特許第6233539号(P6233539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6233539
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20171113BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20171113BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   H01L29/78 652D
   H01L29/78 652C
   H01L29/78 652J
   H01L29/78 652M
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 653A
   H01L29/78 658E
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-44053(P2017-44053)
(22)【出願日】2017年3月8日
【審査請求日】2017年6月26日
(31)【優先権主張番号】特願2016-248499(P2016-248499)
(32)【優先日】2016年12月21日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人 科学技術振興機構のスーパークラスタープログラム事業の「GaN系半導体のパワーデバイス応用に関する研究開発」委託研究、産業技術力強化法19条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】上野 勝典
(72)【発明者】
【氏名】高島 信也
(72)【発明者】
【氏名】江戸 雅晴
【審査官】 綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−529115(JP,A)
【文献】 特開2015−026723(JP,A)
【文献】 特開2014−192174(JP,A)
【文献】 特開2014−209540(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/187019(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/196164(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの分離トレンチ部と、
前記少なくとも2つの分離トレンチ部の間に設けられ、第1導電型のソース領域と、少なくとも一部が前記ソース領域の下に設けられた第2導電型のベース領域と、ゲートトレンチ部とを有する、メサ領域と、
前記メサ領域の側部と、前記ゲートトレンチ部よりも下方に位置する前記分離トレンチ部の底部とに接して少なくとも設けられ、前記ベース領域よりも高い第2導電型の不純物濃度を有し、エピタキシャル層であるコンタクト層と
を備え、
前記ソース領域内には前記コンタクト層と同一の不純物が存在する、または、前記ソース領域よりも上に前記コンタクト層が設けられ
前記メサ領域および前記コンタクト層は、GaN系半導体材料で形成されている
半導体装置。
【請求項2】
前記ソース領域内には前記コンタクト層と同一の不純物が存在し、
前記ソース領域内の第2導電型の不純物濃度と、前記分離トレンチ部の前記底部に接して設けられる前記コンタクト層における第2導電型の不純物濃度とは、同一である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ベース領域は、前記ベース領域と接する前記ゲートトレンチ部の側部の下端に位置する角部を覆って設けられる
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ベース領域は、前記ゲートトレンチ部の深さ方向において、前記ソース領域と同じ第1導電型の不純物の不純物濃度が徐々に減少するテール領域を有する
請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ソース領域上に前記コンタクト層が設けられ、
前記メサ領域上に設けられる前記コンタクト層上に少なくとも一部が設けられ、前記コンタクト層を貫通して前記ソース領域と接触するソース電極をさらに備える
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記メサ領域の前記側部に設けられる前記コンタクト層の第2導電型の不純物濃度と、前記分離トレンチ部の前記底部に接して設けられる前記コンタクト層の第2導電型の不純物濃度とが、同じである
請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記メサ領域の前記側部に設けられる前記コンタクト層における第2導電型の不純物濃度は、前記分離トレンチ部の前記底部に接して設けられる前記コンタクト層における第2導電型の不純物濃度よりも高い
請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記コンタクト層は、前記ソース領域上に開口を有し、
前記コンタクト層は、前記メサ領域の上部に接触する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体装置を上面視した場合に、前記コンタクト層の前記開口の端部は、前記ソース領域の側端部上に位置する
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体装置を上面視した場合に、前記コンタクト層の前記開口の端部の位置は、前記ソース領域の側端部の位置と一致する
請求項8または9に記載の半導体装置。
【請求項11】
半導体装置の製造方法であって、
第1導電型のドリフト領域上に第2導電型のベース領域をエピタキシャル形成する段階と、
前記ドリフト領域および前記ベース領域を部分的にエッチングすることにより、少なくとも2つの分離トレンチ部の間にメサ領域を形成する段階と、
前記メサ領域の上部と、前記メサ領域の側部と、前記分離トレンチ部の底部とに接し、前記ベース領域よりも高い第2導電型の不純物濃度を有するコンタクト層をエピタキシャル形成する段階と、
ゲートトレンチ部を形成する段階と
を備える
半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記コンタクト層をエピタキシャル形成する段階の後、かつ、前記ゲートトレンチ部を形成する段階の前に、前記メサ領域の上部に設けられた前記コンタクト層の予め定められた領域に第1導電型の不純物をイオン注入する段階をさらに備える
請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記ベース領域をエピタキシャル形成する段階の後、かつ、前記メサ領域を形成する段階の前に、前記ベース領域上に第1導電型のソース領域をエピタキシャル形成する段階をさらに備える
請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記コンタクト層をエピタキシャル形成する段階は、前記メサ領域を形成する段階の後、かつ、前記ゲートトレンチ部を形成する段階の前であり、
前記コンタクト層をエピタキシャル形成する段階の後、かつ、前記ゲートトレンチ部を形成する段階の前に、前記コンタクト層を熱処理する段階と、
前記コンタクト層を熱処理する段階の後、かつ、前記ゲートトレンチ部を形成する段階の前に、前記コンタクト層に開口を形成する段階と、
前記コンタクト層に開口を形成する段階の後、かつ、前記ゲートトレンチ部を形成する段階の前に、少なくとも前記開口を介して第1導電型の不純物を前記ベース領域にイオン注入する段階と
をさらに備える
請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
