(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るカーボンブラックの凝集体空隙径分布と、従来のカーボンブラックの凝集体空隙径分布を示す図である。
【
図2】本発明に係るカーボンブラックの製造に使用される流動床反応炉の形態例を示す概略断面図である。
【
図3】本発明の実施例および比較例で得られたカーボンブラックにおいて、各凝集体空隙モード径Dmpに対するΔDmp/モード径Dmpの関係を示す図である。
【
図4】本発明の実施例および比較例で得られたカーボンブラックを各々用いて作製された加硫ゴムの動的貯蔵弾性率(E’)および損失係数(tanδ)を示す図である。
【0013】
先ず、本発明に係るカーボンブラックについて説明する。
本発明に係るカーボンブラックは、水銀圧入法により求められる凝集体空隙モード径Dmpが、25nm〜60nmであるとともに、
前記凝集体空隙モード径Dmpおよび水銀圧入法により求められる凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpにより規定される、凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmp/凝集体空隙モード径Dmpが、0.30〜0.56である
ことを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係るカーボンブラックは、水銀圧入法により求められる凝集体空隙モード径Dmpが、25nm〜60nmであるものであり、30nm〜55nmであるものが好ましく、35nm〜50nmであるものがより好ましい。
【0015】
凝集体空隙モード径Dmpは、カーボンブラック基本粒子が不規則で複雑に融着結合した凝集体(アグリゲート)間に形成される空隙の径の分布(凝集体空隙径分布)を求めたときに、最大頻度を示す径(モード径)を意味し、当該モード径は、アグリゲートの形態、大きさ、分布状況等の指標となる。
【0016】
本発明に係るカーボンブラックは、水銀圧入法により求められる凝集体空隙モード径Dmpが上記範囲内にあるものであることにより、本質的にストラクチャーの発達した凝集構造を有することから、ゴムへの配合過程でゴムポリマーとの相互作用が大きくなり、さらにゴム組成物中で形成されるカーボンブラック粒子凝集体のネットワークも大きくなって、このために、ゴム組成物に十分な補強性を付与することができるとともに、発熱性の増大を好適に抑制することができると考えられる。
【0017】
凝集体空隙モード径Dmpが上記範囲内にあるカーボンブラックは、流動床反応炉内に炭化水素ガスを供給してガス流を生じさせ、上記流動床反応炉内に別途導入した、一次粒子径が小さく、表面積が大きく、かつ高ストラクチャーであるたとえばHAF(N330)、ISAF(N220)等の原料カーボンブラックを、上記ガス流によって加熱下に攪拌、流動すること等により製造することができる。
【0018】
なお、本出願書類において、凝集体空隙モード径Dmpは、JIS K6218「ゴム用カーボンブラックの付随的性質の試験法」に従って乾燥した粒度250〜500μmのカーボンブラックペレットを試料として、水銀ポロシメーター(マイクロメリティック社製、AutoPore IV 9500)の専用セル(3cm
3)中に0.14gの試料を入れ、圧力を25〜30000psi に加圧して水銀を圧入しつつ、セル内部の水銀とセル外部の電極間の静電容量を測定し、静電容量の変化から求められる圧入水銀量から、凝集体空隙径分布を求めたときの、最大頻度を示す空隙径を意味する。
【0019】
本発明に係るカーボンブラックは、水銀圧入法により求められる凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpが、12〜24nmであるものが好ましく、13〜22nmであるものがより好ましく、14〜20nmであるものがさらに好ましい。
【0020】
本発明に係るカーボンブラックは、水銀圧入法により求められる凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpが、上記範囲内にあるものであることにより、以下に示すΔDmp/モード径Dmpを所望範囲に容易に制御することができる。
【0021】
凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpが上記範囲内にあるカーボンブラックは、流動床反応炉内に炭化水素ガスを供給してガス流を生じさせ、上記流動床反応炉内に別途導入した、一次粒子径が小さく、表面積が大きく、かつ高ストラクチャーであるたとえばHAF(N330)、ISAF(N220)等の原料カーボンブラックを、上記ガス流によって加熱下に攪拌、流動することにより製造することができる。
【0022】
なお、本出願書類において、凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpは、上述した方法により凝集体空隙モード径Dmpを求めた際に得られた凝集体空隙径分布において、最大頻度の50%の頻度となる大小2点の凝集体空隙径の差を意味する。
