特許第6233274号(P6233274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233274
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20171113BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G03G15/20 510
   G03G21/16 133
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-221717(P2014-221717)
(22)【出願日】2014年10月30日
(65)【公開番号】特開2016-90661(P2016-90661A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2016年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】上原 雅和
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−043578(JP,A)
【文献】 特開2001−013810(JP,A)
【文献】 特開平10−020702(JP,A)
【文献】 特開昭57−066462(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0304855(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙の搬送通路の背部と上部とに跨る開口部を有する定着装置本体と、前記開口部の背部下端で前記記録紙の幅方向に延伸する第1軸を回転中心軸として回転自在に支持されて前記開口部を開閉自在に覆う定着カバーとを備える定着装置において、
前記定着カバーは、前記搬送通路の背部を覆い且つ下端部が前記第1軸を回転中心軸として回転自在に支持された第1定着カバー部と、前記搬送通路の上部を覆う第2定着カバー部とを有し、
前記第2定着カバー部は、前記第1定着カバー部に対して屈曲自在な構造とされ、
前記第1定着カバー部は第1定着カバーにより構成され、前記第2定着カバー部は第2定着カバーにより構成され、
前記第2定着カバーにおける第1定着カバー側の端部が、前記第1定着カバーにおける第2定着カバー側の端部に、前記幅方向に延伸する第2軸を回転中心軸として回転自在に取り付けられ、
前記定着カバーは、前記第2定着カバーにおける前記第1定着カバーと反対側の端部に、前記幅方向に延伸する第3軸を回転中心軸として回転自在に設けられた搬送ガイドを有し、
前記定着カバーは、定着排出ローラとスイッチバックローラとを兼用するローラを有する
定着装置。
【請求項2】
前記ローラは、前記第3軸が延伸する方向に間隔を置いて複数個設けられている
請求項に記載の定着装置。
【請求項3】
定着装置を内部に有する画像形成装置において、
前記定着装置は、請求項1又は2に記載の定着装置である
画像形成装置。
【請求項4】
記録紙の通過経路がCパスタイプである
請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉自在な定着カバーを有する定着装置及び当該定着装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定着装置として、加熱ローラと加圧ローラとから構成されるニップ部を有し且つニップ部を露呈させる開口部を有する定着装置本体と、前記開口部を開閉自在に覆う定着カバーとを備える構造のものがある(例えば、特許文献1、2)。
特許文献1に記載の定着カバーは、定着装置本体の背部と上部とを覆うと共に背部下部に設けられた軸廻りに回転して、ニップ部を露呈させる。このような定着装置において、内部で記録紙の紙詰まり(以下、「JAM」という)が発生すると、定着カバーを回転させてニップ部を露呈させた後、記録紙を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−251309号公報
【特許文献2】特開2012−194331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の定着カバーは、定着装置本体の上部と背部とに跨る開口部を覆う。このため、定着カバーを定着装置本体における背部下部の軸廻りに回転させると、当該軸から最も離れた部位(上部の前側部分)での回転軌道が、開口部を閉じた状態の位置よりも上方を通ってしまう。
