(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記含塩素化合物がHCC-240db、HCO-1230xa、HCO-1230xf、HCFC-243db、HCFC-242dc、HCFO-1231xf、HCFO-1232xf及びHCFO-1233xfからなる群から選ばれた少なくとも一種である、請求項1に記載の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の含フッ素オレフィンの製造方法の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
本実施形態では、特定の一般式で表される含塩素化合物と、無水フッ化水素とを、酸化性ガス及びフッ素化触媒の存在下において反応させて、含フッ素オレフィンを製造する。
【0015】
具体的には、
一般式(1):CX
3CClYCH
2Z(式中、Xは各々独立してF又はClである。YはH又はFであり、YがHの場合、ZはCl又はFであり、YがFの場合、ZはHである。)で表される含塩素アルカン、
一般式(2):CX
3CH
2CHX
2(式中、Xは各々独立してF又はClである。ただしXのうち少なくとも一つはClである。)で表される含塩素アルカン、
一般式(3):CX
3CCl=CH
2(式中、Xは、各々独立してF又はClである。)で表される含塩素アルケン、
一般式(4):CX
3CH=CHX(式中、Xは、各々独立してF又はClである。ただしXのうち少なくとも一つはClである。)で表される含塩素アルケン、
一般式(5):CH
2XCCl=CX
2(式中、Xは、各々独立してF又はClである。)で表される含塩素アルケン、及び
一般式(6):CHX
2CH=CX
2(式中、Xは、各々独立してF又はClである。)で表される含塩素アルケン
からなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物と、無水フッ化水素とを、酸化性ガス及びフッ素化触媒の存在下において反応させて、
一般式(7):CF
3CA=CHB(式中、A及びBは、一方がF又はClであり、他方がHである。)で表される含フッ素オレフィンを製造する。
【0016】
特に、本実施形態では、前記フッ素化触媒がVIII属及びIX属の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Mとクロムとが共存した触媒である。これにより、例えば、HFO-1234yf及びHFO-1234ze等を含む2以上の含フッ素オレフィン化合物を、いずれも高い選択率で並行して製造することができる。
【0017】
以下、本実施形態の製造方法で使用する原料化合物、反応方法及び反応生成物について説明する。
【0018】
なお、上記の一般式(1)〜(7)で表される化合物の具体例を表1に示している。この表1では、各化合物の記号(略記号)、構造及び化学名を表している。これら表1に記載の化合物は、各一般式で表される化合物の一例であって、上記の一般式(1)〜(7)で表される化合物が表1で表される化合物に限定されるわけではない。
【0020】
(I)原料化合物
本実施形態では、出発原料として、上記一般式(1)から一般式(6)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物を用いる。
【0021】
一般式(1):CX
3CClYCH
2Zで表される含塩素アルカンの具体例としては、2,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(CF
3CHClCH
2Cl(HCFC-243db))、1,2,3-トリクロロ-1,1-ジフルオロプロパン(CF
2ClCHClCH
2Cl(HCFC-242dc))、1,1,2,3-テトラクロロ-1-フルオロプロパン(CFCl
2CHClCH
2Cl(HCFC-241dc))、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(CCl
3CHClCH
2Cl(HCC-240db))等を挙げることができる。
【0022】
一般式(2):CX
3CH
2CHX
2で表される含塩素アルカンの具体例としては、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(CCl
3CH
2CHCl
2(HCC-240fa))、3,3-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロプロパン(CF
3CH
2CHCl
2(HCFC-243fa))等を挙げることができる。
【0023】
一般式(3):CX
3CCl=CH
2で表される含塩素アルケンの具体例としては、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(CF
3CCl=CH
2(HCFO-1233xf))、2,3,3,3-テトラクロロプロペン(CCl
3CCl=CH
2(HCO-1230xf))、2,3,3-トリクロロ-3-フルオロプロペン(CFCl
2CCl=CH
