特許第6233574号(P6233574)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233574
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】同軸型電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/40 20110101AFI20171113BHJP
【FI】
   H01R24/40
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-239825(P2013-239825)
(22)【出願日】2013年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-99729(P2015-99729A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093034
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 隆英
(72)【発明者】
【氏名】山内 貴生
(72)【発明者】
【氏名】四谷 健一
【審査官】 山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04708414(US,A)
【文献】 特開平04−319268(JP,A)
【文献】 特表2000−510280(JP,A)
【文献】 特開2007−165121(JP,A)
【文献】 特開平05−242931(JP,A)
【文献】 特開2013−101753(JP,A)
【文献】 特開2013−084498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルの中心導体及び外部導体にそれぞれ接続される信号コンタクト部材及びグランドコンタクト部材が、略同心状をなすように絶縁ハウジングに取り付けられたものであって、
前記信号コンタクト部材が、前記同軸ケーブルの中心導体に接続されるケーブル接続部と、嵌合の相手コネクタの信号コンタクト部材に接続されるコンタクト接続部と、を備えた同軸型電気コネクタにおいて、
前記信号コンタクト部材のケーブル接続部が、前記同軸ケーブルの端末部分における端面から当該同軸ケーブルの延在方向であるケーブル軸の方向に沿って内部に差し込まれるケーブル挿入片を有し、
前記ケーブル挿入片の差し込み方向における先端側部分が、前記同軸ケーブルの内部において前記中心導体と電気的に接続される一方、
前記グランドコンタクト部材が、前記相手コネクタとの嵌合部を有する中空円筒状のグランド本体部と、そのグランド本体部から、前記同軸ケーブルの延在方向であるケーブル軸の方向に沿って片持ち状をなして延出する一対の接続腕部を有するグランド接続部と、を備え、
前記各グランド接続部における前記接続腕部の延出方向の先端部分には、前記ケーブル軸の方向と直交するケーブル径の方向に向かって前記同軸ケーブルの外周被覆材を切断しながら挿入されて前記同軸ケーブルの外部導体に接触するケーブル破断片が設けられているとともに、
前記各グランド接続部における前記接続腕部に、前記同軸ケーブルの端末部分が載置されるケーブル受け部が設けられていることを特徴とする同軸型電気コネクタ。
【請求項2】
前記グランドコンタクト部材が、前記グランド本体部の開口部を覆うグランド蓋部を備えていることを特徴とする請求項1記載の同軸型電気コネクタ。
【請求項3】
前記グランド蓋部には、前記ケーブル受け部が設けられた前記接続腕部を、前記同軸ケーブルとともに外方側から覆うように曲げ変形される保持部が設けられていることを特徴とする請求項記載の同軸型電気コネクタ。
【請求項4】
前記ケーブル受け部は、互いに対向するようにして一対設けられ、
それら一対のケーブル受け部が、前記保持部の曲げ変形とともに近接して前記同軸ケーブルが固定された状態で当接し、前記保持部の曲げ変形を規制する構成になされていることを特徴とする請求項記載の同軸型電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルに接続される信号コンタクト部材とグランドコンタクト部材とが、略同心状をなすように配置された同軸型電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話等の種々の電子機器又は電気機器における信号電送媒体として、同軸ケーブルが広く採用されているが、その同軸ケーブルを印刷配線基板に効率的に接続するための同軸型電気コネクタにおいては、例えば、絶縁ハウジングの外周側に中空円筒状部材からなるシェル本体部が装着され、そのシェル本体部の円筒開口部に対してシェル蓋部が開閉可能に連結されている。そして、同軸ケーブルの端末部から露出する中心導体を、信号コンタクトの載置面上にセットした後に半田付け又は導体の挟持によって電気的な接続を行い、さらに開放状態にあったシェル蓋部を押し倒すようにして閉塞することで組み立てを完了する。
【0003】
しかしながら、このような従来の同軸型電気コネクタにおいては、同軸ケーブルの端末処理が必要となっている。すなわち、同軸ケーブルの中心導体や外部導体を取り囲んでいる誘電体や絶縁体を剥ぎ取るストリップ工程を、複数回(例えば3回)行うことによって中心導体や外部導体を露出状態とする必要があり、そのような複数回のストリップ工程を行った後に半田付け等による接続を行っている。そのため、同軸ケーブルの接続を行うにあたっての工程数が増大する傾向があり、生産性を向上させる上での支障になっている。