【0023】
図1は、本発明に係るカーボンブラックの凝集体空隙径分布と、従来のカーボンブラックの凝集体空隙径分布を示すものである。
図1に示すように、本発明に係るカーボンブラックは、従来のカーボンブラックに比較して比較的ブロードな分布を示すために、凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpも、従来のカーボンブラックに比較して大きな値を取ることが分かる。
【0024】
本発明に係るカーボンブラックは、上記水銀圧入法により求められる凝集体空隙モード径Dmpおよび水銀圧入法により求められる凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpにより規定されるΔDmp/モード径Dmpが、0.30〜0.56であるものであり、0.30〜0.50であるものが好ましく、0.31〜0.45であるものがより好ましい。
【0025】
本発明に係るカーボンブラックは、水銀圧入法により求められる凝集体空隙モード径Dmpが上記範囲内にあるとともに、さらに、水銀圧入法により求められる凝集体空隙モード径Dmpおよび当該凝集体空隙モード径分布の半値幅ΔDmpにより規定されるΔDmp/モード径Dmpが上記範囲内にあることにより、ゴム組成物の配合成分として使用したときに、十分な補強性を付与することができるとともに、発熱性の増大を好適に抑制することができる。
【0026】
本発明に係るカーボンブラックは、窒素吸着比表面積が、60〜180m
2/gであるものが好ましく、70〜170m
2/gであるものがより好ましく、75〜160m
2/gであるものがさらに好ましい。
【0027】
本発明に係るカーボンブラックの窒素吸着比表面積が上記範囲内にあることにより、ゴム組成物の配合成分として使用したときに、得られるゴム組成物により十分な補強性を容易に付与することができるとともに、発熱性の増大をより好適に抑制することができる。
【0028】
なお、本出願書類において、窒素吸着比表面積は、JIS K6217−2 2001「ゴム用カーボンブラックの基本性能の試験方法
」により測定される値を意味する。
【0029】
本発明に係るカーボンブラックは、DBP(Dibutylphthalate)吸収量が、90〜140ml/100gであるものが好ましく、95〜135ml/100gであるものがより好ましく、100〜130ml/100gであるものがさらに好ましい。
【0030】
本発明に係るカーボンブラックのDBP吸収量が上記範囲内にあることにより、ゴム組成物の配合成分として使用したときに、カーボンブラックを好適に分散して得られるゴム組成物により十分な補強性を付与することができるとともに、粘度の上昇を抑制して十分な加工性を容易に付与することができる。
【0031】
なお、本出願書類において、DBP吸収量は、JIS K6217−4 2008「ゴム用カーボンブラックの基本製の試験法」に規定された方法により測定される値を意味する。
【0032】
次に、本発明に係るカーボンブラックを製造する方法について説明する。
本発明に係るカーボンブラックを製造する方法は、特に限定されないが、例えば、流動床反応炉内に炭化水素ガスを供給してガス流を生じさせ、前記流動床反応炉内に別途導入した原料カーボンブラックを、前記ガス流によって加熱下に攪拌、流動することにより製造することができる(本法によるカーボンブラックの製造方法を、以下、カーボンブラックの製法Aと称する)。
【0033】
カーボンブラックの製法Aにおいて、流動床反応炉中に供給する炭化水素ガスとしては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素のガス等から選ばれる一種以上が挙げられる。
【0034】
カーボンブラックの製法Aにおいて、原料カーボンブラックとしては、市販品等から適宜選択すればよく、好適には、HAF(N330)、ISAF(N220)等の、カーボンブラックの一次粒子径が小さく表面積が大きいものであって、かつ高ストラクチャーであるハード系カーボンブラックから適宜選択すればよい。
【0035】
カーボンブラックの製法Aで使用する流動床反応炉としては、例えば、
図2に示されるものを挙げることができる。
【0036】
図2に示す流動床反応炉1は概略円筒形状を有し、炉軸が垂直方向に伸びるものである。
図2に示す流動床反応炉1は、反応炉本体2の下部から上部方向に向かって炭化水素ガスを供給するガス導入口21を有するとともに、反応炉本体2の上部に排気口22を有するものである。また、
図2に示すように流動床反応炉1は、反応炉本体2の炉壁外周全体に電熱線を螺旋状に巻き付けたヒーターコイル3を有し、反応炉本体2の内部に設けられた攪拌領域4を加熱し得る構造を有している。
【0037】
カーボンブラックの製法Aにおいては、流動床反応炉に炭化水素ガスを供給してガス流を生じさせる。
【0038】