2(HCFO-1231xf)、2,3-ジクロロ-3,3-ジフルオロプロペン(CF
2ClCCl=CH
2(HCFO-1232xf))等を挙げることができる。
【0024】
一般式(4):CX
3CH=CHXで表される含塩素アルケンの具体例としては、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(CF
3CH=CHCl(HCFO-1233zd))、1,3,3,3-テトラクロロプロペン(CCl
3CH=CHCl(HCO-1230zd))等を挙げることができる。
【0025】
一般式(5):CH
2XCCl=CX
2で表される含塩素アルケンの具体例としては、1,1,2,3-テトラクロロプロペン(CH
2ClCCl=CCl
2(HCO-1230xa))等を挙げることができる。
【0026】
一般式(6):CHX
2CH=CX
2で表される含塩素アルケンの具体例としては、1,1,3,3-テトラクロロプロペン(CHCl
2CH=CCl
2(HCO-1230za))等を挙げることができる。
【0027】
本発明では、上記した原料化合物を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0028】
(II)反応方法
本実施形態の製造方法では、上記含塩素化合物を出発原料とし、該含塩素化合物と、無水フッ化水素とを、酸化性ガス及びフッ素化触媒の存在下において反応させる。
【0029】
本実施形態の製造方法では、酸化性ガスを使用することにより、触媒の劣化を抑制する効果を十分に発揮した上で、反応を進行させることができる。また、酸化性ガスの雰囲気下、後述する特定のフッ素化触媒を使用することにより、出発原料の転化率を良好な範囲に維持することができ、2以上の含フッ素オレフィンを1度の反応にて高い選択率で製造しやすくなる。また、反応系内に酸化性ガスが存在することで、反応中に副生するCO
2の量を低減することができる。
【0030】
上記酸化性ガスとしては、酸素(酸素ガス)、塩素(塩素ガス)等を例示することができる。好ましい酸化性ガスは酸素であり、この場合、出発原料の転化率を良好な範囲に維持することができ、2以上の含フッ素オレフィンをそれぞれより高い選択率で製造しやすくなる。
【0031】
酸化性ガスの供給量は、出発原料として用いる含塩素化合物1モルに対して、0.005〜0.2モル程度とすることが好ましく、0.01〜0.15モル程度とすることがより好ましい。
【0032】
酸化性ガスの存在下に反応を行う方法については特に限定はない。通常は、酸素等の酸化性ガスを、出発原料である含塩素化合物と共に反応器に供給すればよい。また、これに限らず、含塩素化合物に酸素を溶解させて反応器に供給してもよい。
【0033】
本実施形態では、フッ素化触媒としては、VIII属及びIX属の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Mとクロムとが共存した触媒を使用する。
【0034】
上記触媒を使用することで、2以上の含フッ素オレフィン化合物を、各々高い選択率で並行して製造することができる。
【0035】
金属元素Mとクロムとのモル比(金属Mのモル数:クロムのモル数)は特に制限されないが、例えば、0.05:99.95〜15:85の範囲内で金属元素Mとクロムが触媒中に含まれれば、生成する複数の含フッ素オレフィン化合物の各々の選択率をより向上させることができる。
【0036】
金属元素Mとしては、周期表の第5周期〜第6周期の元素であることが好ましい。この場合、生成する複数の含フッ素オレフィン化合物の各々の選択率がさらに向上する。特に、金属元素Mがルテニウムであれば、その効果が顕著に発揮される。
【0037】
フッ素化触媒は、金属元素Mとクロムとが共存した触媒であれば各々の金属元素の状態は特に限定されないが、例えば、金属元素M及びクロムは、酸化物やフッ化物の状態でフッ素化触媒中に含まれていてもよい。金属元素M及びクロムが酸化物である場合、これらの酸化物はさらにあらかじめフッ素化されていてもよい。なお、本実施形態の製造方法では、フッ化水素の存在下に反応を行うので、予めフッ素化処理を行わない場合にも、反応中に触媒のフッ素化が進行すると考えられる。
【0038】
金属元素Mが酸化物状態のルテニウムの状態で触媒中に存在する場合、酸化物状態のルテニウムとしては結晶質酸化ルテニウム、アモルファス酸化ルテニウム等が例示される。酸化ルテニウムの組成としては、特に限定的ではないが、例えば、組成式:RuO
mにおいて、mが1.5<m<4の範囲とすることができ、2<m<2.75の範囲であればより好ましい。
【0039】
クロムが酸化物の状態である場合は、結晶質酸化クロム、アモルファス酸化クロム等が例示される。酸化クロムの組成としては、特に限定的ではないが、例えば、組成式:CrO
nにおいて、nが1.5<n<3の範囲とすることができ、2<n<2.75の範囲であればより好ましい。
【0040】
フッ素化された酸化クロムについては、例えば、酸化クロムをフッ化水素によりフッ素化(HF処理)することによって得ることができる。フッ素化の温度は、例えば100〜460℃程度とすればよい。例えば、酸化クロムを充填した反応器に無水フッ化水素を供給することによって、酸化クロムのフッ素化を行うことができる。酸化クロムのフッ素化の程度については、特に限定的ではなく、例えば、フッ素含有量が5〜30wt%程度のフッ素化された酸化クロムを好適に用いることができる。
