(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233281
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20171113BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
H02G3/16
B60R16/02 610A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-231467(P2014-231467)
(22)【出願日】2014年11月14日
(65)【公開番号】特開2016-96653(P2016-96653A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2016年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】森 明日香
【審査官】
久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2006/011478(WO,A1)
【文献】
特開2002−305063(JP,A)
【文献】
特開2010−063268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部回路が配設された箱本体と、該箱本体の表面を覆蓋するカバー部材を備え、該カバー部材に前記内部回路に導通する電気部品を装着する第一の部品装着部が設けられてなる電気接続箱において、
前記箱本体の裏面には、前記カバー部材側に向かって凹む凹状の第二の部品装着部が開口形成されており、前記カバー部材に設けられた前記第一の部品装着部と、前記箱本体の前記裏面に設けられた前記第二の部品装着部が、前記箱本体への前記カバー部材の装着方向においてオーバーラップするように設けられており、
前記第一の部品装着部が、前記カバー部材の表面によって構成される第一の底壁を有している一方、前記第二の部品装着部が前記箱本体の前記裏面によって構成される第二の底壁を有しており、前記装着方向において、前記第一の底壁と前記第二の底壁が隙間を隔てて対向配置されている
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記第二の部品装着部が、中央支持部から軸方向両側に第一および第二ねじ部が突出する両頭ボルトを収容する両頭ボルト収容部を含んで構成されている一方、
前記両頭ボルト収容部が、前記第二の底壁に凹状に開口する支持部収容部と、該支持部収容部の中央部分において前記第二の底壁を貫通する貫通孔を含んで構成されており、
前記両頭ボルト収容部の前記支持部収容部に前記両頭ボルトの中央支持部が収容されている一方、前記第一ねじ部が前記貫通孔を挿通して前記内部回路に接続されている一方、前記第二ねじ部が前記第二の部品装着部内に突設されて、装着される電気部品の接続端子に接続されるようになっている請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前記箱本体の前記裏面には、前記第二の部品装着部の開口部を覆蓋する蓋部材が着脱自在に装着されている請求項1または2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前記第一および第二の部品装着部の少なくとも何れか一方に高圧用の電気部品が装着されるようになっている請求項1〜3の何れか1項に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部回路が配設された箱本体の表面にカバー部材が装着されてなる電気接続箱に係り、特に、内部回路に導通する電気部品を装着する部品装着部が、カバー部材に設けられた電気接続箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等に搭載される電気接続箱として、内部回路が配設された箱本体を覆うカバー部材に、内部回路に導通するヒューズやリレー等の電気部品を装着する部品装着部を備えたものが知られている。例えば、特開2006−50768号公報(特許文献1)に記載のものがそれである。
【0003】
ところで、近年の車両高機能化に伴い、電気接続箱に装着される電気部品は増加の一途であり、必要な部品装着部の形成領域を確保するためには、電気接続箱が必然的に大きくなる。
【0004】
ところが、車両のコンパクト化に対応すべく電気接続箱に許容される配設スペースも限られており、電気接続箱を大きくして部品装着部を増加する方法には限界があった。それ故、部品装着部を相互に接近させて高密度に設けることも考えられるが、その場合、各部品装着部間の絶縁性を確保し難くなるという問題を内在していた。また、発熱性の高い電気部品が装着される場合には、高密度化により熱が溜まりやすくなり、他の電気部品や回路の安定性への影響も懸念される。
【0005】
