電力線と、
前記動作電力が伝送される第2スレーブコネクタロック線と、
を備え、
前記第3スレーブコネクタは、前記第2スレーブコネクタロック線から前記動作電力が供給された場合に前記第3スレーブコネクタをロックする第3スレーブロック回路を有し、
前記第4スレーブコネクタは、前記第2スレーブコネクタロック線から前記動作電力が供給された場合に前記第4スレーブコネクタをロックする第4スレーブロック回路を有し、
前記第1スレーブ受電装置は、
前記第1スレーブ放電電力線と前記第2スレーブ放電電力線とを接続するスレーブ放電分配ラインと、
前記第1スレーブコネクタロック線と前記第2スレーブコネクタロック線とを接続するスレーブロック分配ラインと、
を備えている請求項1に記載の受電システム。
【請求項3】
前記第1スレーブ受電装置は、
前記スレーブロック分配ライン上に設けられたスレーブロック制御スイッチング素子と、
前記スレーブ放電分配ライン上に設けられたスレーブ放電制御スイッチング素子と、
を備えている請求項2に記載の受電システム。
【請求項4】
前記マスタケーブルは、前記サブ蓄電装置からの前記動作電力が伝送される動作電力線を備え、
前記動作電力供給回路は、
前記動作電力線と前記マスタコネクタロック線とを接続する動作電力供給ラインと、
前記動作電力供給ライン上に設けられた供給制御スイッチング素子と、
を備えている請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の受電システム。
【請求項5】
前記マスタ受電装置は、前記生成回路によって生成された前記動作電力が前記マスタコネクタロック線に供給されるように構成されている請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の受電システム。
【請求項6】
車両制御部を有する車両に搭載されたメイン蓄電装置から放電された放電電力を受電するマスタ受電装置において、
前記放電電力を交流電力に変換する第1変換部と、
前記車両制御部と通信可能な受電制御部と、
を備え、
前記マスタ受電装置は、マスタケーブルを介して前記車両と接続され、且つ、スレーブケーブルを介して前記放電電力を交流電力に変換する第2変換部を有するスレーブ受電装置と接続された場合に、前記放電電力を前記スレーブ受電装置に分配するものであり、
前記マスタケーブルは、
前記車両に取り付け可能なマスタコネクタと、
前記放電電力が伝送されるマスタ放電電力線と、
を備え、
前記マスタコネクタは、前記マスタケーブルに設けられたマスタコネクタロック線から動作電力が供給された場合に前記マスタコネクタをロックするマスタロック回路を有し、
前記スレーブケーブルは、
前記マスタ受電装置に取り付け可能な第1スレーブコネクタと、
前記スレーブ受電装置に取り付け可能な第2スレーブコネクタと、
前記放電電力が伝送されるスレーブ放電電力線と、
前記動作電力が伝送されるスレーブコネクタロック線と、
を備え、
前記第1スレーブコネクタは、前記スレーブコネクタロック線から前記動作電力が供給された場合に前記第1スレーブコネクタをロックする第1スレーブロック回路を有し、
前記第2スレーブコネクタは、前記スレーブコネクタロック線から前記動作電力が供給された場合に前記第2スレーブコネクタをロックする第2スレーブロック回路を有し、
前記マスタ受電装置は、
前記車両に設けられたサブ蓄電装置を用いて前記マスタコネクタロック線に前記動作電力を供給する動作電力供給回路と、
前記マスタ放電電力線と前記スレーブ放電電力線とを接続するマスタ放電分配ラインと、
前記マスタ放電電力線と前記スレーブコネクタロック線とを接続するマスタロック分配ラインと、
前記マスタロック分配ライン上に設けられ、前記放電電力を用いて前記動作電力を生成する生成回路と、
前記マスタロック分配ライン上に設けられたマスタロック制御スイッチング素子と、
前記マスタ放電分配ライン上に設けられたマスタ放電制御スイッチング素子と、
を備えていることを特徴とするマスタ受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電システム及びマスタ受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載された蓄電装置を充電する充電装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に示すように、充電装置は充電用蓄電装置を備えており、当該充電用蓄電装置を用いて、車両に搭載された蓄電装置を充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−244653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば停電等の非常時や電気料金が比較的高い時間帯には、車両に搭載された蓄電装置を放電させることにより、当該蓄電装置を電源として用いる場合がある。この場合、汎用性等の観点から、蓄電装置から放電された放電電力を交流電力に変換する変換部を有する受電装置と車両とをケーブルを用いて接続し、上記受電装置にて上記放電電力を交流電力に変換して、当該交流電力を各種負荷に供給する受電システムが考えられる。
【0005】
ここで、変換部は、変換可能な電力が大きくなるほど、大型化及び重量化し易い。このため、例えば受電装置に、大電力を変換可能な変換部を搭載すると、受電装置が大型化及び重量化し得る。すると、受電装置の持ち運びが煩雑となり、利便性が低下する。
【0006】
これに対して、例えば利便性の観点から、受電装置に小電力に対応した変換部を搭載することも考えられる。しかしながら、使用したい電力は状況に応じて変動するとともに、車両に搭載されている蓄電装置の容量は、車両の種類に応じて変動する。このため、例えばバス等といった大容量の蓄電装置を有する車両を用いて大電力を使用したい場合には、上記小電力に対応した変換部を有する受電装置のみでは対応することができない。
【0007】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は車両に搭載された蓄電装置から放電された放電電力を好適に受電できる受電システム及びマスタ受電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する受電システムは、車両制御部を有する車両に搭載されたメイン蓄電装置から放電された放電電力を受電するものであって、前記放電電力を交流電力に変換する第1変換部、及び、前記車両制御部と通信可能な受電制御部を有するマスタ受電装置と、前記車両と前記マスタ受電装置とを接続するマスタケーブルと、前記マスタ受電装置から前記放電電力を受電可能であって、前記放電電力を交流電力に変換する第2変換部を有するスレーブ受電装置と、前記マスタ受電装置と前記スレーブ受電装置とを接続するスレーブケーブルと、を備え、前記受電システムは、前記マスタケーブルを介して前記車両と前記マスタ受電装置とが接続され、且つ、前記スレーブケーブルを介して前記マスタ受電装置と前記スレーブ受電装置とが接続された場合に、前記放電電力が前記マスタ受電装置及び前記スレーブ受電装置に分配されるように構成されており、前記マスタケーブルは、前記車両に取り付け可能なマスタコネクタと、前記放電電力が伝送されるマスタ放電電力線と、を備え、前記マスタコネクタは、前記マスタケーブルに設けられたマスタコネクタロック線から動作電力が供給された場合に前記マスタコネクタをロックするマスタロック回路を有し、前記スレーブケーブルは、前記マスタ受電装置に取り付け可能な第1スレーブコネクタと、前記スレーブ受電装置に取り付け可能な第2スレーブコネクタと、前記放電電力が伝送されるスレーブ放電電力線と、前記動作電力が伝送されるスレーブコネクタロック線と、を備え、前記第1スレーブコネクタは、前記スレーブコネクタロック線から前記動作電力が供給された場合に前記第1スレーブコネクタをロックする第1スレーブロック回路を有し、前記第2スレーブコネクタは、前記スレーブコネクタロック線から前記動作電力が供給された場合に前記第2スレーブコネクタをロックする第2スレーブロック回路を有し、前記マスタ受電装置は、前記車両に設けられたサブ蓄電装置を用いて前記マスタコネクタロック線に前記動作電力を供給する動作電力供給回路と、前記マスタ放電電力線と前記スレーブ放電電力線とを接続するマスタ放電分配ラインと、前記マスタ放電電力線と前記スレーブコネクタロック線とを接続するマスタロック分配ラインと、前記マスタロック分配ライン上に設けられ、前記放電電力を用いて前記動作電力を生成する生成回路と、前記マスタロック分配ライン上に設けられたマスタロック制御スイッチング素子と、前記マスタ放電分配ライン上に設けられたマスタ放電制御スイッチング素子と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、マスタケーブル及びスレーブケーブルを介して車両とマスタ受電装置とスレーブ受電装置とが接続され、且つ、メイン蓄電装置の放電電力がマスタ受電装置に供給されている状況において、マスタロック制御スイッチング素子が非導通状態から導通状態に切り替わることにより、生成回路にて生成された動作電力がスレーブコネクタロック線に供給される。これにより、メイン蓄電装置を用いてスレーブコネクタをロックすることができる。
【0010】
また、スレーブコネクタがロックされた後に、マスタ放電制御スイッチング素子を非導通状態から導通状態に切り替えることにより、放電電力をスレーブ受電装置に供給することができる。これにより、放電電力は、マスタ受電装置及びスレーブ受電装置に分配される。よって、1つあたりの変換部に供給される直流電力が小さくなるため、第1変換部及び第2変換部として小電力に対応したものを採用しつつ、大容量のメイン蓄電装置の放電が可能となる。