【0004】
一方、下記の特許文献1に記載された同軸型コネクタでは、同軸ケーブルの絶縁体に対して、切刃状をなす一対の切断用片を軸直交方向に押し付け、それによって一対の切断用片が、絶縁体を切断(破壊)するようにして同軸ケーブルの中心導体に接触し、それら一対の切断用片の間の隙間に中心導体が挟まれた状態で電気的な接続を行うようにしている。このような同軸型コネクタによれば、絶縁体を剥ぎ取る工程をやや減じて、例えば2回のストリップ工程とすることは可能である。しかしながら、未だ生産性向上の余地があるとともに、切断用片を軸直交方向に押し付けるようにしていることから、細線状をなす中心導体を切断してしまうおそれがあり、接続工程の信頼性に問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−98121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、簡易な構成で、同軸ケーブルの接続工程を低減させつつ、電気的接続性の信頼性を向上させることができるようにした同軸型電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明では、同軸ケーブルの中心導体及び外部導体にそれぞれ接続される信号コンタクト部材及びグランドコンタクト部材が、略同心状をなすように絶縁ハウジングに取り付けられたものであって、前記信号コンタクト部材が、前記同軸ケーブルの中心導体に接続されるケーブル接続部と、嵌合の相手コネクタの信号コンタクト部材に接続されるコンタクト接続部とを備えた同軸型電気コネクタにおいて、前記信号コンタクト部材のケーブル接続部が、前記同軸ケーブルの端末部分における端面から当該同軸ケーブルの延在方向であるケーブル軸の方向に沿って内部に差し込まれるケーブル挿入片を有し、前記ケーブル挿入片の差し込み方向における先端側部分が、前記同軸ケーブルの内部において前記中心導体と電気的に接続される一方、前記グランドコンタクト部材が、前記相手コネクタとの嵌合部を有する中空円筒状のグランド本体部と、そのグランド本体部から、前記同軸ケーブルの延在方向であるケーブル軸の方向に沿って片持ち状をなして延出する一対の接続腕部を有するグランド接続部とを備え、前記各グランド接続部における前記接続腕部の延出方向の先端部分には、前記ケーブル軸の方向と直交するケーブル径の方向に向かって前記同軸ケーブルの外周被覆材を切断しながら挿入されて前記同軸ケーブルの外部導体に接触するケーブル破断片が設けられているとともに、前記各グランド接続部における前記接続腕部には、前記同軸ケーブルの端末部分が載置されるケーブル受け部が設けられた構成が採用されている。
【0008】
このような構成を有する本発明によれば、同軸ケーブルの中心導体に対して信号コンタクト部材のケーブル接続部を接続するにあたって、信号コンタクト部材のケーブル接続部を構成するケーブル挿入片が、同軸ケーブルのケーブル軸方向に沿って内部に挿入される工程によって電気的な接続が行われることから、同軸ケーブルの端末処理、すなわち中心導体や外部導体を取り囲んでいる誘電体や絶縁体を剥ぎ取るストリップ工程を行うことなく信号コンタクト部材の接続が行われる。その結果、同軸ケーブルに対して信号コンタクト部材を接続するにあたっての工程が大幅に簡素化されると同時に、同軸ケーブルの中心導体を切断する可能性のある軸直交方向への移動が行われないことから、細線状をなす中心導体を切断させるおそれがなくなる。
また、同軸ケーブルの外部導体に対するグランドコンタクト部材の接続工程が、ケーブル破断片を同軸ケーブルの外方側から押し付けることにより行われるため、同軸ケーブルの外部導体を取り囲んでいる誘電体や絶縁体を剥ぎ取るストリップ工程を行うことなく容易に行われる。
そして、同軸ケーブルの外部導体に対してグランドコンタクト部材を接続するにあっては、一対の接続腕部の間に同軸ケーブルの端末部分を配置した状態で、それら一対の接続腕部同士を互いに近付けるように変形させることで、ケーブル破断片が同軸ケーブルの外方側から押し付けられることから、同軸ケーブルの外部導体に対するグランドコンタクト部材の接続工程が効率的に行われるとともに、同軸ケーブルの端末部分がケーブル受け部に接触して保持されながらグランドコンタクト部材の接続が行われるために、同軸ケーブルの外部導体に対するグランドコンタクト部材の接続が安定的に行われる。
【0009】
また、本発明においては、前記グランドコンタクト部材が、前記グランド本体部の開口部を覆うグランド蓋部を備えていることが可能である。
【0014】
また、本発明における前記グランド蓋部には、前記ケーブル受け部が設けられた前記接続腕部を、前記同軸ケーブルとともに外方側から覆うように曲げ変形される保持部が設けられていることが望ましい。
【0015】
このような構成を有する本発明によれば、グランド蓋部に設けられた保持部を曲げ変形することによって接続腕部の曲げ変形が効率的かつ容易に行われるとともに、保持部の曲げ変形力によって接続腕部が外方側から強固に締め付けられることで、グランドコンタクト部材と同軸ケーブルの外部導体との接続が良好に行われる。また、そのときの保持部による締め付け力は、同軸ケーブルの中心導体と接続状態にあるケーブル挿入片の周囲部分も圧迫するため、中心導体との接続も良好に行われる。
