特許第6233299号(P6233299)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6233299-カラー反射型表示装置及びその製造方法 図000002
  • 特許6233299-カラー反射型表示装置及びその製造方法 図000003
  • 特許6233299-カラー反射型表示装置及びその製造方法 図000004
  • 特許6233299-カラー反射型表示装置及びその製造方法 図000005
  • 特許6233299-カラー反射型表示装置及びその製造方法 図000006
  • 特許6233299-カラー反射型表示装置及びその製造方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233299
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】カラー反射型表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20171113BHJP
   G02F 1/167 20060101ALI20171113BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20171113BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G09F9/30 349A
   G02F1/167
   G02B5/20 101
   G09F9/00 338
   G09F9/00 342
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-506253(P2014-506253)
(86)(22)【出願日】2013年3月19日
(86)【国際出願番号】JP2013057888
(87)【国際公開番号】WO2013141257
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年2月19日
(31)【優先権主張番号】特願2012-68066(P2012-68066)
(32)【優先日】2012年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】小橋 康裕
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−095339(JP,A)
【文献】 特開2000−238408(JP,A)
【文献】 特開2000−043405(JP,A)
【文献】 特開2008−272972(JP,A)
【文献】 特開2010−127985(JP,A)
【文献】 特開2011−215501(JP,A)
【文献】 特開2008−116895(JP,A)
【文献】 特開2008−233434(JP,A)
【文献】 特開2011−065037(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/146810(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20 − 5/28 、
G02F 1/15 − 1/19 、
G09F 9/00 − 9/46 、
H01L27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に、電極パターン層、反射型表示材料層、光透過性電極層、透明樹脂膜、カラーフィルタ層を順次積層して形成されるカラー反射型表示装置パネルを備えたカラー反射型表示装置であって、
前記反射型表示材料層から前記カラーフィルタ層までの距離をC(μm)とし、前記カラーフィルタ層のインク定着画素間の距離をD(μm)とし、
(0.54×C)−15が負の値でない場合に、(0.54×C)−15≦D≦(0.54×C)の条件を満たし、
(0.54×C)−15が負の値の場合に、0<D≦(0.54×C)の条件を満たす、ことを特徴とする、カラー反射型表示装置。
【請求項2】
前記カラー反射型表示装置パネルのサイズは、210mm×297mm以下であることを特徴とする、請求項1のカラー反射型表示装置。
【請求項3】
前記反射型表示材料層から前記カラーフィルタ層までの距離Cは、10μm以上、150μm以下であることを特徴とする、請求項1のカラー反射型表示装置。
【請求項4】
基板の上に、電極パターン層、反射型表示材料層、光透過性電極層、透明樹脂膜、カラーフィルタ層を順次積層するカラー反射型表示装置パネルを備えたカラー反射型表示装置の製造方法において、
前記反射型表示材料層から前記カラーフィルタ層までの距離をC(μm)とし、前記カラーフィルタ層のインク定着画素間の距離をD(μm)とし、
(0.54×C)−15が負の値でない場合に、(0.54×C)−15≦D≦(0.54×C)の条件を満たし、
(0.54×C)−15が負の値の場合に、0<D≦(0.54×C)の条件を満たす、ことを特徴とする、カラー反射型表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記カラー反射型表示装置パネルのサイズは、210mm×297mm以下であることを特徴とする、請求項の製造方法。
