特許第6233565号(P6233565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233565
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】水平型光ダクト
(51)【国際特許分類】
   F21S 11/00 20060101AFI20171113BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20171113BHJP
   F21V 13/04 20060101ALI20171113BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   F21S11/00 200
   F21V5/02 300
   F21V13/04 500
   F21V17/00 200
   F21V17/00 250
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-201909(P2013-201909)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-69777(P2015-69777A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】大山 能永
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正文
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−161604(JP,A)
【文献】 実開平01−160607(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0265398(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を採光する採光部と、
前記採光部を通過した太陽光を導光する導光部と、
前記導光部が導光した太陽光を屋内空間に放光する放光部と、を備えた水平型光ダクトであって、
前記採光部は角筒状に形成され、横からみたときの太陽光の進行方向が前記導光部の延びる方向に沿って水平となるように、前記太陽光の進行方向を変更する進行方向変更部を有し、
当該進行方向変更部は光屈折体と鏡面反射部とを備え、
前記鏡面反射部は前記採光部内側全面に固定され、
前記光屈折体は角柱状に形成され、前記採光部内の前記鏡面反射部で囲まれた空間に、前記光屈折体の長手方向が前記採光部の幅方向を向いて前記導光部の延びる方向と垂直となるように固定され、
前記光屈折体と前記鏡面反射部とのいずれか一方または両方を通る伝播経路で太陽光を伝播することを特徴とする水平型光ダクト。
【請求項2】
前記光屈折体および前記鏡面反射部は、位置および姿勢が固定されていることを特徴とする請求項1記載の水平型光ダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平型光ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光を建物の室内まで取り込み、照明用光源として利用する照明方法が提案されている。
その一つに、太陽光を光ダクトにより屋内に導光し、放光口から放光することにより建屋内部を照明する方法がある。
この光ダクトには、屋根や屋上などから取り込んだ太陽光を下方向に導入する縦型と、建物壁面などから取り込んだ太陽光を水平方向に導入する水平型と、がある。
縦型の光ダクトは、光ダクトが建築物内の上下にわたって配置されるため、光ダクトを設置する分、床面積が減る。
【0003】
これに対し、水平型の光ダクト(以下、水平型光ダクトという。)は、水平型光ダクトを設置するための階高の増分によって建築延べ面積が減るが、光ダクトを天井懐などに収納することができれば、階高の増分が小さいため床面積の低下を抑制することができる。
しかしながら、水平型光ダクトは、例えば図12に示すように水平型光ダクト内壁に設けた鏡面反射面を用いて導光するようになっており、水平型光ダクトの採光部の鏡面反射面は、図12(a)に示すように、平面からなる鏡面反射面が太陽に面するように傾斜して配置されているか、図12(b)に示すように、鏡面反射面が曲面となっていることが多い。そして、図12(a)や(b)に示すように、水平型光ダクトの採光部の鏡面反射面で反射された太陽光は、例えば図13に示すように、水平型光ダクト内で反射を繰り返しながら、光を導きたい所まで搬送される。そのため、反射による光の減衰が大きい。
