(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記茎葉切断装置(61)が左右一対の茎葉切断刃(60a)、(60b)を備え、前記左右一対の茎葉切断刃(60a)、(60b)のうちの一方の茎葉切断刃(60a)にアクチュエーター(146)が取り付けられ、他方の茎葉切断刃(60b)は非駆動とされるとともに、回転センサ(145)が取り付けられており、前記アクチュエーター(146)が、前記回転センサ(145)が検出した前記他方の茎葉切断刃(60b)の回転数と同じ回転数で、前記一方の茎葉切断刃(60a)を回転させ、
根菜類収穫制御判定装置(120)が、根菜作物が収穫、販売に適したものではないと判定したときに、前記アクチュエーター(146)を駆動させないように制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の根菜類収穫機。
排葉搬送装置(65)の搬送終端部の下方に設けられ、根菜作物から切り離された茎葉部と収穫、販売に適さない根菜作物を受けて排出する回動可能な排出シュータ(71)と、
前記排出シュータ(71)を上方に付勢する付勢部材(71c)と、
前記排出シュータ(71)の下方に設けられ、収穫、販売に適さない根菜作物を回収する回収部材と、
前記回収部材が載置される載置部材とを備え、
前記排出シュータ(71)内に排出された根菜作物の重量が前記付勢部材(71c)の付勢力を上回ると、排出シュータが回動して、収穫、販売に適さない根菜作物が前記回収部材に回収されるように構成されたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の根菜類収穫機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人参は発芽率が比較的低いため、発芽した人参が畝上に縦に並ぶように、圃場に人参の種を近接して蒔くのが通常であるが、人参の種を近接して蒔くと、初期の段階で、隣り合った人参がくっついて、二股や三股になったりし、形状が異常になったりする場合が少なくなく、また、収穫した人参に傷が付いていたり、収穫した人参の色が異常であったり、収穫した人参が腐敗していたりする場合もある。
【0005】
したがって、特許文献1に記載された根菜類収穫機のフレコンバッグには、選別搬送装置を通過中に取り除かれなかった作物が全て投入されるが、投入された作物の中には、作業者が見落とした形状の異常なものや、傷や腐敗があるもの、色が異常なものなど、商品としての収穫、販売に適さない作物が混在しており、こうした作物は、選別作業中や出荷前の箱詰め作業中に取り除く必要があるが、その分、作業時間や労力が余分にかかるという問題がある。
【0006】
また、こうした作物を選別搬送装置で搬送中に、作業者が取り除こうとすると、作業者の労力が大幅に増大してしまう問題があり、作業速度によっては、一人の選別作業者だけでは選別が追いつかなくなるという問題がある。
【0007】
したがって、本発明は、収穫作業中や後工程の選別作業中において、形状が異常な作物、色素が異常な作物、著しい傷がある作物や腐敗した作物など、収穫、販売に適さない作物を除外する作業をする必要がなく、作業能率の向上および省力化を図ることができる根菜類収穫機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本発明の前記目的は、
根菜作物を圃場から引き抜く引抜搬送装置(24)と、
前記引抜搬送装置(24)から根菜を引き継いで、根菜作物の肩の位置を揃える肩揃え装置(54L、54R)と、前記肩揃え装置で肩揃えした根菜作物の茎葉部を切断する茎葉切断装置(61)と、前記茎葉切断装置の下流側に配置され、根菜作物の茎葉部を把持し、機外に搬送する排葉搬送装置(65)と、茎葉部を切断されて落下する根菜作物を受け、根菜作物の残葉を処理しながら搬送する残葉処理装置(E)と、残葉処理装置から根菜作物を引き継いで収容部に搬送する選別搬送装置
(F)を備えた根菜類収穫機であって、さらに、肩揃え装置(54L、54R)の下方に位置し、根菜作物を撮像し、画像データを生成する撮像装置(110)と、前記撮像装置(110)によって生成された根菜作物の画像データに基づき、根菜作物が収穫、販売に適したものか否かを判定し、根菜作物が収穫、販売に適したものではないと判定したときに、前記茎葉切断装置(61)を作動させないように制御する根菜類収穫制御判定装置(120)を備えたことを特徴とする根菜類収穫機によって達成される。
【0009】
本明細書において、根菜作物とは、人参、大根、牛蒡など地下部の根茎・根などを食用とする野菜をいう。
【0010】
ここに、撮像装置(110)としては、CCDカメラが好ましく用いることができる。
【0011】
本発明によれば、撮像装置(110)によって、根菜作物を撮像して、根菜作物の画像データを生成し、得られた根菜作物の画像データに基づいて、根菜類収穫制御判定装置(120)が、根菜作物が収穫、販売に適したものか否かを判定し、根菜作物が収穫、販売に適したものではないと判定したときには、茎葉切断装置(61)を作動させないように制御しているから、肩揃え装置(54L、54R)以降の工程で、形状が異常な根菜作物、色が異常な根菜作物、著しく傷ついた根菜作物、腐敗した根菜作物など、収穫、販売に適さない根菜作物を選別して、回収する作業が不要になり、作業効率を大幅に向上させ、大幅な省力化を図ることができる。
【0012】
また、本発明によれば、根菜類収穫制御判定装置(120)によって、収穫、販売に適したものではないと判定された根菜作物は、その茎葉部が切断されることなく、排葉搬送装置(65)によって機外に搬送されるから、収穫、販売に適さない根菜作物を搬送するための搬送路を別途設ける必要がなく、構成が複雑化し、部品点数が増大することを防止しつつ、作業効率を大幅に向上させ、大幅な省力化を図ることが可能になる。
【0013】
請求項2に記載の本発明の好ましい実施態様においては、根菜類収穫機が、さらに、機体の走行速度を操作する走行操作部材(13)と、前記走行操作部材(13)の操作量を検出する操作検出部材(125)とを備え、前記根菜類収穫制御判定装置(120)が、前記操作検出部材(125)の検出値にしたがって、前記
撮像装置(110)のシャッタ(113)の操作間隔を変更するように構成されている。
【0014】
本発明のかかる好ましい実施態様によれば、機体の走行速度に応じて、撮像装置(110)のシャッタ(113)の操作間隔を変化させることができるように構成されているから、機体の走行速度が変化しても、根菜作物の画像を確実に生成することができ、根菜作物が収穫、販売に適したものであるか否かを精度よく判定することが可能になる。
【0015】
請求項3に記載の本発明の好ましい実施態様においては、前記撮像装置(110)が前記肩揃え装置(54L、54R)の下方に位置し、根菜類収穫機が、さらに、前記肩揃え装置(54L、54R)の上方に、左右の無端ベルト(103L,103R)によって根菜作物の茎葉部を挟持し、回転させつつ、搬送する回転搬送装置(100)を備え、前記左右の無端ベルト(103L,103R)を駆動する左右の駆動プーリ(101L、101R)の周速が異なっている。
【0016】
本発明の好ましい実施態様によれば、撮像装置(110)が肩揃え装置(54L、54R)の下方に設けられているので、撮像装置(110)によって、肩の位置が揃えられた根菜作物を撮像することができ、根菜作物の本体部の所望の部分を撮像するために、撮像装置(110)の位置を調整する機構を設ける必要がなく、また、回転搬送装置(100)によって、根菜作物が挟持され、回転されるから、撮像装置(110)によって、根菜作物の周面の画像を生成することができ、したがって、根菜類収穫機の機構を複雑化させることなく、根菜作物が収穫、販売に適したものであるか否かを精度よく判定することが可能になる。
【0017】
請求項4に記載の本発明の好ましい実施態様においては、
左側駆動プーリ(101L)と
右側駆動プーリ(101R)の径が異なっており、
左側駆動プーリ(101L)および
