暗電流回路を収容するケースに対して、前記暗電流回路を導通接続する導通部品を保持する導通部品ホルダを、前記暗電流回路の接続端子に対する前記導通部品の挿抜方向に対して変位自在に組み付けて、前記導通部品が前記暗電流回路に接続される接続位置と、前記導通部品が前記暗電流回路から切断される切断位置に切り替え可能に保持できるようにした、暗電流回路の断続構造において、
前記導通部品ホルダが、前記導通部品ホルダに対して相対変位可能な把持部を備えており、該把持部が、収容状態と、該収容状態よりも前記導通部品ホルダからの突出高さが大きい使用状態とに変位自在であると共に、
前記把持部の変位方向と、前記導通部品ホルダの変位方向が同じにされていることを特徴とする暗電流回路の断続構造。
前記把持部が、前記導通部品ホルダの上面に載置される取っ手部と、該取っ手部の両端部から前記導通部品ホルダの一対の側面の外面に沿って延出する一対の軸部を含んで構成されている一方、
前記導通部品ホルダの一対の前記側面の外面に、前記把持部の一対の軸部がスライド係合されるスライドレール部が突設されており、
前記収容状態では、前記把持部の一対の軸部が前記スライドレール部に収容されて前記取っ手部が前記導通部品ホルダの上面に載置される一方、
前記使用状態では、前記把持部の一対の軸部が前記スライドレール部から引き出されて前記軸部の端部が前記スライドレール部の端部に係合されるようになっている請求項2に記載の暗電流回路の断続構造。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車に搭載されるジャンクションボックスやヒューズボックス等の電気接続箱等に対して、例えば特許第2879811号公報(特許文献1)に記載の如き暗電流回路の断続構造が設けられることがある。すなわち、自動車の電装系には、時計等の常時電力を消費する回路(以下、暗電流回路)が設けられており、車両輸出時等、長期に亘って運転を休止する際に、バッテリーの消耗を防止する目的から、かかる回路を導通接続する導通部品である暗電流ヒューズを、暗電流回路から取り外す必要が生じる。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の如き暗電流回路の断続構造を用いれば、暗電流ヒューズを保持する導通部品ホルダとしてのヒューズホルダを、暗電流回路の接続端子に対して挿抜方向にスライド自在に変位させることができ、暗電流ヒューズが暗電流回路に接続される接続位置と、暗電流ヒューズが暗電流回路から切断される切断位置に切り替え可能に保持できるようになっている。
【0004】
ところが、このような従来構造の暗電流回路の断続構造では、ヒューズホルダを接続位置と切断位置に切り替える際に、ヒューズホルダの側面に設けられた把持面に手指を押し当てて挿抜方向に変位させる必要がある。それ故、ヒューズホルダの把持面と手指の接触面積を確保するために、暗電流回路が収容されたケースの表面から、予めヒューズホルダを大きく突出させておく必要があった。特に、暗電流ヒューズが暗電流回路から切断される切断位置にヒューズホルダが保持される場合には、さらにケースからのヒューズホルダの突出高さが大きくなる。その結果、電気接続箱の大型化が避けられず、低背化が求められる配設条件等によっては、採用が困難になるおそれもあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、導通部品ホルダの接続位置と切断位置の切り替え作業を容易にしつつ、ケースからの導通部品ホルダ全体の突出高さを抑えることができる、新規な構造の暗電流回路の断続構造およびそれを備えた電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、前述の如き課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0008】
暗電流回路の断続構造に関する本発明の第一の態様は、暗電流回路を収容するケースに対して、前記暗電流回路を導通接続する導通部品を保持する導通部品ホルダを、前記暗電流回路の接続端子に対する前記導通部品の挿抜方向に対して変位自在に組み付けて、前記導通部品が前記暗電流回路に接続される接続位置と、前記導通部品が前記暗電流回路から切断される切断位置に切り替え可能に保持できるようにした、暗電流回路の断続構造において、前記導通部品ホルダが、前記導通部品ホルダに対して相対変位可能な把持部を備えており、該把持部が、収容状態と、該収容状態よりも前記導通部品ホルダからの突出高さが大きい使用状態とに変位自在である
