(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対のカップ部の上方にそれぞれ設けられ、前記カップ部の上側のバストを被覆するとともに、前記カップ部の上側のバストを体の中心に向かう方向に押圧可能な伸縮部材で形成される一対の上バスト被覆部をさらに備え、
前記上バスト被覆部の伸縮部材は、前記一対のカップ部の中心から前記一対のカップ部のそれぞれの上端に向かう方向に伸縮するように、それぞれ配設される
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカップ部を有する衣類。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0014】
(実施の形態)
本発明の実施の形態において、バストを被覆するカップ部を有する衣類の一例であるブラジャー1を説明する。
図1ないし
図4に示すように、ブラジャー1は、一対のカップ部2、土台部3、帯状部4、一対の脇被覆部5、一対の上バスト被覆部6および一対のストラップ部7を備える。
【0015】
カップ部2は、それぞれ左右のバストを立体的に被覆する一対の釣鐘形状により、バストの造形性および保形性を担保するように形成される。本発明の実施の形態においてカップ部2は、バージスラインにワイヤーを設けず、伸縮性を有する素材で、バストの形状にあうような釣鐘形状を形成する。本発明の実施の形態において、カップ部2は、保形性を有するウレタン素材で形成される。カップ部2は、さらに通気性を実現するために、複数の貫通穴が設けられたウレタン素材で形成されても良い。
【0016】
本発明の実施の形態に係るカップ部2は、保形性を有するウレタン素材からなる場合を説明するが、ノンワイヤーのモールド成型部材などで形成されてもよく、種々の部材を適用することができる。また、ノンワイヤータイプに限らず、バージスラインをワイヤーで支えるタイプなどの、カップ部2の構成を問わない。また、フルカップ、3/4カップなどの、カップ部2の形状も問わない。
【0017】
土台部3は、伸縮性を有する素材で、カップ部2と帯状部4との形状に合致するように形成され、カップ部2を帯状部4に接続する。
【0018】
帯状部4は、着用者のバスト下方で周方向に、緊締力を有する部材で形成される。帯状部4は、例えば、幅広ゴムであって、幅2センチから4センチ程度の幅を有する。帯状部4がパワーの強い部材で形成されることから、着用者の動きによって着くずれしたり、ずれたりすることなく、着用者の胴体に、安定して配設される。帯状部4の肌側に、糸刺繍による凹凸などにより、滑り止め加工がなされても良い。
【0019】
図3に示すように、帯状部4の背面側の上端に、ストラップ部7を係止するためのタブ8aおよび8bを有する。本発明の実施の形態において帯状部4は、背面上端の左右それぞれに、複数のタブ8aおよび8bを左右対称に設け、一対のストラップ部7を係止する幅を適宜変更可能に形成される。
【0020】
脇被覆部5は、一対のカップ部2の左右両側にそれぞれ設けられ、脇肉を被覆するとともに、脇肉を体の中心に向かう方向に押圧可能な伸縮部材で形成される。脇被覆部5は、肩の稜線を超えた背面の位置で、それぞれストラップ部7に接続する。脇被覆部5は、カップ部2の左右両側から左右の肩の稜線を経由して、徐々に細くなるように形成されて、ストラップ部7に接続する。
【0021】
脇被覆部5は、着用者の動きなどによって脇肉が移動すると、その移動に追従して伸縮することにより、脇肉を体の中心に向かう方向に押圧し、着用者の脇肉近傍の輪郭を整える。本発明の実施の形態において「体の中心に向かう方向」は、右側の脇肉近辺における左後ろ方向や、左側の脇肉近辺における右後ろ方向を示す。具体的には、脇被覆部5は、右側の脇肉を右前方向から左後方向に押下するとともに、左側の脇肉を左前
方向から右後ろ方向に押下して、脇肉を体に密着させる。
【0022】