【0011】
以上のことから、サブ蓄電装置の使用を抑制しつつ、適切なタイミングにて、スレーブコネクタのロックと、スレーブ受電装置への放電電力の供給とを行うことができ、メイン蓄電装置の放電電力を好適に受電できる。
【0012】
上記受電システムについて、前記スレーブ受電装置は第1スレーブ受電装置であり、前記スレーブケーブルは第1スレーブケーブルであり、前記スレーブ放電電力線は第1スレーブ放電電力線であり、前記スレーブコネクタロック線は第1スレーブコネクタロック線であり、前記受電システムは、第2スレーブケーブルを介して前記第1スレーブ受電装置と接続された場合に前記第1スレーブ受電装置から前記放電電力を受電するものであって、前記第2変換部を有する第2スレーブ受電装置を備え、前記第2スレーブケーブルは、前記第1スレーブ受電装置に取り付け可能な第3スレーブコネクタと、前記第2スレーブ受電装置に取り付け可能な第4スレーブコネクタと、前記放電電力が伝送される第2スレーブ放電電力線と、前記動作電力が伝送される第2スレーブコネクタロック線と、を備え、前記第3スレーブコネクタは、前記第2スレーブコネクタロック線から前記動作電力が供給された場合に前記第3スレーブコネクタをロックする第3スレーブロック回路を有し、前記第4スレーブコネクタは、前記第2スレーブコネクタロック線から前記動作電力が供給された場合に前記第4スレーブコネクタをロックする第4スレーブロック回路を有し、前記第1スレーブ受電装置は、前記第1スレーブ放電電力線と前記第2スレーブ放電電力線とを接続するスレーブ放電分配ラインと、前記第1スレーブコネクタロック線と前記第2スレーブコネクタロック線とを接続するスレーブロック分配ラインと、を備えているとよい。かかる構成によれば、第2スレーブケーブルを介して第1スレーブ受電装置と第2スレーブ受電装置とが接続されることにより、放電電力をマスタ受電装置及び各スレーブ受電装置に分配できる。これにより、より大きな放電電力に好適に対応できる。また、第2スレーブケーブルを介して第1スレーブ受電装置と第2スレーブ受電装置とが接続された場合、第1スレーブコネクタロック線と第2スレーブコネクタロック線とが接続される。これにより、生成回路にて生成された動作電力を、各スレーブロック回路に供給できる。
【0013】
上記受電システムについて、前記第1スレーブ受電装置は、前記スレーブロック分配ライン上に設けられたスレーブロック制御スイッチング素子と、前記スレーブ放電分配ライン上に設けられたスレーブ放電制御スイッチング素子と、を備えているとよい。かかる構成によれば、第3スレーブコネクタ及び第4スレーブコネクタのロックタイミング、及び、第2スレーブ受電装置への放電電力の供給タイミングを個別に制御することができる。これにより、例えば、第1スレーブ受電装置に放電電力が正常に供給されていること等を確認してから、第3スレーブコネクタ及び第4スレーブコネクタをロックすることができる。そして、第3スレーブコネクタ及び第4スレーブコネクタのロックを確認した後に、第2スレーブ受電装置への放電電力の供給を行うことができる。よって、ディジーチェーン接続された複数のスレーブ受電装置への放電電力の分配を、好適に行うことができる。
【0014】
上記受電システムについて、前記マスタケーブルは、前記サブ蓄電装置からの前記動作電力が伝送される動作電力線を備え、前記動作電力供給回路は、前記動作電力線と前記マスタコネクタロック線とを接続する動作電力供給ラインと、前記動作電力供給ライン上に設けられた供給制御スイッチング素子と、を備えているとよい。かかる構成によれば、供給制御スイッチング素子を非導通状態から導通状態に切り替えることにより、メイン蓄電装置の放電電力がマスタ受電装置に供給される前に、所望のタイミングでマスタコネクタをロックすることができる。
【0015】
上記受電システムについて、前記マスタ受電装置は、前記生成回路によって生成された前記動作電力が前記マスタコネクタロック線に供給されるように構成されているとよい。かかる構成によれば、放電電力がマスタ受電装置に供給された後は、マスタコネクタロック線には生成回路にて生成された動作電力が供給される。これにより、サブ蓄電装置を用いることなく、マスタコネクタをロックさせることができる。よって、サブ蓄電装置の使用を抑制することができる。
【0016】
上記目的を達成するマスタ受電装置は、車両制御部を有する車両に搭載されたメイン蓄電装置から放電された放電電力を受電するものであって、前記放電電力を交流電力に変換する第1変換部と、前記車両制御部と通信可能な受電制御部と、を備え、前記マスタ受電装置は、マスタケーブルを介して前記車両と接続され、且つ、スレーブケーブルを介して前記放電電力を交流電力に変換する第2変換部を有するスレーブ受電装置と接続された場合に、前記放電電力を前記スレーブ受電装置に分配するものであり、前記マスタケーブルは、前記車両に取り付け可能なマスタコネクタと、前記放電電力が伝送されるマスタ放電電力線と、を備え、前記マスタコネクタは、前記マスタケーブルに設けられたマスタコネクタロック線から動作電力が供給された場合に前記マスタコネクタをロックするマスタロック回路を有し、前記スレーブケーブルは、前記マスタ受電装置に取り付け可能な第1スレーブコネクタと、前記スレーブ受電装置に取り付け可能な第2スレーブコネクタと、前記放電電力が伝送されるスレーブ放電電力線と、前記動作電力が伝送されるスレーブコネクタロック線と、を備え、前記第1スレーブコネクタは、前記スレーブコネクタロック線から前記動作電力が供給された場合に前記第1スレーブコネクタをロックする第1スレーブロック回路を有し、前記第2スレーブコネクタは、前記スレーブコネクタロック線から前記動作電力が供給された場合に前記第2スレーブコネクタをロックする第2スレーブロック回路を有し、前記マスタ受電装置は、前記車両に設けられたサブ蓄電装置を用いて前記マスタコネクタロック線に前記動作電力を供給する動作電力供給回路と、前記マスタ放電電力線と前記スレーブ放電電力線とを接続するマスタ放電分配ラインと、前記マスタ放電電力線と前記スレーブコネクタロック線とを接続するマスタロック分配ラインと、前記マスタロック分配ライン上に設けられ、前記放電電力を用いて前記動作電力を生成する生成回路と、前記マスタロック分配ライン上に設けられたマスタロック制御スイッチング素子と、前記マスタ放電分配ライン上に設けられたマスタ放電制御スイッチング素子と、を備えていることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、マスタケーブル及びスレーブケーブルを介して車両とマスタ受電装置とスレーブ受電装置とが接続され、且つ、メイン蓄電装置の放電電力がマスタ受電装置に供給されている状況において、マスタロック制御スイッチング素子が非導通状態から導通状態に切り替わることにより、生成回路にて生成された動作電力がスレーブコネクタロック線に供給される。これにより、メイン蓄電装置を用いてスレーブコネクタをロックすることができる。
【0018】
また、スレーブコネクタがロックされた後に、マスタ放電制御スイッチング素子を非導通状態から導通状態に切り替えることにより、放電電力をスレーブ受電装置に供給することができる。これにより、放電電力は、マスタ受電装置及びスレーブ受電装置に分配される。よって、1つあたりの変換部に供給される直流電力が小さくなるため、第1変換部及び第2変換部として小電力に対応したものを採用しつつ、大容量のメイン蓄電装置の放電が可能となる。
【0019】
以上のことから、サブ蓄電装置の使用を抑制しつつ、適切なタイミングにて、スレーブコネクタのロックと、スレーブ受電装置への放電電力の供給とを行うことができ、メイン蓄電装置の放電電力を好適に受電できる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、車両に搭載された蓄電装置から放電された放電電力を好適に受電できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】受電システムの電気的構成を示すブロック図。
図2】受電システムの電気的構成を示すブロック図。
図3】受電シーケンスを説明するためのタイミングチャートであり、(a)は供給制御スイッチング素子の状態を示し、(b)は各マスタロック回路の状態を示し、(c)はマスタ受電装置への放電電力の供給態様を示し、(d)はマスタロック制御スイッチング素子の状態を示し、(e)は第1スレーブロック回路及び第2スレーブロック回路の状態を示し、(f)はマスタ放電制御スイッチング素子の状態を示し、(g)は第1スレーブ受電装置への放電電力の供給態様を示し、(h)はスレーブロック制御スイッチング素子の状態を示し、(i)は第3スレーブロック回路及び第4スレーブロック回路の状態を示し、(j)はスレーブ放電制御スイッチング素子の状態を示し、(k)は第2スレーブ受電装置への放電電力の供給態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、受電システム及びマスタ受電装置の一実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、受電システム10は、メイン蓄電装置としてのメインバッテリB1及びサブ蓄電装置としてのサブバッテリB2を有する車両Cから当該メインバッテリB1の直流電力(放電電力)を受電可能なマスタ受電装置11と、マスタ受電装置11から直流電力を受電可能な複数のスレーブ受電装置12とを備えている。受電システム10は、車両Cとマスタ受電装置11とを接続するマスタケーブル13と、マスタ受電装置11とスレーブ受電装置12又はスレーブ受電装置12同士を接続するスレーブケーブル14,15とを備えている。
