(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233340
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ストッカ及び物品の支持方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20171113BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20171113BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20171113BHJP
H01L 21/673 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
B65G1/04 505F
H01L21/68 A
H01L21/68 G
H01L21/68 T
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-63644(P2015-63644)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-183011(P2016-183011A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2016年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】小合 玄己
【審査官】
中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−151585(JP,A)
【文献】
特開昭64−067933(JP,A)
【文献】
特開平09−092708(JP,A)
【文献】
特開2005−197431(JP,A)
【文献】
特開平10−144755(JP,A)
【文献】
特開2008−277764(JP,A)
【文献】
特開2007−158219(JP,A)
【文献】
特開2015−171919(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0308108(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0198541(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0380288(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 − 1/20
H01L 21/67 − 21/687
B25J 1/00 − 21/02
B66F 9/00 − 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に位置決め用の第1の凹部を有する第1の物品と、底部に位置決め用の第2の凹部を有し、かつ底部が第1の物品の底部が占める範囲に収まる第2の物品とを、同じ向きに共に支持するための支持装置と棚とを備えるストッカであって、
前記ストッカは、少なくとも一対の棚受を有する棚と、支持装置を昇降させる移動体を備え、
各物品の奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向として、
前記支持装置は、第1の物品の底部よりも左右方向の幅が狭く、かつ前後方向の中間で、第2の物品の奥行きよりも広い長さに渡って、上面が前後方向の両外側よりも低くされた背が低い部分が設けられている支持部と、
前記支持部の前記背が低い部分の前後方向の両外側に設けられ、かつ第1の物品の底部の前後方向の両端をガイドすることにより、第1の物品の前後方向両端を位置決めすると共に支持する第1の位置決め部材と、
前記支持部に設けられ、かつ第1の位置決め部材により前後方向両端が位置決めされた第1の物品の、左右方向への移動を規制する移動規制部材と、
前記支持部の前記背が低い部分に設けられ、かつ第2の物品の底部を位置決めすると共に支持する第2の位置決め部材、とを備え、
前記少なくとも一対の棚受は、第2の物品の底部の幅よりも狭く前記支持部の幅よりも広い間隔を置いて設けられ、かつ前記少なくとも一対の棚受は各々、前後方向に沿って第1の物品の奥行きよりも長く、さらに、第1の物品の底部の前後方向両端をガイドすることにより位置決めする前後一対の位置決めガイドと、第2の物品の底部を位置決めする位置決め手段とを備え、