右側駆動プーリ(101R)の駆動力が、前記排葉搬送装置(65)の伝動軸から伝達されるように構成されている。
【0018】
本発明のかかる好ましい実施態様によれば、単に、左側の駆動プーリ(101L)と右側の駆動プーリ(101R)との径を異ならせるというきわめて簡単な構成で、回転搬送装置(100)が、根菜作物の茎葉部を挟持して、回転しつつ、搬送することができ、また、駆動プーリ(101L)および駆動プーリ(101R)の駆動力が、排葉搬送装置(65)の伝動軸から伝達されるように構成されているから、構成が複雑化し、部品点数が増加することを確実に防止することが可能になる。
【0019】
請求項5に記載の本発明の好ましい実施態様においては、前記茎葉切断装置(61)が左右一対の茎葉切断刃(60a)、(60b)を備え、前記左右一対の茎葉切断刃(60a)、(60b)のうちの一方の茎葉切断刃(60a)にアクチュエーター(146)が取り付けられ、他方の茎葉切断刃(60b)は非駆動とされるとともに、回転センサ(145)が取り付けられており、前記アクチュエーター(146)が、前記回転センサ(145)が検出した他方の茎葉切断刃(60b)の回転数と同じ回転数で、前記一方の茎葉切断刃(60a)を回転させ、根菜類収穫制御判定装置(120)が、根菜作物が収穫、販売に適したものではないと判定したときに、前記アクチュエーター(146)を駆動させないように制御するように構成されている。
【0020】
本発明のかかる好ましい実施態様によれば、回転センサ(145)によって検知された他方の茎葉切断刃(60b)の回転数と同じ回転数で、アクチュエーター(146)が一方の茎葉切断刃(60a)を回転させるように構成され、茎葉部を切断するときのみに、一方の茎葉切断刃(60a)および他方の茎葉切断刃(60b)が同じ回転数で回転するから、一方の茎葉切断刃(60a)および他方の茎葉切断刃(60b)が過度の回転数で回転し、アクチュエーター(146)を停止しても、一方の茎葉切断刃(60a)および他方の茎葉切断刃(60b)が慣性で回転し、収穫、販売に適さない根菜作物の茎葉部を切断してしまい、収穫、販売に適さない根菜作物が収穫、販売に適した根菜作物とともに回収されることを防止することができる。
【0021】
また、本発明のかかる好ましい実施態様によれば、収穫、販売に適さない根菜作物が、肩揃え後に、左右一対の茎葉切断刃(60a)、(60b)に接触しても、アクチュエータ(146)が停止しているため、根菜作物の茎葉部は左右一対の茎葉切断刃(60a)、(60b)に接触する外延部のみが切断されるに過ぎないので、収穫、販売に適さない根菜作物の茎葉部を無端ベルトで挟持して、搬送をすることができる。
【0022】
請求項6に記載の本発明のさらに好ましい実施態様においては、根菜類収穫機は、さらに、引抜搬送装置(24)に設けられ、前後方向に作動する駆動ソレノイド(147)と、前記駆動ソレノイド(147)と前記左右一対の茎葉切断刃(60a)、(60b)のうちの一方の茎葉切断刃を連結するリンクアームとを備え、前記根菜類収穫制御判定装置(120)が、収穫、販売に適さない根菜作物であると判定された場合に、駆動ソレノイド(147)に通電して、駆動ソレノイド(147)を伸張させて、前記左右一対の茎葉切断刃(60a)、(60b)のうちの一方を機体外部に移動させるとともに、前記アクチュエーター(146)の作動を停止させ、所定時間経過後に、前記駆動ソレノイド(147)への通電を停止して、前記駆動ソレノイド(147)を収縮させ、前記左右一対の茎葉切断刃(60a)、(60b)のうちの一方を元の位置に復帰させるように構成されている。
【0023】
本発明のかかる好ましい実施態様によれば、収穫、販売に適さない根菜作物が茎葉切断装置(61)を通過するときには、左右一対の茎葉切断刃(60a)、(60b)のうちの一方の茎葉切断刃が機体外部に移動されているので、収穫、販売に適さない根菜作物の茎葉部が茎葉切断装置(61)によって切断されることを防止することができ、したがって、収穫、販売に適さない根菜作物の茎葉部が茎葉切断装置(61)によって切断されて、収穫、販売に適さない根菜作物が収穫、販売に適した根菜作物とともに回収されることにより、収穫、販売に適さない根菜作物を、収穫、販売に適した根菜作物とは別に回収するための作業者の労力が軽減される。
【0024】
また、本発明のかかる好ましい実施態様によれば、左右一対の茎葉切断刃(60a)、(60b)のうちの一方が機体外部に退避している間は、アクチュエータ(146)が作動されないから、根菜作物の茎葉部が茎葉切断刃(60a)、(60b)に触れて切断されることが防止され、収穫、販売に適さない根菜作物の茎葉部が茎葉切断装置(61)によって切断されて、収穫、販売に適さない根菜作物が収穫、販売に適した根菜作物とともに回収されることをより一層防止することができる。
【0025】
さらに、本発明のかかる好ましい実施態様によれば、駆動ソレノイド(147)への通電が停止されると、アクチュエータ(146)が作動可能になり、機体外部に退避している左右一対の茎葉切断刃(60a)、(60b)のうちの一方は元の位置に戻っている間に、回転し始めるので、収穫、販売に適した根菜作物の茎葉部を切断することができ、作業者が手作業で残った茎葉部を除去する作業が不要となる。
【0026】
請求項7に記載の本発明のさらに好ましい実施態様においては、排葉搬送装置(65)の搬送終端部の下方に設けられ、根菜作物から切り離された茎葉部と収穫、販売に適さない根菜作物を受けて排出する回動可能な排出シュータ(71)と、前記排出シュータ(71)を上方に付勢する付勢部材(71c)と、前記排出シュータ(71)の下方に設けられ、収穫、販売に適さない根菜作物を回収する
回収部材と、前記
回収部材が載置される載置部材とを備え、前記排出シュータ(71)内に排出された根菜作物の重量が前記付勢部材の付勢力を上回ると、排出シュータ(71)が回動して、収穫、販売に適さない根菜作物が前記
回収部材に
回収されるように構成されている。
【0027】
本発明のかかる好ましい実施態様によれば、排出シュータ(71)が回動自在に構成され、付勢部材(71c)で上方に付勢することにより、根菜作物から切り離された茎葉部だけが、排葉搬送装置(65)から排出されるときには、茎葉部を作物が植生していない位置に移動させることができるので、収穫作業時に茎葉部が絡み付くことを防止することができる。
【0028】
また、本発明のかかる好ましい実施態様によれば排出シュータ(71)内に排出された根菜作物の重量が所定重量、即ち付勢部材(71c)の付勢力を越えたときには、排出シュータ(71)が下方に回動して、根菜作物を
回収部材内に落下させることができ、圃場に収穫、販売に適さない根菜作物が撒き散らされることを防止して、回収作業や鋤き込み作業を不要にすることができる。
【0029】
請求項8に記載の本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記回収部材が前記載置部材の側方に左右方向に配置され、隣り合った前記回収部材の間に空間部が形成され、前記空間部が前記排出シュータ(71)の排出端部の下方に位置し、前記回収部材に回収された収穫、販売に適さない根菜作物の収容量を検出する収容量センサが設けられ、前記収容量センサが、前記回収部材内に
回収された収穫、販売に適さない根菜作物の収容量が所定量以上のときに、警報を発する報知手段を備えている。
【0030】
本発明のかかる好ましい実施態様によれば、載置部材の側方に、収容部材を左右方向に配置したことにより、収穫、販売に適さない根菜作物を満載した次
回収部材を機体上に積載しておくことができるので、
回収部材に所定量以上の収穫、販売に適さない根菜作物が
回収されるたびに、
回収部材を機体から積みおろす必要がなく、作業能率を向上させ、作業者の労力を軽減することが可能になる。
【0031】
また、本発明のかかる好ましい実施態様によれば、さらに、
回収部材に所定量以上の収穫、販売に適さない根菜作物が
回収されたときに、報知装置から警報が発せられるから、作業者が収容部材に所定量以上の収穫、販売に適さない根菜作物が
回収され
