(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料が噴射される噴孔(23)、この噴孔に連通する燃料通路(17、19)、及び前記燃料通路の内壁に形成された弁座(24)を有するハウジング(10、11、12、13、15、20)と、
前記ハウジング内に軸方向に往復移動可能に設けられ、前記弁座に着座又は離座することで前記噴孔を開閉するニードル弁(30)と、
通電により磁界を発生するコイル(40)と、
前記ハウジング内で前記コイルの発生する磁界内に固定される固定コア(50)と、
前記固定コアの前記噴孔側で軸方向へ往復移動可能に設けられ、前記ニードル弁に当接可能な可動コア(60)と、
前記ニードル弁を前記噴孔側へ付勢する第1スプリング(70)と、
前記第1スプリングよりも小さい力で前記可動コアを前記固定コア側へ付勢する第2スプリング(72)と、
前記可動コアの前記噴孔側に設けられ、前記可動コアの前記噴孔側の端面と当接することにより前記可動コアの前記噴孔側への移動を規制するストッパ(80)と、を備え、
前記ストッパは、前記可動コアと当接する面とは反対側の面が、燃料に満たされる空間に露出していることを特徴とする燃料噴射弁(1)。
前記コイルに通電されていないとき、前記ニードル弁は前記第1スプリングの付勢力により前記弁座に着座し、前記可動コアは前記第2スプリングの付勢力により前記ニードル弁の前記噴孔側の面に当接し、前記ストッパと前記可動コアとの間に隙間(91)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
前記コイルに通電されていないときに前記ストッパと前記可動コアとの間に設けられる前記隙間は、前記コイルへ通電している状態から非通電の状態へ切り替えたときに前記ニードル弁と共に前記噴孔側へ移動する前記可動コアが慣性移動により前記ストッパに当接した後、前記可動コアが跳ね返ることによって前記ニードル弁に当接し前記ニードル弁を二次開弁させない程度の距離に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射弁。
前記可動コアは、前記可動コアの前記固定コア側の隙間(90)と、前記ストッパの径内方向の内壁と前記ニードル弁との間に設けられる下流通路(19)とを連通する連通孔(62)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
前記ニードル弁は、軸中心を通る内側通路(36)、およびこの内側通路の内壁と前記ニードル弁の外壁とを径方向に通じる流出口(32)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明による複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料噴射弁を
図1〜
図6に示す。燃料噴射弁1は、燃料タンクから高圧ポンプによって加圧圧送され、デリバリパイプに蓄圧された燃料を内燃機関に噴射供給する。
図1および
図2に示すように、燃料噴射弁1は、ハウジング10、ニードル弁30、コイル40、固定コア50、可動コア60およびストッパ80等を備えている。
ハウジング10は、筒部材11、非磁性部12、ホルダ13、入口部材15及びノズルボディ20から構成される。本実施形態のハウジング10が特許請求の範囲に記載の「ハウジング」に相当する。
【0008】
筒部材11、非磁性部12及びホルダ13は、略円筒状に形成され、燃料入口14側からこの順に接続している。筒部材11とホルダ13は磁性体である。非磁性部12は非磁性体であり、筒部材11とホルダ13との間の磁気的な短絡を防止する。
筒部材11の非磁性部12と反対側の端部に、燃料入口14を形成する筒状の入口部材15が接合している。入口部材15の径内側には、フィルタ16が設けられている。燃料入口14から流入した燃料は、フィルタ16によって燃料の中の異物が捕獲され、ハウジング10の内側に形成される上流通路17に流入する。
【0009】
ハウジング10は、ホルダ13の非磁性部12と反対側の端部にノズルボディ20を有している。ノズルボディ20は、有底筒状に形成され、底部21および筒部22を有する。筒部22は、ホルダ13の内側に接合している。底部21には、噴孔23が形成されている。また、底部21の内壁には、凹テーパ状の弁座24が形成されている。
【0010】