特に、高圧リレーや高圧ヒューズ等の大型の電気部品を用いる場合には、電気接続箱の大型化を回避しつつ部品装着部を増加して、さらにそれらの絶縁性や熱対策を十分に行うことは一層困難となるが、有効な対策が取られていないのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−50768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の如き事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、電気接続箱の大型化を回避しつつ部品装着部をスペース効率よく増設することができ、さらに部品装着部間の絶縁性や熱対策を有効に図ることができる、新規な構造の電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、内部回路が配設された箱本体と、該箱本体の表面を覆蓋するカバー部材を備え、該カバー部材に前記内部回路に導通する電気部品を装着する第一の部品装着部が設けられてなる電気接続箱において、前記箱本体の裏面には、前記カバー部材側に向かって凹む凹状の第二の部品装着部が開口形成されており、前記カバー部材に設けられた前記第一の部品装着部と、前記箱本体の前記裏面に設けられた前記第二の部品装着部が、前記箱本体への前記カバー部材の装着方向においてオーバーラップするように設けられて
おり、前記第一の部品装着部が、前記カバー部材の表面によって構成される第一の底壁を有している一方、前記第二の部品装着部が前記箱本体の前記裏面によって構成される第二の底壁を有しており、前記装着方向において、前記第一の底壁と前記第二の底壁が隙間を隔てて対向配置されていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、箱本体の表面を覆蓋するカバー部材に設けられる第一の部品装着部に加えて、箱本体の裏面に凹状に開口する第二の部品装着部を設けることができる。それ故、従来構造の如き箱本体の表面側のカバー部材側だけでなく箱本体の裏面にも第二の部品装着部を設けることができる。しかも第一および第二の部品装着部は、箱本体へのカバー部材の装着方向、即ち上下方向でオーバーラップするように設けている。それ故、箱本体とカバー部材の上下方向での空きスペース等を巧く利用して、電気接続箱全体の大型化を回避しつつ、スペース効率よく部品装着部を増設することができるのである。
【0010】
さらに、第一の部品装着部をカバー部材に設けると共に、第二の部品装着部を箱本体の裏面側に設けたことにより、両部品装着部を上下方向でオーバーラップさせて高密度に配索した場合でも、両者の間の絶縁性を確実に図ることができる。しかも、カバー部材と箱本体の2つの部材を隔てて第一および第二の部品装着部が設けられることから、少なくとも何れかの部品装着部に装着される電気部品が高圧リレー等の発熱性の高い部品であっても、他の部品装着部に装着された部品への熱影響を確実に緩和又は阻止することができるのである。
【0012】
本態様によれば、第一および第二の部品装着部のそれぞれの底壁が隙間を隔てて対向配置されていることから、一層の絶縁性および熱対策を確実に図ることができる。
【0013】
本発明の第
二の態様は、前記第
一の態様に記載のものにおいて
、前記第二の部品装着部が、中央支持部から軸方向両側に第一および第二ねじ部が突出する両頭ボルトを収容する両頭ボルト収容部を含んで構成されている一方、前記両頭ボルト収容部が、前記第二の底壁に凹状に開口する支持部収容部と、該支持部収容部の中央部分において前記第二の底壁を貫通する貫通孔を含んで構成されており、前記両頭ボルト収容部の前記支持部収容部に前記両頭ボルトの中央支持部が収容されている一方、前記第一ねじ部が前記貫通孔を挿通して前記内部回路に接続されている一方、前記第二ねじ部が前記第二の部品装着部内に突設されて、装着される電気部品の接続端子に接続されるようになっているものである。
【0014】
本態様によれば、箱本体の裏面を貫通して、両頭ボルトの第一ねじ部と第二ねじ部を箱本体の表面側と裏面側に配設することができる。これにより、少ない部品点数で且つコンパクトな構成で、箱本体の裏面に設けた第二の部品装着部に装着される電気部品を内部回路に導通させることができる。
【0015】
本発明の第
三の態様は、前記第一
または第
二の態様に記載のものにおいて、前記箱本体の前記裏面には、前記第二の部品装着部の開口部を覆蓋する蓋部材が着脱自在に装着されているものである。
【0016】
本態様によれば、箱本体の裏面に開口する第二の部品装着部の開口部が着脱自在な蓋部材によって覆蓋されている。従って、第二の部品装着部の内部や装着される部品の保護を図ることができる。特に、高圧ヒューズが第二の部品装着部に装着される場合など、ヒューズの保護やヒューズ溶断時のヒューズ構成部品の外部への飛び出し等の問題を有利に解決することができる。
【0017】
本発明の第
四の態様は、前記第一乃至第
三の何れか一つの態様に記載のものにおいて、前記第一および第二の部品装着部の少なくとも何れか一方に高圧用の電気部品が装着されるようになっているものである。
【0018】
