(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非磁性体製の円筒体の径方向外方に検出コイルを配設し、前記検出コイルに高周波電流を与えて発振させた状態で、ホッパーに投入された被選別物が重力により落下して前記円筒体の内部空間を通過し、前記被選別物内の金属異物が前記内部空間を通過する際における前記検出コイルのインピーダンス変化を検出することにより前記金属異物を検出する金属検出装置であって、
前記円筒体の上部外周面に密接する上部密接体、及び前記上部密接体に密接する、放熱フィンを有する上部ヒートシンクと、
前記円筒体の下部外周面に密接する下部密接体、及び前記下部密接体に密接する、放熱フィンを有する下部ヒートシンクとを備え、
前記上部ヒートシンク及び前記下部ヒートシンクと、前記検出コイルまわりに設けた側壁体とにより、前記検出コイルまわりを密閉するセンサーケースを形成し、
前記被選別物から前記円筒体に伝わった熱を、熱伝導により、前記上部密接体及び前記上部ヒートシンク、並びに前記下部密接体及び前記下部ヒートシンクに伝え、空冷ファンによる強制対流熱伝達により放熱することを特徴とする金属検出装置。
非磁性体製の円筒体の径方向外方に検出コイルを配設し、前記検出コイルに高周波電流を与えて発振させた状態で、ホッパーに投入された被選別物が重力により落下して前記円筒体の内部空間を通過し、前記被選別物内の金属異物が前記内部空間を通過する際における前記検出コイルのインピーダンス変化を検出することにより前記金属異物を検出する金属検出装置であって、
前記円筒体の上部外周面に密接する上部密接体、及び前記上部密接体に密接する、放熱フィンを有する上部ヒートシンクと、
前記円筒体の下部外周面に密接する下部密接体、及び前記下部密接体に密接する、放熱フィンを有する下部ヒートシンクと、
のどちらか一方を備え
前記上部ヒートシンクと、前記検出コイルまわりに設けた側壁体と、下板とにより、又は、
上板と、前記検出コイルまわりに設けた側壁体と、前記下部ヒートシンクとにより、
前記検出コイルまわりを密閉するセンサーケースを形成し、
前記被選別物から前記円筒体に伝わった熱を、熱伝導により、前記上部密接体及び前記上部ヒートシンク、又は前記下部密接体及び前記下部ヒートシンクに伝え、空冷ファンによる強制対流熱伝達により放熱することを特徴とする金属検出装置。
前記円筒体と、前記センサー基板を収容する基板ケースとの間の前記リード線をチューブに通し、前記チューブ内に、シリコーンゲル、又はシリコーンを主原料とするゲル状素材を充填してなる、
請求項3記載の金属検出装置。
非磁性体製の円筒体の径方向外方に検出コイルを配設し、前記検出コイルに高周波電流を与えて発振させた状態で、ホッパーに投入された被選別物が重力により落下して前記円筒体の内部空間を通過し、前記被選別物内の金属異物が前記内部空間を通過する際における前記検出コイルのインピーダンス変化を検出することにより前記金属異物を検出する金属検出装置であって、
前記円筒体の上部外周面に密接する上部密接体、及び前記上部密接体に密接する、放熱フィンを有する上部ヒートシンクと、
前記円筒体の下部外周面に密接する下部密接体、及び前記下部密接体に密接する、放熱フィンを有する下部ヒートシンクとを備え、
前記上部密接体に上部断熱材を介して連結した上板、及び前記下部密接体に下部断熱材を介して連結した下板、並びに、前記上板及び前記下板に連結する、前記検出コイルまわりに設けた側壁体により、前記検出コイルまわりを密閉するセンサーケースを形成し、
前記検出コイルにリード線で繋がるセンサー基板を、前記センサーケース内に備え、
前記被選別物から前記円筒体に伝わった熱を、熱伝導により、前記上部密接体及び前記上部ヒートシンク、並びに前記下部密接体及び前記下部ヒートシンクに伝え、空冷ファンによる強制対流熱伝達により放熱し、
前記上部断熱材により前記上部密接体から前記上板への熱伝導による伝熱を抑制するとともに、前記下部断熱材により前記下部密接体から前記下板への熱伝導による伝熱を抑制することを特徴とする金属検出装置。
前記円筒体の上端部と前記ホッパーの下端部との間に、下方に縮径するテーパー管である連結管を設け、重力により前記ホッパーから前記連結管内に入った前記被選別物が前記連結管内で密に詰まらずに粗い状態で落下するように前記連結管の長さ及び口径を定めるとともに、前記連結管の上端から前記検出コイルまでの高さ方向距離を100mm以上としてなる、
請求項1〜6の何れか1項に記載の金属検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属検出装置において、非磁性体製の円筒体の径方向外方に配設される検出コイルは外部磁場や振動等の影響を受けやすいので、前記検出コイルまわりを密閉する必要がある。
したがって、
図13の部分縦断面概略図に示す金属検出装置のセンサー室10Aのように、円筒体2、円筒体2の径方向外方に配設した検出コイル3、及び検出コイル3にリード線11Aで繋がるセンサー基板12Aを、センサーケースSCA内に収容している。
ここで、センサーケースSCAは、例えば、中空円盤状の上板I及び下板J、並びに円筒状の側板Kにより構成される。
【0006】
また、空気中の水分、静電気、及び検出コイル3の振動等が検出感度に影響することから、センサーケースSCA内を強制空冷等により放熱することはできない。
したがって、センサーケースSCAの外側の筐体であるセンサー室10Aの一側部に空冷ファンFを設けて、センサー室10Aの他側部に設けた吸気口Eから外気を導入することにより、センサー室10A内の放熱を行っている。