ニードル弁30は、円柱状に形成され、ハウジング10内に軸方向へ往復移動可能に収容されている。
ニードル弁30は、燃料入口14側の端部から径外方向に環状に延びるフランジ31を有している。フランジ31は、可動コア60の燃料入口14側の端面に当接可能である。
ニードル弁30とホルダ13との間には、下流通路19が形成される。なお、上流通路17と下流通路19とが特許請求の範囲に記載の「燃料通路」に相当する。
ニードル弁30は、フランジ31側に、軸中心を通る内側通路36を有する。ニードル弁30は、内側通路36の内壁とニードル弁30の外壁とを径方向に通じる流出口32を有する。これにより、内側通路36は、流出口32を通じて上流通路17と下流通路19とを連通する。
【0011】
ニードル弁30の噴孔側の端部には、シート部33が形成されている。シート部33は、弁座24に当接可能である。ニードル弁30には、シート部33から軸方向に所定の距離離れた位置に摺動部34が形成されている。摺動部34は、ノズルボディ20の筒部22の内壁と摺動する。摺動部34の径外側の外壁一部に面取り部35が設けられる。この面取り部35と筒部22の内壁との間を燃料が流通可能である。
ニードル弁30は、シート部33が弁座24に着座することで噴孔23に通じる下流通路19を閉塞し、シート部33が弁座24から離座することで噴孔23に通じる下流通路19を開放する。
以下、ニードル弁30が弁座24から離座する方向を開弁方向といい、ニードル弁30が弁座24に着座する方向を閉弁方向という。
【0012】
燃料噴射弁1は、ニードル弁30を駆動する電磁駆動部を有している。電磁駆動部は、コイル40、固定コア50及び可動コア60等から構成される。
ハウジング10を構成する筒部材11及び非磁性部12の径外側にスプール41が設けられる。スプール41にコイル40が巻回されている。コイル40の外側を、磁性体からなる筒状のヨーク42が覆っている。コイル40は、コネクタ43の端子44と電気的に接続している。コネクタ43を通じてコイル40に通電されると、コイル40は磁界を生じる。
【0013】
固定コア50は、磁性体により略円筒状に形成され、ハウジング10の筒部材11と非磁性部12の径内側に固定されている。固定コア50には、その中心に軸方向に通じる孔51が設けられている。この孔51に、第1スプリング70が挿入されている。第1スプリング70は、一端がニードル弁30のフランジ31に当接し、他端が固定コア50の内側に圧入固定されたアジャスティングパイプ71に当接している。アジャスティングパイプ71の圧入量により、第1スプリング70の荷重が設定される。第1スプリング70は、ニードル弁30を噴孔側へ付勢している。
【0014】
可動コア60は、磁性体から略円筒状に形成され、ニードル弁30と別体で、固定コア50の噴孔側に設けられている。
可動コア60は、ハウジング10の内側に軸方向に往復移動可能に設けられている。コイル40に通電されていない状態で、可動コア60と固定コア50との間には、所定の隙間90が形成される。
可動コア60には、その中央部分に軸方向に通じる中央孔61が設けられている。この中央孔61にニードル弁30が挿通される。ニードル弁30は、可動コア60の径内側に位置する部分が可動コア60の中央孔61の内壁と摺動する。ニードル弁30は、ノズルボディ20側に設けられた摺動部34と、可動コア60の内側の摺動箇所との2か所で案内され、ハウジング10の内側を往復移動可能である。
【0015】
可動コア60は、固定コア50と可動コア60との隙間90と、可動コア60とストッパ80との隙間91とを連通する連通孔62を有している。連通孔62の個数、内径、位置などの設定により、可動コア60が軸方向に移動する速度を調節可能である。本実施形態では、連通孔62は、周方向に3個設けられている。
【0016】
第2スプリング72は、一端が可動コア60の噴孔側の凹み67に当接し、他端が筒部材11に形成された段差面73に当接している。第2スプリング72は、可動コア60を開弁方向に付勢している。コイル40に通電されないとき、第2スプリング72の付勢力によって、可動コア60の燃料入口側の端面と、ニードル弁30のフランジ31の噴孔側の端面とが当接する。このため、コイル40へ通電すると、可動コア60とニードル弁30とが同時に移動するので、開弁応答性が高くなる。
第1スプリング70の付勢力は、第2スプリング72の付勢力よりも大きく設定されている。したがって、コイル40に通電されないとき、ニードル弁30のシート部33は、弁座24に着座する。
