特許第6233392号(P6233392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233392
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】水晶振動装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/10 20060101AFI20171113BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20171113BHJP
   H03H 3/02 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H03H9/10
   H03H9/02 A
   H03H3/02 B
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-230504(P2015-230504)
(22)【出願日】2015年11月26日
(62)【分割の表示】特願2015-514816(P2015-514816)の分割
【原出願日】2014年4月22日
(65)【公開番号】特開2016-34155(P2016-34155A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2015年11月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-96194(P2013-96194)
(32)【優先日】2013年5月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 文太
(72)【発明者】
【氏名】坂井 基祥
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−105779(JP,A)
【文献】 特開2004−357131(JP,A)
【文献】 特開2005−039344(JP,A)
【文献】 特開2004−088524(JP,A)
【文献】 特開2009−117902(JP,A)
【文献】 特開2001−274653(JP,A)
【文献】 特開2010−263258(JP,A)
【文献】 特開2005−236892(JP,A)
【文献】 特開2009−239414(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0207696(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/10
H03H 3/02
H03H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動子搭載面を有するパッケージ材と、
前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に設けられている第1及び第2の電極ランドと、 前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に片持ち梁で支持されている水晶振動子と、
前記水晶振動子を前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に設けられている第1及び第2の電極ランドにそれぞれ電気的に接続しかつ機械的に接合している第1及び第2の導電性接着剤層とを備え、
前記水晶振動子が、水晶基板と、前記水晶基板に設けられた第1及び第2の振動電極と、前記第1及び第2の振動電極にそれぞれ連ねられている第1及び第2の引き出し電極とを有し、
前記第1及び第2の引き出し電極が、前記第1及び第2の導電性接着剤層により、前記第1及び第2の電極ランドにそれぞれ電気的にかつ機械的に接続されており、
前記水晶振動子の前記水晶基板が一対の長辺及び一対の短辺を有する矩形板状の形状を有し、前記短辺の延びる方向が幅方向であり、一方の短辺側において前記水晶振動子が前記第1及び第2の導電性接着剤層により片持ち梁で支持され、
前記第1及び第2の導電性接着剤層が、それぞれ、平面視した場合、2つの円または楕円が部分的に重なり合っている平面形状を有し、
前記水晶振動子が、長さ方向において中央部から前記長さ方向端部にいくにつれて、厚みが薄くなっており、平面視して前記水晶基板を透視した領域内において、前記第1及び第2の電極ランドが、前記幅方向内側の部分に比べ、前記幅方向外側の部分において厚くされている部分を有し、前記第1及び第2の導電性接着剤層が、前記第1及び第2の電極ランドの前記幅方向内側の部分から前記幅方向外側の部分に至っている、水晶振動装置。
【請求項2】