と共に、前記把持部の変位方向と、前記導通部品ホルダの変位方向が同じにされていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、導通部品ホルダが導通部品ホルダに対して相対変位可能な把持部を備えており、かかる把持部が、収容状態と、それよりも導通部品ホルダからの突出高さが大きくなる使用状態とに変位自在である。それ故、暗電流回路を遮断するために導通部品を切断位置に保持したい場合には、把持部を突出高さが大きい使用状態に変位させ、かかる突出高さを利用して把持部を手指で把持する把持領域を十分に確保することができる。その結果、導通部品ホルダの接続位置と切断位置の切り替え作業を容易に行うことができる。
【0010】
しかも、切り替え作業が終了して把持部を使用しない場合には、把持部を使用状態に比して突出高さが小さい収容状態にその高さ位置を変位させることができる。それ故、仮に、導通部品ホルダが切断位置に保持された場合であっても、収容状態に変位された把持部の突出高さは抑えられており、従来構造の如きケース表面からの突出高さが把持領域確保のためにさらに大きくなることが回避されている。従って、導通部品ホルダ全体のケースからの突出高さが抑えられた低背化された暗電流回路の断続構造を提供することが可能となり、配設スペースが限られている場合であっても、暗電流回路の断続構造を採用することが可能となる。
【0011】
なお、把持部の高さ位置を収容状態と使用状態で変位自在にする機構としては、スライド構造や蛇腹構造、テレスコ構造や中心軸回りの回転構造等任意の構造が採用可能である。
【0012】
また、暗電流回路を導通接続する導通部品は、溶断部を有するヒューズや溶断部を有しないショートピン等によって有利に構成され得る。
【0013】
暗電流回路の断続構造に関する本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記導通部品ホルダに対して、前記把持部が前記挿抜方向でスライド変位可能に組み付けられているものである。
【0014】
本態様によれば、導通部品ホルダに対して、把持部が挿抜方向でスライド変位可能に組み付けられていることから、把持部の変位方向と、導通部品ホルダの変位方向が同じにされており、把持部の変位から導通部品ホルダの変位に至る一連の作業を一層スムーズに行うことができる。また、把持部の変位に際して、暗電流回路の接続端子と導通部品の間にねじり方向の力が加えられることが回避され、導通安定性も有利に確保できる。
【0015】
暗電流回路の断続構造に関する本発明の第三の態様は、前記第二の態様に記載のものにおいて、前記把持部が、前記導通部品ホルダの上面に載置される取っ手部と、該取っ手部の両端部から前記導通部品ホルダの一対の側面の外面に沿って延出する一対の軸部を含んで構成されている一方、前記導通部品ホルダの一対の前記側面の外面に、前記把持部の一対の軸部がスライド係合されるスライドレール部が突設されており、前記収容状態では、前記把持部の一対の軸部が前記スライドレール部に収容されて前記取っ手部が前記導通部品ホルダの上面に載置される一方、前記使用状態では、前記把持部の一対の軸部が前記スライドレール部から引き出されて前記軸部の端部が前記スライドレール部の端部に係合されるようになっているものである。
【0016】
本態様によれば、導通部品ホルダの側面の外面を利用して、把持部の高さ位置を挿抜方向で変位自在にするスライド機構を有利に設けることができる。特に、導通部品ホルダの側面の外面にスライドレール部を設けていることから、導通部品の形状等により設計自由度が制限される導通部品ホルダの内部側に影響を与えることなくスライド機構を効率よく設けることができる。
【0017】
暗電流回路の断続構造に関する本発明の第四の態様は、前記第三の態様に記載のものにおいて、前記取っ手部が、前記把持部の長さ方向の全長に亘って設けられているものである。
【0018】
本態様によれば、取っ手部が把持部の長さ方向の全長に亘って設けられていることから、取っ手部を手指で確実に把持することができる。それ故、把持部の収容状態と使用状態の切り替えを容易に行うことができる。