【0004】
また、太陽高度が高いときには、小さい入射角度で鏡面反射を繰り返しながら搬送されることになり、鏡面反射回数が増加するため、導ける光量が少なくなる。また、鏡面反射回数を少なくするためには、ダクト背を大きくすることが考えられるが、ダクト背の大きな水平型光ダクトは天井懐に納まりきらない可能性がある。なお、ここでいうダクト背とは、水平状態にある光ダクトの高さ方向の幅をいう。
【0005】
また、水平型光ダクトにおいて、導ける光量を増やすために図14に示すように、太陽高度に合わせて反射面104aの傾斜角度を自動調整する、太陽自動追尾のための可動部104を備えたシステムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、図14において、100Fは上階の床スラブ、100Bは上階のベランダ、101は光放射部、102は導光ダクト、103は集光手段、103aは凹面ミラー、103bは凸面ミラーである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平4−55365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、太陽自動追尾のための可動部を設けた場合、その分コストが高くなり、ランニング費用がかかるという問題がある。
また、太陽自動追尾のための可動部104は、上階のベランダよりも屋外側に設置する必要があるため、建築面積が増える場合がある。さらに、太陽自動追尾のための可動部104の調整不良により、想定外のところに太陽光を反射させると、光害になる可能性がある。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、コスト増加を伴うことなく、より多くの光量を導くことの可能な水平型光ダクトを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、太陽光を採光する採光部と、前記採光部を通過した太陽光を導光する導光部と、前記導光部が導光した太陽光を屋内空間に放光する放光部と、を備えた水平型光ダクトであって、前記採光部は角筒状に形成され、横からみたときの太陽光の進行方向が前記導光部の延びる方向に沿って水平となるように、前記太陽光の進行方向を変更する進行方向変更部を有し、当該進行方向変更部は光屈折体と鏡面反射部とを備え、前記鏡面反射部は前記採光部内側全面に固定され、前記光屈折体は角柱状に形成され、前記採光部内の前記鏡面反射部で囲まれた空間に、前記光屈折体の長手方向が前記採光部の幅方向を向いて前記導光部の延びる方向と垂直となるように固定され、前記光屈折体と前記鏡面反射部とのいずれか一方または両方を通る伝播経路で太陽光を伝播することを特徴とする水平型光ダクト、である。
【0009】
前記光屈折体および前記鏡面反射部は、位置および姿勢が固定されていてよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、光屈折体と鏡面反射部とを備え、横からみたときの太陽光の進行方向が、導光部の延びる方向に沿って水平となるように太陽光の進行方向を変更する進行方向変更部を採光部に設け、水平型光ダクトの入り口部分で、太陽光の進行方向を変更するようにしたため、導光する際の反射回数を低減することができ、その結果、光量の減衰を抑制し、より多くの光量を放光部に導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明を適用した水平型光ダクトの一例の概略構成を示す断面図である。
図2図1の採光部およびこれに繋がる導光部の一例を示す斜視図である。
図3】本発明の動作説明に供する説明図である。
図4】本発明の動作説明に供する説明図である。
図5】採光部の具体例を示す図である。
図6】本発明の動作説明に供する説明図である。
図7】採光部の幅方向の概略構成を説明するための部分断面図である。
図8】従来の水平型光ダクトの一例である。
図9】従来の水平型光ダクトと本発明の水平型光ダクトの効果を比較した図である。
図10】本発明による水平型光ダクトの変形例である。
図11】本発明による水平型光ダクトの変形例である。
図12】従来の水平型光ダクトを説明するための説明図である。
図13】従来の水平型光ダクトを説明するための説明図である。