従って、定着装置を内部に備える画像形成装置において、定着装置の定着カバー上部周辺に部品等を配置することができず、画像形成装置の大型化を招くという課題が生じる。
本発明の目的は、定着カバーの開閉スペースを小さくできる定着装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る定着装置は、記録紙の搬送通路の背部と上部とに跨る開口部を有する定着装置本体と、前記開口部の背部下端で前記記録紙の幅方向に延伸する第1軸を回転中心軸として回転自在に支持されて前記開口部を開閉自在に覆う定着カバーとを備える定着装置において、前記定着カバーは、前記背部を覆い且つ下端部が前記第1軸を回転中心軸として回転自在に支持された第1定着カバー部と、前記上部を覆う第2定着カバー部とを有し、前記第2定着カバー部は、前記第1定着カバー部に対して屈曲自在な構造とされている。
本発明に係る画像形成装置は、上記構成の定着装置を備えている。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る定着装置及び画像形成装置は、上記構成のため、定着カバーの開閉スペースを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。
図2】定着装置の概略断面図である。
図3】閉状態の定着装置の斜視図である。
図4】開状態の定着装置の斜視図である。
図5】(a)は定着装置を底側からみた斜視図であり、(b)は第1軸周辺の拡大図であり、(c)は第1軸に作用する負荷を示す図である。
図6】(a)定着カバーの斜視図であり、(b)は第1定着カバーと第2定着カバーとに作用する負荷を示す図である。
図7】(a)は定着時に記録紙が通過する経路を示し、(b)は記録紙の表裏反転時に記録紙が通過する経路を示す。
図8】(a)定着カバーの斜視図であり、(b)は第3軸周辺の拡大図であり、(c)は第3軸に作用する負荷を示す図である。
図9】定着カバーが第1軸のまわりを回転する様子を示す図である。
図10】(a)は定着装置の側面図を示し、(b)は定着カバーの側面図を示し、(c)は定着装置を斜め上方から見た斜視図である。
図11】(a)は定着装置の側面図を示し、(b)は定着カバーの側面図を示し、(c)は定着装置を斜め上方から見た斜視図である。
図12】(a)は定着装置の側面図を示し、(b)は定着カバーの側面図を示し、(c)は定着装置を斜め上方から見た斜視図である。
図13】(a)は定着装置の側面図を示し、(b)は定着カバーの側面図を示し、(c)は定着装置を斜め上方から見た斜視図である。
図14】(a)は定着装置の側面図を示し、(b)は定着カバーの側面図を示し、(c)は定着装置を斜め上方から見た斜視図である。
図15】(a)は定着装置の側面図を示し、(b)は定着カバーの側面図を示し、(c)は定着装置を斜め上方から見た斜視図である。
図16】(a)は定着装置の側面図を示し、(b)は定着カバーの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
以下、本発明の一態様に係る定着装置及び当該定着装置を備える画像形成装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
1.画像形成装置の概略
画像形成装置1は、図1に示すように、トナー像を記録紙に形成する画像形成部2と、形成されたトナー像を定着する定着部3とを備える他、セットされた原稿の画像を読み取る画像読取部4、画像形成部2に記録紙を供給する給紙部5、トナー像が定着された記録紙を排出トレイ6に排出する排出部7、各種機能の表示や各種機能の選択操作等を行うための操作表示部、選択された機能を実行するために各部を制御する制御部を備える。
画像形成装置1は、カラー画像をタンデム式で形成する。画像形成装置1は、記録紙の両面に画像を形成できる(つまり、両面印刷である。)タイプであり、片面に画像が定着された記録紙の表裏を反転させるスイッチバック機能と、反転された記録紙を画像形成部2に供給するための反転搬送路8を有する。なお、反転搬送路8は、ここでは、画像形成装置1の背面に沿って「C」字状をした、所謂、「背面Cパス」である。
【0010】
2.定着部
(1)全体構造の概略
定着部3は、本発明に係る定着装置の一例に相当し、画像形成装置の一部を構成する定着部として着脱自在に組み込まれている。以下、定着部を定着装置として説明する。
定着装置3は、図2に示すように、ヒートローラ11とプレスローラ12と一対の排出ローラ13,14とを備える。なお、ヒートローラ(加熱ローラに相当する。)11とプレスローラ1(加圧ローラに相当する。)12とでニップ部が構成される。
