特許第6233665号(P6233665)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233665
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】手摺付き床構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/00 20060101AFI20171113BHJP
   E04F 11/18 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   E04F15/00 101D
   E04F11/18
   E04F15/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-212642(P2015-212642)
(22)【出願日】2015年10月29日
(65)【公開番号】特開2017-82501(P2017-82501A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年2月3日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 積水ハウス株式会社、「DYNE CONCRETE LIFE IS ROY+E」、平成27年7月31日 積水ハウス株式会社、「DYNE CONCRETE LIFE IS STAGE」、平成27年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】古村 嘉浩
(72)【発明者】
【氏名】西久保 尚也
(72)【発明者】
【氏名】平井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】林 仁
(72)【発明者】
【氏名】秦 智博
(72)【発明者】
【氏名】山上 卓人
(72)【発明者】
【氏名】中谷 誠
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−184806(JP,A)
【文献】 特開2000−145072(JP,A)
【文献】 特開2014−074276(JP,A)
【文献】 実開平05−016963(JP,U)
【文献】 特開2003−041651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00−15/22
E04B 1/00
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に設けられる手摺付き床構造であって、
防水性を有するとともに屋外縁に立ち上がり部が形成されており、その上面を流れる液体を外部に排出する排水経路を有する下層床と、前記下層床から上方に離間させて設けられ、屋外縁が前記立ち上がり部の上に延びる上層床とを備える二重床部と、
前記二重床部の屋外側に配置される手摺面材と、を備え、
前記手摺面材は、該手摺面材の上部に設けられ光透過性を有する面材を固定する手摺部と、前記上層床の上面よりも下の部分に位置して前記下層床の屋外側面を覆う格子面材と、を有し、
前記手摺部は、前記面材の下端をはめ込む水平受材を設けており、
前記水平受材は、前記上層床の上面よりも低い位置に配置されることを特徴とする手摺付き床構造。
【請求項2】
前記手摺面材は、前記上層床の上面よりも上部が透明であることを特徴とする請求項1に記載の手摺付き床構造。
【請求項3】
建築物の外壁に設けられた掃き出し窓の屋外側に設けられる手摺付き床構造であって、
前記上層床の上面、前記建築物の屋内床面、及び前記掃き出し窓の下レールが略面一に形成されたフラットバルコニーであることを特徴とする請求項に記載の手摺付き床構造。
【請求項4】
前記手摺面材は、前記水平受材と前記二重床部の屋外側面との間に隙間を空けて配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の手摺付き床構造。
【請求項5】
前記水平受材と前記二重床部の屋外側面との間の前記隙間に、グレーチング蓋が設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の手摺付き床構造。
【請求項6】
建築物の2階以上の階層に設けられる手摺付き床構造であって、
前記二重床部は、前記下層床の下方に前記建築物の下階の外壁面から水平に突出する軒天井を有し、
前記手摺面材は、その下端が前記軒天井よりも下方に垂下していることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の手摺付き床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建築物に設けられるバルコニー・ベランダ・外廊下・屋上などのように、床部と手摺とを備える手摺付き床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なバルコニー等の手摺付き床構造は、床部の上面に降る雨水を屋外に排出するために、当該上面に僅かな勾配を設け、床部の屋外側の縁に設けられた側溝に雨水を流し、側溝の最も下流に排水ドレインを設けて、縦樋などに当該雨水を排水している。そして、側溝のさらに屋外側には、立ち上がり部を設けて雨水が側溝から屋外に溢れ出すことを抑制している。そして、この立ち上がり部の上に手摺の支柱や手摺壁を設置している。