上バスト被覆部6は、一対のカップ部2の上方にそれぞれ設けられ、カップ部2の上側のバストを被覆するとともに、カップ部2の上側のバストを体の中心に向かう方向に押圧可能な伸縮部材で形成される。上バスト被覆部6は、着用者の動きによって上側のバストが移動すると、その移動に追従して伸縮することにより、上側のバストを被覆するとともに、上側のバストを体の中心に向かう方向に押圧し、着用者のバストの輪郭を整える。本発明の実施の形態において「体の中心に向かう方向」は、バスト近辺において、後ろ斜め下方に向かう方向を示す。具体的には、上バスト被覆部6は、バストの上側を前方斜め上方向から後ろ斜め下方向に向かう方向に押下して、バストを体に密着させる。
【0023】
ストラップ部7は、着用者の背面で帯状部4にそれぞれ連結し、非伸縮または難伸縮性を有する。ストラップ部7は、肩の稜線を超えて背面に到る一対の脇被覆部5にそれぞれ接続する。ストラップ部7の帯状部4と連結する端部は、フックが設けられており、帯状部4と着脱可能に形成される。一対のストラップ部7は、
図3に示すように平行にまたは交差して、帯状部4のタブ8aまたは8bに係止することができる。
【0024】
ストラップ部7は、帯状部4の緊締力を支えに脇被覆部5を引っ張る。これにより、ストラップ部7は、着用者の前面において、カップ部2を引き上げて、美しいバストの造形に寄与するとともに、着用者の脇近傍において、脇被覆部5を皮膚と密接させ、脇被覆部5に脇肉を体の中心に向かう方向に押圧させる。
【0025】
またストラップ部7には、ストラップ部7の長さを調節するための調節部7aが設けられている。調節部7aは、ストラップ部7の長さを調節して、脇被覆部5を適切なパワーで引っ張ることができる長さで固定可能することができる。
【0026】
本発明の実施の形態に係るブラジャー1は、カップ部2、土台部3、帯状部4、脇被覆部5および上バスト被覆部6が、それぞれ伸縮性を有する部材で形成され、ブラジャー1全体として伸縮性を実現している。これにより、着用者の動きやすさを実現するとともに、着用者の動きに伴うバストの揺れや皮膚の伸びに追従して、バストの保護や保形性を実現する。
【0027】
(脇被覆部)
脇被覆部5は、カップ部2の左右の外側方向に隣接して設けられ、カップ部2の脇側の脇肉を被覆するとともに、脇肉を体の中心に向かう方向に押圧可能な、高い伸縮性と柔軟性を有する部材で形成される。脇被覆部5は、カップ部2からはみ出るバストやバストに隣接する脇肉を押圧可能な所定の面積を有するので、脇被覆部5は、面で、カップ部2からはみ出るバストや脇肉を押圧することにより、着用者の肌当たりを向上させ、着用者の動きに追従することができる。
【0028】
脇被覆部5は、例えば、カップ部2の脇側で、着用時に2〜5センチ程度の幅を有するように形成されるが、これに限るものではない。脇被覆部5の幅は、着用者のサイズ、ブラジャー1の適用サイズやデザイン、脇被覆部5の素材等によって適宜変更される。
【0029】
脇被覆部5は、パワーネット、トリコット等の着用者のサイズや動きに追従するように、滑らかに伸びて縮む素材で形成されることが好ましい。伸びにくい素材や縮みやすい素材は、着用者に窮屈さを与え、着用者のサイズや動きに追従しづらい場合がある。従って、脇被覆部5を高い伸縮性を有する部材で形成することにより、着用感や動きやすさを向上するとともに、脇肉の揺れにフィットすることができる。
【0030】
脇被覆部5は、
図2に示すように、脇被覆部5の脇側は、脇線S近傍で帯状部4に連結する。また脇被覆部5の短手方向(水平方向)は、脇線Sをまたぐように配設される。これにより、脇被覆部5は、バスト脇側近傍のボリュームのある位置を被覆するので、着用者の動きを阻害することなく、効果的に脇肉を被覆することができる。また、帯状部4の緊締力で脇被覆部5を後ろ方向に引くパワーが生じるので、脇被覆部5が張った状態で脇肉を被覆することができ、脇肉を体の中心方向に押圧することができる。また、脇被覆部5は、着用者の動きやすさを損なわないように、脇の後端(アームホールの後端)に対応する前後方向の位置よりも前に、配設されることが好ましい。
【0031】
なお、本発明の実施の形態において脇線Sは、体の前側(腹側)と後側(背側)の境界となる線である。
【0032】
図5を参照して、脇被覆部5の形状を説明する。
図5に示す脇被覆部5は、上端がストラップ部7に接続し、下端が帯状部4に接続し、下方が太く上方が先細りする、略「く」の字形状を有する。
【0033】
図1および