【0023】
メインバッテリB1は、例えばニッケル水素電池やリチウムイオン二次電池で構成されている。サブバッテリB2は例えば鉛蓄電池で構成されている、サブバッテリB2は、メインバッテリB1の容量と比較して小さい容量のものであり、サブバッテリB2のバッテリ電圧は、メインバッテリB1のバッテリ電圧よりも低い。
【0024】
マスタ受電装置11は移動可能な可搬型であり、メインバッテリB1から放電された直流電力を交流電力に変換する第1変換部としてのマスタDC/AC変換器20と、マスタDC/AC変換器20を制御するものであって車両Cに搭載された車両制御部(ECU)C1と通信可能なマスタ受電制御部22とを備えている。マスタ受電装置11は負荷Xに接続可能に構成されており、マスタ受電装置11と負荷Xとが接続された場合には、マスタDC/AC変換器20から出力された交流電力が負荷Xに供給される。
【0025】
複数のスレーブ受電装置12はそれぞれ同一の構成である。各スレーブ受電装置12はそれぞれ、移動可能な可搬型であり、直流電力を交流電力に変換する第2変換部としてのスレーブDC/AC変換器21と、スレーブDC/AC変換器21を制御するスレーブ受電制御部23とを備えている。各スレーブ受電装置12は負荷Xに接続可能に構成されており、各スレーブ受電装置12と負荷Xとが接続されている場合には、スレーブDC/AC変換器21から出力された交流電力が負荷Xに供給される。
【0026】
なお、本実施形態では、スレーブ受電装置12の数は2つとする。説明の便宜上、以降の説明においては、複数のスレーブ受電装置12のうちマスタ受電装置11に接続されるものを第1スレーブ受電装置12aとし、第1スレーブ受電装置12aに接続されるものを第2スレーブ受電装置12bとする。また、両DC/AC変換器20,21は、例えば非絶縁型のものが考えられるが、これに限られず、絶縁型のものであってもよい。
【0027】
図1に示すように、マスタケーブル13は、車両Cに設けられた車両インレットに取り付け可能な車両側マスタコネクタMC1と、マスタ受電装置11、詳細にはマスタ受電装置11に設けられた入力インレットに取り付け可能な受電側マスタコネクタMC2とを備えている。車両側マスタコネクタMC1が車両Cに取り付けられ、且つ、受電側マスタコネクタMC2がマスタ受電装置11に取り付けられることにより、マスタケーブル13を介して、車両Cとマスタ受電装置11とが接続される。
【0028】
マスタ受電装置11と第1スレーブ受電装置12aとを接続する第1スレーブケーブル14は、マスタ受電装置11、詳細にはマスタ受電装置11に設けられた出力インレットに取り付け可能な第1スレーブコネクタSC1を備えている。また、第1スレーブケーブル14は、第1スレーブ受電装置12a、詳細には第1スレーブ受電装置12aに設けられた入力インレットに取り付け可能な第2スレーブコネクタSC2を備えている。
【0029】
図2に示すように、第1スレーブ受電装置12aと第2スレーブ受電装置12bとを接続する第2スレーブケーブル15は、第1スレーブ受電装置12a、詳細には第1スレーブ受電装置12aに設けられた出力インレットに取り付け可能な第3スレーブコネクタSC3を備えている。また、第2スレーブケーブル15は、第2スレーブ受電装置12b、詳細には第2スレーブ受電装置12bに設けられた入力インレットに取り付け可能な第4スレーブコネクタSC4を備えている。
【0030】
かかる構成によれば、各スレーブコネクタSC1〜SC4が対応するインレットに取り付けられることにより、マスタ受電装置11及び各スレーブ受電装置12a,12bは、各スレーブケーブル14,15を介してディジーチェーン接続される。
【0031】
次に、車両C、マスタ受電装置11及び各スレーブ受電装置12a,12bの接続態様について、各ケーブル13〜15の詳細な構成と合わせて説明する。
まず、車両Cとマスタ受電装置11との接続態様について説明すると、図1に示すように、車両側マスタコネクタMC1は、CHAdeMO規格に準じた複数(詳細には10個)の端子Tm1〜Tm10を備えている。車両側マスタコネクタMC1が車両インレットに取り付けられた場合に、各端子Tm1〜Tm10は、メインバッテリB1、サブバッテリB2又は車両制御部C1のいずれかに接続される。
【0032】
詳細には、第5端子Tm5は、メインバッテリB1の+端子に接続され、第6端子Tm6は、メインバッテリB1の−端子及びグランドに接続される。第5端子Tm5及び第6端子Tm6には、メインバッテリB1の直流電力が供給される。
【0033】
第3端子Tm3はサブバッテリB2の+端子に接続され、第1端子Tm1はサブバッテリB2の−端子及びグランドに接続される。第3端子Tm3及び第1端子Tm1には、サブバッテリB2の直流電力が供給される。
【0034】
その他の端子、すなわち第2端子Tm2、第4端子Tm4、第7端子Tm7、第8端子Tm8、第9端子Tm9及び第10端子Tm10は、車両制御部C1に接続される。
ちなみに、サブバッテリB2の直流電力は、後述するマスタロック回路31,32の動作(コネクタのロック)に用いられるとともに、マスタ受電制御部22の動作に用いられる。この点に着目すれば、第3端子Tm3及び第1端子Tm1は、マスタロック回路31,32及びマスタ受電制御部22の動作電力が供給される動作電力端子とも言える。
【0035】
車両側マスタコネクタMC1には、車両Cの車両インレットに係合する係合爪(ラッチ)が設けられており、係合爪が係合することにより、車両側マスタコネクタMC1と車両インレットとが機械的に固定される。
【0036】
さらに、車両側マスタコネクタMC1は、動作電力が供給された場合に車両側マスタコネクタMC1をロックする車両側マスタロック回路31を備えている。車両側マスタロック回路31は、ソレノイド31a、発光ダイオード31b及び抵抗31cを備えている。発光ダイオード31bと抵抗31cとは直列に接続されており、ソレノイド31aは、発光ダイオード31bと抵抗31cとの直列接続体に対して並列に接続されている。ソレノイド31aは、動作電力が供給された場合には、係合爪による機械的な固定状態を電気的にロックする一方、動作電力が供給されていない場合には、上記固定状態のロックを解除する。換言すれば、車両側マスタロック回路31は、車両インレットからの車両側マスタコネクタMC1の取り外しを規制するものであると言える。
【0037】
同様に、受電側マスタコネクタMC2は各端子Tm1〜Tm10を備えている。そして、マスタケーブル13は、車両側マスタコネクタMC1の端子Tm1〜Tm10と受電側マスタコネクタMC2の端子Tm1〜Tm10とを接続する配線Wm1〜Wm10を有している。さらに、マスタ受電装置11は、受電側マスタコネクタMC2の端子Tm1〜Tm4,Tm7〜Tm10とマスタ受電制御部22とを接続する接続ラインLm1〜Lm4,Lm7〜Lm10と、受電側マスタコネクタMC2の端子Tm5,Tm6とマスタDC/AC変換器20とを接続する接続ラインLm5,Lm6とを備えている。
【0038】
かかる構成によれば、マスタケーブル13を介して、車両Cとマスタ受電装置11とが接続された場合、第5配線Wm5及び第6配線Wm6を介して、メインバッテリB1とマスタDC/AC変換器20とが接続される。そして、車両制御部C1とマスタ受電制御部22とが接続され、車両制御部C1とマスタ受電制御部22とは通信可能となる。また、第3配線Wm3及び第1配線Wm1を介して、動作電力がマスタ受電制御部22に供給される。第3配線Wm3及び第1配線Wm1が、動作電力が伝送される動作電力線に対応する。
【0039】
ちなみに、図1に示すように、車両Cは、メインバッテリB1の放電経路上、詳細にはメインバッテリB1と車両インレットとを接続するライン上に設けられたコンタクタ(開閉器)C2を備えている。コンタクタC2がON状態となることにより、メインバッテリB1から直流電力が放電され、その放電された直流電力は、第5配線Wm5及び第6配線Wm6を介して、マスタDC/AC変換器20に供給される。説明の便宜上、以降の説明において、メインバッテリB1から放電される直流電力を単に放電電力という。第5配線Wm5及び第6配線Wm6が、放電電力が伝送されるマスタ放電電力線に対応する。
【0040】
なお、車両インレットの具体的な構成、各端子Tm1〜Tm10の配置構造を含む車両側マスタコネクタMC1の具体的な形状、及び、係合爪等の車両側マスタコネクタMC1を機械的に固定するための具体的な構成については、CHAdeMO規格と同一であるため、説明を省略する。
【0041】
図1に示すように、受電側マスタコネクタMC2は、動作電力が供給された場合に受電側マスタコネクタMC2をロックする受電側マスタロック回路32を備えている。受電側マスタロック回路32の詳細な構成は、車両側マスタロック回路31と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0042】
マスタケーブル13は、車両側マスタロック回路31と受電側マスタロック回路32とを接続するマスタコネクタロック線Wm11,Wm12を備えている。車両側マスタロック回路31と受電側マスタロック回路32とは、マスタコネクタロック線Wm11,Wm12を介して並列に接続されている。
【0043】
