特許第6233661号(P6233661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233661
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】画像形成システムおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20171113BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20171113BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20171113BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20171113BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20171113BHJP
   G06F 21/44 20130101ALI20171113BHJP
   H04N 1/44 20060101ALI20171113BHJP
   C09C 1/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   G06F3/12 338
   G06F3/12 322
   G06F3/12 386
   H04N1/00 C
   B41J29/00 Z
   B41J29/38 Z
   B41J21/00 A
   G06F21/44
   H04N1/44
   C09C1/00
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-112670(P2015-112670)
(22)【出願日】2015年6月2日
(65)【公開番号】特開2016-224828(P2016-224828A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2017年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】西野 徹也
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−281469(JP,A)
【文献】 特開平10−207661(JP,A)
【文献】 特開2005−267186(JP,A)
【文献】 特開平10−91376(JP,A)
【文献】 特開2005−352752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 21/00
B41J 29/00
B41J 29/38
C09C 1/00
G06F 21/44
H04N 1/00
H04N 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントアプリケーションおよび前記プリントアプリケーションと連携する追加アプリケーションがインストールされている画像形成装置と、
前記画像形成装置用のドライバーがインストールされている端末装置とを備え、
前記端末装置は、前記ドライバーとともにインストールされた暗号識別子を格納する記憶装置を備え、
前記ドライバーは、前記暗号識別子を含むプリント要求を前記画像形成装置へ送信し、
前記画像形成装置は、前記追加アプリケーションとともにインストールされた秘密データおよび平文識別子を格納する内蔵記憶装置を備え、
前記秘密データは、前記暗号識別子を前記平文識別子へ復号するか、前記平文識別子を前記暗号識別子へ暗号化するためのデータであり、
前記プリントアプリケーションは、前記プリント要求を受信すると、前記暗号識別子を前記追加アプリケーションに渡し、
前記追加アプリケーションは、渡された前記暗号識別子、前記秘密データ、および前記平文識別子に基づく認証処理を実行し、前記認証処理において認証に成功した場合、前記プリント要求に対応する当該追加アプリケーションの処理を実行し、
前記プリントアプリケーションは、前記認証処理において認証に成功した場合、前記プリント要求に対応する印刷処理を実行し、前記認証処理において認証に失敗した場合、前記プリント要求に対応する印刷処理を拒否すること、
を特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
追加アプリケーションプログラム、秘密データ、および平文識別子を格納する内蔵記憶装置と、
プリントアプリケーションと、
前記プリントアプリケーションから前記追加アプリケーションプログラムが呼び出されることで動作する追加アプリケーションとを備え、
前記プリントアプリケーションは、端末装置からプリント要求を受信すると、前記プリント要求に含まれる暗号識別子を前記追加アプリケーションに渡し、
前記追加アプリケーションは、渡された前記暗号識別子、前記秘密データ、および前記平文識別子に基づく認証処理を実行し、前記認証処理において認証に成功した場合、前記プリント要求に対応する当該追加アプリケーションの処理を実行し、
前記プリントアプリケーションは、前記認証処理において認証に成功した場合、前記プリント要求に対応する印刷処理を実行し、前記認証処理において認証に失敗した場合、前記プリント要求に対応する印刷処理を拒否し、