【0007】
樹脂ペレット等の被選別物が、例えば100℃〜150℃程度の高温である場合、高温の被選別物が円筒体2内を通過すると、被選別物の熱エネルギーが円筒体2に伝達される。
ここで、
図13のような放熱構造では、被選別物が、例えばおおよそ100℃以上の高温である場合の放熱対策として十分ではなく、この時センサーケースSCAを空冷ファンFで冷却しているが、また、仮にセンサーケースSCAにヒートシンクを設けたとしても、円筒体2からセンサーケースSCAへの熱伝導が不十分なため円筒体2が高温になる。さらに高温の円筒体2の近くに取り付けられている検出コイル3、及び検出コイル3にリード線11Aで繋がるセンサー基板12Aも高温になる。
【0008】
センサー基板12Aの温度が上昇して高温になると、温度が10℃上昇すると寿命が半分になるという、いわゆる10℃半減則からも分かるように、センサー基板12Aの電子部品の寿命が大幅に低下してしまう。
また、検出コイル3の温度が上昇して高温になると、検出コイル3の抵抗が増大して効率が落ちることにより、検出感度が大幅に低下してしまう。
特に、先願のように処理能力を向上させた金属検出装置では、高温の被選別物が円筒体内を通過するに伴い、被選別物から円筒体に伝わる熱エネルギーが大きくなるので、部品寿命及び検出感度が低下する問題が顕著になる。
【0009】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、被選別物が高温であっても部品寿命及び検出感度の低下や変動を抑制できる金属検出装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る金属検出装置は、前記課題解決のために、非磁性体製の円筒体の径方向外方に検出コイルを配設し、前記検出コイルに高周波電流を与えて発振させた状態で、ホッパーに投入された被選別物が重力により落下して前記円筒体の内部空間を通過し、前記被選別物内の金属異物が前記内部空間を通過する際における前記検出コイルのインピーダンス変化を検出することにより前記金属異物を検出する金属検出装置であって、
前記円筒体の上部外周面に密接する上部密接体、及び前記上部密接体に密接する、放熱フィンを有する上部ヒートシンクと、
前記円筒体の下部外周面に密接する下部密接体、及び前記下部密接体に密接する、放熱フィンを有する下部ヒートシンクとを備え、
前記上部ヒートシンク及び前記下部ヒートシンクと、前記検出コイルまわりに設けた側壁体とにより、前記検出コイルまわりを密閉するセンサーケースを形成し、
前記被選別物から前記円筒体に伝わった熱を、熱伝導により、前記上部密接体及び前記上部ヒートシンク、並びに前記下部密接体及び前記下部ヒートシンクに伝え、空冷ファンによる強制対流熱伝達により放熱することを特徴とする(請求項1)。
【0011】
また、本発明に係る金属検出装置は、前記課題解決のために、非磁性体製の円筒体の径方向外方に検出コイルを配設し、前記検出コイルに高周波電流を与えて発振させた状態で、ホッパーに投入された被選別物が重力により落下して前記円筒体の内部空間を通過し、前記被選別物内の金属異物が前記内部空間を通過する際における前記検出コイルのインピーダンス変化を検出することにより前記金属異物を検出する金属検出装置であって、
前記円筒体の上部外周面に密接する上部密接体、及び前記上部密接体に密接する、放熱フィンを有する上部ヒートシンクと、
前記円筒体の下部外周面に密接する下部密接体、及び前記下部密接体に密接する、放熱フィンを有する下部ヒートシンクと、
のどちらか一方を備え
前記上部ヒートシンクと、前記検出コイルまわりに設けた側壁体と、下板とにより、又は、
上板と、前記検出コイルまわりに設けた側壁体と、前記下部ヒートシンクとにより、
前記検出コイルまわりを密閉するセンサーケースを形成し、
前記被選別物から前記円筒体に伝わった熱を、熱伝導により、前記上部密接体及び前記上部ヒートシンク、又は前記下部密接体及び前記下部ヒートシンクに伝え、空冷ファンによる強制対流熱伝達により放熱することを特徴とする(請求項2)。
【0012】
これらのような構成によれば、被選別物が高温である場合に被選別物から円筒体に伝わった熱は、熱伝導により上部密接体及び上部ヒートシンク及び/又は下部密接体及び下部ヒートシンクに伝えられ、放熱フィンを有する上部ヒートシンク及び/又は放熱フィンを有する下部ヒートシンクから、空冷ファンによる強制対流熱伝達により放熱される。
よって、円筒体の径方向外方に配設された検出コイルにリード線で繋がるセンサー基板の温度上昇を抑制できるので、センサー基板上の電子部品の寿命低下を抑制できる。
その上、円筒体の径方向外方に配設された検出コイルの温度上昇及びそれに基づく検出コイルの抵抗の増加を抑制できるので、検出感度の低下を抑制できる。
【0013】
ここで、前記検出コイルにリード線で繋がるセンサー基板を、前記センサーケースの外方に備えてなるのが好ましい(請求項3)。
このような構成によれば、センサー基板をセンサーケースの外方に備えていることから、被選別物が高温である場合に被選別物から円筒体に伝わった熱がセンサー基板にさらに伝わりにくい。
よって、センサー基板の温度上昇をさらに抑制できるので、センサー基板上の電子部品の寿命低下を抑制する効果が大きくなる。
【0014】
さらに、前記円筒体と、前記センサー基板を収容する基板ケースとの間の前記リード線をチューブに通し、前記チューブ内に、シリコーンゲル、又はシリコーンを主原料とするゲル状素材を充填するのが一層好ましい(請求項4)。
