特許第6233268号(P6233268)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6233268ディジタル保護継電装置におけるシーケンスタイマ保持装置およびシーケンスタイマ保持方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233268
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ディジタル保護継電装置におけるシーケンスタイマ保持装置およびシーケンスタイマ保持方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/027 20060101AFI20171113BHJP
   H02H 3/24 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H02H3/027 D
   H02H3/24 D
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-207685(P2014-207685)
(22)【出願日】2014年10月9日
(65)【公開番号】特開2016-77123(P2016-77123A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(72)【発明者】
【氏名】井澤 重行
【審査官】 古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−034208(JP,A)
【文献】 特開平11−164464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 1/00− 3/253
H02H 7/22− 7/30
H02H 99/00
H02J 3/00− 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレーを備え、系統基本周波数が切り替わる系統を保護するディジタル保護継電装置において、
前記系統の系統基本周波数が第1の周波数か第1の周波数とは異なる第2の周波数のいずれであるかを判別する系統周波数判別手段と、
前記系統周波数判別手段により判別された周波数に対応して、第1の周波数に対応する第1のカウント数又は第2の周波数に対応する第2のカウント数が設定され、前記リレーの動作時に前記設定されたカウント数をカウントし、前記リレーの非動作時にクリアされるタイマカウンタと、
前記タイマカウンタがタイムアップしたときにオン出力を発し、タイムアップしていないときにオフ出力を発するシーケンスタイマと、
前記シーケンスタイマのオン出力、オフ出力をリレー出力として出力するリレー出力回路と、
前記シーケンスタイマとリレー出力回路の間に設けられ、前記リレーが動作していないときは前記シーケンスタイマの出力をリセットしてオフ信号を出力し、前記リレーが動作しており且つ前記シーケンスタイマの出力がオンであるときにオン信号を出力し、前記リレーが動作しており且つ前記シーケンスタイマの出力がオンからオフに切り替わったときに前記オン信号出力状態を保持してオン信号を出力するタイマ保持手段と、
を具備したことを特徴とするディジタル保護継電装置におけるシーケンスタイマ保持装置。
【請求項2】
リレーを備え、系統基本周波数が切り替わる系統を保護するディジタル保護継電装置におけるシーケンスタイマ保持方法であって、
系統周波数判別手段が、前記系統の系統基本周波数が第1の周波数か第1の周波数とは異なる第2の周波数のいずれであるかを判別する系統周波数判別ステップと、
制御手段が、前記系統周波数判別ステップの判別結果が第1の周波数である場合、タイマカウンタのカウント数を、第1の周波数に対応した第1のカウント数に設定し、前記判別結果が第2の周波数である場合、タイマカウンタのカウント数を、第2の周波数に対応した第2のカウント数に設定するステップと、
制御手段が、前記リレーのオン、オフ状態を判定し、オンのときは前記タイマカウンタを歩進し、オフのときはタイマカウンタをクリアするステップと、
制御手段が、前記タイマカウンタがタイムアップしたか否かを判定し、タイムアップしたときはシーケンスタイマの出力をオンとし、タイムアップしていないときはシーケンスタイマの出力をオフとするステップと、
タイマ保持手段が、前記リレーの非動作をリセット条件とし、リレーの非動作時にリレー出力回路をオフとするステップと、
タイマ保持手段が、前記シーケンスタイマの結果をセット条件とし、シーケンスタイマのオン出力によりリレー出力回路をオンとするステップと、
タイマ保持手段が、前記セット条件およびリセット条件が成立せず、シーケンスタイマがオフであり且つリレーが動作しているときに、リレー出力回路のオン状態を保持するステップと、
