(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分離板および前記引っ掛け部は前記第1の軸の伸長方向に伸長し、前記分離板および前記引っ掛け部の前記第1の軸の伸長方向における寸法は前記記録媒体の幅寸法以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
前記検出器は、前記ニップ部の下流側において前記記録媒体の搬送経路と交わる方向に光を照射し、前記光が前記ニップ部から進出した前記記録媒体に当たる位置を検出することにより、前記ニップ部から進出した前記記録媒体の進出端側の撓みまたは跳ね上がりを検出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の定着装置。
前記進出方向制御部は、前記検出器の検出結果に基づいて前記ニップ形成機構を制御し、前記定着部材と前記加圧部材とを互いに押し付ける力を減少させることにより、前記記録媒体の前記ニップ部からの進出方向を変更することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の定着装置。
前記進出方向制御部は、前記検出器の検出結果に基づいて前記熱源を制御し、定着温度を下げることにより、前記記録媒体の前記ニップ部からの進出方向を変更することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の定着装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、定着装置においては、定着ローラーと加圧ローラーとが互いに押し付けられている。加圧ローラーの外周面は、定着ローラーに押されて部分的に凹状に弾性変形する。定着ローラーにおいて加圧ローラーを押している部分と、加圧ローラーにおいて定着ローラーに押されて凹状に弾性変形した部分との間がニップ部に相当する。なお、定着装置の種類によっては、加圧ローラーではなく、定着ローラーが凹状に弾性変形するものや、定着ローラーおよび加圧ローラーの双方が弾性変形するものもあるが、ここで、加圧ローラーが凹状に弾性変形する場合を例にあげる。
【0007】
定着ローラーと加圧ローラーとを互いに押し付ける力を大きくすると、定着ローラーが加圧ローラーに食い込む程度が大きくなり、加圧ローラーの凹状の弾性変形の程度が大きくなる。この結果、用紙の搬送方向におけるニップ部の長さが長くなる。ニップ部が長くなると、ニップ部を通過する用紙がニップ部の凹状の形状に沿って湾曲する程度が大きくなり、ニップ部から進出する用紙の進出方向が定着ローラーの外周面に接近する。
【0008】
ニップ部から進出する用紙の進出方向が定着ローラーの外周面に接近する程度が大きくなると、ニップ部から進出した用紙の端部が、分離板においてニップ部側を向いた端面に当たって大きく撓み、当該用紙がその搬送経路から外れることがあり、その結果、定着装置内においてジャムが発生することがある。
【0009】
そこで、定着装置においては、トナー像の定着の安定性を考慮する一方で、ニップ部から進出する用紙の進出方向が定着ローラーの外周面に接近することを防止するために、定着ローラーと加圧ローラーとを互いに押し付する力が適切に設定され、これにより、ニップ部の適切な長さが確保されている。
【0010】
しかしながら、長時間の連続印刷が行われている場合等、画像形成装置の使用状況によっては、使用中に、加圧ローラーの硬度が低下し、その結果、加圧ローラーが定着ローラーに押されて、凹状に弾性変形する程度が大きくなり、ニップ部が長くなることがある。そして、ニップ部が長くなると、ニップ部から進出する用紙の進出方向が定着ローラーの外周面に接近する程度が大きくなり、定着装置内においてジャムが発生する危険が高まる。
【0011】
このようなジャムの発生を未然に防止するために、定着装置または画像形成装置において、例えば、ニップ部から進出した用紙の進出方向が定着ローラーの外周面に接近する程度が大きくなったことを認識し、その認識に基づき、ジャムの発生を回避する制御を自動的に行うことが望ましい。
【0012】
しかしながら、ニップ部から進出した用紙の進出方向の定着ローラーへの接近の程度の変化は小さいため、この変化を認識することは容易でない。
【0013】
この点、上記特許文献1には、定着ローラーの下流側において軸方向に光を透過させる光透過型センサによって、用紙の軌跡の異常を検知する技術が記載されている。しかし、特許文献1に記載された技術では、ニップ部から進出した用紙の進出方向の小さな変化を検知することは難しい。
【0014】
なお、定着装置においてジャムが発生する寸前になると、定着ローラーの下流側において用紙が滞り始めるので、ニップ部から進出した用紙の軌跡の変化が大きくなる。特許文献1に記載された技術によれば、このような用紙の軌跡の大きな変化を認識することができる可能性がある。しかしながら、ジャムが発生する寸前における用紙の軌跡の大きな変化を認識してジャムを回避する制御を開始できたとしても、すでに用紙が定着ローラーの下流側に滞り始めている状態なので、実際には、ジャムの発生を回避できない場合がある。