前記秘密データは、前記暗号識別子を前記平文識別子へ復号するか、前記平文識別子を前記暗号識別子へ暗号化するためのデータであること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記追加アプリケーションは、オーバーレイプリントアプリケーションであり、(a)前記追加アプリケーションプログラムとともにインストールされているフォームに、前記プリント要求により指定されたデータを重畳して得られる画像の印刷を実行するか、(b)前記追加アプリケーションプログラムとともにインストールされているコマンドに従って、前記プリント要求により指定されたデータを加工して得られる画像の印刷を前記プリントアプリケーションと連携して実行することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
仮想的にアプリケーションを実行するプラットフォームをさらに備え、
前記プリントアプリケーションおよび前記追加アプリケーションは、前記プラットフォーム上で動作すること、
を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記追加アプリケーションは、オーバーレイプリントアプリケーションであり、(a)前記追加アプリケーションプログラムとともにインストールされているフォームに、前記プリント要求により指定されたデータを重畳して得られる画像の印刷を実行するか、(b)前記追加アプリケーションプログラムとともにインストールされているコマンドに従って、前記プリント要求により指定されたデータを加工して得られる画像の印刷を、前記プラットフォーム上で動作している前記プリントアプリケーションと連携して実行することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムおよび画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成装置は、SDカード、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどのリムーバブルメディアに記憶されているデータに基づいて認証処理を実行し、認証に成功した場合、当該画像形成装置の利用を許可し、認証に失敗した場合、当該画像形成装置の利用を拒否しており、さらに、リムーバブルメディアが取り外されている状態では、当該画像形成装置の利用を拒否している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−79308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、継続的に上述の画像形成装置を使用する場合、リムーバブルメディアが装着されたままとなる。そのため、訪問者などがリムーバブルメディアを一時的に持ち去りリムーバブルメディアの不正コピーを作成することが可能となっている。したがって、画像形成装置が、本来的に利用を許可されていない者に不正利用される可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、画像形成装置の不正利用を行いにくくする画像形成システムおよび画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成システムは、プリントアプリケーションおよび前記プリントアプリケーションと連携する追加アプリケーションがインストールされている画像形成装置と、前記画像形成装置用のドライバーがインストールされている端末装置とを備える。前記端末装置は、前記ドライバーとともにインストールされた暗号識別子を格納する記憶装置を備え、前記ドライバーは、前記暗号識別子を含むプリント要求を前記画像形成装置へ送信する。前記画像形成装置は、前記追加アプリケーションとともにインストールされた秘密データおよび平文識別子を格納する内蔵記憶装置を備え、前記秘密データは、前記暗号識別子を前記平文識別子へ復号するか、前記平文識別子を前記暗号識別子へ暗号化するためのデータであり、前記プリントアプリケーションは、前記プリント要求を受信すると、前記暗号識別子を前記追加アプリケーションに渡し、前記追加アプリケーションは、渡された前記暗号識別子、前記秘密データ、および前記平文識別子に基づく認証処理を実行し、前記認証処理において認証に成功した場合、前記プリント要求に対応する当該追加アプリケーションの処理を実行し、前記プリントアプリケーションは、前記認証処理において認証に成功した場合、前記プリント要求に対応する印刷処理を実行し、前記認証処理において認証に失敗した場合、前記プリント要求に対応する印刷処理を拒否する。
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、追加アプリケーションプログラム、秘密データ、および平文識別子を格納する内蔵記憶装置と、プリントアプリケーションと、前記プリントアプリケーションから前記追加アプリケーションプログラムが呼び出されることで動作する追加アプリケーションとを備える。前記プリントアプリケーションは、端末装置からプリント要求を受信すると、前記プリント要求に含まれる暗号識別子を前記追加アプリケーションに渡し、前記追加アプリケーションは、渡された前記暗号識別子、前記秘密データ、および前記平文識別子に基づく認証処理を実行し、前記認証処理において認証に成功した場合、前記プリント要求に対応する当該追加アプリケーションの処理を実行する。前記プリントアプリケーションは、前記認証処理において認証に成功した場合、前記プリント要求に対応する印刷処理を実行し、前記認証処理において認証に失敗した場合、前記プリント要求に対応する印刷処理を拒否する。なお、前記秘密データは、前記暗号識別子を前記平文識別子へ復号するか、前記平文識別子を前記暗号識別子へ暗号化するためのデータである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置の不正利用が行いにくくなる。
