特許第6233486号(P6233486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6233486ネットワークシステム、給電側機器、受電側機器、および、ネットワークシステムにおいて消費電力を低減する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233486
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ネットワークシステム、給電側機器、受電側機器、および、ネットワークシステムにおいて消費電力を低減する方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   H04L12/44 Z
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-199787(P2016-199787)
(22)【出願日】2016年10月11日
(62)【分割の表示】特願2012-237611(P2012-237611)の分割
【原出願日】2012年10月29日
(65)【公開番号】特開2017-5765(P2017-5765A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2016年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永戸 良樹
【審査官】 野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−106127(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0052421(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LANケーブルを用いたネットワークシステムであって、
前記LANケーブルを介して電力を供給する給電側機器と、
前記LANケーブルを介して前記給電側機器から電力の供給を受ける受電側機器と、
を備え、
前記受電側機器は、最大消費電力の異なる複数の電力消費モードを有する第1種の受電側機器であるとともに、前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を前記給電側機器に対して通知する通知部であって、前記給電側機器に対するクラスの通知を複数回行なうことによって、前記複数の電力消費モードにおけるそれぞれの最大消費電力を前記給電側機器に対して通知する、通知部を備え、
前記給電側機器は、
前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を取得する取得部であって、前記受電側機器からの複数回のクラスの通知に基づいて、前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力を取得する取得部と、
前記受電側機器から取得した複数回のクラスの通知に基づいて、当該受電側機器が前記第1種の受電側機器であるか、単一の電力消費モードのみを有する第2種の受電側機器であるかを判定する判定部と、
所定の条件が満たされた場合に、前記受電側機器に対する供給電力を、前記受電側機器の複数の最大消費電力のうち、前記受電側機器の現在の電力消費モードの最大消費電力よりも小さい最大消費電力まで制限する制限部であって、前記第2種の受電側機器に対しては、前記供給電力の制限を行なわない制限部
を備える、ネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワークシステムであって、
前記判定部は、前記受電側機器から取得した複数回のクラスの通知が全て同一のクラスであった場合には、当該受電側機器が前記第2種の受電側機器であると判定する、
ネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のネットワークシステムであって、
前記受電側機器の前記通知部は、フィールド内に前記複数の電力消費モードにおけるそれぞれの最大消費電力の情報を含んだフレームを前記給電側機器に対して送信することによって、前記複数の電力消費モードにおけるそれぞれの最大消費電力を前記給電側機器に対して通知し、
前記給電側機器の前記取得部は、前記受電側機器から送信されたフレームに含まれる前記最大消費電力の情報を参照することによって、前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力を取得する、
ネットワークシステム。
【請求項4】
請求項に記載のネットワークシステムであって、
前記判定部、前記受電側機器から取得したフレームに、前記最大消費電力の情報が含まれていない場合には、当該受電側機器が単一の電力消費モードのみを有する第2種の受電側機器であると判定する
ットワークシステム。
【請求項5】
最大消費電力の異なる複数の電力消費モードを有する受電側機器に対してLANケーブルを介して電力を供給する給電側機器であって、
前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を取得する取得部であって、前記受電側機器からの複数回のクラスの通知に基づいて、前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力を取得する取得部と、
前記受電側機器から取得した複数回のクラスの通知に基づいて、当該受電側機器が前記第1種の受電側機器であるか、単一の電力消費モードのみを有する第2種の受電側機器であるかを判定する判定部と、
