(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
起動後に室温が初期目標温度に達し、さらにその状態が一定時間継続した場合に目標温度が初期目標温度から第一補正目標温度に変更され、さらに室温が第一補正目標温度に達したことを条件の一つとして目標温度が第一補正目標温度よりも低温の第二補正目標温度に変更され、必要に応じてさらに一回以上、目標温度が再補正目標温度に変更され、室温検知手段の検知温度が変更後の補正目標温度となる様に加熱源を制御するエコ運転機能を備え、
目標温度がいずれかの補正目標温度に変更された状態で温風暖房装置が停止し、さらにその後の一定時間内に温風暖房装置が再起動された場合、停止直前の補正目標温度を目標温度とする状態が維持され、且つ室温が当該補正目標温度に達したことを条件の一つとして目標温度が次の補正目標温度に変更されることを特徴とする請求項1又は2に記載の温風暖房装置。
【背景技術】
【0002】
筐体内にバーナと送風ファンが内蔵され、バーナで火炎を発生させ、発生した燃焼ガスを送風ファンが供給する空気で希釈して筐体の外部に放出する構造の温風暖房装置が知られている。
多くの温風暖房装置は、使用者が希望する温度を設定入力する目標温度入力スイッチを有している。また多くの温風暖房装置は、室内温度を検知する室内温度センサーと、制御装置とを備えている。そして室内温度センサーが検知する室温が、目標温度入力スイッチによって設定された目標温度と一致する様に、バーナの燃焼量や送風ファンの送風量が制御される。
【0003】
例えば使用者が18℃を希望し、目標温度入力スイッチで18℃を設定したと仮定し、その際における室内温度センサーの検知温度が仮に10℃であったならば、バーナ及び送風ファンは、フル能力(100パーセント出力)で運転され、室温を18℃に近づけようとする。
温風暖房装置がオンオフ制御を採用するものであるならば室温が目標温度に達した段階でバーナの燃焼が停止する。また温風暖房装置が比例制御を採用するものであるならば燃焼量を落とした状態でバーナを燃焼し続け、室温を18℃に維持する。
【0004】
温風暖房装置は、この様に使用者が希望する温度を目標温度としてバーナの燃焼量や送風ファンの送風量が制御されることが原則であるが、室温が使用者が設定入力した目標温度に達し、さらに温風暖房装置の運転が継続して相当の時間が経過したことを条件として、目標温度を下方に修正する機能を備えたものがある(特許文献1)。
この機能は、「エコ運転機能」と称され、体感温度を減ずることなく、燃料の消費量を倹約するものである。なお特許文献1では同一の機能を「セーブ運転機能」と称している。
即ち、暖房装置を起動して室内温度が希望する温度に達し、さらに相当の時間が経過すると、部屋の壁や調度の温度が上昇し、さらにこれらが相当の熱エネルギーを保有することとなる。また室内に居る使用者についても、体が温まっている。そのため、室温が多少下がったとしても、体感温度は大きく変わらず、寒さを感じることは少ない。
「エコ運転機能」は、この様な人間工学的な観点から発明されたものであり、設定入力した目標温度(以下 初期目標温度と称する場合がある)に達し、その後に時間が経過したことを条件として、目標温度を下方に修正し、燃焼量を低下し、省エネルギーを図る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の温風暖房装置は、「エコ運転機能」と称される機能により、室温が初期目標温度に達し、さらに後に時間が経過した場合には、目標温度が下方に修正される(以下 補正目標温度と称する場合がある)。
しかしながら、従来技術の温風暖房装置は、一旦運転が停止した場合には「エコ運転機能」の履歴情報が消え、再度運転を開始した場合には、当初の目標温度入力スイッチで入力された初期目標温度を目標温度としてバーナの燃焼量や送風ファンの送風量が制御される。
即ち従来技術の温風暖房装置では、運転停止前に「エコ運転機能」が働き、目標温度が下方に修正された状態でバーナ等が制御されていたとしても、再起動時にその情報が生かされず、再起動した場合には、常に初期目標温度を目標としてバーナの燃焼量や送風ファンの送風量で制御が開始される。