【0016】
また、本発明における前記ケーブル受け部は、互いに対向するようにして一対設けられ、それら一対のケーブル受け部が、前記保持部の曲げ変形とともに近接して前記同軸ケーブルが固定された状態で当接し、前記保持部の曲げ変形を規制する構成になされていることが望ましい。
【0017】
このような構成を有する本発明によれば、保持部の曲げ変形が終了した時点で、両接続腕部に設けられたケーブル受け部同士が当接して保持部の変形が規制されることとなり、保持部の過大な変形が確実に防止される。
【発明の効果】
【0018】
以上述べたように本発明は、信号コンタクト部材のケーブル接続部に、同軸ケーブルの端末部分における端面から当該同軸ケーブルの延在方向であるケーブル軸の方向に沿って内部に差し込まれるケーブル挿入片を設け、そのケーブル挿入片の差し込み方向における先端側部分を、同軸ケーブルの内部において中心導体と電気的に接続させることで、同軸ケーブルの中心導体に対して信号コンタクト部材のケーブル接続部を接続するにあたって、同軸ケーブルの端末処理、すなわち中心導体や外部導体を取り囲んでいる誘電体や絶縁体を剥ぎ取るストリップ工程を行う必要がなくなり、同軸ケーブルに対して信号コンタクト部材を接続するにあたっての工程が大幅に簡素化されると同時に、同軸ケーブルの中心導体を切断する可能性のある軸直交方向への移動が行われないことから、細線状をなす中心導体を切断させるおそれがなくなる一方、グランドコンタクト部材のグランド本体部から同軸ケーブルの延在方向に片持ち状をなして延出する一対のグランド接続部の接続腕部に、同軸ケーブルの外周被覆材を切断しながら径方向に挿入されて同軸ケーブルの外部導体に接触するケーブル破断片を設けたことにより、同軸ケーブルの端末部分を挟んで配置した一対の接続腕部同士を互いに近付けるように変形させて同軸ケーブルの外方側からケーブル破断片を押し付け、同軸ケーブルの外部導体に対するグランドコンタクト部材の接続工程を効率化するとともに、同軸ケーブルの外部導体を取り囲んでいる誘電体や絶縁体を剥ぎ取るストリップ工程を省略し、かつ各グランド接続部における接続腕部に同軸ケーブルの端末部分を載置させるケーブル受け部を設けたことで、同軸ケーブルの外部導体に対してグランドコンタクト部材を安定的に接続させるように構成したものであるから、簡易な構成で、同軸ケーブルの接続工程を低減させつつ、電気的接続性の信頼性を向上させることができ、同軸型電気コネクタの信頼性を低廉かつ大幅に向上させることができる。

【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に同軸ケーブルが連結された状態を背面上方側から表した外観斜視説明図である。
図2図1に示された同軸ケーブルが連結された状態のプラグコネクタを表した側面説明図である。
図3図1及び図2に示された同軸ケーブルが連結された状態のプラグコネクタの底面説明図である。
図4図3中の IV−IV 線に沿った横断面説明図である。
図5図2中の V−V 線に沿った横断面説明図である。
図6図2中の VI−VI 線に沿った縦断面説明図である。
図7図2中の VII−VII 線に沿った縦断面説明図である。
図8図3中の VIII−VIII 線に沿った横断面説明図である。
図9図2中の IX−IX 線に沿った横断面説明図である。
図10図1図9に示された同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に同軸ケーブルが連結される前の初期状態を正面上方側から表した外観斜視説明図である。
図11図10に示された初期状態における同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)の側面説明図である。
図12図10及び図11に示された同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に対して同軸ケーブルが連結されたセット状態を正面上方側から表した外観斜視説明図である。
図13図12に示された同軸ケーブルのセット状態からシェル蓋部が押し倒された直後の閉塞状態を表した外観斜視説明図である。
図14図13に示されたシェル蓋部の閉塞状態から保持部が折り曲げ変形された後の固定状態を表した外観斜視説明図である。
図15図1図9に示された同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に用いられている信号コンタクトを表したものであって、(a)は正面上方側から表した外観斜視説明図であり、(b)は上下を反転した状態の外観斜視説明図である。
図16図15に示された信号コンタクトを表したものであって、(a)は側面説明図であり、(b)は底面説明図である。
図17図1図9に示された同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)に用いられる同軸ケーブルの一例を表した外観斜視説明図である。
図18図17に示された同軸ケーブルに、本発明の一実施形態にかかる信号コンタクトのケーブル接続部を差し込んだ状態を表した外観斜視説明図である。
図19図18に示された信号コンタクトのケーブル接続部が差し込まれた同軸ケーブルの底面説明図である。
図20図18及び図19に示された信号コンタクトのケーブル接続部が差し込まれた同軸ケーブルの側面説明図である。
