(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置に関して特許文献1に記載されたパワー半導体モジュールを
図12(a)に平面図で、
図12(b)に断面図で示す。
図12に示すパワー半導体モジュール100は、放熱ベース11上に積層基板12が固着されている。積層基板12は金属板、絶縁板及び回路板が積層されてなるものである。積層基板12の回路板には,主端子13の下端が、はんだ等の接合材や直接接合により電気的かつ機械的に接合され、また、制御端子140の下端が、はんだ等の接合材や直接接合により電気的かつ機械的に接合されている。積層基板12を覆うように樹脂ケース500が設けられ、放熱ベース11に接着剤によって固着されている。
【0003】
図12(c)に主端子13の上端近傍の要部拡大図を示す。主端子13の上端は、上面部13a及びこの上面部の両端に接続する2つの側面部13bによりU字形状を有している。主端子13の上端は、樹脂ケース500の開口を通して外方に突出している。主端子13の2つの側面部13bの間には、ナットが埋め込まれた樹脂体であるナットグローブ510が挿入されている。
【0004】
図12(d)に制御端子140の上端近傍の拡大図を示す。制御端子140は、第1の突起140aと第2の突起140bとを間隔を空けて有している。この第1の突起140aと第2の突起140bの間に凹部140cが形成されている。
樹脂ケース500の制御端子140用の開口に、この制御端子140の凹部140cに嵌まり合う凸形状の段差部を有する樹脂ブロック520が挿入されている。凹部140cは、樹脂ブロック520の先端部と係合される。これにより制御端子140は、水平な方向に精度よく位置決めされ、また、外部からの荷重による上下方向の移動が抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の半導体装置の実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。なお、以下の説明では、上、下については図面における紙面の上、下の位置関係を意味していて、実際の使用状態における上、下の位置関係を意味するものではない。
【0011】
(実施形態1)
図1は、本発明の半導体装置の一実施形態であるパワー半導体モジュール10の説明図である。
図1中、
図1(a)はパワー半導体モジュール10の平面図であり、
図1(b)は
図1(a)のB−B線視の断面図である。パワー半導体モジュール10は、放熱ベース11、積層基板12、主端子13、制御端子14及び樹脂ケース15を備えている。
【0012】
放熱ベース11上に積層基板12が固着されている。積層基板12は金属板、絶縁板及び回路板が積層されてなるものであって、放熱ベース11に当該金属板を対向させて図示しない接合材、例えばはんだにより固着されている。積層基板12の回路板は、所定の電気回路のパターンが選択的に形成されている。積層基板12の回路板上には図示しないパワー半導体チップが接合材により電気的かつ機械的に接合されている。また、パワー半導体チップは、図示しない配線部材により積層基板12の回路板や主端子13や制御端子14と電気的に接続されている。
図1において、パワー半導体チップや配線部材は、本発明の特徴的な部分ではないので図示を省略している。積層基板12の回路板には,主端子13の下端が、はんだ等の接合材や直接接合により電気的かつ機械的に接合され、また、制御端子14の下端が、はんだ等の接合材や直接接合により電気的かつ機械的に接合されている。
【0013】
樹脂ケース15は、積層基板12を覆うように設けられ、放熱ベース11に接着剤によって固着されている。樹脂ケース15は、樹脂ケース本体151と当該樹脂ケース本体151に取り付けられた固定部材152とにより構成されている。樹脂ケース15は、主端子13の上端を外方に突出させる開口15a、制御端子14の上端を外方に突出(貫通)させる開口15b及びねじ孔15cを有している。図示した例では、主端子13は3個であり、制御端子14は4個である。
【0014】
図1(c)に主端子13の上端近傍の要部拡大図を示す。主端子13の上端は、上面部13a及びこの上面部の両端に接続する2つの側面部13bによりU字形状を有している。主端子13の上端は、樹脂ケース15の開口を通して外方に突出している。上面部13aにはボルト穴13cが形成されている。主端子13の2つの側面部13bの間には、樹脂ケース15を構成する固定部材152のナット収容部153が挿入される。