ヒートローラ11、プレスローラ12及び排出ローラ13,14の軸は平行に延伸しており、以下、これらローラの軸が延伸する方向及びその方向と平行な方向を単に「ローラの軸方向又は軸方向」という。
定着装置3は、下方から受け入れた記録紙を、ヒートローラ11とプレスローラ12との間を通過させた後、上部であって前部側から一対の排出ローラ13,14を利用して排出する。これにより、ヒートローラ11により記録紙が加熱されて、トナー像が記録紙上に定着する。
【0011】
記録紙が定着装置3の内部を通過する搬送通路において(図7の(a)参照)、定着装置3への供給側を上流側とし、排出側を下流側とする。また、定着装置3の上流側から下流側へと記録紙が進行する方向及びその方向と平行な方向を「記録紙の進行方向又は進行方向」といい、進行方向と直交する方向を「記録紙の幅方向又は幅方向」という。なお、記録紙の幅方向とローラの軸方向とは同じ方向である。
ヒートローラ11は、熱源と、熱源からの熱を伝える伝熱部材とを組み合わせたものである。ここでは、熱源はハロゲンランプ15が利用され、伝熱部材はローラ16が利用されている。なお、ハロゲンランプ15は、ローラ16の内部に挿入されている。
【0012】
定着装置3は、図3及び図4に示すように、記録紙の搬送通路の背部と上部とに跨る開口部21を有する定着装置本体20と、開口部21の背部下端で録紙の幅方向に延伸する第1軸を回転中心軸として回転自在に支持されて開口部21を開閉自在に覆う定着カバー40とを備える。
ここで、開口部21が、定着カバー40により閉じられた状態を「閉状態」といい、定着カバー40により開けられた状態を「開状態」という。なお、開口部21は、内部を通過する記録紙が詰まった際(JAMが発生した際)に、詰まった記録紙を取り出すのに利用される。
定着カバー40は、記録紙の搬送通路の背部を主に覆い且つ下端部が第1軸29を回転中心軸として回転自在に支持された第1定着カバー部41と、搬送通路の上部を主に覆う第2定着カバー部51とを有し、第2定着カバー部51は、第1定着カバー部41に対して屈曲自在な構造とされている。
【0013】
(2)定着装置本体
定着装置本体20は、上述のヒートローラ11、プレスローラ12、一対の排出ローラの一方であるローラ13を備える。定着装置本体20は、ヒートローラ11及びプレスローラ12を保持するためのフレームを有する。
フレームは、ヒートローラ11及びプレスローラ12を軸方向の端部で支持する一対の支持部22,23と、一対の支持部22,23を連結する連結部24とを有する。連結部24は定着装置本体20(定着装置3)の前面側に位置している。
定着装置本体20は、排出ローラ13が取り付けられた軸が装着されている上ハウジング25をフレームの上部に有している。なお、排出ローラは、一対の支持部により支持された軸に取り付けられる構造としてもよい。 定着装置本体20は、一対の支持部22,23において対向する側(内側)と反対側(外側)に、サイドカバー26,27を有している。サイドカバー26,27には、定着装置3を画像形成装置1に組み込んだ際に定着装置3の位置を固定する固定手段や、画像形成装置1内の駆動部からヒートローラ11に駆動を伝える駆動伝導手段等が取り付けられている。なお、サイドカバーと支持板とが兼用する構成であってもよい。
サイドカバー26,27の内、少なくとも一方のサイドカバー(ここでは、26である。)の上面は、定着カバー40を支持する支持領域28となっている。なお、支持領域28の構成については、後述の定着カバー40の説明に合わせて行う。
定着装置本体20は、図5の(a)に示すように、定着装置本体20の背面の下端部に第1軸29を有している。第1軸29は、一対の支持部22,23の内側に延伸するように、一対の支持部22,23に設けられている。
なお、第1軸29は、2本の軸からなり、各軸が一対の支持部22,23に設けられているが、例えば、支持部22,23間に亘る1本の軸により構成されてもよい。
【0014】
定着装置本体20は、開状態の定着カバー40を閉状態に戻す負荷を発生する負荷発生手段が設けられている。負荷発生手段は、図5の(a)及び(b)に示すように、コイルばね30により構成されている。コイルばね30は、一端30bが定着装置本体20を構成する部材に固定され、他端30aが定着カバー40(正確には第1定着カバー41である。)に固定されている。定着カバー40が第1軸29のまわりを開状態になるように回転すると、図5の(c)の矢印で示すように、コイルばね30により定着カバー40(正確には第1定着カバー部41である。)を閉状態に戻ろうとするねじり負荷が発生する。