【0015】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、記録媒体のニップ部からの進出方向の変化を認識し、ジャムの発生を未然に防止することができる定着装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の定着装置は、記録媒体の搬送経路の途中に設けられ、前記記録媒体上に形成された像を前記記録媒体に定着させる定着装置であって、第1の軸周りを回転する定着部材と、前記第1の軸と平行な第2の軸周りを回転する加圧部材と、前記定着部材を加熱する熱源と、前記定着部材と前記加圧部材とを互いに押し付け、前記定着部材と前記加圧部材との間にニップ部を形成するニップ形成機構と、前記記録媒体の前記搬送経路において前記ニップ部の下流側に配置され、受け面を有し、前記ニップ部から進出した前記記録媒体の進出端側を前記受け面に当てることにより前記記録媒体を前記定着部材から分離させて前記搬送経路に向かわせる分離板と、前記ニップ部から進出した前記記録媒体の進出端側の撓みまたは跳ね上がりを検出する検出器と、前記検出器の検出結果に基づき、前記記録媒体の前記ニップ部からの進出方向を変更する進出方向制御部とを備え、前記受け面において、正常時に前記ニップ部から進出した前記記録媒体の進出端側が当たる領域よりも前記ニップ部に近い領域には、前記ニップ部から進出した前記記録媒体の進出端部を引っ掛ける凹状、凸状または段状の引っ掛け部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の定着装置において、定着装置の正常時、すなわち、加圧部材の硬度が低下しておらず、ニップ部の長さが予め設定された長さに維持されており、ニップ部から進出する記録媒体の進出方向が予め設定された方向であるときには、ニップ部から進出した記録媒体の進出端側は、分離板の受け面に形成された引っ掛け部の上方を飛び越えて、受け面に当たる(着地する)。一方、定着装置が正常でないとき、すなわち、加圧部材の硬度が低下し、ニップ部の長さが予め設定された長さよりも長くなり、ニップ部から進出する記録媒体の進出方向が予め設定された方向と比較して定着部材に接近したときには、ニップ部から進出した記録媒体の進出端部が、分離板の受け面に形成された引っ掛け部に引っ掛かる。この結果、ニップ部から進出した記録媒体の進出端側が大きく撓む。また、ニップ部から進出した記録媒体の進出端部が引っ掛け部に引っ掛かって撓んだ後、引っ掛け部から外れることにより、当該記録媒体の進出端側が受け面から離れる方向に大きく跳ね上がる(浮き上がる)。このように記録媒体が引っ掛け部に引っ掛かることにより、ニップ部から進出する記録媒体の状態の変化が強調され、当該記録媒体の状態が大きく変化するようになるので、検出部によりこの変化を明確かつ容易に検出することが可能になる。そして、検出部の検出結果に基づき、ニップ部から進出した記録媒体の進出方向が定着部材に接近したことを明確に認識することができる。さらに、この認識に基づき、進出方向制御部により、記録媒体のニップ部からの進出方向を変更する制御を行うことで、ジャムの発生を回避することができる。
【0018】
また、上述した本発明の定着装置において、前記引っ掛け部は、前記受け面において前記ニップ部に近い側の縁部に形成されていることが望ましい。
【0019】
この構成によれば、引っ掛け部が受け面においてニップ部に近い側の縁部に形成されているので、正常時にニップ部から進出した記録媒体は、引っ掛け部の上方を確実に越える。すなわち、正常時であるにもかかわらず記録媒体が引っ掛け部に誤って引っ掛かってしまうことを防止することができる。この結果、正常でないときにニップ部から進出した記録媒体のみを引っ掛け部に引っ掛けることができ、このときの記録媒体の撓みまたは跳ね上がりを検出部によって検出することにより、ニップ部から進出した記録媒体の進出方向が定着部材に接近したことを確実に認識することができる。
【0020】
また、上述した本発明の定着装置において、前記分離板および前記引っ掛け部は前記第1の軸の伸長方向に伸長し、前記分離板および前記引っ掛け部の前記第1の軸の伸長方向における寸法は前記記録媒体の幅寸法以上であることが望ましい。
【0021】
この構成によれば、引っ掛け部が記録媒体の幅寸法以上に伸長しているので、記録媒体の進出端部が引っ掛け部に引っ掛かりやすくなる。また、記録媒体の進出端部の全部または大部分が引っ掛け部に引っ掛かることで、引っ掛かり時の記録媒体の撓み量または跳ね上がり量が大きくなる。したがって、検出部により記録媒体の撓みまたは跳ね上がりを明確に検出することができ、ニップ部から進出した記録媒体の進出方向が定着部材に接近したことを確実に認識することができる。
【0022】
また、上述した本発明の定着装置において、前記検出器は、前記ニップ部の下流側において前記記録媒体の搬送経路と交わる方向に光を照射し、前記光が前記ニップ部から進出した前記記録媒体に当たる位置を検出することにより、前記ニップ部から進出した前記記録媒体の進出端側の撓みまたは跳ね上がりを検出することが望ましい。
【0023】
この構成によれば、引っ掛け部に引っ掛かった記録媒体の撓みまたは跳ね上がりを検出部により容易に検出することができる。
【0024】
また、上述した本発明の定着装置において、前記進出方向制御部は、前記検出器の検出結果に基づいて前記ニップ形成機構を制御し、前記定着部材と前記加圧部材とを互いに押し付ける力を減少させることにより、前記記録媒体の前記ニップ部からの進出方向を変更することが望ましい。
【0025】
この構成によれば、定着部材と加圧部材とを互いに押し付ける力の大きさを減少させることにより、ニップ部を短くすることができ、これにより、ニップ部から進出する記録媒体の進出方向を定着部材から確実に離すことができる。したがって、ジャムの発生を確実に防止することができる。
【0026】
