特許第6233291号(P6233291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233291
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/10 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   G03G21/10
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-259039(P2014-259039)
(22)【出願日】2014年12月22日
(65)【公開番号】特開2016-118700(P2016-118700A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2016年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】今仲 浩一
【審査官】 田代 憲司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−258315(JP,A)
【文献】 特開2010−078797(JP,A)
【文献】 特開2012−103511(JP,A)
【文献】 特開2012−103323(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0257798(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/10
G03G 21/12
G03G 15/08
G03G 15/16
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変位可能に支持された変位部材と、
前記変位部材を粉状の現像剤の移動経路における落下経路から離隔した第1位置と少なくとも一部が前記落下経路内に進入した第2位置との間で変位させる駆動機構と、を備え、
前記落下経路は、傾斜面上の傾斜滑走経路および前記傾斜滑走経路の下部に連なり鉛直方向に沿って形成された鉛直落下経路を含み、
前記駆動機構は、前記変位部材を前記第1位置とその一部が前記傾斜滑走経路から前記鉛直落下経路に亘る範囲に位置する前記第2位置との間で変位させ
前記駆動機構は、前記変位部材の下方末端が前記落下経路の上方へ離隔した前記第1位置と前記変位部材の下方末端が前記傾斜滑走経路から前記傾斜滑走経路に対向する前記鉛直落下経路の面にまたがって傾いた状態で位置する前記第2位置との間で変位させる、画像形成装置。
【請求項2】
前記変位部材が、前記駆動機構の支持部によって垂下状態で支持されているとともに、前記支持部に支持された上方の被支持部よりも大きな輪郭で形成された下方末端の大径部を有し、
前記大径部の直径が前記鉛直落下経路の幅よりも大きい、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記移動経路における前記落下経路の上部に連なり横方向に沿って形成された横移動経路内において回転することにより前記現像剤を横方向へ搬送する横搬送部材を備え、
前記駆動機構は、前記横搬送部材の回転動作を前記変位部材に連結された支持部の往復動作へ変換するリンク機構である、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記変位部材および前記駆動機構が、内部に前記移動経路を形成するケーシングに内包されている、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記変位部材が螺旋状に形成され弾性変形可能な螺旋部を含み、
前記第2位置において、前記変位部材の前記大径部は前記螺旋部の弾性変形方向に沿って前記傾斜滑走経路を押圧する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記落下経路を含む前記現像剤の前記移動経路が、前記現像剤を用いて画像を形成する画像形成部から廃現像剤収容部へ至る使用後の前記現像剤の移動経路である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状の現像剤を用いて画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の画像形成装置において、トナーを含む粉状の現像剤を用いて画像が形成される。前記現像剤は、ケーシング内に形成された移動経路に沿って、スクリュー式搬送部などの搬送部によって搬送される。その際、未使用の前記現像剤が現像剤補給部から画像形成部へ搬送され、さらに、使用後の前記現像剤が、前記画像形成部から廃現像剤収容部へ搬送される。