【0009】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1における秘密データ22としての変換テーブルの例を示す図である。
図3図3は、図1に示す画像形成装置1の動作について説明するフローチャートである。
図4図4は、顧客ごとに異なる秘密データおよび暗号識別子について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、この画像形成システムでは、プリンター、複合機などといった画像形成装置1がネットワーク2に接続されており、そのネットワーク2にホスト装置である端末装置3が接続されている。ネットワーク2は、例えば、イントラネットなどのLAN(Local Area Network)である。ネットワーク2は、有線ネットワーク、無線ネットワーク、並びに、有線と無線が混在したネットワークのいずれでもよい。
【0013】
画像形成装置1は、プリンター11と、スキャナー12と、FAX装置13と、操作パネル14と、通信装置15と、記憶装置16と、演算処理装置17とを備える。
【0014】
プリンター11は、印刷データに基づいて文書画像を印刷する装置である。スキャナー12は、文書から文書画像を光学的に読み取り、文書画像の画像データを生成する装置である。ファクシミリ装置13は、送信すべき文書データからファクシミリ信号を生成し送信するとともに、ファクシミリ信号を受信し文書データに変換する装置である。
【0015】
また、操作パネル14は、画像形成装置1の筐体表面に配置され、ユーザーに対して各種情報を表示する表示装置と、ユーザー操作を検出する入力装置とを有する。表示装置としては例えば液晶ディスプレイが使用される。入力装置としては、ハードキー、タッチパネルなどが使用される。
【0016】
また、通信装置15は、ネットワーク2に接続可能であって、端末装置3と通信可能な装置である。通信装置15としては、例えば、ネットワークインターフェイス、モデムなどが使用される。
【0017】
また、記憶装置16は、各種プログラムおよび各種データを格納可能な装置であり、ハードディスクドライブ、不揮発性メモリーなどの不揮発性の記憶媒体が使用され、画像形成装置1に固定的に内蔵されている。
【0018】
記憶装置16には、画像形成装置1の動作に必要なプログラムおよびデータが格納されている。例えば、記憶装置16には、プラットフォーム24およびプリントアプリケーション25のプログラム(図示せず)が格納されており、さらに、追加的にインストールされる追加アプリケーション26のアプリケーションプログラム21、秘密データ22、および平文識別子23が格納される。なお、秘密データ22および平文識別子23は、サービスパーソンによって、追加インストール時に、アプリケーションプログラム21とともに内蔵の記憶装置16に格納され、画像形成装置1においてユーザーからアクセスできないように管理される。
【0019】
秘密データ22は、正規の端末装置3にインストールされる暗号識別子を平文識別子23へ復号するか、平文識別子23を、正規の端末装置3にインストールされる暗号識別子へ暗号化するためのデータである。
【0020】
秘密データ22は、暗号識別子と平文識別子23との間の変換を行う変換テーブル、暗号識別子を所定の復号方式で復号するための復号鍵、平文識別子を所定の暗号化方式で暗号化するための暗号化鍵などである。
【0021】
図2は、図1における秘密データ22としての変換テーブルの例を示す図である。図2に示す変換テーブルは、平文識別子23が、アルファベットで記述される場合の変換テーブルであり、アルファベットが1から26までの数字に対応付けられている。これにより、例えば、平文識別子23がKANSASCITYであり、図2に示す変換テーブルAが使用される場合、暗号識別子は、(11)(1)(14)(19)(1)(19)(3)(9)(20)(25)となる。
【0022】
なお、秘密データ22(あるいは平文識別子23および秘密データ22の両方)は、顧客ごとに、異なるものが使用される。
【0023】
また、演算処理装置17は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するコンピューターであり、記憶装置16などからRAMへプログラムをロードし、そのプログラムをCPUで実行することにより、各種処理部を実現する。
【0024】
画像形成装置1の起動後に、記憶装置16に格納されている図示せぬプログラムが演算処理装置17により適宜実行される。この実施の形態では、演算処理装置17により、図示せぬオペレーティングシステム、プラットフォーム24、プリントアプリケーション25、追加アプリケーション26などの処理部が実現される。
【0025】
プラットフォーム24は、仮想的にアプリケーションを実行する実行環境である。この実施の形態では、プラットフォーム24は、OSGiプラットフォームであり、JAVA(登録商標)仮想マシンを含み、プリントアプリケーション25および追加アプリケーション26は、プラットフォーム24上で動作するJAVA(登録商標)アプリケーションである。例えば、追加アプリケーション26のアプリケーションプログラム21は、バイナリー形式の中間コードである。
【0026】