【0019】
電気接続箱に関する本発明の第一の態様は、暗電流回路がケースに収容されてなる電気接続箱であって、前記第一乃至第四の何れか一つの態様に記載の暗電流回路の断続構造が前記ケースに組み付けられていることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、上記本発明の暗電流回路の断続構造にかかる第1〜第4のいずれか1つの態様に記載の暗電流回路の断続構造が、ケースに組み付けられていることから、暗電流回路の断続構造により上述の効果と同一の効果を発揮する電気接続箱を提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、導通部品ホルダが導通部品ホルダに対して相対変位可能な把持部を備えており、かかる把持部が、収容状態と、それよりも導通部品ホルダからの突出高さが大きくなる使用状態とに変位自在である。それ故、暗電流回路を遮断したい場合には、把持部を突出高さが大きい使用状態に変位させ、かかる突出高さを利用して把持領域を十分に確保できるので、導通部品ホルダの接続位置と切断位置の切り替え作業を容易に行うことができる。しかも、切り替え作業終了後には、把持部を突出高さが小さい収容状態に変位させることができる。それ故、仮に導通部品ホルダが切断位置に保持された場合でも、把持部の突出高さは抑えられており、従来構造の如き突出高さが把持領域確保のためにさらに大きくなることが回避されている。従って、突出高さが抑えられた低背化された暗電流回路の断続構造が提供可能となることから、配設スペースが限られている場合でも、暗電流回路の断続構造が採用可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
先ず、
図1〜5には、本発明の一実施形態に従う暗電流回路の断続構造を用いて、電気接続箱10の暗電流回路12を導通接続する導通部品たるショートピン14を断続させる構造が示されている。電気接続箱10は、内部回路を構成するバスバー16と、ケース18を構成するアッパケース20とロアケース22を含んで構成されている。アッパケース20とロアケース22は、合成樹脂から形成されており、互いに相手側に向けて開口する略矩形の箱体形状を有している。そして、バスバー16の両側からアッパケース20とロアケース22が重ね合わされて組み付けられることにより、ケース18の内部にバスバー16が収容された電気接続箱10が提供されるようになっている。また、暗電流回路12は、内部回路を構成するバスバー16の一部によって構成されている。なお、以下の説明において、特に断りのない場合には、上方とは、アッパケース20が位置する
図1中の上方、下方とは、ロアケース22が位置する
図1中の下方を言い、前方とは、
図2中の左方、後方とは、
図2中の右方を言うものとする。
【0025】
ケース18は、
図1に示されているように、全体として長手矩形ブロック形状を呈している。ケース18の上面24には、
図1及び
図2に示されているように、複数のヒューズ装着部26が、上方に向かって開口形成されている。ヒューズ装着部26の底面にはそれぞれ、図示しないヒューズ端子挿通孔が貫設されており、後述するバスバー16のバスバー端子42からなる図示しないヒューズ接続端子が挿通されて配設されるようになっている。
【0026】
そして、ケース18の上面24側から、各ヒューズ装着部26に対して、ヒューズ32が装着される。これにより、ヒューズ32から突出する図示しないタブ端子がヒューズ接続端子に接続されて内部回路を構成するバスバー16に導通されるようになっている。
【0027】
バスバー16は、ケース18の内部に収容配置されている。バスバー16は、従来公知のものであり、導電性金属板がプレス打ち抜きおよび屈曲加工されて形成されている。より具体的には、バスバー16の端部が屈曲されてバスバー端子42が形成されている。
【0028】
このような構成とされた電気接続箱10にはまた、
図1,
図2及び
図3(a)に示されているように、ケース18の上面24の手前側の中央部分において平面視で略矩形状の凹所44が形成されている。そして、かかる凹所44に対して、導通部品ホルダ46が収容配置されている。なお、理解を容易とするため、
