特許第6233531号(P6233531)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233531
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】炭化ケイ素半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/41 20060101AFI20171113BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20171113BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20171113BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20171113BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20171113BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20171113BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H01L29/44 S
   H01L29/78 301B
   H01L29/78 301G
   H01L21/28 301B
   H01L29/58 G
   H01L21/302 105A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-563565(P2016-563565)
(86)(22)【出願日】2015年10月26日
(86)【国際出願番号】JP2015080108
(87)【国際公開番号】WO2016092960
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】特願2014-248253(P2014-248253)
(32)【優先日】2014年12月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(72)【発明者】
【氏名】脇本 節子
【審査官】 佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−237511(JP,A)
【文献】 特開2005−223228(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/055095(WO,A1)
【文献】 特開2007−188969(JP,A)
【文献】 特開2005−236290(JP,A)
【文献】 特開昭62−133757(JP,A)
【文献】 特開平08−017934(JP,A)
【文献】 特開平08−255828(JP,A)
【文献】 特開2013−232558(JP,A)
【文献】 特開2006−032410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/41
H01L 21/28
H01L 21/3065
H01L 21/336
H01L 29/423
H01L 29/49
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜上にポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜にN、P、As、Sb、B、Al、Arの中から選ばれる1種又は2種以上のドーパントをイオン注入する工程と、
前記ポリシリコン膜の表面層を厚さ50nm以上300nm以下に亘って除去する工程と、
前記ポリシリコン膜上に選択的にマスクを形成する工程と、
前記ポリシリコン膜の露出部分を等方性ドライエッチングにより除去してポリシリコン電極を形成する工程と、
前記マスクを除去する工程と、
前記ポリシリコン電極上に層間絶縁膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする炭化ケイ素半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記ポリシリコン膜に前記ドーパントをイオン注入する工程において、前記ドーパントの注入量は、合計量で1×1014/cm2以上1×1021/cm2以下である請求項1に記載の炭化ケイ素半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ポリシリコン膜を等方性ドライエッチングする工程において、炭化ケイ素基板を50℃以上に保持する請求項1に記載の炭化ケイ素半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ポリシリコン電極上に層間絶縁膜を形成する工程において、前記層間絶縁膜の形成温度を900℃以下とする請求項1に記載の炭化ケイ素半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリシリコン電極を有する炭化ケイ素半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素半導体装置には、プレーナー型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、トレンチ型MOSFET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、絶縁ゲート型サイリスタ等の種類があり、素子上部にゲート絶縁膜、ポリシリコン電極、層間絶縁膜、及びアルミニウム配線からなる構造を備える。