【0015】
図1(d)に制御端子14の上端近傍の拡大図を示す。制御端子14は、積層基板12と樹脂ケース15の開口15bとの間に、第1の突起14aと第2の突起14bとを間隔を空けて有している。この第1の突起14aと第2の突起14bの間に凹部14cが形成されている。凹部14cは、樹脂ケース15の固定部材152の樹脂ブロック部154の先端部と係合する。これにより制御端子14は、水平な方向、すなわち、放熱ベース11のおもて面の面内方向と平行な方向に精度よく位置決めされ、また、外部からの荷重による上下方向の移動が抑制される。
【0016】
図2(a)にナット収容部153及び樹脂ブロック部154を備える固定部材152の平面図を示す。また
図2(b)に固定部材152の側面図を示す。固定部材152は、ナット収容部153と、ナット収容部153の両側にそれぞれ設けられた2本の樹脂ブロック部154とが、梁部155により接続された形状を有している。梁部155は固定部材152の長手方向の一方の端部側でナット収容部153と2本の樹脂ブロック部154を連結している。ナット収容部153と樹脂ブロック部154はそれぞれ細長い棒(箱)状の形状である。ナット収容部153の長手方向と、樹脂ブロック部154の長手方向とは略平行である。このことにより固定部材152を樹脂ケース本体151に対して、一方向に、具体的には
図1(a)及び
図2(a)における紙面左方向から右方向に向かって、取り付けることができる。
【0017】
ナット収容部153は、主端子13に外部配線を接続するナット156が埋め込まれた樹脂体であり、本実施形態では3個の主端子13に対応した3個のナット156が、主端子13の間隔と同じ間隔で直線状に配列されている。ナット収容部153の各ナット156は、主端子13のそれぞれに位置合わせされる。主端子13と外部配線との接続は、図示しないボルト又はねじを、主端子13のボルト穴13cを通してナット収容部153のナット156にねじ結合することにより行われる。
【0018】
図3に、樹脂ブロック部154の先端部の拡大図を示す。
図3(a)は樹脂ブロック部154の先端部の上面図、
図3(b)は樹脂ブロック部154の先端部の下面図、
図3(c)は樹脂ブロック部154の先端部の側面図である。樹脂ブロック部154の先端部には樹脂ケースと係合する溝154aが形成されている。また樹脂ブロック部154の両側面には、制御端子14の凹部14cと係合する凸形状を有する段差部154bが形成されている。また両側の側面には、それぞれ1つずつ突起154cが形成されている。また、樹脂ブロック部154の底面には、突起154dが形成されている。
【0019】
樹脂ブロック部154の先端部の両側面に段差部154bが形成されていることにより、段差部154bのそれぞれに位置させた制御端子14の凹部14cを係合させることができる。よって1つの樹脂ブロック部154で2本の制御端子14を係合させ、固定することができる。樹脂ブロック部154の先端部の側面及び底面に形成された突起154c、154dは、樹脂ケース本体151に設けられた樹脂ブロック部154用の窪みの内面に形成された凹部と係合することにより樹脂ブロック部154を固定する。
【0020】
図2に示す固定部材152の梁部155は、樹脂よりなり、ナット収容部153と樹脂ブロック部154との両者に接続されている。梁部155により、ナット収容部153と樹脂ブロック部154とが一体化されている。梁部155は、樹脂ケース本体151に取り付けたときに、主端子13と干渉せず、かつ、樹脂ケース15のねじ孔15cに干渉しない位置であることが望ましい。そのために
図1及び
図2に示した本実施形態では、梁部155は、主端子13とねじ孔15cとの間の位置に設けられている。梁部155は、ナット収容部153と樹脂ブロック部154と共に、モールド成形により一体的に成形することができる。
【0021】