【0007】
そのため、使用者が電源コードを足に引っかけてコンセントが抜けてしまい、気づいた使用者が直ちにコンセントを入れ直して温風暖房装置を再起動した様な場合であっても、初期目標温度を目標としてバーナの燃焼量や送風ファンの送風量が制御が開始される。即ち温風暖房装置が意図せずに停止し、その直後に温風暖房装置を再起動した場合は、室内の壁や調度が相当の熱エネルギーを保有しており、且つ使用者の体も十分に温まっているから、補正目標温度を目標としてバーナ等の制御が開始されるべきであるが、従来技術の温風暖房装置ではそうはならず、初期目標温度を目標として制御が開始されてしまう。
【0008】
また再起動後は、停止直前の目標温度(補正目標温度)よりも高い温度(初期目標温度)を目標温度として制御されるので、室内の温度が、停止直前の温度よりも上昇することとなる。ここで使用者の体は、既に低温側の補正目標温度に慣れており、室温が高温側の初期目標温度になると、却って暑さを感じてしまう。
同様の問題は、温風暖房装置をタイマー運転していてタイマーの計時時間が満了し、温風暖房装置が停止してしまい、その直後に温風暖房装置を再起動した場合にも発生する。また落雷等によって短時間の停電が発生し、停電が解消した後に温風暖房装置を再起動した場合にも発生する問題である。
【0009】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、「エコ運転機能」を備えた温風暖房装置を改良するものであり
、温風暖房装置が停止した場合に備え、停止直前の運転条件に応じて再起動後の目標温度を決定する機能を備えた温風暖房装置を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、室内に設置される温風暖房装置であって、加熱源と、送風ファンと、室温を検知する室温検知手段と、室温検知手段の検知温度が所定の目標温度となる様に加熱源を制御する温度制御手段とを有し、温風暖房装置の起動時における目標温度を初期目標温度とし、室温検知手段の検知温度が初期目標温度となる様に加熱源が制御され、室温が初期目標温度に達したことを条件の一つとして目標温度が初期目標温度よりも低温の補正目標温度に変更され、室温検知手段の検知温度が補正目標温度となる様に加熱源を制御するエコ運転機能を備えた温風暖房装置において、
手動入力によって温風暖房装置が停止する時期を定めるタイマー及び/又は長時間に渡って連続的に使用された場合に自動的に運転を停止するタイマーを有し、エコ運転機能によって目標温度が初期目標温度から補正目標温度に変更された後に、
前記タイマーによって温風暖房装置が停止し、さらにその後の一定時間内に温風暖房装置が
手動によって再起動された場合、前記補正目標温度以上であって前記初期目標温度未満の目標温度となる様に加熱源が制御されることを特徴とする温風暖房装置である。
【0011】
本発明の温風暖房装置は、「エコ運転機能(セーブ運転機能と同義)」を備えており、室温が希望室温に達したことを条件の一つとして目標温度が初期目標温度よりも低温の補正目標温度に変更される。
ここで本発明の温風暖房装置では、エコ運転機能によって目標温度が初期目標温度から補正目標温度に変更された後に温風暖房装置が停止し、さらにその後の一定時間内に温風暖房装置が再起動された場合、補正目標温度以上であって初期目標温度未満の目標温度となる様に加熱源が制御される。そのため前記した様に温風暖房装置が意図せずに停止し、直後に温風暖房装置を再起動した場合、初期目標温度よりも低い温度を目標として加熱源が制御される。
【0012】
請求項2に記載の発明は、使用者が希望する室温を入力する希望室温入力手段を有し、起動時においては希望室温入力手段によって入力された希望室温を初期目標温度とし、エコ運転機能によって目標温度が初期目標温度から補正目標温度に変更された後に温風暖房装置が停止し、さらにその後の一定時間内に温風暖房装置が再起動された場合、前記補正目標温度を目標温度とする状態を維持し、室温検知手段の検知温度が補正目標温度となる様に加熱源が制御されることを特徴とする請求項1に記載の温風暖房装置である。
【0013】