前記2つの円または楕円が部分的に重なり合っている平面形状を有する第1及び第2の導電性接着剤層と、前記第1及び第2の電極ランドとの積層部分の上面が曲線的に変化している、請求項1に記載の水晶振動装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の導電性接着剤層の重心が、該第1及び第2の導電性接着剤層の中心よりも、幅方向外側に位置している、請求項1または2に記載の水晶振動装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の導電性接着剤層の平面形状が、前記幅方向において内側から外側に向かうにつれて、前記短辺から前記水晶基板中心側に近づく形状とされている、請求項1〜のいずれか1項に記載の水晶振動装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の導電性接着剤層の一部が、前記水晶基板の表面と直接接合されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水晶振動装置
【請求項6】
前記第1及び第2の導電性接着剤層が、エポキシ樹脂と、導電性材料とを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水晶振動装置。
【請求項7】
前記第1及び第2の導電性接着剤層が、長さ方向を有し、長さ方向最大寸法と、長さ方向最大寸法と直交する幅方向の最大寸法との比であるアスペクト比が1.5以上、3.0以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水晶振動装置。
【請求項8】
水晶振動子搭載面に第1及び第2の電極ランドが形成されているパッケージ材を用意する工程と、
一対の長辺及び一対の短辺を有する矩形板状の形状を有し、前記短辺の延びる方向が幅方向であり、該幅方向と直交する長さ方向において中央部から前記長さ方向端部にいくにつれて、厚みが薄くなっている水晶基板と、前記水晶基板に設けられた第1及び第2の振動電極と、前記第1及び第2の振動電極に連ねられている第1及び第2の引き出し電極とを有し、前記第1及び第2の引き出し電極が、前記水晶基板の下面に至っている部分を有する水晶振動子を用意する工程と、
前記水晶振動子の前記第1及び第2の引き出し電極の前記水晶基板の下面に位置している部分を第1及び第2の導電性接着剤を用い、前記パッケージ材の前記第1及び第2の電極ランドに接合することにより、前記第1及び第2の導電性接着剤層により前記水晶振動子を前記パッケージ材の前記水晶振動子搭載面に一方の前記短辺側において前記水晶振動子を片持ち梁で支持するように実装する工程とを備え、
前記第1及び第2の電極ランドが、前記幅方向内側の部分に比べ、前記幅方向外側の部分において厚くされている部分を有し、
前記パッケージ材の前記第1,第2の電極ランドと、前記水晶基板とを接合するに際し、平面視した場合、前記水晶基板を透視した領域内において、前記第1及び第2の電極ランドの前記幅方向内側の部分と前記幅方向外側の部分に至るように、かつ前記第1及び第2の導電性接着剤層が、2つの円または楕円が部分的に重なり合っている平面形状を有するように、それぞれ、2箇所に導電性接着剤を付与する、水晶振動装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ材の水晶振動子搭載面に片持ち梁で水晶振動子が支持されている構造を有する水晶振動装置に関する。より詳細には、本発明は、水晶振動子がパッケージ材に導電性接着剤を用いて接合されている水晶振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型電子機器に、水晶振動装置が広く用いられている。例えば下記の特許文献1には、パッケージ内に水晶振動子が片持ち梁で支持されている水晶振動装置が開示されている。ここでは、パッケージは、上方に開いた開口を有する容器本体を備える。容器本体の開口が、カバーにより閉成されている。それによって内部が中空とされている。容器本体の内底面上に、導電性接着剤を用いて水晶振動子が接合され、片持ち梁で支持されている。特許文献1では、容器本体の内底面に第1及び第2の取り付け電極が設けられている。他方、水晶振動子の下面には、第1,第2の引き出し電極が設けられている。第1,第2の引き出し電極は第1,第2の励振電極に電気的に接続されている。そして、第1,第2の引き出し電極が、導電性接着剤により第1,第2の取り付け電極にそれぞれ接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−109538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような従来の水晶振動装置では、誤って落下し、衝撃が加わった場合に振動周波数が変化するという問題があった。また、電気的及び機械的接合部分が破断することもあった。すなわち、水晶振動子の引き出し電極と導電性接着剤との間の接合部、あるいは導電性接着剤と取り付け電極との間の接合部において破断するおそれがあった。
【0005】
特に、特許文献1に記載の水晶振動装置では、水晶振動子が片持ち梁で支持されている。従って、導電性接着剤で固定されている側とは反対側の端部が自由端である。そのため、落下衝撃などが加わると、自由端が振動し、導電性接着剤を用いた接合部側に大きな応力が加わることがあった。よって、落下衝撃が加わった場合、上記のように振動周波数が大きく変化するおそれがあった。
【0006】