【0017】
ストッパ80は、可動コア60の噴孔側に設けられている。ストッパ80は、非磁性体から形成され、円盤部81、および、この円盤部81の径内側から軸方向噴孔側へ筒状に延びる筒部82を有する。ストッパ80は、筒部82の外壁がホルダ13の内壁に圧入されている。なお、ストッパ80は、円盤部81をホルダ13の内壁に圧入する構成としてもよい。
ストッパ80の円盤部81は、可動コア60の噴孔側への移動を規制することで、可動コア60が噴孔側へ移動したときの第2スプリング72の縮小量を制限する。
図3では、可動コア60を破線で示している。
図2および
図3に示すように、円盤部81の可動コア側に設けられた第1当接面83の径方向の距離L1は、可動コア60の噴孔側に設けられた第2当接面66の径方向の距離L2よりも大きい。すなわち、ニードルの軸に垂直な仮想平面に第1当接面83と第2当接面66とを投影したとき、第1当接面83の内側に第2当接面が入る。これにより、第1当接面83と第2当接面66とが衝突する際のスクイズ力、および、第1当接面83と第2当接面66とが離れる際のリンキング力が大きくなる。なお、スクイズ力とは、当接面に挟まれる流体の力である。また、リンキング力とは、流体内において物体が離れることを妨げる力である。
【0018】
図2に示すように、ストッパ80の筒部82の内径D1は、第2スプリング72の傾きを抑制可能な程度に、第2スプリング72の外径D2よりも僅かに大きい。これにより、ストッパ80の筒部82の径内方向の内壁は、第2スプリング72を軸方向に案内することが可能である。このため、第2スプリング72の姿勢が保たれ、可動コア60を付勢する荷重が安定する。また、可動コア60の姿勢が保たれ、ホルダ13または非磁性部12と、可動コア60との意図しない摩擦力が生じることが防がれる。
【0019】
次に、燃料噴射弁1の動作について説明する。
燃料入口14から上流通路17に流入した燃料は、ニードル弁30の内側通路36、および下流通路19に充満する。
図2は、コイル40に通電されていない状態を示している。ニードル弁30は、第1スプリング70に付勢され、シート部33が弁座24に着座している。可動コア60は、第2スプリング72の付勢力により、ニードル弁30のフランジ31の噴孔側の端面に当接している。このとき、可動コア60とストッパ80との間に僅かな隙間91が形成される。なお、
図2及び
図4では、可動コア60とストッパ80との隙間91を誇張して記載しているが、この隙間91は例えば約30μm程度である。
【0020】
(開弁動作)
コイル40に通電されると、
図6の矢印Bに示すように、コイル40の発生する磁界により、固定コア50、筒部材11、ヨーク42、ホルダ13および可動コア60等から形成される磁気回路に磁束が流れる。ストッパ80は非磁性体であるので、ホルダ13からストッパ80に漏れる磁束が低減される。したがって、可動コア60と固定コア50との間の磁束密度が大きくなる。
【0021】
可動コア60と固定コア50との間に磁気吸引力が作用すると、
図4に示すように、可動コア60は、固定コア50に磁気吸引される。可動コア60と固定コア50とが当接するとき、可動コア60の連通孔62は、固定コア50によって塞がれる。フランジ31と可動コア60とが当接し、ニードル弁30は可動コア60と共に開弁方向へ移動する。したがって、シート部33が弁座24から離座し、噴孔23から燃料が噴射される。
【0022】
(閉弁動作)
コイル40への通電が停止されると、第1スプリング70の付勢力により、ニードル弁30は可動コア60と共に閉弁方向へ移動する。
図2に示すように、ニードル弁30のシート部33が弁座24に着座すると、燃料噴射が遮断される。
その後、可動コア60は慣性により閉弁方向へ移動し続ける。このとき、第2スプリング72の付勢力は可動コア60の移動速度を減速するように作用する。
図5に示すように、可動コア60がストッパ80に当接すると、可動コア60は開弁方向への移動が規制され、第2スプリング72は縮小量が制限される。
なお、可動コア60とストッパ80とが当接するとき、可動コア60の連通孔62は、ストッパ80によって塞がれる。ストッパ80の第1当接面83は、可動コア60の第2当接面66の全面に当接可能であるので、第1当接面83と第2当接面66とが衝突した時の面圧が小さい。さらに、第1当接面83と第2当接面66とが衝突する際のスクイズ力、および、第1当接面83と第2当接面66とが離れる際のリンキング力が大きい。これにより、可動コア60の動作速度を遅くするダンパ効果が生じる。したがって、可動コア60がストッパ80に衝突した後、再度固定コア側へ跳ね返る動作速度が遅くなる。