前記移動体が前記支持装置を昇降させることにより、第1の物品及び第2の物品を支持装置と前記一対の棚受との間で移載し、かつ第1の物品を移載する際に、前記第1の位置決め部材と前記前後一対の位置決めガイドが、第1の物品の前後両端に沿って左右方向に並ぶように構成されていることを特徴とするストッカ。
【請求項2】
前記移動規制部材は、前記背が低い部分の前後方向の少なくとも一方の外側に設けられ、第1の物品の底部の第1の凹部に係合することにより、第1の物品の左右方向位置を位置決めする第3の位置決め部材であり、
前記一対の棚受は各々、第1の物品の左右方向の両端部をガイドすることにより位置決めする第2の位置決めガイドを備えていることを特徴とする、請求項1のストッカ。
【請求項3】
第2の物品は第2の凹部を複数個有し、第2の位置決め部材は、第2の物品の底部の第2の凹部と係合し、かつ前記背が低い部分に設けられ、第1の物品の底部とは干渉しない高さの複数個の突起であり、
前記位置決め手段は、第2の物品の底部の孔と係合して第2の物品を位置決めする複数個の突起であることを特徴とする、請求項1または2のストッカ。
【請求項4】
前記第1の位置決め部材は、第1の物品の前後方向の両端をガイドするテーパー面と、第1の物品の底部を支持する支持面とを備え、
前記テーパー面と前記支持面とは物品の左右方向に沿って拡がり、かつ前記テーパー面と前記支持面との境界が、第1の位置決め部材の端部で、第1の物品の回り止めとして作用するように構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかのストッカ。
【請求項5】
底部に位置決め用の第1の凹部を有する第1の物品と、底部に位置決め用の第2の凹部を有し、かつ底部が第1の物品の底部が占める範囲に収まる第2の物品とを、支持装置とストッカの棚とにより、同じ向きに共に支持する方法であって、
前記ストッカは、少なくとも一対の棚受を有する棚と、支持装置を昇降させる移動体を備え、
各物品の奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向として、
前記支持装置は、第1の物品の底部よりも左右方向の幅が狭い支持部を備え、かつ支持部には、前後方向の中間で、第2の物品の奥行きよりも広い長さに渡って、上面が前後方向の両外側よりも低くされた背が低い部分が設けられ、
前記少なくとも一対の棚受は、第2の物品の底部の幅よりも狭く前記支持部の幅よりも広い間隔を置いて設けられ、かつ前記少なくとも一対の棚受は各々、前後方向に沿って第1の物品の奥行きよりも長く、さらに、第1の物品の底部の前後方向両端をガイドすることにより位置決めする前後一対の位置決めガイドと、第2の物品の底部を位置決めする位置決め手段とを備え、
前記移動体は、前記支持装置を昇降させることにより、第1の物品及び第2の物品を支持装置と前記一対の棚受との間で移載し、
前記支持部の前記背が低い部分の前後方向の両外側に設けられている第1の位置決め部材により、第1の物品の底部の前後方向の両端をガイドすることにより、第1の物品の前後方向両端を位置決めすると共に支持するステップと、
前記支持部に設けられた移動規制部材により、第1の位置決め部材により前後方向両端が位置決めされた第1の物品の、左右方向への移動を規制するステップと、
前記支持部の前記背が低い部分に設けられた第2の位置決め部材により、第2の物品の底部を位置決めすると共に支持するステップと、
前記前後一対の位置決めガイドにより、第1の物品の底部の前後方向の両端をガイドすることにより、第1の物品の前後方向両端を位置決めすると共に支持するステップと、
前記位置決め手段により、第2の物品の底部を位置決めするステップ、
とを行い、
第1の物品を移載する際に、前記第1の位置決め部材と前記前後一対の位置決めガイドが、第1の物品の前後両端に沿って左右方向に並ぶようにする物品の支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は
ストッカ及び物品の支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(JP2003-128209A)は、物品の底部に設けられた複数個の凹部に、複数個のピンを係合させて位置決めすることを示している。特許文献2(JPH039-221203A)は、大中小3種類の物品の4隅を位置決め部材により位置決めし、大きな物品には背が高い位置決め部材を、小さな物品には背が低い位置決め部材を用いることを示している。しかしながら支持装置の幅が狭い場合、ピンによる位置決めも、物品の4隅による位置決めも難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP2003-128209A