従来、メサ領域にゲートトレンチ部を設けることが知られている(例えば、非特許文献1)。また、メサ領域間の谷間の底部にp型不純物を注入するときに、メサ領域の側部にもp型不純物が注入されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[非特許文献]
[非特許文献1] Tohru Oka et al., Vertical GaN‐based trench metal oxide semiconductor field‐effect transistors on a free‐standing GaN substrate with blocking voltage of 1.6 kV, January 28, 2014, Applied Physics Express, volume 7, 021002
[特許文献]
[特許文献1] 特開2012−178536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ゲート・オフ時における半導体装置の耐圧を向上させるために、ゲートトレンチ部が設けられるメサ領域の側部と当該メサ領域間の谷間の底部とに接するp型層を設けることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、半導体装置を提供する。半導体装置は、少なくとも2つの分離トレンチ部と、メサ領域と、コンタクト層とを備えてよい。メサ領域は、少なくとも2つの分離トレンチ部の間に設けられてよい。メサ領域は、第1導電型のソース領域と、第2導電型のベース領域と、ゲートトレンチ部とを有してよい。第2導電型のベース領域は、少なくとも一部がソース領域の下に設けられてよい。コンタクト層は、メサ領域の側部と、分離トレンチ部の底部とに接して少なくとも設けられてよい。分離トレンチ部の底部は、ゲートトレンチ部よりも下方に位置してよい。コンタクト層は、ベース領域よりも高い第2導電型の不純物濃度を有してよい。ソース領域内にはコンタクト層と同一の不純物が存在してよく、これに代えて、ソース領域よりも上にコンタクト層が設けられてもよい。
【0005】
ソース領域内にコンタクト層と同一の不純物が存在する場合には、ソース領域内の第2導電型の不純物濃度と、分離トレンチ部の底部に接して設けられるコンタクト層における第2導電型の不純物濃度とは、同一であってよい。
【0006】
ベース領域は、ベース領域と接するゲートトレンチ部の側部の下端に位置する角部を覆って設けられてよい。
【0007】
ベース領域は、ゲートトレンチ部の深さ方向において、ソース領域と同じ第1導電型の不純物の不純物濃度が徐々に減少するテール領域を有してよい。
【0008】
ソース領域上にコンタクト層が設けられる場合には、コンタクト層を貫通してソース領域と接触するソース電極をさらに備えてよい。ソース領域は、メサ領域上に設けられるコンタクト層上に少なくとも一部が設けられてよい。
【0009】
メサ領域の側部に設けられるコンタクト層の第2導電型の不純物濃度と、分離トレンチ部の底部に接して設けられるコンタクト層の第2導電型の不純物濃度とは、同じであってよい。
【0010】
これに代えて、メサ領域の側部に設けられるコンタクト層における第2導電型の不純物濃度は、分離トレンチ部の底部に接して設けられるコンタクト層における第2導電型の不純物濃度よりも高くてもよい。
【0011】
コンタクト層は、ソース領域上に開口を有してよい。コンタクト層は、メサ領域の上部に接触してよい。
【0012】
半導体装置を上面視した場合に、コンタクト層の開口の端部は、ソース領域の側端部上に位置してよい。
【0013】
半導体装置を上面視した場合に、コンタクト層の開口の端部の位置は、ソース領域の側端部の位置と一致してよい。
【0014】
メサ領域およびコンタクト層は、GaN系半導体材料で形成されていてよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、半導体装置の製造方法を提供する。半導体装置の製造方法は、ベース領域をエピタキシャル形成する段階と、メサ領域を形成する段階と、コンタクト層をエピタキシャル形成する段階と、ゲートトレンチ部を形成する段階とを備えてよい。ベース領域をエピタキシャル形成する段階においては、第1導電型のドリフト領域上に第2導電型のベース領域をエピタキシャル形成してよい。メサ領域を形成する段階においては、ドリフト領域およびベース領域を部分的にエッチングすることにより、少なくとも2つの分離トレンチ部の間にメサ領域を形成してよい。コンタクト層をエピタキシャル形成する段階においては、メサ領域の上部と、メサ領域の側部と、分離トレンチ部の底部とに接し、ベース領域よりも高い第2導電型の不純物濃度を有するコンタクト層をエピタキシャル形成してよい。
【0016】
コンタクト層をエピタキシャル形成する段階の後、かつ、ゲートトレンチ部を形成する段階の前に、イオン注入する段階をさらに備えてよい。イオン注入する段階においては、メサ領域の上部に設けられたコンタクト層の予め定められた領域に第1導電型の不純物をイオン注入してよい。
【0017】
ベース領域をエピタキシャル形成する段階の後、かつ、メサ領域を形成する段階の前に、ソース領域をエピタキシャル形成する段階をさらに備えてよい。ソース領域をエピタキシャル形成する段階においては、ベース領域上に第1導電型のソース領域をエピタキシャル形成してよい。
【0018】
コンタクト層をエピタキシャル形成する段階は、メサ領域を形成する段階の後、かつ、ゲートトレンチ部を形成する段階の前であってよい。半導体装置の製造方法は、コンタクト層を熱処理する段階と、コンタクト層に開口を形成する段階と、少なくとも開口を介して第1導電型の不純物をベース領域にイオン注入する段階とをさらに備えてよい。コンタクト層を熱処理する段階は、コンタクト層をエピタキシャル形成する段階の後、かつ、ゲートトレンチ部を形成する段階の前であってよい。コンタクト層に開口を形成する段階は、コンタクト層を熱処理する段階の後、かつ、ゲートトレンチ部を形成する段階の前であってよい。ベース領域にイオン注入する段階は、コンタクト層に開口を形成する段階の後、かつ、ゲートトレンチ部を形成する段階の前であってよい。
【0019】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態における半導体装置100の断面図である。
図2】第1実施形態における半導体装置100の製造方法を示すフロー図である。
図3】(a)〜(i)は、第1実施形態における半導体装置100の製造方法の各段階を示す断面図である。
図4図1におけるメサ領域50近傍の拡大図である。
図5図4のA‐A'断面における不純物濃度の概要を示す図である。
図6】第2実施形態における半導体装置100の断面図である。
図7】第2実施形態における半導体装置100の製造方法を示すフロー図である。
図8】(a)〜(i)は、第2実施形態における半導体装置100の製造方法の各段階を示す断面図である。
図9図6におけるメサ領域50近傍の拡大図である。
図10】第3実施形態における半導体装置100の断面図である。
図11】第3実施形態における半導体装置100の製造方法を示すフロー図である。
図12】(a)〜(j)は、第3実施形態における半導体装置100の製造方法の各段階を示す断面図である。
図13】S140におけるメサ領域50の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0022】
図1は、第1実施形態における半導体装置100の断面図である。本例の半導体装置100は、縦型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Eeffect Transistor)を有する半導体チップである。なお、図1においては、縦型MOSFETの要部断面図を示す。なお、図面を見やすくするために、図1においては、層間絶縁膜および配線等は省略または簡略する。
【0023】
図1に示す縦型MOSFETの要部は、X軸方向において周期的に繰り返されてよい。また、縦型MOSFETの要部は、Y軸方向において連続的に延在してよい。一例において、Y軸方向はメサ領域50および分離トレンチ部60の延伸方向であり、X軸方向はメサ領域50および分離トレンチ部60が交互に配列される配列方向である。