受電側マスタコネクタMC2は、第1マスタコネクタロック線Wm11に接続された第1コネクタロック端子Tm11と、第2マスタコネクタロック線Wm12に接続された第2コネクタロック端子Tm12を有している。
【0044】
図1に示すように、マスタ受電装置11はサブバッテリB2を用いてマスタコネクタロック線Wm11,Wm12に動作電力を供給する動作電力供給回路40を備えている。動作電力供給回路40は、動作電力線としての配線Wm3,Wm1とマスタコネクタロック線Wm11,Wm12とを接続する動作電力供給ラインLm11,Lm12を備えている。第1動作電力供給ラインLm11は、第3配線Wm3(詳細には第3接続ラインLm3)と第1マスタコネクタロック線Wm11(詳細には第1コネクタロック端子Tm11)とを接続している。第2動作電力供給ラインLm12は、第1配線Wm1(詳細には第1接続ラインLm1)と第2マスタコネクタロック線Wm12(詳細には第2コネクタロック端子Tm12)とを接続している。
【0045】
動作電力供給回路40は、動作電力供給ラインLm11,Lm12(詳細には第1動作電力供給ラインLm11)上に設けられた供給制御スイッチング素子41を備えている。供給制御スイッチング素子41は、例えば、通常時にはOFF状態(すなわち非導通状態)であり、切替信号が入力される(所定の電圧が印加される)ことによりOFF状態からON状態(すなわち導通状態)に切り替わるa接点のリレーで構成されている。すなわち、「通常時」とは、所定の電圧が印加されていない初期状態である。また、マスタ受電制御部22は、供給制御スイッチング素子41に対して切替信号を出力可能である。
【0046】
かかる構成によれば、マスタケーブル13を介して車両Cとマスタ受電装置11とが接続された状況においてコンタクタC2がOFF状態であって供給制御スイッチング素子41がOFF状態である場合、マスタ受電制御部22には動作電力が供給される一方、各マスタロック回路31,32には動作電力は供給されない。これに対して、供給制御スイッチング素子41がON状態である場合には、各マスタロック回路31,32に対して動作電力が供給される。この場合、各マスタロック回路31,32は並列に接続されているため、両者に対して同時に動作電力が供給される。
【0047】
次に、マスタ受電装置11と第1スレーブ受電装置12aとの接続態様について説明する。
図1に示すように、第1スレーブケーブル14は、動作電力が伝送されるスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2と、放電電力が伝送されるスレーブ放電電力線Ws3,Ws4と、を備えている。
【0048】
第1スレーブケーブル14の両端に設けられた各スレーブコネクタSC1,SC2はそれぞれ、第1スレーブコネクタロック線Ws1に接続された第1スレーブ端子Ts1と、第2スレーブコネクタロック線Ws2に接続された第2スレーブ端子Ts2とを備えている。各スレーブコネクタSC1,SC2はそれぞれ、第1スレーブ放電電力線Ws3に接続された第3スレーブ端子Ts3と、第2スレーブ放電電力線Ws4に接続された第4スレーブ端子Ts4とを備えている。
【0049】
また、第1スレーブコネクタSC1は、動作電力が供給された場合に第1スレーブコネクタSC1をロックする第1スレーブロック回路51を備えている。同様に、第2スレーブコネクタSC2は、動作電力が供給された場合に第2スレーブコネクタSC2をロックする第2スレーブロック回路52を備えている。各スレーブロック回路51,52はそれぞれ、スレーブコネクタロック線Ws1,Ws2に接続されている。つまり、各スレーブロック回路51,52は、スレーブコネクタロック線Ws1,Ws2を介して並列に接続されている。
【0050】
なお、各スレーブロック回路51,52及び後述する各スレーブロック回路53,54の詳細な構成については、車両側マスタロック回路31と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0051】
マスタ受電装置11は、マスタ放電電力線としての配線Wm5,Wm6とスレーブ放電電力線Ws3,Ws4とを接続するマスタ放電分配ラインLm21,Lm22を備えている。第1マスタ放電分配ラインLm21は、第5配線Wm5に接続された第5接続ラインLm5と第1スレーブ放電電力線Ws3(詳細には第3スレーブ端子Ts3)とを接続している。第2マスタ放電分配ラインLm22は、第6配線Wm6に接続された第6接続ラインLm6と第2スレーブ放電電力線Ws4(詳細には第4スレーブ端子Ts4)とを接続している。つまり、本実施形態のマスタ放電分配ラインLm21,Lm22は、接続ラインLm5,Lm6の一部を利用して、配線Wm5,Wm6とスレーブ放電電力線Ws3,Ws4とを接続している。
【0052】
マスタ受電装置11は、マスタ放電分配ラインLm21,Lm22(詳細には第1マスタ放電分配ラインLm21)上に設けられたマスタ放電制御スイッチング素子61を備えている。マスタ放電制御スイッチング素子61は、例えばa接点のリレーである。
【0053】
マスタ受電装置11は、配線Wm5,Wm6とスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2とを接続するマスタロック分配ラインLm23,Lm24を備えている。第1マスタロック分配ラインLm23は、第5接続ラインLm5に接続された第1マスタ放電分配ラインLm21と、第1スレーブコネクタロック線Ws1(詳細には第1スレーブ端子Ts1)とを接続している。第2マスタロック分配ラインLm24は、第6接続ラインLm6に接続された第2マスタ放電分配ラインLm22と、第2スレーブコネクタロック線Ws2(詳細には第2スレーブ端子Ts2)とを接続している。つまり、本実施形態のマスタロック分配ラインLm23,Lm24は、接続ラインLm5,Lm6の一部及びマスタ放電分配ラインLm21,Lm22の一部を利用して、配線Wm5,Wm6とスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2とを接続している。
【0054】
マスタ受電装置11は、マスタロック分配ラインLm23,Lm24上に設けられ、放電電力を用いて動作電力を生成する生成回路としての降圧回路62を備えている。そして、マスタ受電装置11は、マスタロック分配ラインLm23,Lm24上に設けられたマスタロック制御スイッチング素子63を備えている。マスタロック制御スイッチング素子63は、第1マスタロック分配ラインLm23における降圧回路62の出力側、詳細には降圧回路62と第1スレーブ端子Ts1とを接続する部分に設けられている。マスタロック制御スイッチング素子63は、例えばa接点のリレーである。
【0055】
すなわち、本実施形態では、放電電力が伝送される配線Wm5,Wm6に接続されたラインは3つに分岐して、マスタDC/AC変換器20、スレーブコネクタロック線Ws1,Ws2、及びスレーブ放電電力線Ws3,Ws4に接続されているといえる。換言すれば、マスタ受電装置11は、配線Wm5,Wm6に接続された共通ラインと、共通ラインから分岐した3つの分岐ラインとを有し、第1分岐ラインはマスタDC/AC変換器20に接続され、第2分岐ラインは、スレーブコネクタロック線Ws1,Ws2に接続され、第3分岐ラインはスレーブ放電電力線Ws3,Ws4に接続されている。そして、第2分岐ライン上に、降圧回路62及びマスタロック制御スイッチング素子63が設けられ、第3分岐ライン上に、マスタ放電制御スイッチング素子61が設けられている。
【0056】
なお、マスタ放電分配ラインLm21,Lm22は、接続ラインLm5,Lm6の一部を利用していたが、これに限られず、直接第5配線Wm5及び第6配線Wm6に接続されてもよい。マスタロック分配ラインLm23,Lm24についても同様である。
【0057】
図1に示すように、マスタ受電装置11は、降圧回路62によって生成された動作電力がマスタコネクタロック線Wm11,Wm12に供給されるように構成されている。詳細には、マスタ受電装置11は、マスタロック分配ラインLm23,Lm24と動作電力供給ラインLm11,Lm12とを接続するマスタ接続ロックラインLm25,Lm26を備えている。第1マスタ接続ロックラインLm25は、第1マスタロック分配ラインLm23における降圧回路62とマスタロック制御スイッチング素子63との間の部分と、第1動作電力供給ラインLm11における供給制御スイッチング素子41と第1コネクタロック端子Tm11との間の部分とを接続している。第2マスタ接続ロックラインLm26は、第2マスタロック分配ラインLm24における降圧回路62と第2スレーブ端子Ts2との間の部分と、第2動作電力供給ラインLm12とを接続している。
【0058】
かかる構成によれば、メインバッテリB1からマスタ受電装置11に向けて放電電力が供給される場合(詳細にはコンタクタC2がON状態である場合)、放電電力はマスタDC/AC変換器20と降圧回路62とに供給される。これにより、降圧回路62にて動作電力が生成される。生成された動作電力は、供給制御スイッチング素子41のON/OFFに関わらず、各マスタロック回路31,32に供給される。
【0059】
また、第1スレーブケーブル14を介してマスタ受電装置11と第1スレーブ受電装置12aとが接続され、且つ、マスタ受電装置11に向けて放電電力が供給されている状況では、マスタロック制御スイッチング素子63のON/OFFによって各スレーブコネクタSC1,SC2の状態が切り替わる。詳細には、マスタロック制御スイッチング素子63がOFF状態(すなわち非導通状態)からON状態(すなわち導通状態)に切り替わることによって、降圧回路62にて生成された動作電力がスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2を伝送する。これにより、スレーブコネクタロック線Ws1,Ws2から各スレーブロック回路51,52に動作電力が供給され、各スレーブコネクタSC1,SC2がロックされる。