【特許文献2】JPH039-221203A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の課題は、
ストッカの支持装置及び棚の各々で、簡単な構造で、底部の大きさが異なる2種類の物品を、大きな方の物品の底部よりも左右方向の幅が狭い支持部により、位置決めかつ支持できる
ようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、底部に位置決め用の第1の凹部を有する第1の物品と、底部に位置決め用の第2の凹部を有し、かつ底部が第1の物品の底部が占める範囲に収まる第2の物品とを、同じ向きに共に支持するための支持装置
と棚とを備えるストッカであって、
前記ストッカは、少なくとも一対の棚受を有する棚と、支持装置を昇降させる移動体を備え、
各物品の奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向として、
前記支持装置は、第1の物品の底部よりも左右方向の幅が狭く、かつ前後方向の中間で、第2の物品の奥行きよりも広い長さに渡って、上面が前後方向の両外側よりも低くされた背が低い部分が設けられている支持部と、
前記支持部の前記背が低い部分の前後方向の両外側に設けられ、かつ第1の物品の底部の前後方向の両端をガイドすることにより、第1の物品の前後方向両端を位置決めすると共に支持する第1の位置決め部材と、
前記支持部に設けられ、かつ第1の位置決め部材により前後方向両端が位置決めされた第1の物品の、左右方向への移動を規制する移動規制部材と、
前記支持部の前記背が低い部分に設けられ、かつ第2の物品の底部を位置決めすると共に支持する第2の位置決め部材、とを
備え、
前記少なくとも一対の棚受は、第2の物品の底部の幅よりも狭く前記支持部の幅よりも広い間隔を置いて設けられ、かつ前記少なくとも一対の棚受は各々、前後方向に沿って第1の物品の奥行きよりも長く、さらに、第1の物品の底部の前後方向両端をガイドすることにより位置決めする前後一対の位置決めガイドと、第2の物品の底部を位置決めする位置決め手段とを備え、
前記移動体が前記支持装置を昇降させることにより、第1の物品及び第2の物品を支持装置と前記一対の棚受との間で移載し、かつ第1の物品を移載する際に、前記第1の位置決め部材と前記前後一対の位置決めガイドが、第1の物品の前後両端に沿って左右方向に並ぶように構成されている。
【0006】
またこの発明の物品の
支持方法は、底部に位置決め用の第1の凹部を有する第1の物品と、底部に位置決め用の第2の凹部を有し、かつ底部が第1の物品の底部が占める範囲に収まる第2の物品とを、支持装置
とストッカの棚とにより、同じ向きに共に支持する方法であって、
前記ストッカは、少なくとも一対の棚受を有する棚と、支持装置を昇降させる移動体を備え、
各物品の奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向として、
前記支持装置は、第1の物品の底部よりも左右方向の幅が狭い支持部を備え、かつ支持部には、前後方向の中間で、第2の物品の奥行きよりも広い長さに渡って、上面が前後方向の両外側よりも低くされた背が低い部分が設けられ、
前記少なくとも一対の棚受は、第2の物品の底部の幅よりも狭く前記支持部の幅よりも広い間隔を置いて設けられ、かつ前記少なくとも一対の棚受は各々、前後方向に沿って第1の物品の奥行きよりも長く、さらに、第1の物品の底部の前後方向両端をガイドすることにより位置決めする前後一対の位置決めガイドと、第2の物品の底部を位置決めする位置決め手段とを備え、
前記移動体は、前記支持装置を昇降させることにより、第1の物品及び第2の物品を支持装置と前記一対の棚受との間で移載し、
前記支持部の前記背が低い部分の前後方向の両外側に設けられている第1の位置決め部材により、第1の物品の底部の前後方向の両端をガイドすることにより、第1の物品の前後方向両端を位置決めすると共に支持するステップと、
前記支持部に設けられた移動規制部材により、第1の位置決め部材により前後方向両端が位置決めされた第1の物品の、左右方向への移動を規制するステップと、
前記支持部の前記背が低い部分に設けられた第2の位置決め部材により、第2の物品の底部を位置決めすると共に支持するステップ
と、
前記前後一対の位置決めガイドにより、第1の物品の底部の前後方向の両端をガイドすることにより、第1の物品の前後方向両端を位置決めすると共に支持するステップと、
前記位置決め手段により、第2の物品の底部を位置決めするステップ、
とを行い、