【請求項6】
前記反射型表示材料層から前記カラーフィルタ層までの距離Cは、10μm以上、150μm以下であることを特徴とする、請求項の製造方法。
【請求項7】
前記透明樹脂膜の上に、インクジェット法を用いてインク定着層を形成し、
前記インク定着層の上に、前記カラーフィルタ層を形成することを特徴とする請求項の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の使用効率が向上するカラー反射型表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子情報ネットワークの普及に伴い、電子書籍に代表される電子出版が利用されている。この電子出版及び電子情報を表示する装置としては、一般的に自発光型又はバックライト型の表示装置が用いられる。しかしながら、これらの表示装置は紙に印刷した媒体に比べ、人間工学的理由から長時間使用すると疲労を招きやすい。また、これらの表示装置は、消費電力が大きく、電池駆動の場合には表示時間が制限される。それらの欠点に対し、電子ペーパーに代表される反射型表示装置は、紙に近い感覚で文字を読む事ができるため、観察者の疲労を軽減できる。また、反射型表示装置は、屋外で日光又はライトが当たる場所で表示性能を発揮するため、屋外看板としての利用に適している。また、反射型表示装置は、消費電力も小さく長時間駆動が可能である。反射型表示装置は、画面の書き替えを除き、電力を消費しないため、電子看板又は電子値札などの用途にも使われる。このような実情により、反射型表示装置の開発が進められている。
【0003】
反射型表示装置において、電子書籍の文字情報だけであれば、白黒表示で充分である。しかしながら、書籍の挿絵、広告、看板、アイキャッチ効果を高める表示、画像、カタログ等を表示する場合には、反射型表示装置のカラー表示は欠かせない技術であり、表示コンテンツのカラー化に伴い、ニーズも高まっている。そこで、カラー反射型表示装置として、以下の技術が提案されている。
【0004】
反射型表示装置のカラー化のために、電気泳動粒子を分散して封入するマイクロカプセルであり、赤、緑、青を表示する複数種類のマイクロカプセルを用いる手法が提案されている(例えば、特許第4568429号公報(文献1)、特許第4207448号公報(文献2))。
【0005】
また、反射型表示装置のカラー化のために、反射型表示装置にカラーフィルタを用いる方法が提案されている。反射型表示材料層としては、例えば、電子移動粒子を分散媒中に分散した分散液を封入したマイクロカプセルをバインダー樹脂で固定した電気泳動表示層など、いくつかのタイプが知られている。下記の(a)から(e)は、既知の反射型表示材料層を用いた表示装置の一例である(例えば、特許第4651992号公報(文献3))。
【0006】
(a)回転する二色部材表示装置
(b)エレクトロクロミック表示装置
(c)エレクトロウエッティング表示装置
(d)電気泳動表示装置
(e)電子粉流体表示装置
カラーフィルタを用いる反射型表示装置において、カラーフィルタの画素と画素の間隔は1〜20μmが好ましい(例えば、特許第4415525号公報(文献4))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の文献1,2のような方法、すなわち電気泳動粒子を分散して封入しており、赤、緑、青を表示する複数種類のマイクロカプセルを用いる方法において、異なる種類のマイクロカプセルをそれぞれR(赤)、G(緑)、B(青)に対応した電極エリアに精度よく配置することは困難である。
【0008】
上記の文献3のカラーフィルタを用いる方法では、隣接する電極からの漏れ電場によって表示媒体の状態が変化する幅を上限として、カラーフィルタパターンの間に間隔をあけても、光抜けが生ずることがなく、高いコントラストが得られると記載されている。電極からの漏れ電場によって表示媒体の状態が変化する幅は20μmと記載されている。上記の文献4では、着色画素間隔は、1〜20μmが好ましいと記載されている。この着色画素間隔は、カラー反射型表示装置の画素を正面から見た場合の値であり、視差の影響を無視した場合においてのみ有効な値である。
【0009】
しかし、カラー反射型表示装置のパネル(ディスプレイ)を角度を変えて見た場合、視差の影響から、隣の画素の色が見えてしまう場合がある。これは、カラーフィルタ層とマイクロカプセル層との間に透明電極層が存在し、カラーフィルタ層とマイクロカプセル層との間に距離があるために起きる。
【0010】
この問題を解決するために、着色画素の間隔を開けすぎると、電極パターンである白表示の面積に対する着色画素の面積が小さくなるために、白抜けが生じたり、色が薄くなる等の問題がある。また、色を濃くすると着色画素の光の透過率が落ちるため、逆に光の透過が非効率になる場合がある。このため、効率的な着色画素の配置位置が求められている。
【0011】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、視差の影響を考慮し、光の使用効率が向上するカラー反射型表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
