特許第6233304号(P6233304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6233304光配向用液晶配向膜を形成するための液晶配向剤、液晶配向膜およびこれを用いた液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233304
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】光配向用液晶配向膜を形成するための液晶配向剤、液晶配向膜およびこれを用いた液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20171113BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G02F1/1337 525
   C08G73/10
【請求項の数】26
【全頁数】129
(21)【出願番号】特願2014-512458(P2014-512458)
(86)(22)【出願日】2013年4月10日
(86)【国際出願番号】JP2013060856
(87)【国際公開番号】WO2013161569
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2015年11月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-99144(P2012-99144)
(32)【優先日】2012年4月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2013-69499(P2013-69499)
(32)【優先日】2013年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596032100
【氏名又は名称】JNC石油化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大木 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】片野 裕子
(72)【発明者】
【氏名】松田 智幸
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 啓介
(72)【発明者】
【氏名】久田 梨香
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−049230(JP,A)
【文献】 特開2011−207786(JP,A)
【文献】 特開2010−156953(JP,A)
【文献】 特開2011−008218(JP,A)
【文献】 特開2011−085901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
〔A〕テトラカルボン酸二無水物およびジアミンを反応させて得られる光反応性構造を有するポリアミック酸またはその誘導体であって、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンが、下記式(VII)で表される化合物の群から選ばれる、光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有するジアミンの少なくとも1つ、並びに光反応性構造を有さないジアミンを含む、ポリアミック酸またはその誘導体、および、
〔B〕光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有さないジアミンを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体
を含有する、光配向用液晶配向剤:
【化1】
式(VII)において、RおよびRは独立して−NHを有する1価の有機基または−CO−O−CO−を有する1価の有機基である。
ここで、〔A〕において、光反応性構造を有さないジアミンが、下記式(DI−1)、(DI−2)、(DI−3)、(DI−4)、(DI−5)、(DI−6)、(DI−7)、(DI−8)、(DI−9)、(DI−10)、(DI−11)、(DI−12)、(DI−14)、(DI−15)、(DI−16)および(DI−17)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである。
【化2】
式(DI−1)において、mは1〜12の整数であり;
(DI−3)および(DI−5)〜(DI−7)においてG21は独立して単結合、−NH−、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CHm’−、−O−(CHm’−O−、−N(CH)−(CH−N(CH)−、または−S−(CHm’−S−であり、m’は独立して1〜12の整数であり、kは1〜5の整数であり;
(DI−6)および(DI−7)において、G22は独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−、または炭素数1〜10のアルキレンであり;
式(DI−2)〜(DI−7)中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の少なくとも1つの水素は、−F、−CH、−OH、−CF、−COH、−CONH、またはベンジルで置き換えられていてもよく、加えて式(DI−4)においてベンゼン環の少なくとも1つの水素は、下記式(DI−4−a)〜(DI−4−c)で置き換えられていてもよく、
【化3】
式(DI−4−a)および(DI−4−b)において、R20は独立して水素または−CHであり;
式(DI−2)〜(DI−7)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し、
シクロヘキサン環またはベンゼン環への−NHの結合位置は、G21またはG22の結合位置を除く任意の位置であり;
【化4】
式(DI−8)において、R21およびR22は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、G23は独立して炭素数1〜6のアルキレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、wは1〜10の整数であり;
式(DI−9)において、R23は独立して炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシまたは−Clであり、pは独立して0〜3の整数であり、qは0〜4の整数であり;
式(DI−10)において、R24は水素、炭素数1〜4のアルキル、フェニル、またはベンジルであり;
式(DI−11)において、G24は−CH−または−NH−であり;
式(DI−12)において、G25は単結合、炭素数2〜6のアルキレンまたは1,4−フェニレンであり、rは0または1であり;
式(DI−12)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し;
式(DI−9)、(DI−11)および(DI−12)において、ベンゼン環に結合する−NHの結合位置は任意の位置であり;
【化5】
式(DI−14)および式(DI−15)において、G30は独立して単結合、−CO−または−CH−であり、R29は独立して水素または−CHであり、R30は水素、炭素数1〜20のアルキル、または炭素数2〜20のアルケニルであり;
式(DI−15)におけるベンゼン環の1つの水素は、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルで置き換えられてもよく;
式(DI−14)および式(DI−15)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し、ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示し;
【化6】
式(DI−16)および式(DI−17)において、G31は独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、G32は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、R31は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルの少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、R32は炭素数6〜22のアルキルであり、R33は水素または炭素数1〜22のアルキルであり、環B25は1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、rは0または1であり、そして、ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示す。
【請求項2】
〔A〕において、光反応性構造が、ポリアミック酸またはその誘導体の主鎖に存在する、請求項1に記載の光配向用液晶配向剤。
【請求項3】
〔A〕において、光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有するジアミンが、下記式(VII−1)〜(VII−3)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1または2に記載の光配向用液晶配向剤。
【化7】
式(VII−1)および(VII−2)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し;
式(VII−1)において、Rは独立して−CH、−OCH、−CF、または−COOCHであり、そして、bは独立して0〜2の整数である。
【請求項4】
〔A〕において、光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有するジアミンが、下記式(VII−1−1)および(VII−3)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項3に記載の光配向用液晶配向剤。
【化8】
【請求項5】
〔A〕において、光反応性構造を有さないジアミンが下記式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−3−1)、(DI−4−1)、(DI−4−12)〜(DI−4−14)、(DI−5−1)、(DI−5−2)、(DI−5−12)、(DI−5−14)、(DI−5−21)、(DI−5−27)〜(DI−5−30)、(DI−6−1)〜(DI−6−5)、(DI−6−7)、(DI−7−1)、(DI−7−3)、(DI−7−5)、(DI−7−9)、(DI−8−1)、(DI−9−1)、(DI−11−1)、(DI−12−1)、(DI−16−1)、(DI−16−2)、(DI−16−4)、(DI−16−5)、(DI−16−7)、(DI−16−8)、(DI−16−10)および(DI−16−11)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜4に記載の光配向用液晶配向剤:
【化9】
式(DI−5−1)および(DI−5−12)において、mは1〜12の整数であり;
【化10】
式(DI−5−29)において、kは1〜5の整数であり;
【化11】
【化12】
式(DI−7−3)において、mは1〜12の整数であり、nは独立して1または2であり;
【化13】
【化14】
【化15】
式(DI−16−1)および(DI−16−2)において、R40は水素または炭素数1〜20のアルキルであり;
(DI−16−4)、(DI−16−5)、(DI−16−7)、(DI−16−8)、(DI−16−10)および(DI−16−11)においてR41は水素または炭素数1〜12のアルキルである。
【請求項6】
〔A〕において、光反応性構造を有さないジアミンが下記式(DI−4−12)、(DI−4−13)、(DI−5−1)、(DI−16−1)および(DI−16−4)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項5に記載の光配向用液晶配向剤:
【化16】
式(DI−5−1)において、mは1〜12の整数であり;
式(DI−16−1)において、R40は水素または炭素数1〜20のアルキルであり;
(DI−16−4)において、R41は水素または炭素数1〜12のアルキルである。
【請求項7】
〔A〕において、光反応性構造を有さないジアミンが下記式(DI−5−1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項に記載の光配向用液晶配向剤:
【化17】
式(DI−5−1)において、mは1〜12の整数である。
【請求項8】
〔A〕において、光反応性構造を有さないジアミンが下記式(DI−5−1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項5に記載の光配向用液晶配向剤:
【化18】
式(DI−5−1)において、mは4〜8の整数である。
【請求項9】
〔A〕において、光反応性構造を有さないジアミンが下記式(DI−4−12)および(DI−4−13)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項5に記載の光配向用液晶配向剤。
【化19】
【請求項10】
〔A〕において、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物を有する場合、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物が、下記式(AN−1)〜(AN−VII)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つであり、
下記式(AN−1−1)、(AN−1−3)、(AN−1−4)、(AN−1−13)、(AN−4−5)、(AN−4−17)、(AN−5−1)、(AN−6−3)、(AN−7−1)、(AN−7−2)、(AN−8−1)、(AN−8−2)、(AN−9−3)、(AN−10)、(AN−11−1)、(AN−11−3)、(AN−13−1)および(AN−16−1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つの化合物を必ず含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤:
【化20】
式(AN−I)、(AN−IV)および(AN−V)において、Xは独立して単結合または−CH−であり;
式(AN−II)において、Gは単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−であり;
式(AN−II)〜(AN−IV)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つであり、
【化21】
これらの基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられてもよく;
式(AN−III)〜(AN−V)において、環Aは炭素数3〜10の単環式炭化水素の基または炭素数6〜30の縮合多環式炭化水素の基であり、この基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられていてもよく、環に掛かっている結合手は環を構成する任意の炭素に連結しており、2本の結合手が同一の炭素に連結してもよく;
式(AN−VI)において、X10は炭素数2〜6のアルキレンであり、Meはメチルを表し、Phはフェニルを表し;
式(AN−VII)において、G10は独立して−O−、−COO−または−OCO−であり、そして、rは独立して0または1である。
【化22】
【化23】
式(AN−4−17)において、mは1〜12の整数である。
【請求項11】
〔A〕において、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物を有する場合、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物が下記式(AN−4−17)で表される化合物である、請求項10に記載の光配向用液晶配向剤:
【化24】
式(AN−4−17)において、mはである。
【請求項12】
〔A〕において、光反応性構造を有さないジアミンが下記式(DI−4−12)、(DI−4−13)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つであり、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物が、下記式(AN−4−17)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜11に記載の光配向用液晶配向剤:
【化25】
式(AN−4−17)において、mは8である。
【請求項13】
B〕において、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物が、下記式(AN−I)〜(AN−VII)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤:
【化26】
式(AN−I)、(AN−IV)および(AN−V)において、Xは独立して単結合または−CH−であり;
式(AN−II)において、Gは単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−であり;
式(AN−II)〜(AN−IV)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つであり、
【化27】
これらの基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられてもよく;
式(AN−III)〜(AN−V)において、環Aは炭素数3〜10の単環式炭化水素の基または炭素数6〜30の縮合多環式炭化水素の基であり、この基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられていてもよく、環に掛かっている結合手は環を構成する任意の炭素に連結しており、2本の結合手が同一の炭素に連結してもよく;
式(AN−VI)において、X10は炭素数2〜6のアルキレンであり、Meはメチルを表し、Phはフェニルを表し;
式(AN−VII)において、G10は独立して−O−、−COO−または−OCO−であり、そして、rは独立して0または1である。
【請求項14】
〔B〕において、光反応性構造を有さないジアミンが、下記式(DI−1)〜(DI−17)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤:
【化28】
式(DI−1)において、mは1〜12の整数であり;
(DI−3)および(DI−5)〜(DI−7)においてG21は独立して単結合、−NH−、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CHm’−、−O−(CHm’−O−、−N(CH)−(CH−N(CH)−、または−S−(CHm’−S−であり、m’は独立して1〜12の整数であり、kは1〜5の整数であり;
(DI−6)および(DI−7)において、G22は独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−、または炭素数1〜10のアルキレンであり;
式(DI−2)〜(DI−7)中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の少なくとも1つの水素は、−F、−CH、−OH、−CF、−COH、−CONH、またはベンジルで置き換えられていてもよく、加えて式(DI−4)においてベンゼン環の少なくとも1つの水素は、下記式(DI−4−a)〜(DI−4−c)で置き換えられていてもよく、
【化29】
式(DI−4−a)および(DI−4−b)において、R20は独立して水素または−CHであり;
式(DI−2)〜(DI−7)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し、
シクロヘキサン環またはベンゼン環への−NHの結合位置は、G21またはG22の結合位置を除く任意の位置であり;
【化30】
式(DI−8)において、R21およびR22は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、G23は独立して炭素数1〜6のアルキレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、wは1〜10の整数であり;
式(DI−9)において、R23は独立して炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシまたは−Clであり、pは独立して0〜3の整数であり、qは0〜4の整数であり;
式(DI−10)において、R24は水素、炭素数1〜4のアルキル、フェニル、またはベンジルであり;
式(DI−11)において、G24は−CH−または−NH−であり;
式(DI−12)において、G25は単結合、炭素数2〜6のアルキレンまたは1,4−フェニレンであり、rは0または1であり;
式(DI−12)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し;
式(DI−9)、(DI−11)および(DI−12)において、ベンゼン環に結合する−NHの結合位置は任意の位置であり;
【化31】
式(DI−13)において、G26は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−(CHm’−であり、m’は1〜12の整数であり、
25は炭素数3〜20のアルキル、フェニル、シクロヘキシル、ステロイド骨格を有する基、または下記の式(DI−13−a)で表される基であり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの水素は−Fで置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH−は−O−で置き換えられていてもよく、このフェニルの水素は、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHF、−OCF、炭素数3〜20のアルキル、または炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく、このシクロヘキシルの水素は炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく、ベンゼン環に結合する−NHの結合位置はその環において任意の位置であることを示し、
【化32】
式(DI−13−a)において、G27、G28およびG29は結合基を表し、これらは独立して単結合、または炭素数1〜12のアルキレンであり、このアルキレン中の1以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−で置き換えられていてもよく、
環B21、環B22、環B23、および環B24は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり、
環B21、環B22、環B23、および環B24において、少なくとも1つの水素は−Fまたは−CHで置き換えられてもよく、
s,tおよびuは独立して0〜2の整数であり、これらの合計は1〜5であり、
s,tまたはuが2であるとき、各々の括弧内の2つの結合基は同じであっても異なってもよく、2つの環は同じであっても異なっていてもよく、
26は−F、−OH、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のフッ素置換アルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHF、または−OCFであり、この炭素数1〜30のアルキルの少なくとも1つの−CH−は下記式(DI−13−b)で表される2価の基で置き換えられていてもよく、
【化33】
式(DI−13−b)において、R27およびR28は独立して炭素数1〜3のアルキルであり、vは1〜6の整数であり;
【化34】
式(DI−14)および式(DI−15)において、G30は独立して単結合、−CO−または−CH−であり、R29は独立して水素または−CHであり、R30は水素、炭素数1〜20のアルキル、または炭素数2〜20のアルケニルであり;
式(DI−15)におけるベンゼン環の1つの水素は、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルで置き換えられてもよく;
式(DI−14)および式(DI−15)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し、ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示し;
【化35】
式(DI−16)および式(DI−17)において、G31は独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、G32は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、R31は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルの少なくとも1つの−CH−は、−O−で置き換えられてもよく、R32は炭素数6〜22のアルキルであり、R33は水素または炭素数1〜22のアルキルであり、環B25は1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、rは0または1であり、そして、ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示す。
【請求項15】
〔B〕において、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物が、下記式(AN−1−1)、(AN−1−13)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−3−2)、(AN−4−5)、(AN−4−21)、(AN−5−1)、および(AN−16−1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つであり、光反応性構造を有さないジアミンが、下記式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−5)、(DI−5−9)、(DI−5−12)、(DI−5−27)〜(DI−5−30)、(DI−7−3)、(DI−8−1)、および(DI−9−1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。
【化36】
【化37】
【化38】
(DI−5−1)、(DI−5−12)および(DI−7−3)において、mは1〜12の整数であり;
式(DI−5−29)において、kは1〜5の整数であり:そして、
式(DI−7−3)において、nは1または2である。
【請求項16】
〔B〕において、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物が、下記式(AN−1−1)、(AN−1−13)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−3−2)、および(AN−4−5)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つであり、光反応性構造を有さないジアミンが、下記式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−5)、(DI−5−29)、および(DI−9−1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項15に記載の光配向用液晶配向剤。
【化39】
【化40】
式(DI−5−1)において、mは1〜12の整数であり;そして、
式(DI−5−29)において、kは1〜5の整数である。
【請求項17】
アルケニル置換ナジイミド化合物、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、オキサジン化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、およびシランカップリング剤からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つをさらに含有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。
【請求項18】
アルケニル置換ナジイミド化合物が、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、およびN,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項17に記載の光配向用液晶配向剤。
【請求項19】
ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物が、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、エチレンビスアクリレート、および4,4’−メチレンビス(N,N―ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項17に記載の光配向用液晶配向剤。
【請求項20】
エポキシ化合物が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、および3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項17に記載の光配向用液晶配向剤。
【請求項21】
シランカップリング剤が、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、請求項17に記載の光配向用液晶配向剤。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤によって形成された光配向用液晶配向膜。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗布した基板を加熱乾燥する工程と、膜に偏光紫外線を照射する工程とを経る光配向用液晶配向膜を形成する方法。
【請求項24】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗布した基板を加熱乾燥する工程と、乾燥した膜に偏光紫外線を照射する工程と、次いでその膜を加熱焼成する工程を経る光配向用液晶配向膜を形成する方法。
【請求項25】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗布した基板を加熱乾燥する工程と、乾燥した膜を加熱焼成する工程と、次いでその膜に偏光紫外線を照射する工程とを経る光配向用液晶配向膜を形成する方法。
【請求項26】
請求項22に記載の光配向用液晶配向膜を有する液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光配向法に用いる光配向用液晶配向剤、およびそれを用いた光配向膜、液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンのモニター、液晶テレビ、ビデオカメラのビューファインダー、投写型ディスプレイ等の様々な表示装置、さらには、光プリンターヘッド、光フーリエ変換素子、ライトバルブ等のオプトエレクトロニクス関連素子等、今日製品化されて一般に流通している液晶表示素子は、ネマティック液晶を用いた表示素子が主流である。ネマティック液晶表示素子の表示方式は、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モードがよく知られている。近年、これらのモードの問題点の1つである視野角の狭さを改善するために、光学補償フィルムを用いたTN型液晶表示素子、垂直配向と突起構造物の技術を併用したMVA(Multi-domain Vertical Alignment)モード、あるいは横電界方式のIPS(In-Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード等が提案され、実用化されている。
【0003】
液晶表示素子の技術の発展は、単にこれらの駆動方式や素子構造の改良のみならず、素子に使用される構成部材の改良によっても達成されている。液晶表示素子に使用される構成部材のなかでも、特に液晶配向膜は表示品位に係わる重要な材料の1つであり、液晶表示素子の高品質化に伴い、配向膜の性能を向上させる事が重要になってきている。
【0004】
液晶配向膜は、液晶配向剤より形成される。現在、主として用いられている液晶配向剤は、ポリアミック酸または可溶性のポリイミドを有機溶剤に溶解させた溶液(ワニス)である。この溶液を基板に塗布した後、加熱等の手段により成膜してポリイミド系液晶配向膜を形成する。
【0005】
工業的には、簡便で大面積の高速処理が可能なラビング法が、配向処理法として広く用いられている。ラビング法は、ナイロン、レイヨン、ポリエステル等の繊維を植毛した布を用いて液晶配向膜の表面を一方向に擦る処理であり、これによって液晶分子の一様な配向を得ることが可能になる。しかし、ラビング法による発塵、静電気の発生等の問題点が指摘されており、ラビング法に代わる配向処理法の開発が活発化している。
【0006】
ラビング法に代わる配向処理法として注目されているのが、光を照射して配向処理を施す光配向処理法である。光配向処理法には光分解法、光異性化法、光二量化法、光架橋法等多くの配向機構が提案されている(例えば、非特許文献1、特許文献1および2を参照。)。光配向法はラビング法に比べて配向の均一性が高く、また非接触の配向処理法であるため膜に傷が付かず、発塵や静電気等の液晶表示素子の表示不良を発生させる原因を低減できる等の利点がある。
【0007】
配向処理法によらず、液晶配向膜には種々の特性が要求される。その1つにフリッカの低減が挙げられる。通常液晶表示素子はフリッカと呼ばれるチラつきを軽減するためには、共通電極電位(以下、Vcomと称す)のレベルを調整し、正極性時と負極性時の液晶への印加電圧が等しくなるように調節されている。しかしながら、長時間の駆動によりバックライトなどの光が長時間液晶配向膜に当たると、その体積抵抗値が下がり、それに伴って電圧保持率が下がることにより、フリッカが生じる事が問題となっている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0008】
我々はポリアミック酸構造中に光異性化または光二量化を起こす光反応性基を有する光配向膜の検討を行ってきた(例えば、特許文献4〜6を参照。)。該光配向膜はアンカリングエネルギーが大きく、配向性が良好で、かつ電圧保持率など電気特性が良好であった。しかしながら、該光反応性基が光を吸収するため、透過率が低くなるという問題があり、改善の余地があった。また、前記フリッカが生じる問題について、評価・検討は十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−297313公報
【特許文献2】特開平10−251646公報
【特許文献3】特開2011−053693公報
【特許文献4】特開2005−275364公報
【特許文献5】特開2007−248637公報
【特許文献6】特開2009−069493公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】液晶、第3巻、第4号、262ページ、1999年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、液晶配向性や電圧保持率などの諸特性を維持しつつ、透過率が高く、長時間駆動後のフリッカ発生が抑制された液晶表示素子を実現する、液晶配向膜を形成するための光配向用液晶配向剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンを反応させて得られる光反応性構造を有するポリアミック酸またはその誘導体であって、原料モノマーであるテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの少なくとも1つが光反応性構造を有する化合物であるポリアミック酸またはその誘導体ポリマー〔A〕、および光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有さないジアミンを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体ポリマー〔B〕の少なくとも2つのポリマーを含有する光配向用液晶配向剤を用いることにより、上記要求特性を満足できる液晶表示素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。本明細書中では、〔ポリマーA〕のことを単に〔A〕と、〔ポリマーB〕のことを単に〔B〕と表すことがある。
【0013】
本発明は以下の構成からなる。
[1] 〔A〕テトラカルボン酸二無水物およびジアミンを反応させて得られる光反応性構造を有するポリアミック酸またはその誘導体であって、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンが、下記式(I)〜(VII)で表される化合物の群から選ばれる、光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有するジアミンの少なくとも1つを含むポリアミック酸またはその誘導体、および
〔B〕光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有さないジアミンを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体
を含有する、光配向用液晶配向剤:
【化1】
式(I)〜(VII)において、RおよびRは独立して−NH2を有する1価の有機基または−CO−O−CO−を有する1価の有機基であり、Rは芳香環を有する2価の有機基である。
【0014】
[2] 〔A〕において、光反応性構造が、ポリアミック酸またはその誘導体の主鎖に存在する、前記[1]項に記載の光配向用液晶配向剤。
【0015】
[3] 〔A〕において、光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有するジアミンが、下記式(I−1)、(II−1)、(III−1)、(IV−1)、(IV−2)、(V−1)、(VI−1)、および(VII−1)〜(VII−3)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、前記[1]項または[2]項に記載の光配向用液晶配向剤。
【化2】