図4に樹脂ケース本体151の側面図を示す。樹脂ケース本体151の側面に、固定部材152のナット収容部153を載置する凹部151aと、樹脂ブロック部154が挿入される開口151bと、梁部が取りつけられる溝151cが形成されている。これにより、固定部材152は、樹脂ケース本体151に一方向から取り付け挿入可能になっている。樹脂ケース本体151の一つの側面に形成された樹脂ブロック部154用の2個の開口151bから樹脂ケース15の水平方向に延びる中空部が形成されていて、この中空部は制御端子14まで達している。この中空部に樹脂ブロック部154が挿入されて、制御端子14を固定する(
図1(a)の平面図を参照)。そのため、中空部は樹脂ブロック部154を挿入可能な断面形状を有している。また、2個の樹脂ブロック部154に対応する2個の中空部の延伸方向は互いに略平行である。
【0022】
樹脂ケース本体151と固定部材152とは、
図2に示す樹脂ブロック部154の突起154c及び154dが、樹脂ケース本体151の上記中空部の内面に形成された凹部と係合することにより固定される。したがって、接着剤を用いることなく、樹脂ケース本体151と固定部材152とを固定することができる。もっとも、本実施形態において、樹脂ケース本体151と固定部材152とを接着剤により固定することを排除するものではない。
【0023】
図2に示す固定部材152は、2本の樹脂ブロック部154のそれぞれの先端部近傍に突起154c及び154dが設けられている。もっとも、2本の樹脂ブロック部154のうちのいずれか一方の先端のみに突起154c及び154dが設けられている場合であっても、樹脂ケース本体151と固定部材152とを固定することができる。
【0024】
本実施形態の変形例を
図5に示す。
図5(a)に平面図で、
図5(b)に側面図で示す固定部材157は、樹脂ブロック部158の後端部に樹脂ケース本体151に固定するための突起158aが形成されている。この変形例で理解できるように固定部材を樹脂ケース本体に係合するための突起の位置は先端側、後端側を問わない。
【0025】
本実施形態の半導体装置は、ナット収容部153と樹脂ブロック部154とが梁部155により一体的に形成されていることにより、樹脂ケース本体に一方向から取り付けて固定することができる。また、ナット収容部153と樹脂ブロック部154とを一度に固定することができる。したがって、半導体装置を製造する際に、取り付け作業に時間及び手間を軽減することができる。
【0026】
(実施形態2)
本発明の半導体装置の別の実施形態を
図6、
図7を用いて説明する。本実施形態のパワー半導体モジュールは、
図1に示したパワー半導体モジュール10と基本的に同様の構成を有している。したがって、本実施形態の特徴的な構成として
図6は、樹脂ケースを構成する本実施形態の固定部材252を図示し、
図7は、本実施形態の樹脂ケース本体251を図示した。それ以外の構成は、
図1に示したパワー半導体モジュール10と基本的に同じである。なお、
図6及び
図7において、先に示した実施形態と同一部材については同一符号を付している。したがって、先の実施形態ですでに説明したのと重複する説明は省略する。
【0027】
図6及び
図7に示した本実施形態の半導体装置は,固定部材252がナット収容部153と樹脂ブロック部254と梁部155とから構成されている。樹脂ブロック部254は、上面に、突起254eを有している。樹脂ケース本体251は、樹脂ブロック部254が挿入される中空部の内面のうちの上面に、該樹脂ブロック部254の突起254eを案内する溝を備えている。この溝は、
図6において開口251bの上側の窪み251baとして現れている。
【0028】
2本の樹脂ブロック部254は梁部155により接合されている。固定部材252の樹脂ブロック部254を樹脂ケース本体251の開口251bから挿入する際に、2本の樹脂ブロック部254の延伸方向は必ずしも平行を維持していない場合がある。この場合であっても本実施形態によれば、樹脂ブロック部254に形成された突起254eが中空部の溝に案内されるので、樹脂ブロック部254が中空部の内面に接触して引っ掛かりを生じることを抑制して、該樹脂ブロック部254をスムーズに挿入することができる。
【0029】
図6及び
図7に示した本実施形態では、突起254eが樹脂ブロック部254の上面に形成されている。もっとも、突起254eが形成される位置は、樹脂ブロック部254の上面に限定されない。また、樹脂ブロック部254の長手方向における突起254eの位置も特に限定されない。もっとも、樹脂ブロック部254をスムーズに案内する観点から突起254eは樹脂ブロック部254の先端部近傍に形成されることが好ましい。