このような構成によれば、検出コイルとセンサー基板とを接続するリード線がチューブに被われた状態で、チューブ内にシリコーンゲル等が充填されることから、振動に対してリード線が振れにくくなるので、リード線の振れによる誤検出を抑制できる。
【0015】
本発明に係る金属検出装置は、前記課題解決のために、非磁性体製の円筒体の径方向外方に検出コイルを配設し、前記検出コイルに高周波電流を与えて発振させた状態で、ホッパーに投入された被選別物が重力により落下して前記円筒体の内部空間を通過し、前記被選別物内の金属異物が前記内部空間を通過する際における前記検出コイルのインピーダンス変化を検出することにより前記金属異物を検出する金属検出装置であって、
前記円筒体の上部外周面に密接する上部密接体、及び前記上部密接体に密接する、放熱フィンを有する上部ヒートシンクと、
前記円筒体の下部外周面に密接する下部密接体、及び前記下部密接体に密接する、放熱フィンを有する下部ヒートシンクとを備え、
前記上部密接体に上部断熱材を介して連結した上板、及び前記下部密接体に下部断熱材を介して連結した下板、並びに、前記上板及び前記下板に連結する、前記検出コイルまわりに設けた側壁体とにより、前記検出コイルまわりを密閉するセンサーケースを形成し、
前記検出コイルにリード線で繋がるセンサー基板を、前記センサーケース内に備え、
前記被選別物から前記円筒体に伝わった熱を、熱伝導により、前記上部密接体及び前記上部ヒートシンク、並びに前記下部密接体及び前記下部ヒートシンクに伝え、空冷ファンによる強制対流熱伝達により放熱し、
前記上部断熱材により前記上部密接体から前記上板への熱伝導による伝熱を抑制するとともに、前記下部断熱材により前記下部密接体から前記下板への熱伝導による伝熱を抑制することを特徴とする(請求項5)
【0016】
このような構成によれば、放熱フィンを有する上部ヒートシンク及び放熱フィンを有する下部ヒートシンクから、空冷ファンによる強制対流熱伝達により放熱を行いながら、上部断熱材により上部密接体から上板への熱伝導による伝熱を抑制するとともに、下部断熱材により下部密接体から下板への熱伝導による伝熱を抑制するので、センサーケース内の温度上昇を抑制できる。
よって、円筒体の径方向外方に配設された検出コイルにリード線で繋がる、センサーケース内のセンサー基板の温度上昇を抑制できるので、センサー基板上の電子部品の寿命低下を抑制できる。
その上、円筒体の径方向外方に配設された検出コイルの温度上昇及びそれに基づく検出コイルの抵抗の増加を抑制できるので、検出感度の低下を抑制できる。
その上さらに、センサー基板を検出コイルとともに閉空間であるセンサーケースの内部空間に備えているので、耐ノイズ性を向上できる。
【0017】
ここで、前記上部断熱材は、
前記上部密接体の外周面及び前記上板の内周面の間に介在する円筒部と、
前記上部密接体の下面及び前記上板の上面の間に介在する円環部とからなり、
前記下部断熱材は、
前記下部密接体の外周面及び前記下板の内周面の間に介在する円筒部と、
前記下部密接体の上面及び前記下板の下面の間に介在する円環部とからなるのが一層好ましい(請求項6)
【0018】
このような構成によれば、上部断熱材及び下部断熱材が前記円筒部及び前記円環部からなるので、上部断熱材及び下部断熱材の組付けが容易であるとともに断熱性が安定する。
【0019】
さらに、前記円筒体の上端部と前記ホッパーの下端部との間に、下方に縮径するテーパー管である連結管を設け、重力により前記ホッパーから前記連結管内に入った前記被選別物が前記連結管内で密に詰まらずに粗い状態で落下するように前記連結管の長さ及び口径を定めるとともに、前記連結管の上端から前記検出コイルまでの高さ方向距離を100mm以上としてなるのがより一層好ましい(請求項7)。
【0020】
このような構成によれば、重力によりホッパーから連結管内に入った被選別物が連結管内で密に詰まらずに粗い状態で落下するように連結管の長さ及び口径が定められているので、被選別物が連結管内で密に詰まって落下速度が低下することがない。
その上、連結管の上端から検出コイルまでの高さ方向距離が100mm以上であるので、被選別物が重力により加速されて落下速度が上昇した状態で検出コイルを通過する。
よって、簡素な構成により製造コストの上昇を抑制しながら、被選別物に混入した金属異物の検出精度を向上できるとともに、処理能力を向上できる。
その上さらに、下方位置の被選別物の方が重力により加速されて高速であることから、連結管内で被選別物が密に詰まらないようにする断面積を小さくできるので、連結管を下方に縮径するテーパー管にすることができ、それにより連結管の下方に位置する円筒体及び検出コイルを小径化できるため、検出感度が向上する。
そして、このような処理能力を向上させた金属検出装置においては、被選別物が高温である場合に被選別物から円筒体に伝わる熱エネルギーが大きくなるので、本発明の放熱構造が特に有用であり、このような処理能力を向上させた金属検出装置における部品寿命及び検出感度の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係る金属検出装置によれば、主に以下のような効果を奏する。
(1)被選別物が高温であってもセンサー基板の温度上昇を抑制できるので、センサー基板上の電子部品の寿命低下や特性変化を抑制できる。
