(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
取出パターンなどがユーザーから視認されることを十分に防ぐためには、加飾層の光透過率が十分に低くなるように加飾層を構成することが好ましい。しかしながら、加飾層の光透過率を低くしようとすると、加飾層の厚みが大きくなってしまい、この結果、加飾層とその周辺の部分との間に大きな段差が生じてしまう。このような大きな段差が存在していると、搬送工程や表示装置との組合せ工程など、タッチパネルの製造工程の後に実施される様々な工程における生産性や作業性が低下してしまうことが考えられる。また、アクティブエリアおよび非アクティブエリアの両者に跨って延びる配線が存在する場合、配線がそのような大きな段差を跨ぐことになり、この結果、配線の断線が段差の部分で生じやすくなってしまうことも考えられる。
【0008】
また近年は、タッチパネルセンサが、スマートフォンやタブレットPCなどの意匠性が重要視される分野で多く使用されている。このような分野においては、加飾層の色として、従来の黒色だけでなく、黒色以外の色、例えば白色、桃色や水色なども採用されている。しかしながら、黒色以外の色を呈する加飾層の光透過率は一般に、黒色を呈する加飾層の光透過率よりも大きくなっている。このため、黒色以外の加飾層が採用される場合、取出パターンなどをユーザーから十分に遮蔽するためには、より大きな厚みを有する加飾層が必要になる。この結果、加飾層とその周辺の部分との間に生じる段差がさらに大きくなってしまうことが考えられる。
【0009】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るタッチパネルセンサおよびタッチ位置検出機能付き表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、タッチパネルセンサであって、タッチ位置を検出され得る領域に対応するアクティブエリアと、アクティブエリアの周辺に位置する非アクティブエリアと、を含む基材と、前記基材の前記アクティブエリアに配置された透明導電パターンと、前記基材の前記非アクティブエリアに配置され、所定の色を呈するよう構成された加飾層と、前記加飾層上に設けられ、金属材料を含む反射層と、前記反射層上に設けられたオーバーコート層であって、オーバーコート層の内縁は、前記加飾層の内縁に沿って延びている、オーバーコート層と、前記透明導電パターンに電気的に接続されるとともに、前記オーバーコート層上に設けられた取出パターンと、を備え、前記加飾層は、前記加飾層の内縁を含む内側部分を有し、前記内側部分の厚みは、前記加飾層の平均厚みの0.7倍以下になっており、前記反射層は、その内縁が前記加飾層の前記内側部分上に位置するよう構成されている、タッチパネルセンサである。
【0011】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記加飾層の前記内側部分は、前記アクティブエリアに向かうにつれてその厚みが減少するテーパ部分として構成されていてもよい。
【0012】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記加飾層は、黒色以外の色を呈するよう構成されていてもよい。
【0013】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記加飾層は、所定の色を呈するための着色剤と、感光剤とを少なくとも含んでいてもよい。
【0014】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記オーバーコート層は、その内縁が前記加飾部の内縁と前記反射層の内縁との間に位置するよう、構成されていてもよい。
【0015】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記反射層の内縁と前記加飾層の内縁との間の距離は、好ましくは5μm以下になっている。
【0016】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記基材は、表示装置用の保護板として機能するものであってもよい。この場合、前記透明導電パターン、前記加飾層、前記反射層、前記オーバーコート層および前記取出パターンはいずれも、前記基材の面のうち表示装置側の面に設けられている。
【0017】
本発明は、タッチパネルセンサの製造方法であって、タッチ位置を検出され得る領域に対応するアクティブエリアと、アクティブエリアの周辺に位置する非アクティブエリアと、を含む基材を準備する工程と、所定の色を呈する加飾層を前記基材の前記非アクティブエリアに形成する加飾層形成工程と、金属材料を含む反射層を前記加飾層上に形成する反射層形成工程と、オーバーコート層を前記反射層上に形成するオーバーコート層形成工程であって、前記オーバーコート層の内縁は、前記加飾層の内縁に沿って延びている、オーバーコート層形成工程と、透明導電パターンを前記基材の前記アクティブエリアに形成する工程と、取出パターンを、前記取出パターンが前記透明導電パターンに電気的に接続されるよう、前記オーバーコート層上に形成する工程と、を備え、前記加飾層は、前記加飾層の内縁を含む内側部分を有し、前記内側部分の厚みは、前記加飾層の平均厚みの0.7倍以下になっており、前記反射層形成工程において、前記反射層は、その内縁が前記加飾層の前記内側部分上に位置するよう形成される、タッチパネルセンサの製造方法である。