【0060】
同様に、上記状況では、マスタ放電制御スイッチング素子61のON/OFFによって、第1スレーブ受電装置12aへの放電電力の供給の有無が切り替わる。詳細には、マスタ放電制御スイッチング素子61がOFF状態(すなわち非導通状態)からON状態(すなわち導通状態)に切り替わることによって、放電電力が第1スレーブ受電装置12aに供給される。
【0061】
次に、第1スレーブ受電装置12aと第2スレーブ受電装置12bとの接続態様について、各スレーブ受電装置12a,12bの詳細な構成等とともに説明する。
図2に示すように、第1スレーブ受電装置12aと第2スレーブ受電装置12bとを接続する第2スレーブケーブル15は、第1スレーブケーブル14と同一構成である。詳細には、第2スレーブケーブル15は、スレーブコネクタロック線Ws1,Ws2と、スレーブ放電電力線Ws3,Ws4と、を備えている。また、第2スレーブケーブル15の両端に設けられたスレーブコネクタSC3,SC4はそれぞれ、各スレーブ端子Ts1〜Ts4を備えている。
【0062】
第3スレーブコネクタSC3は、第2スレーブケーブル15のスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2に接続されているものであって当該スレーブコネクタロック線Ws1,Ws2から動作電力が供給された場合に第3スレーブコネクタSC3をロックする第3スレーブロック回路53を備えている。同様に、第4スレーブコネクタSC4は、第2スレーブケーブル15のスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2に接続されているものであって当該スレーブコネクタロック線Ws1,Ws2から動作電力が供給された場合に第4スレーブコネクタSC4をロックする第4スレーブロック回路54を備えている。第3スレーブロック回路53と第4スレーブロック回路54とは、第2スレーブケーブル15のスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2を介して並列に接続されている。
【0063】
図2に示すように、第1スレーブ受電装置12aは、第1スレーブケーブル14及び第2スレーブケーブル15が接続されている場合に、第1スレーブケーブル14のスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2と第2スレーブケーブル15のスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2とを接続するスレーブロック分配ラインLs1,Ls2を備えている。第1スレーブロック分配ラインLs1は、第2スレーブコネクタSC2及び第3スレーブコネクタSC3の第1スレーブ端子Ts1同士を接続している。第2スレーブロック分配ラインLs2は、第2スレーブコネクタSC2及び第3スレーブコネクタSC3の第2スレーブ端子Ts2同士を接続している。
【0064】
第1スレーブ受電装置12aは、第1スレーブケーブル14のスレーブ放電電力線Ws3,Ws4からの放電電力がスレーブDC/AC変換器21に供給されるように構成されている。詳細には、第1スレーブ受電装置12aは、第2スレーブコネクタSC2のスレーブ端子Ts3,Ts4とスレーブDC/AC変換器21とを接続するスレーブ接続ラインLs3,Ls4を備えている。
【0065】
第1スレーブ受電装置12aは、第1スレーブケーブル14及び第2スレーブケーブル15が接続されている場合に、第1スレーブケーブル14のスレーブ放電電力線Ws3,Ws4と第2スレーブケーブル15のスレーブ放電電力線Ws3,Ws4とを接続するスレーブ放電分配ラインLs5,Ls6を備えている。第1スレーブ放電分配ラインLs5は、第1スレーブ接続ラインLs3と第3スレーブコネクタSC3の第3スレーブ端子Ts3とを接続している。第2スレーブ放電分配ラインLs6は、第2スレーブ接続ラインLs4と第3スレーブコネクタSC3の第4スレーブ端子Ts4とを接続している。
【0066】
つまり、本実施形態では、スレーブ放電分配ラインLs5,Ls6は、スレーブ接続ラインLs3,Ls4の一部を利用して、両スレーブケーブル14,15のスレーブ放電電力線Ws3,Ws4同士を接続している。換言すれば、第1スレーブ受電装置12aは、第1スレーブケーブル14のスレーブ放電電力線Ws3,Ws4からの放電電力を、スレーブDC/AC変換器21と、第2スレーブケーブル15のスレーブ放電電力線Ws3,Ws4とに分配する二股のラインを有している。
【0067】
なお、これに限られず、スレーブ放電分配ラインLs5,Ls6は、スレーブ接続ラインLs3,Ls4の一部を利用することなく、直接、第2スレーブコネクタSC2のスレーブ端子Ts3,Ts4に接続されていてもよい。
【0068】
本実施形態では、図2に示すように、第1スレーブ受電装置12aは、スレーブロック分配ラインLs1,Ls2(詳細には第1スレーブロック分配ラインLs1)上に設けられたスレーブロック制御スイッチング素子71を備えている。そして、第1スレーブ受電装置12aは、スレーブ放電分配ラインLs5,Ls6(詳細には第1スレーブ放電分配ラインLs5)上に設けられたスレーブ放電制御スイッチング素子72を備えている。スレーブロック制御スイッチング素子71及びスレーブ放電制御スイッチング素子72は、例えばa接点のリレーである。
【0069】
第1スレーブ受電装置12aは、スレーブ接続ラインLs3,Ls4を介して伝送される放電電力の一部を動作電力に変換(降圧)して、スレーブ受電制御部23に供給する降圧回路62を備えている。スレーブ受電制御部23は、降圧回路62から動作電力が供給されることに基づいて、スレーブロック制御スイッチング素子71及びスレーブ放電制御スイッチング素子72のスイッチング制御と、スレーブDC/AC変換器21の制御とを行う。
【0070】
なお、第2スレーブ受電装置12bの具体的な構成は、第1スレーブ受電装置12aと同様であるため、詳細な説明を省略する。
ちなみに、図示は省略するが、第1スレーブケーブル14は、マスタ受電制御部22とスレーブ受電制御部23とを接続する信号線を有している。第1スレーブケーブル14を介してマスタ受電装置11と第1スレーブ受電装置12aとが接続された場合、マスタ受電制御部22とスレーブ受電制御部23とは情報のやり取りが可能となる。
【0071】
同様に、第2スレーブケーブル15は、第1スレーブ受電装置12a及び第2スレーブ受電装置12bの両スレーブ受電制御部23同士を接続する信号線を有している。第2スレーブケーブル15を介して第1スレーブ受電装置12aと第2スレーブ受電装置12bとが接続された場合、両スレーブ受電制御部23間にて情報のやり取りが可能となる。
【0072】
かかる構成においては、各スレーブケーブル14,15によって、マスタ受電装置11、第1スレーブ受電装置12a及び第2スレーブ受電装置12bが接続された場合、第2スレーブ受電装置12bのスレーブ受電制御部23は、第1スレーブ受電装置12aのスレーブ受電制御部23を介して、マスタ受電制御部22に情報を送信することができる。
【0073】
次に、本実施形態の作用と合わせて、本受電システム10の受電シーケンス(放電シーケンス)について図3を用いて説明する。図3は、車両CのメインバッテリB1から放電される放電電力の受電シーケンスを説明するためのタイミングチャートである。
【0074】
ここで、車両C、マスタ受電装置11及び各スレーブ受電装置12a,12bの接続は既に完了しているものとする。詳細には、マスタケーブル13を介して車両Cとマスタ受電装置11とが接続され、各スレーブケーブル14,15を介してマスタ受電装置11と各スレーブ受電装置12a,12bとがディジーチェーン接続されているものとする。この場合、マスタ受電装置11及び各スレーブ受電装置12a,12bのDC/AC変換器20,21が並列に接続され、各ロック回路31,32,51〜54が全て並列に接続される。
【0075】
ちなみに、初期状態では、コンタクタC2及び各制御スイッチング素子41,61,63,71,72は全てOFF状態となっているため、動作電力は、各ロック回路31,32,51〜54には供給されない。このため、図3(b)、図3(e)及び図3(i)に示すように、各ロック回路31,32,51〜54は、各コネクタMC1,MC2,SC1〜SC4をロックしていない解除状態(非ロック状態)となっている。
【0076】
一方、マスタケーブル13を介して車両Cとマスタ受電装置11とが接続されることによって、マスタ受電制御部22に車両Cから動作電力が供給される。マスタ受電制御部22は、動作電力が供給されたことに基づいて、各配線Wm2,Wm4,Wm8,Wm9を介して車両制御部C1と情報のやり取りを行うことにより、放電を行ってもよいか否か(放電電力を受電可能か否か)を判定する。
【0077】
マスタ受電制御部22は、車両Cからマスタ受電装置11に対して放電を行ってもよいと判定した場合には、図3(a)に示すように、t1のタイミングで、供給制御スイッチング素子41に対して切替信号を出力し、供給制御スイッチング素子41をOFF状態からON状態に切り替える。これにより、マスタコネクタロック線Wm11,Wm12に動作電力が供給され、マスタコネクタロック線Wm11,Wm12から各マスタロック回路31,32に対して動作電力が供給される。よって、図3(b)に示すように、マスタロック回路31,32は、マスタコネクタMC1,MC2をロックするロック状態となる。