【0003】
ところで、屋外側から見た場合、立ち上がり部が屋外側に露出しており、この立ち上がり部の上に手摺の支柱などが見える構成であるので、デザイン上の統一感がなく、建物全体のデザインが雑多なものとなる恐れがあった。そこで、本願の出願人は、バルコニーの立ち上がり部の上に支柱を立設するとともに、当該支柱の屋外側及びバルコニーの立ち上がり部の屋外側に格子面材を固定することで、格子面材により立ち上がり部や床部を隠して一体的で統一感のあるデザインを提案している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−74276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述の特許文献1の例においても、屋内側からは立ち上がり部が見えているので、屋内側から見た意匠性は向上されていない。また、床部の一部が立ち上がり部となることから、バルコニー等として利用できる面積は減少する。
【0006】
そこで本発明は、内部からの意匠性もよく、有効に利用できる床部の面積を広げることができる手摺付き床構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の手摺付き床構造は、建築物に設けられる手摺付き床構造であって、防水性を有するとともに屋外縁に立ち上がり部が形成されており、その上面を流れる液体を外部に排出する排水経路を有する下層床と、前記下層床から上方に離間させて設けられ、屋外縁が前記立ち上がり部の上に延びる上層床とを備える二重床部と、前記二重床部の屋外側に配置される手摺面材と、を備え、前記手摺面材は、該手摺面材の上部に設けられ光透過性を有する面材を固定する手摺部と、前記上層床の上面よりも下の部分に位置して前記下層床の屋外側面を覆う格子面材と、を有し、前記手摺部は、前記面材の下端をはめ込む水平受材を設けており、前記水平受材は、前記上層床の上面よりも低い位置に配置されることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の手摺付き床構造は、前記水平受材と前記二重床部の屋外側面との間に隙間を空けて配置されることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の手摺付き床構造は、前記水平受材と前記二重床部の屋外側面との間の前記隙間に、グレーチング蓋が設けられることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の手摺付き床構造は、前記手摺面材は、前記上層床の上面よりも上部が透明であることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の手摺付き床構造は、建築物の外壁に設けられた掃き出し窓の屋外側に設けられる手摺付き床構造であって、前記上層床の上面、前記建築物の屋内床面、及び前記掃き出し窓の下レールが略面一に形成されたフラットバルコニーであることを特徴としている。
【0014】
また、本発明の手摺付き床構造は、建築物の2階以上の階層に設けられる手摺付き床構造であって、前記二重床部は、前記下層床の下方に前記建築物の下階の外壁面から水平に突出する軒天井を有し、前記手摺面材は、その下端が前記軒天井よりも下方に垂下していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の手摺付き床構造によると、屋外縁に立ち上がり部が形成された下層床の上に上層床が立ち上がり部の上にまで延びて配置されているので、上層床により下層床及びその立ち上がり部が隠れており、上層床の上から立ち上がり部は見えない。したがって、上層床の上に立って手摺付き床構造を見た場合に、立ち上がり部がなく、上層床の屋外縁からそのまま手摺面材が立ち上がっており、意匠性を向上させることができる。また、下層床の立ち上がり部が上層床の下に配置されていることで、上層床の上には立ち上がり部が設けられていないので、上層床の有効に利用できる面積を広くすることができる。
【0016】
本発明の手摺付き床構造によると、手摺面材と二重床部との間に隙間が空けられているので、当該隙間から通風することができ、手摺面材が例えばガラス板のような通風性を有さないものであった場合でも、手摺面材の屋内側の空間の通風性能を高めることができる。
【0017】
本発明の手摺付き床構造によると、手摺面材と二重床部との間の隙間に、グレーチング蓋が設けられているので、上述の通風性能を確保しつつ、落下物を防止することができる。また、下層床の排水経路上の詰まりや、当該排水経路の排水能力以上の降雨などで、下層床上に水が溜まった場合に、手摺面材と二重床部との間にグレーチン蓋を設けた隙間があるので、溜まった水をオーバーフローさせることもできる。
【0018】
本発明の手摺付き床構造によると、手摺面材の上層床の上面よりも下の部分が格子面材で構成されており、二重床部の屋外側面を覆っているので、屋外側から二重床部の屋外側面が隠れ、屋外側からの意匠性を向上させることができる。特に、手摺面材と二重床部との間に隙間が空けられている場合には、外部から格子面材を通過してさらに隙間を通って風を手摺面材の屋内側に導入することができ通風性能を高めることができる。
【0019】