【0018】
本発明によるタッチパネルセンサの製造方法において、前記加飾層は、所定の色を呈するための着色剤と、感光剤とを少なくとも含み、前記加飾層形成工程と同時に、前記加飾層を構成する材料と同一の材料を用いてアライメントマークを形成する工程が実施されてもよい。
【0019】
本発明は、表示装置と、前記表示装置の表示面上に配置されたタッチパネルセンサと、を備え、前記タッチパネルセンサは、タッチ位置を検出され得る領域に対応するアクティブエリアと、アクティブエリアの周辺に位置する非アクティブエリアと、を含む基材と、前記基材の前記アクティブエリアに配置された透明導電パターンと、前記基材の前記非アクティブエリアに配置され、所定の色を呈するよう構成された加飾層と、前記加飾層上に設けられ、金属材料を含む反射層と、前記反射層上に設けられたオーバーコート層であって、オーバーコート層の内縁は、前記加飾層の内縁に沿って延びている、オーバーコート層と、前記透明導電パターンに電気的に接続されるとともに、前記オーバーコート層上に設けられた取出パターンと、を備え、前記加飾層は、前記加飾層の内縁を含む内側部分を有し、前記内側部分の厚みは、前記加飾層の平均厚みの0.7倍以下になっており、前記反射層は、その内縁が前記加飾層の前記内側部分上に位置するよう構成されている、タッチ位置検出機能付き表示装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、基材の非アクティブエリアには、所定の色を呈するよう構成された加飾層と、金属材料を含む反射層と、オーバーコート層とが順に積層されている。このうち加飾層は、加飾層の内縁を含む内側部分を有しており、この内側部分の厚みは、加飾層の平均厚みの0.7倍以下になっている。そして反射層は、その内縁が加飾層の内側部分上に位置するよう構成されている。このような反射層を設けることにより、観察者側から加飾層に入射した後、加飾層を透過した光を、観察者側に戻すことができる。このため、加飾層を透過した後に反射層によって反射された光を利用して、加飾層の発色性を向上させることができる。このことにより、加飾層の光遮蔽性に関する要求を従来よりも低くすることができ、従って、加飾層の厚みを従来よりも小さくすることができる。このことにより、加飾層とその周辺の部分との間に段差が生じることを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、
図1乃至
図8Gを参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0023】
タッチパネル装置およびタッチ位置検出機能付き表示装置
はじめに
図1を参照して、タッチパネルセンサ30を備えたタッチ位置検出機能付き表示装置10について説明する。
図1に示すように、タッチ位置検出機能付き表示装置10は、タッチパネルセンサ30と表示装置(例えば液晶表示装置)15とを組み合わせることによって構成されている。図示された表示装置15は、フラットパネルディスプレイとして構成されている。表示装置15は、表示面16aを有した表示パネル16と、表示パネル16に接続された表示制御部(図示せず)と、を有している。表示パネル16は、映像を表示することができるアクティブエリアA1と、アクティブエリアA1を取り囲むようにしてアクティブエリアA1の外側に配置された非アクティブエリア(額縁領域とも呼ばれる)A2と、を含んでいる。表示制御部は、表示されるべき映像に関する情報を処理し、映像情報に基づいて表示パネル16を駆動する。表示パネル16は、表示制御部の制御信号に基づいて、所定の映像を表示面16aに表示する。すなわち、表示装置15は、文字や図等の情報を映像として出力する出力装置としての役割を担っている。
【0024】
図1に示すように、タッチパネルセンサ30は、表示装置15の表示面16a上に配置されている。このタッチパネルセンサ30は例えば、表示装置15の表示面16a上に接着層(図示せず)を介して接着されている。
【0025】
なお本実施の形態において、タッチパネルセンサ30は、タッチ位置検出機能をもたらすだけでなく、表示装置を保護する役割をも果たすよう構成されている。具体的には、タッチパネルセンサ30の基材32は、表示装置用の保護板として機能するよう構成されている。この場合、基材32の観察者側の面32bが、タッチ位置検出機能付き表示装置10のうち最も観察者側に位置する面を構成している。またタッチパネルセンサ30の各構成要素、例えば後述する透明導電パターン41,42や取出パターン43はいずれも、基材32の表示装置側の面32aに設けられている。また基材32は、表示装置15を保護する上で十分な強度を有する材料から構成されている。
【0026】
タッチパネルセンサ
次に
図2を参照して、タッチパネルセンサ30について説明する。
図2は、タッチパネルセンサ30を示す平面図である。
【0027】