【0024】
本例において、X軸方向とY軸方向とは互いに垂直な方向であり、Z軸方向はX‐Y平面に垂直な方向である。X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、いわゆる右手系を成す。本例においては、Z軸の正方向を上と称し、Z軸の負方向を下と称する場合がある。上および下は、基板、領域、層および膜等の相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎない。例えば、Z軸方向は、必ずしも重力方向または地面に垂直な方向を意味しない。
【0025】
半導体装置100における半導体材料は、GaN(即ち、窒化ガリウム)系半導体材料であってよい。GaN系半導体材料とは、AlおよびInを含まないGaNであってよく、Al(アルミニウム)およびIn(インジウム)を含むGaNであってもよい。つまり、GaN系半導体材料は、InAlGa(1−x−y)N(ただし、0≦x,y<1)を意味してよい。ただし、本例のGaN系半導体材料は、GaN(つまり、InAlGa(1−x−y)Nにおいてx=y=0)である。
【0026】
本例の半導体装置100は、基板10、ドリフト領域12、ベース領域14、ソース領域16、コンタクト層18、ゲートトレンチ部20、ソース電極30およびドレイン電極40を備える。本例において、基板10、ドリフト領域12、ベース領域14、ソース領域16およびコンタクト層18は、GaN系半導体材料で形成されている。具体的には、基板10は、n型の自立型基板である。ドリフト領域12は、基板10上にエピタキシャル形成されたn型領域である。また、ベース領域14は、ドリフト領域12上にエピタキシャル形成されたp型領域である。
【0027】
なお、本例においては、第1導電型をn型、第2導電型をp型とした例を示すが、基板、領域、層および膜等の導電型は、それぞれ逆の極性であってもよい。つまり、他の例においては、第1導電型をp型、第2導電型をn型としてもよい。なお、本例において、nまたはpは、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nまたはpの右肩に記載した+または−について、+はそれが記載されていないものよりもキャリア濃度が高く、−はそれが記載されていないものよりもキャリア濃度が低いことを意味する。
【0028】
本例の半導体装置100は、メサ領域50と、分離トレンチ部60とを備える。メサ領域50は、X軸方向に隣接する少なくとも2つの分離トレンチ部60の間に設けられてよい。分離トレンチ部60は、X軸、Y軸およびZ軸方向においてゲートトレンチ部20よりも大きなトレンチ部である。図1において、分離トレンチ部60は、ベース領域14とドリフト領域12の上部の一部とを切り欠いた領域である。また、メサ領域50は、分離トレンチ部60を形成した後において残った領域である。それゆえ、メサ領域50は、ベース領域14とドリフト領域12の上部の一部とを有する。
【0029】
本例のメサ領域50は、矩形の凸形状を有する。メサ領域50は、上述のベース領域14と、n型のソース領域16の一部と、ゲートトレンチ部20とを有してよい。メサ領域50はドリフト領域12およびベース領域14を有するので、メサ領域50もGaN系半導体材料で形成されている。
【0030】
本例においては、ソース領域16の下方はベース領域14に入り込んでいる。それゆえ、ベース領域14の少なくとも一部はソース領域16の下に設けられる。図1において、ゲートトレンチ部20を中心としてソース領域16よりも外では、メサ領域50の上部54の外形(即ち、ベース領域14の上端)が明確である。なお、ソース領域16中におけるメサ領域50の上部54(即ち、ベース領域14の上端)を点線で示す。
【0031】
ベース領域14のうちゲートトレンチ部20の側部に位置する領域には、ゲート・オン時にチャネルが形成されてよい。なお、本例においてゲート・オン時とは、ゲートトレンチ部20内部のゲート導電部26にチャネルを形成するための所定の正電圧が印加された場合を意味する。これに対して、ゲート・オフ時とは、ゲート導電部26に接地電位(即ち、ゼロ[V])または所定の負電圧が印加された場合を意味する。なお、半導体装置100の使用時においては、ソース電極30に接地電位が供給され、ドレイン電極40には外部の電源電圧から高電圧が供給されてよい。
【0032】
メサ領域50の側部52は、メサ領域50と分離トレンチ部60との境界であってよい。本例においては、メサ領域50における2つの側部52と上部54とが、矩形の凸形状を規定する。これに対して、本例の分離トレンチ部60は、矩形の凹形状を有する。本例においては、分離トレンチ部60の底部62とメサ領域50の2つの側部52とが、矩形の凹形状を規定する。
【0033】
コンタクト層18は、分離トレンチ部60の底部62と、メサ領域50の側部52および上部54とに接して設けられてよい。本例のコンタクト層18は、メサ領域50および分離トレンチ部60に接してエピタキシャル形成されたp型層である。コンタクト層18は、ベース領域14よりも高いp型不純物濃度を有する。
【0034】
一般的に、イオン注入によりp型SiCを形成することに比べて、イオン注入によりp型GaN材料を形成することは困難であるとされている。例えば、SiC半導体材料にイオン注入されたp型不純物元素は、当該SiC半導体材料を1600℃以上の高温で熱処理することによりp型アクセプタとして活性化することが知られている。これに対して、GaN半導体材料にイオン注入されたp型不純物元素をp型アクセプタとして活性化するためには、当該GaN半導体材料を1300℃以上の高温で熱処理する必要がある。ただし、イオン注入された領域が熱処理雰囲気で露出された状態において通常の熱処理を実行すると、窒素原子が脱離してGaN半導体材料の結晶性が壊れ得るし、また、窒素空孔がドナー型欠陥として機能し得ることに起因して所定のp型キャリアの濃度を得ることが困難となる。なお、1300℃未満の温度の熱処理では、当該GaN半導体材料にイオン注入されたp型不純物元素をp型アクセプタとして機能するように活性化することができない。
【0035】
このように、GaN材料にp型不純物元素(例えば、マグネシウム(Mg))をイオン注入したとしても、当該p型不純物元素をGaN材料において適切にp型アクセプタとして機能させることは、一般的には困難である。これに対して、本例においては、p型のコンタクト層18をエピタキシャル形成するので、分離トレンチ部60の底部62、ならびに、メサ領域50の側部52および上部54において高いp型アクセプタ濃度を有するコンタクト層18を確実に形成することができる。
【0036】
また、本例のソース領域16は、コンタクト層18の一部をイオン注入によりn型にカウンタードープすることで形成する。それゆえ、ソース領域16内にはコンタクト層18と同一の不純物が存在してよい。本例においては、ソース領域16内のn型不純物濃度と、分離トレンチ部60の底部62に接して設けられるコンタクト層18におけるp型不純物濃度とは、同一である。本例のソース領域16は、ドリフト領域12よりも高いn型不純物濃度を有する。
【0037】
ソース電極30は、メサ領域50の上部54上に設けられるコンタクト層18上に少なくとも一部が設けられてよい。本例のソース電極30は、ソース領域16およびコンタクト層18上に設けられる。p型のコンタクト層18は、GaN系半導体材料とソース電極30とのオーミックコンタクトを提供することができる。
【0038】
型のコンタクト層18とn型のドリフト領域12とは、側部52および底部62においてpn接合を形成する。本例のコンタクト層18は、ドリフト領域12のn型不純物濃度に比べて、十分に高いp型不純物濃度を有する。例えば、コンタクト層18のp型不純物濃度は、ドリフト領域12のn型不純物濃度に比べて3桁から4桁高い。ドリフト領域12のn型不純物濃度は、例えば1E+16[cm−3]以上2E+16[cm−3]以下である。これに対して、コンタクト層18のp型不純物濃度は、例えば1E+19[cm−3]以上1E+20[cm−3]以下である。なお、Eは10のべき乗であり、1E+16は、1016を意味する。
