(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂基材に配線が形成された回路基板(10,10a〜10h)と、前記回路基板の一面(S1)に実装された回路素子(21〜23)と、前記回路基板の前記一面に設けられており、前記回路素子を封止しているモールド樹脂(40)と、を有し、前記回路基板を厚み方向に貫通している基板貫通穴(11)と、前記基板貫通穴と連通し前記モールド樹脂を厚み方向に貫通しているモールド貫通穴(41)とが形成された電子装置の製造方法であり、
前記回路基板が固定される第1金型(410)と、
前記モールド樹脂の構成材料が配置される凹状のキャビティを有した第2金型(420〜440)と、
前記キャビティの底面から突出して設けられており前記回路基板を押圧する押圧部材(460)と、を用いて電子装置を製造する方法であって、
前記回路素子が実装された前記回路基板を前記第1金型(410)に対して固定する固定工程と、
前記回路基板に対して前記一面側から前記押圧部材(460)を押し当てて前記基板貫通穴における前記一面側の開口を塞ぐ閉塞工程と、
前記キャビティが前記一面に対向するように前記第2金型が前記一面又は前記第1金型に固定され、且つ、前記押圧部材によって前記開口が塞がれて前記キャビティが密閉された状態で、前記キャビティ内の前記構成材料で前記一面及び前記回路素子を覆いつつ、前記構成材料を固めることで前記モールド樹脂を成形する成形工程と、を備えており、
前記閉塞工程では、前記押圧部材の一部が前記基板貫通穴に挿入された状態で前記回路基板に押し当たることで、前記基板貫通穴の開口面積が前記一面側の開口端から裏面側にいくにつれて狭くなるように傾斜した形状に前記回路基板を変形させた状態で、前記開口を塞いでいることを特徴とする電子装置の製造方法。
前記押圧部材は、前記底面から突出した柱状部(461)と、前記柱状部における前記底面とは反対側の先端に設けられた前記底面から遠ざかるにつれて径が小さくなる山部(462)が設けられており、
前記閉塞工程では、前記山部の少なくとも一部が前記基板貫通穴に挿入された状態で前記山部を前記回路基板に押し当てることで、前記回路基板を傾斜した形状に変形させることを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
前記閉塞工程では、前記山部の全体が前記基板貫通穴に挿入され、且つ前記柱状部と前記山部との境界が前記一面に沿う仮想平面上の配置された状態で、前記開口を塞いでいることを特徴とする請求項2に記載の電子装置の製造方法。
前記モールド貫通穴の開口面積は、前記基板貫通穴における前記一面側の開口端の開口面積と同じであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の電子装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、図面を参照しながら、発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
【0017】
本実施形態では、本発明の電子装置を
図1などに示す電子装置100に適用した例を採用する。電子装置100は、
図2に示すように、回路基板10と、回路基板10の一面S1に実装された回路素子としての発熱素子21と、回路基板10の一面S1に設けられて発熱素子21を封止しているモールド樹脂40とを備えて構成されている。本実施形態では、一例として、車両のエンジンルーム内に搭載されてなる車載電子装置に電子装置100を適用した例を採用する。更に、電子装置100は、車載電子装置の一例として、インバータ装置に適用できる。しかしながら、電子装置100は、車載電子装置とは異なる装置に適用することもできる。
【0018】
また、電子装置100は、
図2に示すように、発熱素子21に加えて、回路基板10の一面S1に、半田32及び半田33を介してモールド内素子22,23が実装され、モールド樹脂40で封止されていてもよい。モールド内素子22,23は、例えばチップコンデンサやダイオードなどの回路素子である。電子装置100は、インバータ装置に適用した場合、インバータを構成する回路素子の一部として発熱素子21とモールド内素子22,23をモールド樹脂40内に備えていてもよい。
【0019】
回路基板10は、絶縁性の樹脂基材に導電性部材からなる配線13が形成されたものである。回路基板10は、例えば、コア層と、コア層に積層されたビルドアップ層とを含む所謂ビルドアップ基板を採用できる。また、回路基板10は、コア層が設けられておらず、複数のビルドアップ層が積層された所謂エニーレイヤー基板であっても採用できる。また、回路基板10は、一面S1に発熱素子21やモールド内素子22,23などが実装されるランドが設けられている。このランドは、配線13と電気的に接続されている。このように、回路基板10は、プリント基板と言い換えることができる。
【0020】
また、回路基板10は、例えば直方体形状を有している。つまり、回路基板10は、一面S1及び裏面S2が矩形形状を有しており、一面S1と裏面S2とに連続して設けられた四つの側面12を有している。
【0021】
なお、回路基板10は、自身の厚み方向に貫通した基板貫通穴11が設けられている。基板貫通穴11は、一面S1から裏面S2に達する穴である。基板貫通穴11は、樹脂基材の壁面に囲まれた空間と言うこともできる。また、この壁面は、回路基板10の内壁面と言うこともできる。
【0022】
基板貫通穴11は、ねじ300が挿入される穴である。回路基板10は、例えば、自身の厚み方向に水平な平面における四隅に基板貫通穴11が設けられている。なお、ねじ300は、
図2に示すように、ねじ頭310と、ねじ頭310から突出して設けられた部位の先端側にねじ溝部320が形成されている。
【0023】
発熱素子21は、回路基板10の一面S1に実装されている回路素子であり、自身が動作することで熱を発するものである。発熱素子21は、例えば、MOSFETやIGBTなどを採用できる。また、電子装置100がインバータ装置に適用された場合、発熱素子21は、インバータ装置におけるインバータの一部として設けられたスイッチング素子などである。なお、発熱素子21は、パワー素子と言い換えることもできる。