図2に示されたタッチパネルセンサ30は、投影型の静電容量結合方式として構成され、タッチパネルセンサ30への外部導体(例えば、人間の指)の接触位置(タッチ位置とも称する)を検出可能に構成されている。なお、静電容量結合方式のタッチパネルセンサ30の検出感度が優れている場合には、外部導体がタッチパネルセンサ30に接近しただけで当該外部導体がタッチパネル装置のどの領域に接近しているかを検出することができる。従って、ここで用いる「接触位置」とは、実際には接触していないが位置を検出され得る接近位置を含む概念とする。なお、「容量結合」方式は、タッチパネルの技術分野において「静電容量」方式や「静電容量結合」方式等とも呼ばれており、本件では、これらの「静電容量」方式や「静電容量結合」方式等と同義の用語として取り扱う。
【0028】
図2に示すように、タッチパネルセンサ30は、タッチ位置を検出され得る領域に対応するアクティブエリアAa1と、アクティブエリアAa1の周辺に位置する非アクティブエリアAa2と、を含む基材32と、基材32のアクティブエリアAa1に配置された複数の透明導電パターン41,42と、対応する透明導電パターン41,42に接続されるとともに、基材32の非アクティブエリアAa2に配置された複数の取出パターン43と、対応する取出パターン43に接続された複数の端子部44と、を備えている。基材32のアクティブエリアAa1および非アクティブエリアAa2はそれぞれ、表示パネル16のアクティブエリアA1および非アクティブエリアA2に対応して区画されたものである。
【0029】
基材32は、タッチパネルセンサ30において誘電体として機能するものである。また上述のように、基材32は、表示装置用の保護板としても機能するものである。基材32は例えば、十分な強度を有するよう、ガラスなどを用いて構成されている。
【0030】
透明導電パターン41,42は、
図2に示すように、第1方向に沿って、例えば
図2のx方向に沿って延びる複数の第1透明導電パターン41と、第1方向に直交する第2方向に沿って、例えば
図2のy方向に沿って延びる複数の第2透明導電パターン42と、を有している。第1透明導電パターン41は、x方向に沿って直線状に延びる第1ライン部41aと、第1ライン部41aから膨出した第1膨出部41bと、を有していてもよい。第1膨出部41bとは、基材32の表面に沿って第1ライン部41aから膨らみ出ている部分のことである。同様に第2透明導電パターン42は、y方向に沿って延びる第2ライン部42aと、第2ライン部42aから膨出した第2膨出部42bと、を有していてもよい。
【0031】
取出パターン43は、対応する透明導電パターン41,42によって検出された信号を端子部44まで伝達するために非アクティブエリアAa2に設けられたものである。
図2に示すように、各取出パターン43は、所定の間隔を空けて非アクティブエリアAa2に並べられている。
例えば、第2透明導電パターン42に接続された複数の取出パターン43は、
図2における下側の非アクティブエリアAa2まで信号を伝達するためにy方向に沿って延びる部分と、信号を端子部44まで伝達するためにx方向に沿って延びる部分とをそれぞれ有している。複数の取出パターン43において、y方向に沿って延びる部分は各々、x方向において所定の間隔を空けて並べられており、またx方向に沿って延びる部分は各々、y方向において所定の間隔を空けて並べられている。
取出パターン43によって端子部44まで伝達された信号は、端子部44に取り付けられたフレキシブル基板(図示せず)などを介して検出制御部へ伝達される。
【0032】
上述のように、タッチパネルセンサ30の非アクティブエリアAa2には一般に、取出パターン43や端子部44をユーザーから見えないようにするための加飾層が、アクティブエリアAa1を取り囲むように設けられている。
図2においては便宜上、加飾層の外縁46cおよび内縁46dがそれぞれ一点鎖線で示されている。しかしながら、上述のように、加飾層の厚みには上限がある。このため、加飾層の上に直接的に取出パターン43や端子部44が設けられている場合、観察者側から加飾層を透過して取出パターン43や端子部44に到達し、その後、取出パターン43や端子部44によって反射されて観察者側に戻る、という光が少なからず存在することが考えられる。また、表示装置15から放射された後、取出パターン43や端子部44が設けられていない領域を通って加飾層に入射し、そして加飾層を透過して観察者側に至る、という光も存在することが考えられる。この場合、取出パターン43や端子部44が観察者側に居るユーザーによって視認されてしまう可能性がある。また、ユーザーによって視認される非アクティブエリアAa2の色が、外光や表示装置からの光に含まれる色や、取出パターン43の色などの影響を受けてしまう可能性もある。すなわち、ユーザーによって視認される非アクティブエリアAa2の色が、加飾層によって呈される色、例えば加飾層に含まれる着色剤の色からずれてしまう可能性がある。また、このような色のずれが部分的に生じる場合、非アクティブエリアAa2の色が不均一なものとして視認されてしまうことになる。
【0033】
このような課題を考慮して、本実施の形態においてタッチパネルセンサ30は、後述するように、加飾層と取出パターン43および端子部44との間に介在された反射層をさらに有している。この反射層を設けることにより、後述するように、加飾層の厚みをさほど大きくすることなく、非アクティブエリアAa2における所望の色彩を実現することができる。以下、
図3乃至
図5を参照して、このような反射層を含むタッチパネルセンサ30の層構成について説明する。