を具備したことを特徴とするディジタル保護継電装置におけるシーケンスタイマ保持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、系統基本周波数が切り替わる系統を保護するディジタル保護継電装置において、系統基本周波数切り替わり時のシーケンスタイマを保持する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル保護継電装置は、系統基本周波数(50Hzまたは60Hz)の電気角30°間隔(50Hz系統では1.666ms、60Hz系統では1.388ms)でCPUに割り込みを掛け、その割り込み処理の中でシーケンス処理を行っている。例えばオンディレータイマであればタイマ起動条件成立でカウンタ歩進し、あるいはタイマ起動条件不成立でカウンタをクリアし、このカウンタが設定値以上となるときにタイマ出力オン、設定値未満の場合はタイマ出力オフとし、その結果をもってシーケンス処理あるいはトリップ回路出力あるいは接点回路出力(装置表示器出力や外部機器出力等)あるいはイーサネット(登録商標)等を介して伝送する。
【0003】
各系統での割り込み間隔は、
50Hz系統では、1秒÷(50Hz×(360°÷30°))=0.001666秒=1.666ms
60Hz系統では、1秒÷(60Hz×(360°÷30°))=0.001388秒=1.388ms
であるので、タイマ設定値は、
50Hz系統では、設定秒×1000÷1.666ms
60Hz系統では、設定秒×1000÷1.388ms
で算出される。
【0004】
図3に27リレー(不足電圧リレー)のタイマロジックを示し、図4に27リレーのタイマフロー(50Hz系統用)(ディジタル保護継電装置内の制御装置が実行する処理フロー)を示す。
【0005】
図3において、27Tは27リレーの出力をタイマ起動条件とする27タイマ(5秒オンディレータイマ)であり、そのタイマ結果は27出力回路に出力される。
【0006】
図4のタイマフローにおいて、まずステップS101ではカウンタCNT27(タイマカウンタ)の設定値(カウント数)SET5S(50Hz系統の5秒設定値)を3000(=5×1000÷1.666)に設定する。
【0007】
次にステップS102において、27リレーがオンであるか(27リレーが動作中であるか)否かを判定し、オンであればカウンタCNT27を歩進し(ステップS103)、オフであればカウンタCNT27をクリアする(ステップS104)。
【0008】
次にステップS105において、カウンタCNT27の値が設定値以上となった(タイムアップした)か否かを判定し、設定値以上となった(タイムアップした)場合は27タイマ(27T)がオンとなり(ステップS106)、設定値未満である(タイムアップしていない)場合は27タイマがオフとなる(ステップS107)。
【0009】
次にステップS108において27タイマがオンであるか否かを判定し、オンである場合は27出力回路にオンの情報を出力し(ステップS109)、オフである場合は27出力回路にオフの情報を出力する(ステップS110)。
【0010】
また、系統基本周波数が切り替わる系統を保護する保護継電装置においては、系統基本周波数を判別し、系統基本周波数が50Hz系統から60Hz系統に切り替わったときに、割り込み設定レジスタに60Hz系統であることを設定することで外部割り込み発生回路が60Hzの電気角30°で割り込みを発生させ、または系統基本周波数が60Hz系統から50Hz系統に切り替わったときに、割り込み設定レジスタに50Hz系統であることを設定することで外部割り込み発生回路が50Hzの電気角30°で割り込みを発生させている。
【0011】
前記50Hz系統又は60Hz系統の周波数判別フローの一例を図5に示し、50Hz系統/60Hz系統の切り替えに対応した27リレーのタイマフローを図6に示す。
【0012】
図5は、電圧や電流を用いて系統の周波数を検出するリレーと、外部装置からの系統周波数情報を得る手段とを備えて系統基本周波数を判別する系統周波数判別手段が実行する処理フローであり、まずステップS201では系統周波数検出リレーの検出周波数が50Hzであるか否かを判定する。その結果50Hzではないと判定された場合はステップS202において系統周波数検出リレーの検出周波数が60Hzであるか否かを判定し、60Hzではないと判定された場合はステップS203において外部装置の系統周波数が60Hzであるか否かを判定する。
【0013】
そして、ステップS201において50Hzであると判定された場合とステップS203において60Hzではないと判定された場合に、系統基本周波数は50Hzであると判定し(ステップS204)、ステップS202において60Hzであると判定された場合とステップS203において60Hzであると判定された場合に、系統基本周波数は60Hzであると判定する(ステップS205)。
【0014】
図6において、まずステップS301では系統基本周波数が50Hzであるか否かが、例えば図5の処理によって判定される。判定結果が50Hzである場合はカウンタCNT27の設定値SET5Sを3000(=5×1000÷1.666)に設定し(ステップS302)、60Hzである場合はカウンタCNT27の設定値SET5Sを3600(=5×1000÷1.388)に設定する(ステップS303)。
【0015】