炭化水素ガスは、予熱した状態で流動床反応炉内に供給することが好ましく、この場合、予熱温度は400〜600℃が好ましく、450〜600℃がより好ましく、450〜550℃がさらに好ましく、480〜550℃が一層好ましく、480〜520℃がより一層好ましい。
【0039】
また、炭化水素ガスは、原料カーボンブラック100gあたり、流動床反応炉中に6.5〜8.5Nm
3/時となるように供給することが好ましく、7・0〜8.5Nm
3/時となるように供給することがより好ましく、7.0〜8・0Nm
3/時となるように供給することがさらに好ましく、7.5〜8.0Nm
3/時となるように供給することが一層好ましく、7.5〜7.8Nm
3/時となるように供給することがより一層好ましい。
カーボンブラックの製法Aにおいては、上記炭化水素ガスの供給量を制御することによって所望の空隙を有する凝集体を形成し、凝集体空隙モード径Dmpおよび集体空隙径分布の半値幅ΔDmp/凝集体空隙モード径Dmpが所望範囲に制御されたカーボンブラックを容易に製造することができる。
【0040】
加えて、流動床反応炉中に導入する炭化水素ガスは、ガス導入口の圧力が1.0〜2.0MPaとなるように供給することが好ましく、1.1〜2.0MPaとなるように供給することがより好ましく、1.1〜1.8MPaとなるように供給することがさらに好ましく、1.2〜1.8MPaとなるように供給することが一層好ましく、1.2〜1.5MPaとなるように供給することがより一層好ましい。
【0041】
カーボンブラックの製法Aにおいて、流動床反応炉として
図2に示すものを使用する場合には、ガス導入口21から炭化水素ガスを供給する。
【0042】
カーボンブラックの製法Aにおいては、原料カーボンブラックを予め反応炉内に導入した状態で炭化水素ガスを供給してもよいし、反応炉内に炭化水素ガスを供給した後、反応炉に別途設けた供給口から原料カーボンブラックを導入してもよい。
【0043】
原料カーボンブラックとしては、HAF(N330)、ISAF(N220)等として市販されているものを適宜使用することができる。
【0044】
カーボンブラックの製法Aにおいては、反応炉内に導入された原料カーボンブラックが、炭化水素ガスのガス流によって加熱下に攪拌、流動される。
上記加熱温度は、500〜750℃が好ましく、550〜750℃がより好ましく、550〜720℃がさらに好ましく、600〜720℃が一層好ましく、600〜700℃がより一層好ましい。
また、攪拌、流動時間は、100〜300秒間が好ましく、110〜300秒間がより好ましく、110〜280秒間がさらに好ましく、120〜280秒間が一層好ましく、120〜250秒間がより一層好ましい。
【0045】
カーボンブラックの製法Aにおいて、流動床反応炉として
図2に示すものを使用する場合には、ガス導入口21から炭化水素ガスを供給した後、ヒーターコイル2によって昇温された攪拌領域4において、原料カーボンブラックを攪拌、混合する。
【0046】
カーボンブラックの製法Aにおいて、加熱下において炉内に炭化水素ガスを供給し、該炭化水素ガスのガス流によって原料カーボンブラックを攪拌、流動することによって両者を接触させることにより、熱分解した炭化水素ガスを原料カーボンブラックを構成するアグリゲートの表面に堆積させ、さらに上記炭化水素ガスのガス流による攪拌によって、アグリゲート同士の融着および重合が促されることにより、カーボンブラックの一次粒子径サイズはそのままに、大きく凝集したアグリゲートによって構成されるカーボンブラックを得ることができると考えられる。
【0047】
カーボンブラックの製法Aにおいて、
図2に示す流動床反応炉1を使用する場合には、ヒーターコイル3による加熱条件下に反応炉1の底部のガス導入口21から炭化水素ガスを供給し、該炭化水素ガスのガス流によって攪拌領域4で原料カーボンブラックを攪拌、流動することによって両者を接触させることにより、攪拌領域4において、熱分解した炭化水素ガスを原料カーボンブラックを構成するアグリゲート表面に堆積させ、さらに上記炭化水素ガスのガス流による攪拌によって、アグリゲート同士の融着および重合が促されることにより、目的とする本発明のカーボンブラックを得ることができると考えられる。
【0048】
炭化水素ガスによる攪拌後、炭化水素ガスの供給を停止し、好ましくは窒素ガスを導入して、生成したカーボンブラックを自然冷却させることにより反応を停止させることができる。
上記窒素ガスは、流動床反応炉中に、6.5〜8.5Nm
3/時となるように供給することが好ましく、7・0〜8.5Nm
3/時となるように供給することがより好ましく、7.0〜8・0Nm
3/時となるように供給することがさらに好ましく、7.5〜8.0Nm
3/時となるように供給することが一層好ましく、7.5〜7.8Nm
3/時となるように供給することがより一層好ましい。
【0049】
冷却されたカーボンブラック粒子は、サイクロンやバッグフィルター等の分離捕集装置により分離捕集することにより、目的とするカーボンブラックを回収することができる。
【0050】