所定の条件が満たされた場合に、前記受電側機器に対する供給電力を、前記受電側機器の複数の最大消費電力のうち、前記受電側機器の現在の電力消費モードの最大消費電力よりも小さい最大消費電力まで制限する制限部であって、前記第2種の受電側機器に対しては、前記供給電力の制限を行なわない制限部
を備える、給電側機器。
【請求項6】
最大消費電力の異なる複数の電力消費モードを有し、LANケーブルを介して電力の供給を受ける受電側機器と、前記受電側機器に対して前記LANケーブルを介して電力を供給する給電側機器とを備えるネットワークシステムにおいて消費電力を低減する方法であって、
前記受電側機器が、前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を前記給電側機器に対して通知する工程であって、前記給電側機器に対するクラスの通知を複数回行なうことによって、前記複数の電力消費モードにおけるそれぞれの最大消費電力を前記給電側機器に対して通知する工程と、
前記給電側機器が、前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を取得する工程であって、前記受電側機器からの複数回のクラスの通知に基づいて、前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力を取得する工程と、
前記受電側機器から取得した複数回のクラスの通知に基づいて、当該受電側機器が前記第1種の受電側機器であるか、単一の電力消費モードのみを有する第2種の受電側機器であるかを判定する工程と、
前記給電側機器が、所定の条件が満たされた場合に、前記受電側機器に対する供給電力を、前記受電側機器の複数の最大消費電力のうち、前記受電側機器の現在の電力消費モードの最大消費電力よりも小さい最大消費電力まで制限する工程であって、前記第2種の受電側機器に対しては、前記供給電力の制限を行なわない工程と、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークシステム、給電側機器、受電側機器、および、ネットワークシステムにおいて消費電力を低減する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、PoE(Power over Ethernet(Ethernetは登録商標))規格に準拠したスイッチングハブ等の給電側機器が知られている。PoEは、IEEE802.3af(IEEE:The Institute of Electrical and Electronics Engineers)等によって規定された技術であり、給電側機器と受電側機器との間で、LAN(Local Area Network)ケーブルを介して、データの送受信と、電力の供給(給電)とを行う技術である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−529460号公報
【特許文献2】特開2011−234304号公報
【特許文献3】特表2008−529359号公報
【特許文献4】特開2011−254209号公報
【特許文献5】特表2004−511956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の給電側機器としてのスイッチングハブでは、受電側機器からの通知を受けることによって、受電側機器の通常動作時における最大消費電力を1つ取得することができるのみであった。このため、電力の消費量を低減するために、給電側機器としてのスイッチングハブが、受電側機器に対する供給電力を制限すると、受電側機器に対して供給される電力が、受電側機器の最低限の動作に必要な電力を下回るおそれがあった。この結果、受電側機器が最低限の動作すらしなくなり、ネットワーク上のトラブルが発生するおそれがあるといった課題があった。そのほか、従来の給電側機器や受電側機器においては、その小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、LANケーブルを用いたネットワークシステムが提供される。このネットワークシステムは、前記LANケーブルを介して電力を供給する給電側機器と;前記LANケーブルを介して前記給電側機器から電力の供給を受ける受電側機器と;を備え、前記受電側機器は、最大消費電力の異なる複数の電力消費モードを有する第1種の受電側機器であるとともに、前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を前記給電側機器に対して通知する通知部を備え、前記給電側機器は、前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を取得する取得部と;所定の条件が満たされた場合に、前記受電側機器に対する供給電力を、前記受電側機器の複数の最大消費電力のうち、前記受電側機器の現在の電力消費モードの最大消費電力よりも小さい最大消費電力まで制限する制限部と;を備える。複数の電力消費モードを有する第1種の受電側機器は、複数の電力消費モードのうちの最も小さい最大消費電力以上の電力が供給されれば、正常に動作することができる。したがって、この形態のネットワークシステムによれば、電力の消費量を低減する場合であっても、受電側機器に対する供給電力は、受電側機器の複数の電力消費モードのうちの最も小さい最大消費電力を下回らない。したがって、受電側機器の動作に影響を与えることなく、電力の消費量を低減することができる。
【0007】
(2)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記受電側機器の前記通知部は、前記給電側機器に対するクラスの通知を複数回行なうことによって、前記複数の電力消費モードにおけるそれぞれの最大消費電力を前記給電側機器に対して通知してもよく、前記給電側機器の前記取得部は、前記受電側機器からの複数回のクラスの通知に基づいて、前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力を取得してもよい。この形態のネットワークシステムによれば、IEEE802.3afの規格を利用しつつ、受電側機器の複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力を取得することができる。