【0024】
また、発熱素子21は、例えば、両面に電極が形成されたベアチップ状態の半導体素子である。発熱素子21は、自身の実装面が回路基板10の一面S1と対向した状態で半田31を介して回路基板10に実装されている。つまり、発熱素子21は、実装面側の電極が半田31と電気的及び機械的に接続されて、回路基板10に実装されている。また、発熱素子21は、半田31を介して、回路基板10の一面S1に設けられたランドに実装されている。なお、発熱素子21は、半田31とは異なる導電性の接着剤を介して回路基板10に実装されていてもよい。
【0025】
更に、発熱素子21は、回路基板10への実装面の反対面である非実装面にクリップ34が機械的及び電気的に接続されている。クリップ34は、例えば銅などの金属を主成分とした部材である。クリップ34は、発熱素子21の非実装面に対向する素子側部位と、回路基板10の一面S1に対向する基板側部位と、素子側部位と基板側部位とを連結している連結部位とが一体的に設けられた部材である。クリップ34は、素子側部位が発熱素子21における非実装面側の電極に電気的及び機械的に接続されており、基板側部位が回路基板10のランドに電気的及び機械的に接続されている。例えば、クリップ34は、半田などの導電性接続部材を介して、発熱素子21及び回路基板10と電気的及び機械的に接続されている。
【0026】
クリップ34は、発熱素子21と回路基板10とを電気的に接続するためのターミナルとしての機能に加えて、発熱素子21から発せられた熱を放熱するためのヒートシンクとしての機能を有している。上記のように、発熱素子21は、非実装面にクリップ34が電気的及び機械的に接続されている。このため、発熱素子21から発せられた熱は、非実装面からクリップ34の素子側部位に伝達される。よって、クリップ34は、発熱素子21から発せられた熱が非実装面側から放熱されやすくなるように設けられている、と言うことができる。
【0027】
なお、クリップ34は、素子側部位が発熱素子21における非実装面の全域と対向しつつ、非実装面側の電極と電気的及び機械的に接続されている。このようにすることで、クリップ34は、素子側部位が非実装面の一部のみに対向している場合よりも放熱性を向上できる。しかしながら、クリップ34は、素子側部位が非実装面の一部のみに対向しつつ、非実装面側の電極と電気的及び機械的に接続されていてもよい。また、本発明は、クリップ34が設けられていなくても目的を達成できる。
【0028】
モールド樹脂40は、例えば、エポキシ系などの樹脂にAL
2O
3などのフィラーが混ぜられたものなどからなる。モールド樹脂40は、一面S1に設けられ、発熱素子21を封止している。また、モールド樹脂40は、発熱素子21に加えて、発熱素子21と回路基板10との接続部位、すなわちランドや半田31を一体的に封止している。また、モールド樹脂40は、発熱素子21と共に、クリップ34、及びクリップ34と発熱素子の接続部位、クリップ34と回路基板10との接続部位を一体的に封止している。なお、本実施形態のモールド樹脂40は、発熱素子21と共に、モールド内素子22,23、及びモールド内素子22,23と回路基板10との接続部位、すなわちランドや半田32,33を一体的に封止している。
【0029】
更に、モールド樹脂40は、回路基板10における一面S1の少なくとも一部に密着しつつ、発熱素子21などを封止していると言うことができる。本実施形態では、回路基板10における一面S1の全域に密着して設けられたモールド樹脂40を採用している。つまり、回路基板10は、一面S1の全域がモールド樹脂40によって封止されている。
【0030】
なお、上記のようにモールド樹脂40は、クリップ34の素子側部位上にも設けられている。つまり、モールド樹脂40は、素子側部位における発熱素子21が接続されている側の反対側にも設けられている。この反対側に設けられているモールド樹脂40の厚みは、クリップ34の絶縁性が確保でき、且つ、できるだけ薄い方が好ましい。これは、電子装置100は、クリップ34及びモールド樹脂40を介して、発熱素子21から発せられた熱を放熱するためである。
【0031】
電子装置100は、発熱素子21やモールド内素子22,23をモールド樹脂40で封止しているので、これらの素子に埃などが付着することを抑制できる。また、電子装置100は、発熱素子21と回路基板10との接続部位やモールド内素子22,23と回路基板10との接続部位などを封止しているので、発熱素子21やモールド内素子22,23などと回路基板10との接続信頼性を確保できる。
【0032】
このように、電子装置100は、回路基板10の一面S1側だけがモールド樹脂40で封止されている。よって、電子装置100は、ハーフモールドパッケージと言うこともできる。モールド樹脂40は、コンプレッション成形によって形成することができる。
【0033】
また、モールド樹脂40は、回路基板10の各側面12に沿って側面42が設けられている。よって、各側面12と各側面42とは、面一に設けられている。そして、モールド樹脂40は、一面S1に接した面の反対面が平坦に設けられている。よって、回路基板10にモールド樹脂40が形成された樹脂構造体は、直方体形状を有している。なお、以下においては、モールド樹脂40における一面S1に接した面の反対面は、モールド反対面と記載する。
【0034】
なお、モールド樹脂40は、回路基板10の基板貫通穴11に対向する位置に、自身の厚み方向に貫通したモールド貫通穴41が設けられている。モールド貫通穴41は、基板貫通穴11と連通して設けられている。よって、樹脂構造体は、裏面S2からモールド反対面に亘って貫通した貫通穴が設けられている、と言うことができる。モールド貫通穴41は、モールド樹脂40の壁面で囲まれた空間と言うこともできる。なお、この壁面は、モールド樹脂40の内壁面と言うこともできる。以下においては、基板貫通穴11と、基板貫通穴11に連通しているモールド貫通穴41とからなる貫通穴を装置貫通穴とも記載する。
【0035】
更に、回路基板10は、