カーボンブラックの製法Aによれば、ゴム組成物の配合成分として用いたときに、得られるゴムの補強性を向上させるとともに、発熱特性を向上させることができる本発明に係るカーボンブラックを簡便に製造することができる。
【0051】
カーボンブラックの製法Aにおいては、流動床反応炉を用い、原料カーボンブラック同士を融着させることにより、目的とする本発明に係るカーボンブラックを容易に製造することができる。
【0052】
本発明によれば、補強性、発熱特性などのゴム特性を改善し得る全く新規なカーボンブラックを提供することができる。
【0053】
次に、本発明に係るゴム組成物について説明する。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対し、本発明に係るカーボンブラックを30〜100質量部含むことを特徴とするものである。
【0054】
本発明に係るゴム組成物において、ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどのジエン系ゴムから選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。
【0055】
本発明に係るゴム組成物は、本発明に係るカーボンブラックを含むものであり、ゴム組成物中に含まれるカーボンブラックの詳細については上述したとおりである。
そして、本発明に係るカーボンブラックは、所定の凝集体空隙モード径Dmpを有し、ΔDmp/モード径Dmpが所定範囲内にあるために、ゴム組成物に優れた低発熱特性と補強性を付与することができると考えられる。
【0056】
本発明に係るゴム組成物において、本発明に係るカーボンブラックの含有割合は、ゴム成分100質量部に対して30〜100質量部であり、ゴム成分100質量部に対して30〜90質量部であることが好ましく、ゴム成分100質量部に対して35〜80質量部であることがより好ましい。
本発明に係るゴム組成物において、本発明に係るカーボンブラックの含有割合が上記範囲内にあることにより、補強性および発熱性等に優れたゴム組成物を得ることができる。
【0057】
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分および本発明に係るカーボンブラックを、合計で、60〜100質量%含むものであることが好ましく、60〜99質量%含むものであることが好ましく、70〜98質量%含むものであることがより好ましく、75〜97質量%含むものであることがさらに好ましい。
【0058】
また、本発明に係るゴム組成物は、常用される、無機補強材、シランカップリング剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、加硫助剤、軟化剤、可塑剤などの必要成分を含んでもよい。
本発明に係るゴム組成物は、これ等の成分を、合計で、1〜40質量%含むものであることが好ましく、2〜30質量%含むものであることがより好ましく、3〜25質量%含むものであることがさらに好ましい。
【0059】
本発明に係るゴム組成物は、上記カーボンブラックの所望量と、必要に応じ、無機補強材、シランカップリング剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、加硫助剤、軟化剤、可塑剤等の所望量とを、ゴム成分と混練することにより得ることができる。上記混練は、公知のミキサーやミル等の混練機を用いて行うことができる。
【0060】
本発明に係るゴム組成物は、所定形状に成形した後、適宜、130〜180℃で加温して硬化することにより、所望のゴム成形体を得ることができる。
【0061】
本発明に係るゴム組成物は、得られるゴムの発熱特性を向上させることができ、補強性および発熱性がバランスよく改良されていることから、タイヤトレッド用のゴム組成物として好適に使用することができる。
【0062】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0063】
(実施例1)
図2に示す、炉軸が垂直方向に伸びる概略円筒形状を有する流動床反応炉1を用いてカーボンブラックを作製した。
図2に示す流動床反応炉1は、筐体がSUS304、内壁がムライトにより構成されるものであって、流動床反応炉1を構成する反応炉本体2は、下部から上部方向に向かって炭化水素ガスを供給するガス導入口21(内径50mm)を有するとともに、反応炉本体2の上部に排気口22(内径30mm)を有するものである。また、
図2に示すように、流動床反応炉1は、反応炉本体2の炉壁外周全体に電熱線を螺旋状に巻き付けたヒーターコイル3を有し、反応炉本体2内部の攪拌領域4(内径100mm、高さ200mm)を加熱し得る構造を有している。
また、反応炉本体2とガス導入口21との連結部には、SUS製フィルタ5(メッシュ間隔0.2mm)を設置した。
【0064】
上記流動床反応炉1の攪拌領域4に原料カーボンブラック1(窒素吸着比表面積が90m