図21】本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)が嵌合される相手側の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ)の一例を表した外観斜視説明図である。
図22図21に示された相手側の電気コネクタ(リセプタクルコネクタ)の縦断面説明図である。
図23】本発明の一実施形態にかかる同軸型電気コネクタ(プラグコネクタ)が相手コネクタ(リセプタクルコネクタ)に嵌合された同軸型電気コネクタ装置を背面上方側から表した外観斜視説明図である。
図24図23に示された同軸型電気コネクタ装置の縦断面説明図である。
図25図23に示された同軸型電気コネクタ装置の横断面説明図である。
図26】本発明の第2の実施形態にかかる同軸ケーブルに対して信号コンタクトのケーブル接続部を差し込んだ状態を表した外観斜視説明図である。
図27図26に示された信号コンタクトのケーブル接続部が差し込まれた同軸ケーブルを表した外観斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、信号伝送媒体として同軸ケーブルを使用する同軸型電気コネクタに本発明を適用した実施形態についての説明を図面に基づいて詳細に行う。
【0021】
[同軸型電気コネクタの全体構造について]
まず、図1図20に示されている本発明の第1の実施形態にかかる同軸型電気コネクタとしてのプラグコネクタ10は、ケーブル状信号伝送媒体としての同軸ケーブルSCの端末部分が連結された状態で使用される構成になされており、所定の印刷配線基板上に実装された相手側の電気コネクタとしてのリセプタクルコネクタ20(図21図25参照)に対して、上方から差し込むようにして嵌合又は抜去される構成になされている。その嵌合の相手コネクタの一例としてのリセプタクルコネクタ20に対するプラグコネクタ10の嵌合・抜去作業は、印刷配線基板の平面に対して略直交する方向に行われる。
【0022】
より具体的には、当該プラグコネクタ10における主たる嵌合部分を構成しているコネクタ本体部は、概略形状において中空の円筒形状をなすように形成されており、その略中空円筒形状をなすプラグコネクタ10のコネクタ本体部に対して、径方向外方側の一方向から同軸ケーブルSCの端末部が連結され、その同軸ケーブルSCが連結された状態で、相手コネクタとしてのリセプタクルコネクタ20の上方位置に対面するようにプラグコネクタ10が配置される。そして、当該プラグコネクタ10の全体が、印刷配線基板の外表面に対して略直交する方向に下降されていくことによってプラグコネクタ10の下端部分がリセプタクルコネクタ(相手コネクタ)20の上方側部分に対して嵌合状態になされる(図23参照)。このようにリセプタクルコネクタ20に対してプラグコネクタ10が上方から差し込まれた嵌合状態になされることによって、同軸ケーブルSCの端末部がプラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ20を介して、印刷配線基板上の配線パターン導電路に接続される。
【0023】
ここにおいて、リセプタクルコネクタ(相手コネクタ)20に対してプラグコネクタ10を差し込む方向を「下方向」とし、それとは反対に抜き出す抜去方向を「上方向」とする。また、プラグコネクタ10自体において、同軸ケーブルSCの端末部が接続される部分を「正面側部分」とするとともに、それとは反対側の部分を「背面側部分」とし、さらにその「背面側部分」から「正面側部分」に向かう方向を「コネクタ前方向」、その逆方向を「コネクタ後方向」とする。また、それらの「コネクタ上下方向」及び「コネクタ前後方向」の双方に直交する方向を「コネクタ左右方向」とする。
【0024】
[同軸ケーブルについて]
上述した同軸ケーブルSCは、特に図17に示されているように、複数本の細線導線で形成されたケーブル中心導体(信号線)SCaの外周側にケーブル誘電体SCcを介してケーブル外部導体(シールド線)SCbが同心状に積層されているとともに、ケーブル外部導体(シールド線)SCbには外周被覆材SCdが装着されている。このような同心状積層構造からなる同軸ケーブルSCの端末部分に対しては、従来の端末処理が施されない状態、すなわち外周被覆材SCd及びケーブル誘電体SCc、並びにケーブル外部導体(シールド線)SCbの引き剥がし(皮剥き)が行われない元の状態のままで、プラグコネクタ10に対する接続が行われる。この点については、後段において詳細に説明する。
【0025】
そして、このような同軸ケーブルSCの中心軸に沿うように配置されたケーブル中心導体SCaが、絶縁ハウジング11に取り付けられた信号コンタクト部材12に対し、後述するようにしてケーブル中心導体SCaのケーブル軸方向に沿って接続されることにより信号回路が構成される。また、ケーブル中心導体SCaの外周側を取り囲むように配置されたケーブル外部導体SCbには、グランドコンタクト部材を兼用するシールドシェル13が、後述するようにして接続され、当該シールドシェル13が接地用のグランドコンタクト部材として機能することでグランド回路が構成されるようになっている。このプラグコネクタ10に対する同軸ケーブルSCの接続に関する構成は、本発明の要部として後段で詳細に説明する。
【0026】
[絶縁ハウジングについて]