本態様によれば、高圧用の電気部品を装着する場合でも、電気接続箱の大型化を回避しつつ、部品装着部間の絶縁性や熱対策を有利に確保することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、従来構造の如き箱本体の表面側のカバー部材側だけでなく箱本体の裏面にも第二の部品装着部を設けることができる。しかも第一および第二の部品装着部は上下方向でオーバーラップするように設けていることから、電気接続箱全体の大型化を回避しつつ、スペース効率よく部品装着部を増設できる。また、第一及び第二の部品装着部をそれぞれカバー部材と箱本体の裏面側に設けたことにより、両部品装着部を上下方向でオーバーラップさせて高密度に配索しても、両者の間の絶縁性を確実に確保できる。さらに、カバー部材と箱本体の2つの部材を隔てて第一および第二の部品装着部が設けられることから、何れかの部品装着部に装着される電気部品が高圧リレー等の発熱性の高い部品でも、他の部品装着部に装着された電気部品への熱影響を確実に緩和又は阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態としての電気接続箱を示す分解斜視図。
【
図5】
図2に示す電気接続箱の底面図(但し、蓋部材を除く)。
【
図6】
図2に示す電気接続箱の底面図(但し、蓋部材と高圧ヒューズとナットを除く)。
【
図7】
図3におけるVII−VII断面の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1〜7に、本発明の一実施形態としての電気接続箱10を示す。電気接続箱10は、内部回路を構成するバスバー12や両頭ボルト14が配設された箱本体16と、箱本体16の表面18を覆蓋するカバー部材20、を備えて構成されている。なお、箱本体16とカバー部材20はいずれも、例えばポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)等の合成樹脂により射出成形等によって一体形成されている。また、以下の説明において、上方とは、
図1中の上方、下方とは、
図1中の下方、前方とは、
図3中の左方、後方とは、
図3中の右方を言うものとする。
【0023】
図1〜3に示されているように、カバー部材20は、箱本体16に向かって開口する平面視で略横長矩形状の箱体形状を有している。カバー部材20の表面22の長さ方向(
図3中、左右方向)の両側には、一対の第一の部品装着部24,24が突設されており、高圧用の電気部品である高圧リレー26が装着されている。かかる一対の第一の部品装着部24,24は、カバー部材20の表面22の平面視中央に対して点対称となるように形成されている。第一の部品装着部24は、カバー部材20の表面22から上方に向かって突出する略矩形筒状の周壁部28と、かかる周壁部28によって囲まれたカバー部材20の表面22によって構成された第一の底壁30を有して構成されている。より詳細には、周壁部28を構成する周壁28a〜dのうち、カバー部材20の長さ方向に対向する周壁28a,28cの周方向の中央部には、上下方向に開口する正面視で略矩形状の切欠部32が形成されている。そして、切欠部32の下端部外方のカバー部材20の表面22には、切欠部32に向かって開口し且つ切欠部32の周縁部に連結された略コの字状の周壁部34が突設されている。なお、かかる周壁部34に囲まれたカバー部材20の表面22には、高圧リレー26の出力端子36と後述するバスバー端子66aを接続するためのボルト38を挿通配置するための貫通孔40が貫設されている(
図3参照)。
【0024】
一方、カバー部材20の幅方向の一方の側に位置する周壁28dの内面の周方向の中央部には、第一の部品装着部24の内方及び上方に向かって開口する略逆三角形状の凹み部42が形成されており、高圧リレー26の図示しない一対の入力部の間に設けられた分離壁部46が収容されるようになっている。また、周壁28dの凹み部42を挟んだ周方向の両側には、周壁28dを板厚方向に貫通する一対のボルト挿通孔48,48が貫設されている。
【0025】
また、カバー部材20の表面22には、一対の第一の部品装着部24,24に加えて抵抗51を装着する抵抗装着部50等が突設されている。さらに、カバー部材20の長さ方向(
図3中、左右方向)の両端の周壁部54の下端部が外方に向かって突設されることにより、突設部55が形成されている。かかる突設部55の幅方向(
図3中、上下方向)の中央部には、本発明の電気接続箱10を例えば図示しない車両の所定箇所に固定するためのボルトを挿通するボルト挿通孔56が上下方向に貫設されている。また、ボルト挿通孔56の幅方向両側には、後述する電気接続箱10の一対の出力端子108,108が収容される一対の出力端子収容部60,60が上下方向に貫設されている。加えて、カバー部材20の周壁部54の下端部には、12個のロック片62が形成されている。
【0026】
図1〜4に示されているように、箱本体16は、全体として横長の略矩形ブロック形状を呈しており、箱本体16の表面18には内部回路を構成するバスバー12が配設されている。バスバー12は、銅や銅合金等からなる金属板がプレス打ち抜きおよび屈曲加工等されて形成されており、回路配索形状等を考慮して任意の形状に設定され得る。例えば、バスバー12の端部が屈曲されて形成されたバスバー端子66aは、
