特許第6233510号(P6233510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233510
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】メーソンリー処理組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/18 20060101AFI20171113BHJP
   C08F 220/22 20060101ALI20171113BHJP
   C08F 220/58 20060101ALI20171113BHJP
   C04B 41/48 20060101ALI20171113BHJP
   C04B 41/63 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   C09K3/18 102
   C08F220/22
   C08F220/58
   C04B41/48
   C04B41/63
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-523449(P2016-523449)
(86)(22)【出願日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】JP2015064587
(87)【国際公開番号】WO2015182475
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2016年7月6日
(31)【優先権主張番号】特願2014-109973(P2014-109973)
(32)【優先日】2014年5月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【弁理士】
【氏名又は名称】新免 勝利
(72)【発明者】
【氏名】高橋 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】福森 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 育男
【審査官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/084530(WO,A1)
【文献】 特開2010−222382(JP,A)
【文献】 特表平11−507687(JP,A)
【文献】 特開2001−049166(JP,A)
【文献】 特開2010−090286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/18
C04B 41/48、41/63
C08F220/22、220/28
C09D133/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)一般式:
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf
[式中、
Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−または−NH−であり;
Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基または環状脂肪族基、
-CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)または
-CH2CH(OZ1) CH2−基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基である。)または
-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基 または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10である。)、
Rfは、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキル基である。]
で示される、フルオロアルキル基を有する含フッ素単量体、
(b)一般式:
CH2=CX11C(=O)−O−RO−X12
[式中、
11は、水素原子またはメチル基、
12は、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基、
Rは、炭素数2〜6のアルキレン基である。]
で示される第1親水性単量体、
(c)一般式:
CH2=CX21C(=O)−O−(RO)n−X22
または
CH2=CX31C(=O)−O−(RO)n−C(=O)CX32=CH2
[式中、
21、X31およびX32のそれぞれは、独立的に、水素原子またはメチル基、
22は、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基、
Rは、炭素数2〜6のアルキレン基、
nは、2〜90の整数である。]
で示される第2親水性単量体、および
(d)アニオン供与基およびエチレン性不飽和二重結合を有するアニオン供与基含有単量体
から誘導された繰り返し単位を必須成分として含有する含フッ素重合体を含むメーソンリー処理組成物であって、
アニオン供与基含有単量体(d)は(メタ)アクリル酸であり、
含フッ素重合体の質量平均分子量が30,000〜110,000であり、
単量体(a)〜(d)の合計100重量%に対して、単量体(a)の量が45〜76重量%であり、単量体(b)の量が5〜25重量%であり、単量体(c)の量が3〜30重量%であり、単量体(d)の量が6〜25重量%であるメーソンリー処理組成物。