各態様において、カラー反射型表示装置は、基板の上に、電極パターン層、反射型表示材料層、光透過性電極層、透明樹脂膜、カラーフィルタ層を順次積層して形成される。
【0013】
第1の態様のカラー反射型表示装置は、反射型表示材料層からカラーフィルタ層までの距離をC(μm)とし、カラーフィルタ層のインク定着画素間の距離をD(μm)とし、(0.54×C)−15が負の値でない場合に、(0.54×C)−15≦D≦(0.54×C)の条件を満たし、(0.54×C)−15が負の値の場合に、0<D≦(0.54×C)の条件を満たす。
【0014】
第1の態様において、カラー反射型表示装置パネルのサイズは、210mm×297mm以下としてもよい。
【0017】
第3の態様のカラー反射型表示装置の製造方法は、反射型表示材料層からカラーフィルタ層までの距離をC(μm)とし、カラーフィルタ層のインク定着画素間の距離をD(μm)とし、(0.54×C)−15が負の値でない場合に、(0.54×C)−15≦D≦(0.54×C)の条件を満たし、(0.54×C)−15が負の値の場合に、0<D≦(0.54×C)の条件を満たす。
【0018】
第3の態様において、カラー反射型表示装置パネルのサイズは、210mm×297mm以下としてもよい。
【0022】
上記の各態様において、透明樹脂膜の上に、インクジェット法を用いてインク定着層を形成し、インク定着層の上に、カラーフィルタ層を形成するとしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の態様においては、カラー反射型表示装置パネルにおける視差によって起きる非効率な反射による光の使用率の損失を抑制し、光の使用効率が向上するカラー反射表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、第1の実施形態に係るカラー反射型表示装置の一例を示す断面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るカラー反射型表装置のパネルを観察者が見る場合におけるパネルと観察者の目との距離の一例を示す図である。
図3図3は、パネルにおける画素間隔が狭く光が減衰する状態の一例と、画素間隔が適正で光が高効率な状態の一例とを示す断面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るカラーフィルタ印刷装置の一例を示す斜視図である。
図5図5は、第1の実施形態におけるインクジェット法による画素作製の一例を示す説明図である。
図6図6は、第1の実施形態におけるインクジェットヘッドの傾きと電極パターンの間隔との関係の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、本実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、本実施形態に係るカラー反射型表示装置の構成を示す断面図である。一般に、反射型表示装置と呼ばれる電子泳動表示装置の作製方法が、例えば特許第2551783号公報に記載されている。この特許第2551783号公報では、少なくとも片面が光透過型である対向電極板の間に、電子泳動粒子を含む分散系を封入し、対向電極の間に印加された表示制御用電圧によって光学的反射特性に変化を与え、所要の表示を行う電子泳動表示装置が記載されている。
【0027】
図1において、カラー反射型表示装置は、基板の上に、電極パターン層2、接着材層3、マイクロカプセル5を備えるマイクロカプセル層4、光透過性電極層(透明電極)6、透明樹脂膜7、インク定着層8、カラーフィルタ層9、保護膜10がこの順で積層される。カラー反射型表示装置の一例として、カラー電子ペーパーがある。
【0028】
基板1は、例えば透明なガラス基板である。基板1の上に電極パターン層2及び接着剤層3が順次形成され、接着剤層3の上に反射型表示材料層(電気泳動表示層)であるマイクロカプセル層4が積層される。マイクロカプセル層4は、マイクロカプセル5を、バインダー樹脂により固定することで形成される。マイクロカプセル5は、マイクロカプセル殻内に電気極性の異なる粒子(白と黒の電子流動粒子)を透明な分散液中に分散して形成される。マイクロカプセル層4の上には、光透過性電極層6、透明樹脂膜7、インク定着層8、カラーフィルタ層9が順次積層される。カラーフィルタ層9の上には、保護膜10が形成される。
【0029】
本実施形態に係るカラー反射型表示装置は、モノクロの反射型表示装置の電極層の上に、カラーフィルタ層9が形成された構成を持つ。より好ましくは、インク定着層8が付与され、インクジェット法によりカラーフィルタ層9が形成される。
【0030】
上記インク定着層8として、例えば特許第3967841号公報に記載のインクジェット記録媒体、例えば特開2008−272972号公報に記載のインクジェットプリンタ用記録媒体が用いられる。インク定着層8は、透明度が高いことが好ましい。また、上記特許第3967841号公報に記載されているような、多孔質構造のインクジェット用受像材料が、インク定着層8として使用されてもよい。インク定着層8の材料として、透明であること、受像したインクの変色及び褪色がないこと、諸耐性があることなどの性能が要求され、例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテートなどのビニル樹脂が用いられる。