【0003】
また、前記現像剤の前記移動経路が、落下経路を一部に含む場合がある。前記落下経路は、前記現像剤が自重で落下する経路である。前記落下経路は、傾斜面上の傾斜滑走経路および鉛直方向に沿って形成された鉛直落下経路の一方または両方を含む。
【0004】
前記現像剤は、機械的ストレス又は紙粉等の不純物の混入によって流動性が低下したときに前記移動経路の壁面に固着し易くなる。前記現像剤の固着は、前記落下経路の壁面において生じやすい。前記現像剤が前記移動経路の壁面に固着すると前記移動経路が詰まり、各種の不都合が生じる。
【0005】
前記画像形成装置において、2つの搬送路の接続部に配置されたバネ状の搬送部材が、回転しつつ往復運動することによって前記現像剤の詰まりを防止することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−122362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記画像形成装置において、回転式の搬送部材を前記落下経路内に設けることができない場合、前記落下経路における前記現像剤の詰まりを防止することが難しい。
【0008】
本発明の目的は、現像剤の移動経路における落下経路に回転式の搬送部材を設けることなく、その落下経路における現像剤の詰まりを防止できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、変位部材と駆動機構とを備える。前記変位部材は、変位可能に支持された部材である。前記駆動機構は、前記変位部材を粉状の現像剤の移動経路における落下経路から離隔した第1位置と少なくとも一部が前記落下経路内に進入した第2位置との間で変位させる機構である。前記落下経路は、傾斜面上の傾斜滑走経路および前記傾斜滑走経路の下部に連なり鉛直方向に沿って形成された鉛直落下経路を含む。前記駆動機構は、前記変位部材を前記第1位置とその一部が前記傾斜滑走経路から前記鉛直落下経路に亘る範囲に位置する前記第2位置との間で変位させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像剤の移動経路における落下経路に回転式の搬送部材を設けることなく、その落下経路における現像剤の詰まりを防止できる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
図2図2は、実施形態に係る画像形成装置が備える現像部の概略断面図である。
図3図3は、実施形態に係る画像形成装置が備える現像剤搬送機構の一部切り欠き概略平面図である。
図4図4は、実施形態に係る画像形成装置が備える廃現像剤排出ユニットの斜視図である。
図5図5は、実施形態に係る画像形成装置が備える廃現像剤排出ユニットの分解斜視図である。
図6図6は、実施形態に係る画像形成装置が備える廃現像剤排出ユニットにおける廃現像剤回収容器およびその周辺の縦断面図である。
図7図7は、実施形態に係る画像形成装置が備える廃現像剤排出ユニットにおける堆積現像剤崩し機構の部分の斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る画像形成装置が備える第2廃現像剤搬送部材および堆積現像剤崩し機構の斜視図である。
図9図9は、実施形態に係る画像形成装置が備える廃現像剤排出ユニットにおける堆積現像剤崩し機構の部分の第1の概略側断面図である。
図10図10は、実施形態に係る画像形成装置が備える廃現像剤排出ユニットにおける堆積現像剤崩し機構の部分の第2の概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0013】
[画像形成装置10の構成]
以下、図1〜6を参照しつつ、実施形態に係る画像形成装置10について説明する。画像形成装置10は、粉状の現像剤90を用いて画像を形成する電子写真方式の画像形成装置である。現像剤90はトナーを含む。
【0014】
図1が示す例では、画像形成装置10はタンデム型画像形成装置であり、カラープリンターである。画像形成装置10の他の例は、コピー機、ファクシミリ装置または画像形成機能を有する複合機などである。
【0015】
画像形成装置10は、筐体100内にシート供給部2、シート搬送部3、複数の現像剤補給部40、複数の画像形成部4、光走査部51、二次転写部52、定着部53および中間転写ベルト48などを備える。