図1,
図2及び
図3に示す導通部品ホルダ46には、ショートピン14の記載を省略している。
【0029】
導通部品ホルダ46には、長手方向に延びる平面視で略矩形状の一対のショートピン装着部48,48が幅方向(
図2中、左右方向)に離隔して併設されていると共に、上下方向に開口して形成されている。そして、
図5に示されているように、ショートピン装着部48において、上端部側の長手方向の長さ寸法が、配設されるショートピン14の上端部の幅寸法と略同じとされている一方、上端部側の左右方向に対向する内面には、一対の位置決めリブ50,50が内方に向かって突設されている。また、上端部側の長手方向の長さ寸法よりも下端部側の長手方向の長さ寸法がやや長くされていることによって、ショートピン装着部48の上下方向の中央部分に一対の段差部52,52が形成されている。
【0030】
一方、凹所44の底面54には、導通部品ホルダ46の収容状態において、一対の段差部52,52に対向する部分に、一対の導通部品ホルダ保持リブ56,56が突設されている。一対の導通部品ホルダ保持リブ56,56には、その突出端面の内縁部から上方に向かって突出する一対のショートピン保持突起58,58が設けられている。さらに、一対の導通部品ホルダ保持リブ56,56の間には、後述するショートピン14の下端部の凹み部82に対向する部分に、正面視で略コ字状断面で上方に向かって突出するショートピン保持リブ60が設けられている。加えて、各導通部品ホルダ保持リブ56とショートピン保持リブ60の間にはそれぞれ、凹所44の底面54を上下方向に貫通するショートピン接続端子挿通孔62が設けられている。
【0031】
また、導通部品ホルダ46の幅方向(
図2中、左右方向)の一対の両側面の外面64,64には、後述する把持部74の一対の軸部78,78がスライド係合されるスライドレール部66が突設されている。
図3及び
図4に示されているように、スライドレール部66は、上方に向かって開口する正面視で略U字形状とされている。より詳細には、スライドレール部66は、導通部品ホルダ46の両側面の外面64側から外方(
図2中、左右方向)に向って略逆L字断面形状で突設されており、一対のスライドレール68,68と、一対のスライドレール68,68の下端部を連結することによって形成された係止部70から構成されている。さらに、導通部品ホルダ46の両側面の外面64には、スライドレール部66の上方において、外方(
図2中、左右方向)に向って略三角断面形状で突出する係止突起72が設けられている。
【0032】
さらに、導通部品ホルダ46は、把持部74を備えている。
図3に示されているように、把持部74は、取っ手部76と、一対の軸部78,78を含んで構成されている。より詳細には、取っ手部76は、把持部74の長さ方向の全長に亘って略逆台形断面形状で延び出して設けられている。また、一対の軸部78,78は、取っ手部76の両端部から導通部品ホルダ46の両側面の外面64に沿って延出して形成されていると共に、一対の軸部78,78の延出端部が連結された連結部79を有し全体として正面視で略U字形状を呈している。これにより、
図1,
図3(a)及び
図4(a)に示されているような収容状態においては、把持部74は、取っ手部76が導通部品ホルダ46の上面80に載置されている一方、一対の軸部78,78が導通部品ホルダ46のスライドレール部66内に挿通収容された状態で保持されている。一方、
図3(b)(c)及び
図4(b)(c)に示されているような使用状態においては、把持部74は、取っ手部76を上方に引き上げることにより、一対の軸部78,78がスライドレール部66から引き出されて、一対の軸部78,78の連結部79がスライドレール部66の端部に形成された係止突起72に係合されるようになっている。そして、取っ手部76を下方に引き下げることにより、把持部74を容易に使用状態から収容状態に戻すことができるようになっている。本実施形態では、このように、導通部品ホルダ46に対して、把持部74が後述するショートピン14の挿抜方向である上下方向にスライド変位可能に組み付けられている。すなわち、把持部74は、収容状態と、収容状態よりも導通部品ホルダ46からの突出高さが大きい使用状態とに変位自在に構成されているのである。
【0033】
そして、このような構成とされた導通部品ホルダ46が、