図3に示すように、基板貫通穴11の開口面積が一面S1側の開口端から裏面S2側にいくにつれて狭くなるように傾斜した形状の樹脂傾斜部11aが形成されている。よって、基板貫通穴11は、裏面S2側から一面S1側に向かうにつれて広がっている構造である。このように、樹脂傾斜部11aは、樹脂基材の一部である。樹脂傾斜部11aは、特許請求の範囲における基板傾斜部に相当する。なお、回路基板10は、一面S1から裏面S2に達することなく樹脂傾斜部11aが形成されている。この樹脂傾斜部11aは、モールド樹脂40の成形時にモールド貫通穴41を形成しつつ、基板貫通穴11を塞ぐピン460によって変形された部位である。
【0036】
一方、モールド樹脂40は、
図3に示すように、モールド貫通穴41の開口面積が一面S1側の開口端からモールド反対面側に行くにつれて広くなるように傾斜した形状のモールド傾斜部41aが形成されている。よって、モールド貫通穴41は、一面S1側からモールド反対面側に向かうにつれ広がっている構造である。モールド傾斜部41aの表面は、樹脂傾斜部11aの表面と面一に形成されている。なお、モールド樹脂40は、一面S1からモールド反対面に達することなくモールド傾斜部41aが形成されている。樹脂構造体は、
図4に示すように、
図3をIV矢印方向から見た場合、モールド傾斜部41aと樹脂傾斜部11aとが見える。
【0037】
モールド貫通穴41は、モールド樹脂40の成形時にピン460が配置されていた部位である。更に、モールド傾斜部41aは、モールド樹脂40の成形時にピン460の山部462が配置されていた部位である。このピン460に関しては、後程説明する。
【0038】
このように構成された電子装置100は、
図1,
図2に示すように、金属ベース200に搭載される。電子装置100は、回路基板10の裏面S2が金属ベース200に熱的に接続された状態で、金属ベース200に搭載されてなるものである。よって、電子装置100は、自身が発した熱を金属ベース200に放熱することができる。
【0039】
金属ベース200は、アルミニウムや銅などの金属を主成分とした部材である。金属ベース200は、例えば、電子装置100を収容するためのケースの一部や、電子装置100が搭載される搭載機器の一部などである。なお、搭載機器としては、車両の走行用モータやエンジンなどを採用できる。
【0040】
また、電子装置100は、装置貫通穴にねじ300が挿入されて、ねじ溝部320が金属ベース200のねじ穴に締結されることで、金属ベース200に固定される。つまり、電子装置100は、金属ベース200に対して、ねじ300によってねじ止めされる。言い換えると、電子装置100は、ねじ300を締め付けることで、金属ベース200に固定される。
【0041】
電子装置100は、四隅の装置貫通穴にねじ300が挿入され、このねじ300によって金属ベース200に固定されているため、振動などによって金属ベース200から外れたりすることを抑制できる。同様に、電子装置100は、裏面S2が金属ベース200から浮いたりすることを抑制できる。つまり、車両は、走行している道路状況によっては大きく振動することがあったり、振動が継続したりすることがある。しかしながら、電子装置100は、このように場合であっても、金属ベース200から外れたり、裏面S2が金属ベース200から浮いたりすることを抑制できる。このため、電子装置100は、金属ベース200から外れて放熱性が低下することを抑制できる。言い換えると、電子装置100は、振動などによって、金属ベース200との接触面積が小さくなること抑制できるため、放熱性が低下することを抑制できる。
【0042】
ところで、電子装置100は、ねじ300を締め付けることで、金属ベース200に固定されているため、ねじ頭310から応力が印加されることになる。従来技術ではないが、電子装置としては、回路基板又はモールド樹脂の一方のみに、固定用のねじが挿入される貫通穴が設けられているものも考えられる。このような電子装置は、ねじ頭からの応力が回路基板又はモールド樹脂の一方に印加されることになる。よって、この電子装置は、回路基板又はモールド樹脂のうち貫通穴が設けられている方に、ねじ頭からの応力に耐えるように、剛性を高めるための補強部材を設けることが考えられる。
【0043】
これに対して、電子装置100は、ねじ頭310から応力が回路基板10とモールド樹脂40とに印加される。つまり、電子装置100は、ねじ頭310からの応力が印加される部位の剛性が高められている。よって、電子装置100は、補強部材を設けることなく、ねじ300によって金属ベース200に組み付けた場合であっても、ねじ頭310からの応力に耐えることができる。
【0044】
本実施形態では、
図1に示すように、四本のねじ300で金属ベース200に固定される電子装置100を採用している。しかしながら、本発明は、ねじ300とは異なる固定部材で金属ベース200に固定されるものであってもよい。固定部材としては、例えば、モールド反対面に当接される頭部と、金属ベース200に挿入されることで弾性変形する変形部と、頭部と変形部とを繋いでいる部位であり装置貫通穴内に配置される柱状部とを有した固定ピンなどを採用できる。
【0045】
なお、金属ベース200は、電子装置100が搭載されるものであるため、被搭載部材と言い換えることもできる。また、電子装置100は、回路基板10と金属ベース200との間に放熱グリスなどの熱伝導性部材を介して金属ベース200に取り付けられていてもよい。
【0046】
ここで、電子装置100の製造方法に関して説明する。本製造方法は、一例として、
図5などに示すように、上型410、クランプ型420、第1下型430、第2下型440、バネ450、ピン460を備えて構成されたコンプレッション成形機を用いて電子装置100を製造する方法である。
【0047】
上型410は、特許請求の範囲における第1金型に相当し、回路基板10が固定される平坦面を有している。上型410は、例えば、地面に対して平行に配置されている。そして、上型410は、地面側に平坦面が形成されている。回路基板10は、裏面S2が上型410の平坦面に対向した状態で、平坦面に固定される。また、回路基板10は、例えば、真空クランプや、メカクランプなどによって上型410に固定される。しかしながら、回路基板10を上型410に固定する方法は、特に限定されない。なお、以下においては、重力方向を下、重力方向の反対方向を上とする。