上記のような衝撃による特性の変動や接合部の破断を防止するために、導電性接着剤による接合面積を大きくすることが考えられる。しかしながら、導電性接着剤による接合面積を単純に大きくすると、水晶振動子における振動が阻害され、クリスタルインピーダンスが上昇することとなる。
【0007】
本発明の目的は、クリスタルインピーダンスの増大を招くことなく、落下衝撃などによる振動周波数の変化や電気的及び機械的接続部分の破断等を抑制し得る、水晶振動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある広い局面によれば、水晶振動子搭載面を有するパッケージ材と、前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に設けられている第1及び第2の電極ランドと、前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に片持ち梁で支持されている水晶振動子と、前記水晶振動子を前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に設けられている第1及び第2の電極ランドにそれぞれ電気的に接続しかつ機械的に接合している第1及び第2の導電性接着剤層とを備え、前記水晶振動子が、水晶基板と、前記水晶基板に設けられた第1及び第2の振動電極と、前記第1及び第2の振動電極にそれぞれ連ねられている第1及び第2の引き出し電極とを有し、前記第1及び第2の引き出し電極が、前記第1及び第2の導電性接着剤層により、前記第1及び第2の電極ランドにそれぞれ電気的にかつ機械的に接続されており、前記第1及び第2の導電性接着剤層が、それぞれ、平面視した場合、2つの円または楕円が部分的に重なり合っている平面形状を有する、水晶振動装置が提供される。
【0009】
本発明の他の広い局面によれば、水晶振動子搭載面を有するパッケージ材と、前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に設けられている第1及び第2の電極ランドと、前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に片持ち梁で支持されている水晶振動子と、前記水晶振動子を前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に設けられている第1及び第2の電極ランドにそれぞれ電気的に接続しかつ機械的に接合している第1及び第2の導電性接着剤層とを備え、前記水晶振動子が、水晶基板と、前記水晶基板に設けられた第1及び第2の振動電極と、前記第1及び第2の振動電極にそれぞれ連ねられている第1及び第2の引き出し電極とを有し、前記第1及び第2の引き出し電極が、前記第1及び第2の導電性接着剤層により、前記第1及び第2の電極ランドにそれぞれ、電気的にかつ機械的に接続されており、前記第1及び第2の導電性接着剤層が、それぞれ、互いに隔てられた2つの導電性接着剤層部分を有する、水晶振動装置が提供される。
【0010】
本発明の別の広い局面によれば、水晶振動子搭載面を有するパッケージ材と、前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に設けられている第1及び第2の電極ランドと、前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に片持ち梁で支持されている水晶振動子と、前記水晶振動子を前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に設けられている第1及び第2の電極ランドにそれぞれ電気的に接続しかつ機械的に接合している第1及び第2の導電性接着剤層とを備え、前記水晶振動子が、水晶基板と、前記水晶基板に設けられた第1及び第2の振動電極と、前記第1及び第2の振動電極にそれぞれ連ねられている第1及び第2の引き出し電極とを有し、前記第1及び第2の引き出し電極が、前記第1及び第2の導電性接着剤層により、前記第1及び第2の電極ランドにそれぞれ電気的にかつ機械的に接続されており、前記第1及び第2の導電性接着剤層が、長さ方向を有し、長さ方向最大寸法と、長さ方向最大寸法と直交する幅方向の最大寸法との比であるアスペクト比が1.5以上、3.0以下である、水晶振動装置が提供される。
【0011】
本発明に係る水晶振動装置のある特定の局面では、前記水晶振動子の前記水晶基板が一対の長辺及び一対の短辺を有する矩形板状の形状を有し、該短辺の延びる方向が幅方向であり、一方の短辺側において水晶振動子が第1及び第2の導電性接着剤層により片持ち梁で支持されている。
【0012】
本発明に係る水晶振動装置の他の特定の局面では、前記第1及び第2の導電性接着剤層の重心が、該第1及び第2の導電性接着剤層の中心よりも、幅方向外側に位置している。
【0013】
本発明に係る水晶振動装置のさらに他の特定の局面では、前記第1及び第2の導電性接着剤層の平面形状が、前記幅方向において内側から外側に向かうにつれて、前記短辺から前記水晶基板中心側に近づく形状とされている。
【0014】
本発明に係る水晶振動装置のさらに別の特定の局面では、前記第1及び第2の電極ランドの厚みが、前記幅方向内側に比べ、前記幅方向外側において厚くされている。
【0015】