【0015】
(3)定着カバー
定着カバー40は、上述したように、第1定着カバー部41と第2定着カバー部51とを有している。ここでは、第1定着カバー部41と第2定着カバー部51とは別部材であり、第1定着カバー部41は第1定着カバーから、第2定着カバー部51は第2定着カバーからそれぞれ構成されている。なお、第1定着カバーの符号も「41」とし、第2定着カバーの符号も「51」とする。
第1定着カバー41は、図6に示すように、板状部45、リブ部46、厚肉部47、係合部48、第2軸保持部49を有している。
板状部45は、主に開口部21の背面を覆い、軸方向に長い矩形状をしている。リブ部46は板状部45を補強する。ここでは、リブ部46は、ヒートローラ11の軸方向と軸方向に直交する方向との2方向に延伸するように、板状部45の内面(ヒートローラ11と対向する面)に設けられている。
厚肉部47は、板状部45の厚みよりも厚く、リブ部46のリブ高さと略等しい厚みをしている。厚肉部47は、板状部45の長手方向における両端に位置している。
【0016】
係合部48は、定着装置本体20の第1軸29に係合する。なお、係合部48は、厚肉部47の下端部に形成され、かぎ状をしている。これにより、定着カバー40を定着装置本体20に対して着脱自在に取り付けることができる。
第2軸保持部49は、第2軸52を保持する。第2軸保持部49は、板状部45の上端部の内面から板状部45の厚み方向に突出し、内部に第2軸52を収容する。
第2定着カバー51は開口部21の上面の大部分を主に覆う。第2定着カバー51は、第2軸52を回転中心軸として回転自在に第1定着カバー41に取り付けられている。つまり、第1定着カバー41と第2定着カバー51とは、第2軸52を介して回転自在に結合されることで、屈曲自在な構造とされている。
第2定着カバー51は、第1定着カバー41の上端部が開口部21から離れるように、第1軸29のまわりを回転すると、第2定着カバー51の前端部が下降するように、第2軸52のまわりを回転する。なお、第2軸52は、ヒートローラ11の軸方向に延伸する状態で、第1定着カバー41(の第2軸保持部49)に保持されている。
【0017】
第2定着カバー51は、定着後ガイド部53、反転ガイド部54、連結部55、前後リブ部56、上下リブ部57を備える。
定着後ガイド部53は、図7の(a)に示すように、ヒートローラ11とプレスローラ12の間を通過した定着後の記録紙Aを排出ローラ13,14間に案内する機能を有している。定着後ガイド部53は、図2及び図7に示すように、ヒートローラ11とプレスローラ12の上方に配されている。
反転ガイド部54は、図7の(b)に示すように、記録紙の裏面に画像を形成する際に、記録紙を画像形成部2に戻るように案内する機能を有している。なお、画像形成部2に戻る記録紙Aは、反転ガイド部54と、画像形成装置1の背面カバー9とで構成された反転搬送路8を通過する。
連結部55は、図2及び図7に示すように、定着後ガイド部53と反転ガイド部54とを連結する。なお、定着後ガイド部53から連結部55を経由して反転ガイド部54に至る部分の横断面(軸方向と直交する断面である)の形状は「N」字状をしている。
【0018】
前後リブ部56は、反転ガイド部54及び連結部55を補強する機能を有している。前後リブ部56は、反転ガイド部54と連結部55とに跨り、軸方向と直交する方向に延伸する。前後リブ部56は、軸方向に間隔をおいて複数ある。前後リブ部56には、第2軸52が挿通する貫通孔が設けられ、これにより、第2定着カバー51が第1定着カバー41に第2軸52を介して装着されることになる。
上下リブ部57は、軸方向に隣接する前後リブ部56間に跨るように形成され、上下方向へと延伸する。上下リブ部57と反転ガイド部54との間には、図2に示すように、第1定着カバー41の第2軸保持部49が入る空間ができる。
これにより、定着カバー40が第1軸29のまわりを回転して、第1定着カバー41と第2定着カバー51とが近づいたきに、上下リブ部57と第2軸保持部49とが当接し、第2定着カバー51の回転が規制される。
【0019】
第1定着カバー41と第2定着カバー51には、定着カバー40が開状態の際に、第1定着カバー41と第2定着カバー51とを近づける負荷を発生する負荷発生手段が設けられている。負荷発生手段は、図6の(a)に示すように、引張りばね58により構成されている。引張りばね58は、一端が第1定着カバー41に、他端が第2定着カバー51にそれぞれ固定されている。定着カバー40が第1軸29のまわりを開状態になるように回転すると、図6の(b)の矢印で示すように、引張りばね58により両カバー41,51を近づけようとする引張り負荷が発生する。