プリントアプリケーション25は、コントローラーAPI(Application Program Interface)などを介して、その処理実行命令により指定される動作を図示せぬコントローラーに実行させる。これにより、図示せぬコントローラーは、プリンター11を制御して、印刷を実行する。
【0027】
追加アプリケーション26は、プリントアプリケーション25と連携し、追加機能を実現する。追加アプリケーション26は、特定の端末装置3以外の端末装置からのプリント要求を拒否するためのフィルタリングアプリケーション、オーバーレイプリント機能を追加するとともに、特定の端末装置3以外の端末装置からのオーバーレイプリント要求を拒否するためのオーバーレイプリントアプリケーションなどである。
【0028】
なお、オーバーレイプリント機能は、(a)オーバーレイプリントアプリケーションとともにインストールされる所定のフォームに対して、プリント要求により指定されたデータ(画像)を重畳させて得られる画像を印刷する機能、または、(b)オーバーレイプリントアプリケーションとともにインストールされているコマンドに従って、プリント要求により指定されたデータ(画像)を加工して得られる画像を印刷する機能である。
【0029】
プリントアプリケーション25は、(a)端末装置3からのプリント要求を受信すると、そのプリント要求から暗号識別子を抽出し、その暗号識別子を追加アプリケーション26に渡し、(b)追加アプリケーション26による認証処理において認証に成功した場合、そのプリント要求に対応する印刷処理を実行し、その認証処理において認証に失敗した場合、プリント要求に対応する印刷処理を拒否する。
【0030】
追加アプリケーション26は、プリントアプリケーション25から渡された暗号識別子、秘密データ22、および平文識別子23に基づく認証処理を実行し、その認証処理において認証に成功した場合、そのプリント要求に対応する当該追加アプリケーションの処理を実行する。
【0031】
なお、認証処理は、秘密データ22で暗号識別子を平文識別子に変換し、変換で得られた平文識別子と、平文識別子23とを比較して行うか、秘密データ22で平文識別子を暗号識別子に変換して得られる暗号識別子と、プリント要求から抽出された暗号識別子とを比較して行う。
【0032】
一方、端末装置3は、パーソナルコンピューター、携帯端末装置などである。端末装置3は、通信装置31、記憶装置32、演算処理装置33、表示装置34、および入力装置35を備える。
【0033】
通信装置31は、ネットワーク2に接続可能であって、画像形成装置1と通信可能な装置である。通信装置31としては、例えば、ネットワークインターフェイス、モデムなどが使用される。
【0034】
また、記憶装置32は、各種プログラムおよび各種データを格納可能な装置である。記憶装置32としては、ハードディスクドライブ、不揮発性メモリーなどの不揮発性の記憶媒体が使用される。
【0035】
記憶装置32は、画像形成装置1の追加アプリケーション26のアプリケーションプログラム21、秘密データ22および平文識別子23に対応する、ドライバープログラム41および暗号識別子42を格納している。ドライバープログラム41および暗号識別子42は、サービスパーソンによってインストール時に記憶装置32に格納される。
【0036】
また、演算処理装置33は、CPU、ROM、RAMなどを有するコンピューターであり、記憶装置32などからRAMへプログラムをロードし、そのプログラムをCPUで実行することにより、各種処理部を実現する。
【0037】
端末装置3の起動後に、記憶装置32に格納されている図示せぬプログラムが演算処理装置33により適宜実行される。この実施の形態では、演算処理装置33により、図示せぬオペレーティングシステム、アプリケーション51、ドライバー52などの処理部が実現される。ドライバープログラム41が実行されることでドライバー52が実現される。
【0038】
ドライバー52は、アプリケーション51からの指令に従って、プリント要求を画像形成装置1へ送信する。その際、ドライバー52は、暗号識別子42を含むプリント要求を画像形成装置1へ送信する。
【0039】
次に、上記システムにおける画像形成装置1の動作について説明する。図3は、図1に示す画像形成装置1の動作について説明するフローチャートである。
【0040】
サービスパーソンは、各顧客において、追加アプリケーション26およびその追加アプリケーション26に対応するドライバー52をインストールする際に、その顧客に固有の平文識別子および秘密データを選定し、選定した平文識別子から選定した秘密データで暗号識別子を生成し、追加アプリケーション26とともにその平文識別子および秘密データをその顧客の画像形成装置1にインストールし、ドライバー52とともにその暗号識別子を端末装置3にインストールする。
【0041】
その後、画像形成装置1では、プリントアプリケーション25が、プリント要求を受信すると(ステップS1)、特定の追加アプリケーション(つまり、上述の認証機能を有する追加アプリケーション26)がインストールされており登録されているか否かを判定し(ステップS2)、特定の追加アプリケーションが登録されている場合、受信したプリント要求に暗号識別子が含まれているか否かを判定する(ステップS3)。
【0042】
プリント要求に暗号識別子が含まれている場合、プリントアプリケーション25は、その追加アプリケーション26のAPI(Application Programming Interface)でアプリケーションプログラム21を呼び出して、その追加アプリケーション26を起動し(ステップS4)、プリント要求に含まれている暗号識別子を追加アプリケーション26へ渡す(ステップS5)。