本発明に係る水晶振動装置のさらに別の特定の局面では、前記第1及び第2の導電性接着剤層の一部が、水晶基板の表面と直接接合されている。
【0016】
本発明に係る水晶振動装置のさらに他の特定の局面では、前記第1及び第2の導電性接着剤層が、エポキシ樹脂と、導電性材料とを含む。
【0017】
本発明に係る製造方法は、以下の工程を有する。
【0018】
水晶振動子搭載面に第1及び第2の電極ランドが形成されているパッケージ材を用意する工程。
【0019】
水晶基板と、該水晶基板に設けられた第1及び第2の振動電極と、第1及び第2の振動電極に連ねられている第1及び第2の引き出し電極とを有し、第1及び第2の引き出し電極が、水晶基板の下面に至っている部分を有する水晶振動子を用意する工程。
【0020】
前記水晶振動子の第1及び第2の引き出し電極の前記水晶基板の下面に位置している部分を第1及び第2の導電性接着剤を用い、前記パッケージ材の第1及び第2の電極ランドに接合することにより、第1及び第2の導電性接着剤層により水晶振動子を前記パッケージ材の水晶振動子搭載面に実装する工程。
【0021】
本発明の製造方法では、前記パッケージ材の第1及び第2の電極ランドと水晶基板を接合するに際し、第1及び第2の導電性接着剤層が構成される部分において、それぞれ、2箇所に導電性接着剤を付与する。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る水晶振動装置では、第1及び第2の導電性接着剤層が上記のように構成されているため、落下衝撃等が加わった場合においても、振動周波数の変化が生じ難く、かつ電気的及び機械的接合部分の破断が生じ難い。従って、導電性接着剤層による接合面積を大きくすることにより耐衝撃性を高め得る。加えて、本発明では、振動領域を回避するように接合領域を規定するため、クリスタルインピーダンスの上昇も招き難い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る水晶振動装置の分解斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る水晶振動装置において、水晶振動子の下面の電極形状と、第1及び第2の導電性接着剤層との位置関係を上方から水晶基板を透視して示す模式的平面図である。
図3図3は、第1の実施形態の水晶振動装置において、第1の導電性接着剤層による接合部分を説明するための模式的部分切欠断面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態の変形例における水晶振動子を示す斜視図である。
図5図5は、図4に示した変形例の水晶振動子を用いた水晶振動装置において、第1の導電性接着剤層よる接合部分を説明するための模式的部分切欠断面図である。
図6図6は、本発明の第3の実施形態の水晶振動装置に用いられている水晶振動子の下面の電極構造と、第1及び第2の導電性接着剤層との位置関係を上方から水晶基板を透視して示す模式的平面図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、本発明の第2の実施形態に係る水晶振動装置における水晶振動子の下面の電極形状及び導電性接着剤層との位置関係を上方から水晶基板を透視して示す模式的平面図及び導電性接着剤層のアスペクト比を説明するための模式図である。
図8図8は、本発明の第3の実施形態の水晶振動装置に用いられている水晶振動子の下面の電極構造と、第1及び第2の導電性接着剤層との位置関係を上方から水晶基板を透視して示す模式的平面図である。
図9図9は、本発明の第4の実施形態の水晶振動装置に用いられている水晶振動子の下面の電極構造と、第1及び第2の導電性接着剤層との位置関係を上方から水晶基板を透視して示す模式的平面図である。
図10図10は、本発明の第5の実施形態の水晶振動装置に用いられている水晶振動子の下面の電極構造と、第1及び第2の導電性接着剤層との位置関係を上方から水晶基板を透視して示す模式的平面図である。
図11図11は、本発明の第6の実施形態の水晶振動装置に用いられている水晶振動子の下面の電極構造と、第1及び第2の導電性接着剤層との位置関係を上方から水晶基板を透視して示す模式的平面図である。
図12図12は、本発明の第7の実施形態の水晶振動装置に用いられている水晶振動子の下面の電極構造と、第1及び第2の導電性接着剤層との位置関係を上方から水晶基板を透視して示す模式的平面図である。
図13図13は、水晶振動子の搭載構造の変形例を説明するための、水晶振動子の下面の電極構造と、第1及び第2の導電性接着剤層との位置関係を上方から水晶基板を透視して示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0025】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る水晶振動装置の分解斜視図である。
【0026】
水晶振動装置1は、パッケージ材としてのケース基板2を有する。ケース基板2の上面が、後述する水晶振動子の水晶振動子搭載面である。ケース基板2は、本実施形態では、アルミナなどの絶縁性セラミックスあるいは合成樹脂などの適宜の絶縁性材料からなる。ケース基板2の水晶振動子搭載面2a上に、第1,第2の電極ランド3,4が形成されている。第1,第2の電極ランド3,4は、Au,Ag,Cu,Al,Niなどの適宜の金属もしくは合金からなる。