また、上述した本発明の定着装置において、前記進出方向制御部は、前記検出器の検出結果に基づいて前記熱源を制御し、定着温度を下げることにより、前記記録媒体の前記ニップ部からの進出方向を変更することが望ましい。
【0027】
ニップ部から進出した記録媒体の進出端部は定着部材に接近する方向に湾曲する。そして、この湾曲の程度は定着温度が高いと大きくなり定着温度が低いと小さくなる。上述した本発明によれば、定着温度を下げることにより、記録媒体の湾曲の程度を小さくすることができ、これにより、容易な構成で、ニップ部から進出する記録媒体の進出方向を定着部材から離すことができる。したがって、ジャムの発生を容易に防止することができる。
【0028】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、上述した本発明の定着装置を備えている。
【0029】
本発明の画像形成装置によれば、定着装置において、加圧部材の硬度が低下し、ニップ部が長くなり、ニップ部を通過した記録媒体が定着部材に接近したときには、ニップ部から進出した記録媒体の進出端部を引っ掛け部に引っ掛けて大きく撓ませ、または大きく跳ね上げさせることができる。そして、このような記録媒体の状態の大きな変化を検出部に検出することにより、ニップ部を通過した記録媒体が定着部材に接近したことを明確に認識することができ、さらに、この認識に基づき、進出方向制御部により記録媒体のニップ部からの進出方向を変更する制御を行うことで、ジャムの発生を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、記録媒体のニップ部からの進出方向の変化を認識し、ジャムの発生を未然に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による画像形成装置を示している。
図1に示すように、本発明の第1の実施形態による画像形成装置1は、電子写真方式の画像形成装置であり、例えばカラープリンターである。
【0033】
画像形成装置1の筐体2の下部には、記録媒体としての用紙を収容する給紙カセット3が設けられ、筐体2の上部には、印刷を終えた用紙が排出される排紙トレイ4が設けられている。また、筐体2内には、駆動ローラー5と従動ローラー6とに中間転写ベルト7が掛け渡され、中間転写ベルト7に沿うように、例えばマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色にそれぞれに対応する4つの画像形成部8が配設されている。また、各画像形成部8は、感光体ドラム9、帯電器10、現像器11、一次転写ローラー12、クリーニング装置13、および除電器14を備えている。また、筐体2内には、レーザー・スキャニング・ユニットにより構成させる露光器15が設けられている。さらに、筐体2内には、上記4色にそれぞれ対応する4つのトナーコンテナ16が設けられている。
【0034】
また、筐体2内には、給紙カセット3が配置された側から、排紙トレイ4が配置された側に向かって用紙を搬送する搬送経路21が設けらている。また、搬送経路21において、給紙カセット3の近傍には給紙ローラー22が設けられ、給紙ローラー22の下流側には、駆動ローラー5と対向する二次転写ローラー23が設けられている。さらに、二次転写ローラー23の下流側には定着装置25が設けられ、定着装置25の下流側には排出ローラー26が設けられている。
【0035】
また、筐体2には、定着装置25を含む画像形成装置1内に設けられた各装置を制御する制御部27(
図5参照)が設けられている。制御部27は、演算処理装置および記憶装置等を有している。
【0036】
このような構成を有する画像形成装置1の印刷動作は次の通りである。すなわち、用紙に印刷すべき画像のデータが画像形成装置1に入力され、印刷処理が開始されると、駆動ローラー5および従動ローラー6が回転し、中間転写ベルト7が回転する。そして、中間転写ベルト7の最も上流側に配置された画像形成部8において、上記4色のうちの1色についての画像形成処理が行われる。すなわち、当該画像形成部8において、帯電器10により感光体ドラム9の表面が帯電され、画像データに対応したレーザー光Mが露光器15から感光体ドラム9へ照射され、感光体ドラム9の表面に静電潜像が形成され、さらに、現像器11により静電潜像に対応したトナー像が感光体ドラム9の表面に形成される。そして、感光体ドラム9の表面に形成されたトナー像が一次転写ローラー12により中間転写ベルト7の表面に転写される。トナー像が転写された後、感光体ドラム9の表面に残留したトナーはクリーニング装置13により回収され、また、感光体ドラム9の表面の電荷は除電器14により除去される。さらに、これと同様の画像形成処理が、他の3つの画像形成部8において、残りの3色について順次行われる。また、各画像形成部8において感光体ドラム9の表面に形成されたトナー像はそれぞれ重なり合うように中間転写ベルト7の表面に転写され、この結果、中間転写ベルト7の表面にはカラー画像のトナー像が形成される。
【0037】
一方、給紙カセット3に収容された用紙は、給紙ローラー22等により搬送され、駆動ローラー5に掛け渡された中間転写ベルト7と二次転写ローラー23との間を通過する。このとき、中間転写ベルト7の表面に形成されたトナー像が用紙の表面に転写される。続いて、トナー像が転写された用紙は、定着装置25の定着ローラー31と加圧ローラー32との間を通過する。このとき、ハロゲンヒーター33により加熱された定着ローラー31の熱により、トナー像が溶融して用紙に定着される。トナー像が定着された用紙は、排出ローラー26等により搬送され、排紙トレイ4に排出される。