図1及び
図4に示されているように、箱本体16の表面18に略角型筒状に突設された締結部品収容部64に図示しない締結部品と共に収容配置されている。そして、かかる締結部品収容部64上に高圧リレー26の出力端子36を載置後、ボルト締めを行うことにより、高圧リレー26がバスバー端子66aを介してバスバー12に導通されるようになっている。
【0027】
また、バスバー12の端部が屈曲されて形成された側面視で略矩形状の二対のバスバー端子66b,66bが、
図1及び
図4に示されているように、箱本体16の表面18上に突出して設けられている。各一対のバスバー端子66b,66bは、各バスバー端子66bが隙間を隔てて併設されて構成されており、各バスバー端子66bの上部の隙間近傍にはボルト挿通孔68が貫設されている。さらに、バスバー12の端部が屈曲されて形成されたバスバー端子66cは、
図1に示されているように、抵抗装着部50に対応する位置において箱本体16の表面18上に突出して設けられている。
【0028】
加えて、箱本体16の長さ方向(
図4中、左右方向)の両端の周壁部70の下端部が外方に向かって突設されることにより、突設部72が形成されている。かかる突設部72の幅方向(
図4中、上下方向)の中央部には、本発明の電気接続箱10を例えば図示しない車両の所定箇所に固定するためのボルトを挿通するボルト挿通部74が上下方向に貫設されている。また、ボルト挿通部74の幅方向両側には、突設部72の裏面側から挿通されて突設部72の表面側に雄ネジ部が突出された状態で締結固定された一対のスタッドボルト76,76が配設されている。さらに、箱本体16の周壁部70の下端部には、カバー部材20のロック片62に対応する位置において、12個のロック爪78が突設されている。
【0029】
一方、箱本体16の裏面80には、
図5〜7に示されているように、カバー部材20側に向かって凹む凹状の第二の部品装着部82が開口形成されており、高圧用の電気部品である高圧ヒューズ84が装着されるようになっている。また、第二の部品装着部82は、箱本体16の裏面80によって構成される第二の底壁88を有している。さらに、第二の部品装着部82の長さ方向(
図5〜7中、左右方向)中央部には、カバー部材20側に向かって凹む凹状のヒューズ本体収容部86が開口形成されており、高圧ヒューズ84のヒューズ本体89が収容配置されるようになっている。高圧ヒューズ84は、略円柱形状のヒューズ本体89と、ヒューズ本体89から長さ方向外方に向かって突設された平面視で略矩形状の一対の接続端子90,90を備えて構成されており、接続端子90の中央部にはボルト挿通孔92が貫設されている。
【0030】
第二の部品装着部82の長さ方向の両端部には、両頭ボルト14を収容する両頭ボルト収容部94を含んで構成されている。両頭ボルト14は、
図1に示されているように、略矩形平板状の中央支持部96から軸方向両側に向って第一および第二ねじ部98,100が棒状に突出して構成されている。より詳細には、両頭ボルト収容部94は、第二の底壁88に略矩形凹状に開口する支持部収容部102と、支持部収容部102の中央部分において第二の底壁88を貫通する略円形断面形状の貫通孔104を含んで構成されている。
【0031】
そして、
図1〜2に示されているように、このような構成とされた箱本体16の表面18がカバー部材20により覆蓋されるようになっている。これにより、カバー部材20の周壁部54の下端部に設けられたロック片62が、箱本体16の周壁部70の下端部に設けられたロック爪78に嵌合されることで、カバー部材20が箱本体16に対して固定されるようになっている。かかる嵌合状態において、第一の部品装着部24の周壁部34内には、箱本体16の表面18に突設され且つバスバー端子66aが配設された締結部品収容部64が収容配置されている。また、第一の部品装着部24の周壁28dの図示しない下方開口部からバスバー端子66bが挿入されて周壁28dの内面に沿って収容配置されている。これにより、第一の部品装着部24に高圧リレー26を装着後、高圧リレー26の出力端子36を締結部品収容部64にボルト固定する一方、高圧リレー26の図示しない入力部にバスバー端子66bをボルト固定することができるようになっている。それ故、バスバー端子66a,66bを介して内部回路を構成するバスバー12に高圧リレー26を接続できるのである。
【0032】
また、かかる嵌合状態において、抵抗装着部50に対しても同様にバスバー端子66cが収容配置されている。これにより、抵抗51を抵抗装着部50に装着することにより、バスバー端子66cを介して内部回路を構成するバスバー12に抵抗51を接続できるようになっている。加えて、カバー部材20の突設部55には、スタッドボルト76の雄ネジ部からなる電気接続箱10の出力端子108が突設されており、図示しない外部回路の出力端子と接続可能とされている(
図3参照)。
【0033】
次に、第二の部品装着部82に高圧ヒューズ84を装着する。より詳細には、
図1及び
