(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記入力電圧を検出し、前記入力電圧が所定値よりも大きい時に、前記第1ドライバ及び前記第2ドライバに前記駆動電圧を供給し、前記入力電圧が所定値以下の時に、前記第1ドライバ及び前記第2ドライバに対する前記駆動電圧の供給を停止する請求項1記載の電源回路。
前記制御部は、制御信号の入力に応じて、前記第1ドライバ及び前記第2ドライバに対する前記駆動電圧の供給と前記駆動電圧の供給の停止とを制御する請求項1または2に記載の電源回路。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る照明装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、照明装置10は、照明負荷12(直流負荷)と、電源回路14と、を備える。照明負荷12は、例えば、発光ダイオード(Light-emitting diode:LED)などの照明光源16を有する。照明光源16は、例えば、有機発光ダイオード(Organic light-emitting diode:OLED)などでもよい。照明光源16には、例えば、順方向降下電圧を有する発光素子が用いられる。照明負荷12は、電源回路14からの出力電圧の印加及び出力電流の供給により、照明光源16を点灯させる。出力電圧及び出力電流の値は、照明光源16に応じて規定される。
【0010】
電源回路14は、一対の電源入力端子14a、14bと、一対の電源出力端子14c、14dと、を有する。各電源入力端子14a、14bには、交流電源2が接続される。照明負荷12は、各電源出力端子14c、14dに接続される。なお、本願明細書において、「接続」とは、電気的な接続を意味し、物理的に接続されていない場合や他の要素を介して接続されている場合も含むものとする。
【0011】
交流電源2は、例えば、商用電源である。電源回路14は、交流電源2から供給される交流の入力電圧VINを直流の出力電圧VOUTに変換して照明負荷12に出力することにより、照明光源16を点灯させる。
【0012】
電源出力端子14cの電位は、電源出力端子14dの電位よりも高い。例えば、照明光源16がLEDである場合には、アノードが、電源出力端子14cに接続され、カソードが、電源出力端子14dに接続される。これにより、照明光源16に順方向の電流が流れ、照明光源16が点灯する。以下では、各電源出力端子14c、14dを区別する場合に、電源出力端子14cを高電位出力端子14cと称し、電源出力端子14dを低電位出力端子14dと称す。
【0013】
電源回路14は、フィルタ回路21と、整流回路22と、力率改善回路23と、ハーフブリッジ回路24(ブリッジ回路)と、トランス25と、整流平滑回路26と、を含む。
【0014】
フィルタ回路21は、各電源入力端子14a、14bに接続されている。フィルタ回路21は、例えば、インダクタと、コンデンサと、を含む。フィルタ回路21は、交流電源2から供給される入力電圧VINに含まれるノイズを抑制する。
【0015】
整流回路22は、入力端子22a、22b、高電位端子22c、及び、低電位端子22dを有する。各入力端子22a、22bは、フィルタ回路21に接続される。整流回路22には、フィルタ回路21によってノイズの抑制された入力電圧VINが入力される。フィルタ回路21は、必要に応じて設けられ、省略可能である。例えば、フィルタ回路21を省略し、整流回路22を各電源入力端子14a、14bに接続してもよい。
【0016】
整流回路22は、例えば、ダイオードブリッジである。整流回路22は、例えば、交流の入力電圧VINを全波整流し、全波整流後の整流電圧(例えば、脈流電圧)を高電位端子22cと低電位端子22dとの間に生じさせる。高電位端子22cの電位は、低電位端子22dの電位よりも高い。低電位端子22dの電位は、例えば、接地電位または電源回路14の基準電位である。低電位端子22dの電位は、高電位端子22cの電位よりも低い任意の電位でよい。整流回路22による入力電圧VINの整流は、半波整流でもよい。
【0017】
力率改善回路23は、整流回路22に接続される。力率改善回路23は、整流電圧において、電源周波数の整数倍の高調波の発生を抑制する。これにより、力率改善回路23は、整流電圧の力率を改善する。
【0018】
力率改善回路23は、例えば、スイッチング素子41と、インダクタ42と、ダイオード43と、コンデンサ44と、を含む。スイッチング素子41は、電極41a〜電極41cを有する。インダクタ42の一端は、高電位端子22cに接続されている。インダクタ42の他端は、電極41aに接続されている。電極41bは、低電位端子22dに接続されている。ダイオード43のアノードは、電極41aに接続されている。ダイオード43のカソードは、コンデンサ44の一端に接続されている。コンデンサ44の他端は、低電位端子22dに接続されている。すなわち、この例において、力率改善回路23は、昇圧チョッパ回路である。力率改善回路23は、これに限ることなく、整流電圧の力率を改善することができる任意の回路でよい。
【0019】
力率改善回路23は、例えば、スイッチング素子41をスイッチングさせ、入力電流を正弦波に近づけることにより、整流電圧の力率を改善する。また、力率改善回路23は、力率改善後の整流電圧をコンデンサ44で平滑化することにより、整流電圧を直流電圧VDCに変換する。力率改善回路23は、例えば、交流100V(実効値)の入力電圧VINを、約410Vの直流電圧VDCに変換する。直流電圧VDCの値は、これに限ることなく、任意の値でよい。なお、コンデンサ44は、必要に応じて設けられ、省略可能である。力率改善回路23は、例えば、力率改善後の整流電圧を出力してもよい。
【0020】
ハーフブリッジ回路24は、スイッチング素子51、52と、コンデンサ53と、を含む。スイッチング素子51は、電極51a〜電極51cを有する。電極51aは、コンデンサ44の高電位側の端子に接続されている。電極51bは、スイッチング素子52の電極52aに接続されている。電極52bは、低電位端子22dに接続されている。この例では、整流回路22と力率改善回路23とによって直流電圧源が構成される。スイッチング素子51、52は、直流電圧源に対して直列に接続される。直流電圧源は、これに限ることなく、ハーフブリッジ回路24に対して直流電圧を供給可能な任意の電圧源でよい。
【0021】