図3乃至
図5はそれぞれ、
図2のタッチパネルセンサ30のIII線乃至V線に沿った断面図である。
【0034】
はじめにアクティブエリアAa1に配置される構成要素の層構成について説明する。
図3乃至
図5に示すように、第1ライン部41a、第1膨出部41bおよび第2膨出部42bは、同一平面上に形成されたものであってもよい。この場合、インジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電性材料からなる透明導電層51をパターニングすることによって、第1ライン部41a、第1膨出部41bおよび第2膨出部42bを同時に形成することが可能である。
【0035】
図3乃至
図5に示すように、第1ライン部41aおよび第2ライン部42aは、基材32の法線方向から見た場合に互いに部分的に重なるよう形成されている。この場合、第1ライン部41aと第2ライン部42aとの間に絶縁層49を介在させることにより、第1ライン部41aと第2ライン部42aとの間が導通することを防ぐことができる。なお図示はしないが、絶縁層49は、第1ライン部41aと第2ライン部42aとの間だけでなく、第1膨出部41b上や第2膨出部42b上にも設けられていてもよい。
【0036】
第2ライン部42aが導電性を有する限りにおいて、第2ライン部42aを構成する材料が特に限られることはない。例えば第2ライン部42aは、第1ライン部41a、第1膨出部41bおよび第2膨出部42bと同様にインジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電性材料から構成されていてもよく、若しくは、金属材料から構成されていてもよい。本実施の形態においては、第2ライン部42aが、取出パターン43および端子部44にも含まれる金属層52によって構成されている例が示されている。
【0037】
(加飾層)
次に非アクティブエリアAa2に配置される構成要素の層構成について説明する。
図3乃至
図5に示すように、基材32の非アクティブエリアAa2のうち表示装置側の面32a上には、所定の色を呈するよう構成された加飾層46が配置されている。
図3において、加飾層46の外縁が符号46cで表され、加飾層46の内縁が符号46dで表されている。ここで内縁46dとは、加飾層46の縁部のうちアクティブエリアAa1側に位置する縁部のことであり、外縁46cとは、加飾層46の縁部のうちアクティブエリアAa1から遠い側に位置する縁部のことである。
【0038】
加飾層46の色は、タッチパネルセンサ30およびタッチ位置検出機能付き表示装置10に対して求められる意匠性に応じて選択される。ここでは、加飾層46が、黒色以外の色を呈するよう構成されている場合について説明する。黒色以外の色の例としては、例えば、白色、水色、桃色、緑色などを挙げることができる。加飾層46を構成する材料は、選択された色に応じて決定されるが、例えば白色が求められる場合、加飾層46は、白色を呈するための着色剤として用いられる酸化チタンが分散された樹脂材料から構成される。
【0039】
加飾層46は、所定の色を呈するための着色剤に加えて、光が照射されることによってその物性を変化させる感光剤をさらに含んでいてもよい。加飾層46が感光剤を含むことにより、後述するように、加飾層46を所望の形状にパターニングするための方法として、露光処理および現像処理を含むフォトリソグラフィー法を用いることが可能になる。加飾層46に含まれる感光剤は、光硬化型のものであってもよく、光溶解型のものであってもよいが、ここでは、光硬化型のものが用いられる例について説明する。
【0040】
(反射層)
図3乃至
図5に示すように、加飾層46の面のうち表示装置側の面上には、上述の反射層47が設けられている。この反射層47は、光を反射することができるよう構成されており、具体的には反射層47は金属材料を含んでいる。このため、観察者側から加飾層46に入射して酸化チタンなどの着色剤(呈色成分)によって反射された後に反射層47に到達した光は、反射層47によって反射されて観察者側に戻ることになる。また反射層47は、表示装置15から放射された光が加飾層46および基材32を透過して観察者側に到達することを防ぐという役割も果たす。このため、加飾層46によって呈される色をユーザーに鮮明に認識させることができる。すなわち、加飾層46の発色性を向上させることができる。
【0041】
(オーバーコート層)
ところで
図3乃至
図5に示すように、反射層47の表示装置側には、上述の取出パターン43が設けられる。反射層47を介してこれらの取出パターン43が互いに導通してしまうことを防ぐため、
図3乃至
図5に示すように、タッチパネルセンサ30は、反射層47の面のうち表示装置側の面上に設けられたオーバーコート層48をさらに備えている。このオーバーコート層48は、取出パターン43および端子部44が互いに導通するのを防ぐという機能だけでなく、加飾層46および反射層47を保護するという機能を有していてもよい。またオーバーコート層48は、タッチパネルセンサ30やタッチ位置検出機能付き表示装置10の製造工程において加飾層46から排出されるアウトガスを遮蔽するという機能を有していてもよい。オーバーコート層48の材料としては、例えばアクリル樹脂などが用いられ得る。なおオーバーコート層48の形成工程においてフォトリソグラフィー法が用いられる場合、オーバーコート層48は、加飾層46の場合と同様に、感光剤をさらに含んでいてもよい。後述するオーバーコート層形成工程においては、オーバーコート層48に光硬化型の感光剤が含まれている場合について説明する。