【0016】
シート供給部2は、筐体100に着脱可能なシートカセット21と、シートカセット21に収容された記録シート9を画像形成部4へ送り出すシート送出部22とを備える。記録シート9は、紙、コート紙、ハガキ、封筒、およびOHPシートなどのシート状の画像形成媒体である。
【0017】
シート送出部22は、記録シート9を1枚ずつシートカセット21内からピックアップするとともに、その記録シート9をさらにシート搬送部3のシート搬送路300へ送り出す。
【0018】
シート搬送部3は、レジストローラー31、搬送ローラー32および排出ローラー33などを備える。レジストローラー31および搬送ローラー32が、記録シート9をシート搬送路300に沿って搬送する。さらに、排出ローラー33が、シート搬送路300の途中で画像が形成された記録シート9をシート搬送路300の排出口から排出トレイ101上へ排出する。
【0019】
現像剤補給部40および画像形成部4は、現像剤90の色ごとに設けられている。複数の現像剤90の色は、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックである。各色の現像剤90は、現像剤補給部40各々から画像形成部4各々へ供給される。例えば、現像剤補給部40各々は、筐体100に対して取り外し可能に装着されている。
【0020】
現像剤補給部40各々は、現像剤90を収容する補給容器から後述する現像部43へ現像剤90を送り出す。例えば、現像剤補給部40各々から送り出された現像剤90が直接現像部43へ補給されることが考えられる。また、現像剤補給部40各々から送り出された現像剤90、不図示の中間搬送部を通じて現像部43へ補給されることも考えられる。
【0021】
画像形成部4各々は、回転する無端の中間転写ベルト48に沿う位置にそれぞれ配置されている。画像形成部4各々は、回転する中間転写ベルト48の表面にそれぞれ異なる色の画像(トナー像)を重ねて形成する。
【0022】
画像形成部4各々は、ドラム状の感光体41、帯電部42、現像部43、一次転写部45および一次クリーニング部47などを備える。感光体41は像担持体の一例である。
【0023】
中間転写ベルト48は、環状に形成された無端の帯状部材である。中間転写ベルト48は、2つのローラーに架け渡された状態で回転する。画像形成部4各々において、感光体41が中間転写ベルト48の周速度に応じた周速度で回転し、帯電部42が感光体41の表面を一様に帯電させる。
【0024】
さらに、不図示のレーザー光源、ポリゴンミラー511および偏向用光学機器512を有する光走査部51がレーザー光を走査する。これにより、光走査部51は、帯電した感光体41の表面に静電潜像を書き込む。
【0025】
現像部43は、現像剤90を感光体41に供給する現像ローラー431を有する。現像部43は、現像ローラー431によって感光体41に現像剤90を供給することにより、前記静電潜像を現像する。なお、現像ローラー431が現像スリーブと称される場合もある。また、光走査部51は、一般にレーザースキャニングユニット(LSU)などと称される。
【0026】
さらに、一次転写部45が、感光体41表面に形成された現像剤90の像を中間転写ベルト48の表面に転写する。二次転写部52は、中間転写ベルト48の表面に転写された現像剤90の像を、シート搬送路300を移動中の記録シート9に対して転写する。
【0027】
定着部53は、ハロゲンヒーターなどのヒーター5310を内包する定着ローラー531と加圧ローラー532との間に画像が形成された記録シート9を挟み込み、後工程へ送り出す。これにより、定着部53は、記録シート9上の現像剤を加熱し、記録シート9上に画像を定着させる。
【0028】
一次クリーニング部47は、感光体41表面に残存する現像剤90を除去することにより感光体41表面を清掃する。以下の説明において、感光体41表面から除去された現像剤90、即ち、使用後の現像剤90のことを廃現像剤900と称する。
【0029】
図2が示す例では、一次クリーニング部47は、感光体41の表面から現像剤90を除去するクリーニングブレード471およびクリーニングローラー472と、廃現像剤受部470とを備える。なお、図2において、感光体41が仮想線(2点鎖線)で示されている。
【0030】
廃現像剤受部470は、クリーニングブレード471およびクリーニングローラー472によって感光体41の表面から除去された廃現像剤900を一時的に収容する。画像形成装置10は、廃現像剤受部470内の廃現像剤900を廃現像剤回収容器700まで搬送する廃現像剤搬送機構7をさらに備える。なお、廃現像剤回収容器700は廃現像剤収容部の一例である。