【0031】
インク定着層8の材料は、例えば、塗布装置で乾燥後の厚さが3〜10μmになるように塗布される。塗布装置としては、例えば、ダイコータ、スピンコータ、バーコータ等が用いられる。ただし、塗布方法は、これらの方法に限定されない。
【0032】
インク定着層8の材料を、塗布後に、熱、真空、UV照射等の方法により固化することにより、インク定着層8が形成される。
【0033】
本実施形態においては、インクジェット法により、電極配線をパターニングした基板1に合わせて、任意のパターンの塗布が実施される。本発明者は以下の方法によって最適な着色画素間隔を算出できることを見出した。
【0034】
図2は、カラー反射型表示装置のカラー反射型表示装置パネル(以下、単にパネルという)11と観察者(人間)の目12との距離Aの一例を示している。パネル11と観察者の目12との距離Aは、持ち運ぶタイプの反射型表示装置の場合、例えば電子書籍を読む時にはおよそ500mm程度と設定される。このパネル11と観察者の目12との距離Aは、用途に応じて変更される。また、看板又は広告などのようにパネル11が固定されている場合には、パネル11と観察者の目12との距離Aは、1m以上離れている場合もある。
【0035】
パネル11の大きさは用途に応じて選択される。パネル11が持ち運ぶ可能なタイプの場合、パネル11の大きさは、例えば、文庫サイズ(120mm×180mm)からA4サイズ(210mm×297mm)などでもよい。パネル11は、例えば、設置されるタイプの場合に、又は、看板又は広告の場合に、大型になる。このように、パネル11のサイズは多種多様である。
【0036】
本実施形態に係るパネル11の大きさは、210mm×297mm以下であることを想定する。
【0037】
本実施形態において、パネル11の一端と他端との間の長さをBとする。本実施形態においては、パネル11の長辺の長さをBとして説明するが、Bはパネル11の長辺ではない他の長さを表すとしてもよい。パネル11は長方形又は正方形ではない場合であっても以下のカラー反射型表示装置及びその製造方法は利用可能である。
【0038】
本実施形態において、Cは、マイクロカプセル層4からカラーフィルタ層までの距離(厚さ)に対応する。
【0039】
反射型表示装置は、部材の一つとして、光透過性電極層6を備える。光透過性電極層6の上に、透明樹脂膜7が形成される。光透過性電極層6の厚さは、透明樹脂膜7の厚さよりも極めて小さい。したがって、透明樹脂膜7の厚さはほぼCと同じになる。このため、マイクロカプセル層4からカラーフィルタ層までの距離Cを、透明樹脂膜7の厚さで近似してもよい。本実施形態においては、透明樹脂膜7にインク定着層8が形成されている。このため、Cは、透明樹脂膜7の厚さと透明樹脂膜7に形成されるインク定着層8の厚さとを足した値としてもよい。インク定着層8は、透明樹脂膜7に形成されても形成されなくてもよく、インク定着層8を形成していない場合には、透明樹脂膜7の厚さCは、インク定着層8の厚さを含まない。光透過性電極層6の厚さは、透明樹脂膜7及びインク定着層8の厚さに比べて十分に小さいため、Cに含まれなくてもよいが、Cに光透過性電極層6の厚さを含めてもよい。
【0040】
パネル11の画面を正面から見た時に、視差が生じる位置は、パネル11への角度が大きい場所であり、例えば長辺方向の端となる。パネル11の端への角度α、すなわち、観察者の目12からパネル11の中心を見た時と長辺方向の端を見た時との角度αは、
tanα=((B/2)/A)…式(1)
となる。
【0041】
カラーフィルタ層9を通過した光は、図3に示すように、光透過性電極層6を形成する透明樹脂膜7を通過し、電子流動粒子を封入しているマイクロカプセル層4に到達する。電極の駆動により、マイクロカプセル5内の白と黒の電子流動粒子が動き、着色画素位置にそれぞれ対応するマイクロカプセル5の色が切り替わる。パネル11へ入射される光に入射光角度αがあると、着色画素を通過した光が、必ずしも通過した着色画素に対応するマイクロカプセル層4に到達しない場合がある。
【0042】
図3は、パネル11の要部、すなわち、マイクロカプセル層4、カラーフィルタ層9、透明電極を形成する透明樹脂膜7の構成を示している。図3(a)は画素間隔Dが狭く、光が減衰する場合の説明図である。図3(b)は画素間隔Dが適正で、光が高効率となる場合の説明図である。図3(a)及び図3(b)において、マイクロカプセル層4のマイクロカプセル5Bはカラーフィルタ層9の青の着色画素9Bに対応し、マイクロカプセル5Rは赤の着色画素9Rに対応する。
【0043】
上記図3(a)及び図3(b)において、青色を表示するときは、赤色(R)に対応したマイクロカプセル5Rは黒、隣接する青色(B)に対応したマイクロカプセル5Bは白に駆動される。図3(a)に示すように、画素間隔Dが狭い場合、入射角度αで入射した光15は、青色の着色画素9Bを通過し、青色に対応したマイクロカプセル5Bにて反射し、赤色の着色画素9Rを通過して戻ってくる。その際、入射角度αで入射した光15は、異なる2つの着色画素9B、9Rを通過するために減衰する。