【0041】
フッ素化触媒の比表面積は限定的ではないが、例えば、20m
2/g以上とすることができ、30m
2/g以上であることがより好ましい。また、フッ素化触媒の形状は、粉末状やペレット状とすることができるが、反応に適していればその他の形状であってもよい。これらの中でもペレット状の形状であることが好ましい。
【0042】
また、フッ素化触媒は、担体に担持されていなくてもよく、あるいは、フッ素化触媒は、必要に応じて担体に担持されていてもよい。担体としては、特に限定的ではなく、例えば、フッ化クロム、フッ化アルミニウム、フッ素化アルミナ、フッ素化活性炭又はグラファイトカーボンの中から選択される少なくとも一種が好ましい。
【0043】
フッ素化触媒は、原料化合物が触媒に充分に接触する状態で使用すればよい。例えば、反応器内に触媒を固定して触媒層を形成する方法、流動層中に触媒を分散させる方法などを適用できる。
【0044】
無水フッ化水素は、通常、原料化合物と共に反応器に供給すればよい。無水フッ化水素の使用量については、特に限定的ではないが、目的とする含フッ素オレフィンの選択率を高い値とするためには、原料として用いる含塩素化合物1モルに対して、4モル程度以上とすることが好ましく、8モル程度以上とすることがより好ましい。
【0045】
無水フッ化水素量の上限については特に限定的ではなく、フッ化水素量が多すぎても選択性、転化率にはあまり影響はないが、例えば、原料として用いる含塩素化合物1モルに対して、無水フッ化水素の量を100モル程度以下とすることが好ましい。この場合、精製時にフッ化水素の分離量が増加することによる生産性の低下が起こりにくい。無水フッ化水素の量は、原料として用いる含塩素化合物1モルに対して50モル程度以下とすることがより好ましい。
【0046】
上記製造方法では、反応温度は限定的ではなく、使用する原料化合物の種類により適宜調整できるが、一般に200〜450℃の範囲とすることができる。この温度範囲であれば、酸化性ガスを使用することによる上述した触媒の劣化抑制効果をさらに高めることができる。
【0047】
反応温度は、例えば、原料として2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)を用いる場合には、原料転化率及び目的物の選択率を良好な範囲とするべく、300〜450℃程度の温度範囲とすることが好ましく、325〜400℃程度の温度範囲とすることがより好ましい。この場合には、特に酸化性ガスの使用量は、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)1モルに対して0.01〜0.5モル程度とすることが好ましく、0.02〜0.15モル程度とすることがより好ましい。
【0048】
反応時の圧力については、特に限定されるものではなく、減圧、常圧又は加圧下に反応を行うことができる。通常は、大気圧(0.1MPa)近傍の圧力下で実施すればよいが、0.1MPa未満の減圧下においても円滑に反応を進行させることができる。更に、原料が液化しない程度の加圧下で反応を行ってもよい。
【0049】
反応の具体的な一例としては、管型の流通型反応器を用い、該反応器にフッ素化触媒を充填し、出発原料として用いる含塩素化合物、無水フッ化水素及び酸化性ガスを反応器に導入して反応を行う方法を挙げることができる。反応器等、反応に使用する設備は従来から気相フッ素化反応で使用されているものでよい。
【0050】
反応器に供給された出発原料は、無水フッ化水素と接触する際に気体状態であってもよいし、また、出発原料の供給時には、液体状態であってもよい。例えば、出発原料が常温、常圧で液状である場合には、出発原料を気化器によって気化(気化領域)させてから予熱領域を通過させ、無水フッ化水素と接触させる混合領域に供給することができる。これによって、気相状態で反応を行うことができる。また、出発原料を液体状態で反応装置に供給し、反応器に充填した触媒層を出発原料の気化温度以上に加熱しておいて、フッ化水素との反応領域に達した時に出発原料を気化させて反応させてもよい。
【0051】
反応使用する各原料は、反応器に直接供給してもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン等の原料や触媒に対して不活性なガスを共存させながら供給してもよい。不活性ガスの濃度は、反応器に導入される気体成分、即ち、含塩素化合物、無水フッ化水素及び酸化性ガスに、不活性ガスを加えた量の総量に対し0〜80mol%程度とすることができる。
【0052】
接触時間については限定的ではないが、反応の転化率が低下し過ぎることなく、また、副生成物の生成が増加し過ぎることのない点に留意して、接触時間を設定すればよい。例えば、反応系に流入させる原料ガスの全流量F
0(0℃、0.1MPaでの流量:mL/sec)に対する触媒の充填量W(g)の比率:W/F