【0031】
[廃現像剤搬送機構7]
以下、図3〜6を参照しつつ、廃現像剤搬送機構7について説明する。廃現像剤搬送機構7は、第1ケーシング71、第1横搬送部材711および廃現像剤排出ユニット70を備える。廃現像剤排出ユニット70は、第2ケーシング72、第2横搬送部材721、堆積現像剤崩し機構8および廃現像剤回収容器700を備える。
【0032】
第1ケーシング71は、横方向に沿う廃現像剤900の搬送路を形成する部分である。例えば、第1ケーシング71は、横方向に沿って支持された筒状の部材である。第1横搬送部材711は、第1ケーシング71が形成する搬送路内において回転することによって廃現像剤900を横方向へ搬送する部材である。
【0033】
なお、前記横方向は、水平方向(真横の方向)および水平方向に対して僅かに傾斜した方向、例えば、水平方向に対して45度未満の鋭角を成す方向(斜め横方向)を含む。
【0034】
以下の説明において、第1ケーシング71における廃現像剤900の搬送路のことを第1横搬送路710と称する。第1ケーシング71は、第1横搬送路710に配置された第1横搬送部材711を内包する。また、第1横搬送部材711が廃現像剤900を搬送する方向を第1横方向R1と称する。
【0035】
例えば、第1横搬送部材711は、回転軸部とその回転軸部の周囲に螺旋状に形成された羽根部とを有する搬送スクリューである。なお、第1横搬送部材711がコイル状の部材であることも考えられる。
【0036】
第1横搬送路710は、現像部43の廃現像剤受部470内に連通している。また、第1横搬送部材711は、第1横方向R1に沿って廃現像剤受部470内から第1横搬送路710までに亘って一連に形成されている。この場合、第1横方向R1は、感光体41の回転中心線に平行な方向であり、いわゆる主走査方向である。
【0037】
また、第1ケーシング71における第1横方向R1の下流側の端部付近には、廃現像剤900の下方への出口を成す下側開口712が形成されている。
【0038】
従って、第1横搬送部材711が回転すると、廃現像剤900は、廃現像剤受部470内から第1横搬送路710へ搬送され、さらに、第1横搬送路710内を第1横方向R1に沿って搬送された後、下側開口712から落下する。
【0039】
廃現像剤排出ユニット70は、複数の第1ケーシング71各々の下側開口712から落下する廃現像剤900を廃現像剤回収容器700内まで搬送するための部品の集合体である。
【0040】
廃現像剤排出ユニット70の第2ケーシング72は、複数の第1ケーシング71各々の下側開口712から落下する廃現像剤900が通る横方向の移動経路を内部に形成する部材である。従って、第2ケーシング72には、第1ケーシング71各々の下側開口712に連通する複数の上側開口725が形成されている。
【0041】
第1ケーシング71および第2ケーシング72は、後述する落下経路722を含む現像剤90の移動経路を内部に形成している。本実施形態における前記移動経路は、現像剤90を用いて画像を形成する画像形成部4から廃現像剤回収容器700へ至る廃現像剤900が移動する経路である。
【0042】
以下の説明において、第2ケーシング72がその内部に形成する廃現像剤900の移動経路のことを第2横搬送路720と称する。第2ケーシング72は、第2横搬送路720に配置された第2横搬送部材721を内包する。第2横搬送部材721が廃現像剤900を搬送する方向を第2横方向R2と称する。
【0043】
第2ケーシング72は、相互に組み合わされた第1樹脂部材72aおよび第2樹脂部材72bを含む。第2横搬送部材721は、第2ケーシング72が形成する搬送路内において回転することによって廃現像剤900を横方向へ搬送する部材である。
【0044】
例えば、第2横搬送部材721は、回転軸部とその回転軸部の周囲に螺旋状に形成された羽根部とを有する搬送スクリューである。なお、第1横搬送部材711がコイル状の部材であることも考えられる。
【0045】
画像形成装置10は、不図示のモーターなどの駆動源もさらに備える。第1横搬送部材711および第2横搬送部材721は、前記駆動源およびその駆動源の動きに連動するギア機構などによって回転駆動される。
【0046】
図3が示すように、画像形成装置10は、複数の第1ケーシング71と、それと同数の複数の第1横搬送部材711とを備える。第1ケーシング71および第1横搬送部材711、現像部43ごとに、即ち、現像剤90の色ごとに設けられている。
【0047】