トランス25は、一次巻線55と、二次巻線56、57と、を有する。一次巻線55は、ハーフブリッジ回路24に接続されている。一次巻線55の一端は、電極51b及び電極52aに接続される。すなわち、一次巻線55の一端は、2つのスイッチング素子51、52の間に接続される。一次巻線55の他端は、コンデンサ53を介して低電位端子22dに接続されている。この例では、コンデンサ53が、一次巻線55と低電位端子22dとの間に接続されている。換言すれば、コンデンサ53は、一次巻線55と基準電位との間に接続される。コンデンサ53は、例えば、電極51bと一次巻線55との間に接続してもよい。
【0022】
ハーフブリッジ回路24は、スイッチング素子51をオンにし、スイッチング素子52をオフにすることにより、一次巻線55を介してコンデンサ53を充電する。そして、ハーフブリッジ回路24は、スイッチング素子51をオフにし、スイッチング素子52をオンにすることにより、一次巻線55を介してコンデンサ53を放電する。このように、ハーフブリッジ回路24は、各スイッチング素子51、52を交互にオン・オフすることにより、一次巻線55の両端に交流電圧を生じさせる。すなわち、ハーフブリッジ回路24は、力率改善回路23から供給される直流電圧VDCを交流電圧に変換する。
【0023】
各スイッチング素子41、51、52は、例えば、nチャネル形のFETである。例えば、電極41a、51a、52aは、ドレインである。電極41b、51b、52bは、ソースである。電極41c、51c、52cは、ゲートである。各スイッチング素子41、51、52は、例えば、pチャネル形のFETでもよいし、バイポーラトランジスタやHEMTなどでもよい。
【0024】
二次巻線56、57は、一次巻線55と磁気結合している。従って、一次巻線55に交流電流が流れると、それに応じた交流電流が、二次巻線56、57に流れる。これにより、トランス25は、ハーフブリッジ回路24から供給される交流電圧を変圧する。トランス25は、ハーフブリッジ回路24から供給される交流電圧を降圧する。
【0025】
このように、トランス25を設け、一次側と二次側とを電気的に絶縁することで、例えば、照明装置10の安全性を高めることができる。
【0026】
二次巻線57は、二次巻線56に直列に接続されている。二次巻線56、57の接続点は、図示を省略した配線により、低電位端子22dに接続される。二次巻線56、57の接続点は、低電位端子22dと実質的に同じ電位に設定される。すなわち、二次巻線56、57の接続点は、基準電位に設定される。
【0027】
整流平滑回路26は、整流回路60と、平滑コンデンサ64と、を含む。整流回路60は、整流素子61、62を含む。整流回路60は、例えば、1つのパッケージ60p内に2つの整流素子61、62が設けられた1つの素子である。整流素子61、62は、ショットキーバリアダイオードである。整流素子61、62は、他のダイオードでもよい。
【0028】
整流素子61のアノードは、二次巻線56の二次巻線57と反対側の端部に接続されている。整流素子61のカソードは、平滑コンデンサ64の一端に接続されている。整流素子62のアノードは、二次巻線57の二次巻線56と反対側の端部に接続されている。整流素子62のカソードは、平滑コンデンサ64の一端に接続されている。平滑コンデンサ64の他端は、二次巻線56、57の接続点に接続されている。
【0029】
これにより、整流平滑回路26は、トランス25によって降圧された交流電圧を整流素子61、62で整流し、整流電圧に変換する。そして、整流平滑回路26は、整流電圧を平滑コンデンサ64で平滑化することにより、整流電圧を直流電圧に変換する。すなわち、整流平滑回路26は、出力電圧VOUTを生成する。
【0030】
高電位出力端子14cは、平滑コンデンサ64の高電位側の端子に接続されている。低電位出力端子14dは、二次巻線56、57の接続点に接続されている。これにより、各電源出力端子14c、14dの間に出力電圧VOUTが出力される。
【0031】
電源回路14は、PFC(Power Factor Correction)ドライバ30(第2ドライバ)と、HB(Half Bridge)ドライバ31(第1ドライバ)と、フィードバック回路32と、制御部33と、I/F(Interface)回路34と、をさらに含む。
【0032】
PFCドライバ30は、力率改善回路23のスイッチング素子41の電極41cに接続に接続されている。PFCドライバ30は、例えば、所定のPWM信号を電極41cに入力することにより、スイッチング素子41のオン・オフを制御する。すなわち、PFCドライバ30は、力率改善回路23による直流電圧VDCの生成を制御する。
【0033】
HBドライバ31は、ハーフブリッジ回路24のスイッチング素子51の電極51c及びスイッチング素子52の電極52cに接続されている。HBドライバ31は、例えば、所定のPWM信号を電極51c、52cに入力することにより、スイッチング素子51、52のオン・オフを制御する。すなわち、HBドライバ31は、ハーフブリッジ回路24による直流電圧VDCの交流電圧への変換を制御する。
【0034】
電極51c、52cに入力するPWM信号のデューティ比は、50%である。電極52cに入力するPWM信号のオンのタイミングは、電極51cに入力するPWM信号のオンのタイミングと反対である。これにより、各スイッチング素子51、52が、交互にオン・オフする。また、HBドライバ31は、電極51c、52cに入力するPWM信号の周波数を制御する。これにより、トランス25に発生する交流電圧の電圧値を制御することができる。
【0035】
フィードバック回路32は、低電位出力端子14dに接続される。フィードバック回路32は、高電位出力端子14cに接続してもよい。フィードバック回路32は、出力電圧VOUTと、照明負荷12に流れる出力電流IOUTと、の少なくとも一方を検出する。フィードバック回路32は、出力電圧VOUTと出力電流IOUTとの少なくとも一方を基に、HBドライバ31をフィードバック制御する。
【0036】
照明光源16にLEDなどの発光素子が用いられている場合、照明光源16の電圧は、順方向降下電圧に応じて実質的に一定である。従って、照明光源16にLEDなどの発光素子が用いられている場合には、フィードバック回路32を低電位出力端子14dに接続することで、照明光源16に流れる電流を適切に検出することができる。
【0037】