本発明では、温風暖房装置が再起動されたとき、停止する直前の運転条件で制御が開始される。そのため、使用者に違和感を感じさせない。
【0014】
本発明の参考例は、タイマーによって温風暖房装置の運転を停止する機能を備え、温風暖房装置が停止する原因には、少なくとも前記タイマーによる停止、及び温風暖房装置に対する電力供給が遮断されたことによる停止が含まれる
ことである。
【0015】
タイマーの例として、停止時刻を規定するタイマーや、運転時間を規定するタイマーがある。これらのタイマーは、使用者が積極的に設定するタイマーである。またタイマーの他の例として、消し忘れを防止するためのタイマーがある。
この例は、請求項1,2の発明をより具体化したものであり、発明の実施を容易にするものである。
【0016】
請求項3に記載の発明は、起動後に室温が初期目標温度に達し、さらにその状態が一定時間継続した場合に目標温度が初期目標温度から第一補正目標温度に変更され、さらに室温が第一補正目標温度に達したことを条件の一つとして目標温度が第一補正目標温度よりも低温の第二補正目標温度に変更され、必要に応じてさらに一回以上、目標温度が再補正目標温度に変更され、室温検知手段の検知温度が変更後の補正目標温度となる様に加熱源を制御するエコ運転機能を備え、目標温度がいずれかの補正目標温度に変更された状態で温風暖房装置が停止し、さらにその後の一定時間内に温風暖房装置が再起動された場合、停止直前の補正目標温度を目標温度とする状態が維持され、且つ室温が当該補正目標温度に達したことを条件の一つとして目標温度が次の補正目標温度に変更されることを特徴とする請求項1
又は2に記載の温風暖房装置である。
【0017】
本発明の温風暖房装置は、目標温度の補正を複数回に渡って行うことができる温風暖房装置である。そして本発明の温風暖房装置では、例えば第一補正目標温度に変更された後に温風暖房装置が停止し、その後の一定時間内に温風暖房装置が再起動された場合には、前述した様に第一補正目標温度を目標として加熱源の制御が開始される。加えて本発明では、運転停止前の状態がそのまま引き継がれ、室温が第一補正目標温度に達したことを条件の一つとして目標温度が第二補正目標温度に変更される。
また第三、第四の補正目標温度を持つ構成を採用する場合であれば、例えば第二補正目標温度に変更された後に温風暖房装置が停止し、その後の一定時間内に温風暖房装置が再起動された場合には、第二補正目標温度を目標として加熱源の制御が開始される。加えて本発明では、運転停止前の状態がそのまま引き継がれ、室温が第二補正目標温度に達したことを条件の一つとして目標温度が第三補正目標温度に変更される。
また、請求項4に記載の発明は、エコ運転機能によって目標温度が初期目標温度から補正目標温度に変更された場合、加熱源の出力の上限が規制され、変更後の補正目標温度が、さらに低い補正目標温度である第二補正目標温度に変更された場合、加熱源の出力の上限がさらに規制されてより低く抑制されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温風暖房装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の温風暖房装置は、停止直前の運転条件に準じて再起動後の目標温度を決定する機能を備えている。そのため本発明の温風暖房装置は、使用者に寒さを感じさせるといった不都合がなく、消費エネルギーを低減することができる。また本発明の温風暖房装置は、再起動後に暑さを感じさせることもない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の温風暖房装置1は、室内の床上に載置して使用するガスファンヒーターであり、
図1に示されるように、略直方体状の筺体2を備えている。そしてこの筺体2に、燃焼ケース3、送風ファン4、制御装置5、室温検出用サーミスタ(室温検知手段)6等が内蔵されている。
そしてこの温風暖房装置1は、図示しない給電系統(例えば、電源プラグ付きコードとコンセント)から電力が供給されて、送風ファン4等の各機器及び制御装置5等が駆動される。
【0021】
筺体2の下部には、