たことを知ることができ、収容部材から作物があふれることを防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、収穫作業中や後工程の選別作業中において、形状が異常な作物、色素が異常な作物、著しい傷がある作物や腐敗した作物など、収穫、販売に適さない作物を除外する作業をする必要がなく、作業能率の向上および省力化を図ることができる根菜類収穫機を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好ましい実施態様につき、図面を参照しつつ説明を加える。
【0035】
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる人参収穫機の略側面図であり、
図2は略平面図、
図3はその略背面図である。
【0036】
図1ないし
図3に示されるように、人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体の左右方向に対して一方の側で、圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、収穫部Cから人参を引き継いで、機体後方に搬送しながら、茎葉部を切断する茎葉切断部Dと、茎葉切断部Dから落下する人参を受けて、人参の本体部側に残った茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する残葉処理部Eと、残葉処理部Eから人参を引き継いで、人参を機体後側へ搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fと、選別搬送部Fから排出される人参の収容部材を配置する収容部Gとから構成されている。
【0037】
本明細書においては、人参収穫機の前進方向を基準にして、「左」、「右」、「前」、「後」という。
【0038】
人参収穫機の走行部Aは、以下のように構成されている。
【0039】
図1に示されるように、機体フレーム1の下方に、機体前部側の左右の駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右の従動輪3,3と、左右の駆動スプロケット2,2と左右の従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4,4・・・の周りに、左右の無端ベルト5,5が巻回されて、左右のクローラ6L,6Rが構成されている。左右のクローラ6L,6Rの左右の駆動スプロケット2,2が、エンジン(図示せず)の動力が伝動されるミッションケース8から左右両側に延出させた左右のドライブシャフト9,9に取り付けられ、一定の左右間隔を設けて、左右のクローラ6L,6Rが機体フレーム1に取り付けられている。
【0040】
また、人参収穫機の操縦部Bの構成は、以下のとおりである。
【0041】
図1および
図2に示されるように、機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム10が取り付けられ、操縦部フレーム10には操縦座席11が取り付けられるとともに、その機体前側に操縦パネル12が設けられている。操縦パネル12には、機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー13と、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー14が取り付けられている。
【0042】
操縦部Bがこのように構成され、変速操作レバー13や昇降操作レバー14のような1本で複数の操作を行うことができる操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため、操縦者の作業を軽減することができる。
【0043】
人参収穫機の収穫部Cは、以下のように構成されている。
【0044】
図1および
図2に示されるように、左右の引抜フレーム15,15の機体前側に、左右の従動プーリ16,16が回転自在に装着され、左右の引抜フレーム15,15の機体後側に、左右の駆動プーリ17,17が装着されている。左右の従動プーリ16,16と左右の駆動プーリ17,17との間に、人参を引き抜き、機体後部へと搬送する左右の挟持搬送ベルト18,18が巻き掛けられるとともに、複数のテンションローラ19…によって、左右の挟持搬送ベルト18,18を張圧して、左右の挟持搬送ベルト18,18の機体内側面を互いに圧接させて、人参の引抜搬送経路が構成されている。
【0045】
さらに、機体フレーム1の上方に、横軸21を回動支点として、上下方向に回動自在な回動フレーム20が取り付けられ、回動フレーム20の後端部に、左右の駆動プーリ17,17に駆動力を伝動する伝動ケース22が、回動支点Xを中心として、上下回動自在に取り付けられている。また、機体フレーム1と回動フレーム20とは、昇降シリンダ23によって連結され、昇降シリンダ23を操縦部Bで操作可能に取り付けて、引抜搬送装置24が構成されている。
【0046】
また、引抜搬送装置24の前方に、人参の茎葉部を引き起こす縦引き起し装置25と、縦引き起し装置25が引き起こした茎葉部を掬い上げる横引き起し装置26と、横引き起し装置26の前部に設けられた分草杆27と、ハンドル29を回すと、上下方向に伸縮する伸縮ロッド30の下端部に設けられた引抜搬送装置24の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪31と、エンジンの駆動力で回転するシャフト32の回転によって振動する振動フレーム33に取り付けられた人参の左右の土を振動によってほぐす左右の振動ソイラ34,34とが設けられている。
【0047】
さらに、引抜搬送通路の下方に、引抜搬送装置24によって搬送されている人参のひげ根を切断する尻尾切装置35が取り付けられて、収穫部Cが構成されている。
【0048】
収穫部Cをこのように構成し、機体前側に分草杆27を備えた横引き起し装置26と、縦引き起し装置25を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業をすることができ、収穫する人参の視認性が向上するので、引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため、作業能率を向上させることができる。また、左右振動ソイラ34,34などが人参に接触して、人参が傷つけられることを防止することができるので、人参の商品価値を向上させることができる。
【0049】
さらに、ハンドル29を回すと上下方向に伸縮する伸縮ロッド30の下端部に、ゲージ輪31を設けたことによって、ゲージ輪31を圃場面に接地させると、それ以上引抜搬送装置24が下降しなくなるので、操縦者の操縦ミスや予期せぬ地面の凹凸によって、引抜搬送装置24の下端部が圃場面に接触して破損することが防止される。
【0050】
また、機体フレーム1と、左右横軸21を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレーム20とを、昇降シリンダ23により連結し、昇降シリンダ23を操縦部Bの昇降操作レバー14を操作することによって伸縮させる構成としているので、昇降操作レバー14の操作により、収穫部C全体の上下高さを調節することができ、したがって、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節するとともに、圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて、引抜搬送始端部の位置調節を行うことができ、人参の抜き残しが防止されるので、作業能率が向上する。
さらに、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
【0051】
本実施態様にかかる人参収穫機の茎葉切断部Dは、人参の茎葉部の根元上下位置を揃えるための左右一対の肩揃え装置54L、54Rと、茎葉部を切断するための左右一対の茎葉切断装置61、61と、切断後の排葉を残葉処理部Eへ搬送する排葉搬送装置65および残葉搬送装置70とによって、以下のように構成されている。