【0044】
しかし、着色画素9B、9Rの間隔Dが
C×2×tanα…式(2)
より大きい場合は、青色の着色画素9Bを通過した光は赤色のマイクロカプセル5Rに到達しない。
【0045】
ここで、式(2)に上記式(1)「tanα=((B/2)/A)」を代入すると、
D=B×C÷A…式(3)
が得られる。
【0046】
よって、図3(b)に示すように、電極配線パターン間隔から「D/2」狭いエリアに着色画素9B、9Rを形成することで、入射角度αで入射した光15に対しても異なる着色画素を通過させないことが可能となり、高効率なカラーフィルタパターンが形成される。
【0047】
また、発明者は、画素間隔Dが式(3)で示された値から「−15μm」までの間隔であれば、大きな光の減衰のないカラーフィルタを得られることも見出した。これは、パネル11の中心付近においては視差αが小さいためであると考えられる。
【0048】
次に、距離Aは、観察者が一般的にパネル11の観察する視野の広さから算出することができる。パネル11の観察視野の角度は、一般的に、およそ30度前後と推定される。ここで、観察者がパネル11を正面から観察した場合、距離Aは、
A=B/(2tan(30°/2))=B/0.54…式(4)
と表される。
【0049】
したがって、パネル11のサイズが210mm×297mm以下の場合、上記の式(3)「D=B×C÷A」に式(4)を代入し、
(0.54×C)−15≦D≦(0.54×C)…式(5)
を得ることができる。
【0050】
なお、この式(5)は、(0.54×C)−15が負の値でない場合である。
【0051】
(0.54×C)−15が負の値の場合には、
0<D≦(0.54×C)…式(6)
が用いられる。
【0052】
次に、本実施形態に係るインクジェット塗布装置の一例について、図4を参照して説明する。
【0053】
図4は、本実施形態に係るカラー反射型表示装置の製造方法におけるインクジェット塗布装置20の構成の一例を示す斜視図である。インクジェット塗布装置20は、搬送ステージ21、インクジェットヘッドユニット25を備える。
【0054】
搬送ステージ21は、カラー反射型表示装置の基板1を載せて1方向に精度良く搬送する。
【0055】
インクジェットヘッドユニット25は、基板1に塗布するためのインクジェットインクが供給されたインクジェットヘッド22を備える。インクジェットヘッドユニット25は、インクジェットヘッド22を、搬送ステージ21の上の基板1から一定高さに保持し、インクジェットヘッド22を、搬送方向に直交移動可能な装置である。
【0056】
インクジェットヘッド22は、インクを吐出する複数のノズルを備える。複数のノズルは、インクジェットヘッド22をカラーフィルタ層9の着色画素パターン(以下、単に画素パターンとする)に対して相対的に走査する走査方向に対して、所定の等間隔になるように配置される。
【0057】
インクジェット塗布装置20は、さらに、インクジェットヘッド22にインクを供給するインクタンク26、インクジェットヘッド22のノズルからインクジェットインクを吐出制御するためのインクジェットヘッド制御盤27、基板1に塗布されたインクを乾燥するための乾燥部28を備える。
【0058】
上記のインクジェット塗布装置20において、インクジェットヘッド22のノズルから基板1までの距離を300μm〜2000μmとすることによって、インクを基板1へ精度よく塗布することができる。インクジェットヘッド22のノズルから基板1までの距離が300μm以下の場合には、インクジェットヘッド22と基板1が接触する危険性が高まる。インクジェットヘッド22のノズルから基板1までの距離が2000μm以上の場合には、吐出飛行曲がり(ミスディレクション)が発生し易い。
【0059】
インクジェット塗布装置20は、インクジェットヘッド22のノズルの吐出性を回復するためのメンテナンス機構30を備える。このメンテナンス機構30は、ノズル面をウエス又はフィルム等でワイピングし、又は、液を吐出するためのポット等を備える。メンテナンス機構30としては、一般的なインクジェットヘッド22のメンテナンス機構を利用可能である。
【0060】
インクジェット塗布装置20は、基板1の画素パターンの位置を決めるために、アライメント用カメラと画像処理ユニットを備えることが好ましい。
【0061】
本実施形態においては、図4に示したインクジェット塗布装置20を用い、複数のノズルを備えたインクジェットヘッド22を画素パターンに対して相対的に走査し、基板1のインク定着層8が設けられた面に対し、インクジェットインクを吐出及び供給し、インク定着層の8上にインクジェットインク層、すなわちカラーフィルタ層9を形成する。なお、本実施形態においては、複数のノズルを備えたインクジェットヘッド22を前記画素パターンに対して相対的に走査する。この場合、基板1側を移動させてもよいし、インクジェットヘッド22側を移動させてもよい。また、基板1とインクジェットヘッド22の両方を移動させてもよい。
【0062】
