特許第6233524号(P6233524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233524
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】部品内蔵基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20171113BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H05K3/46 Q
   H05K3/46 G
   H05K3/46 N
   H05K3/32 C
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-546578(P2016-546578)
(86)(22)【出願日】2015年8月26日
(86)【国際出願番号】JP2015073953
(87)【国際公開番号】WO2016035631
(87)【国際公開日】20160310
【審査請求日】2016年11月9日
(31)【優先権主張番号】特願2014-180354(P2014-180354)
(32)【優先日】2014年9月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多胡 茂
(72)【発明者】
【氏名】釣賀 大介
【審査官】 齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/198870(WO,A1)
【文献】 特開2003−86949(JP,A)
【文献】 特開2004−152963(JP,A)
【文献】 特開2012−182390(JP,A)
【文献】 特開2012−209383(JP,A)
【文献】 特開2003−264369(JP,A)
【文献】 特開2002−305382(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/147550(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/141096(WO,A1)
【文献】 特開2011−249410(JP,A)
【文献】 特開2006−344631(JP,A)
【文献】 特開2013−207194(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/069107(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K1/00−3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面銅貼りの熱可塑性樹脂基材を含み、両面銅貼りの熱可塑性樹脂基材を含まない複数の熱可塑性樹脂基材を積層方向に積層した積層体と、
前記積層体の内部に配置され、第1の端子が設けられた第1の部品と、
前記積層体の内部で前記第1の部品と前記積層方向に異なる位置に配置され、第2の端子が設けられた第2の部品と、
前記積層体の内部に配置され、前記第1の端子と前記第2の端子とに接続される配線部と、
を備え、
前記第1の部品は、前記積層方向において前記第1の端子を前記第2の部品側に向けて配置され、
前記第2の部品は、前記積層方向において前記第2の端子を前記第1の部品側に向けて配置され、
前記配線部は、前記第1の端子が超音波接合により直接接合する第1の平面導体と、前記第2の端子が直接接合し、前記第1の平面導体に導通する第1の層間接続導体と、を含む、
部品内蔵基板。
【請求項2】
前記積層方向において、前記第1の端子と前記第2の端子との間に位置する、前記複数の熱可塑性樹脂基材における第1の熱可塑性樹脂基材の銅貼り面と第2の熱可塑性樹脂基材の銅貼り面とは、それぞれが貼り付けられた熱可塑性樹脂基材に対して同じ側に配置されている、
請求項1に記載の部品内蔵基板。
【請求項3】
前記第1の端子と前記第1の平面導体とは、溶着している、
請求項1または請求項2に記載の部品内蔵基板。
【請求項4】
前記第1の平面導体は、前記積層方向において前記第1の部品と前記第2の部品との間に配置されている、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の部品内蔵基板。
【請求項5】
前記第1の部品は、前記第1の端子を含む複数の端子を備え、
前記第2の部品は、前記第2の端子を含む複数の端子を備え、
前記第1の部品における複数の端子の配置間隔は、前記第2の部品における複数の端子の配置間隔よりも狭い、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の部品内蔵基板。
【請求項6】
前記第1の層間接続導体は、前記第1の平面導体に直接接合している、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の部品内蔵基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板内に複数の電子部品を内蔵した部品内蔵基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の熱可塑性樹脂基材を積層した多層基板が形成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の多層基板は、片面に平面導体が形成された熱可塑性樹脂基材を、基材における平面導体が形成される面の向きが同じになるように積層し、異なる基材に設けられた平面導体の間を、基材を貫通する層間接続導体によって接続していた。