【0078】
その後、マスタ受電制御部22は、各マスタコネクタMC1,MC2がロックされていることを確認する。当該確認の具体的な手法は任意であるが、例えば各マスタロック回路31,32に流れている電流を検出するセンサを設け、当該センサの検出結果に基づいて確認する手法等が考えられる。
【0079】
マスタ受電制御部22は、各マスタコネクタMC1,MC2がロックされていることを確認した後は、t2のタイミングにて、第10配線Wm10を介して車両制御部C1に対して放電要求を行う。車両制御部C1は、その放電要求に応じてコンタクタC2をON状態にする。これにより、図3(c)に示すように、メインバッテリB1の放電が開始され、マスタ受電装置11へ放電電力が供給される。供給された放電電力は、マスタDC/AC変換器20によって交流電力に変換されて負荷Xに供給される。
【0080】
ここで、図3(d)に示すように、t2のタイミングでは、マスタロック制御スイッチング素子63はOFF状態である。この場合、第1スレーブロック回路51及び第2スレーブロック回路52には動作電力が供給されないため、図3(e)に示すように、第1スレーブロック回路51及び第2スレーブロック回路52は解除状態である。
【0081】
同様に、図3(f)に示すように、t2のタイミングでは、マスタ放電制御スイッチング素子61はOFF状態である。このため、図3(g)に示すように、マスタ受電装置11から第1スレーブ受電装置12aへの放電電力の供給はまだ行われない。
【0082】
図3(a)に示すように、t3のタイミングでは、マスタ受電制御部22は、供給制御スイッチング素子41をON状態からOFF状態に切り替える。これにより、サブバッテリB2からの電力供給が停止する。この場合であっても、各マスタロック回路31,32には、降圧回路62から動作電力が供給されている。このため、図3(b)に示すように、各マスタロック回路31,32はロック状態を維持する。
【0083】
すなわち、マスタ受電制御部22は、車両Cからマスタ受電装置11への放電電力の供給後には、供給制御スイッチング素子41をON状態からOFF状態に切り替えることにより、各マスタロック回路31,32に電力供給を行う供給元をサブバッテリB2からメインバッテリB1に切り替えていると言える。
【0084】
図3(d)に示すように、続くt4のタイミングでは、マスタ受電制御部22は、車両Cからマスタ受電装置11への放電電力の供給が正常に行われていることを条件として、マスタロック制御スイッチング素子63をOFF状態からON状態に切り替える。これにより、動作電力は、第1スレーブケーブル14のスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2を伝送し、第1スレーブロック回路51及び第2スレーブロック回路52に対して供給される。よって、図3(e)に示すように、第1スレーブロック回路51及び第2スレーブロック回路52は、第1スレーブコネクタSC1及び第2スレーブコネクタSC2をロックするロック状態となる。
【0085】
その後、マスタ受電制御部22は、両スレーブコネクタSC1,SC2がロックされていることを確認する。マスタ受電制御部22は、確認後、図3(f)に示すように、t5のタイミングにて、マスタ放電制御スイッチング素子61をOFF状態からON状態に切り替える。これにより、図3(g)に示すように、第1スレーブ受電装置12aへの放電電力の供給が開始される。すなわち、メインバッテリB1から供給された放電電力が、マスタ受電装置11及び第1スレーブ受電装置12aに分配される。
【0086】
なお、各スレーブコネクタSC1〜SC4がロックされていることを確認する具体的な方法については、各マスタコネクタMC1,MC2のロックの確認手法と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0087】
ちなみに、第1スレーブ受電装置12aへの放電電力の供給が行われると、第1スレーブ受電装置12aの降圧回路62によって第1スレーブ受電装置12aのスレーブ受電制御部23に動作電力が供給され、スレーブ受電制御部23が動作可能となる。そして、スレーブ受電制御部23は、スレーブDC/AC変換器21を制御することにより、スレーブDC/AC変換器21に供給された放電電力を交流電力に変換して負荷Xに供給する。
【0088】
その後、第1スレーブ受電装置12aのスレーブ受電制御部23は、マスタ受電装置11から第1スレーブ受電装置12aへの放電電力の供給(分配)が正常に行われていることを確認する。スレーブ受電制御部23は、確認後、図3(h)に示すように、t6のタイミングにて、スレーブロック制御スイッチング素子71をOFF状態からON状態に切り替える。これにより、図3(i)に示すように、第3スレーブロック回路53及び第4スレーブロック回路54は、第3スレーブコネクタSC3及び第4スレーブコネクタSC4をロックするロック状態となる。
【0089】
そして、第1スレーブ受電装置12aのスレーブ受電制御部23は、両スレーブコネクタSC3,SC4がロックされていることを確認する。スレーブ受電制御部23は、確認後、図3(j)に示すように、t7のタイミングにて、スレーブ放電制御スイッチング素子72をOFF状態からON状態に切り替える。これにより、図3(k)に示すように、第1スレーブ受電装置12aから第2スレーブ受電装置12bへの放電電力の供給が行われる。すなわち、メインバッテリB1から放電される放電電力は、マスタ受電装置11及び各スレーブ受電装置12a,12bに分配される。
【0090】
なお、車両制御部C1は、予め定められた放電終了条件が成立した場合には、コンタクタC2をON状態からOFF状態に切り替える。これにより、車両Cからマスタ受電装置11への放電電力の供給が停止する。すると、各ロック回路31,32,51〜54に対する動作電力の供給が停止する。これにより、各ロック回路31,32,51〜54が同時に解除状態となる。これにより、各コネクタMC1,MC2,SC1〜SC4の取り外しが可能となる。
【0091】
以上説明した通り、メインバッテリB1の放電が開始される前はサブバッテリB2を用いてマスタロック回路31,32がロック状態となる一方、メインバッテリB1の放電が開始された後は、メインバッテリB1を用いてマスタロック回路31,32がロック状態となる。
【0092】
また、第1スレーブ受電装置12aへの放電電力の供給は、第1スレーブロック回路51及び第2スレーブロック回路52がロック状態となってから行われ、第2スレーブ受電装置12bへの放電電力の供給は、第3スレーブロック回路53及び第4スレーブロック回路54がロック状態となってから行われる。これら各スレーブロック回路51〜54への動作電力の供給には、メインバッテリB1が用いられる。
【0093】
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)車両Cに搭載されたメインバッテリB1の放電電力を受電する受電システム10は、マスタDC/AC変換器20及びマスタ受電制御部22を有するマスタ受電装置11と、車両Cとマスタ受電装置11とを接続するマスタケーブル13とを備えている。受電システム10は、マスタ受電装置11から放電電力を受電可能であって、スレーブDC/AC変換器21を有する第1スレーブ受電装置12aと、マスタ受電装置11と第1スレーブ受電装置12aとを接続する第1スレーブケーブル14とを備えている。そして、受電システム10は、マスタケーブル13を介して車両Cとマスタ受電装置11とが接続され、且つ、第1スレーブケーブル14を介してマスタ受電装置11と第1スレーブ受電装置12aとが接続された場合に、メインバッテリB1の放電電力がマスタ受電装置11及び第1スレーブ受電装置12aに分配されるように構成されている。詳細には、第1スレーブケーブル14は、放電電力が伝送されるスレーブ放電電力線Ws3,Ws4を備えている。マスタ受電装置11は、マスタケーブル13の各配線Wm1〜Wm12のうち放電電力が伝送されるマスタ放電電力線としての配線Wm5,Wm6とマスタDC/AC変換器20とを接続する接続ラインLm5,Lm6を備えている。更に、マスタ受電装置11は、配線Wm5,Wm6とスレーブ放電電力線Ws3,Ws4とを接続するマスタ放電分配ラインLm21,Lm22を備えている。そして、第1スレーブ受電装置12aは、スレーブ放電電力線Ws3,Ws4からの放電電力が第1スレーブ受電装置12aのスレーブDC/AC変換器21に供給されるように構成されている。これにより、メインバッテリB1の放電電力は、マスタDC/AC変換器20及びスレーブDC/AC変換器21に分配される。よって、各DC/AC変換器20,21の1つあたりに供給される直流電力が小さくなる。したがって、DC/AC変換器20,21として小電力に対応したものを採用しつつ、大容量のメインバッテリB1の放電が可能となる。
【0094】
詳述すると、メインバッテリB1の容量は、車両Cの種類によって変動し得る。例えばバスなどの大型車に搭載されるメインバッテリB1の容量は、普通車に搭載されるメインバッテリB1の容量よりも大きくなり易い。このため、例えば普通車に搭載されるメインバッテリB1の容量に対応したマスタDC/AC変換器20に、大型車に搭載されているメインバッテリB1を接続した場合、メインバッテリB1を十分に放電させることができない。かといって、マスタDC/AC変換器20として、大型車に搭載されているメインバッテリB1の容量に対応したものを採用すると、マスタDC/AC変換器20の大型化及び重量化が懸念される。すると、マスタ受電装置11が大型になったり、重くなったりして、利便性が低下する。
