特許第6233757号(P6233757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特許6233757-漏れ検出システムを検査する方法 図000002
  • 特許6233757-漏れ検出システムを検査する方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233757
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】漏れ検出システムを検査する方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/26 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   G01M3/26 Z
【請求項の数】12
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-540150(P2015-540150)
(86)(22)【出願日】2013年11月4日
(65)【公表番号】特表2015-537209(P2015-537209A)
(43)【公表日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】EP2013072955
(87)【国際公開番号】WO2014068118
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】102012220108.4
(32)【優先日】2012年11月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500469855
【氏名又は名称】インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Inficon GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(72)【発明者】
【氏名】デッカー,シルヴィオ
(72)【発明者】
【氏名】ダウエンハウアー,ミカエル
【審査官】 素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−286928(JP,A)
【文献】 特表2004−525372(JP,A)
【文献】 特開2000−292301(JP,A)
【文献】 実開平02−140439(JP,U)
【文献】 実開平02−113145(JP,U)
【文献】 米国特許第05363689(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0139787(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体で充填される空洞(12)及びテストリーク(16)を備える漏れ検出装置(10)を用いて漏れ検出システムを検査する方法であって、
(ステップa)前記空洞(12)内部の内部圧力(P1)が周囲大気圧に相当するまで前記空洞(12)を外気で充填し、
(ステップb)前記漏れ検出装置(10)を囲む領域の外部圧力(P2)を前記内部圧力(P1)より低く設定し、
(ステップc)前記漏れ検出装置(10)の前記テストリーク(16)を通して内側から外側へ流れる空気の漏れ速度を測定し、
(ステップd)前記漏れ検出装置(10)を囲む前記領域の前記外部圧力(P2)、前記周囲大気圧を有する外気からなる大気の圧力に設定する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップaにおいて前記漏れ検出装置(10)は、前記外部圧力(P2)としての前記周囲大気圧にて充填されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記テストリーク(16)を通して前記漏れ検出装置(10)が充填されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記周囲大気圧は、980〜1050mbarの範囲内の圧力であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記周囲大気圧は、1000〜1020mbarの範囲内の圧力であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記周囲大気圧は、1013mbar程度であることを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップbにおいて前記外部圧力(P2)は真空圧力であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップdにおいて前記内部圧力(P1)が前記外部圧力(P2)より低いことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも前記ステップc及びdが実行される間、前記テストリーク(16)が開口していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記漏れ検出装置(10)は、前記外部圧力(P2)が前記内部圧力(P1)を超えると自動的に開いて再充填する圧力制御バルブ(18)を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記漏れ検出装置(10)が検査室内に配置され、前記ステップcにおける前記漏れ速度が前記検査室内の前記外部圧力(P2)の増加によって測定されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップa〜dを少なくとももう1回反復し、既に行われた前記ステップdを利用して前記ステップaにしたがい前記空洞(12)を充填することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテストリーク(Pruefleck(ueはuウムラウト))を備える漏れ検出装置を用いて漏れ検知システムを検査するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非漏出性の試験用標本を検査するために使用される漏れ検知システムを検査するか又は較正する際には、特定の既知の漏れ速度を有するテストリークが使われる。テストリークは、空気で満たすことができる空洞を有する漏れ検出装置の部品である。テストリークは、漏れ検出装置の空洞を囲む壁に形成されている。概して、試験用標本は、食料雑貨や医薬品の包装、又は医学分野で使用する目的の無菌包装からなる。漏れ検出検査は、包装された製品の損傷をもたらしうる包装の漏れを確認するために使われる。非漏出性の検査がされる試験用標本は、製品の包装を形成する薄壁を有する。漏れ検出装置は、試験用標本の壁の外に添付されてもよく、又は試験用標本と無関係に検査されてもよい。