【化3】

【化4】
式(I−1)、(II−1)、(III−1)、(IV−1)、(V−1)、(VI−1)、(VII−1)および(VII−2)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し;
式(VII−1)において、Rは独立して−CH、−OCH、−CF、または−COOCHであり、そして、bは独立して0〜2の整数である。
【0016】
[4] 〔A〕において、光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有するジアミンが、下記式(II−1−1)、(VI−1−1)、(VII−1−1)、および(VII−3)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、前記[3]項に記載の光配向用液晶配向剤。
【化5】
【0017】
[5] 〔A〕および〔B〕において、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物が、下記式(AN−I)〜(AN−VII)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤:
【化6】
式(AN−I)、(AN−IV)および(AN−V)において、Xは独立して単結合または−CH−であり;
式(AN−II)において、Gは単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−であり;
式(AN−II)〜(AN−IV)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つであり、
【化7】
これらの基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられてもよく;
式(AN−III)〜(AN−V)において、環Aは炭素数3〜10の単環式炭化水素の基または炭素数6〜30の縮合多環式炭化水素の基であり、この基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられていてもよく、環に掛かっている結合手は環を構成する任意の炭素に連結しており、2本の結合手が同一の炭素に連結してもよく;
式(AN−VI)において、X10は炭素数2〜6のアルキレンであり、Meはメチルを表し、Phはフェニルを表し;
式(AN−VII)において、G10は独立して−O−、−COO−または−OCO−であり、そして、rは独立して0または1である。
【0018】
[6] 〔A〕において、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物が下記式(AN−2−1)、(AN−3−2)および(AN−4−17)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、前記[5]項に記載の光配向用液晶配向剤:
【化8】
式(AN−4−17)において、mは1〜12の整数である。
【0019】
[7] 〔A〕および〔B〕において、光反応性構造を有さないジアミンが、下記式(DI−1)〜(DI−17)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤:
【化9】
式(DI−1)において、mは1〜12の整数であり;
式(DI−3)および(DI−5)〜(DI−7)においてG21は独立して単結合、−NH−、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CHm’−、−O−(CHm’−O−、−N(CH)−(CH−N(CH)−、または−S−(CHm’−S−であり、m’は独立して1〜12の整数であり、kは1〜5の整数であり;
式(DI−6)および(DI−7)において、G22は独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−、または炭素数1〜10のアルキレンであり;
式(DI−2)〜(DI−7)中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の少なくとも1つの水素は、−F、−CH、−OH、−CF、−COH、−CONH、またはベンジルで置き換えられていてもよく、加えて式(DI−4)においてベンゼン環の少なくとも1つの水素は、下記式(DI−4−a)〜(DI−4−c)で置き換えられていてもよく、
【化10】
式(DI−4−a)および(DI−4−b)において、R20は独立して水素または−CHであり;
式(DI−2)〜(DI−7)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し、
シクロヘキサン環またはベンゼン環への−NHの結合位置は、G21またはG22の結合位置を除く任意の位置であり;
【化11】
式(DI−8)において、R21およびR22は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、G23は独立して炭素数1〜6のアルキレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、wは1〜10の整数であり;
式(DI−9)において、R23は独立して炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシまたは−Clであり、pは独立して0〜3の整数であり、qは0〜4の整数であり;
式(DI−10)において、R24は水素、炭素数1〜4のアルキル、フェニル、またはベンジルであり;
式(DI−11)において、G24は−CH−または−NH−であり;
式(DI−12)において、G25は単結合、炭素数2〜6のアルキレンまたは1,4−フェニレンであり、rは0または1であり;
式(DI−12)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し;
式(DI−9)、(DI−11)および(DI−12)において、ベンゼン環に結合する−NHの結合位置は任意の位置であり;
【化12】
式(DI−13)において、G26は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−(CHm’−であり、m’は1〜12の整数であり;
25は炭素数3〜20のアルキル、フェニル、シクロヘキシル、ステロイド骨格を有する基、または下記の式(DI−13−a)で表される基であり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの水素は−Fで置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−は−O−で置き換えられていてもよく、このフェニルの水素は、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHF、−OCF、炭素数3〜20のアルキル、または炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく、このシクロヘキシルの水素は炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシで置き換えられていてもよく、ベンゼン環に結合する−NHの結合位置はその環において任意の位置であることを示し;
【化13】
式(DI−13−a)において、G27、G28およびG29は結合基を表し、これらは独立して単結合、または炭素数1〜12のアルキレンであり、このアルキレン中の1以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−で置き換えられていてもよく;
環B21、環B22、環B23、および環B24は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、またはアントラセン−9,10−ジイルであり;
環B21、環B22、環B23、および環B24において、少なくとも1つの水素は−Fまたは−CHで置き換えられてもよく;
s,tおよびuは独立して0〜2の整数であり、これらの合計は1〜5であり;
s,tまたはuが2であるとき、各々の括弧内の2つの結合基は同じであっても異なってもよく、2つの環は同じであっても異なっていてもよく;
26は−F、−OH、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のフッ素置換アルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHF、または−OCFであり、この炭素数1〜30のアルキルの少なくとも1つの−CH−は下記式(DI−13−b)で表される2価の基で置き換えられていてもよく、
【化14】
式(DI−13−b)において、R27およびR28は独立して炭素数1〜3のアルキルであり;
vは1〜6の整数であり;
【化15】
式(DI−14)および式(DI−15)において、G30は独立して単結合、−CO−または−CH2−であり、R29は独立して水素または−CHであり、R30は水素、炭素数1〜20のアルキル、または炭素数2〜20のアルケニルであり;
式(DI−15)におけるベンゼン環の1つの水素は、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルで置き換えられてもよく;
式(DI−14)および式(DI−15)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し;
ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示し;
【化16】
式(DI−16)および式(DI−17)において、G31は独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、G32は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、R31は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルの少なくとも1つの−CH2−は、−O−で置き換えられてもよく、R32は炭素数6〜22のアルキルであり、R33は水素または炭素数1〜22のアルキルであり、環B25は1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、rは0または1であり、そして、ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示す。
【0020】
[8] 〔A〕において、光反応性構造を有さないジアミンが下記式(DI−5−1)で表される化合物の少なくとも1つである、前記[7]項に記載の光配向用液晶配向剤:
【化17】
式(DI−5−1)において、mは1〜12の整数である。
【0021】
[9] 〔B〕において、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物が、下記式(AN−1−1)、(AN−1−13)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−3−2)、(AN−4−5)、(AN−4−21)、(AN−5−1)、および(AN−16−1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つであり、光反応性構造を有さないジアミンが、下記式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−5)、(DI−5−9)、(DI−5−12)、(DI−5−27)〜(DI−5−30)、(DI−7−3)、(DI−8−1)、および(DI−9−1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、前記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。
【化18】

【化19】

【化20】
式(DI−5−1)、(DI−5−12)および(DI−7−3)において、mは1〜12の整数であり;
式(DI−5−29)において、kは1〜5の整数であり:そして、
式(DI−7−3)において、nは1または2である。
【0022】
[10] 〔B〕において、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物が、下記式(AN−1−1)、(AN−1−13)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−3−2)、および(AN−4−5)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つであり、光反応性構造を有さないジアミンが、下記式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−5)、(DI−5−29)、および(DI−9−1)で表される化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、前記[9]項に記載の光配向用液晶配向剤。
【化21】