定着カバー40は、上記の第1定着カバー41と第2定着カバー51とを有する他、搬送ガイド61を有している。搬送ガイド61は、第1軸29や第2軸52の軸方向に延伸する第3軸62を回転中心軸として回転自在に設けられている。
【0020】
第3軸62は、定着カバー40が開口部21を覆う状態において、開口部21における記録紙の進行方向の下流側の端部位置(上部であって前端部位置である。)に対応して設けられている。なお、第3軸62は、第2定着カバー51における第1定着カバー41が位置する側と反対側の端部(前端部)の第3軸装着部に装着されている。
搬送ガイド61は、板状部63、立設部64、リブ部65を有している。
板状部63は、第3軸62の軸方向に長い矩形板状をしている。板状部63は、図8の(b)に示すように、排出ローラ13に対応する位置に切欠63aを有している。
立設部64は、板状部63の長手方向(第3軸62の軸方向)の端の内面(ヒートローラ11と対向する側の面である。)から内側へと板状に延伸している。立設部64は、第3軸62が挿通する貫通孔を有している。つまり、立設部64が、搬送ガイド61を第3軸62に取り付けるための取付部となっている。
【0021】
リブ部65は、板状部59の内面に形成されている。リブ部65は、板状部59の短手方向に延伸する短手リブ部65aと、長手方向に延伸する長手リブ部65bとを含む。短手リブ部65aは、図8の(a)及び(b)に示すように、第3軸62が通る部分に切欠を有する。短手リブ部65aにおける高さ方向の端部は、搬送ガイド61が第3軸62のまわりをある程度回転した際に第2定着カバー51に当接して、搬送ガイド61の回転を規制する規制部となっている。
定着カバー40には、第1定着カバー41が開状態となるように回転した際に搬送ガイド61の前端部を下降させる負荷を発生する負荷発生手段が設けられている。負荷発生手段は、図8の(b)に示すように、例えば、コイルばね66により構成されている。コイルばね66は、一端が第2定着カバー51に固定され、他端が搬送ガイド61に固定されている。
【0022】
定着カバー40が第1軸29のまわりを開状態になるように回転すると、図8の(c)の矢印で示すように、コイルばね66により搬送ガイド61の前端部を下降させようとするねじり負荷が発生する。
第3軸62には、排出ローラ14が第3軸62に沿って複数設けられている。この排出ローラ14は、定着装置本体20の上ハウジング25の排出ローラ13と当接する(対をなす)。
第3軸62は、第2定着カバー51における第3軸62の軸方向の長さよりも長く、その一方の端部が第2定着カバー51から張り出している。第3軸62の一方の端部には、第3軸62を回転させるための駆動が入力される駆動入力部71が設けられている。
第3軸62の一方の端部には、サイドカバー26の上面の支持領域28に当接する当接部72が設けられている。当接部72の下面は円弧状をしている。なお、当接部72は、駆動入力部71の下面に設けられている。
【0023】
当接部72が当接するサイドカバー26の上面(支持領域28)は当接部支持領域73となっている。当接部支持領域73は、記録紙の進行方向に沿って設けられている。当接部支持領域73は、定着カバー40が閉状態で当接部72が位置する部分に設けられた水平な平坦領域と、平坦領域における記録紙の進行方向の上流側の端部から上流側に移るに従って下降する傾斜領域とからなる。
搬送ガイド61は、第3軸62の軸方向における外方へ延出する延出部67を有している。延出部67は、断面が円形状をした棒状をしている。
【0024】
延出部67が当接するサイドカバー26の上面の支持領域28は延出部支持領域74となっている。延出部支持領域74は、記録紙の進行方向に沿って設けられている。延出部支持領域74は、定着カバー40が閉状態で延出部67が存する位置から上流側に移るに従って下降するように、傾斜している。延出部支持領域74は、閉状態で延出部67が位置する部分に、延出方向から見たときに「V」字状の凹部75を有する。
第3軸62には、図7に示すように、定着時、記録紙の表裏反転時に搬送ガイド61の姿勢を変化させる姿勢変化部が設けられている。
【0025】
3.動作
定着装置3内でJAMが発生して、記録紙を除去する際の定着カバー40を開状態にする動作について、図9図16を用いて説明する。
まず、JAMを処理する場合、図9に示すように、第1軸29を回転中心軸として定着カバー40を回転させて開口部21を開放させる。