次のステップS304〜S312では前記図4のステップS102〜S110と同一の処理が行われる。すなわち、ステップS304〜S306では27リレーのオン、オフに応じて、オンの場合はカウンタCNT27を歩進し、オフの場合はカウンタCNT27をクリアし、ステップS307〜S309ではカウンタCNT27のタイムアップに応じて、タイムアップした場合は27タイマ(27T)をオンとしタイムアップしていない場合は27タイマをオフとし、ステップS310〜S312では27タイマのオン、オフに応じて、オンの場合は27出力回路にオンの情報を出力しオフの場合は27出力回路にオフの情報を出力する。
【0016】
尚、50Hz又は60Hzの電力系統に対して負荷電流のサンプリングインターバルを自動的に調整する技術は、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平7−322473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
前記図3図5図6のように、系統基本周波数が切り替わる系統を保護する保護継電装置において、系統基本周波数が50Hzから60Hzに切り替わる場合、以下の問題点があった。
【0019】
すなわち、カウンタCNT27と比較する設定値SET5Sが3000から3600(ステップS302からS303)に切り替わるので、3000で止められていたカウンタがステップS305で歩進を開始するが、カウンタが3600に歩進するまでの間はタイマ27Tの出力結果は復帰することになる(ステップS307の判定結果がNO、ステップS310の判定結果がNO)ので、27出力回路もオフする(ステップS312)ことになってしまう。
【0020】
この27出力回路の出力を「母線停止」表示や警報に使用する装置があると、表示や警報は一旦復帰し、0.83秒((3600−3000)カウント×0.001388秒)後に「母線停止」再表示や再警報となるので、誤復帰したことになってしまう。
【0021】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的は、系統基本周波数の切り替り時に出力回路が誤復帰することなく正しい出力を得ることができるディジタル保護継電装置におけるシーケンスタイマ保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するための本発明のディジタル保護継電装置におけるシーケンスタイマ保持装置は、リレーを備え、系統基本周波数が切り替わる系統を保護するディジタル保護継電装置において、
前記系統の系統基本周波数が第1の周波数か第1の周波数とは異なる第2の周波数のいずれであるかを判別する系統周波数判別手段と、前記系統周波数判別手段により判別された周波数に対応して、第1の周波数に対応する第1のカウント数又は第2の周波数に対応する第2のカウント数が設定され、前記リレーの動作時に前記設定されたカウント数をカウントし、前記リレーの非動作時にクリアされるタイマカウンタと、前記タイマカウンタがタイムアップしたときにオン出力を発し、タイムアップしていないときにオフ出力を発するシーケンスタイマと、前記シーケンスタイマのオン出力、オフ出力をリレー出力として出力するリレー出力回路と、前記シーケンスタイマとリレー出力回路の間に設けられ、前記リレーが動作していないときは前記シーケンスタイマの出力をリセットしてオフ信号を出力し、前記リレーが動作しており且つ前記シーケンスタイマの出力がオンであるときにオン信号を出力し、前記リレーが動作しており且つ前記シーケンスタイマの出力がオンからオフに切り替わったときに前記オン信号出力状態を保持してオン信号を出力するタイマ保持手段と、を具備したことを特徴としている。
【0023】
上記構成において、タイマカウンタが、第1の周波数(例えば50Hz)に対応する第1のカウント数(例えば3000)<第2の周波数(例えば60Hz)に対応する第2のカウント数(例えば3600)に設定されているものとし、リレーが動作しているものとする。
【0024】
この場合、50Hzに対応する3000カウントが終了してタイムアップするとシーケンスタイマはオンを出力するが、このとき系統基本周波数が50Hzから60Hzに切り替わったとすると、タイマカウンタのカウント数が第2のカウント数である3600に切り替わり(増加し)、3600−3000カウント分が不足となり、前記シーケンスタイマの出力は復帰してしまう(オンからオフに切り替わる)。
【0025】
本発明のタイマ保持手段を用いない構成の場合は、前記オンからオフに切り替わったシーケンスタイマの出力がそのままリレー出力回路から出力されて誤った出力(リレー出力)となる。
【0026】
しかし、本発明のタイマ保持手段を備えることによって、前記系統基本周波数の切り替わりによりシーケンスタイマの出力がオンからオフに切り替わっても(復帰しても)、切り替わる前のオン状態が保持されるため、リレー出力回路が誤復帰することなく正しい出力を得ることができる。
【0027】
また、本発明のディジタル保護継電装置におけるシーケンスタイマ保持方法は、リレーを備え、系統基本周波数が切り替わる系統を保護するディジタル保護継電装置におけるシーケンスタイマ保持方法であって、
系統周波数判別手段が、前記系統の系統基本周波数が第1の周波数か第1の周波数とは異なる第2の周波数のいずれであるかを判別する系統周波数判別ステップと、