【化22】
式(DI−5−1)において、mは1〜12の整数であり;そして、
式(DI−5−29)において、kは1〜5の整数である。
【0023】
[11] アルケニル置換ナジイミド化合物、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物、オキサジン化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、およびシランカップリング剤からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つをさらに含有する、前記[1]〜[10]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。
【0024】
[12] アルケニル置換ナジイミド化合物が、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、およびN,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、前記[11]項に記載の光配向用液晶配向剤。
【0025】
[13] ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物が、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、エチレンビスアクリレート、および4,4’−メチレンビス(N,N−ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)からなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、前記[11]項に記載の液晶配向剤。
【0026】
[14] エポキシ化合物が、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、および3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、前記[11]項に記載の液晶配向剤。
【0027】
[15] シランカップリング剤が、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシランからなる化合物の群から選ばれる少なくとも1つである、前記[11]項に記載の液晶配向剤。
【0028】
[16] 前記[1]〜[15]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤によって形成された光配向用液晶配向膜。
【0029】
[17] 前記[1]〜[15]のいずれか1項に記載の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗布した基板を加熱乾燥する工程と、膜に偏紫外線を照射する工程とを経て形成される光配向用液晶配向膜。
【0030】
[18] 前記[1]〜[15]のいずれか1項に記載の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗布した基板を加熱乾燥する工程と、乾燥した膜に偏紫外線を照射する工程と、次いでその膜を加熱焼成する工程を経て形成される光配向用液晶配向膜。
【0031】
[19] 前記[1]〜[15]のいずれか1項に記載の液晶配向剤を基板に塗布する工程と、配向剤を塗布した基板を加熱乾燥する工程と、乾燥した膜を加熱焼成する工程と、次いでその膜に偏紫外線を照射する工程とを経て形成される光配向用液晶配向膜。
【0032】
[20] 前記[16]〜[19]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向膜を有する液晶表示素子。
【発明の効果】
【0033】
本発明の光配向用液晶配向剤を用いることにより、液晶配向性や電圧保持率などの諸特性を維持しつつ、透過率が高く、長時間駆動後のフリッカ発生が抑制された液晶表示素子を実現する光配向用液晶配向膜を形成することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明で用いる用語について説明する。化学構造式を定義する際に用いる「任意の」は、位置だけでなく個数についても任意であることを示す。化学構造式において、文字(例えば、AまたはB21〜B24)を円で囲った基は環構造の基(AまたはB21〜B24)であることを意味する。文字(例えば、A11またはB25)を六角形で囲った基は6員環構造の基(A11またはB25)であることを意味する。
【0035】
<光配向用液晶配向剤>
本発明の光配向用液晶配向剤は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応生成物であるポリアミック酸またはその誘導体を含有する。前記ポリアミック酸の誘導体とは、溶剤を含有する後述する液晶配向剤としたときに溶剤に溶解する成分であり、その液晶配向剤を後述する液晶配向膜としたときに、ポリイミドを主成分とする液晶配向膜を形成することができる成分である。このようなポリアミック酸の誘導体としては、例えば可溶性ポリイミド、ポリアミック酸エステル、およびポリアミック酸アミド等が挙げられ、より具体的には1)ポリアミック酸の全てのアミノとカルボキシルとが脱水閉環反応したポリイミド、2)部分的に脱水閉環反応した部分ポリイミド、3)ポリアミック酸のカルボキシルがエステルに変換されたポリアミック酸エステル、4)テトラカルボン酸二無水物化合物に含まれる酸二無水物の一部を有機ジカルボン酸に置き換えて反応させて得られたポリアミック酸−ポリアミド共重合体、さらに5)該ポリアミック酸−ポリアミド共重合体の一部もしくは全部を脱水閉環反応させたポリアミドイミドが挙げられる。前記ポリアミック酸またはその誘導体は、1種の化合物であってもよいし、2種以上であってもよい。
【0036】
本発明の光配向用液晶配向剤は、〔A〕テトラカルボン酸二無水物およびジアミンを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体であって、モノマーであるテトラカルボン酸二無水物およびジアミンが、下記式(I)〜(VII)で表される化合物の群から選ばれる、光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有するジアミンの少なくとも1つを含むポリアミック酸またはその誘導体、および〔B〕光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体を含有する、光配向用液晶配向剤である。
【化23】
式(I)〜(VII)において、RおよびRは独立して−NH2を有する1価の有機基または−CO−O−CO−を有する1価の有機基であり、Rは芳香環を有する2価の有機基である。
【0037】
光反応性構造とは光異性化または光二量化が可能な構造である。
【0038】
本発明の光配向用液晶配向剤は〔A〕および〔B〕の少なくとも2つのポリマーを含有する液晶配向剤である。ここで、〔A〕の重量平均分子量を〔B〕の重量平均分子量よりも小さく制御することによって、両ポリマーの混合物を含有する液晶配向剤を基板に塗布し、予備乾燥を行う過程で、形成されたポリマー膜の上層に光反応性構造を有する〔A〕を、下層に光反応性構造を有さない〔B〕を偏析させることができると考えられる。このため、配向膜表面は光反応性構造を有するポリマー〔A〕の存在が支配的となり、配向膜を形成するポリマーの総量を基準として光反応性構造を有するポリマー〔A〕の含有量が少なくても、本発明の光配向用液晶配向剤によって形成された配向膜は高い液晶配向性を示す。
【0039】
上記のように2つのポリマーを含む液晶配向剤を用いて薄膜を形成する過程で、表面エネルギーが小さいポリマーは上層に、表面エネルギーの大きいポリマーは下層に分離する現象が知られている。上記の配向膜が層分離しているかの確認は、例えば、形成した膜の表面エネルギーを測定し、ポリマー〔A〕のみを含有する液晶配向剤によって形成された膜の表面エネルギーの値と同じか、それに近い値であることによって確認することができる。
【0040】
上記のように良好な光配向性を示すために、本発明の光配向用液晶配向剤中の〔A〕の含有量は、含まれるポリマー全量を100としたとき20重量%以上であることが必要であり、30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましい。また、液晶配向膜の透過率を良好に保つために、〔A〕の含有量は90重量%以下であることが必要であり、70重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましい。ただし、ここで述べる〔A〕の好ましい含有量は1つの指針であり、原料に用いるテトラカルボン酸二無水物またはジアミンの組み合わせによって変動することがある。特にアゾベンゼンの構造を有する原料化合物を使用する場合、透過性を良好に保つためには、〔A〕の含有量は上記の割合よりもおよそ10〜20重量%少なく設定される。
【0041】
ポリマーの重量平均分子量は、〔A〕を8,000〜40,000に、〔B〕を50,000〜200,000に調整することにより、好ましくは〔A〕の分子量(MW)を10,000〜30,000に、〔B〕の分子量(MW)を80,000〜160,000に調整することにより、前記のような層分離を引き起こすことができる。ポリマーの重量平均分子量は、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させる時間によって調整することができる。重合反応中の反応液を少量採取して、これに含まれるポリマーの重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定によって求め、その測定値によって反応の終点を決定することができる。また、反応開始時にテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの相当量を、モノカルボン酸またはモノアミンに置き換えることにより、重合反応のターミネーションを起こさせて、重量平均分子量を制御する方法もよく知られている。
【0042】
<ポリマー〔A〕>
本発明の〔A〕はテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体であって、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンが、上記式(I)〜(VII)で表される化合物の群から選ばれる、光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有するジアミンの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0043】
〔A〕において、前記の式(I)〜(VII)で表される化合物の群から選択される光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有するジアミンの少なくとも1つを原料に用いることで、良好な感光性を発揮することができる。好適な化合物として下記の式(I−1)、(II−1)、(III−1)、(IV−1)、(IV−2)、(V−1)、(VI−1)、および(VII−1)〜(VII−3)のテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを挙げることができる。
【化24】

【化25】

【化26】
式(I−1)、(II−1)、(III−1)、(IV−1)、(V−1)、(VI−1)、(VII−1)および(VII−2)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示し、式(VII−1)において、Rは独立して−CH、−OCH、−CF、または−COOCHであり、そしてbは独立して0〜2の整数である。
【0044】
反応性および感光性の点から、上記式(II−1)、(VI−1)、(VII−1)、および(VII−3)で表されるテトラカルボン酸二無水物またはジアミンを好適に用いることができる。上記式(II−1)、(VI−1)および(VII−1)において、特にアミノ基の結合位置がパラ位のものを好適に用いることができ、中でも式(VII−1)において、bが0である化合物をより好適に用いることができる。
【0045】
〔A〕において、前記光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有するジアミンと共に、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有さないジアミンを使用することができる。ただし、前記の光配向性を良好に保つためには、その使用量は制限される。光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物と光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物を併用する際には、光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物はテトラカルボン酸二無水物の全量を基準にして30モル%以上であることが必要であり、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましい。光反応性構造を有するジアミンと光反応性構造を有さないジアミンを併用する際には、光反応性構造を有するジアミンはジアミンの全量を基準にして30モル%以上であることが必要であり、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましい。
【0046】
<ポリマー〔B〕>
本発明の〔B〕は光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを反応させて得られるポリアミック酸またはその誘導体である。〔B〕においては、光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物および光反応性構造を有さないジアミンを制限なく使用することができる。
【0047】
<光反応性構造を有さないテトラカルボン酸二無水物>
本発明の光配向用配向剤は前記〔A〕および〔B〕のポリアミック酸またはその誘導体を含有するが、〔A〕を製造するにあたっては、上述した光反応性構造を有するテトラカルボン酸二無水物以外のテトラカルボン酸二無水物をさらに使用することができ、公知のテトラカルボン酸二無水物から制限されることなく選択することができる。また〔B〕を製造するにあたっては、公知のテトラカルボン酸二無水物から制限されることなく選択することができる。このようなテトラカルボン酸二無水物は、芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合した芳香族系(複素芳香環系を含む)、および芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合していない脂肪族系(複素環系を含む)の何れの群に属するものであってもよい。
【0048】
このようなテトラカルボン酸二無水物の好適な例としては、原料入手の容易さや、ポリマー製造時の容易さ、膜の電気特性の点から、式(AN−I)〜(AN−VII)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【化27】
式(AN−I)、(AN−IV)および(AN−V)において、Xは独立して単結合または−CH−であり、式(AN−II)において、Gは単結合、炭素数1〜20のアルキレン、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−であり、式(AN−II)〜(AN−IV)において、Yは独立して下記の3価の基の群から選ばれる1つであり、結合手は任意の炭素に連結しており、この基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられてもよく、
【化28】
式(AN−III)〜(AN−V)において、環Aは炭素数3〜10の単環式炭化水素の基または炭素数6〜30の縮合多環式炭化水素の基であり、この基の少なくとも1つの水素はメチル、エチルまたはフェニルで置き換えられていてもよく、環に掛かっている結合手は環を構成する任意の炭素に連結しており、2本の結合手が同一の炭素に連結してもよく、式(AN−VI)において、X10は炭素数2〜6のアルキレンであり、Meはメチルであり、そして、Phはフェニルであり、式(AN−VII)において、G10は独立して−O−、−COO−または−OCO−であり、rは独立して0または1である。
【0049】
さらに詳しくは以下の式(AN−1)〜(AN−16−14)の式で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0050】
【化29】
式(AN−1)において、G11は単結合、炭素数1〜12のアルキレン、1,4−フェニレン、または1,4−シクロヘキシレンである。X11は独立して単結合または−CH−である。G12は独立して>CH−または>N−である。G12が>CH−であるとき、>CH−の水素は−CHに置き換えられてもよい。G12が>N−であるとき、G11が単結合および−CH−であることはなく、X11は単結合であることはない。そしてR11は水素または−CHである。式(AN−1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化30】
式(AN−1−2)および(AN−1−14)において、mは1〜12の整数である。
【0051】
【化31】
式(AN−2)において、R12は独立して水素、−CH、−CHCH、またはフェニルである。式(AN−2)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化32】
【0052】
【化33】
式(AN−3)において、環A11はシクロヘキサン環もしくはベンゼン環である。式(AN−3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化34】
【0053】
【化35】
式(AN−4)において、G13は単結合、−(CH−、−O−、−S−、−C(CH−、−SO−、−CO−または−C(CF−であり、mは1〜12の整数である。環A11はそれぞれ独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。G13は環A11の任意の位置に結合してよい。式(AN−4)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化36】
【化37】
式(AN−4−17)において、mは1〜12の整数である。
【化38】
【0054】
【化39】
式(AN−5)において、R11は水素、または−CHである。ベンゼン環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていないR11は、ベンゼン環における結合位置が任意であることを示す。式(AN−5)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化40】
【0055】
【化41】
式(AN−6)において、X11は独立して単結合または−CH−である。X12は独立して−CH−、−CHCH−または−CH=CH−である。nは1または2である。式(AN−6)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化42】
【0056】
【化43】
式(AN−7)において、X11は単結合または−CH−である。式(AN−7)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化44】
【0057】
【化45】
式(AN−8)において、X11はそれぞれ独立して単結合または−CH−である。R12は水素、−CH、−CHCH、またはフェニルであり、環A12はシクロヘキサン環もしくはシクロヘキセン環である。式(AN−8)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化46】
【0058】
【化47】
式(AN−9)において、rはそれぞれ独立して0または1である。式(AN−9)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化48】
【0059】
式(AN−10)は下記のテトラカルボン酸二無水物である。
【化49】
【0060】
【化50】
式(AN−11)において、環A11は独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。式(AN−11)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化51】
【0061】
【化52】
式(AN−12)において、環A11はそれぞれ独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。式(AN−12)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化53】
【0062】
【化54】
式(AN−13)において、X13は炭素数2〜6のアルキレンであり、Phはフェニルを表す。式(AN−13)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化55】
【0063】
【化56】
式(AN−14)において、G14は独立して−O−、−COO−または−OCO−であり、rは独立して0または1である。式(AN−14)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化57】
【0064】
【化58】
式(AN−15)において、wは1〜10の整数である。式(AN−15)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式で表される化合物を挙げることができる。
【化59】
【0065】
上記以外のテトラカルボン酸二無水物として、下記の化合物が挙げられる。
【化60】
【0066】
〔A〕において、各特性を向上させる好適な材料について述べる。
液晶配向膜の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、上記の酸無水物のうち、式(AN−1−1)、(AN−1−3)、(AN−2−1)、(AN−3−2)、(AN−4−5)、(AN−4−17)、(AN−11−3)、および(AN−16−14)で表される化合物がより好ましく、式(AN−2−1)、(AN−3−2)、(AN−4−5)、(AN−4−17)、(AN−11−3)、および(AN−16−14)で表される化合物が特に好ましい。式(AN−4−17)においては、m=8である化合物が特に好ましい。
【0067】
液晶表示素子のVHRを向上させることを重視する場合には、上記の酸無水物のうち、式(AN−1−1)、(AN−1−4)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−5−1)、(AN−6−3)、(AN−7−1)、(AN−7−2)、(AN−8−1)、(AN−8−2)、(AN−9−3)、(AN−10)、(AN−13−1)、(AN−16−1)、および(AN−16−4)で表される脂環式化合物がより好ましく、式(AN−1−4)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−7−2)、(AN−10)、(AN−13−1)、および(AN−16−1)、で表される化合物が特に好ましい。
【0068】
透過率をさらに向上させることを重視する場合には、上記の酸無水物のうち、式(AN−1−1)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−4−1)、(AN−7−1)、(AN−7−2)、(AN−10)、(AN−11−1)、および(AN−16−1)で表される化合物がより好ましく、式(AN−1−1)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、および(AN−16−1)で表される化合物が特に好ましい。
【0069】
長期駆動による体積抵抗の低下を抑えることを重視する場合には、上記の酸無水物のうち、式(AN−1−13)および(AN−3−2)で表される化合物が特に好ましい。
【0070】
〔B〕において、各特性を向上させる好適な材料について述べる。
液晶の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、上記の酸無水物のうち、式(AN−1−1)、(AN−1−3)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−3−2)、(AN−4−5)、(AN−4−17)、(AN−4−21)、(AN−5−1)、(AN−7−2)、(AN−8−1)、(AN−11−3)、(AN−16−3)、および(AN−16−14)で表される化合物がより好ましく、式(AN−1−1)、(AN−3−2)、(AN−4−5)、(AN−11−3)、および(AN−16−14)で表される化合物が特に好ましい。式(AN−4−17)においては、m=8である化合物が特に好ましい。
【0071】
液晶表示素子のVHRを向上させることを重視する場合には、上記の酸無水物のうち、式(AN−1−1)、(AN−1−4)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−5−1)、(AN−6−3)、(AN−7−1)、(AN−7−2)、(AN−8−1)、(AN−8−2)、(AN−9−3)、(AN−10)、(AN−13−1)、(AN−16−1)、および(AN−16−3)で表される脂環式化合物がより好ましく、式(AN−1−1)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−7−2)、(AN−10)、および(AN−13−1)で表される化合物が特に好ましい。
【0072】
透過率をさらに向上させることを重視する場合には、上記の酸無水物のうち、式(AN−1−1)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、(AN−4−1)、(AN−7−1)、(AN−7−2)、(AN−10)、(AN−11−1)、および(AN−16−1)で表される化合物がより好ましく、式(AN−1−1)、(AN−2−1)、(AN−3−1)、および(AN−16−1)で表される化合物が特に好ましい。
【0073】
長期駆動による体積抵抗の低下を抑えることを重視する場合には、上記の酸無水物のうち、式(AN−1−13)および(AN−3−2)で表される化合物が特に好ましい。
【0074】
<光反応性構造を有さないジアミン>
本発明の〔A〕および〔B〕のポリアミック酸またはその誘導体を製造するにあたっては、〔A〕においては、上述した光反応性構造を有するジアミン化合物以外のジアミン化合物をさらに使用することができ、公知のジアミン化合物から制限されることなく選択することができる。また〔B〕においては、公知のジアミン化合物から制限されることなく選択することができる。
【0075】
ここで光反応性構造を有さないジアミン化合物の構造について説明する。光反応性構造を有さないジアミン化合物はその構造によって2種類に分けることができる。即ち、2つのアミノ基を結ぶ骨格を主鎖として見たときに、主鎖から分岐する基、即ち側鎖基を有するジアミンと側鎖基を持たないジアミンである。この側鎖基はプレチルト角を大きくする効果を有する基である。このような効果を有する側鎖基は炭素数3以上の基である必要があり、具体的な例として炭素数3以上のアルキル、炭素数3以上のアルコキシ、炭素数3以上のアルコキシアルキル、およびステロイド骨格を有する基を挙げることができる。1つ以上の環を有する基であって、その末端の環が置換基として炭素数1以上のアルキル、炭素数1以上のアルコキシおよび炭素数2以上のアルコキシアルキルのいずれか1つを有する基も側鎖基としての効果を有する。以下の説明では、このような側鎖基を有するジアミンを側鎖型ジアミンと称することがある。そして、このような側鎖基を持たないジアミンを非側鎖型ジアミンと称することがある。
【0076】
非側鎖型ジアミンと側鎖型ジアミンを適切に使い分けることにより、それぞれに必要なプレチルト角に対応することができる。側鎖型ジアミンは、本発明の特性を損なわない程度に併用するのが好ましい。また側鎖型ジアミンおよび非側鎖型ジアミンについて、液晶に対する垂直配向性、電圧保持率、焼き付き特性および光配向性を向上させる目的で取捨選択して使用することが好ましい。
【0077】
<非側鎖型ジアミン>
既知の側鎖を有さないジアミンとしては、以下の式(DI−1)〜(DI−12)のジアミンを挙げることができる。
【化61】
上記の式(DI−1)において、mは1〜12の整数である。(DI−3)および(DI−5)〜(DI−7)において、G21は独立して単結合、−NH−、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CHm’−、−O−(CHm’−O−、−N(CH)−(CH−N(CH)−、または−S−(CHm’−S−であり、m’は独立して1〜12の整数であり、kは1〜5の整数である。(DI−6)および(DI−7)において、G22は独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−、または炭素数1〜10のアルキレンである。式(DI−3)〜(DI−7)中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の少なくとも1つの水素は、−F、−CH、−OH、−CF、−COH、−CONH、またはベンジルで置き換えられていてもよく、加えて式(DI−4)においては、下記式(DI−4−a)〜(DI−4−c)で置き換えられていてもよい。環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。そして、シクロヘキサン環またはベンゼン環への−NHの結合位置は、G21またはG22の結合位置を除く任意の位置である。
【化62】
式(DI−4−a)および(DI−4−b)において、R20は独立して水素または−CHである。
【0078】
【化63】
式(DI−8)において、R21およびR22は独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、G23は独立して炭素数1〜6のアルキレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、wは1〜10の整数である。
式(DI−9)において、R23は独立して炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシまたは−Clであり、pは独立して0〜3の整数であり、qは0〜4の整数である。
式(DI−10)において、R24は水素、炭素数1〜4のアルキル、フェニル、またはベンジルである。
式(DI−11)において、G24は−CH−または−NH−である。
式(DI−12)において、G25は単結合、炭素数2〜6のアルキレンまたは1,4−フェニレンであり、rは0または1である。そして、環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。
式(DI−9)、式(DI−11)および式(DI−12)において、ベンゼン環に結合する−NHの結合位置は、任意の位置である。
【0079】
上記式(DI−1)〜(DI−12)の側鎖を有さないジアミンとして、以下の式(DI−1−1)〜(DI−12−1)の具体例を挙げることができる。
【0080】
式(DI−1)〜(DI−3)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化64】
【0081】
式(DI−4)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化65】