【0027】
ケース基板2上に、第1及び第2の導電性接着剤層5,6により水晶振動子7が片持ち梁で支持されている。水晶振動子7は、キャップ材8により囲繞され、パッケージに収納されている。キャップ材8は、金属からなる。もっとも、金属以外の適宜の材料によりキャップ材8を構成し得る。キャップ材8は下方に開いた開口を有する。この開口の端縁が、ケース基板2の水晶振動子搭載面2aに絶縁性接着剤などにより接合される。それによって、内部が中空構造とされているパッケージが構成される。
【0028】
上記水晶振動子7は、水晶基板9を有する。水晶基板9は、矩形板状の形状を有する。すなわち、上面が一対の長辺と一対の短辺とを有する。この長辺の延びる方向を長さ方向とする。水晶振動子7は、一方の短辺近傍において、第1及び第2の導電性接着剤層5,6により片持ち梁で支持されている。すなわち、水晶振動子7は、一方の上記短辺側で支持されており、他方の上記短辺側が自由端とされている。
【0029】
第1,第2の導電性接着剤層5,6は、適宜の合成樹脂に適宜の導電性材料を分散させてなる導電性接着剤を用いて形成することができる。好ましくは、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂に導電性材料が分散されてなるエポキシ樹脂系導電性接着剤を用いることが望ましい。その場合には、接合強度をより一層十分に高めることができる。
【0030】
水晶基板9の上面には、第1の振動電極10が形成されている。水晶基板9の下面には、図2に示す第2の振動電極11が形成されている。第1,第2の振動電極10,11は水晶基板9を介して重なり合うように設けられている。また、第1,第2の振動電極10,11は、水晶基板9の上面及び下面において部分的に形成されている。
【0031】
第1の振動電極10には、第1の引き出し電極12が連ねられている。第1の引き出し電極12は、水晶基板9の上面から一方の短辺側の側面及び一方の長辺側の側面を経て下面に至っている。すなわち、図2に示す引き出し電極部分12aが水晶基板9の下面に位置している。
【0032】
他方、第2の振動電極11には、第2の引き出し電極13が連ねられている。第2の引き出し電極13は、水晶基板9の一方の上記短辺側に引き出し電極部分13aを有する。引き出し電極部分12aと引き出し電極部分13aとは、水晶基板9の下面において、上記幅方向両側に位置している。この引き出し電極部分12a,13aが、導電性接着剤層5,6によりそれぞれ接合される部分に相当する。
【0033】
図1に示すように、水晶振動子7は、ケース基板2の水晶振動子搭載面2a上に実装されるが、ケース基板2もまた、矩形の平面形状を有する。そして、水晶基板9における上記幅方向が、ケース基板2においても幅方向となるように水晶振動子7がケース基板2上に実装される。
【0034】
ケース基板2の水晶振動子搭載面2aにおいて、第1の電極ランド3は、厚みが相対的に厚い電極ランド部3aと、厚みが相対的に薄い電極ランド部3bとを有する。電極ランド部3aと電極ランド部3bとは、上記幅方向に連ねられており、電極ランド部3aが幅方向外側に位置している。同様に、第2の電極ランド4も、相対的に厚みの厚い電極ランド部4aと、相対的に厚みの薄い電極ランド部4bとを有する。電極ランド部4aが電極ランド部4bよりも幅方向外側に位置している。
【0035】
上記電極ランド部3a,3b,4a,4bは、例えば以下の方法により形成することができる。まず、電極ランド部3a,3b、4a、4bに相当する部分において、導電ペーストを印刷し、仮硬化させる。次に、電極ランド部3a、4aに相当する部分において、導電ペーストを再度印刷し、仮硬化させる。しかる後、電極ランド部3a,3b、4a,4b上の全ての導電ペーストを硬化させる。
【0036】
第1の導電性接着剤層5は、導電性接着剤層部5a,5bを有する。ここで、導電性接着剤層部5aが上記幅方向外側に位置し、導電性接着剤層部5bが幅方向内側に位置している。
【0037】
導電性接着剤層部5aは、上記電極ランド3の電極ランド部3aを引き出し電極12の引き出し電極部分12aに接合している。導電性接着剤層部5bは、引き出し電極部分12aを上記電極ランド部3bに接続している。すなわち、図3に示すように、ケース基板2の幅方向外側に位置している電極ランド部3aが、導電性接着剤層部5aにより引き出し電極部分12aに接合されている。
【0038】
上記電極ランド3,4、第1,第2の振動電極10,11及び第1,第2の引き出し電極12,13は、Au,Ag,Cu,Al,Niなどの適宜の金属又は合金からなる。
【0039】
本実施形態では、水晶振動子7は、第1及び第2の導電性接着剤層5,6によりケース基板2に機械的に接合されている。また、水晶振動子7は、第1,第2の導電性接着剤層5,6により電極ランド3,4に電気的に接続されている。
【0040】