図1のよう筺体側排気口20が設けられている。また筺体2の天面には操作パネル10が設けられている。操作パネル10は、運転スイッチ8、希望室温入力スイッチ(希望室温入力手段)11,12及びエコ運転切り換えスイッチ13、タイマー設定スイッチ16を含む各種入力装置と、表示装置15とによって構成されている。
ここで運転スイッチ8は、暖房運転を開始又は停止するためのスイッチである。
希望室温入力スイッチ11は、温度上昇側スイッチであり、一回押すごと、あるいは押し続けることによって希望室温が上昇するものである。希望室温入力スイッチ12は、温度降下側スイッチであり、一回押すごと、あるいは押し続けることによって希望室温が降下するものである。
表示装置15には、前記した希望室温入力スイッチ11,12によって入力された希望室温が表示される。
エコ運転切り換えスイッチ13は、エコ運転を行わしめるか否かを選択するスイッチである。
【0022】
タイマー設定スイッチ16は、手動によって温風暖房装置1が停止する時期を定めるスイッチである。
より具体的に説明すると、本実施形態では、温風暖房装置1の運転時間を規定することができる。即ち運転開始からタイマーに設定した時間が経過すれば、自動的に温風暖房装置1が停止する。
またタイマー設定スイッチ16によって停止時刻を規定することもできる。即ち運転タイマーは、例えば時刻を認識する時計であり、運転タイマーに設定した時刻になると、自動的に温風暖房装置1が停止する。
なお本実施形態の温風暖房装置1は、これらの手動で入力するタイマーの他に、消し忘れを防止するタイマーも内蔵されている。このタイマーは、工場から出荷時に予め時間が設定された固定タイマーであり、温風暖房装置1が長時間に渡って連続的に使用された場合に、自動的に運転を停止するタイマーである。このタイマーは、本実施形態では、5時間から10時間程度の時間に設定されている。
【0023】
前記した操作パネル10は、筺体2の内部の制御装置5と接続されており、使用者が各種入力装置によって入力した情報を制御装置5へ送信することができる。また、制御装置5から送信された情報を表示装置15で表示可能となっている。
【0024】
燃焼ケース3は、略直方体状の箱体であり、
図2で示されるように、バーナ17、熱電対18、点火プラグ19等によって構成される燃焼用機構が内蔵されている。そして、このバーナ17には図示しないガス供給路が接続されている。
ガス供給路には、電磁弁(図示せず)及び流量制御弁(図示せず)が設けられており、電磁弁を開くことによってバーナ17に燃料ガスが供給される。また供給されるガスの量は、流量制御弁によって増減制御される。即ち本実施形態の温風暖房装置1は、擬似的な比例制御によって燃焼量を制御するものである。より具体的には、流量制御弁は、複数段階に開度が設定されており、目標温度と室温との偏差に応じて開度を段階的に変化させ、バーナ17に供給する燃料ガスの量を増減する。
【0025】
燃焼ケース3の下端近傍には送風ファン4が内蔵されている。即ち、燃焼ケース3の下部はファンケースを構成するものであり、燃焼ケース3はファンケース一体型の燃焼ケースとなっている。
送風ファン4は、DCファンであり、羽根車の回転数(回転速度)を変更することができ、温風暖房装置1から吹き出される風量が増減するようになっている。
【0026】
燃焼ケース3の前面下部には、ケース側排気口22が設けられている。ケース側排気口22は、筺体2の筺体側排気口20と連通している。
燃焼ケース3の背面側には、
図2で示されるように、燃焼ケース3の内部に一次空気及び二次空気を供給するためのケース側吸気口23が設けられている。
【0027】
制御装置5は、温風暖房装置1を制御するマイコン(図示せず)を備えた制御基板を有しており、温風暖房装置1の各部の動作を制御するものである。
【0028】
具体的には、制御装置5は、温風暖房装置1の各種温度センサ(サーミスタ)等からの信号を取得可能であり、筺体2の内部の温度、温風暖房装置1が設置されている部屋の室温等の温度情報、各部の動作に係る運転条件情報等を取得可能となっている。そして、取得した情報に基づいて温風暖房装置1の各部の制御が行われる。