【0038】
図2は本発明の実施形態による定着装置25を示している。
図3は、
図2中の矢示III−III方向から見た分離板41を定着ローラー31と共に示し、
図4は、
図3中の矢示IVーIV方向から見た分離板41の断面を示している。また、
図5は、定着装置25における制御に関する構成を示している。
【0039】
定着装置25は、
図1に示すように、用紙の搬送経路21の途中に設けられ、用紙上に形成されたトナー像を用紙に定着させる装置である。
図2に示すように、定着装置25は、定着部材としての定着ローラー31と、加圧部材としての加圧ローラー32と、熱源としてのハロゲンヒーター33と、ニップ形成機構35を備えている。
【0040】
定着ローラー31は、軸方向に細長い円筒状に形成され、定着装置25の外殻を形成するフレーム(図示せず)に、軸X1周りを回転可能に支持されている。また、定着ローラー31の軸方向の長さは、画像形成装置1において取扱可能な最大サイズの用紙の幅(用紙の搬送方向と直交する方向における用紙の長さ)よりも長くに設定されている。また、定着ローラー31は、例えば、アルミニウム製の芯金の外周面にPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)を積層することにより形成されている。
【0041】
加圧ローラー32は、軸方向に長い円筒状に形成され、定着装置25のフレームに、軸X1と平行な軸X2周りを回転可能に支持されている。また、加圧ローラー32の軸方向の長さは定着ローラー31の軸方向の長さと同じである。また、加圧ローラー32は、アルミニウム製の芯金にシリコーンゴム層を積層し、PFAチューブで被覆することにより形成されている。また、加圧ローラー32はモーターおよび動力伝達機構等を備えた駆動機構(図示せず)により回転駆動される。
【0042】
ハロゲンヒーター33は、定着ローラー31の芯金の内部に設けられている。ハロゲンヒーター33は、定着ローラー31において用紙が通過する領域の全域を加熱する。
【0043】
ニップ形成機構35は、定着ローラー31と加圧ローラー32とを互いに押し付け、定着ローラー31と加圧ローラー32との間にニップ部34を形成する機構である。また、ニップ形成機構35は、定着ローラー31と加圧ローラー32とを互いに押し付ける力の大きさを変更することができ、これにより、ニップ部34を通過する用紙に加わる圧力(ニップ圧)を変更することができる。
【0044】
ニップ形成機構35の具体的な構成は次の通りである。すなわち、加圧ローラー32の軸部32Aは、定着装置25のフレームに、定着ローラー31に接近・離間する方向に所定距離移動可能に支持されている。ニップ形成機構35は一対の付勢部36(一方のみを図示)およびカム37を備えている。一対の付勢部36は、加圧ローラー32の軸部32Aの両端部を定着ローラー31に接近させる方向にそれぞれ押圧する。カム37は、その回転方向における位置を変えることにより、加圧ローラー32を押圧する各付勢部36の押圧力を変更する。
【0045】
ここで、
図6は、ニップ形成機構35により、定着ローラー31と加圧ローラー32とを互いに押し付ける力の大きさを変更する動作を示している。
図6(1)に示すように、カム37を回転させてその位置を第1の所定位置に設定すると、カム37が各付勢部36を押す力が大きくなり、各付勢部36が加圧ローラー32を押圧する力が大きくなり、これにより、定着ローラー31と加圧ローラー32とを互いに押し付ける力が大きくなる。この結果、本実施形態においては、加圧ローラー32の周面の一部が定着ローラー31に押されて凹状に弾性変形する程度が大きくなる。加圧ローラー32の周面が凹状に弾性変形する程度が大きくなると、定着ローラー31の外周面と加圧ローラー32の外周面とが互いに直接押し合っている部分(用紙が通過していないときは互いに接触している部分)、すなわちニップ部34の長さが長くなる。例えば、定着ローラー31が全く変形せず、加圧ローラー32のみが定着ローラー31に押し付けられて変形すると仮定し、定着ローラー31の半径をrとし、定着ローラー31においてニップ部34を形成している扇形の部分の角度をαとすると、ニップ部34の長さは、2πr×α/360である。
【0046】
一方、
図6(2)に示すように、カム37を回転させてその位置を第2の所定位置に設定すると、カム37が各付勢部36を押す力が小さくなり、各付勢部36が加圧ローラー32を押圧する力が小さくなり、これにより、定着ローラー31と加圧ローラー32とを互いに押し付ける力が小さくなる。この結果、本実施形態においては、加圧ローラー32の周面の一部が定着ローラー31に押されて凹状に弾性変形する程度が小さくなる。加圧ローラー32の周面が凹状に弾性変形する程度が小さくなると、ニップ部34の長さが短くなる。例えば、カム37の位置を第2の所定位置に設定すると、定着ローラー31においてニップ部34を形成している扇形の部分の角度がαよりも小さいβとなり、ニップ部34の長さは、2πr×β/360となる。
【0047】
また、
図2に示すように、定着装置25には、用紙の搬送経路21(
図1参照)においてニップ部34の上流側に配置され、定着装置25に進入した用紙をニップ部34に案内する上流側ガイド板38と、用紙の搬送経路21においてニップ部34の下流側に配置され、ニップ部34から進出した用紙を搬送経路21の下流側へ案内する下流側ガイド板39と、用紙の搬送経路21においてニップ部34の下流側に配置され、ニップ部34から進出した用紙を搬送経路21の下流側へ搬送する排出ローラー26が設けられている。