ところで、本実施形態では、第1の導電性接着剤層5が、導電性接着剤層部5a,5bを有する。また、第2の導電性接着剤層6が、導電性接着剤層部6a,6bを有する。従って、水晶振動子7は、4箇所の電極ランド部3a,3b,4a,4bそれぞれと導電性接着剤層部5a,5b,6a,6bとでケース基板2に接合されている。前述した先行技術では、水晶振動子が2か所の導電性接着剤層によりケース基板に接合されていた。これに対して、本実施形態では、上記先行技術に比べ、導電性接着剤層の形成面積を大きくすることができ、接合部分に応力が加わったとしても、該応力が分散される。そのため、耐衝撃性が効果的に高められている。よって、落下衝撃などが加わった場合、片持ち梁で支持されている水晶振動子7の自由端が揺動したとしても、接合部分が劣化し難い。そのため、振動周波数の変化が生じ難い。
【0041】
また、耐衝撃性が高められているため、導電性接着剤層5,6による接着面積を大きくする必要がない。従って、クリスタルインピーダンスの上昇も招き難い。
【0042】
なお、本実施形態では、第1及び第2の電極ランド3,4において、幅方向外側の電極ランド部3a,4aの厚みが、幅方向内側に位置してる電極ランド部3b,4bの厚みよりも厚くされている。そのため、水晶振動子7の水晶基板9がベベル加工されている場合でも、上記電極ランド3,4に第1,第2の導電性接着剤層5,6により水晶振動子7を強固に接合することができる。この水晶基板9がべベル加工されている水晶振動子7Aを用いた変形例を図4図6を参照して説明する。
【0043】
図4は、本変形例の水晶振動子7Aを示す斜視図である。水晶振動子7では、水晶基板9がべベル加工されている。従って、水晶基板9では、長さ方向において中央部から長さ方向端部にいくにつれて、厚みが薄くなっている。また、幅方向においても、中央から幅方向端部に向かうにつれて、厚みが薄くなっている。
【0044】
なお、水晶基板9がべベル加工されていることを除いては、水晶振動子7Aは水晶振動子7と同様とされている。
【0045】
図5は、この水晶振動子7Aが用いられている変形例の水晶振動装置において、第1の導電性接着剤層による接合部分を説明するための模式的部分切欠断面図である。すなわち、図5は、第1の実施形態において示した図3に相当する図である。
【0046】
ここでは、電極ランド部3aが、電極ランド部3bより厚みが厚くなっている。そして、導電ペーストの塗布及び硬化により形成された電極ランド部3aから、電極ランド部3bに向って、上面が曲線的に変化している。
【0047】
他方、導電性接着材層5a,6aの厚みよりも、幅方向内側に積層している導電性接着剤層5b,6bの厚みが厚くされている。導電性接着剤層部5a,5bは、本変形例では、水晶振動子7Aを接合する際の力により拡がり、両者が合体している。このように、導電性接着剤層5a,5bは両者が接触し一体化されていてもよい。図6は、本変形例の水晶振動装置における水晶振動子の下面の電極形状と、導電性接着剤層との位置関係及び平面形状を上方から透視して示す模式的平面図である。上述したように、導電性接着剤層5aと導電性接着剤層5bとは一体化していたが、導電性接着剤層6aと導電性接着剤層6bも同様に合体し、一体化している。
【0048】
もっとも、図6に示す平面形状から明らかなように、本変形例では、相対的に大きな面積の導電性接着剤層5a,6aと、相対的に小さな面積の導電性接着剤層5b,6bとの間において、若干幅が小さくなるネック部分が生じている。このように、導電性接着剤層5aと導電性接着剤層5bとは連なった形状において、両者が連なる部分に幅が細くなる部分が設けられていてもよい。
【0049】
本変形例の水晶振動装置では、上記のようにべベル加工が施された水晶振動子7Aが用いられている。この場合、水晶振動子7Aの幅方向中央と両側の厚みの差を、上記電極ランド3,4における電極ランド部3a,4aと電極ランド部3b,4bの厚みの差、並びに導電性接着剤層5a,6aと導電性接着剤層5b,6bとの厚みの差により吸収することができる。従って、接合強度を効果的により一層高めることができる。
【0050】
もっとも、本発明においては、第1及び第2の電極ランドは、厚みが一様であってもよい。
【0051】
図7(a)及び(b)は、本発明の第2の実施形態に係る水晶振動装置における水晶振動子の下面の電極形状と、下方に位置している導電性接着剤層との位置関係を上方から水晶基板を透視して示す模式的平面図及び導電性接着剤層のアスペクト比を説明するための模式図である。
【0052】
なお、以下の第2〜第7の実施形態では、いずれも、水晶振動子の下面の電極形状と、導電性接着剤層との位置関係及び導電性接着剤層の平面形状以外については、第1の実施形態と同様である。従って、第2の実施形態〜第7の実施形態では、第1の実施形態と同一構造の部分については説明を省略することとする。
【0053】
図7(a)に示すように、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、水晶基板9の下面に引き出し電極部分12a,13aが位置している。第1の実施形態と異なるところは、第1の導電性接着剤層5及び第2の導電性接着剤層6が、それぞれ、平面形状がアスペクト比1.5以上、3.0以下の形状を有することにある。すなわち、第1の導電性接着剤層5は、第2の実施形態では、長さ方向を有する長楕円形状とされている。ここで、長さ方向に沿う最大寸法をL、該最大寸法Lに直交する幅方向の最大寸法をWとする。アスペクト比はL/Wで表される。なお、第2の実施形態では、第1の導電性接着剤5は長楕円形状とされていたが、他の長さ方向を有する形状であってもよい。