【請求項2】
含フッ素単量体(a)におけるXがメチル基である請求項1に記載のメーソンリー処理組成物。
【請求項3】
第2親水性単量体(c)におけるRが炭素数2のアルキレン基である請求項1または2に記載のメーソンリー処理組成物。
【請求項4】
第1親水性単量体(b)と第2親水性単量体(c)の重量比が8:2〜5:5である請求項1〜3のいずれかに記載のメーソンリー処理組成物。
【請求項5】
含フッ素重合体の水溶液である請求項1〜のいずれかに記載のメーソンリー処理組成物。
【請求項6】
含フッ素重合体の量は、メーソンリー処理組成物に対して、0.1〜50重量%である請求項1〜のいずれかに記載のメーソンリー処理組成物。
【請求項7】
請求項1〜のいずれかに記載のメーソンリー処理組成物によってメーソンリーを処理する方法。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載のメーソンリー処理組成物をメーソンリーに適用することを含む、処理されたメーソンリーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メーソンリー処理用含フッ素組成物に関する。詳細には、本発明は、石材、タイル、コンクリートなどの微細孔を有する多孔質基材(メーソンリー基材)に、優れた撥水撥油性および防汚性(耐汚染性)を付与するアニオン性含フッ素処理組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メーソンリー処理組成物として、アミノ基含有共重合性単量体を導入したカチオン性処理剤が知られている(例えば、WO2009/075387(特表2011-506621号公報))。また、特開2010−90286号公報は、含ケイ素不飽和化合物およびカルボン酸基を含有するアニオン性処理剤を開示している。
一方、WO2011/027877(特開2013-503267号公報)は、カルボン酸基含有単量体を含む共重合体を含んでなる紙用処理剤を開示しているが、メーソンリーの処理に使用することを全く開示していない。紙の処理においては、撥油性が重要であり、高い撥水性は必要とされない。WO2011/027877は、メーソンリー処理に必要な高い撥水性を得るための手段を記載していない。
【0003】
アミノ基含有共重合性単量体を導入したカチオン性処理剤は、基材との密着性あるいは浸透性を向上させるための添加剤と混合する場合、安定性(製品の保存安定性)が低下するという課題があった。加えて、セメントは強アルカリ性であるので、コンクリートにカチオン性処理剤を塗布すると、コンクリートの白色化が起こり、コンクリート用途ではカチオン性処理剤を使用できないという課題があった。
一方、従来のアニオン性処理剤は、種々のメーソンリーに与える撥水撥油性が満足できるものでない。
処理剤の高い保存安定性と、充分な撥水撥油性の両方の性質を有するメーソンリー処理剤が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2009/075387(特表2011-506621号公報)
【特許文献2】特開2010−90286号公報
【特許文献3】WO2011/027877(特開2013-503267号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高い保存安定性と高い撥水撥油性の両方をメーソンリーに与えるアニオン性処理剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(a)一般式:
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf
[式中、
Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−または−NH−であり;
Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基または環状脂肪族基、
-CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)または
-CH2CH(OZ1) CH2−基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基である。)または
-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基 または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10、である)、
Rfは、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
で示される、フルオロアルキル基を有する含フッ素単量体、
(b)一般式:
CH2=CX11C(=O)−O−RO−X12
[式中、
11は、水素原子またはメチル基、
12は、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基、
Rは、炭素数2〜6のアルキレン基である。]
で示される第1親水性単量体、
(c)一般式:
CH2=CX21C(=O)−O−(RO)n−X22
または
CH2=CX31C(=O)−O−(RO)n−C(=O)CX32=CH2
[式中、
21、X22およびX32のそれぞれは、独立的に、水素原子またはメチル基、
22は、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基、
Rは、炭素数2〜6のアルキレン基、
nは、2〜90の整数である。]
で示される第2親水性単量体、および
(d)アニオン供与基およびエチレン性不飽和二重結合を有する単量体