【0048】
クランプ型420、第1下型430、第2下型440は、特許請求の範囲における第2金型に相当する。クランプ型420、第1下型430、第2下型440は、上型410に対する下型である。以下、クランプ型420、第1下型430、第2下型440を纏めて下型と記載することもある。
【0049】
この下型と上型410とは、コンプレッション成形機の一部である一対の金型である。また、下型と上型410とは、例えば下型が上昇したり下降したりすることで、相対的に近づいたり遠ざかったりすることができる。下型は、上型410の下側に、上型410と対向した状態で配置される。クランプ型420は、環状の壁面で囲まれた穴が設けられている。
図5などにおける符号420aは、この壁面の先端面を示している。クランプ型420は、モールド樹脂40を成形する際に、先端面が回路基板10の一面S1に密着することになる。
【0050】
クランプ型420の穴内には、穴に沿って上方向及び下方向に可動できるように第1下型430と第2下型440が配置されている。つまり、第1下型430と第2下型440は、一体となって、最下位置と最上位置との範囲内で上方向及び下方向に可動できるように構成されている。
【0051】
下型は、クランプ型420の壁面と、第1下型430の上面とによって、モールド樹脂40の構成材料が配置される凹状のキャビティが形成されている。つまり、第1下型430の上面は、キャビティの底面となる。
【0052】
第1下型430と第2下型440とは、互いに固定されている。よって、第1下型430は、上面が回路基板10と対向する面であり、下面が第2下型440に固定されている面である。第1下型430は、ピン460が配置されている穴が設けられている。一方、第2下型440は、ピン460に対して上方向の力を印加するバネ450が配置されている凹部が設けられている。
【0053】
ピン460は、特許請求の範囲における押圧部材に相当する。ピン460は、
図5などに示すように、キャビティの底面から突出して設けられており、回路基板10を押圧する部材である。また、ピン460は、
図12に示すように、キャビティの底面から突出した柱状部461と、柱状部461における底面とは反対側の先端に設けられた山部462が設けられている。山部462は、底部から遠ざかるにつれて径が小さくなる形状を有している。本実施形態では、円柱形状の柱状部461と、円錐台形状の山部462とを備えたピン460を採用している。山部462の一部は、基板貫通穴11を塞ぎ、且つ、回路基板10を変形させて樹脂傾斜部11aを形成するための部分である。また、山部462のその他部分は、モールド傾斜部41aを形成するための部分である。
【0054】
本製造方法では、
図5〜
図11に示すように、このようなコンプレッション成形機を用いて、固定工程、樹脂撒き工程、第1上昇工程、第2上昇工程、保圧工程、第1離型工程、第2離型工程をこの順番で行う。
【0055】
固定工程では、
図5に示すように、上型410の回路基板10を固定する。この固定工程では、回路基板10における裏面S2を上型410の平坦面に対向させた状態で固定する。このとき、回路基板10は、基板貫通穴11が形成されており、発熱素子21やクリップ34などが実装されている状態である。また、回路基板10は、樹脂傾斜部11aは形成されていない。なお、回路基板10は、当然ながらモールド樹脂40が形成されていない。
【0056】
更に、固定工程時では、クランプ型420が回路基板10と接しておらず、第1下型430と第2下型440とが最下位置に配置されている。また、ピン460は、基板貫通穴11に対向する位置に配置されている。ピン460は、第1下型430と第2下型440とが最下位置に配置されている状態で先端面420aよりも突出して設けられている。
【0057】
樹脂撒き工程では、
図6に示すように、キャビティ内にモールド樹脂40の構成材料を入れる。言い換えると、樹脂撒き工程では、顆粒状であるモールド樹脂40の構成材料をキャビティ内へ撒布する。なお、図面においては、便宜上、構成材料にもモールド樹脂40と同じ符号40を付与している。
【0058】
第1上昇工程では、
図7に示すように、下型を矢印方向に上昇させる。第1上昇工程は、
図13も参照しつつ説明する。
図13は、第1上昇工程時における、基板貫通穴11部分の拡大図面である。
【0059】
第1上昇工程では、下型と共にピン460が上昇する。そして、ピン460は、先端面420aよりも突出しているため、先端面420aよりも先に回路基板10に接触する。第1上昇工程では、ピン460が上昇することで、回路基板10に対して一面S1側からピン460を押し当てて基板貫通穴11における一面S1側の開口を塞ぐ。よって、基板貫通穴11は、
図13の二点鎖線で示すように、ピン460で閉じられている。しかしながら、回路基板10は、ピン460が接触しているものの、樹脂傾斜部11aが形成されるほどの応力は加えられていない。つまり、ピン460から回路基板10への応力は、回路基板10が変形して樹脂傾斜部11aが形成されるほどではない。また、ピン460は、バネ450からの弾性力が加えられていない。
【0060】
第2上昇工程では、
図8に示すように、下型を第1上昇工程の状態から更に上矢印方向に上昇させる。第2上昇工程では、
図14も参照しつつ説明する。
図14は、第2上昇工程時における、基板貫通穴11部分の拡大図面である。なお、
図14では、モールド樹脂40も図示されているが、第2上昇工程ではモールド樹脂40は形成されていない。
【0061】
この第2上昇工程では、下型を上昇させることで、ピン460の一部が基板貫通穴11に挿入された状態でピン460を回路基板10に押し当てる。本実施形態では、
図14に示すように、山部462の一部が基板貫通穴11に挿入された状態で、ピン460を回路基板10に押し当てている。第2上昇工程では、回路基板10が変形する程度の押圧力でピン460を回路基板10に押し当てる。ピン460は、バネ450からの弾性力が加えられることで、回路基板10に押し当てられる。よって、ピン460は、
図8の下矢印方向に反力を受けることになる。
【0062】
このようにすることで、第2上昇工程では、