一方、第2ケーシング72および第2横搬送部材721は、複数の第1ケーシング71および複数の第1横搬送部材711に対して共通の部分である。複数の第1ケーシング71は、第2横方向R2において間隔を空けて配列されている。
【0048】
第2横搬送路720の後段には落下経路722が形成されている。第2横搬送路720は、廃現像剤900の前記移動経路における落下経路722の上部に連なり横方向に沿って形成された横移動経路の一例である。第2横搬送部材721は、第2横搬送路720内において回転することにより廃現像剤900を横方向へ搬送する。
【0049】
第2横搬送路720に落下した廃現像剤900は、回転する第2横搬送部材721によって第2横搬送路720内において第2横方向R2へ搬送される。さらに、廃現像剤900は、第2横搬送路720における第2横方向R2の下流側の端部付近まで搬送された後、第2ケーシング72内に形成された落下経路722を通って廃現像剤回収容器700内へ落下する。これにより、使用済みの全色の廃現像剤900が1つの廃現像剤回収容器700内に回収される。
【0050】
なお、落下経路722は、現像剤90の移動経路の一部であり、粉状の廃現像剤900が自重により落下する経路である。本実施形態における現像剤90の移動経路は、第1横搬送路710、第2横搬送路720および落下経路722を含む。第1横搬送路710および第2横搬送路720において、廃現像剤900は、回転する横搬送部材711,721によって搬送されることにより移動する。
【0051】
現像剤90は、機械的ストレス又は紙粉等の不純物の混入によって流動性が低下したときに前記移動経路の壁面に固着し易くなる。廃現像剤900は、クリーニングブレード471およびクリーニングローラー472などによって機械的ストレスを受けているため特に固着しやすい。
【0052】
廃現像剤900の固着は、落下経路722の壁面において生じやすい。廃現像剤900などの現像剤90が前記移動経路の壁面に固着すると前記移動経路が詰まり、各種の不都合が生じる。
【0053】
ところで、画像形成装置10において、回転式の搬送部材を落下経路722内に設けることができない場合がある。この場合、落下経路722における廃現像剤900の詰まりを防止することが難しい。
【0054】
画像形成装置10は、現像剤90の移動経路における落下経路722に回転式の搬送部材を設けることなく、その落下経路722における廃現像剤900の詰まりを防止できる構造を有している。即ち、画像形成装置10の廃現像剤排出ユニット70は、廃現像剤900の詰まりを防止するため堆積現像剤崩し機構8を備える。
【0055】
[堆積現像剤崩し機構8]
以下、図7〜10を参照しつつ、堆積現像剤崩し機構8について説明する。堆積現像剤崩し機構8は、落下経路722における廃現像剤900の堆積物を崩す機構である。
【0056】
落下経路722は、傾斜面724上の傾斜滑走経路7221を含む。傾斜面724は、第2ケーシング72における落下経路722の周囲に形成された壁面の一部である。
【0057】
傾斜滑走経路7221において、廃現像剤900は傾斜面724上を滑り落ちる。本実施形態における落下経路722は、傾斜滑走経路7221に加え鉛直落下経路7222も含む。鉛直落下経路7222は、傾斜滑走経路7221の下方に連なり、鉛直方向に沿って形成されている。
【0058】
廃現像剤900は、傾斜面724上を傾斜滑走経路7221に沿って斜め下方R3へ滑り落ち、続いて鉛直落下経路7222に沿って鉛直下方R4へ落下する。
【0059】
堆積現像剤崩し機構8は、変位可能に支持された変位部材81と、変位部材81を変位させる駆動機構82とを備える。変位部材81は、その一部が廃現像剤900の堆積物に接触し得る部材である。
【0060】
本実施形態における変位部材81は、被支持部811および螺旋部812を含む。被支持部811は、駆動機構82の支持部8430に支持される部分である。螺旋部812は、螺旋状に形成され弾性変形可能な部分である。被支持部811は、駆動機構82の支持部8430に支持されている。螺旋部812は、被支持部811に連なって形成されている。
【0061】
変位部材81は、駆動機構82の支持部8430によって垂下状態で支持されている。変位部材81の被支持部811は、支持部8430に連結されている。さらに、変位部材81は、支持部8430に支持された上方の被支持部811よりも大きな輪郭で形成された下方末端の大径部8120を有している。
【0062】