本実施形態において、画素形状は、四角形状に近づける。このため、本実施形態に応じた画素を形成するためのインクジェット吐出配列が適用される。すなわち、画素サイズ、液滴と着弾面積との関係に基づいて、高精細な吐出配列パターンが作製されることが好ましい。図5に画素形状と吐出配列パターンの説明図を示す。図5(a)に示すように、インク液滴着弾部40を連続して塗出し、長穴状の画素が作製される。図5(b)に示される各インク液滴41の間隔Fが長い場合、図5(a)に示すように窪んだ形になり、間隔が短い場合、図5(c)に示すように中央部が膨らんだ形になる。したがって、液滴径と間隔Fとを調整し、縦に直線になる形状が作製されることが好ましい。さらに、図5(d)に示すように、長穴形状を任意の本数横に並べる形を作り、所定の画素着色部50が形成される。
【0063】
本実施形態に係る画素パターンの製造方法においては、図4に示すインクジェットヘッド22の隣り合うノズルの距離のうちのインクジェットヘッド22の主走査方向に垂直な成分を、カラー反射型表示装置の同じ色を形成する隣り合う画素と画素との距離のうちのインクジェットヘッド22の主走査方向に垂直な成分の整数分の1となるように、インクジェットヘッド22の向きは配置され、画素パターンにインクジェットインクが吐出及び供給されることが好ましい。
【0064】
また、例えば、インクジェットヘッド22は、主走査方向に傾けて配置されることが好ましい。
【0065】
図6にインクジェットヘッド22を傾けたときのノズルピッチの説明図を示す。図6において、参照番号60はインクジェットヘッド22のノズル面を示す。参照番号61は、ノズルを示す。インクジェットヘッド22のノズル61の列は、インク定着層8に向かう方向に配置される。ノズル61の列とカラー反射型表示装置の基板1とは、相対的に走査される。この場合、インクジェットヘッド22のノズル間隔のうちのインクジェットヘッド22の走査方向に直交する成分を、カラー反射型表示装置の隣り合う同じ色を着色すべき各画素51間の距離のうちのインクジェットヘッド22の走査方向に直交する成分の整数分の1となるように、インクジェットヘッド22が傾けて配置される。例えば、インクジェットヘッド22の配列において、インクジェットヘッド22のノズル61が並んだ列、すなわちノズル配列の軸が、カラー反射型表示装置の基板1の搬送方向に対して任意の角度θで傾けられる。ノズル配列軸を傾けることにより、ノズルピッチを調整することができる。ノズル配列軸を傾けていない場合のノズルピッチをGとすると、ノズル配列軸が角度θで傾けられることにより、ノズルピッチは、「G×cosθ」となる。同じ色を着色すべき各画素51間のピッチHが決まっている場合、そのピッチHにノズルピッチを合わせるために、「cosθ=H÷G」としてθを求めることができる。
【0066】
画素51間のピッチHがノズルピッチGより大きい場合、一つノズルを飛ばして、「cosθ=H÷2G」としてθを求めてもよい。本実施形態においては、例えば、多相分割駆動のインクジェットヘッドが用いられる。多相分割駆動のインクジェットヘッドは、周期性を持つ複数の相がその相毎に分割されて駆動する。多相分割駆動のインクジェットヘッドが用いられる場合、ノズル61の位置に応じてノズル61からインクジェットインクを吐出して供給する工程において、複数の相のうちの1相以上の特定相が割り当てられる。この場合、同じ相のノズルピッチをGとする。画素51がノズル61の下を通過するタイミングに合わせて、インクジェットヘッド22は、制御された微少ドロップの吐出動作を実施する。ノズル61から吐出された液滴は、画素51に塗布される。
【0067】
別の実施形態として、独立ノズル制御のインクジェットヘッドが用いられてもよい。独立ノズル制御では、ノズル個々の吐出タイミングが走査方向の速度と時間に合わされる。吐出動作は、独立ノズル制御にしたがって実施される。
【0068】
本実施形態に係るカラー反射型表示装置の製造方法においては、インクジェットヘッド22は多相分割駆動としている。この多相分割駆動によって複数のノズル61は周期性を持つ複数の相に割り当てられており、ノズル61からインクジェットインクを吐出して供給する工程は、複数の相のうちの一部の特定相に限定して行われる。これに対して、独立ノズル制御可能なインクジェットヘッドが用いられる場合、相は一つであることから、全てのノズルが使用可能である。本実施形態においては、ヘッドの種類については限定されず、任意のヘッドを使用可能である。
【0069】
本実施形態において、着色インクの材料は、例えば、着色顔料、樹脂、分散剤、溶媒としてもよい。着色インクは、フッ素を含み、撥液性を持つとしてもよい。インクの顔料は赤色、緑色、青色の3種類を使うことが好ましいが、いずれかの1種類又は2種類でもよく、黄色、水色、紫色を用いてもよい。また、色の組み合わせは限定されない。
【0070】