即ち制御装置5は、室温検出用サーミスタ(室内温度検出手段)6によって温風暖房装置1が設置された室内の温度を監視し、室温検出用サーミスタ6で検知された温度が所定の目標温度となる様に、バーナ17に供給するガス量や、送風ファン4の回転数を制御する。
本実施形態では、制御装置5と図示しない流量制御弁等によって加熱源を制御する温度制御手段が構成されている。
また本実施形態に特有の構成として、制御装置5は、現状の運転条件を記憶する記憶手段を備えている。また特有の構成として、制御装置5は、バーナ17の燃焼量の上限を規制するプログラムを有している。
【0029】
次に、本実施形態に示す温風暖房装置1の動作の概要について説明する。
本実施形態の温風暖房装置1は運転スイッチ8を操作することによって、温風暖房装置1の起動及び停止を行うことができる。またエコ運転切り換えスイッチ13がオンされていれば、後記する目標温度変更条件が揃うことによりエコ運転が自動的に開始される。そしてエコ運転切り換えスイッチ13がオンされていれば、エコ運転の開始に伴ってバーナ17に供給するガス量の上限が規制され、燃焼量に制御上の上限が設けられる。
【0030】
順次説明すると、運転スイッチ8がオンされると、送風ファン4が起動すると共にバーナ17に点火される。そしてバーナ17から発生する燃焼ガスに大量の空気が混合され、温風となった空気が筺体側排気口20から筺体2の外部へ吹き出される。
このように本実施形態の温風暖房装置1では、室内の空気を取り込み、加熱して吹き出すことにより室内温度を上昇させることができる。
【0031】
また制御装置5は、温風暖房装置1が暖房運転状態にあるとき、室温検出用サーミスタ6によって室内温度を継続的に取得する。即ち、温風暖房装置1が暖房運転している間、制御装置5は一定の時間ごとに(又は常に)室内温度を取得する動作を実施する。
そして燃焼運転中においては、取得した室内温度と所定の目標温度とを比較し、比較した結果に基づいてバーナ17に対するガス供給量が増減される。即ちバーナ17に対するガス供給量が擬似的に比例制御される。より具体的には室温検出用サーミスタ6によって検知された室内温度が、所定の目標温度に一致する様に、バーナ17に対するガス供給量が段階的に増減され、送風ファン4の回転速度が調整される。
【0032】
ここで本実施形態では、運転スイッチ8をオンし、それまで停止状態にあった温風暖房装置1を起動させると、原則として、希望室温入力スイッチ11,12によって入力された希望室温を初期目標温度としてバーナ17等が制御される。
例えば、前回、温風暖房装置1を使用し、この使用を終了した時刻から相当の時間が経過し、室温が例えば10℃に低下している様な場合であって、希望室温入力スイッチ11,12によって入力された温度が18℃である様な場合には、
図3のタイムチャートの様に、バーナ17及び送風ファン4がフル能力(100パーセント出力)で運転され、筺体側排気口20から温風を吹き出して室温を18℃に近づけようとする。
【0033】
そして温風暖房装置1が設置された場所が、通常の換気状態の室内であるならば、数分の後には室内の温度が初期目標温度たる18℃に至る。
本実施形態の温風暖房装置1は、前記した様にバーナ17の燃焼量を偏差に応じて段階的に変更するものであるから、
図3のタイムチャートの様に、バーナ17の出力が自動的に低下され、弱い火力でバーナ17が燃焼して室内の温度を希望室温たる18℃の近傍に維持する。送風ファン4についても同様であり、回転数がしだいに低下する。
【0034】
ここで本実施形態の温風暖房装置1にはエコ運転切り換えスイッチ13があり、エコ運転を行う場合には、一定の目標温度変更条件下で目標温度が下方に修正される。またバーナ17の出力の上限が規制される。
【0035】
即ち本実施形態の温風暖房装置1において、エコ運転が選択されている場合には、室内の温度が初期目標温度たる18℃の近傍あるいはそれ以上を維持し、この状態が一定時間以上継続した場合には、バーナ17等を制御するための目標温度が、補正目標温度に変更される。即ち室内の温度が初期目標温度に達したことを条件の一つとし、さらに初期目標温度たる18℃の近傍あるいはそれ以上を一定時間以上維持したことを条件として目標温度が、補正目標温度に変更される。