【0054】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり、第1の導電性接着剤層5及び第2の導電性接着剤層6は、それぞれ、単一の導電性接着剤層である。従って、水晶基板9は、2箇所でケース基板2に接合されることになる。その場合であっても、第1の導電性接着剤層5及び第2の導電性接着剤層6のアスペクト比が上記特定の範囲とされているため、耐衝撃性を効果的に高めることができる。すなわち、上記アスペクト比が1.5以上である第1,第2の導電性接着剤層5,6は、その長さ方向が、水晶基板9の上記幅方向に沿っている。そのため、第1,第2の導電性接着剤層5,6により、水晶基板9がケース基板2に強固に接合される。アスペクト比が3.0以下であって、水晶基板9の長さ方向に沿う接着剤層の寸法が十分となり、やはり接合強度を効果的に高め得る。従って、上記アスペクト比は、好ましくは1.5以上、3.0以下である。
【0055】
上記のようにアスペクト比が1.5以上の第1及び第2の導電性接着剤層5,6を用いることにより、接合強度が十分に高められ、耐衝撃性が高められる。従って、第2の実施形態においても、落下衝撃が加わった場合に、振動周波数の変化が生じ難い。また、接合強度を高め得るため、接合面積を大きくする必要がなく、従ってクリスタルインピーダンスの上昇も招き難い。
【0056】
図8は、本発明の第3の実施形態の水晶振動装置における水晶基板の下面の電極形状と、第1及び第2の導電性接着剤層との位置関係を上方から水晶基板を透視して示す模式的平面図である。
【0057】
図8に示すように、第3の実施形態では、導電性接着剤層5,6は、平面視した場合、2つの円が部分的に重なり合っている平面形状を有する。第3の実施形態では、2つの円の中心が上記水晶基板9の幅方向において異なる位置となるように、2つの円が部分的に重なり合っている。もっとも、2つの円の重なり合う形態はこれに限定されるものではない。
【0058】
また、2つの円に限らず、2つの楕円が部分的に重なり合っている平面形状を有していてもよい。
【0059】
第3の実施形態のように、第1の導電性接着剤層5及び第2の導電性接着剤層6が、平面視した場合、2つの円または楕円が部分的に重なり合っている平面形状としてもよい。その場合においても、第1及び第2の導電性接着剤層5,6による接合強度を効果的に高めることができる。よって、耐衝撃性を高めることができ、落下衝撃が加わったとしても、振動周波数の変化が生じ難い。また、接合強度を高め得るため、本実施形態においても、接合面積を大きくする必要がない。よって、クリスタルインピーダンスの上昇を招き難い。
【0060】
図9図12は、本発明の第4〜第7の実施形態における水晶基板の下面の引き出し電極部と第1及び第2の導電性接着剤層との位置関係を上方から水晶基板を透視して模式的に示す各平面図である。
【0061】
図9に示す第4の実施形態では、第1及び第2の導電性接着剤層5,6の平面上の重心Gが、第1,第2の導電性接着剤層5,6の中心Oよりも幅方向外側に位置している。なお、中心Oとは幅方向及び長さ方向における中心をいうものとする。この場合には、幅方向中心側、すなわち振動が強く伝搬する側において、第1及び第2の導電性接着剤層5,6の付着量が少なくされている。従って、クリスタルインピーダンスをより小さくすることができる。
【0062】
また、第4の実施形態では、第1及び第2の導電性接着剤層5,6は、第2の実施形態と同様に、平面視した場合アスペクト比が1.5以上の形状を有する。従って、第2の実施形態と同様に、接合強度を高めることができる。
【0063】
図10に示す第5の実施形態においても、第1及び第2の導電性接着剤層5,6は、その重心Gが中心Oに比べて幅方向外側に位置している。従って、第4の実施形態と同様に、クリスタルインピーダンスをより小さくすることができる。
【0064】
上記第4及び第5の実施形態から明らかなように、第1,第2の導電性接着剤層5,6は、その重心Gが中心Oに比べて幅方向外側に位置していることが好ましい。このような構成は、前述した第1の実施形態の導電性接着剤層5,6においても適用され得る。もっとも、図1及び図2に示した例えば導電性接着剤層5では、導電性接着剤層5aと導電性接着剤層5bとが幅方向において隔てられている。この場合には、導電性接着剤層5aと導電性接着剤層5bが設けられている部分において、導電性接着剤層5aと導電性接着剤層5bを包接する図形を基にして重心と中心を上記重心Gと上記中心Oとすればよい。包接する図形とは、例えば図2において、導電性接着剤層5aの水晶基板9の長さ方向両端と、導電性接着剤層5bの上記長さ方向両端とを結ぶ各線と、導電性接着剤層5a及び5bの上記各線よりも外側の部分の外周縁を示す曲線とで構成される図形である。
【0065】