着色剤として使用される顔料として、例えば、Pigment Red9、19、38、43、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、215、216、208、216、217、220、223、224、226、227、228、240、Pigment Blue 15、15:6、16、22、29、60、64、Pigment Green7、36、Pigment Red 20、24、86、81、83、93、108、109、110、117、125、137、138、139、147、148、153、154、166、168、185、 Pigment Orange36、 Pigment Violet23などが用いられる。しかしながら、顔料は、これらに限定されるものではない。これらの顔料は、要望の色相を得るために、2種類以上を混合して用いられてもよい。
【0071】
着色インクの材料の樹脂としては、カゼイン、ゼラチン、ポリビニールアルコール、カルボキシメチルアセタール、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラニン樹脂などが用いられ、色素との関係に基づいて適宜選択されるとしてもよい。耐熱性又は耐光性が要求される場合には、着色インクの樹脂としてアクリル樹脂が好ましい。
【0072】
樹脂への色素の分散を向上させるために、分散剤が用いられてもよく、分散剤としての非イオン性界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが用いられてもよい。分散剤としてのイオン性界面活性剤として、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ脂肪酸塩、脂肪酸塩アルキルリン酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩などが用いられてもよい。その他に、分散剤として、有機顔料誘導体、ポリエステルなどが用いられてもよい。分散剤は、一種類が単独で使用されてもよく、又は、二種類以上が混合されて使用されてもよい。
【0073】
着色インクに使用される溶剤種は、インクジェット印刷における適性の表面張力範囲35mN/m以下で、且つ、沸点が130℃以上であることが好ましい。表面張力が35mN/m以上の場合には、インクジェット吐出時のドット形状の安定性に著しい悪影響を及ぼし、沸点が130℃以下の場合には、ノズル近傍での乾燥性が著しく高くなり、その結果、ノズル詰まり等の不良発生を招くため、好ましくない。具体的には、溶剤として、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルエーテル、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが用いられるとしてもよいが、これらに限定されず、上記要件を満たす溶剤であれば適用可能である。必要に応じて2種類以上の溶剤が混合されて使用されてもよい。
【0074】
図1に示すように、インクは、カラー反射型表示装置のインク定着層8に塗布された後、乾燥、固化される。乾燥装置、及び/又は、固化装置は、加熱、送風、減圧、光照射、電子線照射のうちのいずれかの方法、又は、それらの2種類以上の組み合わせを行う。
【0075】
インクが乾燥、固化された後、カラーフィルタ層9の保護のために、保護膜10が形成される。カラーフィルタ層9の保護膜10を形成するために、着色パターン表面に、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリル系、シリコーン系等のような有機樹脂が、又は、Si、SiO、SiO、Al、Ta等のような無機膜が、例えば、スピンコート、ロールコート、又は、印刷法などの塗布法で、又は、蒸着法によって、保護層として形成されてもよい。
【0076】
本実施形態に係るカラー反射型表示装置においては、パネル11における視差によって起きる非効率な反射による光の使用率の損失を抑え、光の使用効率が向上する。
【0077】
本実施形態においては、インクジェット法によりカラーフィルタ層9が形成される場合について説明している。しかしながら、着色画素を高効率に形成する方法として、フォトリソグラフィー法、インク転写法などのような他のカラーフィルタ形成方法が用いられてもよい。
【0078】
(第2の実施形態)
本実施形態においては、インク定着画素間の距離Dの他の算出方法について説明する。
【0079】
例えば、光透過性電極層の厚さをC(μm)とする。パネル11の長辺長さをB(mm)とする。カラーフィルタ層9のインク定着画素間の距離をDとする。パネル11と観察者との間の距離をA(mm)とする。
【0080】
この場合、インク定着画素間の距離Dは、
(B×C÷A)−15≦D≦(B×C÷A)…式(6)
の条件を満たすように形成される。
【0081】
例えば、パネル11のサイズが210mm×297mmサイズ以下であり、Aが500mmの場合、インク定着画素間の距離Dは、下記の式(7)で求められる。
【0082】
(B×C÷500)−15≦D≦(B×C÷500)…式(7)
例えば、パネル11のサイズが210mm×297mmサイズより大きく、Aが1000mmの場合、インク定着画素間の距離Dは、下記の式(8)で求められる。
【0083】
(B×C÷1000)−15≦D≦(B×C÷1000)…式(8)
なお、本実施形態において、光透過性電極層6の厚さCは、10μm以上、150μm以下とすることが好ましい。
【0084】
上記の各実施形態は、発明の趣旨が変わらない範囲で様々に変更して適用することができる。