0で表される接触時間を0.5〜70g・sec/mL程度とすることが好ましく、1〜50g・sec/mL程度とすることが好ましい。尚、この場合の原料ガスの全流量とは、含塩素化合物、無水フッ化水素、及び酸化性ガスの合計流量に、更に、不活性ガスなどを用いる場合には、これらの流量を加えた量である。
【0053】
(III)反応生成物
上記の反応によって、一般式(7):CF
3CA=CHB(式中、A及びBは、一方がF又はClであり、他方がHである。)で表される含フッ素オレフィンが製造される。なお、生成する含フッ素オレフィンの構造は、出発原料である含塩素化合物の構造とは異なるものである。
【0054】
一般式(7)で表される含フッ素オレフィンの具体例としては、式:CF
3CF=CH
2で表される2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、式:CF
3CH=CHFで表される1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、式:CF
3CCl=CH
2で表される2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)、式:CF
3CH=CHClで表される1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)を挙げることができる。
【0055】
例えば、CF
3CHClCH
2Cl(HCFC-243db)、CF
2ClCHClCH
2Cl(HCFC-242dc)、CFCl
2CHClCH
2Cl(HCFC-241dc)、CF
3CCl=CH
2(HCFO-1233xf)、CF
2ClCCl=CH
2(HCFO-1232xf)、CFCl
2CCl=CH
2(HCFO-1231xf)、CH
2ClCCl=CCl
2(HCO-1230xa)、CCl
3CCl=CH
2(HCO-1230xf)等を出発原料とした場合には、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を主成分として得ることができる。
【0056】
また、CCl
3CH
2CHCl
2(HCC-240fa)、CHCl
2CH=CCl
2(HCO-1230za)、CF
3CH=CHC(HCFO-1233zd)、CCl
3CH=CHCl(HCO-1230zd)等を出発原料とした場合には、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)を主成分として得ることができる。
【0057】
本実施形態における反応では、上述のように、VIII属及びIX属の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Mとクロムとが共存した触媒をフッ素化触媒として使用するので、2以上の含フッ素オレフィン化合物をそれぞれ高い選択率で並行して製造できる。そして、反応を継続した場合にも、触媒活性の低下が少ないので、高い選択率を長期間維持できる。
【0058】
上記反応で生成する含フッ素オレフィン化合物は、上述したように出発原料の種類によって異なるが、HFO-1234yf及びHFO-1234zeの群から選ばれる少なくとも1種を含んでいることが好ましい。この場合、2以上の含フッ素オレフィン化合物をいずれも高い選択率で並行して製造できる。上記反応で生成する含フッ素オレフィン化合物は、特に、HFO-1234yf及びHFO-1234zeを含んでいることが好ましく、この組み合わせでは、他の組み合わせに比べて、いずれも高い選択率で生成させることができるからである。
【0059】
生成物は、例えば、反応器出口から回収することができ、回収後、蒸留などの方法で目的物である含フッ素オレフィン化合物を得ることができる。なお、生成物中には、副生物として1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)が主に含まれ得る。このような副生成物は、脱フッ化水素反応によって2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に容易に変換できる。そのため、本実施形態の製造方法では、副生成物であっても有効に利用することができる。
【0060】
本実施形態の製造方法では、出発原料の選択によって、HFO-1234yfが含フッ素オレフィンとして生成する。このときに副生する生成物としては、例えば、HCFO-1224yd(CF
3CFCHCl)及びHCFO-1224zb(CF
3CHCFCl)の少なくとも一方の化合物が含まれる。従って、上記製造方法によれば、HFO-1234yfと上記例示列挙した化合物のうちの少なくとも1種の化合物を含む組成物が得られる。
【0061】
このような組成物は、精製してHFO-1234yfを純度よく回収してもよいし、精製せずにこの組成物をそのまま冷媒等の各種用途に使用してもよい。
【0062】
上記組成物において、HFO-1234yfの含有量は特に制限されないが、例えば、組成物全量に対して1〜99.99質量%の範囲で含有され得る。
【0063】
上記組成物は、さらに、HFO-1234ze(CF
3CH=CHF)も含み得る。このHFO-1234zeは、上記反応で生成した、HFO-1234yfとは異なる含フッ素オレフィン成分であり、高い選択率で生成したものである。