【0042】
(取出パターンおよび端子部)
図3および
図5に示すように、オーバーコート層48の面のうち表示装置15側の面上には、複数の取出パターン43がそれぞれ所定の間隔を空けて配置されている。これら取出パターン43は、遮光性および導電性を有する金属層52を含んでいる。なお図示はしないが、取出パターン43と同様に端子部44も、オーバーコート層48の面のうち表示装置15側の面上に配置されている。また端子部44も、遮光性および導電性を有する金属層52を含んでいる。金属層52を構成する材料としては、上述の反射層47の場合と同様に、例えばアルミニウム、モリブデン、銀、銅またはこれらの合金等を挙げることができる。
【0043】
なお取出パターン43および端子部44は、金属層52以外の層を含んでいてもよい。例えば
図3および
図5に示すように、取出パターン43は、オーバーコート層48と金属層52との間に設けられた透明導電層51をさらに含んでいてもよい。この透明導電層51は、上述のように第1ライン部41a、第1膨出部41bおよび第2膨出部42bを構成するものである。
【0044】
図3および
図5において最もアクティブエリアAa1側に位置している取出パターン43において、透明導電層51は、アクティブエリアAa1および非アクティブエリアAa2の両者を跨いで延びており、これによって、取出パターン43とこれに対応する透明導電パターンとが電気的に接続されている。この場合、透明導電層51は、加飾層46による段差を跨いで延びることになる。なお図示はしないが、
図3および
図5において最もアクティブエリアAa1側に位置している取出パターン43において、金属層52が、アクティブエリアAa1および非アクティブエリアAa2の両者を跨いで、すなわち加飾層46による段差を跨いで延びていてもよい。
【0045】
加飾層46の表示装置側に取出パターン43が設けられる場合、上述のように、取出パターン43を構成する層のうちの少なくとも1つは、加飾層46による段差を跨いで延びることになる。従って、加飾層46の厚みが大きい場合、取出パターン43が断線してしまうリスクが高くなってしまう。ここで本実施の形態によれば、上述のように、加飾層46の表示装置側に、加飾層46を透過した光を反射することができる反射層47が設けられている。このため、このような反射層47が設けられていない場合に比べて、加飾層46の発色性を向上させることができる。従って、加飾層46の厚みをさほど大きくすることなく、非アクティブエリアAa2における所望の色彩を実現することができる。例えば、従来のタッチパネルセンサにおいては、黒色以外の色を呈する非アクティブエリアAa2を実現するためには数十μm以上の厚みを有する加飾層が必要であった。一方、本実施の形態によれば、5〜20μmの範囲内、例えば10μm程度の厚みを有する加飾層46を用いて、黒色以外の色を呈する非アクティブエリアAa2を実現することができる。このため、加飾層46とその周辺の部分との間に大きな段差が生じることを抑制することができ、これによって、取出パターン43の断線が生じるリスクを低減することができる。なおここで言う加飾層46の厚みとは、加飾層46全体の平均厚みのことである。
【0046】
なお上述の段差の高さとしては、厳密には、加飾層46の厚みだけでなく反射層47の厚みおよびオーバーコート層48の厚みを考慮する必要がある。一方、反射層47は、上述のように光を反射するために設けられるものであり、従って反射層47の厚みは、0.1〜0.5μm程度、例えば0.2μmで十分である。またオーバーコート層48は、取出パターン43および端子部44と反射層47との間が導通することを防ぐために設けられるものであり、従ってオーバーコート層48の厚みは、1〜2μm程度で十分である。このように反射層47およびオーバーコート層48の厚みは、加飾層46の厚みに比べて十分に小さい。従って、上述の段差の高さは、加飾層46によってほぼ決定されると言える。そして本実施の形態によれば、上述のように加飾層46の厚みを小さくすることができるので、加飾層46とその周辺の部分との間に大きな段差が生じることを抑制することができる。
【0047】
(加飾層、反射層およびオーバーコート層の断面構造)
次に
図6を参照して、加飾層46の内縁46d近傍における加飾層46、反射層47およびオーバーコート層48の断面構造について詳細に説明する。
図6は、
図4に示す加飾層46を拡大して示す断面図である。
【0048】
(加飾層の断面構造)
図6に示すように、加飾層46は、内側部分46bと、内側部分46bよりも加飾層46の外縁46c側に位置する平坦部分46aと、を有している。内側部分46bは、加飾層46の内縁46dを含む部分であり、加飾層46のうち最もアクティブエリアAa1側に位置する部分のことである。
【0049】
また本実施の形態において、内側部分46bは、加飾層46の平均厚みよりも小さい厚みを有する部分として定義される。例えば、加飾層46の平均厚みをt0とする場合、内側部分46bは、その厚みが、加飾層46の平均厚みt0の0.7倍以下になっている部分として定義される。