フィードバック回路32は、例えば、差動増幅回路を有する。差動増幅回路の一方の入力には、基準電圧が入力される。差動増幅回路の他方の入力には、出力電圧VOUTまたは出力電流IOUTの検出電圧が入力される。差動増幅回路は、基準電圧と検出電圧との差分に対応した電圧を出力する。
【0038】
フィードバック回路32は、差動増幅回路の出力電圧をフィードバック信号としてHBドライバ31に入力する。HBドライバ31は、フィードバック回路32からのフィードバック信号に応じて、各スイッチング素子51、52のオン・オフの周波数を変化させる。これにより、HBドライバ31及びフィードバック回路32は、例えば、出力電流IOUTを実質的に一定にする。例えば、照明負荷12への過電圧の印加や照明負荷12への過電流の供給が抑制される。
【0039】
HBドライバ31とフィードバック回路32との間には、フォトカプラ35が設けられている。フォトカプラ35は、発光部と、受光部と、を有する。フォトカプラ35は、フィードバック回路32から入力された電気信号を一度光に変換し、再び電気信号に戻してHBドライバ31に入力する。これにより、HBドライバ31とフィードバック回路32とを電気的に絶縁することができる。例えば、一次側と二次側とをより適切に絶縁することができる。
【0040】
電源回路14は、信号入力端子14eを有する。信号入力端子14eには、調光器3が接続されている。調光器3は、例えば、操作部を有し、操作部の操作に応じたPWM信号を調光信号として電源回路14に入力する。調光器3は、例えば、室内の壁などに取り付けて用いられる。
【0041】
I/F回路34は、信号入力端子14eに接続されている。I/F回路34は、調光器3から入力された調光信号を制御部33に出力する。制御部33とI/F回路34との間には、フォトカプラ36が設けられている。これにより、制御部33とI/F回路34とが、電気的に絶縁される。例えば、一次側と二次側とをより適切に絶縁することができる。
【0042】
制御部33は、例えば、I/F回路34から入力された調光信号を、フィードバック回路32に対応した形式の調光信号に変換し、変換した調光信号をフィードバック回路32に入力する。なお、調光器3から入力された信号を、そのままフィードバック回路32に入力してもよい。PFCドライバ30、HBドライバ31、フィードバック回路32及び制御部33の少なくともいずれかは、ソフトウェア制御が可能な半導体素子を含む。PFCドライバ30、HBドライバ31、フィードバック回路32及び制御部33には、例えば、マイクロプロセッサが用いられる。
【0043】
フィードバック回路32と制御部33との間には、フォトカプラ37が設けられている。これにより、フィードバック回路32と制御部33とが、電気的に絶縁される。例えば、一次側と二次側とをより適切に絶縁することができる。
【0044】
フィードバック回路32は、制御部33から入力された調光信号に応じて、差動増幅回路に入力する基準電圧を変化させる。フィードバック回路32は、例えば、PWM信号である調光信号をコンデンサで平滑化した直流の電圧を、基準電圧として差動増幅回路に入力する。基準電圧の電圧レベルは、検出電圧の電圧レベルに対応して設定される。より詳しくは、例えば、所望の調光度に対応する調光信号の電圧レベルが、その調光度に対応する輝度で照明光源16が発光した場合の検出電圧の電圧レベルと実質的に同じとなるように設定される。
【0045】
フィードバック回路32は、調光信号に応じてHBドライバ31に入力するフィードバック信号を変化させる。HBドライバ31は、フィードバック回路32からのフィードバック信号に応じて、各スイッチング素子51、52のオン・オフの周波数を変化させる。このように、HBドライバ31は、スイッチング素子51、52のスイッチング周波数を制御することにより、所定光束を得るための定格出力状態から略調光下限状態まで、出力電圧VOUTを調整する。
【0046】
これにより、電源回路14は、調光器3で設定された調光度に応じた明るさで、照明負荷12を点灯させる。このように、電源回路14は、交流電源2から供給される交流の入力電圧VINを直流の出力電圧VOUTに変換して照明負荷12に供給するとともに、調光器3で設定された調光度に応じた明るさに照明負荷12を調光する。照明装置10では、任意の明るさで照明負荷12を点灯させることができる。
【0047】
トランス25は、漏れインダクタンス55aを含む。
図1では、便宜的に漏れインダクタンス55aを一次巻線55と離して図示しているが、実際には、漏れインダクタンス55aは、トランス25の一部である。漏れインダクタンス55aは、図示のように、一次巻線55に直列に接続されたインダクタとして表される。
【0048】
図2は、第1の実施形態に係る電源回路の特性の一例を模式的に表すグラフ図である。
図2の横軸は、共振回路の共振周波数fである。
図2の縦軸は、一次巻線55の両端に生じる電圧V
Lである。
【0049】
電源回路14は、トランス25とコンデンサ53とによって共振回路を構成する。具体的には、一次巻線55と漏れインダクタンス55aとコンデンサ53とによって、いわゆるLLC共振回路を構成する。一次巻線55と漏れインダクタンス55aとコンデンサ53とによって、共振周波数が決定される。このため、トランス25の一次側に発生する電圧V
Lは、
図2のようになる。従って、各スイッチング素子51、52のスイッチング周波数を制御することにより、照明負荷12に供給する電力を制御することができる。
【0050】
トランス25では、一次巻線55と二次巻線56、57との巻数比が、N1:N2=(VDC/2):Vmin程度に設定される。ここで、N1は、一次巻線55の巻数である。N2は、二次巻線56、57の巻数である。VDCは、ハーフブリッジ回路24に供給される直流電圧である。Vminは、出力電圧VOUTの下限値(以下、下限電圧Vminと称す)である。例えば、照明光源16が、LEDなどの順方向降下電圧を有する発光素子である場合、下限電圧Vminは、順方向降下電圧(発光する最小の電圧)である。
【0051】
すなわち、トランス25では、二次側に表れる交流電圧が、下限電圧Vmin程度となるように、一次巻線55と二次巻線56、57との巻数比を設定する。例えば、Vmin=20V程度の負荷に対して、VDC=410V程度の直流電圧をハーフブリッジ回路24及びトランス25に供給する場合、N1:N2=200T:19T程度に設定する。
【0052】
より具体的には、二次巻線56、57の巻数N2が、下記の(1)式を満たすようにする。
【数1】
【0053】