なお、図9では、(a)が定着カバー40を定着装置本体20に対して回転させていない状態を示し、(g)が定着カバー40を定着装置本体20に対して90度回転させた状態を示す。(b)は10度、(c)は20度、(d)は30度、(e)は40度、(f)は60度、それぞれ回転させた状態を示す。
【0026】
図10図16の各(a)は定着装置の側面図を示し、各(b)は定着カバーの側面図を示し、各(c)は定着装置を斜め上方から見た斜視図である。図10は定着カバー40を定着装置本体20に対して回転させていない状態である。図16は定着カバー40を定着装置本体20に対して90度回転させた状態であり、定着装置の斜め上方から見た図はない。図11は10度、図12は20度、図13は30度、図14は40度、図15は60度、それぞれ回転させた状態である。つまり、図10図16は、図9の(a)〜(g)の回転角度に対応している。
【0027】
定着カバー40を回転させる際には、定着装置3の背面側から第1定着カバー41を第1軸29のまわりに回転させる。この際、第2定着カバー51は、図9の(b)から(d)や図11から図16に示すように、第1定着カバー41の回転に伴って第2定着カバー51の前端部(定着後ガイド部53の下流端)が下降するように、第2軸52を回転中心として回転する。つまり、第2定着カバー51が第1定着カバー41に対して両者の間隔が狭くなるように屈曲する。これにより、第2定着カバー51の前端部は、閉状態の位置から上昇することなく、移動軌道を描くことができる。つまり、第2定着カバー51を回転させるための空間が不要となる。
さらに、搬送ガイド61は、第1定着カバー41の回転に伴って第3軸62を回転中心として搬送ガイド61が下降するように回転する。これにより、搬送ガイド61は、閉状態の位置から上昇することなく、移動軌道を描くことができる。つまり、搬送ガイド61を回転させるための空間が不要となる。
【0028】
以上の構成の定着装置3では、閉状態から開状態にするために定着カバー40を回転させる際に、開状態の位置から定着カバー40が上昇することがない。従って、定着装置3が内部に組み込まれる画像形成装置1の内部において、図9に示すように、定着装置3を収容する空間だけを確保できればよく、画像形成装置1の小型化を図ることができる。
【0029】
4.その他
(1)第2定着カバー51は、第2軸52を回転中心軸として回転自在に設けられている。これにより、開口部21を開閉する定着カバー40の開閉空間が小さい定着装置3を容易に実施できる。
(2)定着カバー40は、第2定着カバー51における第1定着カバー41と反対側の端部に、通過する記録紙の幅方向に延伸する第3軸62を有している。これにより、搬送ガイド61を容易に第2定着カバー51に設けることができる。
(3)第3軸62は、定着カバー40が開口部21を覆う状態において、開口部21における記録紙の進行方向の下流側の端部位置に対応して設けられている。これにより、第3軸62に排出ローラ14を取り付けることができる。
【0030】
(4)第3軸62は第2定着カバー51に設けられ、搬送ガイド61は、記録紙の搬送方向における中間部分が第3軸62に回転自在に装着されている。これにより、搬送ガイド61の姿勢の変化を容易に行うことができる。従って、定着後の記録紙を排出したり、記録紙の表裏を反転させたりすることを、簡単な構造で実施できる。
(5)第2定着カバー51は、サイドカバー26の上面の支持領域28により支持されている。これにより、第2定着カバー51が開口部21の内部に入り込むようなことを防止できる。
(6)第3軸62の端部は、第2定着カバー51の軸方向の一端から張り出しており、第3軸62を駆動させるための駆動入力部71を有している。サイドカバー26の上面(支持領域28)に当接する当接部72が駆動入力部の下面に設けられている。このように当接部72が駆動入力部71を利用して設けられているため、安価に実施できる。
【0031】
(7)当接部72の下面は円弧状している。これにより、当接部72は支持領域28(当接部支持領域73)上を容易に移動できる。
(8)サイドカバー26の上面の当接部支持領域73は、記録紙の進行方向に沿って設けられ、第1軸29、第2軸52及び第3軸62が記録紙の進行方向と直交する。これにより、当接部支持領域73は、広い範囲に亘って当接部72を支持できる。
(9)第1定着カバー41の開状態への回転に伴い、第2定着カバー51は、負荷発生手段である引張りばね58により第1定着カバー41に近づこうとする(下降しようとする)。このとき、第2定着カバー51は当接部72を介して当接部支持領域73により支持されているため、第2定着カバー51は当接部支持領域73に沿って移動できる。