【化66】

【化67】
【0082】
式(DI−5)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化68】
式(DI−5−1)において、mは1〜12の整数である。
【化69】
式(DI−5−12)において、mは1〜12の整数である。
【化70】
式(DI−5−15)において、vは1〜6の整数である。
【化71】
式(DI−5−29)において、kは1〜5の整数である。
【0083】
式(DI−6)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化72】
【0084】
式(DI−7)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化73】
式(DI−7−3)および(DI−7−4)において、mは1〜12の整数であり、nは独立して1または2である。
【化74】
【0085】
式(DI−8)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化75】
【0086】
式(DI−9)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化76】

【化77】

【化78】
【0087】
式(DI−10)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化79】
【0088】
式(DI−11)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化80】
【0089】
式(DI−12)で表されるジアミンの例を以下に示す。
【化81】
【0090】
このような非側鎖型ジアミンは液晶表示素子のイオン密度を低下させる等、電気特性を改善する効果がある。本発明の液晶配向剤に用いられる〔A〕の原料として非側鎖型ジアミンを用いる場合、配向膜の光配向性を優先するため、光反応性構造を有するジアミンの含量が優先されるため、ジアミン総量に占めるその割合は0〜70モル%であり、0〜50モル%とすることが好ましく、0〜30モル%とすることがより好ましい。〔B〕の原料として非側鎖型ジアミンを用いる場合には、特に制限は受けないので100モル%であってもよい。
【0091】
<側鎖型ジアミン>
側鎖型ジアミンの側鎖基としては、以下の基をあげることができる。
【0092】
側鎖基としてまず、アルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルケニルカルボニル、アルケニルカルボニルオキシ、アルケニルオキシカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキニル、アルキニルオキシ、アルキニルカルボニル、アルキニルカルボニルオキシ、アルキニルオキシカルボニル、アルキニルアミノカルボニル等を挙げることができる。これらの基におけるアルキル、アルケニルおよびアルキニルは、いずれも炭素数3以上の基である。但し、アルキルオキシアルキルにおいては、基全体で炭素数3以上であればよい。これらの基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
【0093】
次に、末端の環が置換基として炭素数1以上のアルキル、炭素数1以上のアルコキシまたは炭素数2以上のアルコキシアルキルを有することを条件に、フェニル、フェニルアルキル、フェニルアルキルオキシ、フェニルオキシ、フェニルカルボニル、フェニルカルボニルオキシ、フェニルオキシカルボニル、フェニルアミノカルボニル、フェニルシクロヘキシルオキシ、炭素数3以上のシクロアルキル、シクロヘキシルアルキル、シクロヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルフェニル、シクロヘキシルフェニルアルキル、シクロヘキシルフェニルオキシ、ビス(シクロヘキシル)オキシ、ビス(シクロヘキシル)アルキル、ビス(シクロヘキシル)フェニル、ビス(シクロヘキシル)フェニルアルキル、ビス(シクロヘキシル)オキシカルボニル、ビス(シクロヘキシル)フェニルオキシカルボニル、およびシクロヘキシルビス(フェニル)オキシカルボニル等の環構造の基を挙げることができる。
【0094】
さらに、2個以上のベンゼン環を有する基、2個以上のシクロヘキサン環を有する基、またはベンゼン環およびシクロヘキサン環で構成される2環以上の基であって、結合基が独立して単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−もしくは炭素数1〜3のアルキレンであり、末端の環が置換基として炭素数1以上のアルキル、炭素数1以上のフッ素置換アルキル、炭素数1以上のアルコキシ、または炭素数2以上のアルコキシアルキルを有する環集合基を挙げることができる。ステロイド骨格を有する基も側鎖基として有効である。
【0095】
側鎖を有するジアミンとしては、以下の式(DI−13)〜(DI−17)で表される化合物を挙げることができる。
【化82】
式(DI−13)において、G26は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、または−(CHm’−であり、m’は1〜12の整数である。G26の好ましい例は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、および炭素数1〜3のアルキレンであり、特に好ましい例は単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−CH−および−CHCH−である。R25は炭素数3〜30のアルキル、フェニル、ステロイド骨格を有する基、または下記の式(DI−13−a)で表される基である。このアルキルにおいて、少なくとも1つの水素は−Fで置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの−CH2−は−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよい。このフェニルの水素は、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHF2、−OCF3、炭素数3〜30のアルキルまたは炭素数3〜30のアルコキシで置き換えられていてもよく、このシクロヘキシルの水素は炭素数3〜30のアルキルまたは炭素数3〜30のアルコキシで置き換えられていてもよい。ベンゼン環に結合する−NHの結合位置はその環において任意の位置であることを示すが、その結合位置はメタまたはパラであることが好ましい。即ち、基「R25−G26−」の結合位置を1位としたとき、2つの結合位置は3位と5位、または2位と5位であることが好ましい。
【化83】
式(DI−13−a)において、G27、G28およびG29は結合基であり、これらは独立して単結合、または炭素数1〜12のアルキレンであり、このアルキレン中の1以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−で置き換えられていてもよい。環B21、環B22、環B23および環B24は独立して1,4−フェニレン、1,4−シクロへキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイルまたはアントラセン−9,10−ジイルであり、環B21、環B22、環B23および環B24において、少なくとも1つの水素は−Fまたは−CHで置き換えられてもよく、s、tおよびuは独立して0〜2の整数であって、これらの合計は1〜5であり、s、tまたはuが2であるとき、各々の括弧内の2つの結合基は同じであっても異なってもよく、そして、2つの環は同じであっても異なっていてもよい。R26は−F、−OH、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のフッ素置換アルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHF、または−OCFであり、この炭素数1〜30のアルキルの少なくとも1つの−CH−は下記式(DI−13−b)で表される2価の基で置き換えられていてもよい。
【化84】
式(DI−13−b)において、R27およびR28は独立して炭素数1〜3のアルキルであり、vは1〜6の整数である。R26の好ましい例は炭素数1〜30のアルキルおよび炭素数1〜30のアルコキシである。
【0096】
【化85】
式(DI−14)および式(DI−15)において、G30は独立して単結合、−CO−または−CH2−であり、R29は独立して水素または−CHであり、R30は水素、炭素数1〜20のアルキル、または炭素数2〜20のアルケニルである。式(DI−15)におけるベンゼン環の少なくとも1つの水素は、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルで置き換えられてもよい。そして、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。式(DI−14)における2つの基「−フェニレン−G30−O−」の一方はステロイド核の3位に結合し、もう一方はステロイド核の6位に結合していることが好ましい。式(DI−15)における2つの基「−フェニレン−G30−O−」のベンゼン環への結合位置は、ステロイド核の結合位置に対して、それぞれメタ位またはパラ位であることが好ましい。式(DI−14)および式(DI−15)において、ベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示す。
【0097】
【化86】
式(DI−16)および式(DI−17)において、G31は独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、G32は単結合または炭素数1〜3のアルキレンである。R31は水素または炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキルの少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい。R32は炭素数6〜22のアルキルであり、R33は水素または炭素数1〜22のアルキルである。環B25は1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、rは0または1である。そしてベンゼン環に結合する−NHはその環における結合位置が任意であることを示すが、独立してG29の結合位置に対してメタ位またはパラ位であることが好ましい。
【0098】
側鎖型ジアミンの具体例を以下に例示する。
上記式(DI−13)〜(DI−17)の側鎖を有するジアミン化合物として、下記の式(DI−13−1)〜(DI−17−3)で表される化合物を挙げることができる。
【0099】
式(DI−13)で表される化合物の例を以下に示す。
【化87】
式(DI−13−1)〜(DI−13−11)において、R34は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであり、好ましくは炭素数5〜25のアルキルまたは炭素数5〜25のアルコキシである。R35は炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数1〜30のアルコキシであり、好ましくは炭素数3〜25のアルキルまたは炭素数3〜25のアルコキシである。
【0100】
【化88】
式(DI−13−12)〜(DI−13−17)において、R36は炭素数4〜30のアルキルであり、好ましくは炭素数6〜25のアルキルである。R37は炭素数6〜30のアルキルであり、好ましくは炭素数8〜25のアルキルである。
【0101】
【化89】

【化90】

【化91】

【化92】

【化93】
式(DI−13−18)〜(DI−13−43)において、R38は炭素数1〜20のアルキルまたは炭素数1〜20のアルコキシであり、好ましくは炭素数3〜20のアルキルまたは炭素数3〜20のアルコキシである。R39は水素、−F、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHFまたは−OCFであり、好ましくは炭素数3〜25のアルキル、または炭素数3〜25のアルコキシである。そしてG33は炭素数1〜20のアルキレンである。
【0102】
【化94】

【化95】

【化96】

【化97】
【0103】
式(DI−14)で表される化合物の例を以下に示す。
【化98】
【0104】
式(DI−15)で表される化合物の例を以下に示す。
【化99】