【0048】
また、
図2に示すように、定着装置25は分離板41を備えている。分離板41は、用紙の搬送経路21においてニップ部34の下流側に配置されている。分離板41は、
図3に示すように、定着ローラー31の軸X1と平行に伸長する長辺42と、用紙の搬送方向に沿うように伸長する短辺43とを有する細長い長方形の平板状に形成されている。また、分離板41の長辺の長さは、画像形成装置1において取扱可能な最大サイズの用紙の幅Wよりも長く設定されている。また、分離板41の短辺の長さは例えば300mmないし500mm程度である。また、分離板41の厚さは、例えば100μmないし500μm程度である。また、分離板41は、例えば、ステンレス板の表面にフッ素樹脂コーティングを施すことにより形成されている。また、分離板41において、ニップ部34側を向いた長辺の縁部は、定着ローラー31の外周面に極めて接近しているが、接触はしておらず、定着ローラー31の外周面から所定距離離間している。
【0049】
また、分離板41は受け面45を有している。すなわち、
図2に示すように、分離板41の面において、用紙の搬送経路21に臨む平面が受け面45である。分離板41は、ニップ部34から進出した用紙の進出端側を受け面45に当てることにより用紙を定着ローラー31から分離させて、その下流側の搬送経路21に向かわせる機能を有している。
【0050】
また、分離板41の受け面45には引っ掛け部46が形成されている。分離板41の横断面を拡大して示す
図4を見るとわかる通り、引っ掛け部46は凹状に形成された凹みまたは溝である。引っ掛け部46の深さDは、用紙の厚さ以上とすることが望ましく、本実施形態では、例えば50μm程度に設定されている。また、
図3に示すように、引っ掛け部46は、定着ローラー31の軸X1と平行に伸長している。また、引っ掛け部46の長さは、画像形成装置1において取扱可能な最大サイズの用紙の幅Wよりも長く設定されており、例えば、分離板41の長辺の長さと同じか、またはそれよりも僅かに短い長さに設定されている。
【0051】
また、引っ掛け部46は、受け面45において、定着装置25の正常時にニップ部34から進出した用紙の進出端側が当たる領域よりもニップ部34に近い領域に形成されている。本実施形態において、引っ掛け部46は、
図2に示すように、受け面45においてニップ部34に近い側の縁部に形成されている。
【0052】
ここでいう定着装置25の正常時とは、加圧ローラー32の硬度が低下しておらず、ニップ部34の長さが予め設定された長さに維持されており、ニップ部34から進出する用紙の進出方向が予め設定された方向であるときである。すなわち、例えば長時間連続印刷を行うと、加圧ローラー32の硬度が低下し、これにより、加圧ローラー32の凹状の弾性変形の程度が大きくなり、この結果、ニップ部34が長くなって、ニップ部34から進出した用紙が定着ローラー31に過剰に接近することがある。定着装置25の正常時とは、このような事態が生じていないときである。例えば、A4サイズの用紙、1枚ないし3枚程度の印刷動作を間欠的に行っているとき等、画像形成装置1における印刷動作の頻度が低いときは、加圧ローラー32の硬度は低下しておらず、ニップ部34の長さは予め設定された長さに維持されており、ニップ部34から進出する用紙の進出方向は予め設定された方向を保っている。したがって、画像形成装置1における印刷動作の頻度が低いときを、定着装置25の正常時とみなすことができる。
【0053】
また、分離板41の受け面45において、定着装置25の正常時にニップ部34から進出した用紙の進出端側が当たる領域は、受け面45において、ニップ部34に近い側の縁部から分離板41の短辺方向にある程度離れた領域であり、例えば、受け面45の短辺方向における中間の領域であり、より具体的には、
図4中の矢示Sにより示す領域である。なお、分離板41の受け面45において、定着装置25の正常時にニップ部34から進出した用紙の進出端側が当たる領域は、正常時において定着ローラー31と加圧ローラー32とを互いに押し付ける力等を適宜設定することにより決めることができる。例えば、正常時において定着ローラー31と加圧ローラー32とを互いに押し付ける力を調整し、ニップ部34から進出した用紙の進出端側が受け面45の短辺方向の中間の領域に当たるようにする。
【0054】
さらに、
図2に示すように、定着装置25は位置検出器51を備えている。位置検出器51は、ニップ部34から進出する用紙の状態を検出する。具体的には、本実施形態における位置検出器51は、ニップ部34から進出した用紙の進出端側の跳ね上がりを検出する。より具体的には、位置検出器51は、ニップ部34の下流側において用紙の搬送経路21と交わる方向に光を照射し、当該光がニップ部34から進出した用紙の進出端側に当たる位置を検出することにより、ニップ部34から進出した用紙の進出端側の跳ね上がりを検出する。
【0055】
本実施形態において、位置検出器51は、レーザー光Mを照射する照射器と、当該レーザー光Mの反射光を受光する受光器とを備えている。位置検出器51は、レーザー光Mを照射器から照射し、当該レーザー光Mを、ニップ部34から進出した用紙に当て、当該用紙に反射したレーザー光Mを受光器により受光し、受光したレーザー光Mの強度に基づいて、位置検出器51と、レーザー光Mが当たった用紙との間の距離を検出する。
【0056】