図6において、符号t2が付された矢印は、加飾層46の平均厚みt0の0.7倍の厚みを表している。従って、上記の定義が採用される場合、矢印t2を境界として、それよりもアクティブエリアAa1側に位置する部分が、加飾層46の内側部分46bとなっている。
図6において、符号d1が付された矢印は、加飾層46の内縁46dから矢印t2の部分までの距離を表している。すなわち距離d1は、上記の定義が採用される場合の内側部分46bの幅を表している。距離d1の具体的な数値は、加飾層46の形成方法などに応じて決まるが、例えば10μm以上になっている。
【0050】
図6に示すように、内側部分46bは、アクティブエリアAa1に向かうにつれてその厚みが減少するテーパ部分46eとして構成されていてもよい。
図6に示す例においては、その厚みが平均厚みt0の0.7倍以下になる内側部分46bが、テーパ部分46eの一部として構成されており、またテーパ部分46eの外側には平坦部分46aが存在している。
【0051】
一方、平坦部分46aは、加飾層46のうちほぼ一様な厚みを有する部分のことである。
図6において、平坦部分46aの厚みが符号t1で表されている。なお一般に、加飾層46の幅(加飾層46の外縁46cと内縁46dとの間の距離)は数mm以上となっており、一方、内縁46d近傍に形成される上述のテーパ部分46eや内側部分46bの幅は、数十μm以下となっている。また、外縁46c側に関しても、加飾層46の厚みは、内縁46d近傍と同様に、外縁46c近傍までほぼ平坦なものとなっている。すなわち平坦部分46aは、加飾層46の外縁46c近傍まで続いている。このように加飾層46の大部分は、ほぼ一様な厚みを有する部分、すなわち平坦部分46aによって構成されている。従って、平坦部分46aの厚みt1は、加飾層46の平均厚みt0と実質的に同一であると考えてもよい。
【0052】
ところで、加飾層46の内縁46dは、アクティブエリアAa1にまで加飾層46が達しないように加飾層46を基材32の面32a上に形成することによって出現するものである。このような内縁46dを含む加飾層46を形成する方法としては、加飾層46用の材料を含む塗布液を所定のパターンで基材32の面32a上に塗布することができるスクリーン印刷法や、感光剤を含む加飾層46を広域にわたって設けた後、当該加飾層46を露光・現像してアクティブエリアAa1上の加飾層46を除去し、これによって非アクティブエリアAa2内にのみ加飾層46を得るフォトリソグラフィー法などが挙げられるが、いずれの方法を用いた場合であっても、加飾層46のうち内縁46d近傍の部分には、アクティブエリアAa1に向かうにつれて厚みが小さくなる上述のテーパ部分46eが形成される。なおフォトリソグラフィー法は、スクリーン印刷法に比べて、テーパ部分46eの傾きをより急峻なものとすることができる。すなわち、加飾層46の内縁46d近傍でのエッジ形状をより鋭いものとすることができ、この結果、テーパ部分46eの幅や内側部分46bの幅をより小さくすることができる。
【0053】
(反射層の断面構造)
反射層47は、図示はしないが、その外縁が加飾層46の外縁46cにほぼ一致するように構成されている。また
図6に示すように、反射層47は、その内縁47dが加飾層46の内側部分46b上に位置するように構成されている。例えば、加飾層46の内縁46dから反射層47の内縁47dまでの距離d2が2〜5μmの範囲内になるよう、反射層47が構成されている。以下、このように反射層47を構成することの利点について説明する。
【0054】
上述のように反射層47は、加飾層46を透過した光を反射して観察者側に戻すために設けられるものである。ところで加飾層46における光遮蔽性は一般に、その厚みが小さくなるにつれて低下する。従って、加飾層46の内側部分46bにおける光遮蔽性は、平坦部分46aにおける光遮蔽性よりも低い。すなわち、内側部分46bは、平坦部分46aに比べて光を透過させやすいものとなっている。ここで本実施の形態によれば、反射層47を加飾層46の内側部分46bにまで達するように設けることにより、すなわち加飾層46の内縁46dから反射層47の内縁47dまでの距離d2を5μm以下とすることにより、平坦部分46aだけでなく内側部分46bの発色性も高めることができる。このことにより、アクティブエリアAa1と非アクティブエリアAa2との間の境界近傍においても、加飾層46によって呈される色をユーザーにより鮮明に認識させることができる。
【0055】
一方、反射層47は金属材料を含んでおり、従って反射層47は光遮蔽性を有している。このため、仮に反射層47がアクティブエリアAa1内にまで延びてしまうと、アクティブエリアAa1の視認性が反射層47によって阻害されることになる。また、透明導電パターンと反射層47とが導通してしまうことも懸念される。ここで本実施の形態によれば、加飾層46の内縁46dから反射層47の内縁47dまでの距離d2を2μm以上とすることにより、製造公差などに起因して反射層47の内縁47dの位置が設計からずれてしまった場合であっても、反射層47がアクティブエリアAa1内にまで延びてしまうことを防ぐことができる。
【0056】
(オーバーコート層の断面構造)
オーバーコート層48は、図示はしないが、その外縁が加飾層46の外縁46cにほぼ一致するように構成されている。また