このように、巻数N2を(Vmin・N1)/(VDC/2)の0.8倍以上1.2倍以下にする。好ましくは、巻数N2を(Vmin・N1)/(VDC/2)の0.9倍以上1.1倍以下にする。より好ましくは、巻数N2を(Vmin・N1)/(VDC/2)に設定する。
【0054】
図2に示すように、例えば、軽負荷時の出力電圧VOUTは、トランス25の巻数比に依存する。
図2に示すように、出力電圧VOUT(電圧V
L)は、各スイッチング素子51、52のスイッチング周波数fに反比例し、スイッチング周波数fを高くする程、出力電圧VOUTが小さくなる。しかしながら、出力電圧VOUTは、所定の電圧値で収束し、スイッチング周波数fを高くしても所定値以下には低下しなくなる。このため、例えば、トランス25の巻数比が上記のように設定されていない場合には、調光制御の際に、出力電圧VOUTを下限電圧Vminまで低下させることができないことがある。
【0055】
本実施形態に係る電源回路14では、上記のようにトランス25の巻数比を設定する。これにより、各スイッチング素子51、52の周波数制御のみで、出力電圧VOUTを下限電圧Vminまで適切に低下させることができる。例えば、全光から5%程度の調光度まで適切に調光制御を行うことができる。
【0056】
例えば、出力電圧VOUTを下限電圧Vminまで低下させるために、ブリッジ回路のスイッチングのデューティ比を変化させ、各スイッチング素子を間欠的に動作させる電源回路がある。しかしながら、この場合には、出力電流が間欠的になり、出力電流にリップルノイズが生じてしまう。
【0057】
これに対して、本実施形態に係る電源回路14では、スイッチング周波数のみで出力電圧VOUTを適切に制御することができる。すなわち、各スイッチング素子51、52に入力するPWM信号のデューティ比を50%とし、各スイッチング素子51、52を連続的に動作させた状態で、出力電圧VOUTを適切に制御することができる。これにより、リップルノイズの発生を抑制することができる。このように、本実施形態に係る電源回路14及び照明装置10では、安定した電力を照明負荷12に供給することができる。
【0058】
電源回路14では、一次巻線55のインダクタンスをLp、トランス25の漏れインダクタンス55aをLpσとするとき、LpをLpσよりも大きくし、かつ、LpとLpσとの差を小さくする。√(1−Lpσ/Lp)で表される結合係数の値を0.8以上0.9以下とすると、Lpσ/Lpは、0.19以上0.36以下となる。これにより、例えば、制御するスイッチング周波数の範囲を小さく設定することができる。LpとLpσとの差Lp−Lpσは、例えば、5mH以上10mH以下である。
【0059】
電源回路14では、例えば、Lpを5mH以上15mH以下にし、コンデンサ53のキャパシタンスを100pF以上10000pF以下にする。このように、一次巻線55の相互インダクタンスを比較的大きくし、コンデンサ53のキャパシタンスを比較的小さくする。これにより、トランス25とコンデンサ53との共振回路における無効電流を減らし、電力変換効率を向上させることができる。
【0060】
電源回路14では、整流素子61、62にショットキーバリアダイオードを用いている。これにより、例えば、整流素子61、62での電圧降下を抑制することができる。例えば、整流素子61、62での発熱を抑制することができる。
【0061】
電源回路14では、1つのパッケージ60p内に各整流素子61、62を設けた整流回路60を用いている。これにより、例えば、各整流素子61、62の順方向降下電圧のばらつきを抑制することができる。例えば、各整流素子61、62に流れる電流のアンバランスを抑制することができる。例えば、電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0062】
図3(a)〜
図3(c)は、トランスの一部及び特性を表す模式図である。
図3(a)は、トランス25に用いられるボビン70を表す模式図である。
図3(b)は、トランス25に用いられるコア72を模式的に表す平面図である。
図3(c)は、トランス25の一次側と二次側とのギャップ位置を表すグラフ図である。
【0063】
図3(a)に表したように、ボビン70は、一次側巻線部70aと、二次側巻線部70bと、障壁部70cと、を含む。また、ボビン70には、コア72の一部を挿通するための貫通孔70dが設けられている。
【0064】
一次巻線55は、一次側巻線部70aに設けられる。二次巻線56、57は、二次側巻線部70bに設けられる。障壁部70cは、一次側巻線部70aと二次側巻線部70bとの間に設けられ、一次側巻線部70aと二次側巻線部70bとを分離する。障壁部70cには、例えば、絶縁性の樹脂材料などが用いられる。
【0065】
このように、トランス25では、一次側と二次側とを障壁部70cで分離したボビン70を用いる。これにより、一次側と二次側との結合が弱くなる。例えば、√(1−Lpσ/Lp)で表される結合係数の値を、0.8以上0.9以下にすることができる。これにより、トランス25の漏れインダクタンス55aを大きくすることができる。例えば、Lpσの値を調整し易くすることができる。
【0066】
図3(b)に表したように、コア72は、長コア部72aと、短コア部72bと、を有する。このように、コア72は、非対称形状である。コア72は、いわゆるEEコアである。長コア部72aは、中央部72cを有する。短コア部72bは、中央部72dを有する。コア72は、中央部72c、72dをボビン70の貫通孔70dに挿通することで、ボビン70に取り付けられる。この例では、長コア部72aが一次側であり、短コア部72bが二次側である。
【0067】
図3(c)に表したように、非対称形状のコア72を用いることで、例えば、一次側と二次側との巻線巻位置とギャップ位置との設定を複数設けることができる。このため、ボビン構造によって決定する漏れインダクタンス55a以外にも、ギャップ位置による漏れインダクタンスの設定が可能になる。このため、例えば、Lpσの値をより大きくすることができる。例えば、Lpσの値をより調整し易くすることができる。
【0068】
図4(a)及び
図4(b)は、第1の実施形態に係る照明装置の一部を模式的に表す部分断面図である。
図4(a)及び
図4(b)に表したように、電源回路14は、基板74と、筐体75と、放熱体76と、をさらに含む。
【0069】