更に、
図6及び
図7では、突起254eは2本の樹脂ブロック部254の各々に形成されているが、何れか一方の樹脂ブロック部254のみに形成されていてもよい。
【0030】
(実施形態3)
本発明の別の実施形態を、
図8を用いて説明する。本実施形態のパワー半導体モジュールは、
図1に示したパワー半導体モジュール10と基本的に同様の構成を有している。したがって、本実施形態の特徴的な構成として
図8は、樹脂ケースを構成する樹脂ケース本体351の中空部及び当該中空部に挿入された固定部材の樹脂ブロック354の先端部の部分拡大断面図を示した。それ以外の構成は、
図1に示したパワー半導体モジュール10と基本的に同じである。
【0031】
図8において、樹脂ケース本体351の中空部の内面に、ストッパー351fが形成されている。また、樹脂ブロック354には、このストッパー351fを乗り越えて係合される突起354fを有している。
【0032】
先に
図1に示した実施形態では樹脂ブロック部154の先端部に突起154c、154dが形成されているが、本実施形態では樹脂ブロック354の先端部ではなく、先端部と後端部との間に突起354fが形成されている。この突起354fと上記ストッパーとが係合されることにより固定部材の樹脂ブロックが樹脂ケース本体に固定される。
【0033】
本実施形態で明らかなように固定部材の樹脂ブロックを固定するための係合手段の位置は問わない。
また、本実施形態の変形例として、先の実施形態で説明し、
図6に示した樹脂ブロック部254の突起254eが、本実施形態の中空部のストッパー351fと係合するための突起354fを兼ねる構成とすることができる。
【0034】
(実施形態4)
本発明の別の実施形態を、
図9を用いて説明する。本実施形態のパワー半導体モジュールは、
図1に示したパワー半導体モジュール10と基本的に同様の構成を有している。したがって、本実施形態の特徴的な構成として
図9は、樹脂ケースを構成する固定部材452の平面図を示した。それ以外の構成は、
図1に示したパワー半導体モジュール10と基本的に同じである。
【0035】
図9に示した固定部材452は、ナット収容部453がその先端部にテーパー453aを有している。ナット収容部453の先端部にテーパー453aを有していることにより、当該ナット収容部453を、主端子13の上端のU字形状を形成する2つの側面部13bの間にスムーズに挿入することができる。
【0036】
本実施形態においては、先に実施形態2において
図6及び
図7を用いて説明したように、樹脂ブロック部154の上面に突起を形成し、この樹脂ブロック部154が挿入される樹脂ケース本体の中空部に溝を形成して、当該突起が案内される構成とすることもできる。かかる構成によれば、樹脂ブロック部154が中空部の内面に接触して引っ掛かりを生じることを抑制するので、固定部材452を樹脂ケース本体に、よりスムーズに挿入することができる。
【0037】
本実施形態の別の例として、
図10に樹脂ケースを構成する樹脂ケース本体451の側面図を示す。
図10の樹脂ケース本体451は、
図9の固定部材452の樹脂ブロック部154が挿入される開口451bに、テーパー451baが形成されている。これにより、樹脂ブロック部154を中空部にスムーズに挿入することができる。
【0038】
以上、本発明の半導体装置を図面及び実施形態を用いて具体的に説明したが、本発明は、実施形態及び図面の記載に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で幾多の変形が可能である。
【0039】
例えば、固定部材の樹脂ブロック部は、樹脂ケース本体に形成された中空部に挿入されるものに限られない。樹脂ケース本体の上面に樹脂ブロック部を案内する溝が形成され、この溝に沿って樹脂ブロック部が案内され、制御端子を固定する構成とすることもできる。この構成の場合は、樹脂ブロック部は樹脂ケースの上面にて露出している。
【0040】
図11は
図7に示した樹脂ケース本体の変形例であり、開口251bの上側の一部が樹脂ケースの上面においても開口してスリットを形成している。これにより
図6に示した固定部材252の樹脂ブロック部254の突起254eは、このスリットに案内される。