【0008】
(3)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記給電側機器は、さらに、前記受電側機器から取得した複数回のクラスの通知に基づいて、当該受電側機器が前記第1種の受電側機器であるか、単一の電力消費モードのみを有する第2種の受電側機器であるかを判定する判定部を備えてもよく、前記制限部は、前記第2種の受電側機器に対しては、前記供給電力の制限を行なわなくてもよい。この形態のネットワークシステムによれば、単一の電力消費モードのみを有する第2種の受電側機器に対しては供給電力の制限を行なわないので、供給電力の制限による第2種の受電側機器の動作の不具合の発生を抑制することができる。
【0009】
(4)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記判定部は、前記受電側機器から取得した複数回のクラスの通知が全て同一のクラスであった場合には、当該受電側機器が前記第2種の受電側機器であると判定してもよい。この形態のネットワークシステムによれば、適切に受電側機器の種別を判定することができる。
【0010】
(5)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記受電側機器の前記通知部は、フィールド内に前記複数の電力消費モードにおけるそれぞれの最大消費電力の情報を含んだフレームを前記給電側機器に対して送信することによって、前記複数の電力消費モードにおけるそれぞれの最大消費電力を前記給電側機器に対して通知してもよく、前記給電側機器の前記取得部は、前記受電側機器から送信されたフレームに含まれる前記最大消費電力の情報を参照することによって、前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力を取得してもよい。この形態のネットワークシステムによれば、IEEE802.3atの規格を利用しつつ、受電側機器の複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力を取得することができる。
【0011】
(6)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記給電側機器は、さらに、前記受電側機器から取得したフレームに、前記最大消費電力の情報が含まれていない場合には、当該受電側機器が単一の電力消費モードのみを有する第2種の受電側機器であると判定する判定部を備えてもよく、前記制限部は、前記第2種の受電側機器に対しては、前記供給電力の制限を行なわなくてもよい。この形態のネットワークシステムによれば、単一の電力消費モードのみを有する第2種の受電側機器に対しては供給電力の制限を行なわないので、供給電力の制限による第2種の受電側機器の動作の不具合の発生を抑制することができる。
【0012】
(7)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記給電側機器に、複数の電力消費モードを有する第1種の受電側機器と、単一の電力消費モードのみを有する第2種の受電側機器とを含む複数の受電側機器が接続されている場合において、前記給電側機器の前記制限部は、前記複数の受電側機器に対する供給電力の合計が所定の閾値を越えている場合には、前記第1種の受電側機器のうち、最も優先順位の低い前記第1種の受電側機器に対する供給電力を、当該第1種の受電側機器の複数の最大消費電力のうち、当該第1種の受電側機器の現在の電力消費モードの最大消費電力よりも小さい最大消費電力まで制限してもよい。この形態のネットワークシステムによれば、優先順位の高い第1種の受電側機器に対しては供給電力の制限を行なわずに、電力の消費量を低減することができる。
【0013】
(8)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記給電側機器の前記制限部は、前記複数の受電側機器に対する供給電力の合計が前記所定の閾値以下となるまで、前記供給電力の制限を、前記優先順位の低い側から順番に、前記第1種の受電側機器に対して行なってもよい。この形態のネットワークシステムによれば、優先順位の高い第1種の受電側機器に対しては可能な限り供給電力の制限を行なわずに、供給電力の合計を所定の閾値以下にすることができる。
【0014】
(9)上記形態のネットワークシステムにおいて、前記給電側機器は、さらに、前記優先順位を、ユーザによる設定と、前記受電側機器の通信量に関する指標値と、前記受電側機器の消費電力に関する指標値とのうちの少なくとも1つに基づいて決定する決定部を備えてもよい。この形態のネットワークシステムによれば、第1種の受電側機器の優先順位を適切に決定することができる。
【0015】
(10)本発明の他の形態によれば、最大消費電力の異なる複数の電力消費モードを有する受電側機器に対してLANケーブルを介して電力を供給する給電側機器が提供される。この給電側機器は、前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を取得する取得部と;所定の条件が満たされた場合に、前記受電側機器に対する供給電力を、前記受電側機器の複数の最大消費電力のうち、前記受電側機器の現在の電力消費モードの最大消費電力よりも小さい最大消費電力まで制限する制限部と;を備える。
【0016】