【0043】
追加アプリケーション26は、その暗号識別子と、秘密データ22および平文識別子23とを使用して認証処理を実行する(ステップS6)。そして、追加アプリケーション26は、その認証処理の結果をプリントアプリケーション25に通知する。
【0044】
認証に成功した場合(ステップS7)、追加アプリケーション26は、追加アプリケーション26の機能(オーバーレイ機能など)を実行し(ステップS8)、プリントアプリケーション25は、追加アプリケーション26と連携して、プリント要求に対応する印刷を実行する(ステップS9)。なお、追加アプリケーション26の機能がフィルタリング機能のみである場合には、ステップS8の処理は特に必要ない。また、オーバーレイ機能の場合、アプリケーションプログラム21とともにインストールされ記憶装置16に格納されているフォーム(図示せず)を読み出し、プリント要求により指定されたデータをフォームに重畳して得られる画像が生成され印刷される。
【0045】
一方、認証に失敗した場合(ステップS7)、追加アプリケーション26は、処理を終了し、プリントアプリケーション25は、そのプリント要求を拒否し、その旨を端末装置3に通知する(ステップS10)。
【0046】
また、ステップS3において、プリント要求に暗号識別子が含まれていないと判定された場合も、プリントアプリケーション25は、そのプリント要求を拒否し、その旨を端末装置3に通知する(ステップS10)。
【0047】
なお、ステップS2において、特定の追加アプリケーション26が登録されていないと判定された場合、プリントアプリケーション25は、ただちに、プリント要求に基づく印刷処理を実行する(ステップS9)。
【0048】
図4は、顧客ごとに異なる秘密データおよび暗号識別子について説明する図である。図4に示す例では、顧客Aでは、画像形成装置1に秘密データA(例えば図2における変換テーブルA)がインストールされ、端末装置3に暗号識別子Aがインストールされている。また、顧客Bでは、画像形成装置1に、秘密データAとは異なる秘密データB(例えば図2における変換テーブルB)がインストールされ、端末装置3に暗号識別子Aとは異なる暗号識別子Bがインストールされている。したがって、例えば、顧客Bの人間が、端末装置3を携帯して顧客Aに訪問し、顧客Aにおいて、顧客Aの画像形成装置1で印刷を行おうとしても、認証に失敗するため、顧客Aの画像形成装置1で印刷を行うことはできない。
【0049】
以上のように、上記実施の形態によれば、画像形成装置1は、追加アプリケーションプログラム21、秘密データ22、および平文識別子23を格納する内蔵記憶装置16と、プリントアプリケーション25と、プリントアプリケーション25から追加アプリケーションプログラム21が呼び出されることで動作する追加アプリケーション26とを備える。プリントアプリケーション25は、端末装置3からプリント要求を受信すると、プリント要求に含まれる暗号識別子を追加アプリケーション26に渡し、追加アプリケーション26は、その暗号識別子、秘密データ22、および平文識別子23に基づく認証処理を実行し、認証処理において認証に成功した場合、プリント要求に対応する当該追加アプリケーションの処理を実行する。プリントアプリケーション25は、認証処理において認証に成功した場合、プリント要求に対応する印刷処理を実行し、認証処理において認証に失敗した場合、プリント要求に対応する印刷処理を拒否する。
【0050】
これにより、秘密データ22および平文識別子23が、画像形成装置1に内蔵されている記憶装置16に格納されており、ユーザーによって容易に読み出すことが困難であるので、画像形成装置1の不正利用が行いにくくなる。
【0051】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0052】
例えば、上記実施の形態において、アプリケーションプログラム21は、バイナリープログラムであって、秘密データ22および平文識別子23を内蔵するようにしてもよい。これにより、秘密データ22および平文識別子23の不正読み出しが行いにくくなる。その場合、例えば、サービスパーソンによってアプリケーションプログラム21が画像形成装置1にインストールされる際に、秘密データ22および平文識別子23が指定され、指定された秘密データ22および平文識別子23を含めてアプリケーションプログラム21のソースコードがコンパイルされ、アプリケーションプログラム21が生成され、インストールされる。また、例えば、ドライバープログラム41は、バイナリープログラムであって、暗号識別子42を内蔵するようにしてもよい。これにより、暗号識別子42の不正読み出しが行いにくくなる。その場合、例えば、サービスパーソンによってドライバープログラム41が端末装置3にインストールされる際に、暗号識別子42が指定され、指定された暗号識別子42を含めてドライバープログラム41のソースコードがコンパイルされ、ドライバープログラム41が生成され、インストールされる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えば、複合機などの画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 画像形成装置
3 端末装置
16 記憶装置(内蔵記憶装置の一例)
21 アプリケーションプログラム(追加アプリケーションプログラムの一例)
22 秘密データ
23 平文識別子
25 プリントアプリケーション
26 追加アプリケーション
図1
図2
図3
図4