図14】従来の水平型光ダクトを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明における水平型光ダクト1の一例の概略構成を示す断面図である。図2は、水平型光ダクト1の採光部および採光部に繋がる導光部の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、水平型光ダクト1は、天井板93上に水平に配置されている。水平型光ダクト1は、太陽91から照射された太陽光を採光する採光部3と、採光部3から射出された太陽光を導光する導光部5と、導光部5により導光された太陽光を室内空間92の照明光として放光する放光部7と、を備える。
【0013】
導光部5は、略角筒状に形成され、導光部5の内面には全面に鏡面反射材が設けられている。採光部3は導光部5の一端開口部に設けられ、放光部7は導光部5に繋がり、放光口7aを備える。放光部7は、導光された光の進行方向を放光口7a側に変更する鏡面反射部8を備える。
採光部3は、導光部5に対して上方に傾斜して設けられて開口部が形成され、開口部は日中の太陽高度に対応してより多くの太陽光を入射可能な角度に形成される。この採光部3に太陽光の進行方向を変更する進行方向変更部が形成されている。
【0014】
すなわち、図1に示すように、採光部3の採光部上面3aの、太陽光の導光方向で下流側(以下、単に下流側という。)が、導光部上面5aの、太陽光の導光方向で上流側(以下、単に上流側という。)と接合され、且つ、採光部上面3aは、上流側が導光部上面5aに対して上方に傾斜して接合される。
採光部3の下面側は、横からみた長さが、採光部上面3aの横からみた長さと同等程度である第1の下側傾斜面3bと、第1の下側傾斜面3bの下流側と接合される水平面3cと、水平面3cの下流側に接続される第2の下側傾斜面3dとを備え、第2の下側傾斜面3dの下流側が導光部下面5bと接合される。
【0015】
そして、採光部3の採光部上面3aと導光部上面5aとの接合部がなす角部分に、採光部3の幅方向に延びる角柱状の第1の屈折体4aが配置され、第1の屈折体4aと第1の下側傾斜面3bとの間に、採光部3の幅方向に延びる角柱状の第2の屈折体4bが間隙をもって配置される。第1の屈折体4aおよび第2の屈折体4bは例えば、ガラス、水晶、樹脂などで形成される、入射光を反射或いは屈折させて出射することの可能な透明な材料で構成される。
【0016】
第1の屈折体4aは、採光部3の開口部に面した第1の面m1と、第2の面m2と、導光部上面5aと垂直に設けられた第3の面m3と、を備える。
第2の屈折体4bは、採光部3の開口部に面した第1の面m11と、第1の下側傾斜面3bに面した第2の面m12と、第2の屈折体4bに入射された太陽光の進行方向を、横からみて導光部5の延びる方向に沿って水平となるように変更して出射する第4の面m14と、第2の面m12と第4の面m14との間に形成される略水平面からなる第3の面m13と、を備える。
【0017】
採光部上面3a、第1の下側傾斜面3b、水平面3c、第3の下側傾斜面3dにはそれぞれ鏡面反射材が配置されて、鏡面反射面が形成されている。
このように構成される採光部3では、第1の屈折体4a、第2の屈折体4b、および各鏡面反射面のいずれかまたは複数を経由することによって、入射される太陽光の進行方向を、横からみて水平となるように変更する。すなわち、第1の屈折体4a、第2の屈折体4b、および採光部上面3a、第1の下側傾斜面3b、水平面3c、第3の下側傾斜面3dのそれぞれに形成された鏡面反射面が、進行方向変更部を構成している。
【0018】
太陽光の進行方向を、横からみて水平となるように変更する方法としては、3通りある。なお、以後、太陽光の進行方向を、横からみて水平となるように変更することを水平化ともいい、その方法を水平化方法ともいう。
第1の水平化方法は、第1の屈折体4aまたは第2の屈折体4bによる、屈折体内における屈折と高屈折体から低屈折体(空気)への全反射とによるもの、第2の水平化方法は、鏡面反射面による鏡面反射によるもの、第3の水平化方法は、第1の屈折体4aまたは第2屈折体4bによる、屈折体内における屈折と、鏡面反射面による鏡面反射とによるものである。
【0019】
そして、太陽高度30度からの太陽光は第1および第2の水平化方法のいずれかにより水平化する。太陽高度40度からの太陽光は2種類の屈折体、すなわち第1の屈折体4aおよび第2の屈折体4bのいずれかを用いて水平化する。太陽高度50度からの太陽光は、第1の水平化方法により水平化する。太陽高度60度および70度からの太陽光は、第3の水平化方法を用いて水平化する。