ここで「一定時間」は、使用者の体が温まるのに必要な時間であり、かつ壁や調度が相当の熱量を保有するに至る時間である。具体的には、「一定時間」は、20分から60分程度である。
【0036】
本実施形態では、初期目標温度を18℃と仮定し、室内の温度が18℃近傍である状態が、30分以上継続した場合に、希望室温入力スイッチ11,12によって入力された初期目標温度から1度減じた温度が新たな目標温度としてバーナ17等が制御される。即ち17℃を第一補正目標温度としてバーナ17等が制御される。
【0037】
また本実施形態の温風暖房装置1は、エコ運転が開始されたこと、あるいはエコ運転の開始条件が揃ったことを上限変更条件とするものであり、目標温度が補正目標温度に変更されたことを契機として バーナ17の出力の上限が規制され、最高出力が、1割程度抑制される。即ち初期目標温度を目標としてバーナ17が制御されていた際には、当然にバーナ17の発熱能力の上限を出力の上限としてバーナ17が運転される。即ち室内の温度が目標温度に対して十分に低い場合には、バーナ17は自己の発熱能力の100パーセントの出力で燃焼する。そして室内の温度が目標温度に近づくと、発熱量を徐々に減少させて室温を目標温度に維持しようとする。
ここで本実施形態の温風暖房装置1では、目標温度が初期目標温度から第一補正目標に補正された後は、仮に室内の温度が目標温度(第一補正目標温度)に対して十分に低い温度となったとしても、バーナ17は自己の発熱能力の100パーセントを発揮せず、例えば発熱能力の90パーセントの出力で燃焼する。
本実施形態の温風暖房装置1は、前記した様に、流量制御弁の開度が複数段階に設定されており、目標温度と室温との偏差に応じて流量制御弁の開度を段階的に変化させ、バーナ17に供給する燃料ガスの量を増減する構成を採用している。そのため、例えば、バーナ17の出力が十段階に設定され、通常は、第一段階から第十段階まで出力を変化させることができるが、目標温度が初期目標温度から第一補正目標に補正された後は、第一段階から第九段階までの間で出力を段階的に変化させることとなる。
【0038】
また室内の温度が第一補正目標温度たる17℃近傍を維持し、この状態が一定時間以上継続した場合には、バーナ17や送風ファン4等を制御するための目標温度が、第二補正目標温度に変更される。
より具体的に説明すると、室内の温度が第一目標温度たる17℃近傍である状態が30分以上継続した場合は、現状の第一目標温度からさらに1℃減じた温度が新たな目標温度として設定され、バーナ17等が制御される。即ち16℃を新たな第二補正目標温度としてバーナ17や送風ファン4等が制御される。
【0039】
そのためバーナ17の出力の上限がさらに規制され、最高出力が、さらに1割程度抑制される。即ち第一補正目標温度を目標としてバーナ17が制御されていた際には、発熱能力の90パーセントを上限として段階的に増減制御が行われていたものが、目標温度が第一補正目標温度から第二補正目標温度に補正された後は、仮に室内の温度が目標温度(第二補正目標温度)に対して十分に低い温度となったとしても、バーナ17は自己の発熱能力の90パーセントを発揮せず、例えば発熱能力の80パーセントの出力で燃焼する。
本実施形態の温風暖房装置1では、第一段階から第九段階まで出力を変化させることができていたものが、目標温度が初期目標温度から第二補正目標に補正された後は、第一段階から第八段階までの間で出力を段階的に変化させることとなる。
【0040】
また本実施形態に特有の機能として、温風暖房装置1が停止し、その直後に再起動された場合には、停止直後の運転条件が継続される。
即ち本実施形態の温風暖房装置1は、前記した様に現状の運転条件を記憶する記憶手段を備えており、温風暖房装置1が停止した場合には、停止直前の運転条件が記憶として残されている。そのため温風暖房装置1が停止し、その直後に再起動された場合には、記憶手段から停止前の運転条件を読み出し、停止直前の運転条件で運転が再開される。
【0041】
即ち
図3に示す様に、仮に第二補正目標温度を目標として運転されている際に、コンセントの引き抜けや運転タイマーの計時満了等によって温風暖房装置1が停止すると、現在の目標温度が第二補正目標温度であることが記憶手段の記憶に残る。またバーナ17出力の上限がフル能力の80パーセントであることが記憶手段の記憶に残る。