(11)本発明の他の形態によれば、給電側機器からLANケーブルを介して電力の供給を受ける受電側機器が提供される。この受電側機器は、最大消費電力の異なる複数の電力消費モードを有するとともに、前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を前記給電側機器に対して通知する通知部を備える。
【0017】
(12)本発明の他の形態によれば、最大消費電力の異なる複数の電力消費モードを有し、LANケーブルを介して電力の供給を受ける受電側機器と、前記受電側機器に対して前記LANケーブルを介して電力を供給する給電側機器とを備えるネットワークシステムにおいて消費電力を低減する方法が提供される。このネットワークシステムにおいて消費電力を低減する方法は、前記受電側機器が、前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を前記給電側機器に対して通知する工程と;前記給電側機器が、前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を取得する工程と;前記給電側機器が、所定の条件が満たされた場合に、前記受電側機器に対する供給電力を、前記受電側機器の複数の最大消費電力のうち、前記受電側機器の現在の電力消費モードの最大消費電力よりも小さい最大消費電力まで制限する工程と;を備える。
【0018】
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0019】
例えば、本発明の一形態は、給電側機器と、受電側機器と、の2つの要素の内の一つ以上の要素を備えた装置として実現可能である。すなわち、この装置は、給電側機器を有していてもよく、有していなくてもよい。また、装置は、受電側機器を有していてもよく、有していなくてもよい。給電側機器は、例えば、前記LANケーブルを介して電力を供給する給電側機器として構成されてもよい。受電側機器は、例えば、前記LANケーブルを介して前記給電側機器から電力の供給を受ける受電側機器として構成されてもよい。また、受電側機器は、通知部を有していてもよく、有していなくてもよい。通知部は、例えば、最大消費電力の異なる複数の電力消費モードを有する第1種の受電側機器であるとともに、前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を前記給電側機器に対して通知する通知部として構成されてもよい。また、給電側機器は、取得部を有していてもよく、有していなくてもよい。取得部は、例えば、前記受電側機器の前記複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を取得する取得部として構成されてもよい。また、給電側機器は、制限部を有していてもよく、有していなくてもよい。制限部は、例えば、所定の条件が満たされた場合に、前記受電側機器に対する供給電力を、前記受電側機器の複数の最大消費電力のうち、前記受電側機器の現在の電力消費モードの最大消費電力よりも小さい最大消費電力まで制限する制限部として構成されてもよい。こうした装置は、例えば、ネットワークシステムとして実現できるが、ネットワークシステム以外の他の装置としても実現可能である。このような形態によれば、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等の種々の課題の少なくとも1つを解決することができる。前述したネットワークシステムの各形態の技術的特徴の一部又は全部は、いずれもこの装置に適用することが可能である。
【0020】
本発明は、装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、ネットワークシステムの制御方法や、給電側機器の制御方法、受電側機器の制御方法、これらの制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態としてのネットワークシステムの構成を示す説明図である。
図2】受電側機器の種別を判定するための処理の流れを示すシーケンス図である。
図3】IEEE802.3によって規定されるクラス毎の最大消費電力を示す説明図である。
図4】LLDP(Link Layer Discovery Protocol)に準拠したフレームを利用して省電力モードにおける「最大消費電力」を通知する例を示す説明図である。
図5】給電側機器における、受電側機器に対する供給電力を制限するか否かを判断する処理の流れを示すフローチャートである。
図6】給電側機器における、受電側機器に対する供給電力を制限する処理の流れを示すフローチャートである。
図7】優先順位テーブルの内容を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態を実施形態に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施形態:
B.変形例:
【0023】
A.実施形態:
図1は、本発明の一実施形態としてのネットワークシステム10の構成を示す説明図である。ネットワークシステム10は、給電側機器100と、5つの受電側機器200と、受電側機器300とを備える。
【0024】
給電側機器100は、PoE規格に準拠したPSE(Power Sourcing Equipment)であり、LANケーブルを介して受電側機器200、300に対して電力を供給する。本実施形態では、給電側機器100は、PoEの規格に準拠したスイッチングハブであり、上流LANポートP0と、複数の下流LANポートP1〜P6と、CPU110と、フラッシュROM130と、RAM140と、通信制御部150とを備えている。また、給電側機器100は、スイッチングハブとしての一般的な機能を実現するために、スイッチングエンジン(図示せず)や、LANに接続された受電機器との間でデータ(パケット)の送受信を行なう送受信回路(図示せず)等も備えている。