【0020】
各太陽高度からの太陽光を、これら3通りの水平化方法により、横からみて水平から±10度以内の方向に進むように水平化する。
つまり、図3に示すように、太陽高度60度からの太陽光のうち第2の屈折体4bに入射された太陽光の一部は、第2の屈折体4bの第1の面m11および第2の面m12で屈折されて出射された後、第1の下側傾斜面3bで反射されて水平化される。
【0021】
また、第1の屈折体4aに入射された太陽光の一部は、第1の屈折体4aの第1の面m1で屈折され、第2の面m2で反射され、第3の面m3で屈折されて出射された後、導光部上面5aで反射されて水平化される。
また、図4に示すように、太陽高度30度からの太陽光のうち第2の屈折体4bに入射された太陽光の一部は、第2の屈折体4bの第1の面m11で屈折され、第2の面m12で反射された後、第4の面m14で屈折されて出射されて水平化される。
また、太陽高度30度からの太陽光のうち、直接第2の下側傾斜面3bに入射された太陽光は反射されて水平化される。
なお、第1の屈折体4a、第2の屈折体4bの形状や材質(屈折率)および、配置位置、採光部3の形状は、水平型光ダクト1が設置される地域、具体的には緯度や経度、周辺状況などに応じて設定される。
【0022】
また、図3図4では、採光部3に入射される太陽光のうち、主に進行方向変更部により進行方向が水平化される太陽光の光路を示している。採光部3に入射された太陽光は、図3図4に示すように、進行方向変更部により進行方向が変更される光路だけでなく、実際には、各屈折体内で反射することもあり、また、太陽光は、図3図4以外の経路で搬送されることもある。
なお、図3図4は、屈折率1.5の透明屈折体を、第1の屈折体4a、第2の屈折体4bとして用い、鏡面反射率99%の鏡面反射材を用いた場合の一例である。
例えば、図5に示すように、採光部上面3aは、導光部上面5aとのなす角が50度となるように形成される。そして、第1の屈折体4aは、横断面が一つの角が凹んだ五角形を有し、この凹んだ角が採光部上面3aと導光部上面5aのなす角度に沿って配置される。
【0023】
第1の屈折体4aの横断面において、凹んだ角を点p1として左回りに他の頂点を点p2〜点p5としたとき、点p3(第1の面m1と第2の面m2との接合部)は、導光部上面5aの延長線上に位置し、点p1と点p3との間の距離は「2.31k」(kは単位長さを表す係数)、点p2および点p3を結ぶ線分と点p1および点p3を結ぶ線分がなす角度は30度、点p1および点p3を結ぶ線分と点p4および点p3を結ぶ線分がなす角度は25度、点p1および点p5を結ぶ線分と点p4および点p5を結ぶ線分とがなす角度は90度に設定される。また、点p1と開口部端面Lとの水平距離は「3.71k」である。
【0024】
第2の屈折体4bは横断面が四角形を有し、第1の面m11と第4の面m14とがなす頂点を点p11とし、左周りに他の頂点を点p12〜点p14としたとき、点p3と点p11とを結ぶ線分と垂線とがなす角度は60度であり、点p11および点p4を結ぶ線分と、点p11および点p14を結ぶ線分とがなす角度は52度である。
また、点p11および点p12を結ぶ線分と点p11および点p4を結ぶ線分とがなす角度は11度であり、点p12は開口部端面L上の点である。点p12および点p13を結ぶ線分が点p12を通る水平線となす角度は18度であり、点p11および点p12を結ぶ線分の垂線と、点p11および点p13を結ぶ線分とがなす角度は23.3度である。また、点p13と点p14とを結ぶ線分は水平線である。
【0025】
そして、図5において第1の下側傾斜面3bの上流側の端部が開口部端面Lと接する位置を点p21、第1の下側傾斜面3bと水平面3cとの接合部を点p22、水平面3cと第2の下側傾斜面3dとの接合部を点p23としたとき、点p21および点p13とを結ぶ線分と点p13を通る水平線とがなす角度は1.5度であり、点p21および点p13を結ぶ線分と点p21および点p22を結ぶ線分とがなす角度は41度、点p12および点p13を結ぶ線分の垂線と点p13および点p22を結ぶ線分とがなす角度は27.8度、水平面3cと第2の下側傾斜面3dとがなす角度は12.5度である。
【0026】