さらに、可動コア60とストッパ80との隙間91は、可動コアが固定コア側へ跳ね返るときに可動コア60とニードル弁30のフランジ31との衝突力を小さくし、ニードル弁30を二次開弁させない程度の距離に設定されている。
すなわち、ストッパ80によって第2スプリング72に蓄積される弾性力を小さくし、可動コア60が固定コア側へ跳ね返る動作速度を遅くし、可動コア60とストッパ80との隙間91を適切に設定することで、可動コア60とニードル弁30のフランジ31との衝突力が小さくなる。したがって、
図2に示すように、可動コア60とニードル弁30のフランジ31とが当接したとき、ニードル弁30は開弁方向へ移動することなく、二次開弁が防がれる。
【0023】
本実施形態では、以下の作用効果を奏する。
(1)本実施形態では、燃料噴射弁1の閉弁動作において、コイル40への通電をオンからオフに切り換えると、可動コア60は第1スプリング70の付勢力によりニードル弁30とともに噴孔側へ移動する。このとき、可動コア60は、ストッパ80により噴孔側への移動が規制されるので、噴孔側への大幅な移動が防がれる。このため、第2スプリング72の縮み量が小さくなり、第2スプリング72に蓄えられる付勢力が小さくなる。
また、ストッパ80の第1当接面83と可動コア60の第2当接面66とが衝突した時の面圧が小さい。さらに、その時に生じるスクイズ力、および、第1当接面83と第2当接面66とが離れる際のリンキング力が大きいので、可動コア60の動作速度を遅くするダンパ効果が生じる。これにより、可動コア60がストッパ80に衝突した後、再度固定コア側へ跳ね返る動作速度が遅くなるので、ニードル弁30と可動コア60との衝突力が小さくなる。
さらに、可動コア60とストッパ80との隙間91は、可動コア60が固定コア側へ跳ね返るときに可動コア60とニードル弁30のフランジ31との衝突力を小さくし、ニードル弁30を二次開弁させない程度の距離に設定されている。
したがって、燃料噴射弁1は、閉弁動作の際、再度噴孔23が開弁する二次開弁を抑制することができる。
さらに、第1当接面83と第2当接面66とが衝突した時の面圧が小さくなるので、ストッパ80および可動コア60の耐久性を高めることができる。
【0024】
(2)本実施形態では、可動コア60は、固定コア50と可動コア60との隙間90と、可動コア60とストッパ80との隙間91とを連通する連通孔62を有する。連通孔62の位置、内径、個数の設定により、可動コア60が軸方向に往復移動する速度を調節することが可能となる。このため、燃料噴射弁1は、二次開弁を抑制すると共に、コイル40への通電に対する開弁応答性および閉弁応答性を高めることができる。
【0025】
(3)本実施形態では、ストッパ80の筒部82は、径内方向の内壁により第2スプリング72を軸方向に案内する。これにより、第2スプリング72の姿勢が保たれることで、第2スプリング72が可動コア60を付勢する荷重が安定し、可動コア60の姿勢が保たれる。このため、可動コア60とハウジングの内壁とに意図しない摩擦力が生じることが防がれ、可動コア60の動作が良好に保たれる。したがって、燃料噴射弁1は、二次開弁を抑制すると共に、コイル40への通電に対する開弁応答性および閉弁応答性を高めることができる。
【0026】
(4)本実施形態では、ニードル弁30の内側通路36は、ストッパ80の径内側に設けられた流出口32を通じて、上流通路17と下流通路19とを連通する。これにより、可動コア60の連通孔62が固定コア50またはストッパ80によって塞がれても、ニードル弁30の内側通路36を通り、上流通路17と下流通路19とを燃料が流れる。
【0027】
(5)本実施形態では、ストッパ80は、非磁性体であるので、磁気抵抗が大きい。このため、コイル40への通電時に磁束がストッパ80に漏れることが防がれ、可動コア60と固定コア50との間の磁束密度が大きくなる。したがって、燃料噴射弁1の開弁応答性を高めることができる。
【0028】
(6)本実施形態では、ニードル弁30と可動コア60とが別体で構成されているので、ニードル弁30が弁座24に着座した時の衝突力が小さい。このため、ニードル弁30のバウンスが抑制され、二次噴射を防ぐことができる。また、ニードル弁30が弁座24に着座した時の作動音を小さくすることができる。