図5に示す脇被覆部5に、上バスト被覆部6の上端の高さに対応する位置P1、カップ部2の上端の高さに対応する位置P2、バストトップの高さに対応する位置P3およびカップ部2の下端の高さに対応する位置P4を付している。
【0034】
脇被覆部5の脇側の辺(
図5の右辺)とカップ部2側の辺(
図5の左辺)は、カップ部2の上端の高さ位置P2からカップ部2の下端の高さ位置P4の間で、換言すると、バストトップの高さ位置P3近傍で、それぞれ曲率が大きくなるようにカーブを形成する。脇側の辺は、上バスト被覆部6の上端の高さ位置P2とバストトップの高さ位置P3の間の位置P11で、曲率が最大になる。カップ部2側の辺は、バストトップの高さ位置P3と上バスト被覆部6の下端の高さ位置P4との間の位置P12で、曲率が最大になる。
【0035】
ここで、脇被覆部5の脇側の辺(
図5の右辺)と、カップ部2側の辺(
図5の左辺)を比較する。脇被覆部5の脇側(
図5の右辺側)のカップ部2の上端位置P2から下端P4の高さに対応する部分は、脇被覆部5のカップ部2側(
図5の左辺側)のカップ部2の上端位置P2から下端位置P4の高さに対応する部分よりも、曲率が大きく、かつ短くなるように形成される。脇被覆部5の脇側が、脇被覆部5のカップ部2側よりも、短く形成されるので、
図6に示すように、平置き時において、脇被覆部5はその柔軟性により折りたたまれ、脇被覆部5の脇側の辺は、カップ側端部52の辺やカップ部2に重なるように、配設される。
【0036】
着用者が本発明の実施の形態に係るブラジャー1を着用すると、脇被覆部5のカップ部2側はカップ部2の保形性に伴って、あまり伸長しない。これに対し、脇被覆部5の脇側は、着用者の脇まわり(アームホール)の形状にあわせて、伸長する。この結果、ブラジャー1の着用時において、脇被覆部5の脇側は、脇被覆部5のカップ側よりも、大きく伸長する。
【0037】
例えば脇被覆部5の脇側のカップ部2の上端P2から帯状部4の接続位置に対応する部分において、着用時のわたり長さ(
図4のL1)は、平置き時のわたり長さ(
図6のL2)に対して105〜130%程度に伸長して形成される。脇被覆部5は、伸縮性を有する素材で形成されるので、着用時に、これにより脇被覆部5は、
図1および
図2に示すように、カップ部2の脇側近傍で大きく引っ張られることにより、脇被覆部5が、脇肉を体の中心に向かう方向に押圧することができる。
【0038】
脇被覆部5の伸縮部材は、
図4のK1に示すように、カップ部2の上端に対応する高さ位置から肩の稜線に向かう方向に伸縮するように配設される。脇被覆部5を形成する伸縮部材が、特定方向に大きく伸縮する特徴を有する場合、脇被覆部5は、カップ部2の上脇側の長手方向(上下方向)が、大きく伸縮する方向に一致するように形成される。カップ部2の上側で伸縮することにより、カップ部2および脇被覆部5のカップ部2の脇側部分を引っ張り上げる。これにより、バストの造形性を保つとともに、脇被覆部5のカップ部2の脇側の張りを維持することができるので、脇肉を押圧することが可能となる。特に、着用者の動きによってバストが揺れても、脇被覆部5がカップ部2の上側で伸縮することにより、バストの揺れを吸収して、脇被覆部5が脇肉を押圧するパワーに影響を与えにくくすることができる。
【0039】
また、上バスト被覆部6が設けられる場合、脇被覆部5は、上バスト被覆部6の上脇側の長手方向が、大きく伸縮する方向に一致するように形成されることが好ましい。脇被覆部5は、脇被覆部5のカップ部2の脇側部分を引っ張り上げ、さらに上バスト被覆部6を左右に引くことができるので、上バスト被覆部6に張りをもたせて、バストに沿わせることができる。
【0040】
このように、脇被覆部5の脇肉近傍部分が肩の稜線から引き上げられ、脇被覆部5の下端ないし脇端近傍部分が帯状部4の緊締力により後方向に引っ張られ、脇被覆部5のカップ部2側の端がカップ部2によって支えられる。これにより脇被覆部5は、脇肉にテンションをかけて脇肉を被覆するので、脇肉を体の中心方向に押圧し、脇肉の形状を整えることができる。
【0041】