(2)被選別物が高温であっても検出コイルの温度上昇及びそれに基づく検出コイルの抵抗の増加を抑制できるので、検出感度の低下や特性変動を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
以下の実施の形態では1チャンネルの金属検出装置の例を示すが、2チャンネル以上の金属検出装置に本発明を適用してもよい。
【0024】
<被選別物>
本発明の金属検出装置により金属異物を検出する被選別物は、樹脂ペレット、樹脂粉粒体、ガラス粒又はセラミックス粉等であるが、それらに限定されない。
被選別物が高温であっても部品寿命及び検出感度の低下を抑制できるという本発明の特徴から、本発明の金属検出装置は、例えば100℃〜150℃程度の高温の被選別物に用いるのが好適である。
【0025】
<金属検出装置の構成及び動作>
図1の正面図に示す本発明の実施の形態に係る金属検出装置1の基本構造は先願と同様である。
【0026】
図1の正面図に示す金属検出装置1に加え、
図2の縦断面概略図に示すセンサー室10も参照して説明すると、金属検出装置1は、筐体1A、セラミック(非磁性体)製の円筒体2、円筒体2の径方向外方に配設された検出コイル3、被選別物が投入される、円筒体2の上方に位置するホッパー4、及び円筒体2の上端部とホッパー4の下端部との間に設けられた連結管Aを備える。
また、金属検出装置1は、円筒体2の下方に設けられた、リード管、リード管の下方に設けられた、選別ダンパー、選別ダンパーを揺動させる揺動駆動装置、金属異物を含む被選別物を機外へ排出する排出シュートG、並びに、検出コイル3に高周波電流を与えて発振させる発振手段及び被選別物内の金属異物が円筒体2の内部空間S1を通過する際における検出コイル3のインピーダンス変化を検出する検出手段、並びに前記揺動駆動装置の駆動制御手段を有する制御装置C等をさらに備える。
【0027】
そして、制御装置Cの発振手段により検出コイル3に高周波電流を与えて発振させた状態で、ホッパー4に投入された被選別物が重力により落下して円筒体2の内部空間S1を通過し、被選別物内の金属異物が内部空間S1を通過する際における検出コイル3のインピーダンス変化を制御装置Cの検出手段で検出することにより金属異物を検出する。
このようにして金属異物を検出した際には、制御装置Cの駆動制御手段により前記揺動駆動装置を駆動して前記選別ダンパーを揺動させることにより、金属異物が入った被選別物を排出シュートGから機外へ排出するので、金属異物が入った被選別物は下方の次工程へ流れない。
【0028】
<センサーケース及び基板ケースの構成>
図2の縦断面概略図、及び
図3の斜視図に示すように、円筒体2の外周面の上部に上部密接体5が密接し、円筒体2の外周面の下部に下部密接体6が密接する。
また、上部密接体5に上部ヒートシンク7が密接し、下部密接体6に下部ヒートシンク8が密接する。
さらに、上部ヒートシンク7下面7Bの係合溝7Cに側壁体9の上端部が係合し、下部ヒートシンク8上面8Bの係合溝8Cに側壁体9の下端部が係合する。
よって、円筒体2の外周側上下部に、放熱フィン7Aを有する上部ヒートシンク7、及び放熱フィン8Aを有する下部ヒートシンク8が備えられ、上部ヒートシンク7及び下部ヒートシンク8と、検出コイル3まわりに設けた側壁体9とにより、検出コイル3まわりを密閉するセンサーケースSCが形成される。
また、検出コイル3にリード線11で繋がるセンサー基板12は、センサーケースSCの外方にあり、基板ケース13内に収容される。
【0029】
図4の分解斜視図に示すように、上部密接体5は第1半割体5A及び第2半割体5Bにより構成され、下部密接体6は第1半割体6A及び第2半割体6Bにより構成される。
第1半割体5Aのざぐり孔5C,5Cの上方から六角穴付きボルト5F,5Fを挿入して上部ヒートシンク7の螺孔7D,7Dに螺合することにより、上部ヒートシンク7の上側に第1半割体5Aが固定される。
また、第1半割体6Aのざぐり孔6C,6Cの下方から六角穴付きボルト6F,6Fを挿入して下部ヒートシンク8の螺孔8D,8Dに螺合することにより、下部ヒートシンク8の下側に第1半割体6Aが固定される。
【0030】
円筒体2の下部を下部ヒートシンク8の通孔8Eに上方から嵌入して第1半割体6Aの内周面に沿わせた状態で、第2半割体6Bを円筒体2の下部に宛がって第1半割体6Aに対向させ、第2半割体6Bのざぐり孔6D,6D,…の側方から六角穴付きボルト6G,6G,…を挿入して第1半割体6Aの螺孔6E,6E,…に螺合する。それにより、円筒体2の下部は、第1半割体6A及び第2半割体6Bにより挟まれた状態でこれらに固定される。
この状態で、下部ヒートシンク8上面8Bの係合溝8Cに側壁体9の下端部が係合させ、リード線11及びチューブTを側壁体9の通孔9Aに挿入する。
【0031】
ここで、
図2及び
図4に示すように、リード線11は、例えばシリコーン製のチューブTに通され、チューブT内には、シリコーンゲル、又はシリコーンを主原料とするゲル状素材が充填される。
このような構成によれば、検出コイル3とセンサー基板12とを接続するリード線11がチューブTに被われた状態で、チューブT内にシリコーンゲル等が充填されることから、振動に対してリード線11が振れにくくなるので、リード線11の振れによる誤検出を抑制できる。
【0032】
次に、上部ヒートシンク7下面7Bの係合溝7Cに側壁体9の上端部を係合させ、円筒体2の上部を上部ヒートシンク7の通孔7Eに下方から嵌入して第1半割体5Aの内周面に沿わせた状態で、第2半割体5Bを円筒体2の上部に宛がって第1半割体5Aに対向させ、第2半割体5Bのざぐり孔5D,5D,…の側方から六角穴付きボルト5G,5G,…を挿入して第1半割体5Aの螺孔5E,5E,…に螺合する。それにより、円筒体2の上部は第1半割体5A及び第2半割体5Bにより挟まれた状態でこれらに固定される。