層間接続導体は、基材に形成した貫通孔に、導電ペーストを充填し、加熱圧着時に導電ペーストを固化させることによって形成されていた。また、従来、特許文献1に記載のような多層基板において複数の部品を内蔵する構成もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3407737号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6は、従来の構成から考えられる部品内蔵基板10Pを示す側面断面図である。部品内蔵基板10Pは、積層体11Pと電子部品21P,22Pとを備えている。積層体11Pは、熱可塑性と絶縁性を有する基材111P,112P,113P,114P,115P,116Pを備える。基材113P−116Pは、それぞれ平面導体が形成される主面と主面に対向する平面導体の非形成面とを有し、主面が同じ方向を向くように積層されている。
【0006】
電子部品21Pは、基材112Pに内蔵されている。電子部品21Pは、端子211P,212Pを備え、端子211P,212Pを基材111P側(天面側)に向けて配置されている。電子部品22Pは基材115Pに内蔵されている。電子部品22Pは端子221P,222Pを備え、端子221P,222Pを基材114P側(天面側)に向けて配置されている。
【0007】
基材114Pの表面(天面)には、電子部品21Pと電子部品22Pとに接続される共通の平面導体341Pが設けられている。また、基材114Pには、平面導体341Pと、平面導体342Pと、層間接続導体441Pと、層間接続導体442Pと、が設けられている。基材113Pには、平面導体331Pと、層間接続導体431Pと、が設けられている。基材112Pには、平面導体321Pと、層間接続導体421Pと、が設けられている。基材111Pには、平面導体311Pと、平面導体312Pと、層間接続導体411Pと、層間接続導体412Pと、層間接続導体413Pと、が設けられている。
【0008】
そして、部品内蔵基板10Pでは、電子部品21Pと電子部品22Pとがともに接続される共通の平面導体341Pに対して、電子部品22Pは層間接続導体441Pのみを介して接続されている。一方、電子部品21Pは、層間接続導体411P、平面導体311P、層間接続導体413P、平面導体321P、層間接続導体421P、平面導体331P、および、層間接続導体431Pと、より多くの平面導体および層間接続導体を介して共通の平面導体341Pに接続されている。
【0009】
このように、従来の部品内蔵基板では、複数の電子部品を内蔵する場合に、いずれかの電子部品に接続される平面導体と層間接続導体とによる配線長が著しく長くなってしまい、いずれかの電子部品に対して生じる伝送損失が過大になることがあった。
【0010】
本発明の目的は、複数の電子部品が内蔵された部品内蔵基板において、各電子部品に接続される平面導体と層間接続導体とによる伝送損失を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の部品内蔵基板は、複数の熱可塑性樹脂基材を積層方向に積層した積層体と、前記積層体の内部に配置され、第1の端子が設けられた第1の部品と、前記積層体の内部で前記第1の部品と前記積層方向において異なる位置に配置され、第2の端子が設けられた第2の部品と、前記積層体の内部に配置され、前記第1の端子と前記第2の端子とに接続される配線部と、を備える。また、前記第1の部品は、前記積層方向において前記第1の端子を前記第2の部品側に向けて配置される。前記第2の部品は、前記積層方向において前記第2の端子を前記第1の部品側に向けて配置される。そして、前記配線部は、前記第1の端子が超音波接合により直接接合する第1の平面導体と、前記第2の端子が直接接合し、前記第1の平面導体に導通する第1の層間接続導体と、を含む。
【0012】
この構成では、積層体の積層方向における第1の端子と第2の端子との間隔を従来よりも狭めることができる。これにより、第1の端子と第2の端子に導通する配線部の配線長を短くすることができる。
【0013】
前記第1の平面導体は、前記積層方向において前記第1の部品と前記第2の部品との間に配置されていることが好ましい。
【0014】
この構成では、配線部の配線長を更に短くすることができる。
【0015】
前記第1の部品は、前記第1の端子を含む複数の端子を備え、前記第2の部品は、前記第2の端子を含む複数の端子を備え、前記第1の部品における複数の端子の配置間隔は、前記第2の部品における複数の端子の配置間隔よりも狭いことが好ましい。
【0016】
はんだ付け等の一般的な接合法を利用して部品の端子を平面導体に接続する場合には、接合材の濡れや拡がりによる短絡の危険性があるため、部品において端子の配置間隔は比較的広くしておく必要がある。一方、部品の端子を層間接続導体に接続する場合には、部品において端子の配置間隔は比較的狭くてもよい。このため、通常は、平面導体に接続される端子の配置間隔は、層間接続導体に接続される端子の配置間隔よりも広く設定される。しかしながら、第1の部品の端子を超音波接合によって第1の基材の平面導体に接合する場合には、第1の部品における端子の配置間隔を比較的狭く設定することができる。したがって、第1の部品と第2の部品とを共にIC部品のような端子の配置間隔が狭い部品とすることが可能になる。そして、第1の部品における端子の配置間隔を、第2の部品における端子の配置間隔よりも狭く設定することも可能になる。
【0017】
前記第1の層間接続導体は、前記第1の平面導体に直接接合していてもよい。
【0018】