本発明の手摺付き床構造によると、手摺面材は、上層床の上面よりも上部が光透過性を有しているので、手摺面材の屋内側に光を取り入れることができる。特に、本発明の手摺付き床構造は、上層床の上には立ち上がり部が無いので、より多くの光を取り入れることができる。
【0020】
本発明の手摺付き床構造によると、手摺面材は、上層床の上面よりも上部が透明であり、しかも上層床の上には立ち上がり部が無いので、上層床の屋外縁の屋外側は透明の面材のみである。したがって、屋外側の空間と上層床の上の空間の間とが連続的な一体感が生まれ、手摺付き床構造のさらに屋内側の空間からの視界の抜けも向上することができる。
【0021】
本発明の手摺付き床構造によると、手摺付き床構造が、上層床の上面、建築物の屋内床面、及び掃き出し窓の下レールが略面一に形成されたフラットバルコニーであるので、バルコニーの上層床の上面には屋外縁に立ち上がり部がなく、また、窓の下レールもほぼフラットに形成されていることから、屋内、手摺付き床構造、及び屋外の統一的な一体感が生じる。特に、手摺面材の上層床の上面よりも上部が透明である場合には、屋内から見て、屋外までの間に視線を遮るものが無く、より屋内から屋外までの一体感が生じる。
【0022】
本発明の手摺付き床構造によると、手摺面材は、その下端が軒天井よりも下方に垂下しているので、下階の日射を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】手摺付き床構造としてのバルコニーを備えた住宅の構成を示す正面図。
図2】住宅及びバルコニーの内部構造を示す断面図。
図3】手摺面材の構成を示す正面図。
図4】手摺付き床構造としてのバルコニーの内部構成を示す拡大断面図。
図5】通風及び上層床面積の拡大効果を説明するバルコニーの一部省略拡大断面図。
図6】視界の抜け及び日射遮蔽効果を説明するバルコニーの一部省略拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る手摺付き床構造の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。本実施形態の手摺付き床構造は、2層以上の階層を有する住宅1のバルコニー2である。なお、本発明の「手摺付き床構造」は、バルコニー2に限定されるものではなく、ベランダ、外廊下、屋上などのように、床部と手摺とを備える手摺付き床構造に適用することができる。また、本発明における「建築物」は住宅1に限定されるものではなく、アパート・マンションのような集合住宅やその他の建築物であっても良い。なお、住宅はバルコニー2の他に玄関36、1階の掃き出し窓37、2階の小窓38などの構成を備えるが、本発明における特徴部分ではないので説明を省略する。
【0025】
図1及び図2に示すように、手摺付き床構造であるバルコニー2は、建築物としての住宅1の外壁3から屋外側に向かって突出するように設けられている。バルコニー2は、本実施形態では、住宅1の2階の角の屋外側にL字状に形成されている。なお、バルコニー2は、L字状のものに限定されるものではない。
【0026】
バルコニー2は、図2及び図4に示すように、2階の外壁3に設けられた引き違い式の掃き出し窓4を通じて住宅1の2階居室5との間で出入り可能に連通している。掃き出し窓4の下レール6は段差をほとんど設けないフラットタイプのレールであり、バルコニー2は当該バルコニー2の上面を形成する上層床7、2階居室5の床面5a、及び掃き出し窓4の下レール6が略面一に形成されたフラットバルコニーである。
【0027】
バルコニー2は、排水経路を有する下層床8と、下層床8から上方に離間させて設けられた上層床7とを備える二重床部9と、二重床部9の屋外側に配置され、少なくとも下端が上層床7よりも下方に配置される手摺面材10と、を備えている。
【0028】
二重床部9は、図示しないが、住宅1の胴差部に設けられた梁に固定されて屋外側に突出する一対の腕木の間にフレーム11を固定して水平な面を形成し、当該フレーム11に下層床8の下地板12を固定する。そして、下地板12の上には樹脂材からなる勾配層13が設けられ、その上に防水シート14が重ねられて下層床8を構成している。下層床8の屋外縁には、立ち上がり部15が形成されており、この立ち上がり部15の屋内側の側面から上面を通って屋外側の側面にまで、防水シート14が貼り重ねられている。フレーム11の屋外縁には、手摺面材10を支持する支持腕16が屋外方向に突出しており、この支持腕16に手摺面材10の下部の屋内側に設けられた係止部17が引っ掛けられて、ボルトで固定されている。また、フレーム11の屋外縁の下には、二重床部9の屋外側の面を構成する化粧材18が垂れ下がって固定されており、この化粧材18の下端と住宅1の1階の外壁3との間に、軒天井19が架設されている。
【0029】
下層床8の防水シート14上を流れる雨水は、傾斜によって屋内側から屋外側に流れて立ち上がり部15の屋内側に沿って設けられた排水溝20に集められる。そして、排水溝20にも僅かな傾斜が設けられており、この排水溝20の最も下流に設けられている図示しない排水ピットの底部に設けられた排水ドレインを通って縦樋へと排水される。
【0030】