【0025】
給電側機器100の下流LANポートP1〜P6には、複数の受電側機器200、300が接続されている。なお、下流LANポートP1〜P6は、複数の受電側機器200、300に対する給電ポートとしても機能する。
【0026】
CPU110は、フラッシュROM130に記憶されているコンピュータプログラムをRAM140に読み出して実行することによって、取得部111、制限部112、判定部113、決定部114、電力監視部115、通信量監視部116として機能する。これらの機能については後述する。フラッシュROM130には、優先順位テーブル132が記憶されている。優先順位テーブル132の詳細については後述する。通信制御部150は、各LANポートにおける通信を制御する。
【0027】
受電側機器200は、PoEの規格に準拠したPD(Powered Device)であり、LANケーブルを介して給電側機器100から電力の供給を受ける。受電側機器200の例としては、Webカメラ、無線LANアクセスポイント、IP電話機、スイッチングハブ等を挙げることができる。
【0028】
本実施形態では、受電側機器200は、最大消費電力の異なる2つの電力消費モードを有している。2つの電力消費モードには、通常の動作を行なう「通常モード」と、消費電力を抑えるために一定の動作が制限された「省電力モード」とが含まれる。受電側機器200は、通知部210を備えている。通知部210は、2つの電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力に対応する情報を、給電側機器100に対して通知する。
【0029】
本実施形態では、2つの電力消費モードを有する受電側機器200を、「第1種の受電側機器」とも呼ぶ。なお、第1種の受電側機器200は、給電側機器100からの供給電力が制限されて「通常モード」における最大消費電力を下回っても、「省電力モード」に移行し、動作が不安定となることはない。ただし、給電側機器100からの供給電力が「省電力モード」における最大消費電力を下回ると、受電側機器200は、動作が不安定となるおそれがある。
【0030】
受電側機器300は、「通常モード」のみを有し、「省電力モード」を有していない点が、受電側機器200と異なっているだけであり、他の構成は受電側機器200と同じである。受電側機器300は、通知部310を備えている。通知部310は、「通常モード」における最大消費電力に対応する情報を、給電側機器100に対して通知する。
【0031】
本実施形態では、単一の電力消費モードのみを有する受電側機器300を、「第2種の受電側機器」とも呼ぶ。なお、第2種の受電側機器300は、「省電力モード」を有していないため、給電側機器100からの供給電力が制限されて「通常モード」における最大消費電力を下回ると、動作が不安定となるおそれがある。
【0032】
図2は、受電側機器の種別を判定するための処理の流れを示すシーケンス図である。この図2に示した例では、受電側機器200、300が、IEEE802.3afの規格に準拠しているが、IEEE802.3atの規格には準拠していない場合について説明する。
【0033】
ステップS100では、給電側機器100のLANポートP1〜P6に受電側機器200、300が接続されると、給電側機器100は、受電側機器200、300のシグネチャ抵抗を検出し、受電側機器200、300が接続されたことを検出するとともに、ステップS102以下に示すクラス分類フェーズに移行する。
【0034】
図3は、IEEE802.3によって規定されるクラス毎の最大消費電力を示す説明図である。この図3に示すように、IEEE802.3afおよびIEEE802.3atの規格では、クラス毎に、受電側機器の最大消費電力が定められている。
【0035】
ステップS102(図2)では、給電側機器100は、接続された受電側機器200、300に対して、10〜75msecの間、15.5〜20.5Vの電圧を印加する。
【0036】
ステップS104(図2)では、受電側機器200、300の通知部210、310は、自身の「クラス」に応じた電流を流すことによって、給電側機器100に対して、自身の「クラス」の1回目の通知を行なう。ステップS110では、給電側機器100の取得部111は、受電側機器200、300の通知部210、310からの1回目の「クラス」の通知を受信し、「最大消費電力」を取得する。
【0037】
ステップS112では、給電側機器100は、受電側機器200、300に対して印加している電圧を、7.0〜10.0V(Mark Event Voltage)まで下げ、6〜12msecの間、その電圧を維持する。ステップS114では、給電側機器100は、受電側機器200、300に対して、10〜75msecの間、15.5〜20.5Vの電圧を印加する。
【0038】
ステップS120では、受電側機器200、300の通知部210、310は、自身の「クラス」に応じた電流を流すことによって、給電側機器100に対して、自身の「クラス」の2回目の通知を行なう。給電側機器100の取得部111は、受電側機器200、300の通知部210、310からの2回目の「クラス」の通知を受信し、「最大消費電力」を取得する。
【0039】
ここで、第1種の受電側機器200の通知部210は、1回目の「クラス」の通知において、「通常モード」における「最大消費電力」を通知し、2回目の「クラス」の通知においては、「省電力モード」における「最大消費電力」を通知する。
【0040】
一方、第2種の受電側機器300の通知部310は、1回目の「クラス」の通知において、「通常モード」における「最大消費電力」を通知し、2回目の「クラス」の通知においても、「通常モード」における「最大消費電力」を通知する。すなわち、「省電力モード」を有していない第2種の受電側機器300は、必然的に、1回目の通知と同じ通知を行なう。