【0052】
図4は、
図1に示された人参収穫機の排葉搬送装置65および残葉搬送装置70の近傍の略要部側面図である。
【0053】
図4に示されるように、伝動ケース22に駆動力を伝動する左右の伝動軸36,36が取り付けられ、左右の伝動軸36,36の上部に、左右の伝動ケース37,37が取り付けられている。左右の伝動ケース37,37内には、複数のギアを噛み合わせて構成される左右の第一のギアユニット38,38が、機体前側に向かって取り付けられている。また、伝動ケース22の内部の左右の伝動軸36,36に、左右の第2ギアユニット39,39が機体後側に向かって、取り付けられ、左右の第二のギアユニット39,39の後端部に、左右の第一の出力軸40,40が機体上方に向けて軸着されている。
【0054】
また、左右の第一のギアユニット38,38の前端部に、左右の第二の出力軸41,41が機体下方に向けて軸着され、左右の第二の出力軸41,41には、左右の肩揃え駆動スプロケット42,42が軸着されている。
【0055】
図4に示されるように、左右の伝動ケース37,37の前下部には、左右の肩揃えフレーム43,43が取り付けられている。
【0056】
図5は、
図1に示された人参収穫機の肩揃え装置54L、54Rの下側から見た略平面図である。
【0057】
図5に示されるように、肩揃えフレーム43,43には、左右の肩揃え従動スプロケット45,45を軸着した左右の回転軸45a,45aが取り付けられている。
【0058】
また、肩揃え従動スプロケット45,45と肩揃え駆動スプロケット42,42との前後間でかつ肩揃え駆動スプロケット42,42よりも機体内側位置に、左右の肩揃えテンションスプロケット47,47が回転自在に取り付けられている。さらに、肩揃えテンションスプロケット47,47、肩揃え駆動スプロケット42,42および肩揃え従動スプロケット45,45に、左右の肩揃えチェーン48,48が無端状に巻回されている。
【0059】
左右の肩揃えチェーン48,48を構成する複数の構成体に、左右の肩揃えチェーン48,48の上部と下部と人参の茎葉部の接触面を覆うガイドカバーである正面視コの字型の被覆部材51…が取り付けられている。
【0060】
肩揃え駆動スプロケット42,42は、肩揃え従動スプロケット45,45および肩揃えテンションスプロケット47,47よりも小径のものを用いてもよい。
【0061】
図3および
図4に示されるように、茎葉切断部Dを構成する左右一対の茎葉切断装置61、61は、左右一対の第一の茎葉切断刃60aおよび第二の茎葉切断刃60bを備え、左右一対の茎葉切断刃60a,60bのうち、機体外側の設けられた第一の茎葉切断刃60aには、電動モータなどのアクチュエーター(図示せず)が取り付けられ、他方の第二の茎葉切断刃60bは非駆動で、回転センサ(図示せず)が取り付けられている。アクチュエーターは、回転センサが検知した第二の茎葉切断刃60bの回転数と同じ回転数で、機体外側の設けられた第一の茎葉切断刃60aを回転させるように構成されている。
【0062】
収穫、販売に適さない人参が第一の茎葉切断刃60aに接触した場合には、第二の茎葉切断刃60bが回転されていることを、回転センサが検知しても、アクチュエーターは作動しないように構成されている。
【0063】
このように構成することによって、アクチュエーターはつねに、回転センサが検出した第二の茎葉切断刃60bの回転数に等しい回転数で、第一の茎葉切断刃60aを回転させるので、駆動アクチュエーターが第一の茎葉切断刃60aを過度の回転数で回転させ、その結果、慣性回転によって、切断すべきでない収穫、販売に適さない人参の茎葉部を切断してしまい、収穫、販売に適さない人参の本体部を、収穫、販売に適している人参の本体部が回収される後述する残葉処理コンベア76上に落下させることを効果的に防止することが可能になる。
【0064】
図4に示されるように、左右の第一の出力軸40,40には、左右の茎葉搬送駆動プーリ62、62が軸着され、左右の第一のギアユニット38,38よりも機体前側でかつ肩揃え装置54L、54Rの上方に、左右の茎葉搬送従動プーリ63、63が回転自在に取り付けられている。左右の茎葉搬送駆動プーリ62、62および左右の茎葉搬送従動プーリ63、63とに、左右の排葉搬送ベルト64,64を無端状に巻回することによって、引抜搬送装置24から受け渡された人参の茎葉部を、機体後方に排出する排葉搬送装置65、65が構成されている。排葉搬送装置65、65は、左右の伝動ケース37,37の上部外周でかつ引抜搬送装置24の搬送終端部側の下方に位置している。
【0065】
さらに、左右の第一の出力軸40、40の上端部に、左右の残葉搬送駆動プーリ66、66が軸着され、左右の伝動ケース37,37の上方には、左右の残葉搬送従動プーリ67,67が回転自在に取り付けられるとともに、左右の残葉搬送駆動プーリ66,66と左右の残葉搬送従動プーリ67,67との前後間に、複数の左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…が取り付けられている。さらに、左右の残葉搬送駆動プーリ66,66、左右の残葉搬送従動プーリ67,67および左右の残葉搬送テンションプーリ68,68…に左右の残葉搬送ベルト69,69が無端状に巻回されることによって、人参の茎葉部の上部を挟持して、機体後方に搬送する残葉搬送装置70が、排葉搬送装置65の上方に構成されている。
【0066】
このように、左右の肩揃え駆動スプロケット42,42が、人参の茎葉部が通過する肩揃え装置54L,54Rの左右間隔部から離間する位置に配置されているため、肩揃え駆動スプロケット42,42や第二の出力軸41,41に人参の茎葉部が絡み付いて、肩揃え装置54L,54Rが停止されるのを防止することができるので、収穫作業が中断されることが防止され、作業能率を向上させることができる。
【0067】
図1、
図2および
図3に示されるように、さらに、排葉搬送装置65と残葉搬送装置70の終端部から、茎葉切断装置61によって切断された茎葉を圃場に排出する排葉シュータ71が設けられており、以上のように、茎葉切断部Dが構成されている。
【0068】
排葉シュータ71の底面には、鉛直面内を機体に取り付けた軸71b(
図3参照)まわりに回動自在に構成された廃棄プレート71aが設けられ、該廃棄プレート71aは錘とワイヤ、スプリングなどの付勢部材71cによって上方に付勢されている。なお、該廃棄プレート71aが下方に回動した際に人参を下方に落下させるべく、前記排葉シュータ71には廃棄プレート71aと同じ形状の切欠部(図示省略)が形成される。
図3に示されるように、排葉シュータ71の下方には、左右方向に延びるコンベアベルト172が設けられ、コンベアベルト172上には、コンテナなどの複数の回収部材170が配置されている。排葉シュータ71の排出端部の下方には、隣り合った回収部材170、170の間に形成された空間部171が位置しており、人参本体部から切り離された茎葉部はこの空間部に落下し、後述する人参茎葉切断制御システムによって、収穫、販売に適さないと判定された人参が回収部材170内に落下して、回収されるように構成されている。
【0069】
すなわち、後述する人参茎葉切断制御システムによって、収穫、販売に適さないと判定された所定の数の人参が排葉シュータ71内に送られて前記廃棄プレート71a上に乗り、廃棄プレート71aに乗った人参の重量が前記付勢部材71cの上方への付勢力を越えると、廃棄プレート71aが自重によって、
図3において、時計まわりに回動し、排葉シュータ71の下方に位置しているコンテナなどの回収部材170内に、収穫、販売に適さない人参が回収されるように構成されている。
【0070】
図1および
図4に示されるように、肩揃え装置54L,54Rの上方には、人参の茎葉部を把持し、人参を回転させるとともに、人参の茎葉部を搬送する回転搬送装置100が設けられている。
【0071】
図6は、回転搬送装置100の略平面図である。
【0072】