ここで、上述した絶縁ハウジング11は、特に図4及び図9に示されているように、略円板形状をなす絶縁本体部11aを有しているとともに、その絶縁本体部11aの略中心部分には、嵌合相手であるリセプタクルコネクタ20の内方側に挿入される絶縁挿入部11bが、略円筒状をなして下方に突出するように一体的に設けられている。絶縁本体部11aには、後述する信号コンタクト部材12の一部が埋設されている。
【0027】
[信号コンタクト部材について]
すなわち、本実施形態において採用されている信号コンタクト部材12は、特に図15及び図16に示されているような全体構造を有しており、前述した絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aに、例えばインサート成形等により取り付けられている。絶縁本体部11aの中心部分には、当該信号コンタクト部材12の本体部分であるコンタクト本体板12aが埋設されている。このコンタクト本体板12aは、絶縁本体部11aより一回り小さい外径を有する円盤状をなすように形成されている。
【0028】
そのコンタクト本体板12aにおけるコネクタ前方側部分には、上述した同軸ケーブルSCの内部に差し込まれるケーブル接続部12bが一体的に連接されている。このケーブル接続部12bは、コンタクト本体板12aからコネクタ前方側に向かって略水平に延出する細板状の突起部材から形成されており、当該ケーブル接続部12bにおける延出方向の先端部分(図16の左方側部分)が、細幅をなすように形成されたケーブル挿入片12cを構成している。このケーブル挿入片12cは、上述した絶縁本体部11aのコネクタ前端面から前方(図4の左方)に向かって針形状をなして突出する配置関係になされており、同軸ケーブルSCの内部に差し込まれることによって、ケーブル中心導体(信号線)SCaに接続される構成になされている。
【0029】
すなわち、本実施形態におけるケーブル中心導体(信号線)SCaは、例えば複数本の微細線を束にした構成になされているために、上述した信号コンタクト部材12のケーブル挿入片12cが、ケーブル中心導体(信号線)SCaの内部に向かって容易に入り込むことが可能な状態になされている。そして、図17に示されているように、剥ぎ取り等の端末加工が施されていない未加工状態の同軸ケーブルSCの端面に対して、上述した信号コンタクト部材12のケーブル挿入片12cが、同軸ケーブルSCの延在方向であるケーブル軸方向に沿って差し込まれると、図18図20に示されているように、当該信号コンタクト部材12のケーブル挿入片12cは、ケーブル中心導体(信号線)SCaを構成している複数本の微細線の間に入り込むようにして進んでいき、両者は電気的な接触状態となる。
【0030】
このように、ケーブル中心導体(信号線)SCaやケーブル外部導体(シールド線)SCbを取り囲んでいるケーブル誘電体SCcや外周被覆材SCdを剥ぎ取るストリップ工程を行っていない未加工状態の同軸ケーブルSCの端末部分に対して、信号コンタクト部材12のケーブル挿入片12cは、支障なく挿入されるとともに良好な接触状態となる。
【0031】
一方、上述したように円盤状をなすコンタクト本体板12aの中心部分には、中空円筒状をなすコンタクト接続部12dが下方に突出するように配置されている。このコンタクト接続部12dは、前述した絶縁ハウジング11の絶縁挿入部11bを外方側から覆うピン形状をなしており、上述した絶縁本体部11aから下方に突出するようにして露出状態になされている。そして、このプラグコネクタ10側に設けられたコンタクト接続部12dは、リセプタクルコネクタ(相手コネクタ)20にプラグコネクタ10が嵌合された際に、リセプタクルコネクタ20側のコンタクト接続部22aに対して弾性的に接触する構成になされている。リセプタクルコネクタ20の構造については後述する。
【0032】
[シールドシェルについて]
また、上述した絶縁本体部11aおよび絶縁挿入部11bを有する絶縁ハウジング11の外側表面は、薄板金属状部材からなるグランドコンタクト部材としてのシールドシェル13の主たる嵌合部分を構成しているシェル本体部13aによって覆われている。このシェル本体部13aは、絶縁ハウジング11の絶縁本体部11aを径方向外方側から環状に覆うように形成された略中空円筒形状になされている。さらに、このシェル本体部13aの下方側部分は、リセプタクルコネクタ(相手コネクタ)20に外方側から嵌合されるシェル挿入部13a1になされているとともに、当該シェル本体部13aの上端側の円筒開口部分には、上述した絶縁本体部11aの上面側を覆うシェル蓋部(グランド蓋部)13bが開閉可能に連結されている。
【0033】
このとき、同軸ケーブルSCの端末部分を接続して固定する前の初期状態におけるシールドシェル13は、特に図10及び図11に示されているように、上述したシェル本体部13aに対してシェル蓋部13bが上方側へ開放された状態になされている。すなわち、当該初期状態におけるシェル蓋部13bは、シェル本体部13aの後方側端縁部分に、細幅の板状部材からなる繋ぎ部材13b1を介して略鉛直上方に立ち上がるように配置されている。この繋ぎ部材13b1の設置位置及び設置個数は任意に選定することが可能である。
【0034】
そして、このシールドシェル13の開放状態(初期状態)において、前述したように同軸ケーブルSCの端末部分に、信号コンタクト部材12のケーブル挿入片12cを差し込んで接続状態とすることで、同軸ケーブルSCの端末部分がプラグコネクタ10にセット状態になされる(図12参照)。次いで、シールドシェル13の繋ぎ部材13b1が下方側に向かって略直角に折り曲げられるようにして、当該シェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒されると、それによってシェル本体部13a及び絶縁本体部11aが、シェル蓋部13bにより上方側から覆われ、シールドシェル13が閉塞状態になされる。