この構成では、配線部の配線長を更に短くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、内蔵する複数の電子部品それぞれに対して生じる伝送損失が小さい部品内蔵基板を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵基板の構造を示す側面断面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵基板の加熱圧着前の構造を示す側面断面図である。
図3】本発明の変形例に係る部品内蔵基板を備える回路モジュールの側面断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る部品内蔵基板の構造を示す側面断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る部品内蔵基板の加熱圧着前の構造を示す側面断面図である。
図6】従来の構成から考えられる部品内蔵基板を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る部品内蔵基板10について説明する。図1は、部品内蔵基板10の構造を示す側面断面図である。
【0022】
部品内蔵基板10は、積層体11と、電子部品21と、電子部品22と、平面導体331,332,333,341,342,343,351と、層間接続導体431,441,442,443,451を備える。
【0023】
積層体11は、複数の熱可塑性樹脂基材111−116を、それぞれの厚み方向を積層方向として積層した構成である。熱可塑性樹脂基材111、熱可塑性樹脂基材112、熱可塑性樹脂基材113、熱可塑性樹脂基材114、熱可塑性樹脂基材115、および熱可塑性樹脂基材116は、この記載順で積層体11に積層されている。以下、積層体11における積層方向の両端の面のうち、熱可塑性樹脂基材111側の面は「天面」と称し、熱可塑性樹脂基材116側の面は「底面」と称する。各熱可塑性樹脂基材111−116は、それぞれ膜状の熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂は、例えば液晶ポリマを主成分とした材料からなる。
【0024】
熱可塑性樹脂基材111−113は平面視して互いに同形状となるように成形されている。熱可塑性樹脂基材114−116もまた平面視して互いに同形状となるように成形されている。熱可塑性樹脂基材114−116は、平面視して熱可塑性樹脂基材111−113よりも大きい面積となるように成形されている。したがって、積層体11は、熱可塑性樹脂基材111−116が積層される部分と、熱可塑性樹脂基材114−116が積層される部分とで厚みが異なる。熱可塑性樹脂基材111−116が積層された部分は殆どフレキ性を有さない。すなわち、熱可塑性樹脂基材111−116が積層された部分は、部品内蔵基板10のリジッド部である。熱可塑性樹脂基材114−116のみが積層された部分はフレキ性を有する。すなわち、熱可塑性樹脂基材114−116のみが積層された部分は、部品内蔵基板10のフレキ部である。
【0025】
熱可塑性樹脂基材113−115は、それぞれ、片面銅貼りされた熱可塑性樹脂シートからなり、二面ある膜面の内の片面のみに平面導体が形成されている。すなわち、熱可塑性樹脂基材113−115は、両面銅貼りされた熱可塑性樹脂シートではない。以下、熱可塑性樹脂基材113−115における平面導体が形成されている側の膜面は、「主面」と称する。熱可塑性樹脂基材113−115における平面導体が形成されていない側の膜面は、「非形成面」と称する。
【0026】
熱可塑性樹脂基材116は、二面ある膜面がともに導体が形成されていない非形成面である。すなわち、熱可塑性樹脂基材116における底面側の膜面を熱可塑性樹脂基材116の主面とすると、熱可塑性樹脂基材116は主面に対向する非形成面だけでなく、主面にも平面導体が形成されていない。
【0027】
熱可塑性樹脂基材115は、二面ある膜面のうち熱可塑性樹脂基材116側(底面側)の膜面が主面であり、熱可塑性樹脂基材114側(天面側)の膜面が非形成面である。熱可塑性樹脂基材115の主面、すなわち、熱可塑性樹脂基材115と熱可塑性樹脂基材116との境界面には、平面導体351が形成されている。平面導体351は、積層体11のフレキ部内に配置されている。
【0028】
また、熱可塑性樹脂基材115の内部には、主面から非形成面にかけて層間接続導体451が形成されている。層間接続導体451は、熱可塑性樹脂基材115の主面、すなわち、熱可塑性樹脂基材115と熱可塑性樹脂基材116との境界面で、平面導体351に接続されている。
【0029】
熱可塑性樹脂基材114は、二面ある膜面のうち熱可塑性樹脂基材113側(天面側)の膜面が主面であり、熱可塑性樹脂基材115側(底面側)の膜面が非形成面である。熱可塑性樹脂基材114の主面、すなわち、熱可塑性樹脂基材113と熱可塑性樹脂基材114との境界面には、平面導体341,342,343が形成されている。平面導体341の一端と平面導体342は、積層体11のリジッド部内に配置されている。平面導体341の他端と平面導体343は、積層体11のフレキ部の表面に配置されている。平面導体341は、一端が後述する電子部品22用のランド導体であり、他端がこの部品内蔵基板10を表面実装型の回路素子や外部の回路基板に接続する外部接続用のランド導体である。平面導体342は、電子部品22用のランド導体である。平面導体343は、この部品内蔵基板10を表面実装型の回路素子や外部の回路基板に接続する外部接続用のランド導体である。
【0030】