制御手段が、前記系統周波数判別ステップの判別結果が第1の周波数である場合、タイマカウンタのカウント数を、第1の周波数に対応した第1のカウント数に設定し、前記判別結果が第2の周波数である場合、タイマカウンタのカウント数を、第2の周波数に対応した第2のカウント数に設定するステップと、
制御手段が、前記リレーのオン、オフ状態を判定し、オンのときは前記タイマカウンタを歩進し、オフのときはタイマカウンタをクリアするステップと、
制御手段が、前記タイマカウンタがタイムアップしたか否かを判定し、タイムアップしたときはシーケンスタイマの出力をオンとし、タイムアップしていないときはシーケンスタイマの出力をオフとするステップと、
タイマ保持手段が、前記リレーの非動作をリセット条件とし、リレーの非動作時にリレー出力回路をオフとするステップと、
タイマ保持手段が、前記シーケンスタイマの結果をセット条件とし、シーケンスタイマのオン出力によりリレー出力回路をオンとするステップと、
タイマ保持手段が、前記セット条件およびリセット条件が成立せず、シーケンスタイマがオフであり且つリレーが動作しているときに、リレー出力回路のオン状態を保持するステップと、を具備したことを特徴としている。
【0028】
上記構成によれば、シーケンスタイマの結果をセット条件とする処理と、リレーが非動作であること(シーケンスタイマ起動条件が不成立であること)をリセット条件とする処理とを実行しているので、系統基本周波数が第1の周波数(例えば50Hz)から第2の周波数(例えば60Hz)に切り替わることでタイマカウンタのタイムアップを判定する設定値(カウント数)が切り替わる場合であっても、シーケンスタイマの結果が保持されることで、リレー出力回路が誤復帰することなく正しい出力を得ることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、系統基本周波数の切り替わりによりシーケンスタイマの出力がオンからオフに切り替わっても(復帰しても)、切り替わる前のオン状態が保持されるため、リレー出力回路が誤復帰することなく正しい出力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態例における27リレータイマ保持ロジックの構成図。
図2】本発明の実施形態例における27リレータイマ保持のフローチャート。
図3】従来の27リレータイマロジックの構成図。
図4】従来の27リレータイマ処理(50Hz系統用)のフローチャート。
図5】系統周波数判別手段のフローチャート。
図6】従来の27リレータイマ処理(50Hz/60Hz系統切り替え用)のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。図1はディジタル保護継電装置における本実施形態例の27リレータイマ保持ロジックの構成図であり、図2は本実施形態例の27リレータイマ保持フローのフローチャートを示している。
【0032】
図1において、27Tは27リレーの出力をタイマ起動条件とする27タイマ(5秒オンディレータイマ)であり、そのタイマ結果はフリップフロップを備えた保持回路101のセット信号として供給され、該保持回路101の出力は27出力回路に出力される。
【0033】
102は27リレーの出力を反転するNOT回路であり、その出力は保持回路101(のフリップフロップ)のリセット信号とされる。
【0034】
前記27タイマ(27T)は、50Hz(第1の周波数)に対応する第1のカウント数(3000)又は60Hz(第2の周波数)に対応する第2のカウント数(3600)が設定されるカウンタCNT27を備え、カウンタCNT27がタイムアップしたときにオン出力を発し、タイムアップしていないときにオフ出力を発する。
【0035】
前記保持回路101およびNOT回路102によって、本発明のタイマ保持手段を構成している。
【0036】
このタイマ保持手段は、27リレーが動作していないとき(NOT回路102の入力側が論理「0」)は27タイマ(27T)の出力をリセットしてオフ信号を出力し(NOT回路102の出力側の論理「1」によりリセットし)、前記27リレーが動作しており(NOT回路102の入力側が論理「1」)且つ27タイマの出力がオンであるときにオン信号を出力し(NOT回路102の出力側の論理「0」により27タイマのオン出力はリセットされず)、前記27リレーが動作しており(NOT回路102の入力側が論理「1」)、且つ系統基本周波数が50Hzから60Hzに切り替わってタイマカウンタのカウント数が3000から3600に変更され、27タイマの出力がオンからオフに切り替わったときに、前記オン信号出力状態を保持してオン信号を出力する(切り替わる前の27タイマオンを保持し、NOT回路102の出力側の論理「0」によりリセットしない)。
【0037】
図2の27リレータイマ保持フローにおいて、従来の図6のフローと異なる点は、図6のステップS310〜S312のようにタイマ結果(27T)で出力回路オン又はオフのどちらか一方を処理するのではなく、図2のステップS410〜S413のように27出力回路をオンする条件とオフする条件を備えて分岐処理することで、その条件以外の場合には27出力回路の状態を保持できるように構成している。
【0038】