【0039】
pn接合においては、n型の不純物濃度が高いほどn型層における空乏層の拡がりは小さい。同様に、p型の不純物濃度が高いほどp型層における空乏層の拡がりは小さい。本例においては、p型のコンタクト層18のp型不純物濃度は、n型のドリフト領域12のn型不純物濃度に比べて十分に高い。それゆえ、ドリフト領域12およびコンタクト層18のpn接合において空乏層が拡がるゲート・オフ時に、メサ領域50の側部52および分離トレンチ部60の底部62の全体において空乏層がソース電極30に達する(パンチスルーする)ことを防ぐことができる。
【0040】
ゲートトレンチ部20は、トレンチ22、ゲート絶縁膜24およびゲート導電部26を有してよい。本例のトレンチ22は、メサ領域50およびコンタクト層18をエッチングすることにより形成した領域であり、ゲートトレンチ部20の外形を規定してよい。エッチング工程においては、既知のフォトリソグラフィーを利用して予め定められた領域のみをエッチングしてよい。ゲート絶縁膜24は、トレンチ22の内側の表面に設けられる。ゲート導電部26は、ゲート絶縁膜24に接して、トレンチ22の内側に設けられる。
【0041】
ゲートトレンチ部20は、メサ領域50におけるX軸方向の略中央に設けられてよい。ソース領域16およびコンタクト層18は、ゲートトレンチ部20のX軸方向の両側に位置してよい。ゲートトレンチ部20は、ベース領域14を貫通して、ベース領域14とドリフト領域12との接合部よりも下の位置まで達してよい。ただし、本例において、ゲートトレンチ部20の底部は、分離トレンチ部60の底部62よりも上に位置する。
【0042】
図1に示すように、ゲートトレンチ部20の側部はZ軸方向に平行であり、ゲートトレンチ部20の底部はX軸方向に平行であってよい。本例においては、ゲートトレンチ部20の側部と底部とが交わる位置で規定される角部23が形成される。つまり、角部23は、ベース領域14と接するゲートトレンチ部20の側部の下端に位置してよい。角部23は、略直角であってよく、直角であってもよい。角部23においては、ゲート・オフ時に等電位線が密になりやすい。つまり、角部23においては電界強度が高くなりやすい。電界強度が所定の上限値を超えると、ゲート絶縁膜24が破壊され得る。一旦、ゲート絶縁膜24が破壊されると、半導体装置100のスイッチング機能が損なわれる。それゆえ、ゲートトレンチ部20の角部23においては、電界強度を低減することが望ましい。
【0043】
本例においては、分離トレンチ部60の底部62をゲートトレンチ部20の底部よりも下方に設ける。これにより、メサ領域50の側部52と分離トレンチ部60の底部62との交わる位置で規定される角部13は、ゲートトレンチ部20の角部23よりも下に位置する。
【0044】
これにより、ゲート・オフ時の等電位線は、ゲートトレンチ部20の角部23よりも分離トレンチ部60の角部13において密になりやすくなる。つまり、分離トレンチ部60の角部13の電界強度が、ゲートトレンチ部20の角部23の電界強度よりも高くなりやすくなる。図1においては、ゲート・オフ時の等電位線の一例をドリフト領域12内において点線で示す。
【0045】
本例においては、分離トレンチ部60の角部13において絶縁破壊が生じるよりも先に、pn接合部である分離トレンチ部60の角部13でブレークダウンが生じる。これにより、分離トレンチ部60の角部13によってゲートトレンチ部20の角部23を保護することができる。pn接合部で一度ブレークダウンが生じても半導体装置100のスイッチング機能に支障が出ない可能性があるが、ゲート絶縁膜24で絶縁破壊が生じると半導体装置100は機能しなくなる。本例では、ゲート絶縁膜24の破壊を防ぐことにより、半導体装置100の信頼性を向上させることができる。
【0046】
なお、本例の角部23は直角であるが、他の例においては、ゲートトレンチ部20の側部と底部とは角の丸い曲線(Y軸方向への広がりを考慮する場合には曲面)により接続されてもよい。この場合においても、角の丸い曲線(または曲面)部分を角部23と見なしてよい。角部23が丸い場合においても、同様に、分離トレンチ部60の角部13によってゲートトレンチ部20の角部23を保護することができる。
【0047】
ソース電極30は、コンタクト層18とオーミック接触を得るべく、少なくともコンタクト層18上に設けられてよい。本例のソース電極30は、コンタクト層18とソース領域16の一部とに接して設けられる。つまり、本例のソース電極30は、メサ領域50の上部54の一部と、メサ領域50の側部52と、分離トレンチ部60の底部62とを被覆する。なお、本例のソース電極30は、ソース領域16の他の部分およびゲートトレンチ部20上には設けられない。なお、ゲートトレンチ部20の上部が層間絶縁膜により被覆される場合は、当該層間絶縁膜を介してゲートトレンチ部20上にソース電極30が設けられてもよい。ドレイン電極40は、基板10の下面に接して、基板10の下に設けられる。
【0048】
図2は、第1実施形態における半導体装置100の製造方法を示すフロー図である。本例においては、階S110から段階S190の番号順に(即ち、若い番号順に)各段階が実行される。段階S110から段階S190は、後述の図3の(a)〜(i)にそれぞれ対応する。なお、各段階は、半導体装置100の製造方法における主な段階を示すに過ぎない。各段階は、必要に応じて、製造装置の洗浄および被処理基板の熱処理等を含んでもよい。
【0049】
図3は、(a)〜(i)は、第1実施形態における半導体装置100の製造方法の各段階を示す断面図である。図3の(a)は、基板10上にドリフト領域12をエピタキシャル形成し、その後、ドリフト領域12上にベース領域14をエピタキシャル形成する段階(S110)である。本例の基板10は、n型の低転位単結晶基板である。ドリフト領域12は、5[μm]以上20[μm]以下の厚みを有してよい。なお、Z軸方向における厚みとは、基板、領域または層等のZ軸方向の長さを意味する。また、ドリフト領域12は、1E+16[cm−3]以上2E+16[cm−3]以下のn型不純物濃度を有してよい。
【0050】
ベース領域14は、1[μm]以上2[μm]以下の厚みを有してよい。また、ベース領域14は、1E+17[cm−3]以上5E+18[cm−3]以下のp型不純物濃度を有してよい。ドリフト領域12およびベース領域14は、有機金属成長法(MOCVD)またはハライド気相成長法(HVPE)により、それぞれエピタキシャル形成してよい。
【0051】
型のドリフト領域12をMOCVDによりエピタキシャル形成する場合、トリメチルガリウム(Ga(CH)、アンモニア(NH)およびモノシラン(SiH)を含む原料ガスと、窒素(N)および水素(H)を含む押圧ガスとを、所定温度に加熱した基板10上に流してよい。なお、原料ガスおよび押圧ガスの種類は上記例に限定されない。n型不純物は、Si(シリコン)、Ge(ゲルマニウム)、およびO(酸素)の一種類以上の元素であってよい。本例では、SiHのSiがドリフト領域12においてn型不純物として機能する。ただし、ドリフト領域12は、他のn型不純物を有してもよい。
【0052】
型のベース領域14をMOCVDによりエピタキシャル形成する場合、トリメチルガリウム、アンモニアおよびビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を含む原料ガスと、窒素(N)および水素(H)を含む押圧ガスとを、所定温度に加熱したドリフト領域12上に流してよい。なお、原料ガスおよび押圧ガスの種類は上記例に限定されない。p型不純物は、Mg、Ca(カルシウム)、Hg(水銀)、Be(ベリリウム)およびZn(亜鉛)の一種類以上の元素であってよい。本例では、CpMgのMgが、p型不純物として機能する。ただし、ベース領域14は、他のp型不純物を有してもよい。