【実施例】
【0085】
[実施例1]
実施例1は、上記の第1の実施形態に対応する。
【0086】
実施例1においては、マトリクス状にカラーフィルタが印刷されたカラー反射型表示装置の作製方法について説明する。
【0087】
この実施例1では、マイクロカプセル型電気泳動方式を使った反射型表示装置が作製される。マイクロカプセル型電気泳動方式の表示装置は、透明溶媒が満たされたマイクロカプセル5の中に、正、負に帯電した白い粒子と黒い粒子とを入れ、外部電圧の印加によってそれぞれの粒子を表示面に引き上げることにより、画像を形成する。マイクロカプセル5のサイズは、径が数十μm〜数百μmと小さい。したがって、このマイクロカプセル5を透明なバインダーに分散し、インクのようにコーティングを行うことができる。この電子インクは、外部から電圧を印加することで画像を描くことができる。
【0088】
この電子インクが透明電極の形成されている透明樹脂膜にコーティングされる。電子インクのコーティングされた透明樹脂膜は、アクティブマトリクス駆動用の電極回路が形成された基板に貼り合わされる。これにより、アクティブマトリクスディスプレイパネルが形成される。通常、透明電極が形成されている透明樹脂膜に電子インクがコーティングされている部品は、「前面板」と呼ばれる。アクティブマトリクス駆動用の電極回路が形成された基板は、「背面板」と呼ばれる。透明樹脂膜としては、厚さ25μmのPETフィルムが使用される。
【0089】
実施例1において、パネルの大きさは、A4サイズ、すなわち210mm×297mmとする。電極パターン間隔は、200μmとする。カラーフィルタが形成されていないパネルの白表示時の反射率は46%とする。
【0090】
実施例1においては、前面板側にインク定着層8が形成される。このインク定着層8の材料として、ウレタン系樹脂、トルエン、水、IPA(イソプロピルアルコール)を混合した材料が用いられる。インク定着層8は、ダイコータによって乾燥厚さ7μm〜9μmとなるように塗布される。
【0091】
インクジェット塗布装置20によってインク定着層8に格子状のパターンが印刷される。印刷に用いられるインクは、顔料3%、合成樹脂22%、シクロヘキサノン5%、ジエチレングリコールジメチルエーテル70%を含むとする。
【0092】
着色画素間隔Dは、「0.54×(透明樹脂膜厚さ25μm+インク定着層8μm)」に基づいて、18μmと算出される。そこで、インクジェット法により、1個の液滴10plの吐出を9箇所に正方格子となるように、かつ、着色画素の大きさが「190μm×190μm」となるように印刷が行われる。印刷は、異なるインク赤、緑、青がそれぞれ電極パターンに合わせて行われる。
【0093】
カラーフィルタ層9が80度で5分熱乾燥された後、保護膜10がラミネートされ、カラー反射型表示装置が作製される。これにより、反射率25%、NTSC比7%となる高効率なカラー反射型表示装置が得られる。
【0094】
[実施例2]
実施例2は、上記の第2の実施形態の式(7)に対応する。
【0095】
実施例2では、パネル11のサイズを、A4サイズ(すなわち210mm×297mm)以下とし、パネル11と観察者との距離を500mmとし、他の条件を実施例1と同様とする。
【0096】
この場合、着色画素間隔Dは、「パネル11の長辺長さ297mm×(透明樹脂膜厚さ25μm+インク定着層8μm)÷パネル11と観察者との距離500mm」に基づいて、20μmと算出される。
【0097】
この実施例2のカラー反射型表示装置においては、光の使用効率が向上する。
【0098】
[実施例3]
実施例3は、上記の第2の実施形態の式(8)に対応する。
【0099】
実施例3では、パネル11のサイズを28インチサイズ(すなわち350mm×630mm)とする。パネル11と観察者との距離を1000mmとする。透明樹脂膜7は、厚さ30μmのPETフィルムとする。カラーフィルタを形成していないパネルの白表示時の反射率を45%とする。
【0100】
前面板側にインク定着層8が形成される。このインク定着層8の材料として、ウレタン系樹脂、トルエン、水、IPAを混合した材料が用いられる。インク定着層8は、バーコータによって乾燥厚さ7μm〜9μmとなるように塗布される。
【0101】
インクジェット装置によってインク定着層8に格子状のパターンが印刷される。印刷に用いられるインクは、顔料2%、合成樹脂23%、シクロヘキサノン5%、ジエチレングリコールジメチルエーテル70%を含む。
【0102】
この場合、着色画素間隔Dは、「パネル11の長辺長さ630mm×(透明樹脂膜厚さ30μm+インク定着層8μm)÷パネル11と観察者との距離1000mm」に基づいて、24μmと算出される。そこで、インクジェット法により、1個の液滴14plの吐出を9箇所に正方格子となるように、かつ、着色画素大きさが「218μm×218μm」となるように印刷が行われる。印刷は、異なるインク赤、緑がそれぞれ電極パターンに合わせて行われる。これにより、反射型表示装置の白表示の反射率を30%とすることができ、さらに、赤、緑の表示が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6