熱可塑性樹脂基材114の内部には、主面から非形成面にかけて層間接続導体441,442,443が形成されている。層間接続導体441は、熱可塑性樹脂基材114の主面、すなわち、熱可塑性樹脂基材113と熱可塑性樹脂基材114との境界面で、平面導体341に接続されている。層間接続導体442は、熱可塑性樹脂基材114の主面、すなわち、熱可塑性樹脂基材113と熱可塑性樹脂基材114との境界面で、平面導体342に接続されている。層間接続導体443は、熱可塑性樹脂基材114の主面、すなわち、熱可塑性樹脂基材113と熱可塑性樹脂基材114との境界面で、平面導体343に接続されている。
【0031】
また、層間接続導体441は、熱可塑性樹脂基材114の非形成面、すなわち、熱可塑性樹脂基材114と熱可塑性樹脂基材115との境界面で、後述する電子部品22の端子221に接続されている。層間接続導体442は、熱可塑性樹脂基材114の非形成面、すなわち、熱可塑性樹脂基材114と熱可塑性樹脂基材115との境界面で、後述する電子部品22の端子222に接続されている。層間接続導体443は、熱可塑性樹脂基材114の非形成面、すなわち、熱可塑性樹脂基材114と熱可塑性樹脂基材115との境界面で、熱可塑性樹脂基材115に設けられた層間接続導体451に接続されている。
【0032】
熱可塑性樹脂基材113は、二面ある膜面のうち熱可塑性樹脂基材112側(天面側)の膜面が主面であり、熱可塑性樹脂基材114側(底面側)の膜面が非形成面である。熱可塑性樹脂基材113の主面、すなわち、熱可塑性樹脂基材113と熱可塑性樹脂基材112との境界面には、平面導体331,332,333が配設されている。平面導体331,332,333は、積層体11のリジッド部内に配置されている。平面導体331,332,333は、いずれも後述する電子部品21用のランド導体である。
【0033】
熱可塑性樹脂基材113の内部には、主面から非形成面にかけて層間接続導体431が形成されている。層間接続導体431は、熱可塑性樹脂基材113の主面、すなわち、熱可塑性樹脂基材113と熱可塑性樹脂基材112との境界面で、平面導体331に接続されている。また、層間接続導体431は、熱可塑性樹脂基材113の非形成面、すなわち、熱可塑性樹脂基材113と熱可塑性樹脂基材114との境界面で、熱可塑性樹脂基材114の平面導体341に接続されている。
【0034】
熱可塑性樹脂基材112は、二面ある膜面がともに導体が形成されていない非形成面である。すなわち、熱可塑性樹脂基材112における天面側の膜面を熱可塑性樹脂基材112の主面とすると、熱可塑性樹脂基材112は主面に対向する非形成面だけでなく、主面にも平面導体が形成されていない。
【0035】
熱可塑性樹脂基材111は、二面ある膜面がともに導体が形成されていない非形成面である。すなわち、熱可塑性樹脂基材111における天面側の膜面を熱可塑性樹脂基材111の主面とすると、熱可塑性樹脂基材111は主面に対向する非形成面だけでなく、主面にも平面導体が形成されていない。
【0036】
上記の積層体11において、熱可塑性樹脂基材114と熱可塑性樹脂基材115とは非形成面同士を当接させている。これにより、熱可塑性樹脂基材114や熱可塑性樹脂115の厚みを換えることなく、熱可塑性樹脂基材114と熱可塑性樹脂115の主面に形成された平面導体341と平面導体351の積層方向における間隔を、一方の主面と他方の非形成面とを当接させる場合の間隔とは異ならせている。これにより、平面導体341と平面導体351の間隔に影響をうける電気特性の調整を行っている。
【0037】
このように複数の熱可塑性樹脂基材を積層方向の途中で主面と非形成面との関係を逆転させることによって、積層体11の積層方向の両端の天面および底面に平面導体を露出させることが可能になる。このため、積層体11の天面および底面に、表面実装部品を実装するための平面導体と、積層体11を外部基板に実装するための平面導体とを同時に形成するようなことも可能になる。
【0038】
また、上記の部品内蔵基板10においては、平面導体331と層間接続導体431と層間接続導体441と平面導体341とは互いに接続されており、後述する電子部品21の端子211と電子部品22の端子221とに対して、他の電子部品を介さずに直接接続されている。以下、平面導体331と層間接続導体431と層間接続導体441と平面導体341とを合わせて、「配線部」31と称する。
【0039】
電子部品21は本発明の「第1の部品」に相当している。電子部品21は、積層体11におけるリジッド部の内部で熱可塑性樹脂基材112に内蔵されており、片面に端子211,212,213を備えている。端子211は本発明の「第1の端子」に相当している。端子211,212,213は、熱可塑性樹脂基材113側(底面側)を向いていて、熱可塑性樹脂基材112,113の境界面に露出している。電子部品21の熱可塑性樹脂基材113側(底面側)には電子部品22が配置されているため、端子211,212,213は、電子部品22側(底面側)を向いている。
【0040】
電子部品22は本発明の「第2の部品」に相当している。電子部品22は、積層体11におけるリジッド部の内部で熱可塑性樹脂基材115に内蔵されており、片面に端子221,222を備えている。端子221は本発明の「第2の端子」に相当している。端子221,222は、熱可塑性樹脂基材114側(天面側)を向いていて、熱可塑性樹脂基材114,115の境界面に露出している。電子部品22の熱可塑性樹脂基材114側(天面側)には電子部品21が配置されているため、端子221,222は、電子部品21側(底面側)を向いている。
【0041】