なお、上部密接体5及び下部密接体6を、半割体5A,5B、及び半割体6A,6Bにより構成せずに、スリットを有するカラー等で一体に形成してもよい。
【0033】
また、
図2及び
図3に示す側壁体9の側方に配置した基板ケース13の蓋を開けた状態で、センサー基板12にリード線11を接続し、基板ケース13にセンサー基板12を固定した後、基板ケース13の蓋を閉じる。
【0034】
<放熱構造>
上部密接体5及び下部密接体6、並びに上部ヒートシンク7及び下部ヒートシンク8は、純銅若しくは銅合金製、又は純アルミニウム若しくはアルミニウム合金製である。
また、上部密接体5及び上部ヒートシンク7の密接面、並びに下部密接体6及び下部ヒートシンク8の密接面には、熱伝導性グリース(放熱グリース)又は熱伝導シート等を介在させる。
よって、熱伝導率が高い部品同士の密接面に熱伝導性グリース等を介在させて密接面間の接触熱抵抗を小さくしているので、円筒体2から上部ヒートシンク7及び下部ヒートシンク8までの熱抵抗を小さくできる。
【0035】
被選別物が高温である場合には、被選別物の大きな熱エネルギーが円筒体2に伝わる。
このように被選別物から円筒体2に伝わった熱は、
図2及び
図3に示す放熱フィン7Aを有する上部ヒートシンク7及び放熱フィン8Aを有する下部ヒートシンク8に、熱伝導で伝わる。
センサー室10内の温度が所定温度(例えば30℃)以上になったことを温度センサー等により検出すると、
図2に示す空冷ファンFを駆動する。それにより、吸気口Eから導入された外気が放熱フィン7A,8Aに接触するので、強制対流熱伝達により効果的に放熱される。
【0036】
<放熱性能の評価実験>
次に、本発明の実施の形態の構成のセンサーケースSC(
図2)の放熱性能を評価するために行った実験について説明する。
(実験方法)
25℃に設定した恒温器内にセンサーケースを設置し、円筒体内に熱風機で130℃の風を循環させ、各部の温度が平衡状態に達した後に、円筒体、検出コイル、及びセンサー基板の温度を測定する。
【0037】
(実施例及び比較例)
実施例1として、本発明の実施の形態の構成のセンサーケースSC(
図2)を用いた。
上部密接体5及び下部密接体6は銅合金製とし、上部ヒートシンク7、下部ヒートシンク8及び側壁体9はアルミニウム合金製とし、基板ケース13は鋼製とした。
また、リード線11は、シリコーン製のチューブTに通し、チューブT内には、シリコーンゲルを充填した。
比較例1として、従来のセンサーケースSCA(
図13)を用いた。
上板I、下板J及び側板Kは鋼製とした。
【0038】
(実験結果)
実験結果を表1に示す。
表1より、比較例1の構成(
図13)よりも実施例1の構成(
図2)の方が、放熱性能が大幅に高く、円筒体の温度は、比較例1に対して実施例1の方が36.6℃低く、検出コイルの温度は、比較例1に対して実施例1の方が16.1℃低く、センサー基板の温度は、比較例1に対して実施例1の方が18.7℃低いことが分かる。
よって、センサー基板上の電子部品の寿命は、いわゆる10℃半減則によれば、2^(18.7/10)≒3.7であるので、実施例1の寿命は、比較例1の寿命の約3.7倍になる。
【0040】
<第1変形例>
図2に示すセンサーケースSCの内部空間S2に、シリコーンゲル、又はシリコーンを主原料とするゲル状素材を充填してもよい。
ここで、空気の熱伝導率は、0.0257W/m・K(20℃)、0.0287W/m・K(60℃)、0.0302W/m・K(80℃)である。
また、シリコーンゲルの熱伝導率は、0.15W/m・K程度(例えば、信越化学工業株式会社製のKE−1052(A/B))であり、シリコーンを主原料とするゲル状素材の中で熱伝導性の高いものの熱伝導率は、6.5W/m・K程度(例えば、株式会社タイカ製のペースト状熱伝導ゲルDP−100)である。
【0041】
よって、シリコーンゲルの熱伝導率は、空気の約5ないし6倍程度であり、シリコーンを主原料とするゲル状素材の中で熱伝導性の高いものを選定すれば、その熱伝導率は空気の約215ないし250倍程度であるので、センサーケースSCの内部空間S2に、シリコーンゲル、又はシリコーンを主原料とするゲル状素材を充填することにより、被選別物が高温である場合に被選別物から円筒体2に伝わった熱をヒートシンク7,8までさらに効率よく伝えてヒートシンク7,8から放熱できる。
その上、センサーケースSCの内部空間S2にシリコーンゲル等を充填する場合は、
図2のようにチューブTを設ける必要がない。すなわち、センサーケースSCの内部空間S2に充填するシリコーンゲル等によりリード線11が固定されるので、チューブTにリード線11を通してチューブT内にシリコーンゲル等を充填する必要がない。
【0042】
<第2変形例>
図2に示すセンサー基板12を収容する基板ケース13の内部空間S3に、シリコーンゲル、又はシリコーンを主原料とするゲル状素材を充填してもよい。
このような構成によれば、前記のとおり、シリコーンゲルの熱伝導率は、空気の約5ないし6倍程度であり、シリコーンを主原料とするゲル状素材の中で熱伝導性の高いものを選定すれば、その熱伝導率は空気の約215ないし250倍程度であるので、放熱性が高くなる。
よって、センサー基板12上の電子部品の温度上昇を抑制できるので、センサー基板12上の電子部品の寿命低下を抑制できる。