【0064】
上記組成物は、HFO-1234zeの他、CFC-13(CF
3Cl)、HFC-23(CHF
3)、HFC-32(CH
2F
2)、HCC-40(CH
3Cl)、HFC-152a(CHF
2CH
3)、HFC-143a(CF
3H
3)、CF
3C≡CH、塩化ビニル(CH
2=CHCl)、HFC-245cb(CF
3CF
2CH
3)、HFC-245fa(CF
3CH
2CHF
2)、HFC-244bb(CF
3CFClCH
3)、HCFC-244eb(CF
3CHFCH
2Cl)、HCFC-244db(CF
3CHClCH
2F)、HCFC-234bb(CF
3CFClCH
2Cl)HFC-236fa(CF
3CH
2CF
3)、HCFO-1233zd(CF
3CH=CHCl)、HCFO-1233xd(CF
3CCl=CHCl)、HFO-1234yf二量体、HFO-1234yf三量体、二酸化炭素及び一酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでいてもよい。これらの化合物は、上記反応によって副生することもあるし、もしくは、反応で得られた生成物に別途、添加されたものであってもよい。このような組成物も各種用途や原料に好適に使用することができる。
【0065】
上記組成物が、HFO-1234yfに加えてさらにHFO-1234zeを含む場合、HFO-1234zeの含有量は特に制限されないが、例えば、組成物全量に対して0.01〜99質量%の範囲で含有され得る。
【実施例】
【0066】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
【0067】
(実施例1)
酸化クロムと酸化ルテニウムが共存し、かつ、ルテニウム(金属元素M)とクロムとのモル比が5:95であるフッ素化触媒を準備した。このフッ素化触媒5.7gを金属製反応管に充填した。
【0068】
次に反応管の温度を350℃に昇温し、無水フッ化水素ガスを35Nml/分の流速で供給し、酸化性ガスとして酸素ガスを0.35Nml/分の流速で反応器に供給して1時間維持した。
【0069】
その後、この反応管に2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(CF
3CCl=CH
2(HCFO-1233xf))のガスを3.5Nml/分の流速で供給することで、フッ素化反応を行い、含フッ素オレフィンを生成させた。約15時間後、反応器からの流出ガスの最初のサンプリングをおこない、ガスクロマトグラフにて分析した。
【0070】
(実施例2)
酸素ガスの流速を0.07Nml/分に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフッ素化反応を行って、ガスクロマトグラフの分析を行った。
【0071】
(実施例3)
ルテニウム(金属元素M)とクロムとのモル比が1:99であるフッ素化触媒に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフッ素化反応を行って、ガスクロマトグラフの分析を行った。
【0072】
(実施例4)
酸素ガスの流速を0.07Nml/分に変更したこと以外は、実施例3と同様にしてフッ素化反応を行って、ガスクロマトグラフの分析を行った。
【0073】
(比較例1)
フッ素化触媒を酸化クロム(Cr
2O
3)に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてフッ素化反応を行って、ガスクロマトグラフの分析を行った。
【0074】
表2には、各実施例及び比較例で実施したガスクロマトグラフの分析結果を示している。また、表2には、HFO-1234ze生成量のHFO-1234yf生成量に対する割合も表2に示している。なお、表2中において「trace」とは、含有量が1ppm以上1%以下の濃度であることを意味する。
【0075】
【表2】
【0076】
表2の結果から明らかな通り、各実施例では、HFO-1234yf及びHFO-1234zeがいずれも高い選択率で製造されていることがわかる。一方、比較例ではフッ素化触媒としてVIII属及びIX属の群から選ばれる少なくとも1種の金属元素Mを含んでいないため、HFO-1234yfの選択率は高いものの、HFO-1234ze等のその他の含フッ素オレフィンの選択率は低いものであった。
【0077】
従って、本発明の製造方法では、HFO-1234yf及びHFO-1234ze等、2以上の含フッ素オレフィン化合物を、いずれも高い選択率で並行して製造することができることがわかる。そのため、同一原料、同一設備及び同一条件から、有用な複数の含フッ素オレフィンを高い選択率で製造でき、建設するプラント数が少なくて済み、設備費や用役費の削減も可能になる。しかも、同一原料、同一設備及び同一条件で製造できることで、それぞれの化合物を製造するために使用する原料の購入量が少なくなりにくく、原料購入価格が高くなりにくいので、コスト面でも有利である。従って、上記製造方法は、含フッ素オレフィンの製造方法として、工業的に有利な方法であるといえる。