【化100】
【0105】
式(DI−16)で表される化合物の例を以下に示す。
【化101】

【化102】

【化103】

【化104】
式(DI−16−1)〜(DI−16−12)において、R40は水素または炭素数1〜20のアルキル、好ましくは水素または炭素数1〜10のアルキルであり、そしてR41は水素または炭素数1〜12のアルキルである。
【0106】
式(DI−17)で表される化合物の例を以下に示す。
【化105】
式(DI−17−1)〜(DI−17−3)において、R37は炭素数6〜30のアルキルであり、R41は水素または炭素数1〜12のアルキルである。
【0107】
本発明におけるジアミンとしては、前述した式(DI−1−1)〜(DI−17−3)で表されるジアミン以外のジアミンも用いることができる。このようなジアミンとしては、例えば、式(DI−13−1)〜(DI−17−3)以外の側鎖構造を有するジアミンや感光性ジアミンが挙げられる。
【0108】
このようなジアミンとしては、例えば下記式(DI−18−1)〜(DI−18−8)で表される化合物が挙げられる。
【化106】
式(DI−18−1)〜(DI−18−8)中、R42はそれぞれ独立して炭素数3〜22のアルキル基を表す。
【0109】
また、式(DI−18−9)〜(DI−18−13)で表されるジアミンを挙げることもできる。
【化107】
式(DI−18−9)〜(DI−18−11)において、eは2〜10の整数であり、式(DI−18−12)中、R43はそれぞれ独立して水素、−NHBocまたは−N(Boc)であり、R43の少なくとも1つは−NHBocまたは−N(Boc)であり、式(DI−18−13)において、R44は−NHBocまたは−N(Boc)であり、そして、mは1〜12の整数である。ここでBocはt−ブトキシカルボニル基である。
【0110】
本発明の液晶配向剤を用いる液晶表示素子が大きなプレチルト角を必要とする場合、特に2度以上のプレチルト角を発現させるためには、本発明の液晶配向剤に用いる〔A〕のポリアミック酸およびその誘導体の製造に際して、上述の側鎖型ジアミンをジアミン総量の5〜70モル%使用することが好ましく、10〜50モル%使用することがより好ましい。
【0111】
各ジアミンにおいて、ジアミンに対するモノアミンの比率が40モル%以下の範囲で、ジアミンの一部がモノアミンに置き換えられていてもよい。このような置き換えは、ポリアミック酸を生成する際の重合反応のターミネーションを起こすことができ、それ以上の重合反応の進行を抑えることができる。このため、このような置き換えによって、得られる重合体(ポリアミック酸およびその誘導体)の分子量を容易に制御することができ、例えば本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性を改善することができる。モノアミンに置き換えられるジアミンは、本発明の効果が損なわれなければ、1種でも2種以上でもよい。モノアミンとしては、例えばアニリン、4−ヒドロキシアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、およびn−エイコシルアミンが挙げられる。特にアニリンを好適に用いることができる。
【0112】
〔A〕において、各特性を向上させる好適な材料について述べる。
液晶の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、上記のジアミンの具体例のうち、式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−12)、(DI−5−14)、(DI−5−27)〜(DI−5−30)、(DI−6−1)〜(DI−6−5)、(DI−6−7)、(DI−7−1)、(DI−7−3)、(DI−7−5)、(DI−7−9)、(DI−11−1)、(DI−12−1)、(DI−13−1)〜(DI−13−11)、(DI−16−1)、(DI−16−2)、(DI−16−4)、(DI−16−5)、(DI−16−7)、(DI−16−8)、(DI−16−10)、および(DI−16−11)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−7−3)、および(DI−13−1)〜(DI−13−11)で表されるジアミンがさらに好ましい。また式(DI−5−1)においては、m=2、3、4、6または8である化合物が特に好ましい。式(DI−5−29)においては、k=2である化合物が特に好ましい。式(DI−7−3)においては、m=3または6であり、n=1である化合物が特に好ましい。
【0113】
高いVHRを液晶配向膜に付与することを重視する場合には、上記のジアミンの具体例のうち、式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−2)、(DI−5−21)、(DI−5−27)〜(DI−5−30)、(DI−6−1)、(DI−7−1)、(DI−7−3)、(DI−7−5)、(DI−9−1)、(DI−11−1)、(DI−12−1)、(DI−13−1)〜(DI−13−12)、(DI−16−1)、(DI−16−2)、(DI−16−4)、(DI−16−5)、(DI−16−7)、および式(DI−16−11)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−2)、(DI−5−21)、(DI−5−27)〜(DI−5−30)、(DI−7−3)、(DI−9−1)、式(DI−13−4)、(DI−13−5)、(DI−13−12)、(DI−16−1)、(DI−16−2)および(DI−16−4)で表されるジアミンがさらに好ましい。式(DI−5−1)においては、m=1である化合物が特に好ましい。式(DI−5−29)においては、k=2である化合物が特に好ましい。式(DI−7−3)においては、m=3であり、n=1である化合物が特に好ましい。式(DI−13−4)および(DI−13−5)においては、R35が炭素数3〜25のアルキルである化合物が特に好ましい。式(DI−13−12)においては、R36が炭素数6〜25のアルキルである化合物が特に好ましい。式(DI−16−1)および(DI−16−2)においては、R40が炭素数1〜10である化合物が特に好ましい。式(DI−16−4)においては、R41が炭素数1〜10である化合物が特に好ましい。
【0114】
透過率をさらに向上させることを重視する場合には、上記のジアミンの具体例のうち、式(DI−2−1)、(DI−3−1)および(DI−8−1)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−2−1)および(DI−3−1)で表されるジアミンがさらに好ましい。
【0115】
長期駆動による体積抵抗の低下を抑えることを重視する場合には、上記のジアミンの具体例のうち、式(DI−1−3)、(DI−2−1)および(DI−4−12)〜(DI−4−14)で表される化合物が特に好ましい。
【0116】
〔B〕において、各特性を向上させる好適な材料について述べる。
液晶の配向性をさらに向上させることを重視する場合には、上記のジアミンの具体例のうち、式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−12)、(DI−5−27)〜(DI−5−30)、(DI−6−7)、(DI−7−1)、(DI−7−3)、(DI−7−5)、(DI−7−9)、(DI−11−1)、および(DI−12−1)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−5−1)、および(DI−7−3)で表されるジアミンがさらに好ましい。また式(DI−5−1)においては、m=2、3、4、6または8である化合物が特に好ましい。式(DI−5−29)においては、k=2である化合物が特に好ましい。式(DI−7−3)においては、m=3または6であり、n=1である化合物が特に好ましい。
【0117】
高いVHRを液晶配向膜に付与することを重視する場合には、上記のジアミンの具体例のうち、式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−2)、(DI−5−21)、(DI−5−27)〜(DI−5−30)、(DI−6−1)、(DI−7−1)、(DI−7−3)、(DI−7−5)、(DI−9−1)、(DI−11−1)、および(DI−12−1)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−1−3)、(DI−2−1)、(DI−4−1)、(DI−5−1)、(DI−5−2)、(DI−5−21)、(DI−5−27)〜(DI−5−30)、(DI−7−3)、および(DI−9−1)で表されるジアミンがさらに好ましい。式(DI−5−1)においては、m=1である化合物が特に好ましい。式(DI−5−29)においては、k=2である化合物が特に好ましい。式(DI−7−3)においては、m=3であり、n=1である化合物が特に好ましい。
【0118】
透過率をさらに向上させることを重視する場合には、上記のジアミンの具体例のうち、式(DI−2−1)、(DI−3−1)および(DI−8−1)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI−2−1)および(DI−3−1)で表されるジアミンがさらに好ましい。
【0119】
長期駆動による体積抵抗の低下を抑えることを重視する場合には、上記のジアミンの具体例のうち、式(DI−1−3)および(DI−2−1)で表される化合物が特に好ましい。
【0120】
<ポリアミック酸またはその誘導体>
本発明の液晶配向剤に用いるポリアミック酸は、上記の酸無水物とジアミンを溶剤中で反応させることによって得られる。この合成反応においては、原料の選択以外に特別な条件は必要でなく、通常のポリアミック酸合成における条件をそのまま適用することができる。使用する溶剤については後述する。
【0121】
<その他の成分>
本発明の液晶配向剤は、ポリアミック酸またはその誘導体以外の他の成分をさらに含有していてもよい。他の成分は、1種であっても2種以上であってもよい。
【0122】
<アルケニル置換ナジイミド化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる目的から、アルケニル置換ナジイミド化合物をさらに含有していてもよい。アルケニル置換ナジイミド化合物は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。アルケニル置換ナジイミド化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましく、1〜70重量部であることがより好ましく、1〜50重量部であることがさらに好ましい。
【0123】
以下にナジイミド化合物について具体的に説明する。
アルケニル置換ナジイミド化合物は、本発明で用いられるポリアミック酸またはその誘導体を溶解する溶剤に溶解させることができる化合物であることが好ましい。このようなアルケニル置換ナジイミド化合物の例は、下記の式(NA)で表される化合物が挙げられる。
【化108】
式(NA)において、LおよびLは独立して水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルであり、nは1または2である。
【0124】
式(NA)において、n=1のとき、Wは炭素数1〜12のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−Z−(O)−(ZO)−Z−H(ここで、Z、ZおよびZは独立して炭素数2〜6のアルキレンであり、rは0または1であり、そして、kは1〜30の整数である。)で表される基、−(Z−B−Z−H(ここで、ZおよびZは独立して炭素数1〜4のアルキレンまたは炭素数5〜8のシクロアルキレンであり、Bはフェニレンであり、そして、rは0または1である。)で表される基、−B−T−B−H(ここで、Bはフェニレンであり、そして、Tは−CH−、−C(CH−、−O−、−CO−、−S−、または−SO−である。)で表される基、またはこれらの基の1〜3個の水素が−OHで置換された基である。
【0125】
このとき、好ましいWは、炭素数1〜8のアルキル、炭素数3〜4のアルケニル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、炭素数4〜10のポリ(エチレンオキシ)エチル、フェニルオキシフェニル、フェニルメチルフェニル、フェニルイソプロピリデンフェニル、およびこれらの基の1個または2個の水素が−OHで置き換えられた基である。
【0126】
式(NA)において、n=2のとき、Wは炭素数2〜20のアルキレン、炭素数5〜8のシクロアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−Z−O−(ZO)−Z−(ここで、Z〜Z、およびkの意味は前記の通りである。)で表される基、−Z−B−Z−(ここで、Z、ZおよびBの意味は前記の通りである。)で表される基、−B−(O−B)−T−(B−O)−B−(ここで、Bはフェニレンであり、Tは炭素数1〜3のアルキレン、−O−または−SO−であり、rの意味は前記の通りである。)で表される基、またはこれらの基の1〜3個の水素が−OHで置き換えられた基である。
【0127】
このとき、好ましいWは炭素数2〜12のアルキレン、シクロヘキシレン、フェニレン、トリレン、キシリレン、−C−O−(Z−O)−O−C−(ここで、Zは炭素数2〜6のアルキレンであり、nは1または2である。)で表される基、−B−T−B−(ここで、Bはフェニレンであり、そして、Tは−CH−、−O−または−SO−である。)で表される基、−B−O−B−C−B−O−B−(ここで、Bはフェニレンである。)で表される基、およびこれらの基の1個または2個の水素が−OHで置き換えられた基である。
【0128】
このようなアルケニル置換ナジイミド化合物は、例えば特許第2729565号公報に記載されているように、アルケニル置換ナジック酸無水物誘導体とジアミンとを80〜220℃の温度で0.5〜20時間保持することにより合成して得られる化合物や市販されている化合物を用いることができる。アルケニル置換ナジイミド化合物の具体例として、以下に示す化合物が挙げられる。
【0129】
N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0130】
N−(2−エチルヘキシル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−シクロヘキシル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0131】
N−フェニル−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−ベンジル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0132】
N−(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシ−1−プロペニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0133】
N−(4−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−ヒドロキシベンジル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
【0134】
N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−〔2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリル(メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−{4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、およびこれらのオリゴマー、
【0135】
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0136】
1,2−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、1,2−ビス{3’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、ビス〔2’−{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、ビス〔2’−{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、1,4−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、1,4−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、
【0137】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0138】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
【0139】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
【0140】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、1,6−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3−ヒドロキシ−ヘキサン、1,12−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3,6−ジヒドロキシ−ドデカン、1,3−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−シクロヘキサン、1,5−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}−3−ヒドロキシ−ペンタン、1,4−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−ベンゼン、
【0141】
1,4−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2,5−ジヒドロキシ−ベンゼン、N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルメチルシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−(2,3−ジヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0142】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェニル}メタン、ビス{3−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−4−ヒドロキシ−フェニル}エーテル、ビス{3−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−フェニル}スルホン、1,1,1−トリ{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)}フェノキシメチルプロパン、N,N’,N”−トリ(エチレンメタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)イソシアヌレート、およびこれらのオリゴマー等。
【0143】
さらに、本発明に用いられるアルケニル置換ナジイミド化合物は、非対称なアルキレン・フェニレン基を含む下記の式で表される化合物でもよい。
【化109】
【0144】
アルケニル置換ナジイミド化合物のうち、好ましい化合物を以下に示す。
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
【0145】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン。
【0146】
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン。
【0147】
更に好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物を以下に示す。
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)。
【0148】
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)。
【0149】
2,2−ビス〔4−{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン。
【0150】
そして、特に好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物としては、下記式(NA−1)で表されるビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、式(NA−2)で表されるN,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、および式(NA−3)で表されるN,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)が挙げられる。
【化110】
【0151】
<ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる目的から、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物をさらに含有していてもよい。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。なお、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物にはアルケニル置換ナジイミド化合物は含まれない。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましく、1〜70重量部であることがより好ましく、1〜50重量部であることがさらに好ましい。
【0152】
なお、アルケニル置換ナジイミド化合物に対するラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の比率は、液晶表示素子のイオン密度を低減し、イオン密度の経時的な増加を抑制し、さらに残像の発生を抑制するために、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物/アルケニル置換ナジイミド化合物が重量比で0.1〜10であることが好ましく、0.5〜5であることがより好ましい。
【0153】
以下にラジカル重合性不飽和二重結合有する化合物について具体的に説明する。
ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド等の(メタ)アクリル酸誘導体、およびビスマレイミドが挙げられる。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物は、ラジカル重合性不飽和二重結合を2つ以上有する(メタ)アクリル酸誘導体であることがより好ましい。
【0154】
(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、および(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0155】
2官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えばエチレンビスアクリレート、東亜合成化学工業(株)の製品であるアロニックスM−210、アロニックスM−240およびアロニックスM−6200、日本化薬(株)の製品であるKAYARAD HDDA、KAYARAD HX−220、KAYARAD R−604およびKAYARAD R−684、大阪有機化学工業(株)の製品であるV260、V312およびV335HP、並びに共栄社油脂化学工業(株)の製品であるライトアクリレートBA−4EA、ライトアクリレートBP−4PAおよびライトアクリレートBP−2PAが挙げられる。
【0156】
3官能以上の多官能(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば4,4’−メチレンビス(N,N−ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)、東亜合成化学工業(株)の製品であるアロニックスM−400、アロニックスM−405、アロニックスM−450、アロニックスM−7100、アロニックスM−8030、アロニックスM−8060、日本化薬(株)の製品であるKAYARAD TMPTA、KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120、および大阪有機化学工業(株)の製品であるVGPTが挙げられる。
【0157】
(メタ)アクリル酸アミド誘導体の具体例としては、例えばN−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、N−シクロプロピルメタクリルアミド、N−エトキシエチルアクリルアミド、N−エトキシエチルメタクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド、N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチル−N−メチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリディン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビスアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−(iso−ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−(メトキシメチル)メタクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)−2−メタクリルアミド、N−ベンジル−2−メタクリルアミド、およびN,N’−メチレンビスメタクリルアミドが挙げられる。
【0158】
上記の(メタ)アクリル酸誘導体のうち、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレン−ビスアクリルアミド、エチレンビスアクリレート、および4,4’−メチレンビス(N,N−ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)が特に好ましい。
【0159】
ビスマレイミドとしては、例えばケイ・アイ化成(株)製のBMI−70およびBMI−80、並びに大和化成工業(株)製のBMI−1000、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5000およびBMI−7000が挙げられる。
【0160】
<オキサジン化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的から、オキサジン化合物をさらに含有していてもよい。オキサジン化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。オキサジン化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましく、1〜40重量部であることがより好ましく、1〜20重量部であることがさらに好ましい。
【0161】
以下にオキサジン化合物について具体的に説明する。
オキサジン化合物は、ポリアミック酸またはその誘導体を溶解させる溶媒に可溶であり、加えて、開環重合性を有するオキサジン化合物が好ましい。
【0162】
またオキサジン化合物におけるオキサジン構造の数は、特に限定されない。
【0163】
オキサジンの構造には種々の構造が知られている。本発明では、オキサジンの構造は特に限定されないが、オキサジン化合物におけるオキサジン構造には、ベンゾオキサジンやナフトオキサジン等の、縮合多環芳香族基を含む芳香族基を有するオキサジンの構造が挙げられる。
【0164】
オキサジン化合物としては、例えば下記式(OX−1)〜(OX−6)に示す化合物が挙げられる。なお下記式において、環の中心に向けて表示されている結合は、環を構成しかつ置換基の結合が可能ないずれかの炭素に結合していることを示す。
【化111】
式(OX−1)〜(OX−3)において、LおよびLは炭素数1〜30の有機基であり、式(OX−1)〜(OX−6)において、L〜Lは水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、式(OX−3)、式(OX−4)および式(OX−6)において、Qは単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO2−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH−、−O−(CH−O−、−S−(CH−S−であり、ここでvは1〜6の整数であり、式(OX−5)および式(OX−6)において、Qは独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH32−、−C(CF32−または炭素数1〜3のアルキレンであり、Qにおけるベンゼン環、ナフタレン環に結合している水素は独立して−F、−CH、−OH、−COOH、−SOH、−POと置き換えられていてもよい。
【0165】
また、オキサジン化合物には、オキサジン構造を側鎖に有するオリゴマーやポリマー、オキサジン構造を主鎖中に有するオリゴマーやポリマーが含まれる。
【0166】
式(OX−1)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化112】
【0167】
式(OX−1−2)において、Lは炭素数1〜30のアルキルが好ましく、炭素数1〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0168】
式(OX−2)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化113】

【化114】
【0169】
式中、Lは炭素数1〜30のアルキルが好ましく、炭素数1〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0170】
式(OX−3)で表されるオキサジン化合物としては、下記式(OX−3−I)で表されるオキサジン化合物が挙げられる。
【化115】
式(OX−3−I)において、LおよびLは炭素数1〜30の有機基であり、LからLは水素または炭素数1〜6の炭化水素基であり、Qは単結合、−CH2−、−C(CH−、−CO−、−O−、−SO−、−C(CH−、または−C(CF−である。式(OX−3−I)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【0171】
【化116】

【化117】

【化118】

【化119】
式中、LおよびLは炭素数1〜30のアルキルが好ましく、炭素数1〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0172】
式(OX−4)で表されるオキサジン化合物しては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化120】