図6に示されるように、回転搬送装置100は、機体前方左側に設けられた駆動プーリ101Lと、駆動プーリ101Lよりも小径で、駆動プーリ101Lに対して、機体後方に設けられた従動プーリ102Lと、駆動プーリ101Lおよび従動プーリ102Lに巻回された無端ベルト103Lと、機体前方右側に設けられた駆動プーリ101Rと、駆動プーリ101Rよりも小径で、駆動プーリ101Rに対して、機体後方に設けられた従動プーリ102Rと、駆動プーリ101Rおよび従動プーリ102Rに巻回された無端ベルト103Rとを備えており、駆動プーリ101Lは、駆動プーリ101Rの径よりも大きな径を有している。
【0073】
駆動プーリ101Lは反時計まわりに駆動され、駆動プーリ101Rは時計まわりに駆動されるように構成されている。
【0074】
ここに、駆動プーリ101Lおよび駆動プーリ101Rには、エンジン(図示せず)の動力が伝動される左右のドライブシャフト9,9の回転力が、排葉搬送装置65の伝動軸を介して、伝達されており、駆動プーリ101Lおよび駆動プーリ101Rは、人参収穫機の走行速度に対応する回転速度で回転されるように構成されている。したがって、人参収穫機が走行しているときは、駆動プーリ101Lおよび駆動プーリ101Rも対応する回転速度で回転されている。
【0075】
図6に示されるように、回転搬送装置100の直上流側(機体前側)には、人参の茎葉部を検出する第一のセンサ105が設けられ、回転搬送装置100の直下流側(基体後側)には、第二のセンサ106が設けられている。
【0076】
図1および
図5に示されるように、肩揃え装置54L、54Rに対して、回転搬送装置100の反対側には、無端ベルト103L、103Rに挟持された人参を撮像する撮像装置110が設けられている。撮像装置110は、CCDカメラ111と、無端ベルト103L、103Rに挟持された人参とCCDカメラ111を黒い布によって形成された暗箱112を備えている。
【0077】
回転搬送装置100および撮像装置110は、形状が異常な人参、色が異常な人参、著しい傷がある人参や腐敗した人参など、収穫、販売に適さない人参を検出するための後述する人参茎葉切断制御システムを構成している。
【0078】
図1に示されるように、引抜搬送装置24と肩揃え装置54L,54Rの搬送始端側の間には、後上り傾斜姿勢で配置された引継ガイド58が設けられ、引継ガイド58の後端部は左右方向で且つ機体外側に向けて屈曲されている。
【0079】
また、切断されなかった人参の茎葉部を処理しながら機体左右他側へ搬送する残葉処理部Eは、以下のように構成されている。
【0080】
図1および
図2に示されるように、茎葉切断装置61、61の下方に、前後両側の残葉処理フレーム72,72を設け、前後両側の残葉処理フレーム72,72の機体の左側および右側のうちの一方の側部の前後間に、図示しない第一の残葉処理ローラが回転自在に取り付けられている。また、前後両側の残葉処理フレーム72,72の機体の左側および右側のうちの他方の側部の前後間で且つ第一の残葉処理ローラよりも下方位置に、第二の残葉処理ローラ73bが回転自在に取り付けられている。そして、第一の残葉処理ローラと第二の残葉処理ローラ73bとに、ゴムやウレタン等の弾性体で構成された残葉処理ベルト74が無端状に巻回されている。さらに、残葉処理ベルト74の上部に、切断されなかった人参の茎葉部を残葉ベルト74とともに挟み込んで回転して、切除する残葉処理ローラ75が取り付けられて、茎葉切断部Dから引き継いだ人参の残葉を処理しながら、機体外側方向から左右内側方向に搬送する残葉処理コンベア76が構成されることにより、残葉処理部Eが構成されている。
【0081】
なお、残葉処理コンベア76は、機体左右の一方の側から他方の側に向けて、約2ないし5度程度傾斜している。これにより、落下した人参は残葉処理ベルト74の駆動と傾斜により移動するので、残葉処理コンベア76上で人参の移動が停止することがなく、手作業で停止した人参を動かす必要がないため、作業能率を向上させることができる。また、残葉処理コンベア76が約2ないし5度程度傾斜していることにより、機体が圃場の状態などにより、機体左右の一方の側に傾斜していても、残葉処理コンベア76は、地面に対して略水平状態に保たれるので、人参が残葉処理コンベア76上に停滞したり、残葉処理コンベア76の搬送方向とは逆方向に移動したりすることがなく、こうした人参を手作業で搬送経路に戻す必要がないため、作業能率を向上させることができる。
【0082】
残葉処理部Eから人参を引き継いで、人参を機体後側へ搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Fは以下のように構成されている。
【0083】
図1ないし
図3に示されるように、選別搬送部Fは、残葉処理コンベア76よりも機体前側で且つ下方位置に、機体左側に位置する引抜搬送装置24から引き継いだ作物を、機体右側に位置する収容部Gに搬送する搬送装置87を備えている。
【0084】
図7は、
図1に示された人参収穫機の選別搬送部の平面図である。
【0085】
図7に示されるように、搬送装置87は、搬送経路中に設けられた回動支軸150の搬送上手側に位置する第一の搬送部87aと、回動支軸150の搬送下手側に位置する第二の搬送部87bを備えている。第二の搬送部87bは、回動支軸150を中心に上下に回動するように構成されている。第一の搬送部87aには、前後両側の第一の搬送フレーム77、77が前後方向に所定間隔を開けて配置されている。第二の搬送部87bには、前後両側の第二の搬送フレーム78,78が前後方向に所定間隔を空けて配置され、第一の搬送フレーム77、77の機体内側端部(機体左右方向の他方の側端部)において、外側に配置されている。第一の搬送フレーム77、77の機体左右方向の一方の側端部には、前後両側のスプロケットである駆動回転体79,79がそれぞれ回転自在に取り付けられ、第一の搬送フレーム77、77の機体左右方向の他方の側端部に前後両側のスプロケットである中間回転体80,80がそれぞれ回転自在に且つ駆動回転体79,79よりも上方位置に取り付けられている。第二の搬送フレーム78,78の機体左右方向の他方の側端部に、前後両側のスプロケットである従動回転体81,81がそれぞれ回転自在に取り付けられている。
【0086】
また、前後両側の駆動回転体79,79、前後両側の中間回転体80,80および前後両側の従動回転体81,81には、前後両側のチェーンである伝動無端ベルト82,82がそれぞれ無端状に巻回され、中前後両側の間回転体80,80の上部に、伝動無端ベルト82,82を張圧する前後両側のスプロケットであるテンション回転体(図示省略)が、前後両側の第一の搬送フレーム77、77の伝動無端帯82,82に接触する位置に回転自在に取り付られている。
【0087】
さらに、伝動無端ベルト82,82に人参を載せて搬送するプラスチック等合成樹脂またはゴムで構成する複数の搬送バー84…が回転自在に取り付けられている。
【0088】
そして、第二の搬送フレーム78,78の左右間に支持プレート86を取り付け、支持プレート86と機体フレーム1との間に搬送装置87の第二搬送部87bの搬送終端部側を上下動させる昇降シリンダ88を伸縮自在に取り付けて、機体左右一側から左右他側に亘って人参を搬送する搬送装置87を構成する。さらに、該搬送装置87の搬送終端部の下部に、搬送装置87の搬送終端部から排出される人参を滑らせて移動させる、ゴム板や塩ビ板等の軟質部材で構成する排出シュータ89を端部が下方に垂れ下がる姿勢で取り付ける。
【0089】
また、機体フレーム1の機体左右方向の他方の側の後部で且つ搬送装置87よりも機体後側に、搬送装置87によって搬送中の人参の選別作業や搬送装置87の操作を行なう補助作業者が搭乗する搭乗ステップ90が配置され、搭乗ステップ90上で且つ搬送装置87の中間回転体80,80が配置された位置の近傍に選別作業座席91が取り付けられている。
【0090】
さらに、昇降シリンダ88を伸縮操作して、搬送装置87の搬送終端部側を上下動させる上昇踏みペダル92aと、下降踏みペダル92bとが搬送装置87の搬送経路の下方に配置されている。このように、選別作業座席91に着座した補助作業者が足で踏んで操作できる位置に、上昇踏みペダル92aと下降踏みペダル92bが配置されて、選別搬送部Fが構成されている。