第1の物品を移載する際に、前記第1の位置決め部材と前記前後一対の位置決めガイドが、第1の物品の前後両端に沿って左右方向に並ぶようにする。
【0007】
この発明では、第1の位置決め部材により、物品の前後方向両端を位置決めすると共に支持し、支持部に設けられた移動規制部材により第1の物品の左右動を規制する。このため第1の物品の底部よりも左右方向の幅が狭い支持部でも、第1の物品と第2の物品を共に位置決めかつ支持でき、しかも支持装置の構造が簡単である。
【0008】
特に第2の位置決め部材は背が低い部分にあって、第1の物品の底部と干渉せず、第1の位置決め部材は背が低い部分の前後方向の両外側にあって、第2の物品の底部と干渉しない。また第1の位置決め部材と移動規制部材を高くしなくても、第2の位置決め部材と第1の物品との干渉を回避できる。なお第2の位置決め部材は、後述の複数個の突起の他に、第2の物品の前後方向の両端を位置決めしかつ支持する部材と、第2の物品の底部の凹部に係合する突起との組み合わせ等でも良い。
【0009】
好ましくは、前記移動規制部材は、前記背が低い部分の前後方向の少なくとも一方の外側に設けられ、第1の物品の底部の第1の凹部に係合することにより、第1の物品の左右方向位置を位置決めする第3の位置決め部材であ
り、前記一対の棚受は各々、第1の物品の左右方向の両端部をガイドすることにより位置決めする第2の位置決めガイドを備えている。このようにすると、第3の位置決め部材は第2の物品の底部と干渉せず、かつ第1の物品の底部の第1の凹部と係合して、第1の物品の左右方向位置を位置決めできる。
【0010】
好ましくは、第2の物品は第2の凹部を複数個有し、第2の位置決め部材は、第2の物品の底部の第2の凹部と係合し、かつ前記背が低い部分に設けられ、第1の物品の底部とは干渉しない高さの複数個の突起であ
り、前記位置決め手段は、第2の物品の底部の孔と係合して第2の物品を位置決めする複数個の突起である。複数個の凹部は例えば3個のV溝であり、複数個の突起は例えば3本のピンである。このようにすると、複数個の突起により正確に第2の物品を位置決めかつ支持できる。また複数個の突起の高さを選ぶことにより、第1の物品との干渉を回避できる。
【0011】
好ましくは、前記第1の位置決め部材は、第1の物品の前後方向の両端をガイドするテーパー面と、第1の物品の底部を支持する支持面とを備え、前記テーパー面と前記支持面とは物品の幅方向に沿って拡がり、かつ前記テーパー面と前記支持面との境界が、第1の位置決め部材の端部で、第1の物品の回り止めとして作用するように構成されている。第1の位置決め部材と第3の位置決め部材とにより、第1の物品の前後と左右を位置決めできるが、鉛直な軸回りに第1の物品の向きが変化する可能性がある。そこで第1の位置決め部材を回り止めとして、第1の物品の向きが変化することを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例の支持装置を備えたスカラアームが、第1の物品(450mmウェハー用のFOUP)を支持している状態を示す平面図
【
図2】スカラアームが第1の物品を支持している状態を示す側面図
【
図3】位置決め突起による第1の物品の位置決めを示す、
図2の要部拡大側面図
【
図4】
図1のIV−IV方向に沿って、位置決め突起(第3の位置決め部材)と、第1の物品の凹部(キネマチックカップリング用のV溝)とを示す、鉛直方向断面図
【
図5】
図1のV−V方向に沿って、第3の位置決め部材と、第1の物品の凹部とを示す、鉛直方向断面図
【
図7】スカラアームが、第2の物品(300mmウェハー用のFOUP)を支持している状態を示す平面図
【
図8】スカラアームが第2の物品を支持している状態を示す側面図
【
図9】棚受の平面図で、第1の物品を載置している状態を示す
【
図10】棚受の平面図で、第2の物品を載置している状態を示す
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0014】
図1〜
図8に、実施例での物品の支持装置2をハンドとして備える、スカラアーム4を示す。スカラアーム4は、支持装置2により物品を位置決めすると共に支持し、棚受80,81等の移載相手との間で、進退動作と昇降動作とにより物品を移載(受け渡し)する。支持装置2は、スカラアーム4のハンドに限らず、例えばスライドフォークのトッププレートの先端部に設けても、あるいは固定した支持装置として棚等に設けても良い。なお
図9,
図10は、スカラアーム4が物品を移載する棚受80,81を示す。
【0015】