【0053】
図3の(b)は、分離トレンチ部60を形成する段階(S120)である。メサ領域50に対応する領域にマスク材料を設けた上で、当該マスク材料が設けられていない領域をエッチングにより除去してよい。このように、ドリフト領域12およびベース領域14を部分的に除去することにより、少なくとも2つの分離トレンチ部60の間にメサ領域50を形成してよい。
【0054】
図3の(c)は、コンタクト層18をエピタキシャル形成する段階(S130)である。コンタクト層18は、0.1[μm]以上0.5[μm]以下の厚みを有してよい。また、コンタクト層18は、1E+19[cm−3]以上1E+20[cm−3]以下のp型不純物濃度を有してよい。コンタクト層18も、有機金属成長法(MOCVD)またはハライド気相成長法(HVPE)により、エピタキシャル形成してよい。コンタクト層18は、メサ領域50の上部54と、メサ領域50の側部52と、分離トレンチ部60の底部62とにおいて、予め定められた同じ厚みを有してよい。なお、メサ領域50の側部52における厚みとは、コンタクト層18のX軸方向の長さを意味する。
【0055】
なお、コンタクト層18の厚みが側部52と上部54および底部62とにおいて同じでない場合であっても、p型不純物濃度を厚み方向で積分することにより得られるp型不純物の積分濃度は、コンタクト層18において一定であってよい。本例において、メサ領域50の上部54および側部52、ならびに、分離トレンチ部60の底部62において、p型不純物の積分濃度は同じである。
【0056】
なお、図3において明示してはいないが、半導体装置100の製造方法は、コンタクト層18をエピタキシャル形成する段階(S130)の後、かつ、n型不純物をイオン注入する段階(S140)の前に、ドリフト領域12、ベース領域14およびコンタクト層18を有する被処理基板を熱処理する段階をさらに含んでよい。これにより、エピタキシャル形成された領域および層中の不純物を活性化させることができる。なお、この熱処理を省略して、n型不純物をイオン注入する段階(S140)の後における熱処理により、エピタキシャル形成された領域および層中の不純物を活性化させてもよい。
【0057】
図3の(d)は、n型不純物をイオン注入する段階(S140)である。本段階では、メサ領域50の上部54に設けられたコンタクト層18の予め定められた領域にn型不純物をイオン注入する。メサ領域50の上部54の一部に対応する領域に開口を有するマスク材料を設けた上で、当該開口を介してn型不純物をイオン注入してよい。これにより、開口直下にn型不純物注入領域を形成することができる。これに対して、マスク材料により覆われた領域にはn型不純物が注入されない。イオン注されるn型不純物元素は、SiまたはOであってよい。n型不純物領域をイオン注入で形成することにより、n型不純物領域をエピタキシャル成長により形成する場合に比べて、局所的にn型不純物領域を形成することができる。つまり、イオン注入の方がn型不純物領域をより微細に形成することができる。
【0058】
n型不純物の注入深さは、n型不純物元素の加速エネルギーにより制御することができる。1E+15[cm−2]以上1E+16[cm−2]以下のドーズ量で、コンタクト層18の最上面から0.1[μm]以上0.5[μm]以下の深さにn型不純物をイオン注入してよい。イオン注入されたコンタクト層18を含む被処理基板は、熱処理装置において1000℃以上1200℃以下の温度で熱処理されてよい。これにより、イオン注入したn型不純物を活性化し、また、イオン注入により破壊された結晶性をある程度回復することができる。本例においては、被処理基板を1100℃以下の温度で熱処理する(第1熱処理)。1100℃以下で熱処理することにより、結晶性をある程度回復しつつも、n型不純物がベース領域14へ拡散することを防ぐことができる。
【0059】
ソース領域16は、機能の観点においては厳密には後述する第2熱処理におけるn型不純物元素の活性化を経て完成するが、段階S140においてソース領域16の外形は凡そ形成されてよい。それゆえ、図3(d)において、n型不純物注入領域をソース領域16と示す。ソース領域16は、1E+19[cm−3]以上1E+21[cm−3]以下のn型不純物濃度を有してよい。なお、イオン注入後または熱処理後において、ソース領域16の下方はベース領域14の上部の一部に存在してもよい。なお、本例のn型不純物はイオン注入されるので、予め定められた注入深さを中心とするガウス分布型の不純物濃度分布を有してよい。
【0060】
図3の(e)は、トレンチ22を形成する段階(S150)である。トレンチ22に対応する領域に開口を有するマスク材料を上部54上に設けた上で、メサ領域50のGaN系半導体材料をエッチングにより除去してよい。これにより、ソース領域16およびベース領域14を貫通するトレンチ22が形成される。段階S140において被処理基板を1100℃以下の温度で熱処理する本例では、段階S150において被処理基板を1100℃より高く1200℃以下の温度で熱処理する(第2熱処理)。1100℃より高い温度で熱処理することにより、1100℃以下の熱処理では不十分であるn型不純物の活性化および結晶性の回復を確実にすることができる。
【0061】
図3の(f)は、ゲート絶縁膜24を形成する段階(S160)である。本段階においては、トレンチ22内にゲート絶縁膜24を設けるべく、メサ領域50および分離トレンチ部60の全体に、ゲート絶縁膜24を形成する。ゲート絶縁膜24はSiO膜であってよく、Al膜あってもよい。ゲート絶縁膜24は化学気相成長法(CVD)により形成してよい。ゲート絶縁膜24は50[nm]以上100[nm]以下の厚みを有してよい。なお、段階S140および段階S150において被処理基板を1100℃よりも高い温度で熱処理しなかった場合には、段階S150において被処理基板を1100℃より高く1200℃以下の温度(第2熱処理の温度に相当)で熱処理してもよい。
【0062】
図3の(g)は、ゲート導電部26を形成する段階(S170)である。本段階においては、ゲート絶縁膜24に接してトレンチ22の内部にゲート導電部26を設けるべく、メサ領域50および分離トレンチ部60の全体に、不純物がドープされたポリシリコンを形成する。ゲート導電部26は、化学気相成長法(CVD)により形成してよい。CVDの後のエッチングにより、トレンチ22の内部のみにゲート導電部26を残してよい。
【0063】
図3の(h)は、ゲート絶縁膜24を部分的に除去する段階(S180)である。本段階においては、コンタクト層18に接するゲート絶縁膜24を除去することにより、コンタクト層18とソース電極30とのコンタクト領域を形成する。つまり、本段階においては、コンタクト用の開口をゲート絶縁膜24に設ける。なお、ゲート絶縁膜24は、コンタクト層18上において確実に除去されていればよく、ソース領域16上においては残っていてもよい。段階S150から段階S180までを経て、ゲートトレンチ部20を形成することができる。
【0064】
図3の(i)は、ソース電極30およびドレイン電極40を形成する段階(S190)である。本段階においては、スパッタリング等によりメサ領域50および分離トレンチ部60の上にPd(パラジウム)、Ti(チタン)およびAlを順次形成することにより、ソース電極30を形成してよい。つまり、ソース電極30は、コンタクト層18に近い順にPd、TiおよびAlが積層された電極であってよい。また、同様にスパッタリング等により基板10の裏面にTiおよびAlを順次形成することにより、ソース電極30を形成してよい。つまり、ドレイン電極40は、基板10に近い順にTiおよびAlが積層された電極であってよい。
【0065】