図6に示すように、オーバーコート層48は、その内縁48dが加飾層46の内縁46dよりもアクティブエリアAa1側に位置するよう構成されている。このようにオーバーコート層48を構成することにより、加飾層46および反射層47を十分に保護することができる。またオーバーコート層48は、反射層47に比べればその程度は小さいが、加飾層46を透過してオーバーコート層48に到達した光を反射させて観察者側に戻すという機能を発揮することもできる。従って、内縁46d近傍において加飾層46の内側部分46bの発色性を向上させるという効果も期待される。なお、オーバーコート層48に到達した光を反射させて観察者側に戻すという機能は、オーバーコート層48が透明なものではなく所定の色を呈するよう構成されたものである場合に、より高くなることが期待される。この観点からは、例えばオーバーコート層48を、灰色や青色を呈するものとして構成することが考えられる。
【0057】
加飾層46の内縁46dからオーバーコート層48の内縁48dまでの距離d3は、アクティブエリアAa1における視認性がオーバーコート層48によって過剰に阻害されない限り特には限定されないが、例えば2μm以上となっている。
【0058】
またオーバーコート層48は、加飾層46が呈する色とは異なる色を呈することができる着色剤を含んでいてもよい。この場合、基材32の法線方向から見て加飾層46および反射層47と重なる領域は、加飾層46が呈する色の領域として視認される。一方、基材32の法線方向から見て加飾層46とは重ならずオーバーコート層48とのみ重なる領域は、オーバーコート層48が呈する色の領域として視認される。従って、タッチパネルセンサ30の非アクティブエリアAa2を、その大部分は加飾層46が呈する色の領域として視認させ、アクティブエリアAa1との境界近傍の部分のみオーバーコート層48が呈する色の領域として視認させる、ということが可能になる。これによって、タッチパネルセンサ30の意匠性のバリエーションを広げることができる。なお基材32の法線方向から見て反射層47とは重ならないが加飾層46およびオーバーコート層48の両方と重なる領域は、加飾層46が呈する色およびオーバーコート層48が呈する色が混じった色の領域として視認されることが予想される。
【0059】
タッチパネルセンサの製造方法
次に、以上のような構成からなるタッチパネルセンサ30を製造する方法について説明する。ここでは
図7に示すように、タッチパネルセンサ30が、複数のタッチパネルセンサ30が割り付けられた多面付け基板60を切り出すことによって得られるものとする。
図7に示すように、多面付け基板60のうちタッチパネルセンサ30が割り付けられていない部分には、製造工程における位置決めのために利用されるアライメントマーク61が形成されていてもよい。
【0060】
以下、タッチパネルセンサ30を製造する方法について、
図8A〜
図8Gを参照して説明する。
図8A〜
図8Gは、
図2のタッチパネルセンサ30のIV線に沿った位置において、タッチパネルセンサ30の製造方法の各工程における層構成を示す図である。
【0061】
はじめに基材32を準備する。上述のように、基材32は、表示装置用の保護板としても機能することができるものである。
【0062】
(加飾層形成工程)
次に
図8Aに示すように、基材32の表示装置側の面32a上に、その全域にわたって加飾層46を設ける。このとき加飾層46は、多面付け基板60においてタッチパネルセンサ30となるべき領域だけでなくそれ以外の領域にも設けられてもよい。
【0063】
基材32の表示装置側の面32a上に加飾層46を設ける方法が特に限られることはなく、様々な方法が用いられ得る。例えば、加飾層46を構成するための樹脂材料および着色剤を含む塗布液を、ダイコート法やスピンコート法を用いて面32a上に塗布してもよい。なおダイコート法は、一様な厚みを有する加飾層46を基材32の寸法に依らず形成することができるので、好ましく用いられ得る。
【0064】
次に加飾層46に露光処理および現像処理を施すことによって、
図8Bに示すように、加飾層46のうちアクティブエリアAa1に位置する部分を除去する。例えば加飾層46に光硬化型の感光剤が含まれている場合、加飾層46のうち非アクティブエリアAa2に対応する部分に露光光を照射する露光処理を実施し、その後、加飾層46に現像処理を施す。このようにフォトリソグラフィー法を用いて加飾層46をパターニングすることにより、上述の平坦部分46aおよび内側部分46bを有する加飾層46を、高い位置精度で非アクティブエリアAa2に形成することができる。
【0065】
ところで、フォトリソグラフィー法を用いる場合のパターニングの位置精度は、一般に、層の厚みが大きいほど低下する。なぜなら、層の厚みが大きいほど、露光光を層の厚み方向の全域にわたって十分に層に到達させることが困難になり、この結果、得られるパターンの位置が設計位置からずれやすくなるからである。ここで本実施の形態によれば、上述のように、反射層47を設けることによって、加飾層46の厚みを従来よりも小さくすることが可能になっている。従って、露光光を加飾層46の厚み方向の全域にわたって十分に加飾層46に到達させることができ、これによって、高い位置精度で加飾層46のパターニングを実施することができる。
【0066】