なお、第5の実施形態においても、第3の実施形態と同様に、第1及び第2の導電性接着剤層5,6は、平面視した場合2つの円が部分的に重なり合っている平面形状を有している。よって、第5の実施形態においても、接合強度を高めることができ、耐衝撃性を高めることができる。従って、落下衝撃などが加わったとしても、振動特性が劣化し難い。
【0066】
図11に示す第6の実施形態では、第1及び第2の導電性接着剤層5,6は、第2の実施形態と同様にアスペクト比が1.5以上、3.0以下の範囲にある。従って、第2の実施形態と同様に接合強度を高めることができるので、落下衝撃等が加わったとしても、振動特性の劣化が生じ難い。
【0067】
さらに、第6の実施形態では、第1,第2の導電性接着剤層5,6は楕円形状を有しているが、幅方向において、内側から外側に向かうにつれて、水晶振動子7が支持されている短辺から水晶基板9の中心側に近づく形状とされている。従って、上記水晶振動子7が支持されている短辺側が幅方向中心、すなわち振動が強く伝わる中央に近い部分において、接着剤付着量を相対的に少なくすることができる。よって、クリスタルインピーダンスを効果的に小さくでき、振動特性を高めることができる。
【0068】
図12に示す第7の実施形態においても、図11に示した第6の実施形態と同様に、第1及び第2の導電性接着剤層5,6が、上記幅方向中心から外側に向かうにつれ、上記短辺から遠ざかっている。従って、本実施形態においても、クリスタルインピーダンスを効果的に高めることができ、振動特性を高めることができる。
【0069】
なお、第7の実施形態においても、導電性接着剤層5,6は、平面視した場合、2つの円が部分的に重なり合っている形状を有する。従って、上記第3の実施形態と同様に、接合強度を高めることができる。よって、耐衝撃性が高められるため、落下衝撃等が加わったとしても、振動特性が劣化し難い。
【0070】
上記第1〜第7の実施形態に係る水晶振動装置においては、第1の導電性接着剤層5及び第2の導電性接着剤層6が上記のように構成されているため、落下衝撃等が加わったとしても、振動周波数が変化し難い。また、接着面積を大きくする必要がないため、クリスタルインピーダンスの上昇も招き難い。このような水晶振動装置は、様々な方法により製造され得る。製造方法の一例としての実施形態を以下に説明する。
【0071】
まず、水晶振動子搭載面に第1及び第2の電極ランド3,4が形成されているケース基板2のようなパッケージ材を用意する。他方、上記水晶基板9と、水晶基板9に設けられている第1及び第2の振動電極10,11と、第1及び第2の引き出し電極12,13とを有する水晶振動子7を用意する。
【0072】
そして、水晶振動子7の引き出し電極部分12a,13aを、第1及び第2の導電性接着剤層5,6を用い、ケース基板2の第1及び第2の電極ランド3,4に接合する。それによって、第1及び第2の導電性接着剤層5,6により水晶振動子7をケース基板2の水晶振動子搭載面に実装する。
【0073】
特に、第1及び第2の導電性接着剤層5,6が構成される各部分において、それぞれ2箇所に導電性接着剤を付与することが望ましい。それによって、上記のように、平面視した場合2つの円または楕円が部分的に重なり合っている平面形状の第1及び第2の導電性接着剤層を容易に形成することができる。この場合には、2箇所に導電性接着剤を付与するにあたり、その距離を近づけることにより、2つの円または楕円が部分的に重なり合っている平面形状を容易に形成することができる。
【0074】
あるいは、2箇所に導電性接着剤を付与するにあたりその距離を隔てれば、上記のように第1及び第2の導電性接着剤層5,6が互いに隔てられた2つの導電性接着剤層部5a,5b,6a,6bを有するように形成することもできる。
【0075】
さらに、上記2箇所に導電性接着剤を付与するに際し、その2箇所の距離を調整することにより、アスペクト比が1.5以上、3.0以下である平面形状の第1及び第2の導電性接着剤層も容易に形成することができる。
【0076】
なお、本発明に係る水晶振動装置は、上記ケース基板2に限らず、様々な形状のパッケージ材を有する水晶振動装置に適用することができる。例えば、上方に開いた開口を有するパッケージ材の内底面を水晶振動子搭載面とし、該パッケージ材と蓋材とによりパッケージを構成してもよい。
【0077】
また、上述してきた実施例では、第1及び第2の導電性接着剤層を覆うように、水晶振動子を搭載しているが、これに限らない。図13に示すように、水晶振動子7の端部から第1及び第2の導電性接着剤層5,6の一部がはみ出るように水晶振動子7を搭載してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…水晶振動装置
2…ケース基板
2a…水晶振動子搭載面
3,4…第1,第2の電極ランド
3a,3b,4a,4b…電極ランド部
5,6…第1,第2の導電性接着剤層
5a,5b,6a,6b…導電性接着剤層部
7,7A…水晶振動子
8…キャップ材
9…水晶基板
10,11…第1,第2の振動電極
12,13…第1,第2の引き出し電極
12a,12b,13a,13b…引き出し電極部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13