また、電子部品21の電子部品22側に隣接する熱可塑性樹脂基材113は、電子部品21側(天面側)に向けて配置された主面を有し、当該主面に、平面導体331は形成されている。そして、この平面導体331に対して、端子211は積層体11を平面視して重なっていて、平面導体331と端子211とは超音波接合により直接接合している。したがって、平面導体331は、本発明の「第1の平面導体」に相当し、端子211は、平面導体331を介して配線部31に接続されている。また、熱可塑性樹脂基材113の主面には、平面導体332,333も形成されていて、この平面導体332,333に対して、端子212,213は積層体11を平面視して重なっている。したがって、端子212,213は平面導体332,333に接続されている。
【0042】
電子部品22の電子部品21側に隣接する熱可塑性樹脂基材114は、電子部品22側(底面側)に向けて配置された非形成面を有し、当該非形成面に露出するように層間接続導体441は熱可塑性樹脂基材114の内部に形成されている。そして、この層間接続導体441に対して、端子221は積層体11を平面視して重なっていて、層間接続導体441と端子221とは直接接合している。したがって、層間接続導体441は、本発明の「第1の層間接続導体」に相当し、端子221は、層間接続導体441を介して配線部31に接続されている。また、熱可塑性樹脂基材114の非形成面には層間接続導体442も露出していて、この層間接続導体442に対して、端子221は積層体11を平面視して重なっている。したがって、端子221は層間接続導体442に接続されている。
【0043】
以上のように部品内蔵基板10が構成されているため、電子部品21の端子211と電子部品22の端子221とが、積層体11の積層方向において、熱可塑性樹脂基材113,114のみを介して対向し、端子211と端子221との間隔が従来よりも狭いものになる。したがって、端子211と端子221とに接続する配線部31は、電子部品21と電子部品22とに挟まれる熱可塑性樹脂基材113,114のみで接続することができる。すなわち、端子211は、熱可塑性樹脂基材113の主面に形成された平面導体331と、熱可塑性樹脂基材113の内部に形成された層間接続導体431のみを介して、熱可塑性樹脂基材114の主面に形成された平面導体341に接続することができる。また、端子221は、熱可塑性樹脂基材114の内部に形成された層間接続導体441のみを介して平面導体341に接続することができる。したがって、端子211と端子221とに接続する配線部31の配線長を短くすることができ、電子部品21,22に対して配線部31で生じる高周波信号の伝送損失を低減することができる。
【0044】
さらには、図6に示した従来の構成から考えられる部品内蔵基板10Pのように、電子部品21と共通の平面導体341との間を接続するための平面導体および層間接続導体を、リジッド部における電子部品22の配置領域とは別の領域に設けなくてもよい。したがって、リジッド部の面積を小さくでき、本実施形態に係る部品内蔵基板10は小型に形成することができる。
【0045】
また、本実施形態の構成では、積層体11を平面視して、電子部品21と電子部品22とが重なっているので、リジッド部の面積をさらに小さくすることができる。
【0046】
また、本実施形態の構成では、電子部品21の端子211と電子部品22の端子221とがそれぞれに重なっているので、配線部31での高周波信号の伝送損失をさらに低減することができる。
【0047】
また、本実施形態の構成では、電子部品22の端子221が層間接続導体441を介して接続されるランド用の平面導体が、電子部品21と電子部品22とに接続する共通の平面導体341と兼用されている。したがって、このことによっても高周波信号の伝送損失をさらに低減することができる。
【0048】
また、本実施形態の構成では、電子部品21と電子部品22との間に二層の熱可塑性樹脂基材のみが配置されている。したがって、リジッド部の高さ(厚み)を小さくすることができ、部品内蔵基板10を低背にすることができる。
【0049】
なお、本実施形態の構成では、積層方向の両端に、導体が形成されていない熱可塑性樹脂基材111,116を配置する態様を示した。これらの熱可塑性樹脂基材111,116は、電子部品21,22や導体パターンの保護用であり、省略することも可能である。
【0050】
次に、本実施形態に係る部品内蔵基板10の製造方法について説明する。図2は、部品内蔵基板10の加熱圧着前の構造を示す側面断面図である。
【0051】
部品内蔵基板10の製造工程では、まず、図2(A)に示すように、片面銅貼りの熱可塑性樹脂基材113,114,115、および、銅貼りがされていない熱可塑性樹脂基材111,112,116を用意する。そして、熱可塑性樹脂基材113の主面に形成された銅箔から、パターニング処理等によって、平面導体331,332,333を形成する。また、熱可塑性樹脂基材114の主面に形成された銅箔から、パターニング処理等によって、平面導体341,342,343を形成する。また、熱可塑性樹脂基材115の主面に形成された銅箔から、パターニング処理等によって、平面導体351を形成する。
【0052】
次工程では、図2(B)に示すように、熱可塑性樹脂基材112に対して、熱可塑性樹脂基材112を厚み方向に貫通する部品挿入用の穴82を設ける。また、熱可塑性樹脂基材115に対して、熱可塑性樹脂基材115を厚み方向に貫通する部品挿入用の穴85を設ける。また、熱可塑性樹脂基材113における平面導体331が形成されている部分の所定位置に、非形成面側から熱可塑性樹脂基材113を貫通する貫通孔431THを形成する。また、熱可塑性樹脂基材114における平面導体341,342,343が形成されている部分それぞれの所定位置に、非形成面側から熱可塑性樹脂基材114を貫通する貫通孔441TH,442TH,443THを形成する。また、熱可塑性樹脂基材115における平面導体351が形成されている部分の所定位置に、非形成面側から熱可塑性樹脂基材115を貫通する貫通孔451THを形成する。