2/g、DBP吸収量が106ml/100gであるもの)100gを導入した後、上記攪拌領域4をヒーターコイル3によって700℃に加熱し、次いでガス導入口21から500℃に予熱した炭化水素ガス(都市ガス13A:比重0.638、CH
489.6%、発熱量45MJ/m
3)を7.2Nm
3/hで供給してガス導入口の圧力が1.3MPaとなるように供給して、上記原料カーボンブラック1を2分間攪拌、流動した後、ヒーターコイル3による加熱を停止し、室温で冷却することにより、目的とするカーボンブラック1を得た。
得られたカーボンブラック1の窒素吸着比表面積、DBP吸収量、凝集体空隙モード径Dmp、凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmp、および上記凝集体空隙モード径Dmpと凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpにより規定されるΔDmp/モード径Dmpを表1に示す。
【0065】
(実施例2〜実施例6)
実施例1における原料カーボンブラック1を、実施例2においては原料カーボンブラック2(窒素吸着比表面積が120m
2/g、DBP吸収量が110ml/100gであるもの)、実施例3においては原料カーボンブラック3(窒素吸着比表面積が101m
2/g、DBP吸収量が90ml/100gであるもの)、実施例4においては原料カーボンブラック4(窒素吸着比表面積が75m
2/g、DBP吸収量が99ml/100gであるもの)、原料カーボンブラック5(窒素吸着比表面積が70m
2/g、DBP吸収量が89ml/100gであるもの)、原料カーボンブラック6(窒素吸着比表面積が71m
2/g、DBP吸収量が84ml/100gであるもの)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様に処理することにより、各々カーボンブラック2〜カーボンブラック6を得た。
得られたカーボンブラック2〜カーボンブラック6の窒素吸着比表面積、DBP吸収量、凝集体空隙モード径Dmp、凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmp、および上記凝集体空隙モード径Dmpと凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpにより規定されるΔDmp/モード径Dmpを表1に示す。
【0066】
(比較例1)
実施例1において、炭化水素ガス供給量を7.2Nm
3/hから0Nm
3/hに変更した(炭化水素ガスを供給しない)以外は、実施例1と同様に処理して比較カーボンブラック1を作製した。得られた比較カーボンブラック1の窒素吸着比表面積、DBP吸収量、凝集体空隙モード径Dmp、凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmp、および上記凝集体空隙モード径Dmpと凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpにより規定されるΔDmp/モード径Dmpを表2に示す。
【0067】
(比較例2〜比較例4)
比較例1における原料カーボンブラック1を、比較例2においては原料カーボンブラック5(窒素吸着比表面積が126m
2/g、DBP吸収量が125ml/100gであるもの)、比較例3においては原料カーボンブラック6(窒素吸着比表面積が62m
2/g、DBP吸収量が81ml/100gであるもの)、比較例4においては原料カーボンブラック7(窒素吸着比表面積が100m
2/g、DBP吸収量が110ml/100gであるもの)にそれぞれ変更した以外は、比較例1と同様に処理することにより、各々比較カーボンブラック2〜比較カーボンブラック4を得た。
得られた比較カーボンブラック2〜比較カーボンブラック4の窒素吸着比表面積、DBP吸収量、凝集体空隙モード径Dmp、凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpおよび上記凝集体空隙モード径Dmpと凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpにより規定されるΔDmp/モード径Dmpを表2に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
(実施例7〜実施例10)
実施例1における炭化水素ガス供給量を、実施例7においては6.7Nm
3/h、実施例8においては7.5Nm
3/h、実施例9においては8.0Nm
3/h、実施例10においては8.2Nm
3/hにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様に処理することにより、各々カーボンブラック7〜カーボンブラック10を得た。
得られたカーボンブラック7〜カーボンブラック10の窒素吸着比表面積、DBP吸収量、凝集体空隙モード径Dmp、凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpおよび上記凝集体空隙モード径Dmpと凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpにより規定されるΔDmp/モード径Dmpを表3に示す。