図7に示されているように、両頭ボルト収容部94の支持部収容部102に両頭ボルト14の中央支持部96が収容され且つ第一ねじ部98が支持部収容部102の貫通孔104を挿通してバスバー12のボルト挿通孔110に挿通された状態で、箱本体16の表面18側よりナット112を用いて締結する。これにより、第一ねじ部98が内部回路を構成するバスバー12に接続される。続いて、第二の部品装着部82内に突設された第二ねじ部100を、装着される高圧ヒューズ84の接続端子90に接続する。より詳細には、高圧ヒューズ84の接続端子90のボルト挿通孔92に対して第二ねじ部100を挿通後、箱本体16の裏面80側からナット114を用いて接続することにより、第二ねじ部100が高圧ヒューズ84の接続端子90に接続される。以上の結果、箱本体16の裏面80を貫通して、両頭ボルト14の第一ねじ部98と第二ねじ部100を箱本体16の表面18側と裏面80側に配設することができる。それ故、少ない部品点数で且つコンパクトな構成で、箱本体16の裏面80に設けた第二の部品装着部82に装着される高圧ヒューズ84をバスバー12に導通させることができるのである。
【0034】
最後に、箱本体16の裏面80に設けられた第二の部品装着部82の開口部を合成樹脂製の蓋部材116によって覆蓋する。蓋部材116は、箱本体16に向かって開口する平面視で第二の部品装着部82の開口部と同形状の略横長矩形箱体形状を有している。蓋部材116の周壁部118には4個のロック片120が形成されている。そして、第二の部品装着部82の開口部の周縁部から下方に向かって突設された周壁部122の外面に突設された4個のロック爪124と嵌合することにより、蓋部材116は第二の部品装着部82の開口部に対して着脱自在に装着されるようになっている。すなわち、蓋部材116を第二の部品装着部82に嵌合後に、ロック片120を第2の第二の部品装着部82の周壁部122から離隔するように弾性変形させることにより、ロック片120とロック爪124の嵌合が解除可能となっている。この結果、第二の部品装着部82内に装着される高圧ヒューズ84等の保護を図ることができる。さらに、高圧ヒューズ84溶断時の高圧ヒューズ84の構成部品の外部への飛び出し等の問題を有利に解決することができる。
【0035】
かかる組み付け状態において、
図3に示されているように、カバー部材20に設けられた第一の部品装着部24と、箱本体16の裏面80に設けられた第二の部品装着部82が、平面視すなわち箱本体16へのカバー部材20の装着方向において、オーバーラップするように設けられている。また、
図7に示されているように、上下方向すなわち箱本体16へのカバー部材20の装着方向において、第一の底壁30と第二の底壁88が隙間126を隔てて対向配置されている。
【0036】
このような構造とされた本実施形態の電気接続箱10によれば、カバー部材20の表面22に第一の部品装着部24が設けられる一方、箱本体16の裏面80に第二の部品装着部82を設けることができる。しかも、第一および第二の部品装着部24,82が、箱本体16へのカバー部材20の装着方向すなわち上下方向でオーバーラップするように設けられている。それ故、箱本体16とカバー部材20の上下方向での空きスペース等を巧く利用して、電気接続箱10全体の大型化を回避しつつ、スペース効率よく部品装着部24,82を増設することができるのである。
【0037】
また、カバー部材20の表面22に第一の部品装着部24を設ける一方、箱本体16の裏面80に第二の部品装着部82を設けたことにより、両部品装着部24,82を上下方向でオーバーラップさせて高密度に配索した場合でも、両者の間の電気的な絶縁性は勿論のこと、相互の熱の影響についても確実に緩和又は阻止することができる。しかも、第一および第二の部品装着部24,82のそれぞれの底壁30,88が隙間126を隔てて対向配置されていることから、一層の絶縁性および熱対策を確実に図ることができる。従って、高圧用の電気部品26,84を装着する場合でも、電気接続箱10の大型化を回避しつつ、部品装着部24,82間の絶縁性や熱対策を有利に確保することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前述の実施形態では、回路基板はバスバー12を含んで構成されていたが、プリント基板を含んで構成されていてもよい。また、前述の実施形態では、第一および第二の部品装着部24,82の装着される電気部品として高圧の電気部品である高圧リレー26や高圧ヒューズ84を例示したが、これらに限定されるものでは勿論ない。
【符号の説明】
【0039】
10 電気接続箱、12:バスバー(内部回路)、14:両頭ボルト(内部回路)、16:箱本体、18:表面(箱本体)、20:カバー部材、22:表面(カバー部材)、24:第一の部品装着部、26:高圧リレー(高圧用の電気部品)、30:第一の底壁、80:裏面(箱本体)、82:第二の部品装着部、84:高圧ヒューズ(高圧用の電気部品)、88:第二の底壁、90:接続端子、92:ボルト挿通孔、94:両頭ボルト収容部、96:中央支持部、98:第一ねじ部、100:第二ねじ部、102:支持部収容部、104:貫通孔、116:蓋部材、126:隙間