物品は、450mmウェハー用のFOUP52(第1の物品)と、300mmウェハー用のFOUP62(第2の物品)の2種類であるが、物品の種類自体は任意である。第2の物品は、第1の物品よりもサイズが小さく、かつその底面が第1の物品の底面が占める範囲に収まるものとする。各図において、鎖線はFOUP52,62を示し、FOUP52,62のサイドフランジのように、本発明とは関係がない部分は省略して示す。
図1,
図7,
図9,
図10では、支持装置2及び棚受80,81による位置決めを示すため、FOUP52,62の底部の構造を示す。
【0016】
図1,
図2は、450mmウェハー用のFOUP52を支持した状態での、スカラアーム4を示す。支持装置2はプレート6を備え、プレートの前後方向での先端と基部とに背が高い部分8,9があり、中間に背が低い部分10がある。基部の背が高い部分9には軸40があり、軸40は支持装置2を回動させる。この明細書では、支持装置2の軸40側を基端、その反対側の背が高い部分8側を先端とし、先端と基端とを結ぶ方向を前後方向という。また前後方向に対し、水平面内で直角な方向を左右方向という。
【0017】
プレート6の左右方向の幅は、FOUP52,62の左右方向の幅よりも狭く、FOUP52,62を棚受80,81が支持できるようにしてある。先端側の背が高い部分8の左右方向中央部に位置決めガイド12があり、基端側の背が高い部分9には左右例えば一対の位置決めガイド16,16がある。位置決めガイド12,16は、左右方向の長さが異なるが、基本的構造は同じで、背が低い部分10側が低くなるように傾斜したテーパー面13,17と、テーパー面13,17の下端から背が低い部分10側へ延びる水平な支持面14,18とを備えている。またテーパー面13,17と支持面14,18との境界上で、かつ位置決めガイド12,16の左右方向外側の端部の点19は、FOUP52の回り止めとなる。
【0018】
背が高い部分8の左右方向中央部で背が低い部分10寄りに、例えば平面視で長方形状の位置決め突起20があり、位置決め突起20の左右方向の端部には、R部が設けられている。背が低い部分10には、例えば3個のキネマチックカップリングピン22(以下ピン22という)が設けられ、ピン22の高さは支持面14,18の高さよりも低くしてある。背が低い部分10の上面を、背が高い部分8の上面よりもDだけ低い位置に配置し、このため、背が高い部分8,9と背が低い部分10との間には、肉厚差Dが有る。そして背が低い部分10の上面が背が高い部分8の上面よりも低い位置にあるため、位置決めガイド12,16の高さを小さくできる。
【0019】
スカラアーム4は、ベース30に設けた軸36を中心に回動するアーム32と、アーム32の先端側の軸38を中心に回動するアーム34とを備え、アーム34の先端側に前記の軸40を備えている。スカラアーム4は昇降と水平往復運動とが自在な移動体に搭載され、この移動体はFOUP52,62を一時保管するストッカ等に設置されて、棚に沿って往復運動し、アーム42によりスカラアーム4を支持して昇降させる。そしてスカラアーム4の伸縮とベース30の昇降とを組み合わせて、棚受80,81との間でFOUP52,62を移載する。スカラアーム4に代えて、スライドフォークのトッププレートの先端に支持装置2を設けても良い。
【0020】
44は第1の落下防止部材、46は第2の落下防止部材である。落下防止部材44,46は、アーム34から鉛直上向きに直立する支柱48に取り付けられ、高さは固定で、落下防止部材44は支柱48の上端付近に、落下防止部材46はその下部に取り付けられている。第2の落下防止部材46は支柱48への取り付け軸を中心に水平面内で回動自在で、先端には鉛直軸回りに回動するローラ47が取り付けられている。第1の落下防止部材44は450mmウェハー用のFOUP52の落下を防止し、第2の落下防止部材46は300mmウェハー用のFOUP62の落下を防止する。落下防止部材44はFOUP52のドア部58の上端を規制し、落下防止部材46はFOUP62のドア部68の上端を規制する。さらに落下防止部材46は、FOUP52に対して、ローラ47がドア部58に押されることにより後退する。
【0021】
図1,
図2に示すように、450mmウェハー用のFOUP52は底部の4周に沿ってコンベヤ面54が設けられ、側面の下部でコンベヤ面54と交わる面はコンベヤガイド面55とされ、コンベヤ面54とコンベヤガイド面55は特定の位置にある平滑な面である。またFOUP52の底部には、キネマチックカップリング用に3個のV溝(断面が逆V字状の溝)が設けられ、ドア部58側のV溝をV溝56といい、反対側のV溝をV溝57という。支持装置2は、前後のコンベヤガイド面55と置決めガイド12,16とにより、前後方向の位置を位置決めし、コンベヤ面54を支持面14,18で支持する。またドア部58と反対側のV溝57を、位置決め突起20で位置決めすることにより、左右方向の位置決めを行う。位置決め突起20のみでは、FOUP52の鉛直軸回りの向きが変化する可能性があるので、FOUP52の回転を回り止め19により禁止する。