【0041】
ステップS130では、給電側機器100の判定部113は、1回目の「クラス」の通知と2回目の「クラス」の通知に基づいて、LANポートに接続された受電側機器が、第1種の受電側機器200であるか、第2種の受電側機器300であるかを判定する。具体的には、1回目の「クラス」の通知と2回目の「クラス」の通知において、異なる「最大消費電力」が通知され、かつ、2回目の「クラス」の通知における「最大消費電力」の方が、1回目の「クラス」の通知における「最大消費電力」よりも小さい場合には、給電側機器100の判定部113は、省電力モードを有している第1種の受電側機器200がLANポートに接続されたと判定する。
【0042】
一方、1回目の「クラス」の通知と2回目の「クラス」の通知において、上記以外の場合、具体的には、下記の条件1〜4のいずれかが満たされた場合には、給電側機器100の判定部113は、省電力モードを有していない第2種の受電側機器300がLANポートに接続されたと判定する。
条件1:1回目の「クラス」の通知と2回目の「クラス」の通知において、同一の「クラス(最大消費電力)」が通知された場合
条件2:2回目の「クラス」の通知における「最大消費電力」の方が、1回目の「クラス」の通知における「最大消費電力」よりも大きい場合
条件3:1回目の「クラス」の通知と2回目の「クラス」の通知のいずれかにおいて、「クラス0」が通知された場合
条件4:1回目の「クラス」の通知と2回目の「クラス」の通知のいずれかにおいて、図3に示したいずれの「クラス」にも該当しない電流値が流された場合
【0043】
このようにして、本実施形態の給電側機器100は、IEEE802.3af規格を利用しつつ、受電側機器200、300が省電力モードを有しているか否かを判定し、第1種の受電側機器200の複数の電力消費モードのそれぞれにおける「最大消費電力」を取得する。
【0044】
図4は、LLDP(Link Layer Discovery Protocol)に準拠したフレームを利用して、「省電力モード」における「最大消費電力」を通知する例を示す説明図である。IEEE802.3at規格に対応した第1種の受電側機器200は、LLDPに準拠したフレームを利用して、自身の「省電力モード」における「最大消費電力」を、給電側機器100に対して通知する。
【0045】
具体的には、図4(A)に示した例では、受電側機器200の通知部210は、LLDPに準拠したフレームの「PSE allocated power value」フィールド内に、省電力モードにおける「最大消費電力」の情報を含め、当該フレームを給電側機器100に対して送信する。
【0046】
また、図4(B)に示した例では、受電側機器200の通知部210は、LLDPに準拠したフレームの「PSE allocated power value」フィールドの後に、新たなフィールド(例えば、PD max power for energy savingフィールド)を追加し、当該フィールド内に、省電力モードにおける「最大消費電力」の情報を含め、当該フレームを給電側機器100に対して送信する。
【0047】
IEEE802.3at規格に対応した給電側機器100の取得部111は、これらのフィールド内に含まれた「省電力モード」における「最大消費電力」の情報を参照することによって、受電側機器200の「省電力モード」における「最大消費電力」を取得する。
【0048】
一方、「省電力モード」を有しない第2種の受電側機器300の通知部310は、従来のLLDPに準拠したフレームを、給電側機器100に対して送信する。IEEE802.3at規格に対応した給電側機器100の判定部113は、受電側機器300から取得したフレームに、省電力モードにおける「最大消費電力」の情報が含まれていない場合には、当該受電側機器300が「省電力モード」を有さない第2種の受電側機器であると判定する。
【0049】
このようにして、本実施形態の給電側機器100は、IEEE802.3at規格を利用しつつ、受電側機器200、300が省電力モードを有しているか否かを判定し、第1種の受電側機器200の複数の電力消費モードのそれぞれにおける最大消費電力を取得する。
【0050】
図5は、給電側機器100における、受電側機器200に対する供給電力を制限するか否かを判断する処理の流れを示すフローチャートである。ステップS200では、給電側機器100は、現在の時刻が、フラッシュROM130内に予め設定された「省電力時間帯」であるか否かを判断する。「省電力時間帯」とは、省電力を推進する時間帯であり、本実施形態においては、ユーザによる受電側機器200、300の使用頻度の低い時間帯が、「省電力時間帯」として設定されるものとする。
【0051】
具体的には、例えば、20時から8時までの時間帯が「省電力時間帯」として予め設定されている場合において、現在の時刻が8時から20時の間である場合には(ステップS200:No)、給電側機器100は、ステップS210に示す処理に移行する。
【0052】
一方、現在の時刻が20時から8時の間である場合には(ステップS200:Yes)、給電側機器100の制限部112は、ステップS300に示す処理に移行し、省電力モードを有する第1種の受電側機器200に対する供給電力の制限を行なう。ステップS300に示す処理の詳細については後述する。
【0053】
ステップS210では、給電側機器100は、現在の曜日が、フラッシュROM130内に予め設定された「省電力曜日」であるか否かを判断する。「省電力曜日」とは、省電力を推進する曜日であり、ユーザによる受電側機器200、300の使用頻度の低い曜日が「省電力曜日」として設定される。
【0054】