図4は、図1におけるメサ領域50近傍の拡大図である。第1実施形態にかかるベース領域14は、p型の拡張領域15を有してよい。本例の拡張領域15はベース領域14の一部である。拡張領域15は、イオン注入後における1100℃以下の温度での熱処理(第1熱処理)ではなく、1100℃を超える温度での熱処理(第2熱処理)に起因して形成されてよい。特定の要因のみに限定されるものではないが、前述の段階S140におけるイオン注入時にコンタクト層18およびベース領域14に導入された欠陥が、段階S140、段階S150および段階S160のいずれかにおける1100℃より高い温度での熱処理(第2熱処理)を経て下方に伝播することにより、ベース領域14におけるトレンチ22近傍の領域が下方に突出するよう変形してよい。これにより、拡張領域15は、ゲートトレンチ部20の角部23を覆う略L字の形状を有してよい。
【0066】
なお、本例においては、1100℃より高い温度での熱処理(第2熱処理)をトレンチ22形成以降に行う。それゆえ、本例の拡張領域15は、角部23近傍を除くトレンチ22の底部には形成されない。仮に、トレンチ22の底部全体に拡張領域15が形成された場合には、半導体装置100がMOSFETとして機能しなくなる恐れがある。本例の拡張領域15は、ゲートトレンチ部20の角部23のみを覆うことにより、半導体装置100がMOSFETとして機能することを担保する。
【0067】
拡張領域15がゲートトレンチ部20の角部23を覆うとは、ベース領域14の少なくとも一部がトレンチ22の底部に位置することを意味してよい。拡張領域15は、トレンチ22の底部よりも深い位置において、トレンチ22の側部におけるゲート絶縁膜24の厚みと同程度X軸方向に延伸してよい。本例においては、拡張領域15がゲートトレンチ部20の角部23を覆うことができるので、拡張領域15が角部23を覆わない場合と比較して、角部23における電界強度を低減することができる。これにより、コンタクト層18を設けることと合わせて、角部23を保護する効果を相乗的に向上させることができる。
【0068】
上述の段階S130で述べたように、コンタクト層18はメサ領域50および分離トレンチ部60に接してエピタキシャル形成される。コンタクト層18がエピタキシャル形成されたことをコンタクト層18中に記載した矢印にて示す。コンタクト層18は、矢印で示す向きに成長する。本例において、基板10の主面はc面である。それゆえ、ドリフト領域12の主面もc面である。また、分離トレンチ部60の底部62もc面に平行な面となる。このように本例では、メサ領域50の上部54および分離トレンチ部60の底部62はc面に平行であり、メサ領域50の側部52は当該c面に垂直なc軸に平行である。なお、他の例においては、基板10およびドリフト領域12の主面は数度のオフ角を有してもよく、これに伴い、メサ領域50の側部52もc軸に完全に平行でなくてもよい。
【0069】
本例においては、コンタクト層18をエピタキシャル形成するので、メサ領域50の側部52に設けられるコンタクト層18のp型不純物濃度と、分離トレンチ部60の底部62に接して設けられるコンタクト層18のp型不純物濃度とを、同じとすることができる。メサ領域50の側部52に接するコンタクト層18をc軸に対して垂直な特定の面方位に成長させることにより、側部52と底部62とに接して設けられるコンタクト層18のp型不純物濃度を同じとすることができる。
【0070】
これにより、側部52のp型不純物濃度が底部62のp型不純物濃度よりも小さい比較例に比べて、メサ領域50の側部52からメサ領域50の中央に向かうX軸方向と平行な方向において空乏層が広がり易くなる。空乏層は絶縁体として機能し得るので、空乏層がゲートトレンチ部20の角部23に達する場合に、空乏層は角部23を絶縁破壊から保護する一助となる。それゆえ、本例においては、ゲートトレンチ部20の角部23において絶縁破壊が生じることを当該比較例に比べてより確実に防ぐことができる。
【0071】
なお、本例の変形例として、メサ領域50の側部52に設けられるコンタクト層18のp型不純物濃度を、分離トレンチ部60の底部62に接して設けられるコンタクト層18のp型不純物濃度よりも高くしてもよい。メサ領域50の側部52に接するコンタクト層18をc軸に対して垂直な特定の面方位に成長させることにより、側部52のコンタクト層18のp型不純物濃度を、底部62のコンタクト層18のp型不純物濃度よりも高くすることができる。これにより、空乏層はメサ領域50の側部52から中央に向かうX軸方向と平行な方向においてさらに広がり易くなるので、ゲートトレンチ部20の角部23の保護をより確実にすることができる。
【0072】
図5は、図4のA‐A'断面における不純物濃度の概要を示す図である。A‐A'断面は、ソース領域16、ベース領域14およびドリフト領域12を通る断面である。なお、A‐A'断面は上述の拡張領域15を通らない。図5において、横軸は深さ方向であり、縦軸の左側はp型不純物濃度であり、縦軸の右側はn型不純物濃度である。なお、図5は不純物濃度分布の概要を示すものである。なお、深さ方向とは、Z軸方向に平行な方向であり、例えばゲートトレンチ部20の上部から底部に向かう方向であり、また例えばベース領域14からドリフト領域12に向かう方向である。
【0073】
段階S110およびS130においてベース領域14およびコンタクト層18はそれぞれエピタキシャル形成されるので、p型不純物濃度は深さ方向において各々一定であってよい。ベース領域14のp型不純物濃度は、1E+17[cm−3]以上5E+18[cm−3]以下の範囲で一定であってよい。また、コンタクト層18のp型不純物濃度は、1E+19[cm−3]以上1E+20[cm−3]以下の範囲で一定であってよい。
【0074】
これに対して、ベース領域14は、深さ方向においてn型不純物濃度が徐々に減少するテール領域を有してよい。テール領域は、段階S140においてソース領域16形成用のn型不純物が下方(ベース領域14およびドリフト領域12)へ拡散することにより形成されてよい。つまり、テール領域のn型不純物と、ソース領域16のn型不純物とは、同じ元素のn型不純物であってよい。段階S140においては、所定のイオン注入の加速エネルギーおよび所定のドーズ量で1回または複数回イオン注入を実行してよい。これにより、ソース領域16のn型不純物濃度分布は、山なりのピーク領域を有してよく、頂部が平坦なピーク領域を有してもよい。ただし、イオン注入が1回であっても複数回であってもテール領域は形成される。
【0075】
テール領域のn型不純物濃度は、ベース領域14のp型不純物濃度に比べて十分に低いので、ゲートトレンチ部20の側部におけるチャネル長に影響を与えないと考えてよい。本例においては、局所的にn型のソース領域16を形成しつつ、ベース領域14におけるチャネル長が短くなることを防ぐことができる。
【0076】
図6は、第2実施形態における半導体装置100の断面図である。本例のソース領域16は、イオン注入により形成されず、ベース領域14とコンタクト層18との間にエピタキシャル形成される。つまり、本例のソース電極30は、ソース領域16よりも上に設けられたコンタクト層18の開口19を通じてソース領域16と接触する。また、メサ領域50は、ゲートトレンチ部20を除くベース領域14上の全体にソース領域16を有する。本例は、主にかかる点において第1実施形態と異なる。但し、本例と第1実施形態と共通する特徴については、第1実施形態と同じ有利な効果を得ることができる。
【0077】
エピタキシャル形成された層、膜および領域は、形成直後の最表面に酸化膜を有する場合がある。例えば、以下の理由のみに限定されるものではないが、エピタキシャル形成する成膜環境に残留する酸素に起因して、自然酸化膜が形成される場合がある。特に、n型のエピタキシャル層は、p型のエピタキシャル層に比べて自然酸化膜が成長しやすい。当該酸化膜は、半導体よりも絶縁体に近い抵抗を有し得る。
【0078】
本例においては、コンタクト層18の開口19が、ソース領域16に達するまでコンタクト層18を貫通する。それゆえ、コンタクト層18をエッチングすることにより開口19を形成するときに、開口19直下のソース領域16上の自然酸化膜も除去することができる。これにより、ソース領域16とソース電極30との間における不要な接触抵抗を排除することができる。
【0079】