採光部3に配置されている第1の屈折体4aおよび第2の屈折体4bは、第1の屈折体4aおよび第2の屈折体4bの上面からみた配置状況を模式的に表す図6に示すように、上からみた各屈折体の入射時および出射時の境界面は平行となる。そのため、図6に示すように、2つの第1および第2の屈折体4a、4bを透過する透過光の上からみた進行方向は、図6中の円内に示すように、第1および第2の屈折体4a、4bを通過する前後で変わらない。つまり、採光部3に入射される太陽光の方位角が維持されることになる。
【0027】
ここで、水平型光ダクト1のダクト幅が広い場合には、太陽光が水平型光ダクト1の幅方向に反射する回数が少ないため幅方向での反射減衰は少ない。したがって、幅方向の太陽光の反射減衰対策は必ずしも必要ではないが、本実施形態における水平型光ダクト1において、さらに幅方向での反射減衰を低減するようにしてもよい。
すなわち、本実施形態における水平型光ダクト1において、さらに上からみた太陽光の進行方向が、導光部5の延びる方向に沿って平行となるように、太陽光の進行方向を変更してもよい。以後、上からみた太陽光の進行方向が導光部5の延びる方向に沿って平行となるように太陽光の進行方向を変更することを平行化ともいう。
【0028】
図7は、本発明における水平型光ダクト1においてさらに平行化するようにした水平型光ダクト1aの一例を示したものであり、採光部3の幅方向の概略構成を説明するための部分断面図であって、水平型光ダクト1aの幅方向の上半分を示したものである。下半分の形状は上半分と面対象の形状となる。なお、水平型光ダクト1aは、採光部3の幅方向の側面形状が異なること以外は水平型光ダクト1と同様であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0029】
図7に示すように、水平型光ダクト1aの採光部3の向かい合う側面は、互いに平行に配置されているのではなく、鏡面反射材が配置された複数の鏡面反射面(図7の場合には、片側の側面にm51〜m53が配置され且つ他方の側面にも同様に配置される)が所定の角度をもって接合されており、採光部3の開口部から離れるほど、側面間の距離が徐々に大きくなるように配置されている。
【0030】
具体的には、採光部3の側面に配置された1または複数の鏡面反射面は、これら鏡面反射面で反射された太陽光の、上からみた進行方向が導光部5の延びる方向に沿って平行となるように、複数の鏡面反射面どうしのなす角度を調整して配置する。なお、複数の鏡面反射面は、入射される太陽光の太陽方位角に応じてその角度が決定される。すなわち、水平型光ダクト1aが設置された地域或いは経度に基づいて決定される。
【0031】
例えば、図7では、水平線に対して側面m51は30度の角度で配置され、側面m52は20度の角度で配置され、側面m53は10度の角度で配置される。なお、図7では、採光部3の側面を、3つの側面m51〜m53により形成する場合について説明したがこれに限るものではなく、任意数の側面で形成することができ、所望とする太陽方位角の範囲に応じて形成すればよい。
【0032】
複数の鏡面反射面を、図7に示すように角度をもって接合することによって、太陽光は太陽方位角に応じた鏡面反射面で反射され、太陽光の進行方向が導光部5の延びる方向と平行化される。通常、水平型光ダクトは南北軸に平行に配置されるため、平行化することによって光の進行方向が、南北軸と平行となるようにすることができる。この採光部3の両側面に形成された鏡面反射面も進行方向変更部を構成している。
【0033】
このように、太陽光の進行方向を平行化することによって、取り込んだ光を導く割合はより高くなる。つまり、幅方向の反射がより少ない回数で太陽光を搬送することができるため、幅方向の反射減衰をより低減することができる。
ところで、太陽光の進行方向を平行化するために、図7に示すように採光部3の側面に鏡面反射面を所定の角度をもって接合することによってダクト幅は広がり、導光部5のダクト幅は、採光部3の開口部よりも約4倍程度に広がる。
つまり、ダクト幅を一定とすると、平行化を図ることによって、水平型光ダクト内に取り込める光量が1/4に減じることになる。
【0034】
例えば採光部の側面が平行で、ダクト長さが10mの水平型光ダクト(鏡面反射率99%)であって、開口部(先端)に鏡面反射材が設けられていないシンプルな形状の水平型光ダクト、すなわち、採光部の側面に配置された向かい合う鏡面反射面間の距離が一定である水平型光ダクト(以後、シンプル光ダクトという。)である場合には、太陽方位角によってシンプル光ダクト内に入射される太陽光の割合が変わり、また反射減衰により、導かれる光量の割合も減少する。
【0035】