具体的には、例えば、土曜日と日曜日が「省電力曜日」として予め設定されている場合において、現在の曜日が月曜日から金曜日のいずれかである場合には(ステップS210:No)、給電側機器100は、ステップS220に示す処理に移行する。
【0055】
一方、現在の曜日が土曜日か日曜日のいずれかである場合には(ステップS210:Yes)、給電側機器100の制限部112は、ステップS300に示す処理に移行し、省電力モードを有する第1種の受電側機器200に対する供給電力の制限を行なう。なお、「省電力曜日」として、祝日を設定してもよい。
【0056】
ステップS220では、給電側機器100の電力監視部115は、複数の受電側機器200、300に対する現在の供給電力の合計が所定の閾値を越えているか否かを判断する。本実施形態では、所定の閾値は、給電側機器100の給電能力の90%の電力に設定されている。供給電力の合計が所定の閾値を越えていない場合には(ステップS220:No)、給電側機器100は、ステップS230に示す処理に移行する。
【0057】
一方、供給電力の合計が所定の閾値を越えている場合には(ステップS220:Yes)、給電側機器100の制限部112は、ステップS300に示す処理に移行し、省電力モードを有する第1種の受電側機器200に対する供給電力の制限を行なう。
【0058】
ステップS230では、給電側機器100の電力監視部115は、電力使用量[kW・h]の合計が所定の閾値を越えているか否かを判断する。具体的には、例えば、ユーザは、月毎の電力使用量の上限となる閾値を予め設定し、月毎の電力使用量の合計が当該閾値を越えていない場合には(ステップS230:No)、給電側機器100は、処理を終了する。本実施形態では、給電側機器100の電力監視部115は、月毎の電力使用量の合計として、月の初日から末日までの電力使用量を積算する。ただし、給電側機器100の電力監視部115は、他の期間における電力使用量を積算してもよい。
【0059】
一方、今月の電力使用量の合計が当該閾値を越えている場合には(ステップS230:Yes)、給電側機器100の制限部112は、ステップS300に示す処理に移行し、省電力モードを有する第1種の受電側機器200に対する供給電力の制限を行なう。
【0060】
なお、フラッシュROM130内に設定された「省電力時間帯」や「省電力曜日」、供給電力の所定の閾値、電力使用量の所定の閾値は、ユーザによって変更可能である。また、これらの情報は、クラウド上に保存されていてもよく、給電側機器100は、クラウド上に保存されたこれらの情報にアクセスしてもよい。
【0061】
図6は、給電側機器100における、受電側機器200に対する供給電力を制限する処理の流れを示すフローチャートである。ステップS310では、給電側機器100の決定部114は、複数の受電側機器200の優先順位を決定する。この優先順位は、優先順位テーブル132(図1)に記憶される。
【0062】
なお、給電側機器100の制限部112は、省電力モードを有さない第2種の給電側機器100に対しては、供給電力の制限を行なわない。したがって、決定部114は、給電側機器100に対しては、優先順位を決定しない。優先順位の決定方法については後述する。
【0063】
ステップS314では、給電側機器100の制限部112は、供給電力の制限の対象となる第1種の受電側機器200を、優先順位の低い側から順番に設定する。
【0064】
ステップS320では、給電側機器100の制限部112は、第1種の受電側機器200のうち、供給電力の制限の対象として設定された第1種の受電側機器200に対する供給電力を、当該受電側機器200の「省電力モード」における「最大消費電力」まで制限する。
【0065】
ステップS324では、給電側機器100の制限部112は、供給電力の制限が、優先順位の最も高い第1種の受電側機器200に対して行なわれたか否かを判断する。供給電力の制限が、優先順位の最も高い第1種の受電側機器200に対して行なわれた場合には、(ステップS324:Yes)、給電側機器100の制限部112は、処理を終了する。一方、供給電力の制限が、優先順位の最も高い第1種の受電側機器200に対して行なわれていない場合には、(ステップS324:No)、給電側機器100の制限部112は、スッテプS330に示す処理に移行する。
【0066】
ステップS330では、給電側機器100の制限部112は、複数の受電側機器200、300に対する供給電力の合計が所定の閾値以下となったか否かを判断する。複数の受電側機器200、300に対する供給電力の合計が所定の閾値以下となっていない場合には(ステップS330:No)、給電側機器100の制限部112は、ステップS314に示す処理に移行し、次に優先順位の低い第1種の受電側機器200を、供給電力の制限の対象として設定する。
【0067】
一方、複数の受電側機器200、300に対する供給電力の合計が所定の閾値以下となっている場合には(ステップS330:Yes)、給電側機器100の制限部112は、処理を終了する。すなわち、給電側機器100の制限部112は、複数の受電側機器200、300に対する供給電力の合計が所定の閾値以下となるまで、供給電力の制限を、優先順位の低い側から順番に、第1種の受電側機器200に対して行なう。
【0068】
図7は、優先順位テーブル132の内容を示す説明図である。上述したように、給電側機器100の決定部114は、複数の第1種の受電側機器200の優先順位を決定する。この図5に示した例では、決定部114は、「優先度」が「H(High)」に設定されている受電側機器200の優先順位が、「優先度」が「L(Low)」に設定されている受電側機器200の優先順位よりも高くなるように、優先順位を決定する。
【0069】
この「優先度」は、給電側機器100のポート毎に設定されてもよく、また、受電側機器200側に設定されていてもよい。また、この「優先度」は、ユーザによって任意に設定されてもよい。