【化121】
【0173】
式(OX−5)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化122】
【0174】
式(OX−6)で表されるオキサジン化合物としては、例えば以下のオキサジン化合物が挙げられる。
【化123】

【化124】

【化125】

【化126】
【0175】
これらのうち、より好ましくは、式(OX−2−1)、(OX−3−1)、(OX−3−3)、(OX−3−5)、(OX−3−7)、(OX−3−9)、(OX−4−1)〜(OX−4−6)、(OX−5−3)、(OX−5−4)、および(OX−6−2)〜(OX−6−4)で表されるオキサジン化合物が挙げられる。
【0176】
オキサジン化合物は、国際公開2004/009708号パンフレット、特開平11−12258号公報、特開2004−352670号公報に記載の方法と同様の方法で製造することができる。
【0177】
式(OX−1)で表されるオキサジン化合物は、フェノール化合物と1級アミンとアルデヒドとを反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレット参照。)。
【0178】
式(OX−2)で表されるオキサジン化合物は、1級アミンをホルムアルデヒドへ徐々に加える方法により反応させたのち、ナフトール系水酸基を有する化合物を加えて反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレット参照。)。
【0179】
式(OX−3)で表されるオキサジン化合物は、有機溶媒中でフェノール化合物1モル、そのフェノール性水酸基1個に対し少なくとも2モル以上のアルデヒド、および1モルの一級アミンを、2級脂肪族アミン、3級脂肪族アミンまたは塩基性含窒素複素環化合物の存在下で反応させることによって得られる(国際公開2004/009708号パンフレットおよび特開平11−12258号公報参照。)。
【0180】
式(OX−4)〜(OX−6)で表されるオキサジン化合物は、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の、複数のベンゼン環とそれらを結合する有機基とを有するジアミン、ホルマリン等のアルデヒド、およびフェノールを、n−ブタノール中、90℃以上の温度で脱水縮合反応させることにより得られる(特開2004−352670号公報参照。)。
【0181】
<オキサゾリン化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的から、オキサゾリン化合物をさらに含有していてもよい。オキサゾリン化合物はオキサゾリン構造を有する化合物である。オキサゾリン化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。オキサゾリン化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましく、1〜40重量部であることがより好ましく、1〜20重量部であることがさらに好ましい。または、オキサゾリン化合物の含有量は、オキサゾリン化合物中のオキサゾリン構造をオキサゾリンに換算したときに、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1〜40重量%であることが、上記の目的から好ましい。
【0182】
以下にオキサゾリン化合物について具体的に説明する。
オキサゾリン化合物は、1つの化合物中にオキサゾリン構造を1種だけ有していてもよいし、2種以上有していてもよい。またオキサゾリン化合物は、1つの化合物中にオキサゾリン構造を1個有していればよいが、2個以上有することが好ましい。またオキサゾリン化合物は、オキサゾリン環構造を側鎖に有する重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。オキサゾリン構造を側鎖に有する重合体は、オキサゾリン構造を側鎖に有するモノマーの単独重合体であってもよいし、オキサゾリン構造を側鎖に有するモノマーとオキサゾリン構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。オキサゾリン構造を側鎖に有する共重合体は、オキサゾリン構造を側鎖に有する2種以上のモノマーの共重合体であってもよいし、オキサゾリン構造を側鎖に有する1種以上のモノマーとオキサゾリン構造を有しないモノマーとの共重合体であってもよい。
【0183】
オキサゾリン構造は、オキサゾリン構造中の酸素および窒素の一方または両方とポリアミック酸のカルボニル基とが反応し得るようにオキサゾリン化合物中に存在する構造であることが好ましい。
【0184】
オキサゾリン化合物としては、例えば2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,2,4−トリス−(2−オキサゾリニル−2)−ベンゼン、4−フラン−2−イルメチレン−2−フェニル−4H−オキサゾール−5−オン、1,4−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、2,3−ビス(4−イソプロペニル−2−オキサゾリン−2−イル)ブタン、2,2’−ビス−4−ベンジル−2−オキサゾリン、2,6−ビス(イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−メチレンビス(4−tert−ブチル−2−オキサゾリン)、および2,2’−メチレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)が挙げられる。これらの他、エポクロス(商品名、(株)日本触媒製)のようなオキサゾリルを有するポリマーやオリゴマーも挙げられる。これらのうち、より好ましくは、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼンが挙げられる。
【0185】
<エポキシ化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的から、エポキシ化合物をさらに含有していてもよい。エポキシ化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。エポキシ化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましく、1〜40重量部であることがより好ましく、1〜20重量部であることがさらに好ましい。
【0186】
以下にエポキシ化合物について具体的に説明する。
エポキシ化合物としては、分子内にエポキシ環を1つまたは2つ以上有する種々の化合物が挙げられる。分子内にエポキシ環を1つ有する化合物としては、例えばフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、3,3,3−トリフルオロメチルプロピレンオキシド、スチレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−グリシジルフタルイミド、(ノナフルオロ−N−ブチル)エポキシド、パーフルオロエチルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、N,N−ジグリシジルアニリン、および3−[2−(パーフルオロヘキシル)エトキシ]−1,2−エポキシプロパンが挙げられる。
【0187】
分子内にエポキシ環を2つ有する化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートおよび3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0188】
分子内にエポキシ環を3つ有する化合物としては、例えば2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン(商品名「テクモアVG3101L」、(三井化学(株)製))が挙げられる。
【0189】
分子内にエポキシ環を4つ有する化合物としては、例えば1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、および3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0190】
上記の他、分子内にエポキシ環を有する化合物の例として、エポキシ環を有するオリゴマーや重合体も挙げられる。エポキシ環を有するモノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0191】
エポキシ環を有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0192】
エポキシ環を有するモノマーの重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート等が挙げられる。また、エポキシ環を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N−シクロヘキシルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0193】
これら例の中でも、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、商品名「テクモアVG3101L」、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、および2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0194】
体系的には、エポキシ化合物としては、例えばグリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルアミン、エポキシ基含有アクリル系樹脂、グリシジルアミド、グリシジルイソシアヌレート、鎖状脂肪族型エポキシ化合物、および環状脂肪族型エポキシ化合物が挙げられる。なお、エポキシ化合物はエポキシ基を有する化合物を意味し、エポキシ樹脂はエポキシ基を有する樹脂を意味する。
【0195】
グリシジルエーテルとしては、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール−S型エポキシ化合物、水素化ビスフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノール−F型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、ナフタレン骨格含有エポキシ化合物、芳香族ポリグリシジルエーテル化合物、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物、脂環式ジグリシジルエーテル化合物、脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物、ポリサルファイド型ジグリシジルエーテル化合物、およびビフェノール型エポキシ化合物が挙げられる。
【0196】
グリシジルエステルとしては、例えばジグリシジルエステル化合物およびグリシジルエステルエポキシ化合物が挙げられる。
【0197】
グリシジルアミンとしては、例えばポリグリシジルアミン化合物およびグリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0198】
エポキシ基含有アクリル系樹脂としては、例えばオキシラニルを有するアクリルモノマーの単独重合体および共重合体が挙げられる。
【0199】
グリシジルアミドとしては、例えばグリシジルアミド型エポキシ化合物が挙げられる。
【0200】
鎖状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばアルケン化合物の炭素−炭素二重結合を酸化して得られる、エポキシ基を含有する化合物が挙げられる。
【0201】
環状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばシクロアルケン化合物の炭素−炭素二重結合を酸化して得られる、エポキシ基を含有する化合物が挙げられる。
【0202】
ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、例えばjER828、jER1001、jER1002、jER1003、jER1004、jER1007、jER1010(いずれも三菱化学(株)製)、エポトートYD−128(東都化成(株)製)、DER−331、DER−332、DER−324(いずれもThe Dow Chemical Company製)、エピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050(いずれもDIC(株)製)、エポミックR−140、エポミックR−301、およびエポミックR−304(いずれも三井化学(社)製)が挙げられる。
【0203】
ビスフェノールF型エポキシ化合物としては、例えばjER806、jER807、jER4004P(いずれも三菱化学(株)製)、エポトートYDF−170、エポトートYDF−175S、エポトートYDF−2001(いずれも東都化成(株)製)、DER−354(ダウ・ケミカル社製)、エピクロン830、およびエピクロン835(いずれもDIC(株)製)が挙げられる。
【0204】
ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化物が挙げられる。
【0205】
水素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物としては、例えばサントートST−3000(東都化成(株)製)、リカレジンHBE−100(新日本理化(株)製)、およびデナコールEX−252(ナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【0206】
水素化ビスフェノール型エポキシ化合物としては、例えば水素化2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化物が挙げられる。
【0207】
臭素化ビスフェノール−A型エポキシ化合物としては、例えばjER5050、jER5051(いずれも三菱化学(株)製)、エポトートYDB−360、エポトートYDB−400(いずれも東都化成(株)製)、DER−530、DER−538(いずれもThe Dow Chemical Company製)、エピクロン152、およびエピクロン153(いずれもDIC(株)製)が挙げられる。
【0208】
フェノールノボラック型エポキシ化合物としては、例えばjER152、jER154(いずれも三菱化学(株)製)、YDPN−638(東都化成社製)、DEN431、DEN438(いずれもThe Dow Chemical Company製)、エピクロンN−770(DIC(株)製)、EPPN−201、およびEPPN−202(いずれも日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0209】
クレゾールノボラック型エポキシ化合物としては、例えばjER180S75(三菱化学(株)製)、YDCN−701、YDCN−702(いずれも東都化成社製)、エピクロンN−665、エピクロンN−695(いずれもDIC(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020、EOCN−1025、およびEOCN−1027(いずれも日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0210】
ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物としては、例えばjER157S70(三菱化学(株)製)、およびエピクロンN−880(DIC(株)製)が挙げられる。
【0211】
ナフタレン骨格含有エポキシ化合物としては、例えばエピクロンHP−4032、エピクロンHP−4700、エピクロンHP−4770(いずれもDIC(株)製)、およびNC−7000(日本化薬社製)が挙げられる。
【0212】
芳香族ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えばハイドロキノンジグリシジルエーテル(下記式EP−1)、カテコールジグリシジルエーテル(下記式EP−2)レゾルシノールジグリシジルエーテル(下記式EP−3)、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン(下記式EP−4)、トリス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン(下記式EP−5)、jER1031S、jER1032H60(いずれも三菱化学(株)製)、TACTIX−742(The Dow Chemical Company製)、デナコールEX−201(ナガセケムテックス(株)製)、DPPN−503、DPPN−502H、DPPN−501H、NC6000(いずれも日本化薬(株)製)、テクモアVG3101L(三井化学(株)製)、下記式EP−6で表される化合物、および下記式EP−7で表される化合物が挙げられる。
【化127】

【化128】
【0213】
ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ化合物としては、例えばTACTIX−556(The Dow Chemical Company製)、およびエピクロンHP−7200(DIC(株)製)が挙げられる。
【0214】
脂環式ジグリシジルエーテル化合物としては、例えばシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル化合物、およびリカレジンDME−100(新日本理化(株)製)が挙げられる。
【0215】
脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−8)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−9)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−10)、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−11)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−12)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(下記式EP−13)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(下記式EP−14)、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(下記式EP−15)、デナコールEX−810、デナコールEX−851、デナコールEX−8301、デナコールEX−911、デナコールEX−920、デナコールEX−931、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313(いずれもナガセケムテックス(株)製)、DD−503((株)ADEKA製)、リカレジンW−100(新日本理化(株)製)、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール(下記式EP−16)、グリセリンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、デナコールEX−313、デナコールEX−611、デナコールEX−321、およびデナコールEX−411(いずれもナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【化129】

【化130】
【0216】
ポリサルファイド型ジグリシジルエーテル化合物としては、例えばFLDP−50、およびFLDP−60(いずれも東レチオコール(株)製)が挙げられる。
【0217】
ビフェノール型エポキシ化合物としては、例えばYX−4000、YL−6121H(いずれも三菱化学(株)製)、NC−3000P、およびNC−3000S(いずれも日本化薬(株)製)が挙げられる。
【0218】
ジグリシジルエステル化合物としては、例えばジグリシジルテレフタレート(下記式EP−17)、ジグリシジルフタレート(下記式EP−18)、ビス(2−メチルオキシラニルメチル)フタレート(下記式EP−19)、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート(下記式EP−20)、下記式EP−21で表される化合物、下記式EP−22で表される化合物、および下記式EP−23で表される化合物が挙げられる。
【化131】
【0219】
グリシジルエステルエポキシ化合物としては、例えばjER871、jER872(いずれも三菱化学(株)製)、エピクロン200、エピクロン400(いずれもDIC(株)製)、デナコールEX−711、およびデナコールEX−721(いずれもナガセケムテックス(株)製)が挙げられる。
【0220】
ポリグリシジルアミン化合物としては、例えばN,N−ジグリシジルアニリン(下記式EP−24)、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン(下記式EP−25)、N,N−ジグリシジル−m−トルイジン(下記式EP−26)、N,N−ジグリシジル−2,4,6−トリブロモアニリン(下記式EP−27)、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン(下記式EP−28)、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール(下記式EP−29)、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール(下記式EP−30)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(下記式EP−31)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(TETRAD−X(三菱ガス化学(株)製)、下記式EP−32)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(TETRAD−C(三菱ガス化学(株)製)、下記式EP−33)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(下記式EP−34)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン(下記式EP−35)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン(下記式EP−36)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼン(下記式EP−37)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)ベンゼン(下記式EP−38)、2,6−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(下記式EP−39)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(下記式EP−40)、2,2’−ジメチル−(N,N,N’,N’−テトラグリシジル)−4,4’−ジアミノビフェニル(下記式EP−41)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(下記式EP−42)、1,3,5−トリス(4−(N,N−ジグリシジル)アミノフェノキシ)ベンゼン(下記式EP−43)、2,4,4’−トリス(N,N−ジグリシジルアミノ)ジフェニルエーテル(下記式EP−44)、トリス(4−(N,N−ジグリシジル)アミノフェニル)メタン(下記式EP−45)、3,4,3’,4’−テトラキス(N,N−ジグリシジルアミノ)ビフェニル(下記式EP−46)、3,4,3’,4’−テトラキス(N,N−ジグリシジルアミノ)ジフェニルエーテル(下記式EP−47)、下記式EP−48で表される化合物、および下記式EP−49で表される化合物が挙げられる。
【化132】