【0071】
(比較例5〜比較例8)
実施例1における炭化水素ガス供給量を、比較例5においては5.0Nm
3/h、比較例6においては6.0Nm
3/h、比較例7においては9.4Nm
3/h、比較例8においては10.5Nm
3/hにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様に処理することにより、各々比較カーボンブラック5〜比較カーボンブラック8を得た。
得られた比較カーボンブラック5〜比較カーボンブラック8の窒素吸着比表面積、DBP吸収量、凝集体空隙モード径Dmp、凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpおよび上記凝集体空隙モード径Dmpと凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpにより規定されるΔDmp/モード径Dmpを表4に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
表1〜表4に示すように、各実施例および比較例において、凝集体空隙径分布に一定の広がりがあるカーボンブラックを形成することができた。
【0075】
実施例1〜実施例10で得られたカーボンブラック1〜カーボンブラック10、比較例1〜比較例8で得られた比較カーボンブラック1〜比較カーボンブラック8において、各凝集体空隙モード径Dmpに対するΔDmp/モード径Dmpの関係を
図3に示す。
【0076】
(ゴム組成物の製造例)
表5に示すように、ゴム成分である天然ゴム(RSS#1)100質量部、上記実施例および比較例で得られた何れかのカーボンブラック45質量部、ステアリン酸3質量部、老化防止剤(川口化学(株)製 アンテージ6C)1質量部、亜鉛華4質量部とを、密閉型ミキサー(神戸製鋼(株)製MIXTRON BB−2)で混練した後、得られた混練物に対し、加硫促進剤(川口化学工業(株)製アクセルNS)0.5質量部と、硫黄1.5質量部とをオープンロールで混練することにより、各々表5に示す組成を有するゴム組成物を得た。
【0077】
【表5】
【0078】
次いで、得られた各ゴム組成物を145℃の温度条件下、35分間加硫して加硫ゴムを形成した。
得られた加硫ゴムを用い、以下に示す方法により、動的貯蔵弾性率(E’)、損失係数(tanδ)を測定した。結果を表6〜表9に示す。
なお、表6〜表9においては、使用した各カーボンブラックが得られた実施例および比較例毎に動的貯蔵弾性率(E’)、損失係数(tanδ)の結果を示している。
【0079】
<動的貯蔵弾性率(E’)、損失係数(tanδ)>
得られた各加硫ゴムから切り出した、厚さ2mm、長さ35mm、幅5mmの試験片を用い、粘弾性スペクトロメータ((株)上島製作所製VR−7110)を用い、周波数50Hz、動的歪率1.26%、測定温度60℃の測定条件で、動的貯蔵弾性率(E’)および損失係数(tanδ)を測定した。
なお、動的貯蔵弾性率(E’)は値が大きいほど補強性が高いことを示し、損失係数(tanδ)は、値が小さいほど発熱性が低いことを示している。
【0080】
【表6】
【0081】
【表7】
【0082】
【表8】
【0083】
【表9】
【0084】
実施例1〜実施例10および比較例1〜比較例8で得られたカーボンブラックを各々用いて作製された加硫ゴムの動的貯蔵弾性率(E’)および損失係数(tanδ)を
図4に示す。
【0085】
表6、表8および
図4の結果から、実施例1〜実施例10で得られたカーボンブラックを各々用いて作製された加硫ゴムは、カーボンブラックとして、凝集体空隙モード径Dmpが25nm〜60nmであるとともに、当該凝集体空隙モード径Dmpおよび凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpにより規定されるΔDmp/モード径Dmpが0.30〜0.56であるものを用いてなるものであることから、いずれも動的貯蔵弾性率(E’)が高く、損失係数(tanδ)が低いものであり、このため、補強性が高く、発熱性が低いものであって両者がバランス良く改良されてなるものであることが分かる。
【0086】
一方、表7、表9および
図4の結果から、比較例1〜比較例8で得られた比較カーボンブラックを各々用いて作製された加硫ゴムは、カーボンブラックとして、凝集体空隙モード径Dmpが25nm〜60nmの範囲外であるものや(比較例8)、凝集体空隙モード径Dmpおよび凝集体空隙径分布の半値幅ΔDmpにより規定されるΔDmp/モード径Dmpが0.30〜0.56の範囲外にあるもの(比較例1〜比較例7)を用いてなるものであることから、動的貯蔵弾性率(E’)が低かったり(比較例7、比較例8)、損失係数(tanδ)が高い(比較例1〜比較例6)ものであり、このために、補強性が低く、発熱性が高いものであることが分かる。