落雷等による停電が発生した場合も同様であり、現在の目標温度とバーナ17の出力の上限が記憶手段の記憶に残る。
【0042】
そして例えば使用者がコンセントが抜けたことに気づいてコンセントを差しなおし、あるいはタイマーの満了に気づいて時間を再設定し、運転スイッチ8を再度オンして停止状態にあった温風暖房装置1を起動させると、記憶手段から停止直前の運転条件を読み出し、第二補正目標温度を目標温度としてバーナ17等が増減制御される。またバーナ17出力の上限がフル能力の80パーセントに制限される。
そのため本実施形態の温風暖房装置1によると、再起動した後に、室温が過度に上昇することが無く、燃料消費が抑制される。また使用者に暑さを感じさせない。
【0043】
本実施形態では、温風暖房装置1が停止し、その直後に再起動された場合に停止直後の運転条件が継続されるが、「直後」とは、室温や使用者の体感温度が低下するまでの短い時間を意味する。具体的には、タイマーで一定時間が測定され、その時間が経過するまでの間に温風暖房装置1が再起動された場合に限って停止前の運転条件を継続させる。
即ち本実施形態では、温風暖房装置1が停止した後、タイマーが計時する一定時間内に温風暖房装置1が再起動された場合に、停止前の運転条件に準じて制御を開始する。この「一定時間」は、経験則によって定められ、10分以内、あるいは5分以内程度が妥当である。
【0044】
また先に説明した例では、第二補正目標温度を目標として運転されている際に、コンセントの引き抜け等が発生した場合について説明したが、第一補正目標温度を目標として運転されている際に運転が停止された場合についても同様であり、記憶手段から停止直前の運転条件を読み出し、第一補正目標温度を目標温度としてバーナ17等が増減制御され、バーナ17出力の上限がフル能力の90パーセントに制限される(
図4参照)。
また第一補正目標温度を目標として運転されている際に運転が停止された場合には、さらに第一補正目標温度で運転されていた時間の記録についても継続される。
即ち、第一補正目標温度を目標とし、さらに室温が第一補正目標温度以上であった状態が10分存在した場合、その10分が引き継がれ、残る20分の間、室温が第一補正目標温度以上であれば、目標温度が第二補正目標温度に変更される。そのため本実施形態の温風暖房装置1によると、再起動した後に、室温が過度に上昇することが無く、燃料消費が抑制される。
なお第一補正目標温度で運転されていた時間の記録を継続するか否かは、任意であり、これを継承しない方が望ましい場合もある。また先の運転時間から一定時間を引いたり、一定の割合だけを加算する方法も考えられる。
【0045】
次に、温風暖房装置1が外乱を受けた場合について説明する。
温風暖房装置1が起動されてある程度の時間が経過すると、エコ運転機能によって目標温度が低下する。そして本実施形態の温風暖房装置1は、擬似的な比例制御が採用されているから、室内温度が安定している状態であるならば、バーナ17や送風ファン4は、
図3、
図4、
図5に示すタイムチャートの様に、能力の数割程度の低出力で定常運転される。
この状態のときに、例えば部屋の扉が開かれて人の出入りがあると、
図5の様に室温が急激に低下することとなる。そのため、目標温度と室温との差が大きくなり、バーナ17や送風ファン4に大出力を出すことが要求される。即ち本実施形態では、出力が複数段階に設定されているから、図示しない流量制御弁の開度が一段階またはそれ以上に開く様に要求される。
【0046】
ここで本実施形態の温風暖房装置1では、エコ運転機能によって目標温度を低下させるのに連動して、バーナ17の出力の上限が規制されている。即ち
図5のタイムチャートに示す様に、第一補正目標温度を目標として運転されている際には、バーナ17の出力の上限が制御上、90パーセントに規制されている。
そのため本実施形態では、大きな外乱があって、室温が急激に低下しても、バーナ17の出力はその能力の90パーセントを超えず、バーナ17の燃焼量や、これに連動する送風ファン4の回転数が過度に上昇することはない。従ってたとえ外乱があっても、送風ファン4の運転音が急に大きくなることはなく、使用者を驚かせることはない。