脇被覆部5は、脇側の端に、脇被覆部5よりも強いパワーを有する脇側端部51を備え、カップ部2側の端に、脇被覆部5よりも強いパワーを有するカップ側端部52を備える。脇側端部51は、脇肉の移動を妨げ、脇被覆部5が、脇側端部51によって留まった脇肉を、体の中心に向かう方向に押圧する。
【0042】
本発明の実施の形態において脇側端部51およびカップ側端部52は、
図1等に示すように、パイピングテープで脇被覆部5の左右端をくるみ縫着して、形成される。本発明の実施の形態においてパイピングテープは、例えば、ストレッチテープやゴムテープなどのよく伸びる素材であって、例えば、5ミリ〜1センチ程度の幅を有する。なお、パイピングテープは、脇被覆部5に接続されれば良く、その接続方法は、縫着に限らず、接着剤などによる接続でも良い。
【0043】
本発明の実施の形態において脇側端部51は、脇被覆部5に比べて、強いパワーがかるように形成される。例えば脇被覆部5と脇側端部51は、伸び率が脇被覆部5>脇側端部51となり、伸長回復性が脇被覆部5<脇側端部51となるように形成される。
【0044】
脇側端部51は、脇被覆部5に比べて、強いパワーがかるように形成されることにより、着用者の動きに伴って脇側端部51が移動して、
脇側端部51は、脇肉に追従する。さらに、脇側端部51によりストラップ部7からの引く力が、脇被覆部5のカップ部2の脇側部分に伝わり、この部分の脇肉がはみ出しにくいように形成され、着用者の脇肉近傍の輪郭を整える。ここで、脇被覆部5は、脇側端部51よりも幅広に形成されるので、脇側端部51の狭い面で、脇肉の一部を局所的に押圧して効果的に脇肉の移動に追従し、脇被覆部5の広い面で、脇肉がはみ出しにくいように形成する。これにより、着用者の着用感を損なうことはなく、脇肉の輪郭形成を実現することができる。
【0045】
脇被覆部5の素材として、脇肉の揺れを抑制するとともに、着用者の脇肉の形状に馴染むことのできる素材がよく、例えば
図4に示すK1方向の伸長回復性が160cNから240cN程度の素材が好適である。なお、伸長回復性が小さすぎる場合、押さえる力が弱いので、脇肉の移動を抑制する効果が少なく、伸長回復性が大きすぎる場合、押さえる力が大きすぎて、着用者の脇肉の形状に馴染みにくく、快適な着用感が得られない。伸長回復性は、試験片を定速伸長形引張試験機に取り付け、300mm/分程度の速度で伸長回復を複数回繰り返し、50%伸長した際の伸長力(cN)と、50%回復した際の回復力(cN)の平均により算出される。ここで試験片は、160mm×25mmであって、試験片は、上部つかみ25mm、下部つかみ35mmおよびつかみ間隔100mmで、定速伸長形引張試験機に取り付けられる。
【0046】
また脇被覆部5の素材として、
図4に示すK1方向の伸び率が、160%から240%程度の素材が好まれる。この伸び率は、伸長回復性で用いた試験片と同様の試験片を、伸長回復性の試験と同様に定速伸長形引張試験機に取り付け、試験片をK1方向に加重14.7Nをかけて測定されたものである。
【0047】
脇側端部51およびカップ側端部52に用いられるパイピングテープの素材として、脇肉の移動を抑制するとともに、着用者の脇肉の形状に馴染むことのできる素材がよく、例えば素材を二枚重ねた時の伸長回復性が110cNから180cN程度の素材が好適である。なお、伸長回復性が大きすぎる場合、着用者の脇肉の形状に馴染まず、伸長回復性が小さすぎる場合、押さえる力が弱いので、脇肉の移動を抑制する効果が少ない。伸長回復性は、試験片を定速伸長形引張試験機に取り付け、300mm/分程度の速度で伸長回復を複数回繰り返し、50%伸長した際の伸長力(cN)と、50%回復した際の回復力(cN)の平均により算出される。ここで試験片は、幅6.5mmのテープ状である。
【0048】
また脇側端部51(カップ側端部52)のパイピングテープの素材として、素材を二枚重ねた時の長手方向の伸び率は、110%から180%程度の素材が好まれる。この伸び率は、伸長回復性で用いた試験片と同様の試験片を、伸長回復性の試験と同様に定速伸長形引張試験機に取り付け、試験片を長手方向に加重14.7Nをかけて測定されたものである。
【0049】
なお脇側端部51およびカップ側端部52における伸び率および伸長回復性は、脇側端部51およびカップ側端部52に用いられるパイピングテープの伸び率および伸長回復性とは異なる。すなわち、脇側端部51およびカップ側端部52は、