から誘導された繰り返し単位を必須成分として含有する含フッ素重合体を含むメーソンリー処理組成物を提供する。
本発明は、上記メーソンリー処理組成物でメーソンリーを処理する方法、および上記メーソンリー処理組成物で処理されているメーソンリーをも提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明において、含フッ素重合体は、アニオン供与性基含有単量体によりアニオン系添加剤との併用時の保存安定性を向上させている。さらに、含フッ素重合体の水分散性が向上されており、処理剤によるメーソンリーへの浸透性が良好で或る。本発明の処理剤は、メーソンリーに対して高い撥水性および撥油性を付与し、加えて高い防汚性(耐汚染性)を付与する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、含フッ素重合体の組成はメーソンリー処理組成物の性質に大きな影響を及ぼす。
本発明のメーソンリー処理剤は、含フッ素単量体(a)、第1親水性単量体(b)、第2親水性単量体(c)、およびアニオン供与基含有単量体(d)から誘導された繰り返し単位を有する。
【0009】
含フッ素単量体(a)は、一般式:
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf
[式中、
Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−または−NH−であり;
Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜10の芳香族基または環状脂肪族基、
-CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)または
-CH2CH(OZ1) CH2−基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基である。)または
-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基 または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10、である)、
Rfは、炭素数1〜6の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
で示される少なくとも1種の化合物である。
含フッ素単量体(a)は、Yが−O−であるアクリレートであることが好ましい。
【0010】
含フッ素単量体(a)は、アクリレートまたはメタアクリレートのα位がハロゲン原子などで置換されていることがある。したがって、Xが、炭素数2〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であってよい。
Xは、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基または塩素原子であることが好ましく、メチル基または塩素原子であることがさらに好ましい。高い撥水性の観点から、Xはメチル基であることが特に好ましい。
【0011】
Rf基が、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf基の炭素数は、1〜6、特に4〜6、特別には6であってよい。Rf基の例は、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF3) 2、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CF(CF3) 2、−C(CF3) 3、−(CF2)4CF3、−(CF2) 2CF(CF3) 2、−CF2C(CF3) 3、−CF(CF3)CF2CF2CF3、−(CF2)5CF3、−(CF2)3CF(CF3) 2等である。特に、−(CF2)5CF3が好ましい。
良好な撥水撥油性および防汚性が得られるので、Rf基が炭素数4〜6、例えば6のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
【0012】
含フッ素単量体(a)の具体例は、次のとおりである。
Rf-(CH)10OCOCH=CH
Rf-(CH)10OCOC(CH)=CH
Rf-CHOCOCH=CH
Rf-CHOCOC(CH)=CH
Rf-(CH)OCOCH=CH
Rf-(CH)OCOC(CH)=CH
Rf-SON(CH)(CH)OCOCH=CH
Rf-SON(C)(CH)OCOCH=CH
Rf-CHCH(OCOCH)CHOCOC(CH)=CH
Rf-CHCH(OH)CHOCOCH=CH
【0013】
含フッ素単量体(a)の他の具体例としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
CH2=C(−H)−C(=O)−O−C6H4−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2N(−CH3) SO2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2N(−C2H5) SO2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−CH2CH(−OH) CH2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−CH2CH(−OCOCH3) CH2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−H)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