照明負荷12及び電源回路14の各部品は、基板74に実装される。基板74は、図示を省略した配線層を含み、照明負荷12及び電源回路14の各部品を配線する。基板74は、いわゆるプリント配線基板である。
【0070】
筐体75は、基板74などを支持する。筐体75には、熱伝導率の高い材料が用いられる。筐体75には、例えば、アルミニウム、ステンレス、または、鉄などの金属材料が用いられる。
【0071】
基板74は、第1面74aと、第2面74bと、を有する。第2面74bは、第1面74aと反対側の面である。トランス25は、第1面74aの上に設けられる。整流回路60は、第2面74bの上に設けられ、トランス25と対向する位置に配置される。すなわち、整流素子61、62は、第2面74bの上に設けられ、トランス25と対向する位置に配置される。これにより、例えば、発熱部品であるトランス25と整流素子61、62とが、基板74を介して互いに熱的に結合される。
【0072】
図4(a)に表したように、放熱体76は、整流回路60と筐体75との間に設けられる。放熱体76は、整流回路60と熱的に結合するとともに、筐体75と熱的に結合する。放熱体76は、例えば、整流回路60に接するとともに、筐体75に接する。放熱体76には、例えば、放熱シートが用いられる。放熱体76は、例えば、シリコーンシートである。放熱体76は、例えば、金属材料などを用いたヒートシンクでもよい。なお、「熱的に結合」には、直接接して結合する場合の他に、放熱グリスなどの他の要素を介して結合する場合も含むものとする。
【0073】
このように、トランス25、整流回路60及び放熱体76を配置する。これにより、トランス25及び整流回路60で発生した熱を、1つの放熱体76で筐体75などに逃がすことができる。例えば、トランス25及び整流回路60のそれぞれに放熱体を設ける場合などに比べて、照明装置10のコストを抑えることができる。
【0074】
図4(b)に表したように、放熱体76は、トランス25と筐体75との間に設けてもよい。放熱体76は、トランス25と筐体75とに熱的に結合させてもよい。放熱体76は、トランス25と整流回路60との少なくとも一方と熱的に結合すればよい。
【0075】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る照明装置を模式的に表すブロック図である。
なお、上記第1の実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明を省略する。
図5に表したように、照明装置100の電源回路104では、フィードバック回路32からのフィードバック信号と、制御部33からの調光信号とが、PFCドライバ30にも入力されている。なお、PFCドライバ30に入力される信号は、フィードバック信号と調光信号とのいずれか一方のみでもよい。
【0076】
PFCドライバ30は、フィードバック信号及び調光信号に応じて、力率改善回路23のスイッチング素子41の電極41cに入力するパルス信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変化させる。これにより、PFCドライバ30は、フィードバック信号及び調光信号に応じて、直流電圧VDCの電圧値を変化させる。
【0077】
例えば、ハーフブリッジ回路24とトランス25とによって調光する場合は、調光下限ほど各スイッチング素子51、52のスイッチング周波数を高く制御する必要がある。一方、スイッチング周波数が高い場合には、スイッチング損失の増加を招き、電力変換効率が低下する。
【0078】
電源回路104では、調光レベルを検出して直流電圧VDCの設定値を変化させる。これにより、例えば、より低いスイッチング周波数でハーフブリッジ回路24を動作させることができる。例えば、電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0079】
図6は、第2の実施形態に係る別の照明装置を模式的に表すブロック図である。
図6に表したように、照明装置110の電源回路114は、抵抗27、28を含む。抵抗27、28は、整流回路22の高電位端子22cと低電位端子22dとの間に直列に接続されている。電源回路114では、PFCドライバ30が、抵抗27、28の接続点に接続されている。これにより、PFCドライバ30には、整流回路22から出力される整流電圧を抵抗27、28で分圧した電圧が、入力電圧VINの検出電圧として入力される。
【0080】
PFCドライバ30は、検出電圧を基に入力電圧VINの電圧値を検出し、その検出結果に応じて力率改善回路23のスイッチング素子41の電極41cに入力するパルス信号の周波数及びデューティ比の少なくとも一方を変化させる。なお、検出電圧は、例えば、制御部33などからPFCドライバ30に入力してもよい。
【0081】
力率改善回路23の昇圧チョッパ回路の変換効率は、昇圧率が低いほど高く、入力電流が大きいほど低くなる。このため、入力電圧VINが100V(実効値)の場合は、200V(実効値)の場合よりも全体の変換効率が低下する。
【0082】
電源回路114では、例えば、入力電圧VINを検出し、100Vの場合には、直流電圧VDCを下げる。これにより、変換効率の低下を抑制することができる。
【0083】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係る照明装置を模式的に表すブロック図である。
図7に表したように、照明装置120の電源回路124は、第1電源部81と、第2電源部82と、ドロッパ83と、をさらに含む。
【0084】
第1電源部81は、力率改善回路23の出力に接続されている。これにより、第1電源部81には、直流電圧VDCが入力される。第1電源部81は、例えば、直流電圧VDCを降圧することにより、直流電圧VDCからPFCドライバ30及びHBドライバ31に対応した駆動電圧を生成する。第1電源部81は、例えば、410Vの直流電圧VDCから15Vの駆動電圧に生成する。第1電源部81は、生成した駆動電圧をPFCドライバ30及びHBドライバ31に供給する。PFCドライバ30及びHBドライバ31は、第1電源部81からの駆動電圧の供給に応じて動作を開始する。
【0085】
ドロッパ83は、制御部33と第1電源部81とに接続されている。ドロッパ83は、第1電源部81から入力された駆動電圧を降圧し、制御部33に対応した駆動電圧に変換する。そして、ドロッパ83は、変換後の駆動電圧を制御部33に供給する。ドロッパ83は、例えば、15Vの駆動電圧を5Vの駆動電圧に変換して制御部33に供給する。制御部33は、ドロッパ83からの駆動電圧の供給に応じて動作を開始する。