位置検出器51は、ニップ部34の下流側において用紙の搬送経路21に臨む位置に配置されている。また、位置検出器51は、受け面45から所定距離離れた位置に配置されている。この所定距離は、ニップ部34から進出した用紙が後述するように跳ね上がっても、用紙が位置検出器51に接触することのないような距離に設定されている。位置検出器51は定着装置25のフレームに、例えばブラケット(図示せず)等を用いて取り付けられている。
【0057】
また、位置検出器51から照射された光の照射位置は、受け面45において引っ掛け部46が形成されている位置、引っ掛け部46が形成されている位置よりもニップ部34から離れる方向に僅かにずれた位置、または、引っ掛け部46が形成されている位置よりもニップ部34に接近する方向に僅かにずれた位置等に設定することが望ましい。本実施形態において、光の照射位置は、
図4または
図7に示すように、引っ掛け部46が形成されている位置よりもニップ部34から離れる方向に僅かにずれた位置P(
図4中の領域Sと引っ掛け部46との間)に設定されている。
【0058】
さらに、
図5に示すように、画像形成装置1に設けられた制御部27には、位置検出器51およびニップ形成機構35が接続されている。制御部27は、位置検出器51の検出結果に基づいて、ニップ形成機構35を制御し、ニップ部から進出する用紙の方向を変更する。ニップ部34から進出する用紙の方向を変更する原理は次の通りである。すなわち、定着ローラー31と加圧ローラー32とが互いに押し付けられる力が減少すると、ニップ部34が短くなり、ニップ部34から進出する用紙の進出方向が定着ローラー31の外周面から離れる方向に変化する。
【0059】
制御部27は、ニップ形成機構35のカム37を制御して、カム37の回転方向における位置を変え、定着ローラー31と加圧ローラー32とを互いに押し付ける力を減少させることにより、ニップ部34から進出する用紙の進出端部の方向を、定着ローラー31の外周面から離れる方向に変更する。
【0060】
図7は定着装置25の動作を示している。
図2または
図7において、上記駆動機構により加圧ローラー32が回転し、これに伴い、加圧ローラー32に押し付けられている定着ローラー31が回転する。
図2または
図7において、加圧ローラー32の回転方向は時計回りであり、定着ローラー31の回転方向は反時計回りである。また、定着ローラー31はハロゲンヒーター33により加熱される。
【0061】
二次転写を終え、表面にトナー像が転写された用紙は、定着ローラー31と加圧ローラー32との間のニップ部34に、
図2または
図7においてニップ部34の下側から進入する。ニップ部34において、トナー像が形成された用紙の表面は定着ローラー31の外周面に接触する。用紙上のトナー像は、定着ローラー31により加熱され、加圧ローラー32により加圧され、用紙上に定着される。
【0062】
続いて、用紙はニップ部34から
図2または
図7において上方向に進出する。このとき、用紙の表面において余白以外の部分には概ねトナーが存在しているので、用紙の表面の当該部分はトナーの粘性により定着ローラー31の外周面に貼り付こうとする。一方、用紙の進出端側には余白が形成されており、トナーが存在しないので、用紙の進出端側は定着ローラー31の外周面から離れる。しかし、加圧ローラー32が定着ローラー31に押されて凹状に変形し、その結果、ニップ部34が湾曲しているので、ニップ部34から進出する用紙の進出端部は定着ローラー31の外周面に接近しがちになる。そして、ニップ部34から進出した用紙の進出端側は、分離板41の受け面45に向かう。
【0063】
続いて、定着装置25の正常時においては、ニップ部34から進出した用紙の進出端側は、
図7において実線で示した用紙Eのように、受け面45に形成された引っ掛け部46を飛び越えて、その上方を通過し、受け面45の短辺方向の中間領域(
図4中の領域S)に当たる(着地する)。当該用紙の進出端側が受け面45の当該中間領域に当たることにより、当該用紙の進出方向が搬送経路21に沿うように変えられ、その後、当該用紙は、下流側ガイド板39および排出ローラー26に案内されて定着装置25から、その下流側の搬送経路21へ送り出される。このような状態においては、ニップ部34から進出した用紙は搬送経路21の下流側へ円滑に流れるので、定着装置25内においてジャムが発生する危険性は低い。
【0064】
一方、定着装置25が正常でないときには、分離板41の受け面45において、ニップ部34から進出した用紙の進出端側が当たる位置が、ニップ部34に接近する方向にずれる。すなわち、例えば長時間連続印刷を行うと、加圧ローラー32の硬度が低下していき、これにより、加圧ローラー32の凹状の弾性変形の程度が大きくなっていき、この結果、ニップ部34が長くなっていく。ニップ部34が長くなるに連れて、ニップ部34から進出する用紙の進出方向が定着ローラー31の外周面に接近していく。その結果、分離板41の受け面45において用紙の進出端側が当たる位置が、ニップ部34に接近する方向にずれていく。
【0065】
このような状態においては、今後、加圧ローラー32の硬度の低下がさらに進行し、ニップ部がさらに長くなり、ニップ部34から進出する用紙の進出方向が定着ローラー31の外周面にさらに接近し、ついにはニップ部34から進出した用紙の進出端部が分離板41の受け面45から外れ、分離板41のニップ側の端面に当たり、ジャムを発生させる危険性がある。しかし、現段階は、ジャムの発生の危険性が生じた初期の段階であり、ジャムが発生する寸前には至っていない。
【0066】
分離板41の受け面45において用紙の進出端側が当たる位置が、ニップ部34に接近する方向にずれていくと、やがて、用紙の進出端側が、受け面45に形成された引っ掛け部46を飛び越えることができなくなる。その結果、