【0095】
これに対して、本実施形態では、小容量のメインバッテリB1の放電に対しては、マスタ受電装置11のみで対応する一方、大容量のメインバッテリB1の放電に対しては、マスタ受電装置11と第1スレーブ受電装置12aとで対応することができる。これにより、利便性の低下を抑制しつつ、小容量のメインバッテリB1の放電と大容量のメインバッテリB1の放電との双方に対応できる。
【0096】
また、上記構成によれば、同一のマスタ受電装置11及び第1スレーブ受電装置12aで、大容量のメインバッテリB1の放電と、小容量のメインバッテリB1の放電との双方に対応できる。これにより、メインバッテリB1の容量が異なることに対応させて専用の受電装置を設ける構成と比較して、汎用性の向上を図ることができる。
【0097】
(2)マスタケーブル13は、車両Cに取り付け可能な車両側マスタコネクタMC1と、マスタ受電装置11に取り付け可能な受電側マスタコネクタMC2と、マスタコネクタロック線Wm11,Wm12とを備えている。また、マスタコネクタMC1,MC2は、マスタコネクタロック線Wm11,Wm12から動作電力が供給された場合にマスタコネクタMC1,MC2をロックするマスタロック回路31,32を備えている。
【0098】
また、第1スレーブケーブル14は、マスタ受電装置11に取り付け可能な第1スレーブコネクタSC1と、第1スレーブ受電装置12aに取り付け可能な第2スレーブコネクタSC2と、動作電力が伝送されるスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2とを備えている。第1スレーブコネクタSC1は、スレーブコネクタロック線Ws1,Ws2から動作電力が供給された場合に第1スレーブコネクタSC1をロックする第1スレーブロック回路51を備えている。第2スレーブコネクタSC2は、スレーブコネクタロック線Ws1,Ws2から動作電力が供給された場合に第2スレーブコネクタSC2をロックする第2スレーブロック回路52を備えている。
【0099】
かかる構成において、マスタ受電装置11は、車両Cに設けられたサブバッテリB2を用いてマスタコネクタロック線Wm11,Wm12に動作電力を供給する動作電力供給回路40と、配線Wm5,Wm6とスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2とを接続するマスタロック分配ラインLm23,Lm24とを備えている。そして、マスタ受電装置11は、マスタロック分配ラインLm23,Lm24上に設けられるものとして、放電電力を用いて動作電力を生成する降圧回路62及びマスタロック制御スイッチング素子63を備えている。更に、マスタ受電装置11は、マスタ放電分配ラインLm21,Lm22上に設けられたマスタ放電制御スイッチング素子61を備えている。
【0100】
かかる構成によれば、マスタケーブル13及び第1スレーブケーブル14を介して車両Cとマスタ受電装置11と第1スレーブ受電装置12aとが接続されている状況において車両Cからマスタ受電装置11への放電電力の供給が開始されると、降圧回路62によって動作電力が生成される。当該動作電力は、マスタロック制御スイッチング素子63がON状態となることにより、各スレーブロック回路51,52に供給される。また、放電電力は、マスタ放電制御スイッチング素子61がON状態となることにより、第1スレーブ受電装置12aに供給される。これにより、サブバッテリB2の使用を抑制しつつ、安全に放電電力の分配を行うことができる。
【0101】
詳述すると、サブバッテリB2は、メインバッテリB1と比較して容量が小さく、供給可能な電力も小さい。このため、サブバッテリB2を用いて複数のロック回路をロック状態にしようとすると、電力が足りない事態が生じ、その結果、複数のロック回路をロック状態にできないという不都合が生じ得る。特に、ディジーチェーン接続されるスレーブ受電装置12の数が増えると、ロック回路の数が増えるため、上記不都合が生じ易くなる。
【0102】
また、複数のロック回路に動作電力を供給するためにサブバッテリB2を長時間使用すると、サブバッテリB2が劣化し易くなる。特に、サブバッテリB2が鉛蓄電池の場合にはサブバッテリB2が劣化し易い。
【0103】
これに対して、本実施形態では、サブバッテリB2ではなくメインバッテリB1を用いて各スレーブロック回路51,52に動作電力を供給することにより、サブバッテリB2の使用を抑制でき、それを通じて上記不都合を抑制できる。また、マスタロック制御スイッチング素子63及びマスタ放電制御スイッチング素子61を制御することにより、各スレーブコネクタSC1,SC2をロックしてから、マスタ受電装置11から第1スレーブ受電装置12aへの放電電力の供給を行うことができる。これにより、各スレーブコネクタSC1,SC2がロックされる前に、マスタ受電装置11から第1スレーブ受電装置12aへの放電電力の供給が行われることを回避できる。
【0104】
(3)受電システム10は、第2スレーブケーブル15を介して第1スレーブ受電装置12aと接続された場合に第1スレーブ受電装置12aから放電電力を受電するものであって、スレーブDC/AC変換器21を有する第2スレーブ受電装置12bを備えている。第2スレーブケーブル15は、第1スレーブ受電装置12aに取り付け可能な第3スレーブコネクタSC3と、第2スレーブ受電装置12bに取り付け可能な第4スレーブコネクタSC4と、動作電力が伝送されるスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2と、放電電力が伝送されるスレーブ放電電力線Ws3,Ws4とを備えている。第3スレーブコネクタSC3は、スレーブコネクタロック線Ws1,Ws2から動作電力が供給された場合に第3スレーブコネクタSC3をロックする第3スレーブロック回路53を備えている。第4スレーブコネクタSC4は、スレーブコネクタロック線Ws1,Ws2から動作電力が供給された場合に第4スレーブコネクタSC4をロックする第4スレーブロック回路54を備えている。第1スレーブ受電装置12aは、各スレーブケーブル14,15のスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2同士を接続するスレーブロック分配ラインLs1,Ls2と、各スレーブケーブル14,15のスレーブ放電電力線Ws3,Ws4同士を接続するスレーブ放電分配ラインLs5,Ls6と、を備えている。
【0105】
かかる構成によれば、車両C、マスタ受電装置11及び各スレーブ受電装置12a,12bが接続された場合には、放電電力を、マスタ受電装置11及び各スレーブ受電装置12a,12bに分配できる。これにより、より大きな容量のメインバッテリB1の放電に対応できる。また、マスタ受電装置11及び各スレーブ受電装置12a,12bが接続された場合には、両スレーブケーブル14,15のスレーブコネクタロック線Ws1,Ws2同士が接続される。これにより、マスタ受電装置11の降圧回路62によって生成された動作電力を、各スレーブロック回路51〜54に供給することが可能となる。
【0106】
(4)第1スレーブ受電装置12aは、スレーブロック分配ラインLs1,Ls2上に設けられたスレーブロック制御スイッチング素子71と、スレーブ放電分配ラインLs5,Ls6上に設けられたスレーブ放電制御スイッチング素子72とを備えている。これにより、第3スレーブコネクタSC3及び第4スレーブコネクタSC4のロックタイミング、及び、第2スレーブ受電装置12bへの放電電力の供給タイミングを個別に制御することができる。よって、例えば、第1スレーブ受電装置12aに放電電力が正常に供給されていることを確認してから、第3スレーブコネクタSC3及び第4スレーブコネクタSC4をロックすることができる。そして、第3スレーブコネクタSC3及び第4スレーブコネクタSC4がロックされていることを確認してから、第2スレーブ受電装置12bへの放電電力の供給を行うことができる。したがって、第3スレーブコネクタSC3及び第4スレーブコネクタSC4がロックされていない状態で第2スレーブ受電装置12bへの放電電力の供給が行われることを回避できる。よって、ディジーチェーン接続された複数のスレーブ受電装置12への放電電力の分配を、好適に行うことができる。
【0107】
(5)マスタケーブル13は、サブバッテリB2からの動作電力が伝送される動作電力線としての第3配線Wm3及び第1配線Wm1を有している。動作電力供給回路40は、配線Wm3,Wm1とマスタコネクタロック線Wm11,Wm12とを接続する動作電力供給ラインLm11,Lm12と、動作電力供給ラインLm11,Lm12上に設けられた供給制御スイッチング素子41とを有している。これにより、供給制御スイッチング素子41をOFF状態からON状態に切り替えることにより、メインバッテリB1の放電電力がマスタ受電装置11に供給される前に、所望のタイミングでマスタコネクタMC1,MC2をロックできる。
【0108】