【0035】
このときのシェル蓋部13bは、上述したように略水平状態まで押し倒されて閉塞された際に、シェル本体部13aの上端側の円筒開口部分を覆うように被せられる構造になされているが、その略水平状態まで押し倒されたシェル蓋部13bの正面側部分には、同軸ケーブルSCを上方側から覆う前方カバー部13b2が一体的に連設されている。この前方カバー部13b2は、同軸ケーブルSCを外方側から覆う構成になされているが、上述したシェル本体部13aからコネクタ前方側に突出する一対のケ一ブル接続腕部13c,13cが、シェル蓋部13bの前方カバー部13b2によって外方側から覆われる構成になされている。
【0036】
すなわち、上述した一対のケ一ブル接続腕部13c,13cは、シェル本体部13aの正面側部分に設けられた開口部の両側からコネクタ前方側に向かって略水平に突出する片持ち状の梁部材から形成されており、シェル本体部13aの正面側開口部からコネクタ前方側に向かって互いの間隔が徐々に拡大するように延在している。それら一対のケ一ブル接続腕部13c,13c同士の間部分には、前述した絶縁本体部11aから突出する信号コンタクト部材12のケーブル挿入片12cが配置されているとともに(図10参照)、そのケーブル挿入片12cに連結された同軸ケーブルSCの端末部分が配置されている(図12参照)。
【0037】
このように、一対のケ一ブル接続腕部13c,13cは、ケーブル挿入片12cに連結された同軸ケーブルSCの端末部分の外表面に沿って延在しており、同軸ケーブルSCの外周被覆材SCdを左右方向の両側から挟む配置関係になされている。そして、それらの各ケ一ブル接続腕部13cの延出方向における先端部分には、フック状をなすケーブル破断片13dがそれぞれ形成されている。これらの両ケーブル破断片13d,13dは、各ケ一ブル接続腕部13cの先端部から互いに近接する内側の方向に略直角に折り曲げられるようにして形成されており、当該各ケーブル破断片13d,13dに突設された爪部が、同軸ケーブルSCの外表面に対して近接対向するような配置関係になされている。
【0038】
このとき、上述した両ケ一ブル接続腕部13c,13cの下端側の縁部には、斜め下方に向かって互いに近接する方向に延出するケーブル受け部13e,13eがそれぞれ設けられている。これらの各ケーブル受け部13eは、上述したようにして信号コンタクト部材12のケーブル挿入片12cに連結された同軸ケーブルSCの端末部分の下方側に延出しており、当該両ケーブル受け部13e,13eに対して、同軸ケーブルSCが上方側から当接して受けられるようになっている。
【0039】
一方、前述したようにシェル蓋部13bに連設された前方カバー部13b2の両側縁部には、一対の舌片状部材からなる第1固定保持板13b3および第2固定保持板13b4が、フランジ板状をなすように設けられている。そのうちの第1固定保持板13b3は、同軸ケーブルSC及びケ一ブル接続腕部13cを外方側から覆うように折り曲げられることによりカシメ固定を行う構成になされている。
【0040】
すなわち、一対の第1固定保持板13b3,13b3を構成している両側フランジ板は、シェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒された際に、ケ一ブル接続腕部13cの両側外方位置に配置され(図13参照)、そのような配置状態から、コネクタ内方側に折り曲げられることによりカシメ固定が行われる(図14参照)。より具体的には、当該一対の第1固定保持板13b3,13b3は、ケ一ブル接続腕部13c、ケーブル受け部13e及び同軸ケーブルSCを外方側から覆うようにして互いに近接する方向に曲げ変形され、その第1固定保持板13b3の曲げ変形によって、ケ一ブル接続腕部13c及びケーブル受け部13eが、同軸ケーブルSCに近接する方向に曲げ変形されていく。そして、ケ一ブル接続腕部13cの先端部に設けられたケーブル破断片13dの爪部が、同軸ケーブルSCの外周被覆材SCdに当接した後に、ケ一ブル接続腕部13c,13c同士が更に近接することによって、ケーブル破断片13dの爪部は、同軸ケーブルSCの外周被覆材SCdを破断するようにして同軸ケーブルSCの内部に入り込む。
【0041】
このようにして同軸ケーブルSCの内部に入り込んだケーブル破断片13dの爪部は、同軸ケーブルSCの外周被覆材SCdを通過した後、特に図5及び図8に示されているように、ケーブル外部導体(シールド線)SCbに到達して接触状態となる。その結果、ケーブル破断片13d及びケ一ブル接続腕部13cを介在してシールドシェル13がケーブル外部導体(シールド線)SCbにグランド接続される。
【0042】
以上のように、一対の第1固定保持板13b3,13b3の曲げ変形が完了してカシメ固定が行われた際においては、シェル本体部13aに対するシェル蓋部13bの固定が行われるとともに、同軸ケーブルSCがシェル蓋部13bに固定され、更にそれと同時に、ケーブル外部導体(シールド線)SCbがシールドシェル13に電気的に接続されることでグランド回路が形成される。
【0043】