【0053】
次工程では、図2(C)に示すように、熱可塑性樹脂基材113の主面上に、平面導体331,332に端子211,212を当接させて電子部品21を載置し、超音波接合法により電子部品21を熱可塑性樹脂基材113の主面に実装する。具体的には、電子部品21を超音波振動させることで、平面導体331,332,333と端子211,212,213との間に摩擦熱を発生させ、この摩擦熱により平面導体331,332,333と端子211,212,213とを溶着させる。これにより、電子部品21の端子211,212,213が、熱可塑性樹脂基材113の平面導体331,332,333に直接接合される。
【0054】
次工程では、図2(D)に示すように、熱可塑性樹脂基材113にて平面導体331に重なるように形成した貫通孔431THに、導電ペースト431DPを充填する。また、熱可塑性樹脂基材114にて平面導体341,342,343に重なるように形成した貫通孔441TH,442TH,443THに、導電ペースト441DP,442DP,443DPを充填する。また、熱可塑性樹脂基材115にて平面導体351に重なるように形成した貫通孔451THに、導電ペースト451DPを充填する。
【0055】
各熱可塑性樹脂基材に設けられた貫通孔の一方端には平面導体が配置されているため、流動性を有する導電ペーストに対して、この平面導体が貫通孔の底材となり、導電ペーストが貫通孔から漏れ出すことを抑制できる。したがって、部品内蔵基板10の製造が容易になるとともに、各層間接続導体の信頼性が向上する。
【0056】
そして、熱可塑性樹脂基材116の天面に熱可塑性樹脂基材115の主面が当接するように、熱可塑性樹脂基材116と熱可塑性樹脂基材115を積層する。この際、熱可塑性樹脂基材115の穴85に、電子部品22を挿入する。電子部品22は、熱可塑性樹脂基材115の非形成面側、すなわち天面側に端子221,222が向くように配置する。また、熱可塑性樹脂基材115の非形成面に熱可塑性樹脂基材114の非形成面が当接するように、熱可塑性樹脂基材115と熱可塑性樹脂基材114とを積層する。また、熱可塑性樹脂基材114の主面に熱可塑性樹脂基材113の非形成面が当接するように、熱可塑性樹脂基材114と熱可塑性樹脂基材113とを積層する。また、熱可塑性樹脂基材113の主面に熱可塑性樹脂基材112の底面が当接するように、熱可塑性樹脂基材113と熱可塑性樹脂基材112を積層する。この際、熱可塑性樹脂基材112の穴82に、熱可塑性樹脂基材113の主面に実装された電子部品21を挿入する。また、熱可塑性樹脂基材112の天面に熱可塑性樹脂基材111の底面が当接するように、熱可塑性樹脂基材112と熱可塑性樹脂基材111を積層する。
【0057】
そして、積層した熱可塑性樹脂基材111−116を、少なくとも積層方向に圧力がかかる状態で加熱して、一体化する。この際、導電ペースト431DP,441DP,442DP,443DP,451DPが固化し、層間接続導体431,441,442,443,451が形成される。この時、電子部品22の端子221,222が、熱可塑性樹脂基材114の層間接続導体441,442に直接接合される。また、穴82,85に絶縁性樹脂が埋まり込む。このようにして積層体11が実現される。
【0058】
このような製造方法を用いることによって、上述の伝送損失が低い部品内蔵基板10を、容易に製造することができる。この製造方法では、熱可塑性樹脂基材113の主面への電子部品21の実装に、端子211,212,213と平面導体331,332,333とを直接接合させる超音波接合法を利用し、実装後に熱可塑性樹脂基材111−116の積層と一体化とを行っているので、積層時等に電子部品21が穴82の内部で動くようなことが無く、電子部品21の位置がずれにくい。また、超音波接合法ではペーストやはんだを用いる接合法のように、接合材の液だれが生じないため、後の工程で加熱されることがあっても、再溶融による接合不良や不要な短絡などが生じることもない。したがって、超音波接合法で熱可塑性樹脂基材113に実装される電子部品21は高精度の位置合わせが可能であり、高い実装精度が要求されるIC部品のような端子を狭い間隔で配置した構成とすることができる。そのため、本実施形態においては、電子部品21における端子211,212,213の配置間隔を、電子部品22における端子221,222の配置間隔よりも狭いものにすることができる。
【0059】
(第1の変形例)
次に、第1の実施形態の変形例に係る回路モジュール10Aおよび部品内蔵基板11Aについて説明する。図3は、回路モジュール10Aおよび部品内蔵基板11Aの構造を示す側面断面図である。
【0060】
回路モジュール10Aは、部品内蔵基板11Aと表面実装型のコネクタ部品23A,24Aとを備えている。
【0061】
部品内蔵基板11Aは、第1の実施形態と相違する構成として、熱可塑性樹脂基材114A,115A,116Aを備えている。熱可塑性樹脂基材114A,115A,116Aは、第1の実施形態で示したフレキ部を第1のフレキ部として、リジッド部に対する第1のフレキ部とは反対側に第2のフレキ部を構成するために、リジッド部の両側に延びるように、第1の実施形態よりも伸長させた構成である。
【0062】
また、部品内蔵基板11Aは、第1の実施形態に対して追加した構成として、平面導体344A,345Aを備えている。平面導体344A,345Aは、第2のフレキ部の天面側に露出するように、熱可塑性樹脂基材114Aの主面(天面)に形成している。
【0063】