図1等に示すように、パイピングテープで脇被覆部5の左右端をくるみ縫着して、形成される。従って、脇被覆部5の端においては、脇被覆部5に、パイピングテープを二枚重ねて形成されるため、脇側端部51およびカップ側端部52における伸長回復性および伸び率は、上述した脇側端部51およびカップ側端部52のパイピングテープの伸長回復性よりも大きく、伸び率が小さくなる。
【0050】
(上バスト被覆部)
上バスト被覆部6は、カップ部2の上方向に隣接して設けられ、カップ部2の上側のバストを被覆するとともに、上側のバストを体の中心に向かう方向に押圧可能な、高い伸縮性を有する部材で形成される。上バスト被覆部6は、カップ部2からはみ出るバストを押圧可能な所定の面積を有するので、上バスト被覆部6は、面で、カップ部2からはみ出るバストや脇肉を押圧することにより、着用者の肌当たりを向上させ、着用者の動きに追従することができる。
【0051】
上バスト被覆部6は、例えば、カップ部2の上端に平行して、約2〜5センチの幅を有するように形成されるが、これに限るものではない。上バスト被覆部6の幅は、着用者のサイズ、ブラジャー1の適用サイズ、脇被覆部5の素材、カップ部2のデザイン等によって適宜設定される。
【0052】
上バスト被覆部6は、パワーネット、トリコット等の着用者のサイズや動きに追従するように、滑らかに伸びて縮む素材で形成されることが好ましい。伸びにくい素材や縮みやすい素材は、着用者に窮屈さを与え、着用者のサイズや動きに追従しづらい場合がある。従って、上バスト被覆部6を高い伸縮性を有する部材で形成することにより、着用感や動きやすさを向上するとともに、バストの揺れにフィットすることができる。
【0053】
上バスト被覆部6は、左右のバストの中間位置から、カップ部2の左右の脇側上方にいたる位置に設けられ、左右の脇被覆部5にそれぞれ接続する。脇被覆部5は、肩の稜線から引き上げるパワーで、上バスト被覆部6を体の中心方向に引きつけることにより、上バスト被覆部6を、カップ部2の上側のバストに押圧させ、上側のバストの輪郭を整える。
【0054】
上バスト被覆部6の伸縮部材は、
図4の左右のK2方向に示すように、一対のカップ部2の中心から一対のカップ部2のそれぞれの上端に向かう方向に伸縮するように、それぞれ配設される。上バスト被覆部6を形成する伸縮部材が、特定方向に大きく伸縮する特徴を有する場合、上バスト被覆部6は、長手方向(左右方向)が大きく伸縮する方向に一致するように形成される。上バスト被覆部6は、長手方向が大きく伸縮することにより、着用者の様々な体型(幅やボリューム)に対応して伸縮することができるので、上バスト被覆部6は、着用者の体型にかかわらず、バストの揺れに追従して、押圧することができる。またカップ部2の上縁にほぼ平行な方向に上バスト被覆部6が伸縮することにより、カップ部2の上方のバストの動きに追従しながら、押圧することができる。
【0055】
上バスト被覆部6は、上端に、上バスト被覆部6よりも低い伸縮性を有する上バスト端部61を備える。上バスト端部61は、上側のバストの移動を妨げ、上バスト被覆部6が、上バスト端部61によって留まったバストを、体の中心に向かう方向に押圧する。
【0056】
本発明の実施の形態において上バスト端部61は、
図1等に示すように、脇側端部51およびカップ側端部52と同様に、パイピングテープで上バスト被覆部6の上端をくるみ縫着して、形成される。
【0057】
上バスト被覆部6の素材は、脇被覆部5と同様に、
図4に示すK2方向の伸長回復性が160cNから240cN程度で、K2方向の伸び率が160%から240%程度の素材が好まれる。
【0058】
上バスト端部61に用いられるパイピングテープの素材として、上側のバストの移動を抑制するとともに、着用者の上側のバストの形状に馴染むことのできる素材がよく、例えば伸長回復性が200cNから280cN程度の素材が好適である。なお、伸長回復性が大きすぎる場合、着用者の上側のバストの形状に馴染まず、伸長回復性が小さすぎる場合、押さえる力が弱いので、上側のバストの移動を抑制する効果が少ない。伸長回復性は、試験片を定速伸長形引張試験機に取り付け、300mm/分程度の速度で伸長回復を複数回繰り返し、50%伸長した際の伸長力(cN)と、50%回復した際の回復力(cN)の平均により算出される。ここで試験片は、幅5mmのテープ状である。