また、第1固定保持板13b3,13b3が、上述したようにコネクタ内方側に折り曲げられてカシメ固定が行われた際においては、それらの第1固定保持板13b3,13b3とともにケーブル受け部13e,13e同士が互いに近接するように曲げ変形され、同軸ケーブルSCの外周被覆材SCdを外方側から押圧するようになっている。そして、これらの両ケーブル受け部13e,13e同士が互いに当接した状態に至ることで、上述した第1固定保持板13b3,13b3の曲げ変形が規制される構成になされている。
【0044】
さらに、第2固定保持板13b4は、上述した第1固定保持板13b3の前方側に隣接して並列するように設けられており、比較的小型のフランジ板から形成されている。この第2固定保持板13b4は、同軸ケーブルSCにおける外周被覆材SCdの単体を外方側から覆うように折り曲げられる。すなわち、当該第2固定保持板13b4を構成している両側フランジ板は、シェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒された際に、同軸ケーブルSCにおける外周被覆材SCdが単体で延在する位置に配置され、その状態からカシメを行うようにコネクタ内方側に折り曲げられることによって、同軸ケーブルSCの外周被覆材SCdに対するシェル蓋部13bの固定が行われる。
【0045】
一方、前述したようにシールドシェル13におけるシェル本体部13aの下方側部分を構成しているシェル挿入部13a1は、嵌合相手であるリセプタクルコネクタ20の径方向外方側部分に外嵌される構成になされている(図24及び図25参照)。このシェル挿入部13a1の挿入側部分には、径方向内方側に向かって突出する環状凹溝からなる連結係合部が形成されており、前述したようにシェル蓋部13bが略水平状態まで押し倒された後に、当該シェル挿入部13a1の連結係合部が、嵌合相手であるリセプタクルコネクタ20に設けられた連結係止部に対して弾性的な嵌合関係になされるようになっている。
【0046】
[相手コネクタについて]
一方、嵌合の相手コネクタであるリセプタクルコネクタ20は、図21図25に示されているように、印刷配線基板(図示省略)上に載置される平面略矩形状をなすベース状枠体からなる絶縁ハウジング21を有しているとともに、その絶縁ハウジング21の中心部分に、信号伝送用の信号コンタクト部材22が装着されているとともに、その信号コンタクト部材22に対して半径方向の外方側を環状に取り囲むようにして接地用のグランドコンタクト部材23が装着されている。
【0047】
[信号コンタクト部材の構成について]
信号コンタクト部材22は、所定の薄厚金属部材から形成されたものであるが、上述した絶縁ハウジング21の略中心に相当する位置に、中空円筒形状をなすコンタクト接続部22aが上方に立ち上がるように配置されているとともに、そのコンタクト接続部22aの下端部から外方側に向かって基板接続脚部22bが延出している。絶縁ハウジング21の略中心部分に配置されたコンタクト接続部22aの内部側には、前述したプラグコネクタ10の信号コンタクト部材12にピン形状をなすように設けられたコンタクト接続部12dが嵌め込まれ、両者が弾性的に接触することによって電気的な接続が行われる構成になされている。
【0048】
また、上述したように信号コンタクト部材22のコンタクト接続部22aから延出している基板接続脚部22bは、絶縁ハウジング21の底面に沿って延在する帯板状部材から形成されており、絶縁ハウジング21の一端縁から外方側に向かって突出している。この基板接続脚部22bの外方側突出部分または当該基板接続脚部22bの全体は、図示しない印刷配線基板上に形成された信号伝送用の信号導電路に対して半田接合される。
【0049】
[グランドコンタクト部材の構成について]
一方、グランドコンタクト部材23も、例えば所定の薄厚金属板の折り曲げ部材から形成されており、略円筒状の中空形状をなすように形成されたグランド本体部を有しているとともに、当該円環状をなすグランド本体部の外周部分における下縁には、図示を省略した複数のグランド接続脚部が半径方向の外方側に向かって一体的に延出するように設けられている。これらのグランド接続脚部は、図示しない印刷配線基板上に形成されたグランド接続用のグランド導電路に対してそれぞれ半田接合される。
【0050】
このような構成を有する本実施形態によれば、同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaに対して信号コンタクト部材12のケーブル接続部12bを接続するにあたって、信号コンタクト部材12のケーブル接続部12bを構成するケーブル挿入片12cが、同軸ケーブルSCのケーブル軸方向に沿って内部に挿入される工程が行われる。従って、同軸ケーブルSCの端末処理、すなわちケーブル中心導体(信号線)SCaやケーブル外部導体(シールド線)SCbを取り囲んでいるケーブル誘電体SCcや外周被覆材SCdを剥ぎ取るストリップ工程を行うことなく、信号コンタクト部材12の接続が行われることとなり、同軸ケーブルSCに対して信号コンタクト部材12を接続するにあたっての工程が大幅に簡素化される。また、信号コンタクト部材12のケーブル接続部12bが、ケーブル中心導体(信号線)SCaを切断するケーブル軸に直交する方向への移動が行われないので、細線状をなすケーブル中心導体(信号線)SCaを切断させるおそれがなくなる。
【0051】