図14に示すように、基板貫通穴11の開口面積が一面S1側の開口端から裏面S2側にいくにつれて狭くなるように傾斜した形状に回路基板10を変形させる。つまり、回路基板10は、この第2上昇工程で樹脂傾斜部11aが形成される。言い換えると、第2上昇工程では、山部462で回路基板10の一部を潰して、樹脂傾斜部11aを形成する。また、第2上昇工程では、ピン460で回路基板10を変形させた状態で、基板貫通穴11の開口を塞いでいる。このように、第2上昇工程は、特許請求の範囲における閉塞工程に相当する。
【0063】
なお、第2上昇工程では、基板貫通穴11がピン460で塞がれ、且つ、クランプ型420の先端面420aが回路基板10に押し当てられているため、クランプ型420、第1下型430、ピン460、回路基板10によって、密閉空間が形成される。つまり、キャビティは、密閉された状態となる。また、本実施形態では、
図14に示すように、山部462の一部のみが基板貫通穴11に挿入されている。よって、山部462における残りの部位は、基板貫通穴11の外部、一面S1の対向領域に配置されることになる。
【0064】
保圧工程では、
図9に示すように、構成材料に成形圧力を加えるために、クランプ型420の穴内において、第1下型430と第2下型440とを上方向に上昇させる。保圧工程は、特許請求の範囲における成形工程に相当する。なお、保圧工程では、バネ450がピン460によって完全に縮められた状態で下型を上昇させることで、ピン460を回路基板10に押し当てる。また、保圧工程では、第1下型430と第2下型440とが最上位置まで上昇させる。
【0065】
このとき、クランプ型420は、先端面420aと回路基板10との間に隙間ができて構成材料が漏れ出さないように、
図9の矢印方向に回路基板10を押圧している。つまり、先端面420aは、一面に密着している。言い換えると、保圧工程では、キャビティが一面S1に対向するように、回路基板10に下型が固定されている状態である。なお、クランプ型420は、先端面420aが上型410に密着していてもよい。
【0066】
また、山部462は、自身と回路基板10との間に隙間ができて構成材料が漏れ出さないように回路基板10を押圧している。詳述すると、山部462は、回路基板10を潰して樹脂傾斜部11aを形成させた状態で基板貫通穴11を塞いでいる。よって、樹脂傾斜部11aの表面は、構成材料が漏れ出さないように、山部462が密着しているので、基板貫通穴11を塞ぐシール面と言うことができる。このように、基板貫通穴11は、ピン460によって塞がれている状態である。
【0067】
保圧工程では、このような回路基板10に対して下型が固定され、且つ基板貫通穴11がピン460によって塞がれてキャビティが密閉された状態でモールド樹脂40を成形する。つまり、保圧工程では、キャビティ内の構成材料で一面S1及び発熱素子21などを覆いつつ、構成材料を固めることでモールド樹脂40を成形する。詳述すると、保圧工程では、構成材料に熱を印加しつつ、第1下型430で構成材料に成形圧力を印加することでモールド樹脂40を成形する。これによって、回路基板10は、一面S1にモールド樹脂40が形成される。しかしながら、
図9に示すように、モールド樹脂40は、ピン460が挿入された状態である。
【0068】
第1離型工程では、
図10に示すように、モールド樹脂40が成形された後、クランプ型420の穴内において、第1下型430と第2下型440とを下に下降させる。このとき、ピン460は、バネ450からの弾性力が上矢印方向に加えられつつ、第1下型430及び第2下型440と共に下降する。
【0069】
第2離型工程では、
図11に示すように、下型を下降させる。第2離型工程では、
図15も参照しつつ説明する。
図15は、第2離型工程時における、基板貫通穴11部分の拡大図面である。
【0070】
この第2離型工程では、下型を下降させることで、モールド樹脂40からピン460を抜き出す。モールド樹脂40は、
図11,
図15に示すように、ピン460が抜き出されることで、モールド貫通穴41が形成される。つまり、モールド樹脂40は、保圧工程で、ピン460が挿入されていた領域がモールド貫通穴41となる。また、本実施形態では、山部462の一部のみが基板貫通穴11に挿入されている例を採用しているため、
図15に示すように、モールド樹脂40にモールド傾斜部41aが形成される。
【0071】
なお、本発明は、
図16に示すように、複数の電子装置100が一体的に形成されたパッケージ構造体をダイシングライン100aでダイシングすることで、個別の電子装置100に分割する製造方法を採用することもできる。
【0072】
この場合、固定工程では、複数の回路基板10が一体的に設けられたベース基板を採用する。このベース基板は、複数の回路基板10となる予定の複数の基板領域が形成されたものであり、各基板領域に基板貫通穴11が形成されて、且つ発熱素子21などが実装されている。更に、上型410は、ベース基板における裏面S2の全域と同程度、又は全域よりも広い平坦面を有しているものを採用する。また、下型は、ベース基板における裏面S2の全域を覆うことができる大きさのキャビティを有しているものを採用する。なお、固定工程以降の工程は、ベース基板が上型410に固定されている点を除いて、上記と同様である。そして、本製造方法は、第2離型工程まで実行することで、モールドパッケージ構造体を製造することができる。
【0073】
その後、ダイシング工程を実行する。ダイシング工程は、
図16に示すモールドパッケージ構造体をダイシングライン100aに沿ってダイシングする。モールドパッケージ構造体は、このダイシング工程によって、複数の電子装置100に分割される。この製造方法によって、回路基板10における一面S1の全域にモールド樹脂40が設けられた電子装置100を容易に製造することができる。
【0074】
このように、本製造方法は、上型410と下型に加えて、回路基板10を押圧するピン460を用いて電子装置100を製造する。このピン460は、下型におけるキャビティの底面から突出して設けられている。
【0075】