【0059】
また上バスト端部61に用いられるパイピングテープの素材として、長手方向の伸び率は、30%から80%程度の素材が好まれる。この伸び率は、伸長回復性で用いた試験片と同様の試験片を、伸長回復性の試験と同様に定速伸長形引張試験機に取り付け、試験片を長手方向に加重14.7Nをかけて測定されたものである。
【0060】
上側のバストは、脇肉と比べてボリュームがあり大きく移動するので、上側のバストの移動をより大きなパワーで押さえられるように、上バスト端部61に用いられるパイピングテープは、脇側端部51に用いられる素材よりも、高い伸長回復性を有し、かつ低い伸び率を有する素材が好まれる。また脇側端部51に用いるパイピングテープが、上バスト端部61に用いられる素材よりも、低い伸長回復性を有し、かつ高い伸び率を有することにより、脇肉の肌当たりを良くすることができる。
【0061】
帯状部4は、カップ部2の下方において、着用者の胴体を周方向に配設される。
図3に示すように、本発明の実施の形態において帯状部4の一端に2段の雄ホック
4aが設けられ、
もう一方の端に2段の雄ホック
4aに対応する2段×4列の雌ホック
4bが設けられる。着用者は、自身の体型にあわせて適度な緊締力が得られるように、4列の雌ホック
4bのうち、適切な列の雌ホック
4bに雄ホック
4aを係止する。
【0062】
図3(a)に示すように、帯状部4の背面上端には、左右に2つずつタブ8aおよび8bが設けられており、それぞれのタブ8aおよび8bに、ストラップ部7を係止することができる。従って、
図3(a)および(b)に示すように、内側の左右のタブ8aに一対のストラップ部7を係止することもできるし、外側の左右のタブ8bに一対のストラップ部7を係止することもできる。また、ストラップ部7の調節部7aでストラップの長さを調節することにより、
図3(a)および(b)に示すように、一対のストラップ部7を平行に配設することもできるし、クロスして配設することもできる。着用者のサイズや着用するシーンに応じて、使用するタブやストラップ部7の配設を決定することができる。
【0063】
例えば、
図3(a)に示すように、一対のストラップ部7を平行に配設して内側の左右のタブ8aに係止することにより、着用者は、窮屈さを感じにくいので、日常生活時に好適である。また
図3(b)に示すように、一対のストラップ部7をクロスに配設して外側の左右のタブ8bに係止することにより、脇被覆部5の引き上げが強くなり、脇被覆部5のサポート力を強くすることができるので、活動時に好適である。
【0064】
このように本発明の実施の形態に係るブラジャー1は、カップ部2の左右両側に脇被覆部5を設け、着用時にこの脇被覆部5の脇側が大きく伸長することにより、脇被覆部5が、脇肉を体の中心に向かう方向に押圧する。これにより、着用者の動きによってバストがカップ部2からはみ出たり、脇肉が移動したりする場合でも、脇被覆部5がテンションをかけて
脇肉を覆うので、日常時はもちろん、運動時においても、脇肉の移動を抑制し、カップ部2の脇側において美しいラインを保つことができる。
【0065】
(実装例)
本発明の実施の形態において脇被覆部5および脇側端部51(カップ側端部52)は、上述した所望のように、伸び率が脇被覆部5>脇側端部51となり、伸長回復性が脇被覆部5<脇側端部51となる伸長回復性および伸び率を実現可能であれば、どのように実現されてもよい。例えば
図7に示すように、様々な実装例が考えられる。
図7の各図は、脇被覆部5および脇側端部51を側面から見た状態を模式的に表現した図である。
図7の各図において、下側が肌側に対応し、上側が着用者の外側(肌側の反対側)に対応する。また
図7には、カップ側端部52を表記しないが、脇側端部51と同様に形成されても良い。また上バスト被覆部6および上バスト端部61は、脇被覆部5および脇側端部51と同様に形成されても良い。
【0066】
図7(a)の例は、上記実施の形態で説明した例であって、脇被覆部5は、一枚のシート状の素材で形成され、脇側端部51は、脇被覆部5の素材の端をくるむことができるV字形状に形成可能なテープ状の素材で形成される。