図7において破線で示した用紙Fのように、当該用紙の進出端部が引っ掛け部46に入る。当該用紙は定着ローラー31および加圧ローラー32により進出方向に押されているので、当該用紙の進出端部が引っ掛け部46に入ると、当該用紙の進出端側が大きく撓み、受け面45から離れる方向に突出する。また、引っ掛け部46に入った用紙の進出端部が引っ掛け部46から出たとき、撓んだ用紙の弾性力により、
図7において二点鎖線で示した用紙Gのように、当該用紙の進出端側が受け面45から離れる方向に大きく跳ね上がる(浮き上がる)。
【0067】
ここで、位置検出器51は、ニップ部34から進出した用紙の進出端側の位置を検出している。すなわち、位置検出器51は、分離板41の受け面45において引っ掛け部46が形成されている位置よりもニップ部34から離れる方向に僅かにずれた位置(具体的には、
図4中の位置P)に向けてレーザー光Mを照射している。定着装置25の正常時において、
図7において実線で示した用紙Eのように、ニップ部34から進出した用紙が搬送経路21の下流側に向けて円滑に流れているときには、位置H1においてレーザー光Mが用紙の進出端側に当たる。これに対し、定着装置25が正常でない場合において、
図7において二点鎖線で示した用紙Gのように、ニップ部34から進出した用紙の進出端側が引っ掛け部46に引っ掛かって跳ね上がったときには、位置H2においてレーザー光Mが用紙の進出端側に当たる。
図7からわかる通り、位置H2は位置H1よりも受け面45から離れ、位置検出器51に接近している。位置検出器51は、位置検出部51と、レーザー光Mが用紙の進出端側に当たった位置との間の距離を検出し、その検出結果を示す検出信号を制御部27へ出力する。
【0068】
制御部27は、位置検出部57から出力された検出信号を受け取り、これに基づいて、ニップ部34から進出した用紙の進出端側の跳ね上がりの有無を認識し、これに基づき、ニップ部34から進出した用紙の進出方向が定着ローラー31の外周面に接近する程度が大きくなったか否かを判断する。そして、制御部27は、ニップ部34から進出した用紙の進出方向が定着ローラー31の外周面に接近する程度が大きくなったと判断したときには、ニップ形成機構35を制御し、
図6(2)に示すように、定着ローラー31と加圧ローラー32とを互いに押し付ける力を減少させ、これにより、ニップ部34から進出する用紙の進出端部の方向を、定着ローラー31の外周面から離れる方向に変更する。この結果、
図7において実線で示す用紙Eのように、ニップ部34から進出する用紙の進出端側が、引っ掛け部46を飛び越えて、受け面45の短辺方向の中間領域に当たるようになる。したがって、ニップ部34から進出した用紙は搬送経路21の下流側に円滑に流れるようになる。その結果、ジャムの発生が防止される。
【0069】
一方、制御部27は、位置検出部57から出力された検出信号に基づき、ニップ部34から進出した用紙の進出方向が定着ローラー31の外周面に接近する程度が大きくなっていないと判断したときには、現在のニップ形成機構35の状態を維持し、ニップ部34から進出する用紙の進出端部の方向を現在のまま維持する。
【0070】
以上説明した通り、本発明の実施形態による定着装置25では、分離板41の受け面45に引っ掛け部46を形成し、ニップ部34から進出した用紙の進出方向が定着ローラー31の外周面に接近する程度が大きくなったときには、その用紙の進出端部を引っ掛け部46に引っ掛けて当該用紙の進出端側を跳ね上がらせることにより、ニップ部から進出する用紙の状態を大きく変化させる。そして、このように強調された用紙の状態の大きな変化を位置検出器51により検出する。したがって、ニップ部34から進出した用紙の進出方向が定着ローラー31の外周面に接近する程度が大きくなったことを明確に認識することができ、ジャムの発生を確実に回避することができる。
【0071】
また、定着装置25によれば、ジャム発生の危険性を早期に認識することができる。すなわち、定着装置25は、ジャム発生の危険性を、ジャムが発生する寸前でなく、それよりも早い時期に認識することができる。したがって、ジャム発生を確実に阻止することができる。
【0072】
また、定着装置25では、引っ掛け部46が、分離板41の受け面45においてニップ部34に近い側の縁部に形成されている。したがって、ニップ部34から進出した用紙の進出方向が定着ローラー31の外周面に接近する程度が大きくなったときに限り、用紙を引っ掛け部46に引っ掛けることができる。これにより、ニップ部34から進出した用紙の進出方向が定着ローラー31の外周面に接近する程度が大きくなったことを高精度に認識することができ、誤認識を防止することができる。
【0073】
また、分離板41の受け面45において、引っ掛け部46の長さが、画像形成装置1において取扱可能な最大サイズの用紙の幅Wよりも長く設定されているので、ニップ部34から進出した用紙を進出端部を確実に引っ掛けることができる。
【0074】
また、定着装置25においては、ニップ部34から進出した用紙の進出端側に反射したレーザー光Mを用いて、ニップ部34から進出した用紙の進出端側の位置を検出することにより、引っ掛け部46に引っ掛かった用紙の跳ね上がりを容易な構成で高精度に検出することができる。
【0075】
また、定着装置25においては、ニップ形成機構35を制御し、定着ローラー31と加圧ローラー32とを互いに押し付ける力を減少させることにより、ニップ部34から進出する用紙の進出方向を、定着ローラー31から確実に離すことができる。