コネクタ部品23Aは、第1のフレキ部の天面側に露出する平面導体341,343に実装されている。コネクタ部品24Aは、第2のフレキ部の天面側に露出する平面導体344A,345Aに実装されている。
【0064】
本発明の部品内蔵基板11Aはこのように構成してもよい。この構成では、例えば、電子部品21および電子部品22をコネクタ部品23A,24A間の配線経路に設けられる整合回路とすることにより、回路モジュール10Aを、整合回路付きのフラットケーブルとして構成することができる。
【0065】
また、ここでは、電子部品21と電子部品22とは、積層方向に直交する方向に位置がずれており、積層方向に重なり合っていない。電子部品21と電子部品22とは、互いの端子が向き合うように配置されるならば、積層方向に重なり合っていても、積層方向に重なり合っていなくてもよい。
【0066】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る部品内蔵基板10Bについて説明する。図4は、部品内蔵基板10Bの構造を示す側面断面図である。
【0067】
部品内蔵基板10Bは、積層体11Bと、電子部品21Bと、電子部品22Bと、平面導体331B,332B,333B,334B,341Bと、層間接続導体431B,432B,433B,441Bを備える。
【0068】
積層体11Bは、ここでは合計5層の熱可塑性樹脂基材111B−115Bを、それぞれの厚み方向を積層方向として天面側から底面側にかけて積層した構成である。積層体11Bは、熱可塑性樹脂基材111B−115Bが積層されるリジッド部と、熱可塑性樹脂基材113B−115Bが積層されるフレキ部とを有している。
【0069】
熱可塑性樹脂基材113B−114Bは、それぞれ、片面銅貼りされた熱可塑性樹脂シートからなり、それぞれ主面と非形成面とを有している。
【0070】
熱可塑性樹脂基材115Bは、二面ある膜面がともに導体が形成されていない非形成面である。
【0071】
熱可塑性樹脂基材114Bは、熱可塑性樹脂基材115B側(底面側)の膜面が主面であり、熱可塑性樹脂基材113B側(天面側)の膜面が非形成面である。熱可塑性樹脂基材114Bの主面には、平面導体341Bが形成されている。熱可塑性樹脂基材114Bの内部には、主面から非形成面にかけて層間接続導体441Bが形成されている。層間接続導体441Bは、熱可塑性樹脂基材114Bの主面で、平面導体341Bに接続されている。
【0072】
熱可塑性樹脂基材113Bは、熱可塑性樹脂基材112B側(天面側)の膜面が主面であり、熱可塑性樹脂基材114B側(底面側)の膜面が非形成面である。熱可塑性樹脂基材113Bの主面には、平面導体331B,332B,333B,334Bが形成されている。熱可塑性樹脂基材113Bの内部には、主面から非形成面にかけて層間接続導体431B,432B,433Bが形成されている。層間接続導体431Bは、熱可塑性樹脂基材113Bの主面で平面導体331Bに接続され、熱可塑性樹脂基材113Bの非形成面で後述する電子部品22Bの端子221Bに接続されている。層間接続導体432Bは、熱可塑性樹脂基材113Bの主面で平面導体333Bに接続され、熱可塑性樹脂基材113Bの非形成面で後述する電子部品22Bの端子222Bに接続されている。層間接続導体433Bは、熱可塑性樹脂基材113Bの主面で平面導体334Bに接続され、熱可塑性樹脂基材113Bの非形成面で熱可塑性樹脂基材114Bに設けられた層間接続導体441Bに接続されている。
【0073】
熱可塑性樹脂基材112Bは、二面ある膜面がともに導体が形成されていない非形成面である。
【0074】
熱可塑性樹脂基材111Bは、二面ある膜面がともに導体が形成されていない非形成面である。
【0075】
上記の積層体11Bにおいては、平面導体331Bと層間接続導体431Bとは互いに接続されており、後述する電子部品21Bの端子211Bと電子部品22Bの端子221Bとに対して、他の電子部品を介さずに直接接続されている。以下、平面導体331Bと層間接続導体431Bとを合わせて、「配線部」31Bと称する。
【0076】
電子部品21Bは本発明の「第1の部品」に相当している。電子部品21Bは、熱可塑性樹脂基材112Bに内蔵されており、片面に端子211B,212Bを備えている。端子211Bは本発明の「第1の端子」に相当している。端子211B,212Bは、電子部品22B側(底面側)を向いていて、熱可塑性樹脂基材112B,113Bの境界面に露出している。
【0077】
電子部品22Bは本発明の「第2の部品」に相当している。電子部品22Bは、熱可塑性樹脂基材114Bに内蔵されており、片面に端子221B,222Bを備えている。端子221Bは本発明の「第2の端子」に相当している。端子221B,222Bは、電子部品21B側(底面側)を向いていて、熱可塑性樹脂基材113B,114Bの境界面に露出している。
【0078】
また、電子部品21Bの電子部品22B側に隣接する熱可塑性樹脂基材113Bは、電子部品21B側(天面側)に向けて配置された主面と、電子部品22B側(底面側)に向けて配置された非形成面と、を有している。そして、平面導体331Bは、本発明の「第1の平面導体」に相当し、熱可塑性樹脂基材113Bの主面に形成されている。また、層間接続導体431Bは、本発明の「第1の層間接続導体」に相当し、熱可塑性樹脂基材113Bの非形成面に露出するように熱可塑性樹脂基材113Bの内部に形成されている。
【0079】
そして、平面導体331Bに対して、端子211Bは積層体11Bを平面視して重なっていて、平面導体331Bと端子211Bとは直接接合している。また、層間接続導体431Bに対して、端子221Bは積層体11Bを平面視して重なっていて、層間接続導体431Bと端子221Bとは直接接合している。