本実施形態における大径部8120は、螺旋部812における被支持部811に対し反対側の末端部である。図6〜10が示す例では、螺旋部812は、被支持部811側からその反対側へ徐々に輪郭が大きくなる螺旋状に形成されている。
【0063】
駆動機構82は、変位部材81を落下経路722から離隔した第1位置と変位部材81の一部が落下経路722内に進入した第2位置との間で変位させる機構である。図9は、変位部材81が前記第1位置に位置する状態を示し、図10は、変位部材81が前記第1位置よりも下方の前記第2位置に位置する状態を示す。なお、図9,10において、駆動機構82が簡略化されて仮想線(2点鎖線)で表されている。
【0064】
図9,10が示すように、変位部材81が前記第1位置に位置する状態において変位部材81全体が落下経路722の上方に位置する。即ち、前記第1位置に位置する変位部材81は、第2ケーシング72内における落下経路722の上方に形成された退避スペース723内に収まる。
【0065】
また、変位部材81が前記第2位置に位置する状態において変位部材81の大径部8120が落下経路722内に位置する。大径部8120は、変位部材81における下方の末端部である。
【0066】
本実施形態において、変位部材81における落下経路722に進入する部分が大径部8120であり、その他の部分は大径部8120よりも小さな輪郭で形成されている。そのため、落下経路722の上方の退避スペース723は、比較的小さなスペースで足りる。
【0067】
変位部材81が前記第1位置へ随時退避することにより、廃現像剤900が変位部材81に堆積しにくい。さらに、変位部材81が前記第2位置へ随時変位することにより、落下経路722における廃現像剤900の堆積物は、比較的小さな段階で変位部材81と接触することによって崩される。
【0068】
従って、画像形成装置10が採用されれば、廃現像剤900の落下経路722に回転式の搬送部材を設けることなく、その落下経路722における廃現像剤900の詰まりを防止できる。
【0069】
図10が示す例では、変位部材81が前記第2位置に位置する状態において、大径部8120が傾斜滑走経路7221から鉛直落下経路7222に亘る範囲に位置する。即ち、駆動機構82は、変位部材81を前記第1位置とその大径部8120が傾斜滑走経路7221から鉛直落下経路7222に亘る範囲に位置する前記第2位置との間で変位させる。
【0070】
従って、堆積現像剤崩し機構8は、傾斜滑走経路7221および鉛直落下経路7222の両方において廃現像剤900の詰まりを防止できる。
【0071】
図10が示すように、垂下状態で支持された変位部材81が前記第2位置に位置する状態において、変位部材81の大径部8120が傾斜滑走経路7221から鉛直落下経路7222に亘る範囲に傾いた状態で位置する。そのため、大径部8120が傾斜滑走経路7221からより下方の鉛直落下経路7222にまで到達し、より効果的に廃現像剤900の堆積物を崩すことができる。
【0072】
さらに、変位部材81は、前記第2位置へ変位すると支持部8430と傾斜面724との間に挟み込まれ、これにより螺旋部812が収縮する。そのため、変位部材81が落下経路722内の廃現像剤900の堆積物を強い力で崩すことができるとともに、変位部材81と傾斜面724との接触により生じる音が緩和される。
【0073】
さらに、螺旋部812が随時変形するため、仮に廃現像剤900が螺旋部812に付着した場合でも、廃現像剤900が螺旋部812から剥げ落ちる。
【0074】
本実施形態における駆動機構82は、第2横搬送部材721の回転動作を変位部材81に連結された支持部8430の往復動作へ変換するリンク機構である。そのため、駆動機構82用の特別な駆動源を設ける必要がなく、構造を簡素化できる。
【0075】
図7,8が示す例では、駆動機構82は、クランク部83とクランク部83と係り合うことによって揺動する揺動部84とを含む。クランク部83は、回転軸連結部831、第1鍔部832、回動部833、第2鍔部834および第1支軸部835を有する。
【0076】
回転軸連結部831と第1鍔部832とが繋がっており、回動部833が第1鍔部832と第2鍔部834とに繋がっており、第2鍔部834が第1支軸部835と繋がっている。回動部833は、第1鍔部832と第2鍔部834とを間隔を隔てて連結している。
【0077】
回転軸連結部831は、第2横搬送部材721の前記回転軸部に連結されている。第2横搬送部材721の前記回転軸部、回転軸連結部831および第1支軸部835は、第2横搬送部材721の回転中心線Qに沿って形成されている。第1支軸部835は、第2横搬送部材721を回転可能に支持する不図示の軸支持部に支持される。前記軸支持部は、第2ケーシング72の一部である。