【0086】
第2電源部82は、平滑コンデンサ64の高電位側の端子に接続されている。これにより、第2電源部82には、出力電圧VOUTが入力される。第2電源部82は、例えば、出力電圧VOUTを降圧することにより、出力電圧VOUTからフィードバック回路32に対応した駆動電圧を生成する。第2電源部82は、例えば、約30Vの出力電圧VOUTから15Vの駆動電圧に生成する。第2電源部82は、生成した駆動電圧をフィードバック回路32に供給する。フィードバック回路32は、第2電源部82からの駆動電圧の供給に応じて動作を開始する。
【0087】
このように、電源回路124では、第1電源部81と第2電源部82とを設ける。一次側の制御回路であるPFCドライバ30、HBドライバ31及び制御部33には、第1電源部81から電力を供給する。そして、二次側の制御回路であるフィードバック回路32には、第2電源部82から電力を供給する。このように、一次側の回路と二次側の回路とで電源を分けることにより、一次側と二次側とをより適切に絶縁することができる。
【0088】
電源回路124では、HBドライバ31が、コンデンサ53と一次巻線55との間に接続されている。すなわち、HBドライバ31は、コンデンサ53の基準電位に接続された端子と反対側の端子に接続される。これにより、HBドライバ31は、コンデンサ53の電圧を検出する。HBドライバ31は、コンデンサ53の電圧を基に、照明負荷12への過出力と、照明負荷12の短絡との検出を行う。HBドライバ31は、過出力または短絡を検出した場合、ハーフブリッジ回路24の駆動を停止する。これにより、二次側への電力供給が停止され、二次側の回路を保護することができる。
【0089】
コンデンサ53の一端は、安定電位である基準電位側に接続されている。共振回路としては、ハーフブリッジ回路24の中点(スイッチング素子51とスイッチング素子52との間)からC−Lp−Lpσと直列に配置しても同等である。しかしながら、コンデンサ53を中点電位に接続すると、両端に発生する電圧は、差動検知する必要があるため、回路規模が大きくなってしまう。HBドライバ31には、第1電源部81から電力が供給される。このため、HBドライバ31は、低電位端子22dと共通の基準電位を有する。従って、コンデンサ53の一端を基準電位とし、コンデンサ53の他端の電位を検出することで、コンデンサ53の発生電圧を容易に検出することができる。例えば、電源回路124の部品点数を削減することができる。例えば、電源回路124の製造コストを抑えることができる。
【0090】
図8は、電源回路の動作の一例を模式的に表すグラフ図である。
図8は、コンデンサ53の発生電圧を模式的に表す。
図8の横軸は、共振回路の共振周波数である。縦軸は、コンデンサ53に発生する電圧である。
【0091】
図8に表したように、出力が過大となった場合、及び、トランス25の二次側が短絡された場合、コンデンサ53に発生する電圧が大きくなる。二次側が短絡されると、トランス25の一次側は、Lpσが支配的となり、LpとCとにより決まる共振周波数(f0)の動作カーブから、LpσとCとにより決まる共振周波数(fr)の動作カーブへと移行する。この時、コンデンサ53に発生する電圧は、実効値またはPeak to Peak値である。コンデンサ53は、共振動作と直流カット動作とを兼ねる。このため、平均電圧は、略一定である。従って、HBドライバ31は、実効値またはPeak to Peak値により、コンデンサ53の電圧を検出する。
【0092】
フィードバック回路32への電源供給に出力電圧VOUTを利用していると、照明負荷12が短絡した場合に、第2電源部82から電力供給が停止し、フィードバック回路32も停止してしまう。このため、二次側の情報を一次側に提供できない状態になる。そこで、上記のように、共振回路のコンデンサ53の発生電圧を検出する。これにより、負荷短絡時に二次側の回路を保護することができる。
【0093】
図9は、フィードバック回路を模式的に表すブロック図である。
図9に表したように、フィードバック回路32は、フィードバック制御部32aと、出力電圧検出部32bと、出力電流検出部32cと、を含む。
【0094】
フィードバック制御部32aは、前述のように、出力電圧VOUT、出力電流IOUT及び調光信号などに基づいて、フィードバック信号を生成し、HBドライバ31に出力する。HBドライバ31は、フィードバック信号を基に、調光度に応じた実質的に一定の明るさで照明負荷12が点灯するように、出力を調整する。
【0095】
出力電圧検出部32bは、過大な出力電圧VOUTを検出した場合に、過電圧の信号をHBドライバ31に出力する。HBドライバ31は、過電圧の信号を受信した場合、所定電圧以下の出力となるように、ハーフブリッジ回路24を制御する。HBドライバ31は、例えば、出力電圧VOUTが40V以下となるようにハーフブリッジ回路24を制御する。
【0096】
出力電流検出部32cは、過大な出力電流IOUTを検出した場合に、過電流の信号をHBドライバ31に出力する。HBドライバ31は、過電流の信号を受信した場合、ハーフブリッジ回路24の駆動を停止する。
【0097】
照明負荷12が開放した場合には、出力電圧VOUTが過大となるが、電力的には通常時以下である。このため、コンデンサ53の電圧では、過電力時の閾値と無負荷時の閾値とを1つの閾値で管理することが難しい。
【0098】
このため、フィードバック回路32に出力電圧検出部32bと出力電流検出部32cとを設ける。例えば、無負荷時には、発振継続するが、所定電圧以下の出力となるようにする。これにより、無負荷時の安全動作を担保することができる。
【0099】
図9に表したように、フィードバック制御部32aは、差動増幅回路90と非反転増幅回路91とを含む。出力電流IOUTは、抵抗92で電圧に変換され、電圧レベルの非反転増幅回路91から抵抗93を経て差動増幅回路90の反転入力端子に入力される。差動増幅回路90の非反転入力端子には、基準電圧が入力される。これらの端子間が一定電圧となるように差動増幅回路90の出力からフォトカプラ35にフィードバック信号を出力する。
【0100】