【0014】
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CH3)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
【0015】
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
【0016】
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
【0017】
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−NH−(CH2)3−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
【0018】
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
[上記式中、Rfは、炭素数1〜6、好ましくは、4〜6のフルオロアルキル基である。]
【0019】
第1親水性単量体(b)は、一般式:
CH2=CX11C(=O)−O−RO−X12
[式中、
11は、水素原子またはメチル基、
12は、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基、
Rは、炭素数2〜6のアルキレン基である。]
で示される少なくとも1種の化合物である。
第1親水性単量体(b)はモノオキシアルキレン(メタ)アクリレートである。水溶性の観点から、オキシアルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜4、特に2である。
【0020】
第1親水性単量体(b)の具体例としては、
CH2=CH-C(=O)-O-CH2CH2OH, CH2=C(CH3)-C(=O)-O-CH2CH2OH
CH2=CH-C(=O)-O-CH2CH2OCH3, CH2=C(CH3)-C(=O)-O-CH2CH2OCH3
が挙げられる。
【0021】
第2親水性単量体(c)は、一般式:
一般式:
CH2=CX21C(=O)−O−(RO)n−X22
または
CH2=CX31C(=O)−O−(RO)n−C(=O)CX32=CH2
[式中、
[式中、
21、X22およびX32のそれぞれは、独立的に、水素原子またはメチル基、
22は、水素原子または炭素数1〜22の不飽和または飽和の炭化水素基、
Rは、炭素数2〜6のアルキレン基、
nは、2〜90の整数である。]
で示される少なくとも1種の化合物である。
第2親水性単量体(c)はポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートである。第2親水性単量体(c)は、ω−ヒドロキシ−ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートであってよい。水溶性の観点から、オキシアルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜4、特に2である。ポリオキシアルキレン基の中のオキシアルキレン基の平均重合度は2〜10、好ましくは2〜5であってよい。
【0022】
第2親水性単量体(c)の具体例としては、
CH2=CH-C(=O)-O-(CH2CH2O)2H,
CH2=CH-C(=O)-O-(CH2CH2O)3H,
CH2=CH-C(=O)-O-(CH2CH2O)11H,
CH2=CH-C(=O)-O-(CH2CH2O)12H,
CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2CH2O)2H,
CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2CH2O)3H,
CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2CH2O)11H,
CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2CH2O)12H,
CH2=CH-C(=O)-O-(CH2)2-OCH3,
CH2=CH-C(=O)-O-(CH2)2-OCH2CH3,
CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)2-OCH3,
CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2)2-OCH2CH3,
CH2=CH-C(=O)-O-(CH2CH2O)2C(=O)-CH=CH2,
CH2=C(CH3)-C(=O)-O-(CH2CH2O)2C(=O)-CH=CH2等が挙げられる。
【0023】
第1親水性単量体(b)と第2親水性単量体(c)を併用することにより、高い水溶性と高い撥水性の両方を得ることができる。第1親水性単量体(b)と第2親水性単量体(c)の重量比は、9:1〜1:9、特に8:2〜5:5であることが好ましい。
【0024】
アニオン供与基含有単量体(d)は、アニオン供与基およびエチレン性不飽和二重結合(炭素-炭素二重結合)を有する化合物である。アニオン供与基はカルボキシル基またはスルホン酸基であってよい。アニオン供与基はカルボキシル基であることが好ましい。単量体(d)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、アクリルアミドターシャリーブチルスルホン酸、またはそれらの塩が挙げられる。共重合性の観点から、単量体(d)は(メタ)アクリル酸であることが特に好ましい。(メタ)アクリル酸は、含フッ素重合体の水溶性を向上させ、処理剤の保存安定性および基材への浸透性が高くなる。