【0078】
一方、揺動部84は、第2支軸部841、第1アーム部842および第2アーム部843を有している。第2支軸部841は、第2ケーシング72の一部に回転自在に支持されている。
【0079】
第1アーム部842および第2アーム部843は、第2支軸部841からそれぞれ異なる方向へ張り出して形成されている。第1アーム部842には、クランク部83の回動部833と係り合う係合部8420が形成されている。係合部8420は、クランク部83における第1鍔部832と第2鍔部834との間に挿入されている。
【0080】
図7,8が示す例では、係合部8420は、回動部833が摺動可能な状態で挿入された切れ込み部分である。第2アーム部843には、変位部材81の被支持部811が連結された支持部8430が形成されている。
【0081】
第2横搬送部材721が回転すると、回動部833が第2横搬送部材721の回転中心線Qの周囲を回動する。回動部833が回動すると、回動部833に係り合った第1アーム部842の係合部8420が第2支軸部841を中心とする円弧に沿って往復変位する。さらに、第2アーム部843の支持部8430が、第1アーム部842の動きに連動し、上下方向において往復変位する。その結果、変位部材81が前記第1位置と前記第2位置との間で往復変位する。
【0082】
変位部材81および駆動機構82は、落下経路722を含む前記移動経路を内部に形成する第2ケーシング72内に内包されている。この場合、駆動機構82が設けられても、廃現像剤900の移動経路およびその周辺に第2ケーシング72の外に通じる隙間が生じない。駆動機構82が廃現像剤900の飛散の原因となることが回避される。
【0083】
[応用例]
以上に示された画像形成装置10において、駆動機構82が、クランク部83および揺動部84を含むリンク機構以外の機構により構成されていてもよい。例えば、駆動機構82がカム機構を含む機構であることも考えられる。
【0084】
また、画像形成装置10において、堆積現像剤崩し機構8が、現像剤補給部40から現像部43へ至る現像剤90の移動経路に設けられることも考えられる。
【0085】
なお、本発明に係る画像形成装置は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された実施形態及び応用例を自由に組み合わせること、或いは実施形態及び応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。
【符号の説明】
【0086】
2 :シート供給部
3 :シート搬送部
4 :画像形成部
7 :廃現像剤搬送機構
8 :機構
9 :記録シート
10 :画像形成装置
21 :シートカセット
22 :シート送出部
31 :レジストローラー
32 :搬送ローラー
33 :排出ローラー
40 :現像剤補給部
41 :感光体
42 :帯電部
43 :現像部
45 :一次転写部
47 :一次クリーニング部
48 :中間転写ベルト
51 :光走査部
52 :二次転写部
53 :定着部
70 :廃現像剤排出ユニット
71 :第1ケーシング
72 :第2ケーシング
72a :第1樹脂部材
72b :第2樹脂部材
81 :変位部材
82 :駆動機構
83 :クランク部
84 :揺動部
90 :現像剤
100 :筐体
101 :排出トレイ
300 :シート搬送路
431 :現像ローラー
470 :廃現像剤受部
471 :クリーニングブレード
472 :クリーニングローラー
511 :ポリゴンミラー
512 :偏向用光学機器
531 :定着ローラー
532 :加圧ローラー
700 :廃現像剤回収容器(廃現像剤収容部)
710 :第1横搬送路(現像剤の移動経路)
711 :第1横搬送部材
712 :下側開口
720 :第2横搬送路(現像剤の移動経路)
721 :第2横搬送部材
722 :落下経路(現像剤の移動経路)
723 :退避スペース
724 :傾斜面
725 :上側開口
811 :被支持部
812 :螺旋部
831 :回転軸連結部
832 :第1鍔部
833 :回動部
834 :第2鍔部
835 :第1支軸部
841 :第2支軸部
842 :第1アーム部
843 :第2アーム部
900 :廃現像剤(現像剤)
5310 :ヒーター
7221 :傾斜滑走経路
7222 :鉛直落下経路
8120 :大径部
8420 :係合部
8430 :支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10