即ち本実施形態の温風暖房装置1は、バーナ4の発熱量には制御上の上限があり、目標温度となる様に加熱源の発熱量を増減する際には前記上限を越えない範囲で発熱量が調整され、エコ運転機能によって目標温度が初期目標温度から補正目標温度に変更された場合には、前記加熱源の発熱量の上限が下方に修正されるものであるから、外乱があっても、送風ファン4の運転音が急に大きくなることはなく、使用者を驚かせることはない。
【0047】
以上説明した実施形態では、温風暖房装置1が停止し、その直後に再起動された場合には、停止直後の運転条件がそのまま継続されることとした。即ち停止直前に、第二補正目標温度を目標としてバーナ17等が制御されていた場合であれば、再起動された際も第二補正目標温度を目標としてバーナ17等を制御することとした。
しかしながら、再起動後の目標温度は、必ずしも停止直前のそれと同一である必要はなく、多少違っていてもよい。即ち、目標温度が初期目標温度から第一補正目標温度に変更された後、あるいは第二補正目標温度に変更された後に、温風暖房装置1が停止し、その直後に再起動された場合には、停止直前の補正目標温度以上であって、初期目標温度未満の温度を目標としてバーナ17等を制御すれば、本発明の作用効果を発揮し得る。
【0048】
図6は、停止直前の補正温度以上であって、初期目標温度未満の温度を目標としてバーナ17等を制御した例を示すタイムチャートであり、第二補正目標温度に変更された後に、温風暖房装置1が停止し、その直後に温風暖房装置1が再起動した際、第二補正目標温度と第一補正目標温度の間の温度を新たな目標温度としてバーナ17等が制御されている。
また停止時間に応じて再起動後の目標温度を変更してもよい。
【0049】
以上説明した実施形態では、第一補正目標温度は、初期目標温度に対して1度低い温度であり、第二補正目標温度は、第一補正目標温度に対してさらに1度低い温度とした。しかしながらこの下げ幅は任意である。また上記した本実施形態では、目標温度を2回に渡って低下させたが、低下回数についても任意である。
しかしながら、体感温度に変化を感じない程度に目標温度を低下させることが必要であり、低下させる際の下げ幅は、0.5℃から2℃であることが望ましい。また最大の下げ幅は、3℃以下であることが望ましい。
【0050】
また以上説明した実施形態では、バーナ17の出力の上限を、バーナ17の能力の90パーセントに絞り、さらにその後80パーセントに制限した。
しかしながら、バーナ17の出力の上限値についても、これに限定されるものではなく、これよりも緩い上限設定であってもよく、これよりも厳しい上限設定であってもよい。上限を決定する指針として、送風ファン4が発生する音量と、負荷との関係を考慮することが推奨される。即ち送風ファン4が発生する音は、負荷に比例するものではなく、能力の上限に近づくと加速度的に発生音が大きくなる傾向がある。即ち、能力の100パーセントあるいは過負荷状態で送風ファン4を運転すると、大きな騒音を発する。しかしながら、能力の50パーセントで送風ファン4が運転されている場合と、能力の80パーセントで運転されている場合とでは、発生する音量に大差が無い場合が多い。
そこで、バーナ17の出力の上限値は、送風ファン4が発生する音が、急峻に増大する回転領域よりも下にすることが望ましい。常識的には、能力の70パーセントから90パーセント程度に上限を設定すればよい。
あるいは過負荷状態で運転すると、大きな騒音を発する。しかし制御上、送風ファン4の運転能力が80パーセントに規制されている。
【0051】
以上、ガスファンヒーターを例に本発明の実施形態を説明したが、本発明は、ガスファンヒータに限定されるものではなく、石油ファンヒータにも応用できる。即ち先の実施形態では、ガスバーナを加熱源として採用したが、灯油バーナを加熱源として採用するものであってもよい。
さらに電気ヒータや、ヒートポンプを加熱源とするものにも応用可能である。
【0052】
また以上説明した実施形態では、バーナ17の出力を段階的に変化させたが、バーナ17の出力を無段階に変化させてもよい。即ちバーナ17を比例制御してもよい。