【0091】
選別搬送部Fから排出される人参を収容する収容部Gは以下のように構成されている。
【0092】
図2および
図7に示されるように、搬送装置87の前後両側の第2搬送フレーム78,78の搬送方向下手側(左右方向の他方の側部)に、回動シャフト93が機体前後方向に貫通するように取り付けられ、回動シャフト93の前後両側で且つ第2搬送フレーム78,78の外側に、摩擦抵抗体94,94がそれぞれ軸着される。摩擦抵抗体94,94は皿バネやスプリングワッシャ、ゴムリング等、強い摩擦抵抗を有する部材であれば、どのようなものを用いてもよい。
【0093】
また、回動シャフト93の前後両端部に、前後両側のハンガーアーム95,95の基部側が摩擦抵抗体94,94よりも前後方向外側に設けられ、第2搬送フレーム78,78とハンガーアーム95,95との間に挟み込んだ摩擦抵抗体94,94の摩擦抵抗により、ハンガーアーム95,95が上方または下方に抵抗力以上の移動力がかかったときのみ上方、または下方に移動可能に構成されている。
【0094】
ハンガーアーム95,95の端部側に、前後方向にわたって、搬送装置87の機体前後端部よりも前後方向に突出するハンガーフレーム96が取り付けられ、ハンガーフレーム96の前後両端部に人参を収容する図示しない収容容器(フレキシブルコンテナバッグ)を前後左右の4点で引っ掛けて、吊り下げ支持する前後一対の吊下げハンガー98,98が左右方向に回動自在に取り付けられている。さらに、吊下げハンガー98,98の機体外側端部に、上方向きの逆U字型(∩型)の外側吊下げ体がそれぞれ溶着されるとともに、機体内側端部が下方向きのU字型の内側吊下げ体に溶着され、外側吊下げ体と内側吊下げ体に、収容容器を吊り下げる吊下げフックが上下移動自在に取り付けられている。
【0095】
吊下げハンガー98,98は、収容容器の上側開口部が平面視で略四角形となるように、収容容器の4箇所の角部を前後の外側吊下げ体及び前後の内側吊下げ体によって吊り下げるように構成されている。
【0096】
図8は、形状が異常な人参、色が異常な人参、著しい傷がある人参や腐敗した人参など、収穫、販売に適さない人参を検出し、収穫、販売に適する人参と別個に回収可能に構成された人参茎葉切断制御システムの制御系、検出系および駆動系のブロックダイアグラムである。
【0097】
図8に示されるように、人参茎葉切断制御システム140の制御系は、人参茎葉切断制御システム130の全体の動作を制御するコントロールユニット120と、コントロールユニット120の動作プログラムや各種基準データを格納しているROM121と、各種データを格納しているRAM122を備えている。
【0098】
人参茎葉切断制御システムの検出系は、回転搬送装置100の直上流側に設けられた第一のセンサ105と、回転搬送装置100の直下流側に設けられた第二のセンサ106と、変速操作レバー13の操作量を検出するレバー操作量検出手段125と、第二の茎葉切断刃60bに取り付けられた回転センサ145と、CCDカメラ111を備えている。
【0099】
図8に示されるように、人参茎葉切断制御システムの駆動系は、左右の駆動プーリ101L、101Rを駆動する駆動手段103と、CCDカメラ111のシャッタ113を操作するシャッタ駆動手段114と、第一の茎葉切断刃60aに取り付けられた電動モータなどのアクチュエーター146、コンベアベルト172を駆動するコンベアベルトモータ142とを備えている。
【0100】
ここに、変速操作レバー13の操作量は人参収穫機の走行速度に対応するものであり、回転搬送装置100の駆動プーリ101Lおよび駆動プーリ101Rは人参収穫機の走行速度に対応する速度で回転されるように構成されているから、回転搬送装置100の無端ベルト103Lおよび無端ベルト103Rに挟持された人参は人参収穫機の走行速度に対応する速度で回転され、したがって、所望の数の人参本体部分の画像を生成するためには、変速操作レバー13の操作量が大きいほど、CCDカメラ111のシャッタ(図示せず)を短い時間間隔で操作することが必要である。
【0101】
そのため、本実施態様においては、人参収穫機の走行速度を示す変速操作レバー13の操作量とCCDカメラ111のシャッタ操作速度との関係があらかじめ求められて、テーブルの形でROM121に格納されている。ROM121には、さらに、人参収穫機の走行速度を示す変速操作レバー13の操作量と無端ベルト64、64の移動速度との関係を示すテーブルが格納されている。
【0102】
以上のように構成された人参収穫機は、圃場から人参を引き抜いて、人参収穫機の茎葉切断部Dに送り、人参の茎葉部を切断し、排葉搬送装置65、65および残葉搬送装置70の終端部から、切断された茎葉を排葉シュータ71に搬送するように構成されている。
【0103】
圃場から引き抜かれた人参は、引抜搬送装置24の左右の挟持搬送ベルト18,18によって、その茎葉部が把持されて、引抜搬送経路内を搬送され、引継ガイド58によって、人参本体の肩が左右の肩揃えチェーン48,48に沿うようにガイドされて、人参収穫機の茎葉切断部Dに送られる。人参収穫機の茎葉切断部Dに搬送された人参は、黒い布によって構成されている暗箱112内に送られ、太陽光などの外部光から遮断される。
【0104】
茎葉切断部Dに送られた人参は、その茎葉部が無端状の左右の排葉搬送ベルト64,64によって挟持されて、左右一対の茎葉切断装置61、61に向けて、搬送される。ここに、無端状の左右の排葉搬送ベルト64,64は挟持している人参が回転可能な程度の弱い力で挟持するように構成されている。
【0105】
人参が回転搬送装置100に近接すると、回転搬送装置100の直上流側に設けられた第一のセンサ105によって人参の茎葉部が検出され、検出信号がコントロールユニット120に出力される。
【0106】
次いで、人参の茎葉部が、回転搬送装置100の左側の無端ベルト103Lおよび右側の無端ベルト103Rによって挟持される。
【0107】
上述のように、駆動プーリ101Lおよび駆動プーリ101Rには、エンジン(図示せず)の動力が伝動される左右のドライブシャフト9,9の回転力が伝達され、駆動プーリ101Lおよび駆動プーリ101Rは、人参収穫機の走行速度に対応する回転速度で回転されており、また、回転搬送装置100の左側の無端ベルト103Lが巻回されている左側の駆動プーリ101Lの径は、従動プーリ82Lの径よりも、右側の無端ベルト103Rが巻回されている右側の駆動プーリ101Rの径よりも大きく、さらに、右側の駆動プーリ101Rが従動プーリ102Rの径よりも大きな径を有しているから、左側の駆動プーリ101Lおよび右側の駆動プーリ101Rの回転にともない、無端ベルト103Lおよび無端ベルト103Rによって挟持されている人参の茎葉部が回転されつつ、左右一対の茎葉切断装置61、61に向けて搬送される。
【0108】
このように、駆動プーリ101Lおよび駆動プーリ101Rは、人参収穫機の走行速度に対応する回転速度で回転されているから、人参収穫機の走行速度が早いほど、回転搬送装置100によって回転される人参の回転速度が早くなる。したがって、人参収穫機の走行速度が早く、回転搬送装置100によって回転される人参の回転速度が早いときは、シャッタ113の操作間隔を短くしないと、所望の数の人参本体部分の画像を撮像することができず、一方、人参収穫機の走行速度が遅く、回転搬送装置100によって回転される人参の回転速度が遅いときは、シャッタ113の操作間隔を長くしないと、必要な数を越える人参本体部分の画像が撮像され、画像の解析に不必要な時間を要する結果を招く。
【0109】
そこで、本実施態様においては、人参収穫機の走行速度に応じて、CCDカメラ111のシャッタ113の操作速度を設定し、人参収穫機の走行速度が変化しても、つねに所望の数の人参本体部分の画像を生成することができるように構成されている。
【0110】