【0025】
単量体(a)〜(d)のそれぞれは、1種の単独または2種以上の組み合わせであってよい。
含フッ素重合体を構成する単量体は、アミノ基含有単量体を含んでいてもよいが、アミノ基含有単量体を含まないことが好ましい。
【0026】
含フッ素重合体において、単量体(a)〜(d)の合計100重量%に対して、含フッ素単量体(a)の量が40〜90重量%であり、単量体(b)の量が2〜30重量%であり、単量体(c)の量が2〜30重量%であり、単量体(d)の量が3〜30重量%であってよい。高い撥水撥油性および水溶性の観点から、単量体(a)の量が45〜76重量%であり、単量体(b)の量が5〜25重量%であり、単量体(c)の量が3〜30重量%であり、単量体(d)の量が6〜25重量%であることが好ましい。さらに好ましくは単量体(d)の量が7〜15重量%である。
【0027】
本発明においては、含フッ素重合体の組成と共に、含フッ素重合体の分子量が撥水撥油性に大きな影響を及ぼす。本発明の含フッ素重合体の質量平均分子量は15,000以上であり、高い撥水撥油性のために好ましくは30,000以上、微細孔への浸透性の観点から、好ましくは、2,000,000以下である。質量平均分子量は、40,000〜110,000であることがさらに好ましい。含フッ素重合体の質量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めたものである(ポリスチレン換算)。
【0028】
含フッ素重合体は、単量体(a)〜(d)のみからなってよいし、単量体(a)〜(d)に加えて他の単量体を含有してもよい。
【0029】
含フッ素重合体は、単量体(a)〜(d)に加えて、含ケイ素単量体から誘導された繰り返し単位を含んでもよいが、含まなくてもよい。含ケイ素単量体を使用することにより、メーソンリー基材への浸透性および密着性を向上させることができる。
【0030】
含ケイ素単量体は、少なくとも1つのケイ素原子および1つのエチレン性不飽和二重結合(炭素-炭素二重結合)を有する単量体である。
【0031】
含ケイ素単量体は、例えば、式:
【化1】
[式中、
Aは少なくとも1つのケイ素原子を有する1価の基、
は水素原子またはメチル基である。]
で示される単量体であってよい。
【0032】
A基は、式:
Rsi−X−
[式中、
Rsiは、
11−(Si(R12))−、または
11−(Si(R12)−O)
(R11は水素原子又はC〜Cアルキル基又はC〜Cアリール基であり、
それぞれのR12は、同じでも異なってもよく、水素原子、官能基を有していてもよいC〜Cの炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であり、
pは1〜100の数)であり、
Xは、直接結合、−(CH)−(qは1〜20の数)、−(CH)r−O−(rは0〜20の数)、−(CH)s−OC(=O)−(sは0〜20の数)である。]
で示されるものであってよい。
【0033】
A基における官能基としては、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックドイソシアネート、アミノ基、カルボキシル基が挙げられる。
官能基を有していてもよいC〜Cの炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基の例は、次のとおりである。
【化2】
【0034】
【化3】

[RおよびRは、直接結合、炭素数1〜21の脂肪族基(例えば、アルキレン基)、芳香族基、芳香脂肪族基である。]
【0035】
含ケイ素単量体の具体例は、
ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、
【0036】
【化4】

などである。
含フッ素重合体における含ケイ素単量体の量は、含フッ素重合体に対して、30重量%以下、例えば1〜20重量%であってよい。
【0037】
本発明の処理組成物は、含フッ素共重合体および水性媒体を含んでなる。本明細書において、「水性媒体」とは、水のみからなる媒体、および水に加えて有機溶剤(有機溶剤の量は、水100重量部に対して、80重量部以下、例えば0.1〜50重量部、特に5〜30重量部である。)をも含有する媒体を意味する。
【0038】
本発明における含フッ素重合体は通常の重合方法の何れでも製造でき、また重合反応の条件も任意に選択できる。このような重合方法として、溶液重合、懸濁重合、乳化重合が挙げられる。特に、溶液重合が好ましい。
【0039】
溶液重合では、重合開始剤の存在下で、単量体を有機溶剤に溶解させ、窒素置換後、例えば50〜120℃の範囲で1〜10時間、加熱撹拌する方法が採用される。重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソヴァレロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲で用いてよい。
【0040】
有機溶剤としては、単量体に不活性でこれらを溶解するものであり、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、市販石油系溶剤(エクソンモービル社製EXXSOL D40、ISOPER E 等)、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸t−ブチル、イソプロパノール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、p−クロロベンゾトリフルオライド、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。有機溶剤は単量体の合計100重量部に対して、50〜1000重量部の範囲で用いてよい。