差動増幅回路90の反転入力端子には、コンデンサ94の一端が接続されている。コンデンサ94の他端は、高電位出力端子14cに接続されている。これにより、反転入力端子には、出力電圧VOUTの変化の微分信号が入力される。このように、差動増幅回路90の反転入力端子には、出力電流IOUTの検出信号が入力されるとともに、出力電圧VOUTの変化の微分信号が入力される。フィードバック回路32は、出力電流IOUTの検出信号と微分信号とを基に、HBドライバ31をフィードバック制御する。コンデンサ94の容量は、例えば、1μF以上である。
【0101】
また、差動増幅回路90の反転入力端子には、保護ダイオード95、96が接続されている。保護ダイオード95は、反転入力端子と第2電源部82の出力端子との間に接続される。保護ダイオード95の一端は、第2電源部82から供給されるフィードバック回路32の駆動電圧が印加される。
【0102】
保護ダイオード96は、反転入力端子と低電位出力端子14dとの間に接続されている。保護ダイオード96の一端は、基準電位に設定される。このように、保護ダイオード95、96を設けることにより、例えば、差動増幅回路90の反転入力端子を急激な電圧変動や過電圧などから保護することができる。なお、保護ダイオード95、96は、図示のように両方設けてもよいし、いずれか一方のみでもよい。
【0103】
第2電源部82は、出力電圧を一定に制御する必要があるため、入力電圧の変動に対して出力の応答が少ない。一方、電源をオフすると、第2電源部82の出力は数秒の間継続して出力される。この間は制御系は動作しているが、出力電流IOUTは略0となっている。このため、この間に再度電源が投入されると、出力電流IOUTが、所定目標値よりも大きい状態で始動し、不快な閃光現象が発生してしまう場合がある。
【0104】
これに対して、本実施形態に係る電源回路124では、コンデンサ94で反転入力端子と高電位出力端子14cとの間を接続することにより、出力電圧VOUTの変化の微分信号を反転入力端子に入力する。これにより、再始動時も出力電圧VOUTの変動に応答して、反転入力端子に電圧が供給される。これにより、電源再始動時の閃光の発生を抑制することができる。このように、本実施形態に係る電源回路124及び照明装置120では、安定した動作を得ることができる。
【0105】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態に係る照明装置を模式的に表すブロック図である。
図10に表したように、照明装置130の電源回路134は、スイッチング素子84をさらに含む。スイッチング素子84は、電極84a〜84cを有する。電極84aは、第1電源部81に接続されている。電極84bは、PFCドライバ30及びHBドライバ31に接続されている。電極84cは、制御部33に接続されている。電極84cは、制御電極であり、電極84aと電極84bとの間に流れる電流を制御する。制御部33は、スイッチング素子84をオン・オフを制御する。すなわち、制御部33は、PFCドライバ30及びHBドライバ31に対する電力供給と電力供給の停止とを制御する。
【0106】
電源回路134では、交流電源2から入力電圧VINが供給されると、第1電源部81が駆動し、第1電源部81からの電力供給によって制御部33が動作を開始する。この時、PFCドライバ30は、まだ動作を開始していない。このため、第1電源部81には、例えば、整流回路22による整流電圧をコンデンサ44で平滑化した電圧が供給される。
【0107】
制御部33は、第1電源部81からの電力供給に応じて動作を開始すると、スイッチング素子84をオフ状態からオン状態に遷移させる。これにより、PFCドライバ30及びHBドライバ31に電力が供給され、PFCドライバ30及びHBドライバ31が動作を開始する。
【0108】
PFCドライバ30及びHBドライバ31に電力が供給されるタイミングは、実質的に同時である。一方、HBドライバ31では出力側のコンデンサなどによる遅延が生じるため、PFCドライバ30がHBドライバ31よりも先に動作を開始する。このように、PFCドライバ30の動作を開始するタイミングは、HBドライバ31の動作を開始するタイミングよりも早い。
【0109】
PFCドライバ30の動作を開始するタイミングと、HBドライバ31の動作を開始するタイミングとは、実質的に同時でもよい。HBドライバ31の動作を開始するタイミングをPFCドライバ30の動作を開始するタイミングよりも早くしてもよい。但し、上記のように、PFCドライバ30の動作を開始するタイミングを、HBドライバ31の動作を開始するタイミングよりも早くする。すなわち、力率改善回路23が所定の動作状態となり、直流電圧VDCが確定された後に、ハーフブリッジ回路24の動作を開始させる。これにより、例えば、異常な出力電流IOUTの発生などを抑制することができる。電源回路134の動作をより安定させることができる。
【0110】
例えば、PFCドライバ30への電力供給を制御するスイッチング素子と、HBドライバ31への電力供給を制御するスイッチング素子と、を設け、PFCドライバ30への電力供給とHBドライバ31への電力供給とを制御部33で個別に制御できるようにしてもよい。これにより、PFCドライバ30及びHBドライバ31の動作タイミングをより適切に制御することができる。
【0111】
制御部33には、抵抗27、28を介して入力電圧VINの検出電圧が入力される。制御部33は、検出電圧を基に入力電圧VINの電圧値を検出し、入力電圧VINが所定値以下の時に、スイッチング素子84をオフにし、PFCドライバ30及びHBドライバ31への電力供給を停止する。制御部33は、入力電圧VINが所定値よりも大きい時に、スイッチング素子84をオンにし、PFCドライバ30及びHBドライバ31に電力供給を供給する。
【0112】
制御部33は、電源オフによって入力電圧VINの供給が停止された際に、PFCドライバ30及びHBドライバ31への電力供給を停止する。これにより、例えば、コンデンサに蓄積された電荷などによって、電源オフ時に異常な閃光が生じてしまうことを抑制することができる。
【0113】
制御部33は、調光器3から入力された調光信号が所定値以下の時に、スイッチング素子84をオフにし、PFCドライバ30及びHBドライバ31への電力供給を停止する。制御部33は、例えば、5%以下の調光度に設定された時に、PFCドライバ30及びHBドライバ31への電力供給を停止する。このように、制御部33は、制御信号の入力に応じてPFCドライバ30及びHBドライバ31への電力供給を制御する。制御信号は、調光信号に限ることなく、出力電圧VOUTの制御に関する任意の信号でよい。
【0114】