図7は、第2実施形態における半導体装置100の製造方法を示すフロー図である。本例においては、階S115から段階S190の番号順に(即ち、若い番号順に)各段階が実行される。段階S115から段階S190は、後述の図8の(a)〜(i)にそれぞれ対応する。本例においては、第1実施形態の段階S110に代えて、段階S115を有する。また、本例においては、第1実施形態の段階S140を有しない。さらに、本例は、第1実施形態には無い段階S185を有する。図8の説明においては、これら第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0080】
図8は、(a)〜(i)は、第2実施形態における半導体装置100の製造方法の各段階を示す断面図である。図8の(a)は、基板10上にドリフト領域12をエピタキシャル形成し、その後、ドリフト領域12上にベース領域14をエピタキシャル形成し、さらにその後、ベース領域14上にn型のソース領域16をエピタキシャル形成する段階(S115)である。ソース領域16は、0.1[μm]以上0.5[μm]以下の厚みを有してよい。また、ソース領域16は、1E+20[cm−3]以上1E+21[cm−3]以下のn型不純物濃度を有してよい。
【0081】
図8の(b)は、分離トレンチ部60を形成する段階(S120)である。本例の段階S120においては、ドリフト領域12およびベース領域14に加えて、ソース領域16も部分的に除去する。これにより、メサ領域50および分離トレンチ部60を形成する。
【0082】
図8の(c)は、コンタクト層18を形成する段階(S130)である。段階S130は、第1実施形態と同じであるので説明を省略する。なお、第1実施形態においては、コンタクト層18にn型不純物を注入することによりソース領域16を形成したが、本例では既にソース領域16が形成されている。それゆえ、本例は、第1実施形態の段階S140を有しない。
【0083】
図8の(d)は、トレンチ22を形成する段階(S150)である。本例の段階S150においては、ドリフト領域12およびベース領域14に加えて、ソース領域16も貫通するようにトレンチ22を形成する。トレンチ22の底部は、ドリフト領域12とベース領域14との接合部よりも下に位置してよい。本例の段階S150は、係る点において第1実施形態と異なるが、他の点は同じである。
【0084】
図8の(e)は、ゲート絶縁膜24を形成する段階(S160)である。図8の(f)は、ゲート導電部26を形成する段階(S170)である。図8の(g)は、ゲート絶縁膜24を部分的に除去する段階(S180)である。段階S160からS180は、第1実施形態と同じであるので詳しい説明を省略する。
【0085】
図8の(h)は、コンタクト層18に開口19を形成する段階(S185)である。開口19に対応する領域に開口を有するマスク材料を設けた上で、マスク材料の開口直下のコンタクト層18をエッチングにより除去してよい。上述のように、段階S185においては、開口19の直下かつソース領域16の最上面に位置する自然酸化膜を除去してよい。
【0086】
図8の(i)は、ソース電極30およびドレイン電極40を形成する段階(S190)である。段階S190は、第1実施形態と同じであるので詳しい説明を省略する。
【0087】
図9は、図6におけるメサ領域50近傍の拡大図である。図4と同様に、コンタクト層18がエピタキシャル形成されたことを矢印にて示す。本例においても、第1実施形態と同様に、メサ領域50の側部52に設けられるコンタクト層18のp型不純物濃度と、分離トレンチ部60の底部62に接して設けられるコンタクト層18のp型不純物濃度とは、同じであってよい。これにより、側部52のp型不純物濃度が底部62のp型不純物濃度よりも小さい比較例に比べてメサ領域50のX軸方向において空乏層が広がり易くなるので、角部23において絶縁破壊が生じることを当該比較例に比べてより確実に防ぐことができる。尚、図9のコンタクト層18のうち、メサ領域50のゲートトレンチ部20の側部に接するコンタクト層18−iは、半導体装置100を上面視した場合にコンタクト層18から離れて島状に孤立してよい。当該島状に孤立したコンタクト層18−iは必ずしも残さなくてよく、除去してもよい。
【0088】
また、本例の変形例において、メサ領域50の側部52に設けられるコンタクト層18のp型不純物濃度は、分離トレンチ部60の底部62に接して設けられるコンタクト層18のp型不純物濃度よりも高くてよい。これにより、上記例に比べて、メサ領域50のX軸方向において空乏層が広がり易くなるので、ゲートトレンチ部20の角部23の保護をより確実にすることができる。
【0089】
図10は、第3実施形態における半導体装置100の断面図である。本例のソース領域16は、第1実施形態と同様にイオン注入により形成される。ただし、本例においては、第1実施形態のようにp型のコンタクト層18にn型不純物をイオン注入するのではなく、コンタクト層18よりもp型不純物濃度が低いp型のベース領域14にn型不純物をイオン注入する。これにより、ベース領域14中にn型のソース領域16を形成する。それゆえ、第1実施形態に比べて、良質なソース領域16を形成することができる。つまり、注入されたn型不純物の濃度ならびにイオン注入後の熱処理時間および温度が同じ条件であっても、第1実施形態に比べて本例の方が、ソース領域16における実効的なn型キャリア濃度を高くすることができる。
【0090】
本例のコンタクト層18は、メサ領域50の側部52および上部54ならびに、分離トレンチ部60の底部62に接して設けられる。本例コンタクト層18は、ソース領域16よりも上に設けられる。本例のコンタクト層18は、メサ領域50の上部54に接触する。また、本例のコンタクト層18は、ソース領域16およびゲートトレンチ部20上に後述の開口79を有する。本例のソース電極30は、コンタクト層18の開口79を通じてソース領域16と接触する。本例は、主にかかる点において第1実施形態と異なる。但し、本例と第1実施形態と共通する特徴については、第1実施形態と同じ有利な効果を得ることができる。
【0091】
図11は、第3実施形態における半導体装置100の製造方法を示すフロー図である。本例においては、段階S110から段階S190の番号順に(即ち、若い番号順に)各段階が実行される。段階S110から段階S190は、後述の図12の(a)〜(j)にそれぞれ対応する。本例においては、第1実施形態の段階S130と段階S140との間において、コンタクト層18に開口79を形成する段階をさらに有する。図12においては、第1実施形態との相違点について主に説明する。
【0092】
図12の(a)〜(j)は、第3実施形態における半導体装置100の製造方法の各段階を示す断面図である。図12の(a)〜(c)は、図3の(a)〜(c)と同じである。なお、図12(c)においては、コンタクト層18をエピタキシャル形成する段階(S130)の後、かつ、n型不純物をイオン注入する段階(S140)の前に、ドリフト領域12、ベース領域14およびコンタクト層18を有する被処理基板を熱処理する段階をさらに含んでよい。例えば、被処理基板を1100℃以下の温度で熱処理する。これにより、エピタキシャル形成された各領域および層中の不純物を活性化させることができる。
【0093】
図12の(d)は、コンタクト層18に開口79を形成する段階(S135)である。図12の(d)においては、コンタクト層18のエッチングに用いるマスク材料としてのフォトレジスト70を合わせて示す。S135においては、フォトレジスト70に開口79と同じまたは相似形状の開口を設けた上で、コンタクト層18をエッチングする。これにより、コンタクト層18を貫通し、ベース領域14に達する開口79を形成する。なお、図12においては、フォトレジスト70をS135およびS140において利用するので、フォトレジスト70を明示的に示す。ただし、他の実施形態のフォトリソグラフィーにおいてもフォトレジストが用いられてよいのは勿論である。
【0094】