【0076】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態による定着装置における制御に関する構成を示している。
図8に示すように、本発明の第2の実施形態による定着装置または当該定着装置が設けられた画像形成装置の制御部61には、位置検出器51およびハロゲンヒーター33が接続されている。制御部61は、位置検出器51の検出結果に基づいて、ハロゲンヒーター33を制御し、ニップ部34から進出する用紙の方向を変更する。
【0077】
ニップ部34から進出する用紙の方向を変更する原理は次の通りである。すなわち、ニップ部34から進出した用紙の進出端部は定着ローラー31に接近する方向に湾曲する。そして、この湾曲の程度は定着温度が高いと大きくなり定着温度が低いと小さくなる。したがって、制御部61は、ハロゲンヒーター33を制御して定着温度を下げることにより、用紙の湾曲の程度を小さくすることができ、これにより、ニップ部34から進出する用紙の進出端部の方向を、定着ローラー31の外周面から離れる方向に変更することができる。
【0078】
第2の実施形態の定着装置は、ニップ部34から進出する用紙の進出方向を変更する手段につき、定着ローラー31と加圧ローラー32とを押し付ける力を減少させる手段に代え、定着温度を下げる手段を採用した点を除き、第1の実施形態の定着装置25と同様の構成を有している。
【0079】
このような第2の実施形態の定着装置によっても、第1の実施形態の定着装置25と同様の作用効果を得ることができる。さらに、第2の実施形態の定着装置によれば、ニップ部34から進出する用紙の進出方向の変更を、複雑な機構を追加することなく容易に実現することができる。
【0080】
なお、上述した各実施形態では、
図4に示すように、分離板41の引っ掛け部46を凹状に形成したが、本発明はこれに限らない。例えば、
図9に示す分離板47の引っ掛け部48のように凸状に形成してもよいし、
図10に示す分離板49の引っ掛け部50のように段状に形成してもよい。
【0081】
また、上述した各実施形態では、
図3に示すように、分離板41の受け面45において引っ掛け部46を軸方向に連続的に伸長させる場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば、複数の、長さの短い凸状の引っ掛け部を、受け面45上に軸方向に所定の間隔を置いて配列してもよい。
【0082】
また、上述した第1の実施形態では、
図7に示すように、位置検出器51から照射されるレーザー光Mの照射位置を、分離板41の受け面45において引っ掛け部46が形成されている位置よりもニップ部34から離れる方向に僅かにずれた位置Pに設定する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えば、
図11に示すように、レーザー光Mの照射位置を、受け面45において引っ掛け部46が形成されている位置よりもニップ部34に接近する方向に僅かにずれた位置に設定してもよい。この場合、定着装置25の正常時において、レーザー光Mが、引っ掛け部46を飛び越えて円滑に流れる用紙Eに当たる位置は、位置H3となる。また、定着装置25が正常でないときにおいて、レーザー光Mが、引っ掛け部46に引っ掛かって受け面45から突出するように大きく撓んだ用紙Fに当たる位置は、位置H4となる。位置検出器51は、当該位置検出器51と、レーザー光Mが用紙に当たった位置との間の距離を検出することにより、ニップ部34から進出した用紙の進出端側が大きく撓んだことを検出する。そして、制御部27は、この検出結果に基づき、ニップ部34から進出した用紙の進出端側の撓みの有無を認識し、ニップ部34から進出した用紙の進出方向が定着ローラー31の外周面に接近する程度が大きくなったか否かを判断する。
【0083】
また、位置検出器51の照射部および受光部を、ニップ部34において用紙が進出する箇所の軸方向両端側にそれぞれ配置し、レーザー光Mを軸方向に照射することで、ニップ部34から進出する用紙の跳ね上がり、または撓みを検出してもよい。例えば、用紙が跳ね上がり、または撓んだときに、照射部から受光部へ照射されるレーザー光Mが用紙により遮断されるようにする。
【0084】
また、位置検出器51により、ニップ部34から進出する用紙の跳ね上がりまたは撓みを継続的に検出し、跳ね上がりまたは撓みの頻度等により、定着ローラー31と加圧ローラー32とを押し付ける力または定着温度を多段階的または連続的に増減させてもよい。
【0085】
また、上述した各実施形態では、加圧ローラー32が定着ローラー31に押されて変形する場合を例にあげたが、本発明は、定着ローラー31が加圧ローラー32に押されて変形する場合や、定着ローラー31および加圧ローラー32の双方が互いに押し合って変形する場合にも適用することができる。
【0086】
また、本発明の定着装置において、熱源はハロゲンヒーターに限らず、例えばIH(誘導加熱)ヒーターでもよい。また、本発明は、定着ローラーを用いたローラー式の定着装置だけでなく、定着ベルトを用いたベルト式の定着装置にも適用することができる。また、本発明は、カラー印刷だけでなく、モノクロ印刷にも適用することができる。また、本発明は、プリンターに限らず、コピー機、ファクリミリ、複合機等にも適用可能である。
【0087】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う定着装置および画像形成装置もまた本発明の技術思想に含まれる。