【0041】
重合反応後に、反応混合物に水を加え、有機溶媒を(蒸留などによって)除去する(溶媒置換法)ことによって、重合体の水溶液または水分散液を得ることができる。
【0042】
処理組成物の製造は、溶媒置換法以外の方法によっても製造できる。処理組成物の製造は、例えば、重合を行った後に、水を追加することによって行ってもよい。
【0043】
処理組成物の製造は、単に、単量体を液状媒体中で重合することによって、あるいは重合後に追加の液状媒体で希釈することによって行うことができる。重合用液状媒体および希釈用液状媒体は、同じ種類または異なった種類の媒体であってよい。重合用液状媒体および希釈用液状媒体の例は、水のみ、水溶性または水分散性の有機溶媒のみ、あるいは水溶性または水分散性の有機溶媒と水の混合物であってもよい。単量体および液状媒体は、単量体が液状媒体に溶解した溶液の形態であることが好ましい。重合は、溶液重合でも乳化重合でもよいが、重合反応の安定性の点から溶液重合が好ましい。
【0044】
重合を行った後に、無機または有機塩基の水溶液を添加して単量体(d)からの構成単位(アニオン供与基)を中和するか;または、予め塩基で中和した単量体(d)を用いて重合を行ってよい。単量体(d)を予め塩基で中和した後、単量体を重合する場合には、塩基水溶液による中和を要しない。
無機または有機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノー2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、ビス(ヒドロキシメチル)メチルアミノメタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン等の有機塩基類を挙げることができる。これらの内、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン等が、得られる含フッ素重合体の水性媒体への分散性向上の点で好ましい。
重合後の重合体混合物は、必要に応じて、水性媒体(特に、水)を加えて、希釈してよい。
【0045】
重合を行うために使用される液状媒体である水溶性または水分散性の有機溶媒の非限定的な例として、ケトン類(例えば、アセトンまたはメチルエチルケトン)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール)、エーテル類(例えば、エチレングリコールやプロピレングリコールのメチルまたはエチルエーテル、およびその酢酸エステル、テトラヒドロフラン、およびジオキサン)、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ブチロラクトン及びジメチルスルホキシドを挙げることができる。メチルエチルケトン(MEK)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、またはN−メチル−2−ピロリドンとアセトンの混合物、イソプロパノール、またはメタノールを溶媒として使用することが好ましい。溶液中の全単量体の濃度は、20〜70重量%、好ましくは40〜60重量%の範囲をとることができる。
【0046】
重合は、少なくとも一種類の開始剤を、全単量体重量に対して0.1〜3.0%の割合で使用することで行ってよい。開始剤として、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化スクシニル、過ピバル酸tert−ブチルなどの過酸化物、または、例えば2,2−アゾビスイソブチロニトリル、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、アゾジカーボンアミドなどのアゾ化合物を使用することができる。
重合体の分子量を調節する場合には、連鎖移動剤を用いてよい。連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン(ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等)、アミノエタンチオール、メルカプトエタノール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸等が好ましく挙げられる。連鎖移動剤の使用量は、重合反応における全単量体重量100部に対して、0.01〜2重量部、例えば0.05〜1重量部の範囲で用いてよい。
重合は、40℃から反応混合物の沸点までの温度範囲で行うことができる。
【0047】
希釈段階は、含フッ素重合体の有機溶液に、液状媒体、例えば、水、強いまたは中強度の無機あるいは有機塩基水溶液を加えることによって行うことができる。このような塩基として、上述と同様の塩基類を挙げることができる。それらの中でも、水酸化ナトリウム、アンモニアを使用することが好ましい。使用する水溶液の量とその塩基の濃度は、一つは単量体(d)のカルボキシル基またはスルホン酸基を中和するため、さらにもう一つは最終含フッ素重合体溶液の固形分含量を5〜35重量%、好ましくは15〜25重量%とするために、十分な量であることが好ましい。
カルボキシル基またはスルホン酸基を中和するためには、塩基の量を、単量体(d)に対して0.1〜5当量、好ましくは0.5〜3当量とすると好都合である。
【0048】