本製造方法は、回路基板10の裏面S2を上型410の平坦面に対向させた状態で、回路基板10を上型410に固定する。また、本製造方法は、回路基板10に対して一面S1側からピン460を押し当てて基板貫通穴11における一面S1側の開口を塞ぐ。本製造方法は、ピン460で一面S1側の開口を塞ぐ際に、ピン460の一部が基板貫通穴11に挿入された状態でピン460を回路基板10に押し当てることで、回路基板10を変形させた状態で一面S1側の開口を塞いでいる。このとき回路基板10は、基板貫通穴11の開口面積が一面S1側から裏面S2側にいくにつれて狭くなるように傾斜した形状に変形している。つまり、回路基板10は、樹脂傾斜部11aが形成されている。
【0076】
そして、本製造方法は、キャビティが一面に対向するように先端面420aが一面S1に固定され、且つ、ピン460によって一面S1側の開口が塞がれてキャビティが密閉された状態で、モールド樹脂を成形する。つまり、本製造方法は、キャビティ内の構成材料で一面S1及び発熱素子21などを覆いつつ、構成材料を固めることでモールド樹脂40を成形する。本製造方法は、このようにして電子装置100を製造できる。また、本製造方法は、ピン460がキャビティの底面から突出して設けられており、且つ基板貫通穴11に挿入されている状態で保圧工程を行うため、モールド貫通穴41が形成されたモールド樹脂40を有した電子装置100を製造できる。
【0077】
また、本製造方法は、ピン460で基板貫通穴11を塞いでいるので、基板貫通穴11に構成材料が入り込むことを抑制できる。更に、本製造方法は、回路基板10が変形するように、ピン460を回路基板10に押し当てた状態で成形しているため、基板貫通穴11に構成材料が入り込むことをより一層抑制できる。つまり、シール面は、回路基板10が変形するほどの力で山部462が押し当てられている。よって、本製造方法は、回路基板10が変形しない程度に基板貫通穴11を塞ぐ治具が押圧されている場合よりも、山部462と回路基板10とのシール性を向上できる。
【0078】
本製造方法では、山部462を回路基板10に押し当てて、回路基板10を変形させているため、基板貫通穴11を塞ぐシール面を、一面S1に沿う方向ではなく、一面S1に対して傾斜した方向に沿って形成することができる。よって、本製造方法は、シール面の面積と同等のシール面を回路基板10の一面S1に形成する場合よりも、平面方向の体格が大きくなることを抑制しつつ電子装置100を製造できる。また、電子装置100は、シール面の面積と同等のシール面が回路基板の一面に形成された電子装置よりも、平面方向の体格を小型化できる。なお、平面方向とは、電子装置100の厚み方向に直交する平面に沿う方向である。
【0079】
更に、電子装置100は、
図2に示すように、モールド反対面側から、すなわち一面S1側からねじ300が挿入される。電子装置100は、樹脂傾斜部11aが設けられているため、基板貫通穴11にねじ300を挿入しやすくできる。更に、電子装置100は、モールド傾斜部41aが設けられているため、ねじ300をより一層挿入しやすくできる。つまり、樹脂傾斜部11aやモールド傾斜部41aは、ねじ300を挿入する際のガイドとして機能する。
【0080】
なお、本実施形態では、一例として、モールド樹脂40をコンプレッションモールド法によって形成する例を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。本発明は、モールド樹脂40をコンプレッション成形によって形成してもよい。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。以下に、本発明の変形例1〜10に関して説明する。上述の実施形態及び変形例1〜10は、夫々単独で実施することも可能であるが、適宜組み合わせて実施することも可能である。本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【0082】
(変形例1)
変形例1の電子装置は、回路基板10aを備えている。回路基板10aは、
図17に示すように、樹脂基材の貫通穴の内壁面に導電部14が設けられている。つまり、回路基板10aは、導電部14間に基板貫通穴11が設けられている。
【0083】
この導電部14は、銅などの金属によって構成されており、特許請求の範囲における導電性部材に相当する。導電部14は、樹脂基材の貫通穴の全周に亘って環状に設けられており、一面S1の一部及び裏面S2の一部にも設けられている。つまり、回路基板10aは、導電部14における樹脂基材の貫通穴に配置されている部位で囲まれた領域が基板貫通穴11である。なお、内壁面とは、導電部14が設けられておらず、且つ貫通穴が設けられた状態の樹脂基材において、貫通穴に露出している面である。また、導電部14は、ビアなどを介して配線13と電気的に接続されている。
【0084】
回路基板10aは、基板傾斜部として導電傾斜部14aが形成されている。つまり、回路基板10aの基板傾斜部は、導電部14の一部である、と言うことができる。また、回路基板10aの樹脂基材は、導電傾斜部14aを形成する際に変形された樹脂傾斜部11aが形成されている。
【0085】
また、回路基板10aは、基板貫通穴11に端子500が挿入されて、端子500と導電部14が半田600を介して電気的及び機械的に接続されている。端子500は、回路基板10aの裏面S2に実装される回路素子の端子や、変形例1の電子装置が搭載される外部機器の端子などである。この外部機器は、例えば、上記搭載機器などを採用できる。なお、端子500と導電部14とは、半田600とは異なる導電性の接続部材を介して電気的及び機械的に接続されていてもよい。
【0086】
このように、回路基板10aは、導電部14に半田600が形成される。導電部14の内壁面と導電傾斜部14aとの角度αは、半田600のフィレットを形成するためには大きい方が好ましい。つまり、回路基板10aは、導電部14と半田60との機械的な接続信頼性を確保するために、角度αが大きい方が好ましい。なお、角度αは、導電部14を変形させる角度、と言うこともできる。また、導電部14の内壁面とは、半田600が設けられていない状態の導電部14において、基板貫通穴11に露出している面である。
【0087】
ここで、変形例1の電子装置の製造方法に関して、
図18〜
図20を用いて説明する。なお、変形例1の電子装置を製造する装置は、上記実施形態と同様であるため、