その上、検出コイル3とセンサー基板12とを接続するリード線12の基板ケース13内の部分がシリコーンゲル等により固定されることから、振動に対してリード線11が振れにくくなるので、リード線11の振れによる誤検出を抑制できる。
【0043】
<検出精度及び処理能力の向上を両立できる金属検出装置>
検出コイル3までの落差(検出コイル3を通過する際の落下速度)による、制御装置Cの検出手段により検出コイル3のインピーダンス変化を検出した際の電圧であるセンサー検出電圧の変化を見るために行った実験例について説明する。
なお、
図2の縦断面概略図、及び
図5の要部拡大縦断面図に示すように、連結管Aは下方に縮径する(上方よりも下方の内径が小さい)テーパー管である。
【0044】
図6のグラフは、直径0.2mmのタングステンカーバイド(WC)のテストピースを自由落下させた実験例を、
図7のグラフは、直径0.3mmのステンレス鋼(SUS304)のテストピースを自由落下させた実験例を示している。
また、
図6(a)及び
図7(a)は、検出コイル3までの落差によるセンサー検出電圧の変化を示すグラフであり、
図6(b)及び
図7(b)は、検出コイル3を通過する際の落下速度によるセンサー検出電圧の変化を示すグラフである。なお、「落下速度(mm/s)」は、空気抵抗を考慮せずに落差と重力加速度から算出した理論値である。また、「センサー検出電圧(V)」は5回測定した値の平均値である。
【0045】
図6及び
図7の実験例から、検出コイル3を通過する際の速度が速いほどセンサー検出電圧が高くなり、特に小さい落差において落差変化によるセンサー検出電圧の変化が大きく、落差が50mm(連結管Aが無い場合に相当)のセンサー検出電圧の値に対する落差が100mm(
図5に示す連結管Aの長さLが50mmの場合に相当)のセンサー検出電圧の値は、約1.3倍になっており、落差が50mm(連結管Aが無い場合に相当)のセンサー検出電圧の値に対する落差が150mm(
図5に示す連結管Aの長さLが100mmの場合に相当)のセンサー検出電圧の値は、約1.5倍になっている。
そこで、本実施の形態では、
図5に示す連結管Aの長さLを50mm以上とし、すなわち連結管Aの上端(ホッパー4の下端部)から検出コイル3までの高さ方向距離Hを100mm以上としている。
【0046】
次に、主に連結管A内における被選別物の流れの状況を見るために行った実験例について説明する。
図5に示す上口径(ホッパー4の下端内径)D1、下口径(連結管Aの下端内径)D2、連結管Aの長さL、連結管Aの上端から検出コイル3までの高さ方向距離H(H=L+50)を、実施例2及び3、並びに比較例2ないし4のように変えたものを試作し、被選別物である樹脂ペレットに直径0.2mmのタングステンカーバイド(WC)を入れたテストピースを混ぜて流して評価を行った結果を表2に示す。
(1)実施例2:D1=30mm,D2=19mm,L=200mm,H=250mm。
(2)実施例3:D1=30mm,D2=19mm,L=300mm,H=350mm。
(3)比較例2:D1=40mm,D2=19mm,L=60mm,H=110mm。
(4)比較例3:D1=40mm,D2=19mm,L=200mm,H=250mm。
(5)比較例4:D1=30mm,D2=19mm,L=120mm,H=170mm。
【0047】
評価項目は、検出コイル3を通過する際の落下速度である「落下速度(mm/s)」、被選別物である樹脂ペレットに直径0.2mmのタングステンカーバイド(WC)を入れたテストピースを混ぜて流した場合の前記センサー検出電圧である「検出電圧(V)」、2kgの樹脂ペレットが流れるのに要する時間である「2kg処理時間(s)」、及び連結管A内における樹脂ペレットの状態が、密に詰まった状態(「密」)で落下しているか、密に詰まっておらず粗い状態(「粗」)で落下しているかを観察して示した「連結管内粗密状態」とした。
なお、「落下速度(mm/s)」は検出コイル3から上方へ25mmの位置から下方へ25mmの位置までの50mmの間隔を通過した時間T(s)を計測して50/Tから求めており、3回測定した値の平均値である。また、「検出電圧(V)」は、前記
図4及び
図5の「センサー検出電圧(V)」と同様に5回測定した平均値である。
【0049】
表2の結果から、「連結管内粗密状態」が「密」である比較例2ないし4は、「落下速度」及び「検出速度」が小さいとともに、「2kg処理時間」が大きく、それらに対して「連結管内粗密状態」が「粗」である実施例2及び3は、「落下速度」及び「検出速度」が大きいとともに、「2kg処理時間」が小さいことが分かる。
ここで、比較例2及び3は、上口径D1が大きいことから、連結管A内に流れ込む樹脂ペレットの量が多過ぎるため、樹脂ペレットが連結管A内を密に詰まった状態(「密」)で落下している。
また、比較例4は、連結管Aの長さLが小さいことから、連結管A内に入った樹脂ペレットを加速する距離が小さいため、樹脂ペレットが連結管A内を密に詰まった状態(「密」)で落下している。
【0050】
そこで、本発明では、重力によりホッパー4から連結管A内に入った被選別物が連結管A内で密に詰まらずに粗い状態で落下(自由落下(自然落下)又はそれに近い状態で落下)するように連結管Aの長さL及び口径D1,D2を定めている。