図1,
図2及び
図3(a)に示されているように、ケース18の上面24の凹所44に収容保持されている。かかる収容保持状態において、暗電流回路12は導通接続状態とされている。
【0034】
ショートピン14は、
図5(a)に示されているように、正面視で略矩形状の金属製の平板によって形成されている。より詳細には、ショートピン14には、上端部の両側面が外方(
図5中、左右方向)に向って突出されて一対の張出部81,81が形成されている一方、下端部の中央部分には正面視で略矩形状の凹み部82が設けられている。また、かかる凹み部82を挟んだショートピン14の両側部分によって一対の接続部84,84が形成されている。なお、ショートピン14は、図示しない合成樹脂製のケースに収容されており、ケースから一対の接続部84,84が露出するように構成されている。
【0035】
図5(a)に示されているように、導通部品ホルダ46が凹所44に収容保持された状態において、導通部品ホルダ46の一対の段差部52,52が、一対の導通部品ホルダ保持リブ56,56によって保持されるようになっている。一方、ショートピン14は、その一対の張出部81,81の上側が一対の位置決めリブ50,50によって位置決めされて配設されている一方、その一対の張出部81,81の下側が一対のショートピン保持突起58,58によって保持されるようになっている。また、ショートピン14の凹み部82に対向する部分には、ショートピン保持リブ60が配置されている。
【0036】
かかる状態において、
図5(a)に示されているように、ショートピン14の一対の接続部84,84には、一対のショートピン接続端子挿通孔62,62を挿通して凹所44内に突出する略音叉形状の一対のショートピン接続端子86,86が接続されている。ここで、一対のショートピン接続端子86,86は、バスバー16のバスバー端子42の一部として形成されており、一対のショートピン接続端子86,86によって、暗電流回路12の接続端子が構成されている。すなわち、かかる状態が、導通部品たるショートピン14が暗電流回路12に接続される接続位置とされているのである。
【0037】
次に、かかる接続位置から、導通部品たるショートピン14が暗電流回路12から切断される切断位置に切り替える手順について説明する。先ず、
図5(a)に示されている収容状態の把持部74の取っ手部76を手指で摘んで、
図5(b)に示されているように、把持部74の取っ手部76を引き上げることにより、把持部74を使用状態とする。ここで、
図5(a)に示されている収容状態の把持部74においては、手指で摘むための領域Aが狭いものの、取っ手部76を引き上げるだけであるので、狭い領域Aでも十分摘んで引き上げることができるのである。一方、
図5(b)に示されている使用状態の把持部74においては、手指で摘むための領域Bが広くとれるので、
図5(c)に示されているように、導通部品ホルダ46を十分引き上げることができるのである。
【0038】
かかる状態において、
図5(c)に示されているように、ショートピン14の一対の接続部84,84が、一対のショートピン接続端子86,86から引き抜かれている。すなわち、かかる状態が、導通部品たるショートピン14が暗電流回路12から切断される切断位置とされているのである。なお、かかる状態において、導通部品ホルダ46はケース18の凹所44に対して図示しない係合機構によって仮保持されるようになっている。
【0039】
最後に、
図5(c)に示されている使用状態の把持部74の取っ手部76を手指で摘んで、
図5(d)に示されているように、把持部74の取っ手部76を引き下げることにより、把持部74を収容状態とする。なお、暗電流回路12をかかる切断位置から接続位置に戻したい場合には、導通部品ホルダ46を単に上方から下方に向かって押し込めばよい。
【0040】
以上のことから明らかなように、暗電流回路12の接続端子であるショートピン接続端子86に対するショートピン14の挿抜方向である上下方向に対して、導通部品ホルダ46が変位自在に組み付けられるようになっている。これにより、ショートピン14が暗電流回路12に接続される接続位置と、ショートピン14が暗電流回路12から切断される切断位置に切り替え可能に保持できるようにされているのである。なお、本実施形態においては、暗電流回路12の断続構造は、ケース18に設けられた凹所44と導通部品ホルダ46を含んで構成されている。