本発明において、処理剤(例えば、撥水撥油剤または防汚剤)は、(1)含フッ素重合体および(2)液状媒体、すなわち、水、または水と水溶性有機溶媒との混合物を含んでなる。水溶性有機溶剤の例は、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール;ケトン例えば、アセトンなどである。水溶性有機溶媒の量は、混合物(水と水溶性有機溶媒との合計)に対して、50重量%以下、例えば1〜30重量%であってよい。
【0049】
処理剤は、含フッ素重合体の溶液(例えば、水溶液)の形態であることが好ましい。
処理剤において、含フッ素重合体の量は、特に限定はなく均一に溶解させることが可能な範囲内から適宜選択すればよい。含フッ素重合体の量は、処理剤に対して、0.1〜50重量%、例えば0.2〜20重量%、特に0.5〜10重量%であってよい。
【0050】
本発明の処理剤は、(1)含フッ素重合体、および(2)液状媒体に加えて、(3)添加剤を含有してもよい。
添加剤(3)の例は、含ケイ素化合物、ワックス、アクリルエマルションなどである。
【0051】
またさらに、処理剤は上記(1)〜(3)に加え必要に応じて、他の撥水剤,他の撥油剤,乾燥速度調整剤,架橋剤,造膜助剤,相溶化剤,界面活性剤,凍結防止剤,粘度調整剤,紫外線吸収剤,酸化防止剤,pH調整剤,消泡剤,風合い調整剤,すべり性調整剤,帯電防止剤,親水化剤,抗菌剤,防腐剤,防虫剤,芳香剤,難燃剤等を含有しても良い。
【0052】
本発明において、処理剤を基材に塗布して、基材に撥水撥油性および防汚性を付与する。
【0053】
基材は、石材等のメーソンリーである。メーソンリーの例は、石,レンガ,コンクリート,タイルである。石の例は、天然石(例えば、大理石、御影石),人造石である。
【0054】
メーソンリーは、処理剤で基材を処理する(塗布する)ことによって処理される。処理剤の量は、処理剤中の含フッ素重合体で0.05〜50g/m、例えば0.1〜20g、好ましくは1〜10g/mである。塗布は1回で行なってもよいが複数回に分けてもよい。塗布方法としては、刷毛塗り、スプレー、ローラー、ウェス等に染み込ませて塗布を行なったり、ディッピング等、いかなる方法でも良く、必要に応じて過剰分を拭き取ればよい。次いで処理剤を乾燥させ、液状媒体を除去する。乾燥は室温(20℃)でも良いし、80〜250℃で焼付を行なっても良い。
【0055】
「処理」とは、処理剤を、浸漬、噴霧、塗布などにより基材に適用することを意味する。処理により、処理剤の有効成分である含フッ素重合体が基材の表面に付着するおよび/または基材の内部に浸透する。
【実施例】
【0056】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、これは本発明の具体例に過ぎず、本発明はそれに限定されない。以下において、「部」および「%」は、特記しなければ、「重量部」および「重量%」である。
以下において使用した試験方法は次のとおりである。
【0057】
質量平均分子量:
含フッ素共重合体の質量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めたものである(ポリスチレン換算)。
【0058】
分散安定性:
含フッ素共重合体の分散安定性を確認した。まず固形分濃度が20重量%となるように調製した水分散液をガラス製のサンプル瓶に入れて7日間、室温にて静置し沈降や凝集の有無を目視にて確認した。沈降、凝集のないものを○、わずかに沈降、凝集のあるものを△、沈降、凝集の多いものを×として評価した。
【0059】
耐汚れ試験(撥水性):
水系の汚染物質(例えば、赤ワイン、コーヒー)を処理済み基材にのせ、液滴を24時間放置し、紙タオルで軽く水ぶきをすることで汚れを除去した。以下の基準に従って目視評価を行った。
0=濃い染み、染みの広がりが大きい
1=濃い染み、染みの広がりがわずか、またはない
2=中程度の染み、染みの広がりはない
3=かすかな染み
4=染みがない
【0060】
耐汚れ試験(撥油性):
油系の汚染物質(例えば、オリーブ油、ラー油)を処理済み基材にのせ、液滴を24時間放置し、紙タオルで軽く水ぶきをすることで汚れを除去した。以下の基準に従って目視評価を行った。
0=濃い染み、染みの広がりが大きい
1=濃い染み、染みの広がりがわずか、またはない
2=中程度の染み、染みの広がりはない
3=かすかな染み
4=染みがない
【0061】
合成例1
CF3CF2-(CF2CF2)2-CH2CH2OCOC(CH3)=CH2 (C6SFMA)53.70g、ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)17.90g、ω―ヒドロキシ―ポリオキシエチレンアクリレート(HPOEA)(ポリオキシエチレン基の平均重合度≒6)8.95g、メタクリル酸8.95g、メチルエチルケトン395.70gを四つ口フラスコ内で撹拌溶解し、窒素置換しながら64℃で保持した後、t-ブチルパーオキシピバレート1.13gを添加し、64℃で8時間反応させ、ポリマー溶液を得た。ガスクロマトグラフィーにより求めた単量体の転化率は90%以上であった。生成ポリマーの質量平均分子量は80000であった。
【0062】
合成例2
CF3CF2-(CF2CF2)2-CH2CH2OCOC(CH3)=CH2(C6SFMA)の量を52.81g、メタクリル酸の量を9.85g に変更する以外は合成例1と同様の手順を繰り返した。ガスクロマトグラフィーにより求めた単量体の転化率は90%以上であった。
【0063】
合成例3
CF3CF2-(CF2CF2)2-CH2CH2OCOC(CH3)=CH2(C6SFMA)の量を54.60g、メタクリル酸の量を8.06g に変更する以外は合成例1と同様の手順を繰り返した。ガスクロマトグラフィーにより求めた単量体の転化率は90%以上であった。