これに対し、図7に示すように、採光部3の側面に複数の鏡面反射面が所定の角度をもって接合されてなる側面傾斜型の水平型光ダクト1aの場合には、太陽方位角に関係なく高い割合で太陽光を搬送することができる。
しかしながら、側面傾斜型の水平型光ダクト1aの場合には、前述のように、導光部のダクト幅が同一であるシンプル光ダクトに比べて採光部3の開口部が1/4程度となるため、ダクト幅が同一であるとすると、水平型光ダクト1aは、採光部3の側面が平行なシンプル光ダクトに比較して、採光部3の開口部は小さい。つまり、そもそも開口部から取り込まれる光量が少ない。この開口部が小さいことによる光量の減分は、ダクト内壁の鏡面反射率が99%とすると、採光部3の側面での約138回の反射による減衰と等しい。
【0036】
例えば、側面傾斜型の水平型光ダクト1aの導光部3のダクト幅が、シンプル光ダクトのダクト幅と同一である場合、太陽方位角45度未満および135度を超える太陽方位角からの太陽光を導く光量は、開口部が南向きのダクト幅12cmのように非常に幅の狭い、ダクト長さが16.56mのシンプル光ダクトよりも、側面傾斜型の水平型光ダクト1aの方が導く光量が少ない。
【0037】
表1は、図7に示すように、南北軸と平行化するため、採光部3の側面を、複数の鏡面反射面を所定の角度をもって接合して形成した側面傾斜型の水平型光ダクト1a(ダクト幅12cm、ダクト長さ10m、開口部は南向き)における、採光部3の側面を側面傾斜型にしたことによる効果を示したものである。
表1では、この側面傾斜型の水平型光ダクト1aで太陽光を導く割合(すなわち、採光部3で取り込まれた太陽光を水平型光ダクト1aの放光部7に導く割合)および導く光量(すなわち、採光部3の開口に入射した太陽光を水平型光ダクト1aの放光部7まで導く光量)を比較している。表1では、水平型光ダクト1aの太陽光を導く割合および導く光量を「1」とした場合の、シンプル光ダクト(採光部の側面が平行)の、方位角ごとの、太陽光を導く割合と導く光量とを表している。表1に示すように、側面傾斜型の水平型光ダクト1aの方が、全太陽方位角において効率がよくなっている。つまり、表1から、採光部3の側面を、複数の鏡面反射面を所定の角度をもって接合して形成し、採光部3に入射した太陽光の平行化を図ることにより、効率がよくなることがわかる。
【0038】
【表1】
【0039】
表2は、図9(a)に示す採光側端部に鏡面反射材が設けられた45度傾斜面を有するシンプル光ダクト(採光部の側面は平行)の採光側端面で取り込める光量を「1」とした場合の、シンプル光ダクトが導ける光量と、図9(b)に示す、図1に示す本実施形態における水平型光ダクト1、すなわち太陽光の進行方向を水平化する進行方向変更部を内蔵する水平型光ダクト1の導ける光量と、を示す。なお、図9(a)に示すシンプル光ダクト内の鏡面反射率は99%とした。
【0040】
表2において、水平型光ダクト1の効率には、水平化できなかった光が反射をくり返して到達する量は含んでいないが、水平型光ダクト1は、従来のシンプル光ダクトよりも非常に多くの光量を導けることがわかる。
なお、表2では、太陽高度毎の導ける光量を表しており、図8に示すような従来のシンプル光ダクトについてはダクトの長さが10m、15m、20mの場合それぞれについて導ける光量を示している。シンプル光ダクトの場合、光ダクトの長さが長いほど、すなわち搬送する距離が長いほど、光量が減少していることがわかる。
【0041】
【表2】
【0042】
以上説明したように、各太陽高度における太陽光を、水平化方法を用いて水平化するように各屈折体4a、4bの形状および位置や、採光部上面3a、下側傾斜面3b、3d、水平面3cの傾斜や長さを決定することによって、複数の太陽高度からの太陽光の進行方向を効率よく水平化することができる。
そして、このように、効率よく水平化することができるため、導光部5においては、太陽光を反射する回数を低減することができる。その結果、反射による光量の減衰を抑制することができる。
また、水平型光ダクト1の採光部3の側面に配置した鏡面反射材の角度や長さなどを適切に決定することによって、複数の太陽方位角からの太陽光の進行方向を効率よく平行化することができる。
【0043】
そして、このように、太陽光の進行方向を水平化しかつ平行化することができるため、太陽光を搬送するにあたり導光部5において太陽光を反射する回数を低減することができる。その結果、反射による光量の減衰を抑制することができ、言い換えれば、より多くの光量を導くことができる。特に、進行方向変更部を採光部3に設けることによって、導光部5の入り口部分で太陽光の進行方向の水平化および平行化を図ることができるため、導光部5での反射回数を低減することができ効果的である。