【0041】
このような本実施形態に従う暗電流回路12の断続構造によれば、導通部品ホルダ46が把持部74を備えており、かかる把持部74が、収容状態と、収容状態よりも導通部品ホルダ46からの突出高さが大きい使用状態とに変位自在に構成されている。それ故、導通部品ホルダ46を暗電流回路12の接続位置から切断位置に切り替えたい場合に、把持部74を突出高さが大きい使用状態に変位させることができるので、手指で摘むための領域Bを広くとることができ、上記切り替え作業を容易に行うことができる。
【0042】
しかも、切り替え作業後に把持部74を使用しない場合には、把持部74を使用状態に比して突出高さが小さい収容状態に戻すことができる。それ故、仮に、導通部品ホルダ46が切断位置に保持された場合であっても、収容状態に変位された把持部74の突出高さ:h1(
図4(d)及び
図5(d)参照)は抑えられており、従来構造に相当する使用状態における把持部74の突出高さ:h2(
図4(c)及び
図5(c)参照)に比して十分に低く構成されている。その結果、低背化された暗電流回路12の断続構造を提供することが可能となることから、配設スペースが限られている場合であっても、暗電流回路12の断続構造を採用することが可能となるのである。
【0043】
さらに、導通部品ホルダ46に対して、把持部74が上下方向に対してスライド変位可能に組み付けられている。この上下方向は、ケース18に対する導通部品ホルダ46の変位方向、すなわち、ショートピン14のショートピン接続端子86に対する挿抜方向と同じであることから、把持部74及び導通部品ホルダ46を変位させる作業をスムーズに行うことができる。また、把持部74を変位させる際に、導通部品ホルダ46内のショートピン接続端子86とショートピン14の間にねじり方向の力が加えられることが回避されることから、導通安定性も有利に確保できる。
【0044】
加えて、把持部74の高さ位置を上下方向で変位自在にするスライド機構が、導通部品ホルダ46の側面の外面64を利用して設けられていることから、導通部品たるショートピン14の形状等により設計自由度が制限される導通部品ホルダ46の内部側に影響を与えることがない。さらに、取っ手部76が把持部74の長さ方向の全長に亘って設けられていることから、取っ手部76を手指で確実に把持することができ、把持部74の収容状態と使用状態の切り替えを容易に行うことができる。
【0045】
また、ケース18に対して本実施形態の暗電流回路12の断続構造が組み付けられることにより電気接続箱10が構成されるようになっていることから、暗電流回路12の断続構造による上述の効果と同様の効果を発揮する電気接続箱10を有利に提供することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、本実施形態では、把持部74が挿抜方向である上下方向で導通部品ホルダ46に対して変位可能とするためにスライド構造が採用されていたが、蛇腹構造やテレスコ構造、中心軸廻りの回転構造等任意の構造が採用可能である。具体的には、
図6に示すような、蛇腹状とされた蛇腹部88が、取っ手部76の両端部から導通部品ホルダ90の両側面の外面64に沿って延出すると共に、蛇腹部88の延出端部が導通部品ホルダ90の両側面の外面64に固着されて形成された構造が考えられる。また、
図7に示すような、テレスコピック状とされた伸縮部92が、取っ手部76の両端部から導通部品ホルダ94の両側面の外面64に沿って延出すると共に、伸縮部92の延出端部が導通部品ホルダ94の両側面の外面64に固着されて形成された構造が考えられる。さらにまた、
図8に示すような、略円形断面形状の係止突起96廻りに回転可能とされた一対の軸部98,98が、取っ手部76の両端部から導通部品ホルダ100の両側面の外面64に沿って延出された構造が考えられる。なお、この構造では、
図8(a)に示す把持部74の収容状態から把持部74を時計回りに90度回転した状態で使用状態とすることができる。
【0047】
また、本実施形態では、暗電流回路12を導通接続する導通部品として、溶断部を有しないショートピン14を例示して説明を行ったが、溶断部を有するヒューズ等によって構成されていてもよい。