【0070】
そして、「優先度」が同じ受電側機器200に対しては、決定部114は、「通信量(データ量)[MByte]」の多い受電側機器200の優先順位が、「通信量」の少ない受電側機器200の優先順位よりも高くなるように、優先順位を決定する。本実施形態では、決定部114は、直近の1時間あたりの送信と受信の通信量の合計に基づいて、優先順位を決定する。ただし、決定部114は、送信と受信とのうちの少なくとも一方の通信量の合計に基づいて、優先順位を決定してもよい。なお、受電側機器200の通信量は、給電側機器100の通信量監視部116によって監視されている。
【0071】
そして、「通信量」が同じ受電側機器200に対しては、決定部114は、「消費電力量[W・h]」の少ない受電側機器200の優先順位が、「消費電力量」の多い受電側機器200の優先順位よりも高くなるように、優先順位を決定する。本実施形態では、決定部114は、直近の1時間あたりの消費電力量の合計に基づいて、優先順位を決定する。このようにすれば、消費電力量の多い受電側機器200から供給電力の制限が行なわれるので、消費電力の低減の効果が大きくなる。
【0072】
この結果、ポートP1からポートP5に接続された第1種の受電側機器200の優先順位は、図7の右欄に示したとおりとなる。なお、ポートP6には、省電力モードを有さない第2種の受電側機器300が接続されているため、優先順位は設定されていない。
【0073】
このように、本実施形態では、受電側機器200の「省電力モード」における「最大消費電力」を取得するとともに、受電側機器200に対する供給電力の制限を、「省電力モード」における「最大消費電力」までとするので、受電側機器200に対する供給電力は、「省電力モード」における「最大消費電力」を下回らない。したがって、受電側機器200の動作に影響を与えることなく、電力の消費量を低減することができる。
【0074】
さらに、本実施形態では、単一の電力消費モードのみを有する第2種の受電側機器300に対しては供給電力の制限を行なわないので、供給電力の制限による第2種の受電側機器300の動作の不具合の発生を抑制することができる。
【0075】
さらに、本実施形態では、優先順位の高い第1種の受電側機器200に対しては可能な限り供給電力の制限を行なわずに、供給電力の合計を所定の閾値以下にすることができる。
【0076】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0077】
B1.変形例1:
上記実施形態では、第1種の受電側機器200は、「通常モード」と「省電力モード」の2種類の電力消費モードを有している。しかし、第1種の受電側機器200は、2種類以上の電力消費モードを有していてもよい。この場合、受電側機器200の通知部210は、所定の電圧が給電側機器100から印加されたことをトリガとして「クラス」の通知を複数回行なったり、フレームに対して複数のフィールドを追加すればよい。なお、上記実施形態では、2つの電力消費モードに対して、「通常モード」と「省電力モード」といった名称を付しているが、電力消費モードに対して、これらとは異なった名称が付されていてもよく、また、名称は付されていなくてもよい。
【0078】
B2.変形例2:
上記実施形態では、給電側機器100の制限部112は、複数の受電側機器200、300に対する供給電力の合計が所定の閾値以下となるまで、供給電力の制限を、優先順位の低い側から順番に、第1種の受電側機器200に対して行なう。しかし、給電側機器100の制限部112は、供給電力の制限を、最も優先順位の低い第1種の受電側機器200に対してのみ行なってもよい。
【0079】
B3.変形例3:
上記実施形態では、LANポートの数は7つであるが、LANポートの数は6つ以下や8つ以上であってもよい。
【0080】
B4.変形例4:
上記実施形態では、図5に示す4つの条件のうち、1つでも条件が満たされた場合に、ステップS300における供給電力の制限が行なわれる。しかし、図5に示す4つの条件は例示であり、ステップS300における供給電力の制限が行なわれるための条件は、5つ以上であってもよく、また3つ以下であってもよい。
【0081】
B5.変形例5:
上記実施形態では、決定部114は、「消費電力量」の少ない受電側機器200の優先順位が、「消費電力量」の多い受電側機器200の優先順位よりも高くなるように、優先順位を決定する。しかし、決定部114は、「消費電力量」に代えて、受電側機器200の「消費電力[W]」や「省電力モードにおける消費電力[W]」に基づいて、優先順位を決定してもよい。例えば、決定部114は、「省電力モードにおける消費電力」の少ない受電側機器200の優先順位が、「消費電力量」の多い受電側機器200の優先順位よりも低くなるように、優先順位を決定してもよい。このようにすれば、「省電力モードにおける消費電力」の少ない受電側機器200から供給電力の制限が行なわれるので、消費電力の低減の効果が大きくなる。
【0082】
B6.変形例6:
上記実施形態においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
【0083】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
10…ネットワークシステム
100…給電側機器
110…CPU
111…取得部
112…制限部
113…判定部
114…決定部
115…電力監視部
116…通信量監視部
130…フラッシュROM
132…優先順位テーブル
140…RAM
150…通信制御部
200…受電側機器
210…通知部
300…受電側機器
310…通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7