また、このように、屈折体と鏡面反射材とを組み合わせることで、鏡面反射現象のみを利用して太陽光を水平化する場合に比較して、水平化を図るための機構をコンパクトにすることができる。
【0044】
すなわち、鏡面反射現象のみを利用して太陽光の水平化を図ると、水平にしたい太陽高度の数と同数の傾斜鏡面反射面を導光部の端部に設ける必要があり、太陽光の水平化を図るための機構が長くなると同時に、各角傾斜反射面を積層化することになるため、ダクト背が大きくなる。したがって、このようなダクト背の大きな水平型光ダクトを天井懐に設置するためには、天井懐のスペースによっては、水平にしたい太陽高度の数を少なくしダクト背の縮小化を図る必要があり、その結果、導くことのできる光量が減る時間帯が生じることになり、すなわち、効率の低い時間帯が多くなる。
【0045】
これに対し、本実施形態では、鏡面反射現象だけでなく屈折体も用い、太陽高度に応じてこれらのいずれかまたは複数を組み合わせて搬送することによって、よりコンパクトな機構で太陽光の水平化を図ることができる。
さらに、太陽光を水平化かつ平行化することで導光部材に光反射性が不要になり、水平型光ダクト1の製造コストを安くすることができる。
つまり、太陽光を水平化かつ平行化することで、導光部材に光反射性を持たせなくても、ある程度の光量の太陽光をある程度の距離まで導光することができる。したがって、所望とする放光口まで所望の光量の太陽光を導光するように、水平化および平行化を図ることによって、導光部材に光反射性を持たせることなく実現することができる。
【0046】
また、このように、太陽光の進行方向を、水平化および平行化することによって、より多くの太陽光を導くことができる。そのため、例えば図10に示すように、導光部5が他の設備95を迂回する場合でも、この迂回をするために増えた反射による導ける光量の減衰分を許容できる。
また、導ける光量が十分にあれば、例えば図11に示すように、同時に複数の放光口7a、7bに太陽光を導く場合であっても、各放光口に十分な光量を導くことができる。なお、図11中の8aは鏡面反射部であって、鏡面反射部8aは傾きを調整可能に構成され、図11に示すように鏡面反射部8aを約45度に傾けることによって、放光口7aからの放光を行なうことができ、すなわち、放光口7aおよび7bからの放光を行なうことができる。一方、鏡面反射部8aの傾きを零、すなわち導光部5の壁面に沿わせることによって、放光口7bのみからの放光を行なうことができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、採光部3では、太陽光の進行方向の水平化を行なうとともに平行化も行なう場合について説明したが、太陽光の進行方向の水平化のみを行なうようにしてもよく、太陽光の進行方向を水平化するだけでも、導く光量を増加させることができる。
また、上記実施形態では、第1の屈折体4aと第2の屈折体4bとの2つの屈折体を設ける場合について説明したが、これに限るものではなく、1つのみ、或いは3以上の屈折体を組み合わせてもよい。
また、上記実施形態では、太陽高度が、30°から70°の範囲の太陽光を水平化するようにしているが、この範囲の太陽光を水平化する場合に限るものではなく、所望とする太陽高度の太陽光を水平化するようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、採光部3に進行方向変更部を設けて水平化および平行化を行なう場合について説明しているが、例えば、図10に示すように、水平型光ダクトが他の設備を迂回している場合などには、進行方向変更部を採光部3に設けるとともに、さらに水平型光ダクトが曲がっている部分などにも配置するようにしてもよい。
なお、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。
さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0049】
1 水平型光ダクト
3 採光部
3a 採光部上面
3b 第1の下側傾斜面
3c 水平面
3d 第2の下側傾斜面
4a 第1の屈折部
4b 第2の屈折部
5 導光部
5a 導光部上面
5b 導光部下面
7 放光部
図1
図2
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