【0022】
450mmウェハー用のFOUP52の位置決めを、
図1〜
図5に示す。
図3に示すように、コンベヤガイド面55を位置決めガイド12のテーパー面13によりガイドし、コンベヤ面54を支持面14により支持する。位置決めガイド16でも同様に、コンベヤガイド面55をテーパー面17によりガイドし、コンベヤ面54を支持面18により支持する。これによってFOUP52は前後方向に位置決めされ、鉛直軸回りの回転は回り止め19により防止される。このようにしてFOUP52は水平面内で位置決めされるので、残る運動の自由度は上下運動のみとなる。スカラアーム4の動作、あるいはスカラアーム4を搭載した移動体の動作により、FOUP52に大きな加速度が加わると、FOUP52が落下する可能性がある。そこで第1の落下防止部材44により、FOUP52の高さを規制し、落下を防止する。
【0023】
V溝57内の、位置決め突起20を
図4,
図5に示す。V溝57の長手方向と位置決め突起20の長手方向は平行で、長手方向に沿って位置決め突起20の上部両側端が線接触でV溝57の底部と接触し、左右方向に沿ってFOUP52を位置決めする。なお線接触する線分を支持線分72,73として示す。位置決め突起とV溝57との接触は、線接触に限らず、4点以上の点接触でも良く、4箇所の支持点75で点接触する例を位置決め突起74として
図6に示す。
【0024】
300mmウェハー用のFOUP62の位置決めを、
図7,
図8に示す。背が低い部分10の前後方向の長さは、FOUP62の奥行きよりも長く、背が低い部分10上にFOUP62を支持する。コンベヤ面64を位置決めには用いず、キネマチックカップリング用の3個のV溝66に、3本のピン22をキネマチックカップリングさせて、FOUP62の本来の仕様に従って位置決めする。これが可能なのは、FOUP62はFOUP52よりも小さいため、V溝66の位置にピン22を配置できるためである。またピン22は背が低い部分10上にあるため、FOUP52の底部とは接触しない。さらに位置決め突起20は、FOUP62の底面から外れた位置にある。なおプレート6に肉厚さDを設けるのではなく、位置決めガイド12,16の支持面14,18をピン22の先端よりも高くしても、450mmウェハー用のFOUP52とピン22との干渉を回避できる。ピン22によりFOUP62は水平面内で位置決めされるので、第2の落下防止部材46によりFOUP62の高さを規制し、落下を防止する。
【0025】
図9は、棚受80,81による450mmウェハー用のFOUP52の支持を示す。棚受80,81は各々、前後方向の位置決めガイド82,左右方向の位置決めガイド86,及び前後左右兼用の位置決めガイド90を備え、FOUP52を前後左右に位置決めする。83,91は前後方向に傾斜するテーパー面で、87,92は左右方向に傾斜するテーパー面で、これらはコンベヤガイド面55をガイドする。84,88,93は水平な支持面で、これらはコンベヤ面54を支持する。
【0026】
図10は、棚受80,81による300mmウェハー用のFOUP62の支持を示す。位置決めピン94は、FOUP62のフォークリフトピン用の孔と係合して位置決めする。なお位置決めピン94は、450mmウェハー用のFOUP52でのV溝56に収まり、FOUP52とは接触しない。
【符号の説明】
【0027】
2 支持装置(スカラアームのハンド)
4 スカラアーム
6 プレート
8,9 背が高い部分
10 背が低い部分
12,16 位置決めガイド(第1の位置決め部材)
13,17 テーパー面
14,18 支持面
19 回り止め
20 位置決め突起(第3の位置決め部材)
22 キネマチックカップリングピン(第2の位置決め部材)
30 ベース
32,34 アーム
36〜40 軸
42 アーム
44,46 落下防止部材
47 ローラ
48 支柱
52 450mmウェハー用のFOUP(第1の物品)
54,64 コンベヤ面
55 コンベヤガイド面
56,66 V溝
58,68 ドア部
60,70 フランジ
62 300mmウェハー用のFOUP(第2の物品)
72,73 支持線分
74 位置決め突起
75 支持点
80,81 棚受
82,86,90 位置決めガイド
83,87,91,92 テーパー面
84,88,93 支持面
94 位置決めピン
D 肉厚差