なお、上述の加飾層形成工程と同時に、加飾層46を構成する材料と同一の材料を用いてアライメントマーク61を形成してもよい。例えば、加飾層46のうち非アクティブエリアAa2に対応する部分だけでなくアライメントマーク61に対応する部分にも露光光を照射し、これによって、加飾層46を構成する材料と同一の材料から構成されたアライメントマーク61を同時に得るようにしてもよい。このことにより、アライメントマーク61を構成する工程を別途実施する場合に比べて、タッチパネルセンサ30を製造するために要する工数やコストを削減することができる。
【0067】
(反射層形成工程)
次に
図8Cに示すように、加飾層46上および基材32上に反射層47を設ける。反射層47を設ける方法としては、例えばスパッタリング法などが用いられ得る。その後、
図8Dに示すように、反射層47上にレジスト層55を設ける。レジスト層55は、形成されるべき反射層47のパターンと同一のパターンを有するよう、反射層47上に設けられる。その後、レジスト層55をマスクとして反射層47をエッチングする。これによって、
図8Eに示すように、その内縁47dが加飾層46の内側部分46b上に位置する反射層47を得ることができる。
【0068】
(オーバーコート層形成工程)
次に
図8Fに示すように、反射層47、加飾層46および基材32上にオーバーコート層48を設ける。オーバーコート層48を設ける方法としては、加飾層46の場合と同様に、ダイコート法やスピンコート法用いることができる。
【0069】
次にオーバーコート層48を露光・現像することによって、
図8Gに示すように、加飾層46の場合と同様にして、オーバーコート層48のうちアクティブエリアAa1に位置する部分を除去する。これによって、その内縁48dが加飾層46の内縁46dよりもアクティブエリアAa1側に位置するオーバーコート層48を得ることができる。
【0070】
その後、透明導電パターン41,42を基材32のアクティブエリアAa1に形成する透明導電パターン形成工程を実施する。また、取出パターン43をオーバーコート層48上に形成する取出パターン工程を実施する。これら透明導電パターン形成工程および取出パターン工程としては、公知の方法、例えば特開2011−86122号公報に記載されている方法を用いることができる。このようにして、複数のタッチパネルセンサ30が割り付けられた多面付け基板60を得ることができる。その後、多面付け基板60からタッチパネルセンサ30を切り出すことによって、タッチパネルセンサ30を得ることができる。その後、タッチパネルセンサ30と表示装置15と組み合わせることによって、タッチ位置検出機能付き表示装置10を得ることができる。
【0071】
ここで本実施の形態によれば、基材32の非アクティブエリアAa2には、所定の色を呈するよう構成された加飾層46と、金属材料を含む反射層47と、オーバーコート層48とが順に積層されている。このうち加飾層46は、加飾層46の内縁46dを含む内側部分46bを有しており、この内側部分46bの厚みは、加飾層46の平均厚みの0.7倍以下になっている。そして反射層47は、その内縁47dが加飾層46の内側部分46b上に位置するよう構成されている。このような反射層47を設けることにより、観察者側から加飾層46に入射した後、加飾層46を透過した光を、観察者側に戻すことができ、このことにより、加飾層46の発色性を向上させることができる。このため、加飾層46の光遮蔽性に関する要求を従来よりも低くすることができ、従って、加飾層46の厚みを従来よりも小さくすることができる。このことにより、加飾層46とその周辺の部分との間に段差が生じることを抑制することができ、これによって、取出パターン43の断線が生じるリスクを低減することができる。
【0072】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、いくつかの変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0073】
オーバーコート層の変形例
上述の本実施の形態において、オーバーコート層48の内縁48dが、加飾層46の内縁46dよりもアクティブエリアAa1側に位置している例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、
図9に示すように、オーバーコート層48は、その内縁48dが加飾層46の内縁46dと反射層47の内縁47dとの間に位置するよう、構成されていてもよい。
【0074】
本変形例においては、
図9に示すように、基材32の法線方向から見た場合にオーバーコート層48がその全域にわたって加飾層46と重なるようになる。従って、タッチパネルセンサ30の非アクティブエリアAa2を、アクティブエリアAa1との境界近傍においても、加飾層46が呈する色の領域として視認させることができる。すなわち、非アクティブエリアAa2をその全域にわたって均一な色の領域として視認させることができる。このため、非アクティブエリアAa2の色の統一感、ひいてはタッチパネルセンサ30のデザインの統一感を高めることができる。
【0075】
加飾層46の内縁46dからオーバーコート層48の内縁48dまでの距離d4は、加飾層46の内縁46d近傍における加飾層46の厚みやオーバーコート層48の厚み、並びに製造公差などに応じて定められるが、例えば2〜5μmの範囲内となっている。