【化133】

【化134】

【化135】
【0221】
オキシラニルを有するモノマーの単独重合体としては、例えばポリグリシジルメタクリレートが挙げられる。オキシラニルを有するモノマーの共重合体としては、例えばN−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N−シクロヘキシルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0222】
オキシラニルを有するモノマーとしては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0223】
オキシラニルを有するモノマーの共重合体におけるオキシラニルを有するモノマー以外の他のモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、およびN−フェニルマレイミドが挙げられる。
【0224】
グリシジルイソシアヌレートとしては、例えば1,3,5−トリグリシジル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(下記式EP−50)、1,3−ジグリシジル−5−アリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン(下記式EP−51)、およびグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂が挙げられる。
【化136】
【0225】
鎖状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えばエポキシ化ポリブタジエン、およびエポリードPB3600((株)ダイセル製)が挙げられる。
【0226】
環状脂肪族型エポキシ化合物としては、例えば3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(セロキサイド2021((株)ダイセル製)、下記式EP−52)、2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−2’−メチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(下記式EP−53)、2,3−エポキシシクロペンタン−2’,3’−エポキシシクロペンタンエーテル(下記式EP−54)、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキレート、1,2:8,9−ジエポキシリモネン(セロキサイド3000((株)ダイセル製)、下記式EP−55)、下記式EP−56で表される化合物、CY−175、CY−177、CY−179(いずれもThe Ciba-Geigy Chemical Corp.製(ハンツマン・ジャパン(株)から入手できる。))、EHPD−3150((株)ダイセル製)、および環状脂肪族型エポキシ樹脂が挙げられる。
【化137】
【0227】
エポキシ化合物は、ポリグリシジルアミン化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、および環状脂肪族型エポキシ化合物の一以上であることが好ましく、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、商品名「テクモアVG3101L」、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、N−フェニルマレイミド−グリシジルメタクリレート共重合体、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、およびクレゾールノボラック型エポキシ化合物の一以上であることが好ましい。
【0228】
<その他のポリマー>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子の電気特性や配向性を制御する目的から、ポリアミック酸およびその誘導体以外のポリマーをさらに含有していてもよい。該ポリマーとしては、有機溶剤に可溶であるポリマーが挙げられる。該ポリマーは1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。該ポリマーの含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体100重量部に対して0.01〜100重量部であることが好ましく、0.1〜70重量部であることがより好ましく、0.1〜50重量部であることがさらに好ましい。該ポリマーとしては、例えばポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエポキサイド、ポリエステルポリオール、シリコーン変性ポリウレタン、シリコーン変性ポリエステル、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピレングリコールジアクリレートおよびポリオキシプロピレングリコールジメタクリレートが挙げられる。
【0229】
<低分子化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は低分子化合物をさらに含有していてもよい。低分子化合物としては、例えば1)塗布性の向上を望むときにはこの目的に沿った界面活性剤、2)帯電防止の向上を必要とするときは帯電防止剤、3)基板との密着性や耐ラビング性の向上を望むときにはシランカップリング剤やチタン系のカップリング剤、また、4)低温でイミド化を進行させる場合はイミド化触媒が挙げられる。低分子化合物の含有量は、上記の観点から、ポリアミック酸またはその誘導体100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましく、0.1〜40重量部であることがより好ましく、0.1〜20重量部であることがさらに好ましい。
【0230】
シランカップリング剤には、エポキシ化合物の例として挙げたエポキシ基を含有するシラン化合物も含まれる。基板との密着性や耐ラビング性の向上に加え、電気特性を長期に安定させる目的で、エポキシ基を含有するシランカップリング剤を本発明の液晶配向剤に添加してもよい。
【0231】
シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロピルアミン、およびN,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンが挙げられ、エポキシ基を含有するシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
【0232】
好ましいシランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、および3−アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
【0233】
イミド化触媒としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン類;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、メチル置換アニリン、ヒドロキシ置換アニリン等の芳香族アミン類;ピリジン、メチル置換ピリジン、ヒドロキシ置換ピリジン、キノリン、メチル置換キノリン、ヒドロキシ置換キノリン、イソキノリン、メチル置換イソキノリン、ヒドロキシ置換イソキノリン、イミダゾール、メチル置換イミダゾール、ヒドロキシ置換イミダゾール等の環式アミン類が挙げられる。イミド化触媒は、N,N−ジメチルアニリン、o−ヒドロキシアニリン、m−ヒドロキシアニリン、p−ヒドロキシアニリン、o−ヒドロキシピリジン,m−ヒドロキシピリジン、p−ヒドロキシピリジン、およびイソキノリンから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0234】
<溶剤>
本発明の配向剤は、ポリアミック酸またはその誘導体を溶剤に溶解した溶液である。この溶剤は公知のポリアミック酸の製造や使用において用いられている溶剤から、使用目的に応じて適宜選択することができる。これらの溶剤を例示すれば以下のとおりである。
【0235】
非プロトン性極性有機溶剤の例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド(DMAc)、およびγ−ブチロラクトン(GBL)等のラクトンが挙げられる。
【0236】
上記以外の溶剤であって、塗布性改善等を目的とした溶剤の好ましい例としては、乳酸アルキル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノアルキルエーテル(例:エチレングリコールモノブチルエーテル(BC))、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(例:ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(例:プロピレングリコールモノブチルエーテル)、マロン酸ジアルキル(例:マロン酸ジエチル)、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル(例:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)、およびこれらグリコールモノエーテル類のエステル化合物が挙げられる。これらの内、NMP、ジメチルイミダゾリジノン、GBL、BCS、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
【0237】
本発明の配向剤中のポリマーの濃度は、0.1〜40重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましい。この配向剤を基板に塗布するに当たって膜厚の調整が必要とされる場合には、予め溶剤により希釈して含有ポリマーの濃度を調整することができる。
【0238】
本発明の液晶配向剤の粘度は、塗布する方法、ポリアミック酸またはその誘導体の濃度、使用するポリアミック酸またはその誘導体の種類、溶剤の種類と割合によって好ましい範囲が異なる。例えば、印刷機による塗布の場合は5〜100mPa・s(より好ましくは10〜80mPa・s)である。5mPa・sより小さいと十分な膜厚を得ることが難しくなり、100mPa・sを超えると印刷ムラが大きくなることがある。スピンコートによる塗布の場合は5〜200mPa・s(より好ましくは10〜100mPa・s)が適している。インクジェット塗布装置を用いて塗布する場合は5〜50mPa・s(より好ましくは5〜20mPa・s)が適している。液晶配向剤の粘度は回転粘度測定法により測定され、例えば回転粘度計(東機産業製TVE−20L型)を用いて測定(測定温度:25℃)される。
【0239】
<液晶配向膜>
本発明の液晶配向膜は、通常の液晶配向膜の作製と同様に、液晶表示素子における基板に本発明の液晶配向剤を塗布することによって形成することができる。前記基板には、ITO(Indium TinOxide)、IZO(In−ZnO)、IGZO(In−Ga−ZnO)電極等の電極やカラーフィルタ等が設けられていてもよいガラス製の基板が挙げられる。また、液晶配向剤を塗布する方法としては、スピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。
【0240】
<液晶配向膜の製造工程>
前記加熱乾燥工程は、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。加熱乾燥工程は溶剤の蒸発が可能な範囲内の温度で実施することが好ましく、加熱焼成工程における温度に対して比較的低い温度で実施することがより好ましい。具体的には加熱乾燥温度は30℃〜150℃の範囲であること、さらには50℃〜120℃の範囲であることが好ましい。
【0241】
前記加熱焼成工程は、前記ポリアミック酸またはその誘導体が脱水・閉環反応を呈するのに必要な条件で行うことができる。前記塗膜の焼成は、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法も本発明において同様に適用可能である。一般に100〜300℃程度の温度で1分間〜3時間行うことが好ましく、120〜280℃がより好ましく、150〜250℃がさらに好ましい。
【0242】
光配向法による本発明の液晶配向膜の形成方法について、詳細に説明する。光配向法を用いた本発明の液晶配向膜は、塗膜を加熱乾燥した後、放射線の直線偏光または無偏光を照射することにより、塗膜に異方性を付与し、その膜を加熱焼成することにより形成することができる。または、塗膜を加熱乾燥し、加熱焼成した後に、放射線の直線偏光または無偏光を照射することにより形成する事ができる。配向性の点から、放射線の照射工程は加熱焼成工程前に行うのが好ましい。
【0243】
さらに、液晶配向膜の液晶配向能を上げるために、塗膜を加熱しながら放射線の直線偏光または無偏光を照射することもできる。放射線の照射は、塗膜を加熱乾燥する工程、または加熱焼成する工程で行ってもよく、加熱乾燥工程と加熱焼成工程の間に行ってもよい。該工程における加熱乾燥温度は、30℃〜150℃の範囲であること、さらには50℃〜120℃の範囲であることが好ましい。また該工程における加熱焼成温度は、30℃〜300℃の範囲であること、さらには50℃〜250℃の範囲であることが好ましい。
【0244】
放射線としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線または可視光を用いることができるが、300〜400nmの光を含む紫外線が好ましい。また、直線偏光または無偏光を用いることができる。これらの光は、前記塗膜に液晶配向能を付与することができる光であれば特に限定されないが、液晶に対して強い配向規制力を発現させたい場合、直線偏光が好ましい。
【0245】
本発明の液晶配向膜は、低エネルギーの光照射でも高い液晶配向能を示すことができる。前記放射線照射工程における直線偏光の照射量は0.05〜20J/cm2であることが好ましく、0.5〜10J/cm2がより好ましい。また直線偏光の波長は200〜400nmであることが好ましく、300〜400nmであることがより好ましい。直線偏光の膜表面に対する照射角度は特に限定されないが、液晶に対する強い配向規制力を発現させたい場合、膜表面に対してなるべく垂直であることが配向処理時間短縮の観点から好ましい。また、本発明の液晶配向膜は、直線偏光を照射することにより、直線偏光の偏光方向に対して垂直な方向に液晶を配向させることができる。
【0246】
プレチルト角を発現させたい場合に前記膜に照射する光は、前述同様直線偏光であっても無偏光であってもよい。プレチルト角を発現させたい場合に前記膜に照射される光の照射量は0.05〜20J/cm2であることが好ましく、0.5〜10J/cm2が特に好ましく、その波長は250〜400nmであることが好ましく、300〜380nmが特に好ましい。プレチルト角を発現させたい場合に前記膜に照射する光の前記膜表面に対する照射角度は特に限定されないが、30〜60度であることが配向処理時間短縮の観点から好ましい。
【0247】
放射線の直線偏光または無偏光を照射する工程に使用する光源には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、Deep UVランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、エキシマランプ、KrFエキシマレーザー、蛍光ランプ、LEDランプ、ナトリウムランプ、マイクロウェーブ励起無電極ランプ、などを制限なく用いることができる。
【0248】
本発明の液晶配向膜は、前述した工程以外の他の工程をさらに含む方法によって好適に得られる。例えば、本発明の液晶配向膜は焼成または放射線照射後の膜を洗浄液で洗浄する工程は必須としないが、他の工程の都合で洗浄工程を設けることができる。
【0249】
洗浄液による洗浄方法としては、ブラッシング、ジェットスプレー、蒸気洗浄または超音波洗浄等が挙げられる。これらの方法は単独で行ってもよいし、併用してもよい。洗浄液としては純水または、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を用いることができるが、これらに限定されるものではない。もちろん、これらの洗浄液は十分に精製された不純物の少ないものが用いられる。このような洗浄方法は、本発明の液晶配向膜の形成における前記洗浄工程にも適用することができる。
【0250】
本発明の液晶配向膜の液晶配向能を高めるために、加熱焼成工程の前後、ラビング工程の前後、または、偏光または無偏光の放射線照射の前後に、熱や光によるアニール処理を用いることができる。該アニール処理において、アニール温度が30〜180℃、好ましくは50〜150℃であり、時間は1分〜2時間が好ましい。また、アニール処理に使用するアニール光には、UVランプ、蛍光ランプ、LEDランプなどが挙げられる。光の照射量は0.3〜10J/cm2であることが好ましい。
【0251】
本発明の液晶配向膜の膜厚は、特に限定されないが、10〜300nmであることが好ましく、30〜150nmであることがより好ましい。本発明の液晶配向膜の膜厚は、段差計やエリプソメータ等の公知の膜厚測定装置によって測定することができる。
【0252】
本発明の液晶配向膜は特に大きな配向の異方性を持つことを特徴とする。このような異方性の大きさは特開2005−275364等に記載の偏光IRを用いた方法で評価する事ができる。また以下の実施例に示すようにエリプソメトリーを用いた方法によっても評価することができる。本発明の配向膜を液晶組成物用配向膜として使用した場合、より大きな膜の異方性を持つ材料が液晶組成物に対し大きな配向規制力を持つと考えられる。
【0253】
本発明の液晶配向膜は、液晶ディスプレイ用の液晶組成物の配向用途以外に、光学補償材やその他すべての液晶材料の配向制御に用いることができる。また本発明の配向膜は大きな異方性を有するので、単独で光学補償材用途に使用することができる。
【0254】
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、一対の基板と、液晶分子を含有し、前記一対の基板の間に形成される液晶層と、液晶層に電圧を印加する電極と、前記液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜とを有する。前記液晶配向膜には前述の本発明の液晶配向膜が用いられる。
【0255】
基板には、本発明の液晶配向膜で前述したガラス製の基板を用いることができ、前記電極には、本発明の液晶配向膜で前述したようにガラス製の基板に形成されるITO、IZO、IGZO電極を用いることができる。
【0256】
液晶層は、前記一対の基板の一方の基板における液晶配向膜が形成されている面が他方の基板に向かうように対向する一対の基板間の隙間に密封される液晶組成物によって形成される。
【0257】
液晶組成物には、特に制限はなく、誘電率異方性が正または負の各種の液晶組成物を用いることができる。誘電率異方性が正の好ましい液晶組成物には、特許第3086228号公報、特許第2635435号公報、特表平5−501735公報、特開平8−157826公報、特開平8−231960公報、特開平9−241644公報(EP885272A1明細書)、特開平9−302346公報(EP806466A1明細書)、特開平8−199168公報(EP722998A1明細書)、特開平9−235552公報、特開平9−255956公報、特開平9−241643公報(EP885271A1明細書)、特開平10−204016公報(EP844229A1明細書)、特開平10−204436公報、特開平10−231482公報、特開2000−087040公報、特開2001−48822公報等に開示されている液晶組成物が挙げられる。
【0258】
誘電率異方性が負の好ましい液晶組成物には、特開昭57−114532公報、特開平2−4725公報、特開平4−224885公報、特開平8−40953公報、特開平8−104869公報、特開平10−168076公報、特開平10−168453公報、特開平10−236989公報、特開平10−236990公報、特開平10−236992公報、特開平10−236993公報、特開平10−236994公報、特開平10−237000公報、特開平10−237004公報、特開平10−237024公報、特開平10−237035公報、特開平10−237075公報、特開平10−237076公報、特開平10−237448公報(EP967261A1明細書)、特開平10−287874公報、特開平10−287875公報、特開平10−291945公報、特開平11−029581公報、特開平11−080049公報、特開2000−256307公報、特開2001−019965公報、特開2001−072626公報、特開2001−192657公報等に開示されている液晶組成物が挙げられる。