図7(a)の例において、脇被覆部5を形成する一枚のシート状の素材が、所望の伸長回復性および伸び率を実現する。脇側端部51を形成するテープ状の素材は、脇被覆部5を形成する一枚のシート状の素材に、二重に重ねられた状態で、所望の伸長回復性および伸び率を実現する。
【0067】
図7(b)の例は、
図7(a)の例と比べて、脇被覆部5は、二枚のシート状の素材で形成される点が異なる。
図7(b)の例において、脇被覆部5を形成する二枚のシート状の素材が、所望の伸長回復性および伸び率を実現する。脇側端部51を形成するテープ状の素材は、脇被覆部5を形成する二枚のシート状の素材に、二重に重ねられた状態で、所望の伸長回復性および伸び率を実現する。
図7(b)の例は、脇被覆部5が二枚のシート状の素材で形成される場合を説明するが、三枚以上などの複数のシート状の素材で形成され、所望の伸長回復性および伸び率を実現しても良い。
【0068】
図7(c)の例は、
図7(a)の例と比べて、脇側端部51は、脇被覆部5の端をくるむことなく、脇被覆部5の外側に重ねられるテープ状の素材で形成される。
図7(c)の例において、脇側端部51を形成する一本のテープ状の素材は、脇被覆部5を形成する一枚のシート状の素材に重ねられて、所望の伸長回復性および伸び率を実現する。
図7(d)の例は、
図7(c)の例と比べて脇側端部51を形成する素材が、脇被覆部5の肌側に形成される点で異なる。なお
図7(c)および
図7(d)は、一本のテープ状の素材が、所望の伸長回復性および伸び率を実現する場合を説明するが、複数本のテープ状の素材が重ねられて、所望の伸長回復性および伸び率を実現しても良い。
【0069】
図7(e)および
図7(f)の例は、
図7(c)および
図7(d)の例と比べて、脇被覆部5が複数枚のシート状の素材(5aおよび5b)で形成される点が異なる。
図7(e)および
図7(f)の例において、脇被覆部5を形成する複数枚のシート状の素材が、所望の伸長回復性および伸び率を実現する。また、
図7(g)に示すように、脇被覆部5を形成する複数のシート状の素材5aおよび5bの間に、脇側端部51を形成するテープ状の素材が設けられても良い。
【0070】
図7(h)の例は、脇被覆部5と脇側端部51が単一の素材で形成される場合を示す。例えば脇被覆部5の素材の端に、所定の変化を施すことにより、脇被覆部5の素材の端のみに、脇被覆部5の伸長回復性および伸び率とは異なる属性を有する部分(脇側端部51)が形成されてもよい。また
図7(i)の例に示すように、脇被覆部5を形成する二枚のシート状の素材の端に、所定の加工を施して二枚のシート状の素材を結合することにより、脇被覆部5の端のみに、脇被覆部5の伸長回復性および伸び率とは異なる属性を有する部分(脇側端部51)が形成されてもよい。
【0071】
図7(h)および
図7(i)の脇側端部51に施される変化は、編み地の変化、ケミカル加工、樹脂プリントを施す加工などである。脇側端部51に施される変化により、脇側端部51は、脇被覆部5と比べて、伸長回復性が高く伸縮性が低くなり、脇肉を押さえるパワーを生じる様に形成される。これにより、脇側端部51が脇肉の移動に追従して、脇被覆部5で脇肉を
押圧することが可能となる。
【0072】
また、
図7に示すように、脇被覆部5と脇側端部51は、一重で形成されても、複数重ねて形成されても良い。また脇被覆部5と脇側端部51は、同一素材で形成されても、異なる素材で形成されても良い。このように脇被覆部5と脇側端部51は、様々な方法で実装される。
【0073】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態とその変形例によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなる。
【0074】
例えば、本発明の実施の形態において、カップ部を有する衣類は、ブラジャーの場合を説明したが、カップ部を有するキャミソール等の下着であっても良い。
【0075】
本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。