【0064】
合成例4
連鎖移動剤のラウリルメルカプタン(L−SH)を1.79g追加する以外は、合成例1と同様の手順を繰り返した。ガスクロマトグラフィーにより求めた単量体の転化率は90%以上であった。
【0065】
合成例5
連鎖移動剤のラウリルメルカプタン(L−SH)を2.69g追加する以外は、合成例1と同様の手順を繰り返した。ガスクロマトグラフィーにより求めた単量体の転化率は90%以上であった。
【0066】
合成例6
C6SFMAに代えてCF3CF2-(CF2CF2)2-CH2CH2OCOCH=CH2(C6SFA)54.60gを用い、メタクリル酸の量を8.06g に変更する以外は合成例1と同様の手順を繰り返した。ガスクロマトグラフィーにより求めた単量体の転化率は90%以上であった。
【0067】
合成例7
メタクリル酸の量を4.48g に変更し、イタコン酸4.48gを追加する以外は合成例1と同様の手順を繰り返した。ガスクロマトグラフィーにより求めた単量体の転化率は90%以上であった。
【0068】
比較合成例1
CF3CF2-(CF2CF2)2-CH2CH2OCOC(CH3)=CH2(C6SFMA)の量を62.65g、メタクリル酸の量を0g に変更する以外は合成例1と同様の手順を繰り返した。ガスクロマトグラフィーにより求めた単量体の転化率は90%以上であった。
【0069】
比較合成例2
CF3CF2-(CF2CF2)2-CH2CH2OCOC(CH3)=CH2(C6SFMA)の量を71.60g、ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)0g に変更する以外は合成例1と同様の手順を繰り返した。ガスクロマトグラフィーにより求めた単量体の転化率は90%以上であった。
【0070】
比較合成例3
CF3CF2-(CF2CF2)2-CH2CH2OCOC(CH3)=CH2(C6SFMA)の量を62.65g、ω―ヒドロキシ―ポリオキシエチレンアクリレート(HPOEA)0g に変更する以外は合成例1と同様の手順を繰り返した。ガスクロマトグラフィーにより求めた単量体の転化率は90%以上であった。
【0071】
合成例および比較合成例で得られた重合体の組成および質量平均分子量を表1に示す。
【0072】
調製例1
合成例1で得られた含フッ素共重合体溶液の35gに塩基として1.0%の水酸化ナトリウム水溶液48.48gを添加し、エバポレータ―を用いて加熱、減圧下でメチルエチルケトンを留去し、淡黄色透明な水分散液を得た。この水分散液にさらにイオン交換水を加えて固形分濃度20重量%である水分散液を得た。得られた水分散液の分散安定性を評価した結果を表1に示す。
【0073】
調製例2
合成例2で得られた含フッ素共重合体溶液35gに塩基として1.0%の水酸化ナトリウム水溶液54.35gを添加する以外は調製例1と同様の手順を繰り返した。
【0074】
調製例3
合成例3で得られた含フッ素共重合体溶液35gに塩基として1.0%の水酸化ナトリウム水溶液41.87gを添加する以外は調製例1と同様の手順を繰り返した。
【0075】
調製例4
合成例4で得られた含フッ素共重合体溶液35gに塩基として1.0%の水酸化ナトリウム水溶液48.48gを添加する以外は調製例1と同様の手順を繰り返した。
【0076】
調製例5
合成例5で得られた含フッ素共重合体溶液35gに塩基として1.0%の水酸化ナトリウム水溶液48.48gを添加する以外は調製例1と同様の手順を繰り返した。
【0077】
調製例6
合成例6で得られた含フッ素共重合体溶液35gに塩基として1.0%の水酸化ナトリウム水溶液41.87gを添加する以外は調製例1と同様の手順を繰り返した。
【0078】
調製例7
合成例7で得られた含フッ素共重合体溶液35gに塩基として2.1%の水酸化ナトリウム水溶液57.36gを添加する以外は調製例1と同様の手順を繰り返した。
【0079】
比較調製例1
比較合成例1で得られたポリマー溶液35gにイオン交換水48.48gを添加する以外は調製例1と同様の手順を繰り返した。
【0080】
比較調製例2
比較合成例2で得られた含フッ素共重合体溶液35gに塩基として1.0%の水酸化ナトリウム水溶液48.48gを添加する以外は調製例1と同様の手順を繰り返した。
【0081】
比較調製例3
比較合成例3で得られた含フッ素共重合体溶液35gに塩基として1.0%の水酸化ナトリウム水溶液48.48gを添加する以外は調製例1と同様の手順を繰り返した。
【0082】
実施例1
調製例1で得られた水分散液を固形分が3重量%となるようにイオン交換水で希釈した。ポリッシュ済みの多孔質基材の表面に処理液を塗布し(5cmx10cmの面積に対し、1gの処理液)、室温で10分放置後、過剰な処理液をふきとった。さらに室温で24時間放置後、耐汚れ試験(撥水性および撥油性)を行った。
多孔質基材としてはライムストーン(モカクリーム・水磨き)および花崗岩(チャイナホワイト・ジェットバーナー処理)を用いた。
結果を表1に示す。
【0083】
実施例2〜7
調製例2〜7で得られた水分散液を用いる以外は実施例1と同様の手順を繰り返した。
【0084】
比較例1
比較調製例1で得られた水分散液とした。
【0085】
比較例2
比較調製例2で得られた水分散液とした。
【0086】
比較例3
比較調製例3で得られた水分散液を用いる以外は実施例1と同様の手順を繰り返した。
【0087】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のメーソンリー処理組成物は、揮発性有機化合物(VOC)の問題が発生することがなく、簡単な塗布作業によって、種々のメーソンリーを処理することができる。