なお、表2の実施例2及び3のように、被選別物が連結管A内を前記粗い状態で流れる条件のときは、連結管Aを無くしてホッパー4だけで被選別物を流しても処理時間(例えば表2の「2kg処理時間」)は同じになる。よって、長さ及び口径を任意に定めた連結管Aを取り付けて被選別物を流した場合とホッパー4だけで被選別物を流した場合とで、所定量の被選別物を流した場合の処理時間が同じになることを確認すれば、重力によりホッパー4から連結管A内に入った被選別物が連結管A内で密に詰まらずに粗い状態で落下するよう定められた連結管Aの形状であることを確認できる。
【0051】
以上のような構成によれば、重力によりホッパー4から連結管A内に入った被選別物が連結管A内で密に詰まらずに粗い状態で落下(自由落下(自然落下)又はそれに近い状態で落下)するように連結管Aの長さL及び口径D1,D2が定められているので、被選別物が連結管A内で密に詰まって落下速度が低下することがない。
その上、連結管Aの上端から検出コイル3までの高さ方向距離Hが100mm以上であるので、被選別物が重力により加速されて落下速度が上昇した状態で検出コイル3を通過する。
よって、簡素な構成により製造コストの上昇を抑制しながら、被選別物に混入した金属異物の検出精度を向上できるとともに、処理能力を向上できる。
【0052】
また、下方位置の被選別物の方が重力により加速されて高速であることから、連結管Aで被選別物が密に詰まらないようにする断面積を小さくできるので、
図2及び
図5のように連結管Aを下方に縮径するテーパー管にすることができ、連結管Aを前記テーパー管にすることにより、連結管Aの下方に位置する円筒体2及び検出コイル3を小径化できるため、検出感度が向上する。
【0053】
そして、このような処理能力を向上させた金属検出装置においては、被選別物が高温である場合に被選別物から円筒体に伝わる熱エネルギーが大きくなるので、放熱性能が高い本発明の前記放熱構造が特に有用であり、処理能力を向上させた金属検出装置における部品寿命及び検出感度の低下を抑制できる。
【0054】
<第3変形例>
図8の要部拡大縦断面図に示すように、連結管Aと円筒体2の間に中空の接続体Bを設け、接続体Bの上端部と連結管Aの下端部との間に、例えばOリングであるパッキンPを設けてもよく、このような構造は耐震性の強化に好適である。
【0055】
図8のように接続体B及びパッキンPを設けた構成を、
図2のような接続体B及びパッキンPを備えない構成と比較するために、外部から加振してセンサーのノイズを評価する実験を行った。
すなわち、
図1に示す金属検出装置1のホッパー4の上部にハンマーで衝撃を与えて振動を付与し、そのときのセンサーのノイズ電圧を測定した。
【0056】
その結果、
図8のような接続体B及びパッキンPを備えた構成の方が、接続体B及びパッキンPを備えない構成よりも前記ノイズの電圧レベルが約45%に低減していた。
よって、
図8のような接続体B及びパッキンPを備えた構成によれば、外部からの振動が連結管Aに伝わっても、パッキンPを介して連結管Aに繋がる接続体Bには振動が伝わりにくくなることから、接続体Bに繋がる円筒体2、及び円筒体2の径方向外方に配設した検出コイル3にも外部からの振動が伝わりにくいので、外部からの振動による誤検出を抑制できることが分かる。
【0057】
<第4変形例>
図9の斜視図に示すように、側壁体9を平面視矩形状(角柱状)とし、対向する一対の側壁の外面に、放熱フィン14Aを有する側部ヒートシンク14を備えるようにしてもよい。
このような構成によれば、放熱フィン14Aを有する側部ヒートシンク14により伝熱面積がさらに広がることから、より効果的に放熱できる。
【0058】
<第5変形例>
図10の斜視図に示すように、センサーケースSCの側部に配置する基板ケース13の位置を、
図3の基板ケース13に対して垂直軸まわりに90°回転させた位置にしてもよい。
このような構成によれば、基板ケース13が放熱フィン7A,8Aを沿う方向の空気の流れを妨げない。
【0059】
<第6変形例>
図11の部分縦断面概略図、及び
図12の要部拡大部分縦断面概略図に示す構成において、
図2ないし
図4、及び
図8ないし
図10と同一符号は、同一又は相当する部品又は部分を示している。
図2ないし
図4、及び
図8ないし
図10は、センサー基板12をセンサーケースSCの外方の基板ケース13内に収容する構成である。それらに対して、
図11及び
図12の構成は、基板ケース13を無くし、センサー基板12をセンサーケースSC内に備えている。
【0060】
図11及び
図12に示すように、上部密接体5と中空円盤状の上板15の間には上部断熱材17が介在し、下部密接体6と中空円盤状の下板16の間には下部断熱材18が介在する。そして、六角穴付きボルト5F,5F,…により、上部ヒートシンク7、上部密接体5、及び上板15を連結固定し、六角穴付きボルト6F,6F,…により、下部ヒートシンク8、下部密接体6、及び下板16を連結固定する。
このような構造により、上部密接体5に上部断熱材17を介して連結した、中空円盤状の上板15、及び下部密接体6に下部断熱材18を介して連結した、中空円盤状の下板16、並びに、上板16及び下板17に連結する、検出コイル3まわりに設けた、円筒状の側壁体9により、検出コイル3まわりを密閉するセンサーケースSCを形成している。
そして、センサーケースSCの内部空間S2に、検出コイル3にリード線11で繋がるセンサー基板12を備える。
【0061】
上部密接体5は下方に延出する延出部5Hを有し、それにより上部密接体5の内周面5Iと円筒体2の外周面との接触面積を大きくしており、下部密接体6は上方に延出する延出部6Hを有し、それにより下部密接体6の内周面6Iと円筒体2の外周面との接触面積を大きくしている。