すなわち、本実施態様においては、コントロールユニット120には、変速操作レバー13の操作量を検出するレバー操作量検出手段125から、変速操作レバー13の操作量を示す操作量検出信号が入力されており、第一のセンサ105から検出信号を受けると、コントロールユニット120はROM121にアクセスして、ROM121に格納されている変速操作レバー13の操作量とCCDカメラ111のシャッタ操作速度との関係を示すテーブルから、シャッタ113を操作すべき操作速度を読み取るとともに、変速操作レバー13の操作量と無端ベルト64、64の移動速度との関係を示すテーブルに基づいて、第一のセンサ105によって検出されてから、人参がCCDカメラ111の撮影可能範囲に達するまでの時間を算出し、人参がCCDカメラ111の撮影可能範囲に達したと判定したときに、CCDカメラ111のシャッタ駆動手段114にシャッタ駆動信号を出力し、変速操作レバー13の操作量とCCDカメラ111のシャッタ操作速度の関係を示すテーブルから読み取った時間間隔で、シャッタ113を操作させる。
【0111】
その結果、回転搬送装置100によって、回転されつつ、機体後方に向けて、搬送されている人参の本体部分の画像が、人参収穫機の走行速度に対応する時間間隔で、CCDカメラ111によって撮像され、画像データが生成される。こうして生成された人参の画像データは次々に、コントロールユニット120に出力され、RAM122に格納される。
【0112】
このようにして、人参が回転して、人参本体部分の周面の必要な数の画像データがRAM122に格納されると、コントロールユニット120は、ROM121に格納されている人参の周面の基準画像データを読み出すとともに、RAM122に格納された人参本体部分の画像データを読み出して、両者を対比して、周面の画像データが生成された人参が、形状が異常な人参、色が異常な人参、著しい傷がある人参、腐敗した人参などの収穫、販売に適さない人参であるか否かを判定する。
【0113】
その結果、周面の画像データが生成された人参が、収穫、販売に適さないものではないと判定したときは、コントロールユニット120は、その旨をRAM122の所定のメモリ領域に記録する。その後、回転搬送装置100の直下流側に設けられた第二のセンサ106が人参を検出すると、人参検出信号がコントロールユニット120に入力される。
【0114】
次いで、コントロールユニット120には、非駆動の第二の茎葉切断刃60bの回転数を検出する回転センサ145からの回転数検出信号が入力され、回転センサ145からの回転数検出信号を受けると、コントロールユニット120は、アクチュエーター146に駆動信号を出力して、回転数センサ145が検知した第二の茎葉切断刃60bの回転数と同じ回転数で、第一の茎葉切断刃60aを回転させる。
【0115】
その結果、茎葉切断装置61の第一の茎葉切断刃60aおよび第二の茎葉切断刃60bによって、人参の茎葉部がその基部(根元)で切断され、人参は残葉処理部Eの残葉処理コンベア76に落下し、残葉の処理を受けながら、残葉処理コンベア76によって、機体外側方向から左右内側方向に搬送されて、販売に供される。
【0116】
これに対して、RAM122から、人参本体部分の周面の画像データを読み出して、周面の画像データが生成された人参が、形状が異常な人参、色が異常な人参、著しい傷がある人参、腐敗した人参などの収穫、販売に適さない人参であるか否かを判定した結果、その人参が、収穫、販売に適さないものであると判定したときは、コントロールユニット120はその旨をRAM122の所定のメモリ領域に記録するのみで、何の信号も出力せず、したがって、人参は、左右の排葉搬送ベルト64,64によって搬送されて、その茎葉部が切断されることなく、左右一対の茎葉切断装置61、61を通過し、茎葉部が付いたまま、排葉シュータ71内に送られる。
【0117】
他方、茎葉切断装置61、61によって切断された人参の茎葉部は、左右の排葉搬送ベルト64,64に挟持されて、排葉シュータ71内に回収され、圃場に排出される。
【0118】
本実施態様においては、排葉シュータ71は、鉛直面内を機体に取り付けた軸71bまわりに回動する廃棄プレート71aを底面に備え、この廃棄プレート71aの回動基部側、即ち機体外側を付勢部材71cで上方に付勢することにより、人参茎葉切断制御システムによって、収穫、販売に適さないと判定され、排葉シュータ71上に収納された人参の重量が付勢部材71cの付勢力よりも大きくなると、廃棄プレート71aは自重によって回動し、排葉シュータ71上に収納された人参は、コンベアベルト172上に配置されたコンテナなどの回収部材170内に落下して、回収される。
【0119】
本実施態様によれば、撮像装置110のCCDカメラ111によって、人参の本体部分の周面が撮像されて、画像データが生成され、こうして生成された画像データに基づいて、コントロールユニット120によって、形状が異常な人参、色が異常な人参、著しい傷がある人参、腐敗した人参などの収穫、販売に適さない人参であるか否かが判定され、形状が異常な人参、色が異常な人参、著しい傷がある人参、腐敗した人参などの収穫、販売に適さない人参であると判定された人参は、左右の排葉搬送ベルト64,64に挟持されて、左右一対の茎葉切断装置61、61を通過し、茎葉部が付いたまま、排葉シュータ71上に回収されるように構成され、これに対して、収穫、販売に適さないものではないと判定された人参は、茎葉切断装置61、61によって、その茎葉部が切断されて、残葉処理部Eの残葉処理コンベア76に落下し、残葉の処理を受けながら、残葉処理コンベア76によって、機体外側方向から左右内側方向に搬送されて、販売に供されるように構成されているから、選別作業中や出荷前の箱詰め作業中に、作業者が形状が異常な人参、色が異常な人参、著しい傷がある人参、腐敗した人参などの収穫、販売に適さない人参を選別して、取り除く必要がなく、したがって、作業能率を大幅に向上させ、大幅な省力化を図ることが可能になる。
【0120】
また、本実施態様によれば、形状が異常な人参、色が異常な人参、著しい傷がある人参、腐敗した人参などの収穫、販売に適さない人参であると判定された人参は、その茎葉部が切断されることなく、左右の排葉搬送ベルト64,64によって搬送されて、茎葉部が付いたまま、排葉シュータ71上に回収されるから、収穫、販売に適さない人参を搬送するための搬送路を別途設ける必要がなく、構成が複雑化し、部品点数が増大することを防止しつつ、作業効率を大幅に向上させ、大幅な省力化を図ることが可能になる。
【0121】
さらに、本実施態様によれば、撮像装置110が肩揃え装置54L、54Rの下方に設けられているので、撮像装置110によって、肩の位置が揃えられた人参を撮像することができ、人参本体の所望の部分を撮像するために、撮像装置110の位置を調整する機構を設ける必要がなく、また、回転搬送装置100によって、人参が挟持され、回転されるから、撮像装置110によって、人参の周面の画像を生成することができるから、機構を複雑化させることなく、人参が収穫、販売に適したものであるか否かを精度よく判定することが可能になる。
【0122】
また、本実施態様によれば、人参収穫機の走行速度に応じて、CCDカメラ111のシャッタ操作速度を変化させることができるように構成されているから、人参収穫機の高速で走行する場合にも、人参の画像を確実に生成することができ、人参が収穫、販売に適したものであるか否かを精度よく判定することが可能になる。
【0123】
さらに、本実施態様によれば、単に、左側の駆動プーリ101Lと右側の駆動プーリ101Rとの径を異ならせるというきわめて簡単な構成で、回転搬送装置100が、人参の茎葉部を挟持して、回転しつつ、搬送することができ、また、駆動プーリ101Lおよび駆動プーリ101Rに、エンジン(図示せず)の動力が伝動される左右のドライブシャフト9,9の回転力が、排葉搬送装置65の伝動軸を介して、伝達されるように構成されているから、構成が複雑化し、部品点数が増加することを確実に防止することが可能になる。
【0124】
図9は、本発明の別の実施態様にかかる人参茎葉切断制御システムの制御系、検出系および駆動系のブロックダイアグラムである。
【0125】