【0032】
(10)当接部支持領域73は、定着カバー40が開口部21を閉じた状態で当接部72が位置する部分に設けられた水平な平坦領域と、平坦領域における記録紙の進行方向の上流側の端部から上流側に移るに従って下降する状態に設けられた傾斜領域とからなる。これにより、第2定着カバー51は、第1定着カバー41の開状態への回転に伴い、閉状態の位置から上昇することなく、下降しながら移動することができる。
(11)搬送ガイド61は、進行する記録紙の幅方向の端部から幅方向の外方へ延出する延出部67を有し、延出部67はサイドカバー26の上面の支持領域28(延出部支持領域74)により支持されている。これにより、搬送ガイド61が開口部21の内部に入り込むようなことを防止できる。
【0033】
(12)サイドカバー26の延出部支持領域74は、記録紙の進行方向に沿って設けられ、第1軸29、第2軸52及び第3軸62が記録紙の進行方向と直交する。これにより、延出部支持領域74は、広い範囲に亘って延出部67を支持できる。
(13)第1定着カバー41の開状態への回転に伴い、搬送ガイド61は、負荷発生手段であるコイルばね66により第2定着カバー51に近づこうとする(下降しようとする)。このとき、搬送ガイド61は延出部67を介して延出部支持領域74により支持されているため、搬送ガイド61は延出部支持領域74に沿って移動できる。
(14)延出部支持領域74は、定着カバー40が開口部21を閉じた状態で延出部67が存する位置から上流側に移るに従って下降するように、傾斜している。これにより、搬送ガイド61は、第1定着カバー41の開状態への回転に伴い、閉状態の位置から上昇することなく、下降しながら移動するができる。
【0034】
(15)延出部支持領域74は、定着カバー40が開口部21を閉じた状態で延出部67が位置する部分に、延出方向から見たときに「V」字状の凹部75を有する。これにより、閉状態の定着カバー40の位置を保持できる。
(16)搬送ガイド61に設けられた排出ローラ14は、スイッチバック機構のローラ10とともにスイッチバックローラを兼用することができる。これにより、安価に裏面印刷をする構造ができる。このため、定着装置3は、両面印刷可能な画像形成装置にも適用できる。
【0035】
<変形例>
以上、実施形態に係る定着装置や画像形成装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってよい。
また、実施形態や変形例に記載していていない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0036】
1.画像形成装置
画像形成装置は、例えば、複写機、ファクシミリ、プリンター等に適用でき、また、これらの機能が併設された複合機に適用できる。
画像の形成は、タンデム型のフルカラーであったが、モノクロであっても良い。
【0037】
2.定着装置
定着装置は、熱と圧力を負荷できる構造であって、背面と上面に跨る開口部を有する構造であればよく、ヒートローラとプレスローラの保持方法や駆動方法は特に限定するものではない。例えば、ヒートローラとプレスローラは、上面と背面に開口を有する筐体に保持されてもよい。
定着装置の背面は、反転搬送路を構成しているが、片面印刷タイプの画像形成装置に組み込まれる定着装置であってもよい。
【0038】
3.定着カバー
実施形態では、第1定着カバー部と第2定着カバー部とは別部材で構成されていたが、1部材で第1定着カバー部と第2定着カバー部とを構成してもよい。この場合、例えば、第1定着カバー部と第2定着カバー部との結合部分を薄くして屈曲自在とすることで実施できる。
また、第1定着カバーと第2定着カバーとの間の屈曲自在な構成は第2軸を利用しなくても他の構成でも実施できる。例えば、第1定着カバーと第2定着カバーとを屈曲自在な粘着テープにより結合することで実施できる。
【符号の説明】
【0039】
1 画像形成装置
13 定着部(定着装置)
20 定着装置本体
21 開口部
29 第1軸
40 定着カバー
41 第1定着カバー部(第1定着カバー)
51 第2定着カバー部(第2定着カバー)
52 第2軸
61 搬送ガイド
62 第3軸
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
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図15
図16