制御部33には、出力の異常を示す異常検出信号が入力される。異常検出信号は、例えば、出力電圧VOUT及び出力電流IOUTの少なくとも一方の異常を示す信号である。この例では、HBドライバ31から制御部33に異常検出信号が入力される。HBドライバ31は、例えば、コンデンサ53の電圧に基づく過出力及び短絡の検出結果を異常検出信号として制御部33に入力する。
【0115】
制御部33は、異常検出信号の入力に応じてスイッチング素子84をオフにし、PFCドライバ30及びHBドライバ31への電力供給を停止する。すなわち、電源回路134では、HBドライバ31が、過出力または出力短絡を検出した場合に、ハーフブリッジ回路24の駆動を停止させ、制御部33に異常検出信号が入力される。そして、異常検出信号の入力に応じて、PFCドライバ30及びHBドライバ31への電力供給が停止される。このように、制御部33は、HBドライバ31による回路保護機能が働いた時に、PFCドライバ30及びHBドライバ31への電力供給を停止する。
【0116】
このように、調光信号や異常検出信号に基づいて出力を停止させる待機状態に移行した時に、PFCドライバ30及びHBドライバ31への電力供給を停止する。これにより、待機状態における電力損失を抑制することができる。
【0117】
なお、異常検出信号は、HBドライバ31からに限ることなく、例えば、フィードバック回路32などから制御部33に入力してもよい。例えば、フィードバック回路32によって検出された出力電圧VOUTや出力電流IOUTの異常に基づいて、PFCドライバ30及びHBドライバ31への電力供給を停止してもよい。
【0118】
このように、本実施形態に係る電源回路134及び照明装置130では、安定した動作を得ることができる。
【0119】
(第5の実施形態)
図11は、第5の実施形態に係る照明装置を模式的に表すブロック図である。
図11に表したように、照明装置140には、操作部18が設けられている。操作部18は、照明装置140の外面に露出して設けられる。操作部18は、例えば、スライドレバーである。操作部18は、ロータリスイッチなどでもよい。照明装置140の電源回路144には、フィードバック回路32に可変抵抗98が設けられている。可変抵抗98は、差動増幅回路90の非反転入力端子に接続されている。また、可変抵抗98は、操作部18に物理的に接続されており、操作部18の操作に連動して抵抗値を変化させる。
【0120】
電源回路144では、操作部18の操作によって差動増幅回路90に入力される基準電圧の電圧値が変化する。電源回路144では、制御部33、I/F回路34などが省略されている。電源回路144は、調光器3に接続されない。すなわち、照明装置140は、操作部18の操作によって調光制御を行えるようにしたものである。
【0121】
照明装置140及び電源回路144においても、力率改善回路23、ハーフブリッジ回路24、トランス25と、整流平滑回路26、PFCドライバ30、HBドライバ31及びフィードバック回路32などの構成は、上記各実施形態と同様とすることができる。従って、照明装置140及び電源回路144においても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0122】
電源回路144は、スイッチング素子85、86をさらに含む。スイッチング素子85は、PFCドライバ30に接続されている。スイッチング素子86は、HBドライバ31に接続されている。スイッチング素子85、86のそれぞれの制御電極には、抵抗27、28を介して入力電圧VINの検出電圧が入力される。
【0123】
入力電圧VINが所定値以上になると、スイッチング素子85がオンになる。PFCドライバ30は、スイッチング素子85のオンにより、入力電圧VINを検出する。入力電圧VINが所定値以上になると、スイッチング素子86がオンになる。HBドライバ31は、スイッチング素子86のオンにより、入力電圧VINを検出する。
【0124】
PFCドライバ30は、入力電圧VINが所定値以上である場合に、力率改善回路23の制御を開始する。HBドライバ31は、入力電圧VINが所定値以上である場合に、ハーフブリッジ回路24の制御を開始する。これにより、電源回路144においても、PFCドライバ30の動作を開始するタイミングと、HBドライバ31の動作を開始するタイミングとを制御することができる。
【0125】
例えば、ゲート電圧などを調整することにより、スイッチング素子85のオンするタイミングをスイッチング素子86のオンするタイミングよりも早くする。これにより、PFCドライバ30の動作を開始するタイミングを、HBドライバ31の動作を開始するタイミングよりも早くすることができる。上述のように、電源回路144の動作をより安定させることができる。
【0126】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明したが、それらに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0127】
なお、照明光源16はLEDに限らず、例えば、有機EL(Electro-Luminescence)やOLED(Organic light-emitting diode)などでもよい。照明負荷12には、複数の照明光源16が直列又は並列に接続されていてもよい。
【0128】
上記各実施形態では、ブリッジ回路として、2つのスイッチング素子51、52を含むハーフブリッジ回路24を示している。ブリッジ回路は、これに限ることなく、例えば、4つのスイッチング素子を含むフルブリッジ回路などでもよい。
【0129】
上記実施形態では、直流負荷として、照明負荷12を示しているが、これに限ることなく、例えば、ヒータなどの他の直流負荷でもよい。上記実施形態では、電源回路として、照明装置10に用いられる電源回路14を示しているが、これに限ることなく、直流負荷に対応する任意の電源回路でよい。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態および実施例を説明したが、これらの実施形態または実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態または実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態または実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。