これらの炭化ケイ素半導体装置において、絶縁耐圧や電流容量などの要求レベルは、従来よりも格段に上がっており、層間絶縁膜の耐圧向上が大きな課題のひとつになっている。
【0003】
層間絶縁膜の耐圧を向上させるためには、層間絶縁膜の段差被覆性を更に向上させる必要がある。例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて層間絶縁膜を形成すると、図5(a)に示すように、ポリシリコン電極3の外縁に沿って、層間絶縁膜4がオーバーハングし、V字型の窪みNが形成されてしまう。この上にアルミニウム配線5を形成すると、図5(b)に示すように、段差部に鋭角形状のアルミニウム被覆が形成されるため、電界集中により絶縁耐圧が低下し、要求レベルを満たさない。
【0004】
その対策として、特許文献1には、プラズマCVD法によってBPSG(Borophosphosilicate Glass)膜を形成した後、930℃で20分間リフロー処理して、段差部の被覆形状をなだらかにする方法が記載されている。
【0005】
一方、特許文献2には、シリコン基板を50℃以上100℃以下の温度に保持しながら、ケミカルドライエッチング等の等方性ドライエッチングをおこない、ポリシリコン電極の側面を41°以上65°以下の角度で傾斜させる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5181545号公報
【特許文献2】特開2004−235247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、BPSG膜をリフローする方法は、高温熱処理によって炭化ケイ素とゲート絶縁膜界面が劣化するので好ましくない。ステージ温度を上げて等方性ドライエッチングする方法は、シリコン基板に対して効果は大きいが、炭化ケイ素基板に対しては効果は小さい。発明者は、特許文献2に記載されたドライエッチング方法を、炭化ケイ素基板上でも検討したが、傾斜角は68°が限界であった。
【0008】
よって、本発明の目的は、ポリシリコン電極を被覆する層間絶縁膜の段差被覆形状を改善して、絶縁耐圧を高めた炭化ケイ素半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の炭化ケイ素半導体装置は、炭化ケイ素基板と、前記炭化ケイ素基板上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたポリシリコン電極とを備え、前記ポリシリコン電極中にN、P、As、Sb、B、Al、Arの中から選ばれる1種又は2種以上のドーパントが含有され、前記ポリシリコン電極のゲート絶縁膜に接する下面と、前記ポリシリコン電極の側面とに挟まれた裾部の第1傾斜角が60°以下であることを特徴とする。
【0010】
上記発明によれば、層間絶縁膜の段差被覆形状を改善して、絶縁耐圧のより高い炭化ケイ素半導体装置を提供することができる。
【0011】
本発明の炭化ケイ素半導体装置において、前記ポリシリコン電極のゲート絶縁膜と接する面の裏側にあたる前記ポリシリコン電極の上面と、前記ポリシリコン電極の側面とに挟まれた肩部がなす第2傾斜角が100°以上の鈍角であることが好ましい。
【0012】
上記態様によれば、層間絶縁膜の段差被覆形状を改善して、絶縁耐圧の高い炭化ケイ素半導体装置を提供することができる。
【0013】
本発明の炭化ケイ素半導体装置において、前記ポリシリコン電極に対する前記ドーパントの含有量が、1×1014/cm以上1×1021/cm以下であることが好ましい。
【0014】
上記態様によれば、第1傾斜角が60°以下のポリシリコン電極を有する炭化ケイ素半導体装置を提供することができる。
【0015】
本発明の炭化ケイ素半導体装置の製造方法のひとつは、炭化ケイ素基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にポリシリコン膜を形成する工程と、前記ポリシリコン膜にN、P、As、Sb、B、Al、Arの中から選ばれる1種又は2種以上のドーパントをイオン注入する工程と、前記ポリシリコン膜上に選択的にマスクを形成する工程と、前記ポリシリコン膜の露出部分を等方性ドライエッチングにより除去してポリシリコン電極を形成する工程と、前記マスクを除去する工程と、前記ポリシリコン電極上に層間絶縁膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