特に、本実施形態によれば、同軸ケーブルSCのケーブル外部導体(シールド線)SCbに対してシールドシェル(グランドコンタクト部材)13を接続するにあって、一対のケ一ブル接続腕部13c,13cの間に同軸ケーブルSCの端末部分を配置した状態で、それら一対のケ一ブル接続腕部13c,13c同士を互いに近付けるように変形させることで、ケーブル破断片13dが同軸ケーブルSCの外方側から押し付けられることとなり、同軸ケーブルSCのケーブル外部導体(シールド線)SCbに対するシールドシェル(グランドコンタクト部材)13の接続工程が、同軸ケーブルSCのケーブル外部導体(シールド線)SCbを取り囲んでいる外周被覆材SCdを剥ぎ取るストリップ工程を行うことなく容易かつ効率的に行われるようになっている。
【0052】
このときのケ一ブル接続腕部13c,13cの曲げ変形は、シェル蓋部13bに設けられた一対の第1固定保持板13b3,13b3を曲げ変形することによって効率的かつ容易に行われることとなるが、その第1固定保持板13b3,13b3の曲げ変形力によってケ一ブル接続腕部13c,13cが外方側から強固に締め付けられる。その結果、グランドコンタクト部材としてのシールドシェル13と、同軸ケーブルSCのケーブル外部導体(シールド線)SCbとの接続が良好に行われる。また、そのときの第1固定保持板13b3,13b3による締め付け力は、同軸ケーブルSCのケーブル中心導体(信号線)SCaと接続状態にあるケーブル挿入片12cの周囲部分も圧迫することとなるから、ケーブル挿入片12cとケーブル中心導体(信号線)SCaとの接続も良好に行われる。
【0053】
また、同軸ケーブルSCの端末部分が、ケーブル受け部13eに接触して保持されながらシールドシェル(グランドコンタクト部材)13の接続が行われるため、同軸ケーブルSCのケーブル外部導体(シールド線)SCbに対するシールドシェル(グランドコンタクト部材)13の接続が安定的に行われる。
【0054】
さらに、本実施形態によれば、シェル蓋部(グランド蓋部)13bに設けられた第1固定保持板13b3,13b3を、曲げ変形させることによってケ一ブル接続腕部13c,13cの曲げ変形が容易に行われるが、そのような第1固定保持板13b3,13b3の曲げ変形が終了した時点で、両ケ一ブル接続腕部13c,13cに設けられたケーブル受け部13e,13e同士が当接して第1固定保持板13b3,13b3の曲げ変形が規制されることから、第1固定保持板13b3,13b3の過大な変形が確実に防止される。
【0055】
一方、上述した第1の実施形態と同一の構成部材に対して同一の符号を付した図26及び図27に示された第2の実施形態は、同軸ケーブルSCの端末部分をプラグコネクタ10に連結するにあって、同軸ケーブルSCに対する端末処理を部分的に行うようにしたものである。すなわち、本実施形態では、外周被覆材SCd及びケーブル外部導体(シールド線)SCbの端末部分に対する引き剥がし(皮剥き)が行われることによって、ケーブル中心導体(信号線)SCaの外周側に積層されたケーブル誘電体SCcを外方に露出させるようにしている。このようにすれば、信号コンタクト部材12のケーブル挿入片12cを同軸ケーブルSCに差し込むにあたって、ケーブル外部導体(シールド線)SCbが同軸ケーブルSCから引き剥がされているため、そのケーブル外部導体(シールド線)SCbにケーブル挿入片12cが接触するおそれがなくなり、電気的接続工程における短絡等が確実に回避される。
【0056】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本実施形態は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもない。
【0057】
例えば、上述した実施形態においては、垂直嵌合型の電気コネクタに本発明を適用したものであるが、水平嵌合型の電気コネクタに対しても同様に適用することができる。
【0058】
さらに、本発明は、上述した実施形態のような単芯の同軸ケーブル用コネクタに限定されることはなく、多極状に配置された同軸ケーブル用コネクタや、同軸ケーブルと絶縁ケーブルとが複数混合したタイプの電気コネクタ等についても同様に適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように本実施形態は、各種電気機器に使用される多種多様な電気コネクタに対して広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 プラグコネクタ
11 絶縁ハウジング
11a 絶縁本体部
11b 絶縁挿入部
12 信号コンタクト部材
12a コンタクト本体板
12b ケーブル接続部
12c ケーブル挿入片
12d コンタクト接続部
13 シールドシェル(グランドコンタクト部材)
13a シェル本体部
13a1 シェル挿入部
13b シェル蓋部(グランド蓋部)
13b1 繋ぎ部材
13b2 前方カバー部
13b3 第1固定保持板
13b4 第2固定保持板
13c ケ一ブル接続腕部
13d ケーブル破断片
13e ケーブル受け部
20 リセプタクルコネクタ(相手コネクタ)
21 絶縁ハウジング
22 信号コンタクト部材
22a コンタクト接続部
22b 基板接続脚部
23 グランドコンタクト部材
SC 同軸ケーブル
SCa ケーブル中心導体(信号線)
SCb ケーブル外部導体(シールド線)
SCc ケーブル誘電体
SCd 外周被覆材
図1
図2
図3
図4
図5
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