【0259】
誘電率異方性が正または負の液晶組成物に1種以上の光学活性化合物を添加して使用することも何ら差し支えない。
【0260】
本発明の液晶表示素子は、一対の基板の少なくとも一方に本発明の液晶配向膜を形成し、得られた一対の基板を、液晶配向膜を内向きにスペーサーを介して対向させ、基板間に形成された隙間に液晶組成物を封入して液晶層を形成することによって得られる。本発明の液晶表示素子における製造には、必要に応じて基板に偏光フィルムを貼り付ける等のさらなる工程が含まれていてもよい。
【0261】
本発明の液晶表示素子は、種々の電界方式用の液晶表示素子を形成することができる。このような電界方式用の液晶表示素子には、前記基板の表面に対して水平方向に前記電極が前記液晶層に電圧を印加する横電界方式用の液晶表示素子や、前記基板の表面に対して垂直方向に前記電極が前記液晶層に電圧を印加する縦電界方式用の液晶表示素子が挙げられる。
【0262】
本発明の液晶配向剤を原料として作製される液晶配向膜は、その原料であるポリマーを適宜選択することにより、種々の表示駆動方式の液晶表示素子に適用させることができる。
【0263】
本発明の液晶表示素子は、前述した構成要素以外の要素をさらに有していてもよい。このような他の構成要素として、本発明の液晶表示素子には、偏光板(偏光フィルム)、波長板、光散乱フィルム、駆動回路等の、液晶表示素子に通常使用される構成要素が実装されてもよい。
【実施例】
【0264】
以下、本発明を実施例により説明する。なお、実施例において用いる評価法および化合物は次の通りである。
【0265】
<液晶配向膜の評価法>
1.透過率
後述する液晶配向膜が形成された基板の透過率を測定し、380nm〜780nmの吸光度の平均値を算出した。紫外可視分光光度計には紫外可視分光光度計V−660(日本分光株式会社製)を使用した。
2.体積抵抗測定
後述する液晶配向膜が形成された基板の体積抵抗値を測定した。測定装置には ULTRA HIGH RESISTANCE METER R8340A(株式会社ADVANTEST製)を使用した。
【0266】
<テトラカルボン酸二無水物>
酸二無水物(A1):ピロメリット酸二無水物(AN−3−2)
酸二無水物(A2):1,8−ビス(3,4−ジカルボン酸フェニル)オクタン酸二無水物(AN−4−17(m=8))
酸二無水物(A3):1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(AN−2−1)
酸二無水物(A4):アゾベンゼン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(VII−3)
酸二無水物(A5):ブタンテトラカルボン酸二無水物(AN−1−1)
酸二無水物(A6):1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(AN−3−1)
酸二無水物(A7):3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(AN−c)
酸二無水物(A8):エチレンジアミン四酢酸二無水物(AN−1−13)
酸二無水物(A9):5,5’−p−フェニレンビス(イソベンゾフラン−1,3−ジオン)(AN−16−14)
酸二無水物(A10):3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物 (AN−4−21)
【0267】
<ジアミン>
ジアミン(D1):4,4’−ジアミノアゾベンゼン(VII−1−1)
ジアミン(D2):4,4’−ジアミノスチルベン(VI−1−1)
ジアミン(D3):4,4’−ジアミノジフェニル−1,4−ブタジイン(II−1−1)
ジアミン(D4):4,4’−ジアミノジフェニルエタン(DI−5−1(m=2))
ジアミン(D5):4,4’−ジアミノジフェニルブタン(DI−5−1(m=4))
ジアミン(D6):4,4’−ジアミノジフェニルヘキサン(DI−5−1(m=6))
ジアミン(D7):4,4’−ジアミノジフェニルオクタン(DI−5−1(m=8))
ジアミン(D8):4,4’−ジアミノジフェニルメタン(DI−5−1(m=1))
ジアミン(D9):2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(DI−5−5)
ジアミン(D10):N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン(DI−5−29(k=2))
ジアミン(D11):4,4’−N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ピペラジン(DI−9−1)
ジアミン(D12):1,4−シクロヘキサンジアミン(DI−2−1)
ジアミン(D13):1,6−ジアミノへキサン(DI−1−3)
ジアミン(D14):1,4−フェニレンジアミン(DI−4−1)
ジアミン(D15):1,8−ジアミノオクタン(DI−1(m=8))
ジアミン(D16):3−アミノ−5−(4−ドデシルベンジル)フェニルアミン(DI−13−2(R34=−C1225))
ジアミン(D17):1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン (DI−16−2(R40=−C))
ジアミン(D18):1,1−ビス((アミノフェノキシ)フェニル)−4−(n−ペンチルシクロヘキシル)シクロヘキサン (DI−16−4(R41が−C11))
ジアミン(D19):3,5−ジアミノ−N−((ジヒドロキシメチル)メチル)ベンズアミド(DI−4−12)
ジアミン(D20):3,5−ジアミノ−N−((トリヒドロキシメチル)メチル)ベンズアミド(DI−4−13)
モノアミン(M1):アニリン
【0268】
<溶剤>
N−メチル−2−ピロリドン:NMP
ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル):BC
【0269】
<添加剤>
添加剤(Ad1):3−アミノプロピルトリエトキシシラン
添加剤(Ad2):ビス[4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル]メタン
添加剤(Ad3):1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン
添加剤(Ad4):2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
【0270】
<1.ポリアミック酸の合成>
[合成例1]
温度計、攪拌機、原料投入口および窒素ガス導入口を備えた100mLの四つ口フラスコにジアミン(D1)1.61g、ジアミン(D5)1.14g、および脱水NMP50gを入れ、乾燥窒素気流下攪拌溶解した。次いで酸二無水物(A2)3.85gおよび脱水NMP24gを入れ、室温で24時間攪拌を続けた。この反応溶液にBC20gを加えて、ポリマー固形分濃度が6重量%のポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液をPA1とする。PA1に含まれるポリアミック酸の粘度は10mPa・s、重量平均分子量は22,000であった。
【0271】
ポリアミック酸の重量平均分子量は、2695セパレーションモジュール・2414示差屈折計(Waters製)を用いてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。得られたポリアミック酸をリン酸−DMF混合溶液(リン酸/DMF=0.6/100:重量比)で、ポリアミック酸濃度が約2重量%になるように希釈した。カラムはHSPgel RT MB−M(Waters製)を使用し、前記混合溶液を展開剤として、カラム温度50℃、流速0.40mL/minの条件で測定を行った。標準ポリスチレンは東ソー(株)製TSK標準ポリスチレンを用いた。
【0272】
ポリアミック酸溶液の粘度は、粘度計(東機産業社製、TV−22)を用いて、25℃で測定した。
【0273】
[合成例2〜36]
表1〜3に示したようにテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを変更した以外は、合成例1に準拠してポリマー固形分濃度が6重量%のポリアミック酸溶液(PA2)〜(PA36)を調製した。この内合成例27、29、32、および33は表1に示したように、それぞれAd1〜Ad4を添加し、調製した。詳しくは、合成例1に準拠して、表1に示したテトラカルボン酸二無水物およびジアミンを用いて調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液に、合成例27においては添加剤Ad1をポリマー重量当たり10重量%の割合で、合成例29においては添加剤Ad2をポリマー重量当たり20重量%の割合で、合成例32においては添加剤Ad3をポリマー重量当たり5重量%の割合で、合成例33においては添加剤Ad4をポリマー重量当たり15重量%の割合で添加し、調製を行った。得られたポリアミック酸の粘度および重量平均分子量の測定結果を、合成例1の結果を含めて表1〜3にまとめた。
【0274】
【表1】
【0275】
【表2】
【0276】
【表3】
【0277】
<2.透過率評価用基板の作製>
[実施例1]
合成例1で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)および合成例18で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA18)をPA1:PA18=30:70(重量比)になるように混合し、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて下記の通り透過率評価用基板を作製した。
【0278】
<透過率評価用基板の作製方法>
液晶配向剤をガラス基板にスピンナー(ミカサ株式会社製、スピンコーター(1H−DX2))にて塗布した。なお、以降の実施例、比較例をも含めて、液晶配向剤の粘度に応じてスピンナーの回転速度を調整し、配向膜が下記の膜厚になるようにした。塗膜後、ホットプレート(アズワン株式会社製、ECホットプレート(EC−1200N))上で80℃にて2分間加熱乾燥した後、ウシオ電機(株)製マルチライトML−501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して紫外線の直線偏光を照射した。この時の露光エネルギーは、ウシオ電機(株)製紫外線積算光量計UIT−150(受光器UVD-S365)を用いて光量を測定し、波長365nmで5.0±0.1J/cmになるよう、露光時間を調整した。紫外線の照射は、装置全体を紫外線防止フィルムで覆い、室温、空気中で行った。次いで、クリーンオーブン(エスペック株式会社製、クリーンオーブン(PVHC−231))中で、230℃にて15分間加熱処理して、膜厚100±10nmの配向膜を形成した。
【0279】
<透過率の評価>
配向膜の透過率をUV−Visスペクトル測定装置(日本分光(株)製V−660)を用いて測定した。配向膜を形成していないガラス基板をリファレンスとした。測定は波長380〜780nmの範囲を、400nm/minの走査速度で1nm毎に行った。前記波長領域での透過率の平均値を配向膜の透過率とした。この値が大きいほど透過率は良好であると言える。
【0280】
[実施例2〜36]および[比較例1〜4]
重合体として表4および5に示すポリアミック酸およびその割合を変更した以外は、実施例1に準拠して、透過率評価用基板を作製し、透過率の測定を行った。測定結果を実施例1と併せて表4および5に示す。
【0281】
【表4】
【0282】
【表5】
【0283】
同じ厚さの膜で比較したとき、比較例1〜4は液晶配向膜中のアゾベンゼン構造の含有率が大きいために、透過率は著しく劣る。実施例1〜36の本発明の配向膜の透過率は良好で、着色が少ないことが分かる。
【0284】
<3.体積抵抗評価用基板の作製>
[実施例37]
合成例1で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)および合成例18で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA18)をPA1:PA18=30:70(重量比)になるように混合し、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて下記の通り体積抵抗評価用基板を作製した。
【0285】
<体積抵抗評価用基板の作製方法>
液晶配向剤をITO蒸着基板にスピンナー(ミカサ株式会社製、スピンコーター(1H−DX2))にて塗布した。なお、以降の実施例、比較例をも含めて、液晶配向剤の粘度に応じてスピンナーの回転速度を調整し、配向膜が下記の膜厚になるようにした。塗膜後、ホットプレート(アズワン株式会社製、ECホットプレート(EC−1200N))上で80℃にて2分間加熱乾燥した後、ウシオ電機(株)製マルチライトML−501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して紫外線の直線偏光を照射した。この時の露光エネルギーは、ウシオ電機(株)製紫外線積算光量計UIT−150(受光器UVD-S365)を用いて光量を測定し、波長365nmで5.0±0.1J/cmになるよう、露光時間を調整した。紫外線の照射は、装置全体を紫外線防止フィルムで覆い、室温、空気中で行った。次いで、クリーンオーブン(エスペック株式会社製、クリーンオーブン(PVHC−231))中で、230℃にて15分間加熱処理して、膜厚300±10nmの配向膜を形成した。次いで配向膜を形成したITO蒸着基板上に真空蒸着機でアルミを蒸着させ、上部電極を形成させた(電極面積0.2927cm)。このとき電極面積が一定になるようにマスクを施した。これによって、配向膜をITOとアルミではさんだ状態とし、体積抵抗評価用基板を作製した。
【0286】
<体積抵抗値の評価>
ULTRA HIGH RESISTANCE METER R8340A(株式会社ADVANTEST製)を用いて、作製した体積抵抗評価用基板に3Vの電圧を印加し、5分後の電流値から体積抵抗値を算出した。長期駆動による光のストレスを基板に与えたときの体積抵抗値と光のストレスなしの体積抵抗値とを比較するために、測定時に光を照射しないDARK状態と、LEDによって測定基板に8,000cd/cmの光を照射しながら測定を行うLIGHT状態の2つの測定を行った。この2つの測定値の変化度をDARK/LIGHTとし、フリッカが発生しやすいか、発生しにくいかの基準とする。DARK/LIGHTが小さいほどフリッカは発生しにくく、DARK/LIGHTが大きいほどフリッカは発生しやすいと判断する。評価結果を表6−1に示す。
【0287】
[実施例38〜72]
重合体として表6−1に示すポリアミック酸およびその割合を変更した以外は、実施例37に準拠して体積抵抗評価用基板を作製し、体積抵抗値の評価を行った。評価結果を実施例37と併せて表6−1に示す。
【0288】
【表6】
【0289】
[実施例73]
合成例1で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)および合成例19で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA19)をPA1:PA12=30:70(重量比)になるように混合し、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて下記の通り体積抵抗評価用基板を作製した。
【0290】
液晶配向剤をITO蒸着基板にスピンナー(ミカサ株式会社製、スピンコーター(1H−DX2))にて塗布した。なお、以降の実施例、比較例をも含めて、液晶配向剤の粘度に応じてスピンナーの回転速度を調整し、配向膜が下記の膜厚になるようにした。塗膜後、ホットプレート(アズワン株式会社製、ECホットプレート(EC−1200N))上で80℃にて2分間加熱乾燥した後、ウシオ電機(株)製UVランプ(UVL−1500M2−N1)を用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して紫外線の直線偏光を照射した。この時の露光エネルギーは、ウシオ電機(株)製紫外線積算光量計UIT−150(受光器UVD−S365)を用いて光量を測定し、波長365nmで5.0±0.1J/cmになるよう、露光時間を調整した。紫外線の照射は、装置全体を紫外線防止フィルムで覆い、室温、空気中で行った。次いで、クリーンオーブン(エスペック株式会社製、クリーンオーブン(PVHC−231))中で、230℃にて15分間加熱処理して、膜厚300±10nmの配向膜を形成した。最後に、加熱後の基板をクリーンオーブン中で、120℃にて30分間の加熱アニールを行った。次いで配向膜を形成したITO蒸着基板上に真空蒸着機でアルミを蒸着させ、上部電極を形成させた(電極面積0.2927cm)。このとき電極面積が一定になるようにマスクを施した。これによって、配向膜をITOとアルミではさんだ状態とし、体積抵抗評価用基板を作製した。体積抵抗値の評価は実施例37に準拠して行った。
【0291】
[実施例74〜78]
重合体として表6−2に示すポリアミック酸およびその割合を変更した以外は、実施例73に準拠して、体積抵抗評価用基板を作製し、体積抵抗値の評価を行った。評価結果を実施例73と併せて表6−2に示す。
【表7】
【0292】
[実施例79]
合成例1で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA1)および合成例19で調製したポリマー固形分濃度6重量%のポリアミック酸溶液(PA19)をPA1:PA12=30:70(重量比)になるように混合し、NMP/BC=4/1(重量比)の混合溶剤を加え、ポリマー固形分濃度4重量%に希釈して液晶配向剤とした。得られた液晶配向剤を用いて下記の通り体積抵抗評価用基板を作製した。
【0293】
液晶配向剤をITO蒸着基板にスピンナー(ミカサ株式会社製、スピンコーター(1H−DX2))にて塗布した。なお、以降の実施例、比較例をも含めて、液晶配向剤の粘度に応じてスピンナーの回転速度を調整し、配向膜が下記の膜厚になるようにした。塗膜後、ホットプレート(アズワン株式会社製、ECホットプレート(EC−1200N))上で80℃にて2分間加熱乾燥した後、ウシオ電機(株)製マルチライトML−501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光板を介して紫外線の直線偏光を照射した。この時の露光エネルギーは、ウシオ電機(株)製紫外線積算光量計UIT−150(受光器UVD−S365)を用いて光量を測定し、波長365nmで5.0±0.1J/cmになるよう、露光時間を調整した。紫外線露光中、基板の温度は50℃に加熱した。紫外線の照射は、装置全体を紫外線防止フィルムで覆い、室温、空気中で行った。次いで、クリーンオーブン(エスペック株式会社製、クリーンオーブン(PVHC−231))中で、230℃にて15分間加熱処理して、膜厚300±10nmの配向膜を形成した。次いで配向膜を形成したITO蒸着基板上に真空蒸着機でアルミを蒸着させ、上部電極を形成させた(電極面積0.2927cm)。このとき電極面積が一定になるようにマスクを施した。これによって、配向膜をITOとアルミではさんだ状態とし、体積抵抗評価用基板を作製した。体積抵抗値の評価は実施例37に準拠して行った。
【0294】
[実施例80〜84]
重合体として表6−3に示すポリアミック酸およびその割合を変更した以外は、実施例80に準拠して、体積抵抗評価用基板を作製し、体積抵抗値の評価を行った。評価結果を実施例80と併せて表6−3に示す。
【表8】
【0295】
[比較例5〜8]
重合体として表7に示すポリアミック酸およびその割合を変更した以外は、実施例37に準拠して、体積抵抗評価用基板を作製し、体積抵抗値の評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0296】
【表9】
【0297】
実施例37〜84と比較例5〜8の結果から、本発明の液晶配向膜を液晶表示素子に使用することにより、長期駆動による光ストレスに強い、すなわちフリッカの発生を抑制できることが分った。
【0298】
このように、本発明の配向膜を液晶表示素子用の配向膜に応用した場合、該配向膜の透過率が高いことから、液晶表示素子の透過率を上げることができ、かつ、フリッカの発生を抑えることができることから、実用に耐えうる十分な特性を有している。
【産業上の利用可能性】
【0299】
本発明の液晶配向剤を使用すれば、液晶配向性や電圧保持率などの諸特性を維持しつつ、透過率が高く、長時間駆動してもフリッカの発生が小さい液晶表示素子を提供し得る液晶配向膜を形成することができる。そして、この光配向膜を有する表示特性に優れた液晶表示素子を提供することができる。