図12の(e)は、n型不純物をイオン注入する段階(S140)である。コンタクト層18に開口79を形成する段階(S135)の後、かつ、ゲートトレンチ部20を形成する段階(S150〜S180)の前に、少なくとも開口79を介してn型不純物をベース領域14にイオン注入してよい。本例の段階S140においては、フォトレジスト70およびコンタクト層18の各開口を介してベース領域14にn型不純物をイオン注入する。
【0095】
本例では、コンタクト層18の開口79およびフォトレジスト70の開口を利用して、ベース領域14にn型不純物をイオン注入する。コンタクト層18の開口79およびフォトレジスト70の開口は、ゲートトレンチ部20が設けられるX‐Y平面の範囲よりも広い。それゆえ、本例においては、第2実施形態のように、メサ領域50上においてゲートトレンチ部20を避けるように、コンタクト層18に微細な開口19を形成しなくてよい。本例は、マスク位置合わせ等の点において、第2実施形態よりも製造条件が有利である。
【0096】
さらに、本例では、コンタクト層18およびフォトレジスト70を利用して、n型不純物のイオン注入ができるので、S140においてイオン注入用の別途のフォトリソグラフィープロセスが不要である。このように本例では、イオン注入用の別途のフォトリソグラフィープロセスを設ける場合に比べて、工程を簡略化することができる。
【0097】
また、本例では、第2実施形態のようにベース領域14上にソース領域16をエピタキシャル形成するのではなく、ベース領域14にn型不純物をイオン注入してソース領域16を形成する。ベース領域14上にソース領域16をエピタキシャル形成し、かつ、その後に熱処理をする場合には、ベース領域14中の不純物が適切に活性化しないことに起因して、ゲート電圧の閾値制御が困難になる場合がある。
【0098】
例えば、p型不純物がMgの場合、ベース領域14中のMg−H結合(マグネシウム原子と水素原子との結合)におけるHが切り離されて、Mgはベース領域14中に残り、Hはベース領域14から放出される。これにより、ベース領域14中においてMgが活性化する。これに対して、ベース領域14上にソース領域16を設けた状態で被処理基板を熱処理すると、ベース領域14からのHの放出が低減されることにより、MgとHとの切り離しが十分に進行しない場合がある。結果として、ベース領域14中のp型不純物が適切に活性化しない場合がある。これに対して、本例においては、ベース領域14にn型不純物をイオン注入するので、第2実施形態に比べてベース領域14中の不純物を適切に活性化することができる。これにより、第2実施形態に比べてゲート電圧の閾値制御が容易となる。
【0099】
図12の(f)〜(j)は、図3の(e)〜(i)と同じである。それゆえ、重複する説明を省略する。
【0100】
図13は、S140におけるメサ領域50の拡大図である。より詳細には、図13は、ベース領域14にn型不純物をイオン注入し、その後に被処理基板を熱処理した後の状態におけるメサ領域50の拡大図である。半導体装置100を上面視した場合に、コンタクト層18の開口79の端部78は、ソース領域16の側端部76上に位置してよい。つまり、ソース領域16の少なくとも一部は、コンタクト層18の下に位置してよい。
【0101】
本例において、端部78は、コンタクト層18の開口79の側面を構成するコンタクト層18の端部である。また、本例において、ソース領域16の側端部76は、半導体装置100を上面視した場合におけるソース領域16のX‐Y平面の中央位置よりもメサ領域50の側部52に近いソース領域16の端部領域である。なお、側端部76は、必ずしもX‐Y平面の最も外側に位置するソース領域16の端部だけを意味するものではない。側端部76は、当該端部から出発しソース領域16とベース領域14との境界に沿って予め定められた長さだけ進んだ位置までの範囲の端部領域を意味してよい。
【0102】
本例においては、半導体装置100を上面視した場合に、コンタクト層18の開口79の端部78とソース領域16の側端部76とが、深さ方向において重なる。本例においては、端部78と側端部76とが深さ方向において重なることを、コンタクト層18の開口79の端部78の位置が、ソース領域16の側端部76の位置と一致すると表現する。なお、端部78と側端部76とは深さ方向において必ずしも100%重なっていなくてよい。端部78と側端部76とは、例えば、少なくとも後述する長さLだけ重なる。
【0103】
本例のソース領域16は、メサ領域50の上部54からベース領域14における所定の深さ位置まで設けられる。深さ方向に平行な断面視において、ソース領域16はウェル状に設けられてよい。図13においては、ソース領域16の最大深さをLとする。ソース領域16は、深さをLの位置に平坦な底部を有してよい。また、図13においては、メサ領域50の上部54において、メサ領域50の上部54と開口79との境界の最も外側よりもさらに外側に広がるソース領域16の長さをLとする。
【0104】
深さLは、長さLと同程度の長さを有してよく、長さLよりも長くてもよい。本例の深さLは、長さL以上である(L≦L)。また、本例において、深さLは0.1[μm]以上0.5[μm]以下の所定の長さを有し、長さLは、0.1[μm]以上0.2[μm]以下の所定の長さを有する。ソース領域16の長さLの範囲においては、開口79直下にイオン注入されたn型不純物が熱拡散により移動することにより存在してよく、コンタクト層18を貫通したn型不純物が存在してもよい。
【0105】
本例においては、n型不純物をベース領域14にイオン注入することに起因して、コンタクト層18の端部領域74にn型不純物がイオン注入されてよい。コンタクト層18にn型不純物がイオン注入される最外部を点線にて示す。端部領域74は、コンタクト層18のうち開口79に接するテーパー部分を含んでよい。端部領域74は、コンタクト層18のテーパー部分と、当該テーパー部分を上部54に正射影した部分とを有する略三角形の領域であってよく、コンタクト層18においてn型不純物がイオン注入される領域であってもよい。なお、本例の端部領域74は、p型領域であるので、ソース領域16を形成するためのn型不純物がイオン注入されてもn型に反転しない。
【0106】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0107】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0108】
10・・基板、12・・ドリフト領域、13・・角部、14・・ベース領域、15・・拡張領域、16・・ソース領域、18、18−i・・コンタクト層、19・・開口、20・・ゲートトレンチ部、22・・トレンチ、23・・角部、24・・ゲート絶縁膜、26・・ゲート導電部、30・・ソース電極、40・・ドレイン電極、50・・メサ領域、52・・側部、54・・上部、60・・分離トレンチ部、62・・底部、70・・フォトレジスト、74・・端部領域、76・・側端部、78・・端部、79・・開口、100・・半導体装置
【要約】
【課題】半導体装置のゲート・オフ時における耐圧を向上させるために、ゲートトレンチ部が設けられるメサ領域の側部と当該メサ領域間の谷間の底部とに接するp型層を設けられることが望ましい。
【解決手段】少なくとも2つの分離トレンチ部と、少なくとも2つの分離トレンチ部の間に設けられ、第1導電型のソース領域と、少なくとも一部がソース領域の下に設けられた第2導電型のベース領域と、ゲートトレンチ部とを有する、メサ領域と、メサ領域の側部と、ゲートトレンチ部よりも下方に位置する分離トレンチ部の底部とに接して少なくとも設けられ、ベース領域よりも高い第2導電型の不純物濃度を有するコンタクト層とを備え、ソース領域内にはコンタクト層と同一の不純物が存在する、または、ソース領域上にコンタクト層が設けられる半導体装置を提供する。
【選択図】図1
図1
図2
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図8
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図10
図11
図12
図13