上記発明によれば、ポリシリコン電極の第1傾斜角を小さくし、例えば60°以下にして、層間絶縁膜の段差被覆形状を改善することができる。
【0017】
また、本発明の炭化ケイ素半導体装置の製造方法のもうひとつは、炭化ケイ素基板上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記ゲート絶縁膜上にポリシリコン膜を形成する工程と、前記ポリシリコン膜にN、P、As、Sb、B、Al、Arの中から選ばれる1種又は2種以上のドーパントをイオン注入する工程と、前記ポリシリコン膜の表面層を厚さ50nm以上300nm以下に亘って除去する工程と、前記ポリシリコン膜上に選択的にマスクを形成する工程と、前記ポリシリコン膜の露出部分を等方性ドライエッチングにより除去してポリシリコン電極を形成する工程と、前記マスクを除去する工程と、前記ポリシリコン電極上に層間絶縁膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
上記発明によれば、ポリシリコン電極の第2傾斜角を大きくして、例えば100°以上にして、層間絶縁膜の段差被覆形状を改善することができる。
【0019】
本発明の炭化ケイ素半導体装置の製造方法は、前記ポリシリコン膜に前記ドーパントをイオン注入する工程において、前記ドーパントの注入量は、合計量で1×1014/cm以上1×1021/cm以下であることが好ましい。
【0020】
上記態様によれば、ポリシリコン膜が横方向にエッチングされ易くなり、第1傾斜角を60°以下にし易くすることができる。
【0021】
本発明の炭化ケイ素半導体装置の製造方法は、前記ポリシリコン膜に前記ドーパントをイオン注入する工程において、前記ドーパントのイオン注入角度が60°以下であることが好ましい。
【0022】
上記態様によれば、ポリシリコン膜が横方向にエッチングされ易くなり、第1傾斜角を60°以下にし易くすることができる。
【0023】
本発明の炭化ケイ素半導体装置の製造方法は、前記ポリシリコン膜を等方性ドライエッチングする工程おいて、炭化ケイ素基板を50℃以上に保持することが好ましい。
【0024】
上記態様によれば、ポリシリコン膜が横方向にエッチングされ易くなり、第1傾斜角を60°以下にし易くすることができる。
【0025】
本発明の炭化ケイ素半導体装置の製造方法は、前記ポリシリコン電極上に層間絶縁膜を形成する工程において、層間絶縁膜の形成温度を900℃以下とすることが好ましい。
【0026】
上記態様によれば、低温でも段差被覆性のよい層間絶縁膜を形成できるので、電気特性を損なうことなく、絶縁耐圧に優れた炭化ケイ素半導体装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ポリシリコン電極の裾部の傾斜角が60°以下となるように加工されているので、ポリシリコン電極上の層間絶縁膜の段差被覆形状がオーバーハング形状から改善されて、V字型の窪みが浅くなり電界集中が弱められる。これによって、層間絶縁膜の絶縁耐圧に優れた炭化ケイ素半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の炭化ケイ素半導体装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2】本発明の炭化ケイ素半導体装置の一つの製造方法を模式的に示す工程図である。
図3】ドーパントの濃度分布とドライエッチング形状との関係を模式的に示す断面図である。
図4】本発明の炭化ケイ素半導体装置の他の製造方法を模式的に示す工程図である。
図5】従来の炭化ケイ素半導体装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の炭化ケイ素(SiC)半導体装置は、ポリシリコン電極を備えるものならば、特に限定されず、具体的にはプレーナー型MOSFET、トレンチ型MOSFET、IGBT、絶縁ゲート型サイリスタ等が挙げられる。
【0030】
図1には、本発明のSiC半導体装置の一実施形態に係る主要部の断面が模式的(実際の形状、寸法比を忠実に表すものではない)に示されている。SiC基板1上に、ゲート絶縁膜2、該ゲート絶縁膜2の上にポリシリコン電極3、該ポリシリコン電極3を被覆する層間絶縁膜4、該層間絶縁膜4の上にアルミニウム配線5が形成されている。
【0031】
本発明のSiC半導体装置は、ポリシリコン電極3のゲート絶縁膜2に接する下面と、ポリシリコン電極3の側面とに挟まれた裾部の第1傾斜角θが60°以下とされていることを特徴とする。また、ポリシリコン電極のゲート絶縁膜と接する面の裏側にあたるポリシリコン電極の上面と、ポリシリコン電極の側面とに挟まれた肩部がなす第2傾斜角φが100°以上の鈍角であることを好適とする。このようにポリシリコン電極を加工すると、層間絶縁膜の段差被覆形状がオーバーハング形状から改善されて、段差部における電界集中が弱まり、絶縁耐圧が向上する。