【0080】
以上のように部品内蔵基板10Bが構成されているため、電子部品21Bの端子211Bと電子部品22Bの端子221Bとが、積層体11Bの積層方向において、熱可塑性樹脂基材113Bのみを介して対向し、端子211Bと端子221Bとの間隔が更に狭いものになる。したがって、端子211Bと端子221Bとに接続する配線部31Bは、電子部品21Bと電子部品22Bとに挟まれる熱可塑性樹脂基材113Bのみで接続することができる。したがって、端子211Bと端子221Bとに接続する配線部31Bの配線長を短くすることができ、電子部品21B,22Bに対して配線部31Bで生じる高周波信号の伝送損失を低減することができる。
【0081】
次に、本実施形態に係る部品内蔵基板10Bの製造方法について説明する。図5は、部品内蔵基板10Bの加熱圧着前の構造を示す側面断面図である。
【0082】
部品内蔵基板10Bの製造工程では、まず、図5(A)に示すように、片面銅貼りの熱可塑性樹脂基材113B,114Bと、銅貼りがされていない熱可塑性樹脂基材115Bを用意する。そして、熱可塑性樹脂基材113Bの主面に形成された銅箔から、パターニング処理等によって、平面導体331B,332B,333B,334Bを形成する。また、熱可塑性樹脂基材114Bの主面に形成された銅箔から、パターニング処理等によって、平面導体341Bを形成する。そして、熱可塑性樹脂基材114Bに対して、熱可塑性樹脂基材114Bを厚み方向に貫通する部品挿入用の穴84Bを設ける。また、熱可塑性樹脂基材113Bにおける平面導体331B,333B,334Bが形成されている部分それぞれの所定位置に、非形成面側から熱可塑性樹脂基材113Bを貫通する貫通孔を形成し、導電ペースト431BDP,432BDP,433BDPを充填する。また、熱可塑性樹脂基材114Bにおける平面導体341Bが形成されている部分の所定位置に、非形成面側から熱可塑性樹脂基材114Bを貫通する貫通孔を形成し、導電性ペースト441BDPを充填する。そして、熱可塑性樹脂基材115Bの天面に熱可塑性樹脂基材114Bの主面が当接するように、熱可塑性樹脂基材115Bと熱可塑性樹脂基材114Bを積層する。この際、熱可塑性樹脂基材114Bの穴84Bに、電子部品22Bを挿入する。電子部品22Bは、熱可塑性樹脂基材114Bの非形成面側、すなわち天面側に端子221B,222Bが向くように配置する。また、熱可塑性樹脂基材114Bの非形成面に熱可塑性樹脂基材113Bの非形成面が当接するように、熱可塑性樹脂基材114Bと熱可塑性樹脂基材113Bとを積層する。そして、積層した熱可塑性樹脂基材113B−115Bを、少なくとも積層方向に圧力がかかる状態で加熱して、一体化する。この際、導電ペースト431BDP,432BDP,433BDP,441BDPが固化し、層間接続導体431B,432B,433B,441Bが形成される。この時、電子部品22Bの端子221B,222Bが、熱可塑性樹脂基材113Bの層間接続導体431B,432Bに直接接合される。
【0083】
次工程では、図2(B)に示すように、熱可塑性樹脂基材113Bの主面上に、平面導体331B,332Bに端子211B,212Bを当接させて電子部品21Bを載置し、超音波接合法により電子部品21Bを熱可塑性樹脂基材113Bの主面に実装する。これにより、電子部品21Bの端子211B,212Bが、熱可塑性樹脂基材113Bの平面導体331B,332Bに直接接合される。
【0084】
次工程では、図2(C)に示すように、銅貼りがされていない熱可塑性樹脂基材111B,112Bを用意する。そして、熱可塑性樹脂基材112Bに対して、熱可塑性樹脂基材112Bを厚み方向に貫通する部品挿入用の穴82Bを設ける。そして、熱可塑性樹脂基材113Bの主面に熱可塑性樹脂基材112Bの底面が当接するように、熱可塑性樹脂基材113Bと熱可塑性樹脂基材112Bを積層する。この際、熱可塑性樹脂基材112Bの穴82Bに、熱可塑性樹脂基材113Bに実装された電子部品21Bを挿入する。また、熱可塑性樹脂基材112Bの天面に熱可塑性樹脂基材111Bの底面が当接するように、熱可塑性樹脂基材112Bと熱可塑性樹脂基材111Bとを積層する。そして、積層した熱可塑性樹脂基材111B−115Bを、少なくとも積層方向に圧力がかかる状態で加熱して、一体化する。これにより、積層体11Bが実現される。
【0085】
このような製造方法を用いることによって、上述の伝送損失が低い部品内蔵基板10Bを、容易に製造することができる。
【符号の説明】
【0086】
10,11A,10B…部品内蔵基板
10A…回路モジュール
11,11B…積層体
111,112,113,114,115,116,114A,115A,116A,111B,112B,113B,114B,115B…熱可塑性樹脂基材
21,22,21B,22B…電子部品
211,212,221,222,211B,212B,221B,222B…端子
23A,24A…コネクタ部品
31,31B…配線部
331,332,341,342,343,351,344A,345A,331B,332B,333B,334B,341B…平面導体
431,441,442,443,451,431B,432B,433B,441B…層間接続導体
431DP,441DP,442DP,443DP,451DP,431BDP,432BDP,433BDP,441BDP…導電ペースト
431TH,441TH,442TH,443TH,451TH…貫通孔
82,85,82B,84B…穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6