下層床8の上面には、複数の床束21が立設されている。そして、床束21の上には、長尺な床受材22を支持しており、この床受材22の上に上層床7の複数のデッキ材23が敷き詰められるように固定されている。床受材22及びデッキ材23は、下層床8の立ち上がり部15の上にまで延びており、下層床8の立ち上がり部15はデッキ材23に隠されて、バルコニー2上から視認することはできない。複数のデッキ材23の間には僅かな間隙が空いており、上層床7の上に降った雨水は、この間隙を通って、下層床8の上面の防水シート14に流れ落ちる。
【0031】
手摺面材10は、図3及び図4に示すように、バルコニー2のフレーム11から延びる支持腕16に引っ掛けられてボルトで固定される係止部17と、係止部17に固定されて、下方に垂れ下がる水平な複数の格子材24を組み合わせた格子面材25と、係止部17に固定されており、透明なガラス面材26が固定される手摺部27と、を有している。なお、手摺部27のガラス面材26は、本実施形態においては透明なガラス製であるが、本発明における手摺面材10の上部に設けられた面材は、例えば磨りガラスのように光透過性は有するが視界は遮る材料のものも含む。またガラスに限定されるものではなく、透明または半透明の樹脂製のものであっても良い。
【0032】
係止部17は、支持腕16に固定されて格子面材25及び手摺部27を支持するものである。そして、手摺部27は、複数の矩形平板状のガラス面材26と、係止部17の上に所定ピッチで立設され、手摺部27に支持されている支柱28と、支柱28の上面に架設されガラス面材26の上端がはめ込まれる笠木29と、支柱28の下端の屋外側の面に固定されて水平に架設されているガラス面材26の下端がはめ込まれる水平受材30と、ガラス面材26の側端がはめ込まれる側受材31と、水平受材30の下側に設けられ、水平受材30よりも屋外側に突出する扁平な水平長手材である見切材32とを備えている。手摺部27は水平受材30が二重床部9の上層床7の上面よりも低い位置になるように配置されている。また水平受材30と二重床部9の屋外側面との間には隙間が設けられており、水平受材30の上には、当該隙間を覆うようにグレーチング蓋33が載置されている。
【0033】
格子面材25は、多数の水平な格子材24を縦材34で組み合わせて形成した横格子の面材であり、係止部17に固定されて垂れ下がっている格子受部35に固定されている。格子面材25の下端は、二重床部9の軒天井19よりも下方に垂れ下がっている。
【0034】
このように構成されていることによって、図6のαで矢示するように、上層床7の上から下層床8の立ち上がり部15が見えないのでバルコニー2の上に立って屋外方向を見た場合に、立ち上がり部15がなく、上層床7の屋外縁からそのまま手摺面材10が立ち上がっているように見える。しかも、手摺面材10の手摺部27は、水平受材30も二重床部9の上層床7の上面よりも低い位置になるように配置されているので、上層床7の屋外縁からはガラス面材26が直接立ち上がっているように見えるので、屋外との間に視界を遮るものが無く、屋外との統一感を生み出すことができる。しかも、本実施形態の手摺付き床構造であるバルコニー2は、上層床7の上面、住宅1の2階居室5の床面5a、及び掃き出し窓4の下レール6が略面一に形成されたフラットバルコニーであるので、2階の居室5から屋外までの間に視線を遮るものが無く、屋内から屋外までの一体感を生み出すことができる。
【0035】
また、下層床8の立ち上がり部15が、上層床7の下に配置されていることで、上層床7の上には立ち上がり部15が設けられていないので、立ち上がり部15が上層床7上に設けられる場合と比較して、図5のβで示す範囲を有効利用することができる。したがって、上層床7を有効に利用できる面積を広くすることができ、バルコニー2の面積を広くすることができる。
【0036】
そして、図5にγで矢示するように、手摺面材10と二重床部9との間には隙間が空けられており、当該隙間はグレーチング蓋33で覆われているので、当該隙間から通風することができ、手摺部27がガラス面材26であっても通風性を確保することができる。特に手摺面材10の下部は格子面材25で構成されているので、この格子面材25を通過し、さらに隙間を通って風を手摺面材10の屋内側のバルコニー2に導入することができ通風性能を高めることができる。また、グレーチング蓋33が設けられていることから、落下物を防止することができ、例えば下層床8の排水経路上に設けられた図示しない排水ドレインの詰まりや、排水経路の排水能力以上の降雨などにより、下層床8上に水が溜まった場合には、手摺面材10と二重床部9との間の隙間を通して、溜まった水をオーバーフローさせることもでき、上層床7の上に水がとどまることを防止できる。
【0037】
さらに、図6に示すように、手摺面材10の下部の格子面材25は、その下端が軒天井19よりも下方に垂下しているので、1階の日射を低減させる効果も有する。しかも、格子面材25で形成されているので、通風を遮ることもない。
【0038】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係る手摺付き床構造は、例えば住宅1のバルコニー2として好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 住宅(建築物)
2 バルコニー(手摺付き床構造)
3 外壁
4 掃き出し窓
5 居室(屋内)
5a 床面
6 下レール
7 上層床
8 下層床
9 二重床部
10 手摺面材
15 立ち上がり部
19 軒天井
25 格子面材
33 グレーチング蓋
図1
図2
図3
図4
図5
図6