【0032】
逆に、第1傾斜角θが60°よりも大きい場合は、段差部で層間絶縁膜がオーバーハング形状になり、段差下部において層間絶縁膜の表面にV字型の窪みが形成されて、そこに電界集中し、絶縁耐圧が低下するので好ましくない。また、第2傾斜角φが100°よりも小さい場合も、段差部で層間絶縁膜がオーバーハング形状になり、段差下部において層間絶縁膜の表面にV字型の窪みが形成されて、そこに電界集中し、絶縁耐圧が低下するので好ましくない。
【0033】
また、本発明においては、ポリシリコン膜に、N、P、As、Sb、B、Al、Arの中から選ばれる1種又は2種以上のドーパントを含有量1×1014/cm以上1×1021/cm以下で含有させることができる。上記ドーパントには、ポリシリコンのドライエッチング速度を高める効果があり、この効果を利用してポリシリコン電極の側面の傾斜角を制御することができる。具体的には、ポリシリコン膜の上部層のドーパント濃度を膜下部層よりも高くなるように濃度勾配をもたせると、ポリシリコン膜は上部層ほど横方向(基板面に対して水平方向)に速くエッチングされるため、第1傾斜角θが小さく、第2傾斜角φが大きいテーパー面が得られる。
【0034】
また、上記ドーパントのうち、P、As、Sb、Bには、ポリシリコン電極の電気抵抗を下げて、SiC半導体装置のスイッチング性能を高める役割があり、完成品におけるこれらの元素の濃度は1×1018/cm以上であることが好ましい。
【0035】
次に、各部の詳細について説明する。
【0036】
本発明において、SiC基板1は、特に限定されず、ポリタイプ4H、6H、3CのSiC基板を使用できるが、パワー半導体素装置ではキャリア移動度が高い4Hを好適とする。また、表面欠陥密度を低減するため、SiC基板の表面にSiCエピタキシャル層を形成することができる。
【0037】
本発明において、ゲート絶縁膜2は、特に限定されず、例えば熱酸化して形成した酸化ケイ素膜、CVD法で形成した酸化ケイ素膜、酸化ケイ素膜の表面を窒化処理した酸窒化ケイ素膜、酸化ケイ素膜と窒化ケイ素膜をCVD法で交互に積層した積層膜等を用いることができる。
【0038】
本発明において、ポリシリコン電極3は、モノシラン等を原料とし減圧CVD法によって形成したポリシリコン膜、又はプラズマCVD法によって形成したアモルファスシリコンを熱処理で再結晶化させたポリシリコン膜等をエッチング加工して形成することができる。なお、ポリシリコン膜の電気抵抗を下げるために、ポリシリコン成膜時に、原料にホスフィン、アルシン、ジボラン等のガスを適宜混合して、P、As、Bをドープしてもよいが、成膜後のイオン注入によってドープしてもよい。
【0039】
本発明において、ポリシリコン電極3を被覆する層間絶縁膜4は、特に限定されず、例えば、常圧CVD、プラズマCVD、減圧CVD、オゾン反応CVD、高密度プラズマCVD、等によって形成されるシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、又はシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層膜を用いることできる。成膜方法は、量産性、コスト、膜質を考慮すると、上記のうち常圧CVD、プラズマCVD、減圧CVDが好ましい。また、層間絶縁膜4は、膜質調整のため他の元素、例えばB、P等を含むことができ、成膜後にリフロー処理してもよいが、成膜及びリフロー温度は、900℃以下が好ましい。900℃よりも高い温度で熱処理すると、高温熱処理によって炭化ケイ素とゲート絶縁膜界面が劣化するので好ましくない。また、層間絶縁膜4は、高耐湿性のものがよく、応力は小さいものがよく、BPSG、PSG(Phosphosilicate Glass)、NSG(Nondoped Silicate Glass)のいずれか1種でも、それら複数の組み合わせでもよい。
【0040】
次に、本発明のSiC半導体装置の製造方法について図面を用いて説明する。
【0041】
図2には、本発明の製造方法の一つの態様が、工程順に並べられたSiC半導体装置の断面模式図によって示されている。ゲート絶縁膜2を形成するまでの工程は省略されている。本発明は、(a)ゲート絶縁膜2上にポリシリコン膜3を形成し、(b)ポリシリコン膜3へドーパントをイオン注入し、(c)フォトリソグラフィによってマスク6を形成し、(d)ポリシリコン膜3の露出部分を等方性ドライエッチングで除去して、(e)ポリシリコン電極3を形成し、(f)マスク6を除去し、(g)層間絶縁膜4を形成した後に接続孔(図示しない)を開口し、(h)アルミニウム配線5を形成する工程を含み、特に(b)ポリシリコン膜3にイオン注入した後に、(d)ポリシリコン膜3を等方性ドライエッチングすることを特徴とする。
【0042】