図18〜
図20では省略している。
【0088】
まず、
図18に示すように、導電部14が形成された回路基板10aを準備する。その後、
図19,
図20に示すように、閉塞工程を行う。閉塞工程では、
図19に示すように、ピン460で回路基板10aを押圧することで、導電部14を変形させる。更に、閉塞工程では、
図20に示すように、ピン460で回路基板10aを押圧していき、導電部14及び樹脂基材を変形させる。このように、閉塞工程では、導電部14及び樹脂基材を変形させることで、導電傾斜部14a及び樹脂傾斜部11aを形成する。つまり、変形例1の電子装置は、回路基板10aに予め導電部14が形成されていれば、電子装置100と同様の製造方法で製造できる。
【0089】
変形例1は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、変形例1の電子装置は、端子500が挿入される装置貫通穴に加えて、上記実施形態で説明したねじ300が挿入される装置貫通穴が設けられていてもよい。
【0090】
(変形例2)
変形例2の電子装置は、回路基板10bを備えている。回路基板10bは、
図21に示すように、樹脂基材の貫通穴の内壁面に導電部141が設けられている。この導電部141は、導電部14と形状が異なるものである。そして、回路基板10bは、回路基板10aと同様に、導電傾斜部14a及び樹脂傾斜部11aが形成されている。
【0091】
更に、導電部141は、回路基板10bの厚み方向に平行な導電平坦部14bが形成されている。また、回路基板10bは、導電傾斜部14aよりも裏面S2側に導電平坦部14bが形成されている。そして、導電平坦部14bは、厚み方向に沿った部位を介して導電傾斜部14aと連続的に形成されている。なお、回路基板10bの樹脂基材は、導電平坦部14bを形成する際に変形された樹脂平坦部11bが形成されている。この樹脂平坦部11bは、回路基板10bの厚み方向に平行な部位である。
【0092】
変形例2の電子装置は、ピン460とは異なる形状のピンを用いることで、電子装置100と同様の製造方法で製造できる。変形例2の電子装置を製造する際に用いられるピンは、例えば、ピン460における山部462の先端に、柱状部461よりも径が小さい小径柱状部が形成されたものを採用する。回路基板10bは、この小径柱状部によって押圧されて変形することで、導電平坦部14b及び樹脂平坦部11bが形成される。
【0093】
変形例2は、変形例1と同様の効果を奏することができる。更に、変形例2の電子装置は、導電平坦部14bが形成された回路基板10bを備えているため、半田600が導電平坦部14b上に配置されることで、半田600と導電部141との接続性を良好にできる。
【0094】
(変形例3)
変形例3の電子装置は、
図22に示すように、導電部14の表面にダム部15が設けられた回路基板10cを備えている。ダム部15は、導電部14上に環状に形成されており、且つモールド樹脂40で封止されている。ダム部15は、モールド樹脂40が形成される前に、導電部14に形成されている。変形例3の電子装置は、回路基板10cに予めダム部15を設けておくことで、変形例1の電子装置と同様の製造方法で製造できる。
【0095】
変形例3は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。更に、変形例3の電子装置は、導電部14とモールド樹脂40との界面が剥離した際に、その剥離が進行することを抑制できる。つまり、変形例3の電子装置は、導電部14とモールド樹脂40の界面における、装置貫通穴に露出している部位から剥離が発生する可能性がある。しかしながら、変形例3の電子装置は、この剥離が生じたとしてもダム部15で進行を止めることができる。
【0096】
なお、回路基板10cは、導電部14が設けられていなくてもよい。この場合、ダム部15は、一面S1に設けられ、回路基板10cとモールド樹脂40との界面における剥離の進行を抑制できる。
【0097】
(変形例4)
変形例4の電子装置は、
図23に示すように、裏面S2側にガイド部14cが設けられた回路基板10dを備えている。なお、変形例4の電子装置は、電子装置100と同様に、回路基板10dの一面S1にモールド樹脂40が形成される。
【0098】
回路基板10dは、基板貫通穴11の開口面積が裏面S2側から一面S1側にいくにつれて狭くなるように傾斜した形状の裏面側傾斜部16が樹脂基材に形成されている。更に、導電部142は、裏面側傾斜部16に沿って傾斜した部位であるガイド部14cが形成されている。変形例4の電子装置は、樹脂基材及び導電部142を変形させてガイド部14c及び裏面側傾斜部16を形成するための凸部を上型410に設けておくことで、電子装置100と同様の製造方法で製造できる。
【0099】
変形例4は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。更に、変形例4の電子装置は、基板貫通穴11に対して、裏面S2側から端子やねじなどが挿入される場合、端子やねじが基板貫通穴11に挿入されやすくすることができる。なお、回路基板10dは、導電部142が設けられていなくてもよい。この場合、回路基板10dは、裏面側傾斜部16がガイド部として機能する。
【0100】
(変形例5)
変形例5の電子装置は、
図24に示すように、モールド傾斜部が設けられていないモールド樹脂40aを備えている。なお、
図24では、ピン460と回路基板10との位置関係をわかりやすくするために、ピン460を二点鎖線で示している。
【0101】
モールド貫通穴41の開口面積は、基板貫通穴11における一面S1側の開口端の開口面積と同じである。つまり、モールド樹脂40aは、基板貫通穴11と一面S1との角部に達するように設けられており、その角部から一面S1に垂直な壁面を有している。この壁面は、モールド貫通穴41の内壁である。よって、モールド貫通穴41は、基板貫通穴11の一面S1側の開口端から、一面S1に垂直に設けられている。なお、回路基板10は、導電部14が設けられていてもよい。
【0102】
変形例5の電子装置は、以下のようにして製造することができる。閉塞工程では、