したがって、被選別物が高温である場合に被選別物から円筒体2に伝わった熱が、円筒体2から上部密接体5及び下部密接体6に熱伝導で伝わる際の熱抵抗が小さくなる。
よって、円筒体2から上部密接体5及び下部密接体6を介して上部ヒートシンク7及び下部ヒートシンク8に、被選別物から円筒体2に伝わった熱を、熱伝導でより効率的に伝えることができるので、放熱フィン7Aを有する上部ヒートシンク7及び放熱フィン8Aを有する下部ヒートシンク8から、空冷ファンによる強制対流熱伝達により一層効果的に放熱される。
なお、
図11及び
図12の構成において、上板15及び下板16並びに側壁体9に放熱フィンを取り付けてもよい。
【0062】
上部断熱材17は、上部密接体5の外周面5J及び上板15の内周面15Aの間に介在する円筒部17Aと、上部密接体5の下面5K及び上板15の上面15Bの間に介在する円環部17Bとからなる。
下部断熱材18は、下部密接体6の外周面6J及び下板16の内周面16Aの間に介在する円筒部18Aと、下部密接体6の上面6K及び下板16の下面16Bの間に介在する円環部18Bとからなる。
断熱材17,18は、例えば上記形状の一体の成形断熱材にすると、組付けが容易であるとともに断熱性が安定するのでより好ましいが、円筒状の成形断熱材と円環状の成形断熱材とを組み合わせて使用してもよく、成形断熱材でなくてもよい。
例えば、上部密接体5の下面5K及び上板15の上面15Bの間に配置した、熱伝導率の低い合成樹脂製の平座金を断熱材17とし、前記平座金の穴に六角穴付きボルト5Fを挿通するようにしてもよい。同様に、下部密接体6の上面6K及び下板16の下面16Bの間に配置した、熱伝導率の低い合成樹脂製の平座金を断熱材18とし、前記平座金の穴に六角穴付きボルト6Fを挿通するようにしてもよい。
【0063】
図11及び
図12に示す変形例の構成では、前記強制対流熱伝達による放熱を行いながら、上部断熱材17により上部密接体5から上板15への熱伝導による伝熱を抑制するとともに、下部断熱材18により下部密接体6から下板16への熱伝導による伝熱を抑制するので、センサーケースSC内の温度上昇を抑制できる。
よって、円筒体2の径方向外方に配設された検出コイル3にリード線11で繋がる、センサーケースSC内のセンサー基板12の温度上昇を抑制できるので、センサー基板12上の電子部品の寿命低下を抑制できる。
その上、円筒体2の径方向外方に配設された検出コイル3の温度上昇及びそれに基づく検出コイル3の抵抗の増加を抑制できるので、検出感度の低下を抑制できる。
その上さらに、センサー基板12を検出コイル3とともに閉空間であるセンサーケースSCの内部空間S2に備えているので、耐ノイズ性を向上できる。
【0064】
以上の説明においては、円筒体2の外周面の上部に上部密接体5及び上部ヒートシンク7を備え、円筒体2の外周面の下部に下部密接体6及び下部ヒートシンク8を備えた構成を示したが、円筒体2の上部及び下部の一方のみに密接体及びヒートシンクを備えるようにしてもよい。
例えば、円筒体2の上部のみに密接体及びヒートシンクを備える構成では、上部ヒートシンク7、側壁体9、及び下板によりセンサーケースSCが形成される。
また、円筒体2の下部のみに密接体及びヒートシンクを備える構成では、上板、側壁体9、及び下部ヒートシンクによりセンサーケースが形成される。
以上の説明における第6変形例以外の構成いては、センサー基板12をセンサーケースSCの外方に備えた構成を示したが、第6変形例以外の構成においてもセンサー基板12はセンサーケースSC内に備えてもよい。
【0065】
以上のような金属検出装置1の構成によれば、被選別物が高温である場合に被選別物から円筒体2に伝わった熱は、熱伝導により上部密接体5及び上部ヒートシンク7及び/又は下部密接体6及び下部ヒートシンク8に伝えられ、放熱フィン7Aを有する上部ヒートシンク7及び/又は放熱フィン8Aを有する下部ヒートシンク8から、空冷ファンFによる強制対流熱伝達により放熱される。
よって、円筒体2の径方向外方に配設された検出コイル3にリード線で繋がるセンサー基板12の温度上昇を抑制できるのでセンサー基板12上の電子部品の寿命低下を抑制できる。
その上、円筒体2の径方向外方に配設された検出コイル3の温度上昇及びそれに基づく検出コイル3の抵抗の増加を抑制できるので、検出感度の低下を抑制できる。
また、センサー基板12をセンサーケースSCの外方に備えた構成によれば、被選別物が高温である場合に被選別物から円筒体2に伝わった熱がセンサー基板12にさらに伝わりにくいことから、センサー基板12の温度上昇をさらに抑制できるので、センサー基板12上の電子部品の寿命低下を抑制する効果が大きくなる。
さらに、センサー基板12をセンサーケースSC内に備えた構成によれば、センサー基板12を検出コイル3とともに閉空間であるセンサーケースSC内に備えているので、耐ノイズ性を向上できる。
【解決手段】円筒体2の上部外周面に密接する上部密接体5、及び上部密接体5に密接する、放熱フィンを有する上部ヒートシンク7と、円筒体2の下部外周面に密接する下部密接体6、及び下部密接体6に密接する、放熱フィンを有する下部ヒートシンク8とを備え、上部ヒートシンク7及び下部ヒートシンク8と、検出コイル3まわりに設けた側壁体9とにより、検出コイル3まわりを密閉するセンサーケースSCを形成する。被選別物から円筒体2に伝わった熱を、熱伝導により、上部密接体5及び上部ヒートシンク7、並びに下部密接体6及び下部ヒートシンク8に伝え、空冷ファンFによる強制対流熱伝達により放熱する。