上記イオン注入工程において、ポリシリコン膜3に注入するドーパントとしては、N、P、As、Sb、B、Al、Arの中から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、前記ドーパントの注入量は、合計量で1×1014/cm以上1×1021/cm以下が好ましく、5×1014/cm以上5×1015/cm以下がより好ましく、1×1015/cm以上3×1015/cm以下が特に好ましい。注入量が1×1014/cm未満であると、第1傾斜角θが大きくなり、層間絶縁膜4がオーバーハング形状となるので好ましくない。注入量を増やすと、ポリシリコン電極の第1傾斜角θを小さくすることができるが、イオン注入時間も長くなるので、スループットとのトレードオフとなる。
【0043】
また、ドーパントイオンの加速電圧は、10keV〜50keVが好ましく、30keV〜50keVがより好ましい。加速電圧をこのように設定すると、図3(a)に示されるように、ポリシリコン膜の表面近くのドーパント濃度は低いが、ポリシリコン膜の表面に近い側(上部層)にドーパント濃度のピークがあり、ピークを越えるとゲート絶縁膜の表面に向かって濃度が低下していく濃度分布を有する。高温でドライエッチングする場合は、表面近傍が低濃度になっていることは大きな問題にはならず、好ましい形状のポリシリコン電極3が形成される。しかし、エッチング温度を下げていくと、ポリシリコン膜の表面近くのドーパント濃度の低い部分で横方向のエッチングが進まなくなり、側壁が急角度で立ち上がる、図3(b)に示される形状となり、好ましくない。一方、図3(c)には、加速電圧が高すぎるために、ポリシリコン膜の下部層にドーパント濃度のピークがあり、上層部のドーパント濃度が低くなっているポリシリコン膜をドライエッチングした時の、ポリシリコン電極3の好ましくない形状が示されている。ポリシリコン膜の上層部はドーパント濃度が低いので、横方向のエッチングが進まず、側壁が急角度で立ち上がり、第2傾斜角φが100°よりも小さくなっている。図3(b)、(c)に示したポリシリコン電極の形状では、層間絶縁膜がオーバーハング形状となり易くなる。
【0044】
ポリシリコン膜内におけるドーパント濃度の分布は、イオン注入角度ψにも関係している。ここで、イオン注入角度ψは、イオンをSiC基板に対して垂直入射させる方向を0°として定義されている。イオン注入角度ψを小さくすると注入が深くなり、逆にイオン注入角度ψを大きくすると注入が浅くなる。イオンの加速電圧を10keV〜50keVとした場合は、イオン注入角度ψは60°以下であることが好ましい。
【0045】
また、本発明において、ポリシリコン膜3は等方性ドライエッチングであることが好ましい。等方性ドライエッチングは、特に限定されず、イオンの寄与が少ないドライエッチング装置、例えば被加工物から離れた場所にプラズマ源を有するドライエッチング装置が適する。ポリシリコンをエッチングするための反応ガスとしては、例えばCFとOの混合ガスを用いることができる。被加工物を載置するステージの温度は、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。50℃よりも温度が低くなると、ポリシリコン膜3の横方向のエッチング速度が低下し、第1傾斜角θが大きくなり、第2傾斜角φが小さくなるので、好ましくない。
【0046】
図4には、本発明の製造方法の他の態様が、工程順に並べられたSiC半導体装置の断面模式図によって示されている。ゲート絶縁膜2を形成するまでの工程は省略されている。本発明は、(a)ゲート絶縁膜2上にポリシリコン膜3を形成した後、(b)ポリシリコン膜3へ後述するドーパントをイオン注入した後、(c)ポリシリコン膜3の表面層を厚さ50nm以上300nm以下に亘って除去し、(d)フォトリソグラフィによってマスク6を形成し、(e)ポリシリコン膜3の露出部分を等方性ドライエッチングして、(f)ポリシリコン電極3を形成し、(g)マスク6を除去し、(h)層間絶縁膜4を形成した後に図示しない接続孔を開口し、(i)アルミニウム配線5を形成する工程を含み、特に(b)ポリシリコン膜3にイオン注入した後に、(c)ポリシリコン膜3の表面層を除去し、(e)ポリシリコン膜3を等方性ドライエッチングすることを特徴とする。
【0047】
例えば、ポリシリコン膜3の表面層においてドーパント濃度が低く、図3(b)に示されるように、ポリシリコン電極の肩部が切り立ったドライエッチング形状になる場合は、その対策として、ポリシリコン膜3の表面層を厚さ50nm以上300nm以下に亘って除去することができる。このようにすると、ドーパント濃度の高い部分をポリシリコン膜の上層におくことができるので、ポリシリコン膜3を等方性ドライエッチングして、図3(a)の形状を得ることができる。
【0048】
ポリシリコン膜の表面層を除去する方法は、900℃以下の処理方法であれば特に限定されず、例えばドライエッチングによる全面エッチバック、CMP(化学機械研磨)、900℃以下でポリシリコン表面を酸化してフッ化水素酸水溶液でエッチングする方法等を採用することができる。900℃よりも高い温度で熱処理すると、高温熱処理によってSiC基板1とゲート絶縁膜2の界面が劣化するので好ましくない。