図24の二点鎖線で示すように、山部462の全体が基板貫通穴11に挿入され、且つ柱状部461と山部462との境界が一面S1に沿う仮想平面上の配置された状態で基板貫通穴11を塞ぐ。成形工程では、このように基板貫通穴11が塞がれた状態でモールド樹脂40aを成形する。このようにして、変形例5の電子装置を製造できる。つまり、変形例5の電子装置は、ピン460と異なる形状のピンを用いることで、電子装置100と同様の製造方法で製造できる。
【0103】
変形例5は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。更に、電子装置100よりもモールド貫通穴41の開口面積を小さくすることができるため、平面方向の体格を小型化できる。なお、回路基板10は、変形例1と同様に、導電部が設けられていてもよい。
【0104】
基板貫通穴11は、以下に示す変形例6〜9のような形状であっても採用できる。
【0105】
(変形例6)
変形例6の電子装置は、回路基板10eを備えている。回路基板10eは、
図25に示すように、基板傾斜部として樹脂傾斜部11cが設けられている。なお、変形例6の電子装置は、電子装置100と同様に、回路基板10eの一面S1にモールド樹脂40が形成される。
【0106】
この樹脂傾斜部11cは、曲面状に傾斜している。また、回路基板10eは、凸曲面状の樹脂傾斜部11cが設けられている、と言うことができる。変形例6の電子装置は、ピン460と異なる形状のピンを用いることで、電子装置100と同様の製造方法で製造できる。
【0107】
変形例6は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、回路基板10eは、変形例1と同様に、導電部が設けられていてもよい。この場合、導電部は、樹脂傾斜部11cにそって傾斜している部分を含む。
【0108】
(変形例7)
変形例7の電子装置は、回路基板10fを備えている。回路基板10fは、
図26に示すように、基板傾斜部として樹脂傾斜部11dが設けられている。なお、変形例7の電子装置は、電子装置100と同様に、回路基板10fの一面S1にモールド樹脂40が形成される。
【0109】
この樹脂傾斜部11dは、曲面状に傾斜している。また、回路基板10fは、凹曲面状の樹脂傾斜部11dが設けられている、と言うことができる。変形例7の電子装置は、ピン460と異なる形状のピンを用いることで、電子装置100と同様の製造方法で製造できる。
【0110】
変形例7は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、回路基板10fは、変形例1と同様に、導電部が設けられていてもよい。この場合、導電部は、樹脂傾斜部11dにそって傾斜している部分を含む。
【0111】
(変形例8)
変形例8の電子装置は、回路基板10gを備えている。回路基板10gは、
図27に示すように、基板傾斜部として、第1樹脂傾斜部11e1、第2樹脂傾斜部11e2が設けられている。変形例8の電子装置は、ピン460と異なる形状のピンを用いることで、電子装置100と同様の製造方法で製造できる。なお、変形例8の電子装置は、電子装置100と同様に、回路基板10gの一面S1にモールド樹脂40が形成される。
【0112】
変形例8は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、回路基板10gは、変形例1と同様に、導電部が設けられていてもよい。この場合、導電部は、第1樹脂傾斜部11e1、第2樹脂傾斜部11e2に沿って傾斜している部分を含む。
【0113】
(変形例9)
変形例9の電子装置は、回路基板10hを備えている。回路基板10hは、
図28に示すように、基板傾斜部として、第1樹脂傾斜部11f1、第2樹脂傾斜部11f2、第3樹脂傾斜部11f3が設けられている。変形例9の電子装置は、ピン460と異なる形状のピンを用いることで、電子装置100と同様の製造方法で製造できる。なお、変形例9の電子装置は、電子装置100と同様に、回路基板10hの一面S1にモールド樹脂40が形成される。
【0114】
変形例9は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、回路基板10hは、変形例1と同様に、導電部が設けられていてもよい。この場合、導電部は、第1樹脂傾斜部11f1、第2樹脂傾斜部11f2、第3樹脂傾斜部11f3に沿って傾斜している部分を含む。
【0115】
(変形例10)
変形例10の電子装置110は、
図29に示すように、回路素子としてのモールド外素子51,52が回路基板10iの裏面S2に実装されている。このモールド外素子51,52は、例えばコンデンサやコイルなどのであり、半田などの導電性接続部材を介して、回路基板10のランドに電気的及び機械的に接続されている。また、モールド外素子51,52は、導電性接続部材及びランドを介して配線13と電気的に接続されている。このように、電子装置110は、両面実装可能な樹脂基板である回路基板10iを備えている。また、電子装置110は、両面実装基板である回路基板10iを備えているため、片面実装基板を採用する場合よりも体格を小型化することができる。ここでの体格とは、電子装置100の厚みに方向に直交する平面方向の大きさである。
【0116】
この電子装置110は、
図29に示すように、モールド樹脂40が金属ベース200に対向した状態で金属ベース200に取り付けられている。詳述すると、電子装置110は、モールド樹脂40が金属ベース200に接触した状態で金属ベース200に取り付けられている。このようにすることで、電子装置110は、裏面S2にモールド外素子51,52が実装された回路基板10iを備えていても、容易に金属ベース200に取り付けることができる。この電子装置110は、電子装置100と同様の製造方法で製造できる。なお、電子装置110は、モールド樹脂40と金属ベース200との間に放熱グリスなどの熱伝導性部材を介して金属ベース200に取り付けられていてもよい。
【0117】
変形例10は、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、本発明は、変形例10と変形例1〜変形例9の少なくとも一つとを組み合わせて実施することも可能である。