図2において、まずステップ401では系統基本周波数が50Hzであるか否かが、例えば図5の処理によって判定される。判定結果が50Hzである場合はカウンタCNT27の設定値SET5Sを3000(=5×1000÷1.666)に設定し(ステップS402)、60Hzである場合はカウンタCNT27の設定値SET5Sを3600(=5×1000÷1.388)に設定する(ステップS403)。
【0039】
次にステップS404において、27リレーがオンであるか(27リレーが動作中であるか)否かを判定し、オンであればカウンタCNT27を歩進し(ステップS405)、オフであればカウンタCNT27をクリアする(ステップS406)。
【0040】
次にステップS407において、カウンタCNT27の値が設定値以上となった(タイムアップした)か否かを判定し、設定値以上となった(タイムアップした)場合は27タイマ(27T)がオンとなり(ステップS408)、設定値未満である(タイムアップしていない)場合は27タイマがオフとなる(ステップS409)。
【0041】
次にステップS410において27タイマがオンであるか否かを判定し、オフである場合は27出力回路は前回と変わらずステップ412へ進み、オンである場合は27出力回路をオンとする(ステップS411)。
【0042】
次にステップS412では27リレーがオンである(27リレーが動作している)か否かを判定し、オンではない場合は27出力回路をオフとし(ステップS413)、オンである場合は27出力回路は前回と変わらず処理を終了とする。
【0043】
尚、前記ステップS401の系統周波数判別処理はディジタル保護継電装置の系統周波数判別手段が行い、ステップS402〜S409の処理はディジタル保護継電装置の制御手段が行い、ステップS410〜S413の処理はディジタル保護継電装置のタイマ保持手段が行うものである。
【0044】
ここで図1の保持回路101(フリップフロップ)のセット条件(フリップフロップの入力端子)、リセット条件(フリップフロップのリセット端子)および出力(フリップフロップの出力端子)の各論理状態を以下に示し、タイマ保持手段の動作を説明する。
【0045】
セット条件 リセット条件 出力
0 1 0…(3)
1 1 0
1 0 1…(1)
0 0 −(前回と同じ)…(2)
いま、系統基本周波数が50Hzで、27リレーがオンしており、27Tが5秒経過している場合は、図2のステップS408で27Tがオンされるため「セット条件が1」であり、27リレーがオン(ステップS404の判定結果がYes)でありNOT回路102の出力が0であるため「リセット条件が0」であり、ステップS411で27出力回路がオンのため「出力が1」であり、これが(1)の状態である。
【0046】
この状態で系統基本周波数が60Hzに切り替わると、600カウント不足するため図2のステップS407の判定結果がNOとなりステップS409で27Tがオフとなるため「セット条件が0」である。このとき27リレーが動作していれば、NOT回路102の出力が0であるため「リセット条件が0」となる。そしてステップS405でカウンタCNT27が3000から歩進を再開し、ステップS410の判定結果がNOとなり、ステップS412の判定結果がYesとなるため、出力は前回の(1)と同じ「出力が1」を保持する。これが(2)の状態である。
【0047】
このように、系統基本周波数が50Hzから60Hzに切り替わっても(2)の状態のように前回と同じ「出力が1」を保持することができる(誤って復帰させることがない)。
【0048】
次に、27リレーが復帰した(非動作となった)場合は、NOT回路102の出力が1となるため「リセット条件が1」となり、ステップS406でカウンタがクリアされ、ステップS409で27Tがオフされるため「セット条件が0」となり、ステップS412の判定結果がNOでありステップS413で27出力回路がオフとされるため「出力が0」となる。これが(3)の状態である。
【0049】
一方、60Hz系統で27リレーが動作しタイムアップしている状態(27Tオン、出力回路オン)で50Hz系統に切り替わる場合では、5秒設定値(カウント数)も3600から3000に切り替わるが、カウンタCNT27は3600で設定値より大きい値なので、ステップS408,S410,S411において27Tオンと出力回路オンの処理が実行されるので、27出力回路がオフすることはない。
【0050】
以上のように本実施形態例によれば、タイマ結果をセット条件とする分岐処理(ステップS410、S411)と、タイマ起動条件が不成立である(27リレーが非動作である)ことをリセット条件とする分岐処理(ステップS412,S413)を持つことで、系統基本周波数が50Hz系統から60Hz系統に切り替わることによりタイマのタイムアップを判定する設定値の値(カウント数)が増えた場合であっても、タイマ結果にて一度セットされた(ステップS411)出力回路はタイマ起動条件が不成立となる(ステップS404がNOとなる)まで保持されることにより、出力回路が誤復帰することなく正しい出力を得ることができる。
【符号の説明】
【0051】
27T…27タイマ(5秒オンディレータイマ)
101…保持回路(フリップフロップ)
102…NOT回路
CNT27…タイマカウンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6