図9に示されるように、本実施態様にかかる人参茎葉切断制御システム160の制御系は、人参茎葉切断制御システム160の全体の動作を制御するコントロールユニット120と、コントロールユニット120の動作プログラムや各種基準データを格納しているROM121と、各種データを格納しているRAM122を備えている。
【0126】
人参茎葉切断制御システム160の検出系は、回転搬送装置100の直上流側に設けられた第一のセンサ105と、回転搬送装置100の直下流側に設けられた第二のセンサ106と、変速操作レバー13の操作量を検出するレバー操作量検出手段125と、第二の茎葉切断刃60bに取り付けられた回転センサ145と、CCDカメラ111とを備えている。
【0127】
図9に示されるように、人参茎葉切断制御システムの駆動系は、CCDカメラ111のシャッタ113を操作するシャッタ駆動手段114と、第一の茎葉切断刃60aに取り付けられた電動モータなどのアクチュエーター146と、引抜搬送装置24に設けられ、前後方向に作動する駆動ソレノイド147と、回転搬送装置100の駆動プーリ101L、101Rを回転させる駆動手段140と、コンベアベルト172を駆動するコンベアベルトモータ142を備えている。
【0128】
本実施態様においては、引抜搬送装置24に前後方向に作動する駆動ソレノイド147が設けられ、駆動ソレノイド147と茎葉切断装置61の第一の茎葉切断刃60aとがリンクアーム(図示せず)によって連結されている。収穫、販売に適さない人参であると判定された場合には、コントロールユニット120は、駆動ソレノイド147に通電して、駆動ソレノイド147を伸張させて、第一の茎葉切断刃60aを機体外側に移動させ、所定時間後に、駆動ソレノイド147への通電を停止して、駆動ソレノイド147を収縮させて、機体外側に移動されていた第一の茎葉切断刃60aを元の位置に復帰させるように構成されている。ここに、駆動ソレノイド147に通電されているときは、アクチュエーター146は作動されないように構成されている。
【0129】
人参茎葉切断制御システム130が収穫、販売に適さない人参と判定されると、第一の茎葉切断刃60aを機体外側に退避させるように構成されているため、収穫、販売に適さない人参が第一の茎葉切断刃60aおよび第二の茎葉切断刃60bの間を通過する際に、茎葉部が切断されて落下することを効果的に防止することができ、さらに、第一の茎葉切断刃60aが機体外側に退避している間には、アクチュエーター(図示せず)が駆動されないため、茎葉部が切断されて落下することをより確実に防止することが可能になる。
【0130】
また、駆動ソレノイド147への通電が停止されると、アクチュエーターが直ちに駆動されるから、第一の茎葉切断刃60aが回転されながら、元の位置に復帰し、したがって、収穫、販売に適さない人参であると判定されていない人参の茎葉部を確実に切断することができるから、
人参茎葉切断制御システム130によって、収穫、販売に適さない人参であると判定されていない人参が茎葉部を切断されないまま、下流側に送られ、作業者が手作業で、人参から切り離された茎葉部を除去する作業が不要となる。
【0131】
図10は、本発明の他の実施態様にかかる人参収穫機の人参排出機構の制御系、検出系および表示系のブロックダイアグラムである。
【0132】
本実施態様にかかる人参収穫機の人参排出機構の制御系は、人参排出機構の全体の動作を制御する第二のコントロールユニット180と、第二のコントロールユニット180の動作プログラムや各種基準データを格納するROM171と、各種データを格納しているRAM182を備えている。
【0133】
本実施態様にかかる人参収穫機の人参排出機構の検出系は、コンテナなどの回収部材170に回収された人参の重量を検出する人参重量センサ183を備えている。
【0134】
図10に示されるように、本実施態様にかかる人参収穫機の人参排出機構の表示系は、アラームを発する報知手段184を備えている。
【0135】
図示されてはいないが、本実施態様においては、コンベアベルト172の側方で、かつ、機体の後方に、複数のコンテナなどの回収部材170が配置され、回収部材170とコンベアベルト172の間に回収部材170が落ちない程度の幅で、圃場に連通する空間部が形成され、空間部の上方に、排葉シュータ71の排出端部が形成されている。
【0136】
本実施態様においては、茎葉切断装置61、61によって、人参の本体部が切り離された茎葉部は排葉シュータ71の排出端部を通って、回収部材170とコンベアベルト172の間に形成された空間部に排出され、圃場に排出される。
【0137】
一方、人参茎葉切断制御システム130によって、収穫、販売に適さない人参であると判定され、排葉シュータ71上に送られた人参の重量が、所定重量を越えたと人参重量センサ183が判定したときは、人参重量センサ183から警報信号がコントロールユニット180に出力される。コントロールユニット180は人参重量センサ183から警報信号が入力されると、報知手段184にアラーム信号を出力し、報知手段184にアラームを発せさせる。
【0138】
本実施態様によれば、茎葉切断装置61、61によって、収穫、販売に適した人参の本体部から切り離された茎葉部を回収部材170とコンベアベルト172の間に形成された空間部を介して、圃場に排出することができ、また、コンテナなどの回収部材170内に所定重量以上の収穫、販売に適さない人参が収容されると、報知手段184からアラームが発せられるので、作業者によって、新たな回収部材170を所望の位置に配置させることが可能になる。
【0139】
図11は、本発明の他の実施態様にかかる人参収穫機の縦引き起し装置25近傍の詳細図である。
【0140】
図11に示されるように、左右の挟持搬送ベルト18,18が巻き掛けられた左右の従動プーリ16,16には、ユニバーサルジョイント16a、16aを介して、左右の追加従動プーリ16b,16bが取付けられており、左右の追加従動プーリ16b,16bと左右の追加駆動プーリ16c,16cには、左右の追加の挟持搬送ベルト18a,18aが巻回されている。
図10において、参照番号175で示されているのは、ガイドレールである。
【0141】
本実施態様によれば、圃場から引き抜かれた人参は、追加の挟持搬送ベルト18a,18aによって挟持され、ガイドレール175によってガイドされて、人参が挟持搬送ベルト18,18にスムーズに受け渡すことを保証されている。
図10には図示されてはいないが、左右の挟持搬送ベルト18,18は外装カバーによって覆われている。したがって、茎葉部の短い人参を引き抜く場合に、挟持搬送ベルト18,18が土や石を噛み込むことを確実に防止することができるので、茎葉部の短い人参も所望のように引き抜いて、収穫することが可能になる。
【0142】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0143】
たとえば、前記実施態様においては、人参収穫機について説明を加えたが、本発明は、人参の収穫機に限定されるものではなく、大根や牛蒡などの根菜類の収穫機に適用することができる。
【0144】
また、前記実施態様においては、人参収穫機の走行速度に応じて、CCDカメラ111のシャッタ速度を無段に変化させているが、人参収穫機の走行速度に応じて、CCDカメラ111のシャッタ速度を無段に変化させることは必ずしも必要ではなく、たとえば、人参収穫機の走行速度がV1を越えているときには、シャッタの操作速度をX1秒間隔に設定し、人参収穫機の走行速度がV1以下、V2以上であるときには、シャッタの操作速度をX2秒間隔に設定し、人参収穫機の走行速度がV2未満であるときには、シャッタの操作速度をX3秒間隔に設定し、人参収穫機の走行速度に応じて、シャッタの操作速度を段階的に設定するようにしてもよい。ここに、V2≦V1、X2>X1、X3>X2である。
【0145】
さらに、前記実施態様においては、人参収穫機は残葉搬送装置70を備えているが、人参収穫機が残葉搬送装置70を備えていることは必ずしも必要でなく、残葉搬送装置70を省略することもできる。
【0146】
また、
図10に示された実施態様においては、報知手段として、アラームを発する報知手段を用いているが、アラームを発する報知手段に代えて、ランプを点灯する報知手段を用いることもできる。