(6)マスタ受電装置11は、降圧回路62によって生成された動作電力がマスタコネクタロック線Wm11,Wm12に供給されるように構成されている。詳細には、マスタ受電装置11は、マスタロック分配ラインLm23,Lm24における降圧回路62の出力側とマスタコネクタロック線Wm11,Wm12とを接続するマスタ接続ロックラインLm25,Lm26を備えている。これにより、降圧回路62にて生成された動作電力を用いて各マスタロック回路31,32をロック状態にできる。この場合、降圧回路62にて生成された動作電力が各マスタロック回路31,32に供給された後は、供給制御スイッチング素子41をON状態からOFF状態に切り替えることにより、サブバッテリB2の使用を抑制できる。
【0109】
特に、第1マスタ接続ロックラインLm25は、第1マスタロック分配ラインLm23におけるマスタロック制御スイッチング素子63よりも降圧回路62寄りの部分に接続されている。これにより、マスタロック制御スイッチング素子63のON/OFFに関わらず、降圧回路62によって生成された動作電力をマスタコネクタロック線Wm11,Wm12に供給することができる。
【0110】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ マスタロック制御スイッチング素子63は、第1マスタロック分配ラインLm23上に設けられていたが、これに代えて又は加えて、第2マスタロック分配ラインLm24上に設けられていてもよい。つまり、マスタロック制御スイッチング素子63は、2つのマスタロック分配ラインLm23,Lm24上の少なくとも一方に設けられていればよい。マスタ放電制御スイッチング素子61、スレーブロック制御スイッチング素子71、スレーブ放電制御スイッチング素子72及び供給制御スイッチング素子41についても同様であり、対応する2つのライン上の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0111】
○ スレーブロック制御スイッチング素子71及びスレーブ放電制御スイッチング素子72を省略してもよい。この場合、マスタロック制御スイッチング素子63がON状態となることによって、各スレーブロック回路51〜54が同時にロック状態となる。
【0112】
かかる構成においては、各スレーブ受電装置12a,12bのスレーブ受電制御部23は、対応するスレーブロック回路がロック状態となっているか否かを確認し、ロック状態となっていることを確認した場合には確認信号を上流側の受電装置に向けて送信する。確認信号を受信したスレーブ受電装置は、更に上流側の受電装置に送信する。これにより、各スレーブ受電制御部23の確認信号がマスタ受電制御部22に送信される。マスタ受電制御部22は、全てのスレーブ受電制御部23の確認信号を受信したことに基づいて、マスタ放電制御スイッチング素子61をOFF状態からON状態に切り替える。これにより、各スレーブ受電装置12a,12bに同時に放電電力が分配される。
【0113】
○ スレーブ受電装置12の数は3つ以上であってもよい。この場合、スレーブケーブルを用いて各スレーブ受電装置をディジーチェーン接続するとよい。スレーブ受電装置12が複数存在する場合、上流側のスレーブ受電装置と下流側のスレーブ受電装置とを接続するスレーブケーブルに設けられたスレーブコネクタのロック、及び、上流側のスレーブ受電装置から下流側のスレーブ受電装置への放電電力の供給という一連の動作を単位動作とし、当該単位動作を上流側から下流側に向けて順次行うとよい。また、スレーブ受電装置12の数は1つであってもよい。
【0114】
○ マスタケーブル13は、動作電力線としての第3配線Wm3及び第1配線Wm1を有していなくてもよい。この場合、マスタ受電装置11は、車両Cに設けられたシガーソケット等から別配線でサブバッテリB2から動作電力を取り出してもよい。
【0115】
○ 動作電力供給回路40の具体的な構成は任意であり、例えばマスタ受電制御部22と動作電力供給ラインLm11,Lm12とを接続するラインを有し、マスタ受電制御部22が動作電力を供給する構成であってもよい。
【0116】
○ マスタロック制御スイッチング素子63は、マスタロック分配ラインLm23,Lm24における降圧回路62の入力側に設けられていてもよい。
○ 受電側マスタコネクタMC2は、各端子Tm1〜Tm12を有する1のコネクタであったが、これに限られず、CHAdeMO規格に対応した第1のコネクタと、コネクタロック端子Tm11,Tm12を有する第2のコネクタとから構成されていてもよい。この場合、マスタ受電装置11には、第1のコネクタが取り付けられる第1のインレットと、第2のコネクタが取り付けられる第2のインレットとが設けられているとよい。かかる構成においては、第1のコネクタ及び第2のコネクタの双方にロック回路を設け、当該2つのロック回路は、マスタケーブル13とマスタ受電装置11とが接続された場合に、並列に接続されるように構成されているとよい。
【0117】
○ マスタケーブル13の受電側マスタコネクタMC2を省略して、マスタ受電装置11とマスタケーブル13とをユニット化してもよい。
○ 車両Cは、メイン蓄電装置及びサブ蓄電装置を有するものであれば任意であり、例えばEV,FCV等であってもよい。また、車両Cに搭載される各蓄電装置は、充放電が可能なものであれば、リチウムイオン二次電池等の二次電池に限られず任意であり、例えば電気二重層キャパシタ等であってもよい。
【0118】
○ スレーブコネクタSC1〜SC4は、車両側マスタコネクタMC1又は受電側マスタコネクタMC2と同一構成であってもよい。
○ スレーブ受電制御部23は受電中定期的に異常が発生しているか否かを判定し、異常が発生した場合には、異常発生信号を上流側の受電装置に送信してもよい。また、異常発生信号を受信したスレーブ受電装置12のスレーブ受電制御部23は、さらに上流側の受電装置にその通知を伝送するとよい。これにより、マスタ受電制御部22が異常発生信号を受信できる。そして、マスタ受電制御部22は、異常発生信号を受信した場合、例えば放電を中止させるといった異常対応処理を実行するとよい。
【0119】
○ 受電システム10(マスタ受電装置11)は、系統電力等の外部電力を受電するものであってもよい。この場合、マスタ受電装置11は、マスタケーブル13を介して車両Cと接続されている状況において外部電力を受電した場合には、受電された外部電力を用いて車両CのメインバッテリB1を充電するとよい。詳細には、マスタ受電装置11は、マスタDC/AC変換器20に代えて、直流電力と交流電力との双方向の変換が可能な双方向変換器を備えているとよい。かかる構成によれば、マスタケーブル13を用いて車両Cとマスタ受電装置11とが接続され、系統電源とマスタ受電装置11とが接続されると、双方向変換器にて系統電源から供給される系統電力が直流電力に変換され、当該直流電力がメインバッテリB1に供給される。これにより、メインバッテリB1の充放電が可能となるため、利便性の向上を図ることができる。
【0120】
なお、スレーブ受電装置12は、直流電力から交流電力への一方向のみの変換が可能に構成されていてもよいし、上記のように双方向の変換が可能に構成され、メインバッテリB1の充電を補助するものとして用いられてもよい。
【0121】
また、マスタ受電装置11は、双方向変換器に代えて、マスタDC/AC変換器20と、交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器とを別々に備えている構成であってもよい。この場合、マスタ受電装置11は、外部電力がAC/DC変換器に供給され、AC/DC変換器から出力される直流電力が配線Wm5,Wm6を介してメインバッテリB1に供給されるように構成されているとよい。
【0122】
さらに、受電システム10(マスタ受電装置11)が受電する外部電力は、系統電力等の交流電力に限られず、直流電力であってもよい。この場合、マスタ受電装置11は、受電された直流電力がマスタDC/AC変換器20を介することなくメインバッテリB1に供給されるようにバイパスラインを備えているとよい。
【0123】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる好適な一例について以下に記載する。
(イ)受電制御部は、マスタ放電電力線を介して車両からマスタ受電装置への放電電力の供給が行われてから、マスタロック制御スイッチング素子を非導通状態から導通状態に切り替え、その後にマスタ放電制御スイッチング素子を非導通状態から導通状態に切り替えるとよい。
【符号の説明】
【0124】
10…受電システム、11…マスタ受電装置、12a…第1スレーブ受電装置、12b…第2スレーブ受電装置、13…マスタケーブル、14…第1スレーブケーブル、15…第2スレーブケーブル、20…マスタDC/AC変換器(第1変換部)、21…スレーブDC/AC変換器(第2変換部)、22…マスタ受電制御部(受電制御部)、31,32…マスタロック回路、40…動作電力供給回路、41…供給制御スイッチング素子、51〜54…スレーブロック回路、61…マスタ放電制御スイッチング素子、62…降圧回路(生成回路)、63…マスタロック制御スイッチング素子、71…スレーブロック制御スイッチング素子、72…スレーブ放電制御スイッチング素子、B1…メインバッテリ(メイン蓄電装置)、B2…サブバッテリ(サブ蓄電装置)、C…車両、C1…車両制御部、MC1,MC2…マスタコネクタ、SC1〜SC4…スレーブコネクタ、Wm11,Wm12…マスタコネクタロック線、Ws1,Ws2…スレーブコネクタロック線、Ws3,Ws4…スレーブ放電電力線、Lm11,Lm12…動作電力供給ライン、Lm21,Lm22…マスタ放電分配ライン、Lm23,Lm24…マスタロック分配ライン、Ls1,Ls2…スレーブロック分配ライン、Ls5,Ls6…スレーブ放電分配ライン。
図1
図2
図3