【実施例】
【0049】
[実施例1]
SiC基板上にゲート絶縁膜を形成し、減圧CVD法で膜厚500nmのポリシリコン膜を堆積した後、Asイオンを加速電圧30keV、注入角度0°、注入量1×1015/cmの条件でイオン注入した。次いで、フォトリソグラフィ法でレジストマスクを形成した後、ケミカルドライエッチング装置を用い、反応ガスCF−50%Oにより、ステージ温度70℃の条件で、ポリシリコン膜を等方性ドライエッチングした。その後、レジストを除去し、常圧CVD法により膜厚1000nmの酸化ケイ素膜を堆積した。
【0050】
[実施例2]
Asイオン注入時の注入角度を45°としたこと以外は、実施例1の方法に従った。
【0051】
[実施例3]
Asイオン注入時の注入角度を60°としたこと以外は、実施例1の方法に従った。
【0052】
[実施例4]
Asイオン注入量を5×1014/cmとしたこと以外は、実施例1の方法に従った。
【0053】
[実施例5]
Asイオン注入量を3×1015/cmとしたこと以外は、実施例1の方法に従った。
【0054】
[実施例6]
Asイオン注入量を3×1015/cmとしたこと、等方性エッチング時のステージ温度を50℃としたこと以外は、実施例1の方法に従った。
【0055】
[実施例7]
Asイオン注入量を3×1015/cmとしたこと、イオン注入後にドライエッチングによってポリシリコン膜を表面から50nm全面エッチングしたこと、及び等方性ドライエッチング時のステージ温度を50℃としたこと以外は、実施例1の方法に従った。
【0056】
[比較例1]
SiC基板上にゲート絶縁膜を形成し、減圧CVD法で膜厚500nmのポリシリコン膜を堆積した後、フォトリソグラフィ法でレジストマスクを形成し、ケミカルドライエッチング装置を用い、反応ガスCF−50%Oにより、基板温度100℃の条件で、ポリシリコン膜を等方性ドライエッチングした。その後、レジストを除去し、常圧CVD法により膜厚1000nmの酸化ケイ素膜を堆積した。
【0057】
[比較例2]
Si基板上にゲート絶縁膜を形成し、減圧CVD法で膜厚500nmのポリシリコン膜を堆積した後、フォトリソグラフィ法でレジストマスクを形成し、ケミカルドライエッチング装置を用い、反応ガスCF−50%Oにより、ステージ温度100℃の条件で、ポリシリコン膜を等方性ドライエッチングした。その後、レジストを除去し、常圧CVD法により膜厚1000nmの酸化ケイ素膜を堆積した。
【0058】
[評価方法]
サンプルのへき開断面の走査型電子顕微鏡像から、第1傾斜角θと第2傾斜角φを測定した。
【0059】
[結果]
表1にプロセス条件と第1傾斜角θと第2傾斜角φの測定値を示す。
【0060】
【表1】
【0061】
比較例1はSiC基板を使用し、比較例2はSi基板を使用している。ポリシリコン膜の成膜条件は同じで、どちらもイオン注入は行っていない。ポリシリコン膜の等方性ドライエッチングはどちらもステージ温度を100℃とした。Si基板上では第1傾斜角が40°と小さいが、SiC基板上では68°と大きく、従来方法によればSiC基板では第1傾斜角60°以下は実現できない。
【0062】
実施例1〜6では、ポリシリコン膜にAsイオンを注入した後に、ポリシリコン膜を等方性ドライエッチングして、ポリシリコン電極を形成した。
【0063】
実施例1〜3によれば、イオン注入角度を増やしていくと第1傾斜角は大きくなっていくが、イオン注入角度60°でも傾斜角60°以下のポリシリコン電極形成が実現可能であることを示している。
【0064】
実施例4、5によれば、イオン注入量を5×1014/cmまで減らした場合(実施例4)でも、イオン注入量を3×1015/cmまで増やした場合(実施例5)でも、傾斜角60°以下で加工できることが分かる。
【0065】
実施例6は、ドライエッチング装置のステージ温度を50℃まで下げても、第1傾斜角は60°以下で加工できることを示している。ただし、第2傾斜角は90°と肩部が切り立った形状になってしまい好ましくない。
【0066】
実施例7は、その対策として、パターニングする前に、ポリシリコン膜を表面から50nm全面エッチングしている。ステージ温度50℃で等方性ドライエッチングしているが、肩部の角が除かれ、第2傾斜角を100°にすることができた。
【0067】
以上、ポリシリコン膜形成後にイオン注入した後に等方性ドライエッチングすることにより、ポリシリコン電極の側面の第1傾斜角を60°以下のなだらかな形状とし、その上に形成される酸化ケイ素膜の段差被覆形状を改善することができた。
【符号の説明】
【0068】
1:SiC基板
2:ゲート絶縁膜
3:ポリシリコン膜(ポリシリコン電極)
4:層間絶縁膜
5:アルミニウム配線
6:マスク
N:V字型の窪み
θ:ポリシリコン電極裾部の第1傾斜角
φ:ポリシリコン電極肩部の第2傾斜角
ψ:イオン注入角
図1
図2
図3
図4
図5