【0029】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による燃料噴射弁を
図7に示す。以下、複数の実施形態において上述した第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、ストッパ84が円盤部のみから構成されている。ストッパ84は、径外方向の外壁がホルダ13の内壁に圧入されている。また、ストッパ84の内径D3は、第2スプリング72の姿勢が傾いたときに接触しない程度に、第2スプリング72の外径D2よりも大きい。
第2実施形態では、ストッパ84の構成が簡素になるので、容易に製造することが可能となる。したがって、製造上のコストを低減することができる。
また、第2スプリング72とストッパ84との接触が防がれるので、第2スプリング72とストッパ84とに意図しない摩擦力が生じることを防ぐことができる。
【0030】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による燃料噴射弁を
図8に示す。第3実施形態では、ストッパ85とホルダ13とが一体で形成されている。
第3実施形態では、ホルダ13の段差面73と、ストッパ85の可動コア側の端面との距離Hを管理するのみで、ストッパ85を製造することが可能である。このため、製造時に寸法を管理する個所が少なくなる。したがって、可動コア60とストッパ85とのクリアランスを精密に形成することができる。
【0031】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による燃料噴射弁を
図9及び
図10に示す。
なお、
図10では、可動コア60とストッパ86との隙間91を視認しづらいが、実際には、上記第1〜第3実施形態と同様、コイル40に通電されていない状態で、隙間91は約30μm程度の距離に設定されている。また、
図10では、コイル、ヨークおよびスプールを省略している。
【0032】
第4実施形態では、ストッパ86がリング状に形成されている。具体的に、第4実施形態のストッパ86の内径D4は、第2実施形態のストッパ84の内径D3よりも大きい。そのため、ストッパ86の径内側の空間が広くなり、下流通路19を流れる燃料の圧力損失が小さくなる。
ストッパ86は、径外方向の外壁がホルダ13の内壁に圧入固定されている。また、ストッパ86は、噴孔側の端面が、ホルダ13の段差面131に当接している。
【0033】
可動コア60の連通孔62は、周方向に4個設けられている。なお、連通孔62の個数、内径等は任意に設定することが可能である。連通孔62は、一方が可動コア60と固定コア50との隙間90に連通し、他方が下流通路19に連通している。連通孔62は、可動コア60とストッパ86とが当接した状態で、ほぼ半分程度が下流通路19に開放する。
【0034】
第4実施形態では、ストッパ86が、単純なリング状であるので、その加工及びサイズの管理が極めて容易である。そして、ストッパ86の体格を小型化しているので、製造上のコストを低減し、燃料噴射弁の重量を軽くすることができる。
さらに、ストッパ86の内径を大きくし、その径内側の空間を広くすることで、下流通路19を流れる燃料の圧力損失を小さくすることができる。
【0035】
なお、第4実施形態においても、ニードル弁30の閉弁動作時にストッパ86が可動コア60の移動を規制することで、第2スプリング72の縮小量を制限することは、上記第1〜第3実施形態で述べたことと同じである。すなわち、ストッパ86と可動コア60とが当接したときに、第2スプリング72に蓄積される弾性力は小さいものとなる。
可動コア60とストッパ86との隙間91もまた、可動コア60が固定コア側へ跳ね返るときに可動コア60とニードル弁30のフランジ31との衝突力を小さくし、ニードル弁30を二次開弁させない程度の距離に設定されている。
したがって、燃料噴射弁は、閉弁動作の際、再度噴孔23が開弁する二次開弁を抑制することができる。
【0036】
(他の実施形態)
上述した複数の実施形態では、内燃機関に燃料を噴射する燃料噴射弁について説明した。これに対し、他の実施形態では、燃料噴射弁は、内燃機関の吸気通路などに燃料を噴射するものでもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。