【0003】
漏れ検出検査は、漏れ検知システムを用いて自動的に実行される。包装の少量の漏洩であっても包装された製品の損傷をもたらしうるので、漏れ検知システム及び漏れ検出器は、少量の漏れを高度な信頼性で特定できなければなければならない。漏れ検知システムは、定期的に検査され、必要に応じて較正されてなければならない。そのため、テストリークは、既知の特定の漏れ速度を有する漏れ検査装置を囲む壁に形成される。
【0004】
漏れ検知システムを検査するために、このようなテストリークの漏れ速度を測定することが知られている。そうするために、漏れ検出装置の空洞は気体(多くの場合空気である)が充填される、そして、このため、テストリークは内部からの圧力にさらされる。空洞は、テストリークを通る特定の及び既知の漏れ速度を有する閉体積として設計される。漏れ速度は、テストリークの基準値によって、且つ空洞内の内部圧力と漏れ検出装置の外側の外部圧力間の圧力の差によって定まる。漏れ検出装置の空洞が検査の開始時に一度充填されると、ある検査から次の検査までの期間、検査中の気体の漏洩のため漏れ検出装置の内部圧力が減少する。この圧力の減少は、漏れ速度及びテストリークを使用する頻度に正比例して増加する。その結果、漏れ検出装置の漏れ速度は絶え間なく減少するので、漏れ検出装置を手動で再充填するか、又は、テストリークを新たに較正する必要がある。
【0005】
漏れ検出装置は、例えば、試験用標本、すなわち食品パッケージ又は他のタイプの包装であってよい。あるいは、漏れ検出装置は、試験用標本とは別個に設計されて、例えば、試験用標本の外側に添付されてもよい。
【0006】
本発明は、テストリークを備える漏れ検出装置を用いて漏れ検知システムを検査するための、改良された方法を提案するという目的に基づく。
【発明の概要】
【0007】
本発明による方法は、請求項1の特徴によって定められる。すなわち、
a) 周囲大気圧に相当する内部圧力P1が空洞の内部に行き渡るまで、漏れ検出装置の空洞を外気で満し、
b) そして、試験用標本の外側の領域の圧力を、内部圧力P1より低い外部圧力P2に設定し、
c) その後、テストリークを通して内部から外側へ流れる空気の漏れ速度を測定し、
d) 最後に、漏れ検出装置を囲む領域の外部圧力P2を、周囲大気圧まで増加させる。
【0008】
ステップa),b),c)及びd)を、この順序で順次実行する。空洞が外気で満たされて、その後、ステップb)によって、漏れ検出装置を囲む外部圧力P2を大気圧より低い圧力へ減少させ、空洞の内部圧力を空洞の外側の外部圧力より高くする。その結果、空気は、テストリークを通して内部から外部へ空洞から流出する。空気が流出している間、例えば、漏れ検出装置の外側の圧力の上昇を測定するといった既知の漏れ検査方法によって、テストリークの漏れ速度を測定するか又は決定する。
【0009】
測定又は判定の完了後、漏れ検出装置は、外部圧力P2として周囲大気圧を有する、漏れ検出装置を囲む外気の大気にさらされる。漏れ検出装置を囲んでいる領域の外部圧力は、空洞の内部の内部圧力より高く、空気は、テストリークを通して漏れ検出装置の外部の大気から漏れ検出装置の内部へ流れる。その結果、漏れ検出装置は再び外気で充填される。空洞の内部圧力が周囲大気圧に相当するまで、外大気圧を維持する。上記方法を、更なる検査を実行するために繰り返してもよい。
【0010】
漏れ検出装置はテストリークを通して周囲大気圧で充填する必要がある。空洞の充填を加速するためには、空洞を囲む漏れ検出装置の壁は、テストリークに加えて、漏れ検出装置を囲んでいる周囲外部圧力が空洞内の内部圧力を上回るとすぐに自動的に開く圧力制御バルブを備えてもよい。
【0011】
大気圧は、980〜1050mbarの範囲の圧力であってよく、好ましくは1000〜1020mbarの範囲の圧力であってよく、さらに好ましくは、約1013mbarであってよい。
【0012】
ステップb)における漏れ検出装置の外側の領域の外部圧力は、300mbar未満(低真空)又は10−3mbar(高真空)未満であることが有利である。
【0013】
漏れ検出装置がステップd)を用いて再充填されるときに、空洞の内部の内部圧力P1は漏れ検出装置を囲んでいる領域の外部圧力P2より低い。少なくとも、ステップc)及びd)を実行するときに、外気がテストリークを通して流れることができるように、テストリークは開口していなければならない。圧力制御バルブを追加する場合、空洞への外気の充填を加速するために、外部圧力P2が内部圧力P1より大きいとすぐにバルブが自動的に開く。
【0014】
ステップa)〜d)は、少なくとも一回実行されることが有利であり、特に、次々と複数回実行して、次の検査の方法ステップa)を先の検査の方法ステップd)の後に続けることが有利である。これにより、方法ステップd)の結果、それに続く各検査の方法ステップa)が実行される、そして、このようにして、周囲大気圧が空洞の内部に行き渡るまで空洞は再充填される。
【0015】
本発明は、特に漏れ速度が高い圧力測定の回数が増加する場合に、積極的に漏れ検出装置を充填せずに、漏れ検出装置を自動的に再充填できるという効果を提供する。漏れ検出装置は自動的に充填され、そして、その結果、維持管理は殆ど不要である。
【0016】
以下において、本発明の例示的な実施形態は、図面を用いて更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】漏れ速度の測定中の漏れ検出装置の概略図である。
図2】再充填中の図1による説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図は、漏れ検出装置10の模式的断面を示す。漏れ検出装置10は、孔状のテストリーク16が設けられた壁14を有し、空洞12は壁14によって囲まれている。テストリーク16は、小さなを有する透過漏れ口、毛細管、調整可能開口又は小口径の単純な孔であってよい。
【0019】
圧力制御バルブ18は、壁14の異なる部分に形成されている。圧力制御バルブ18は、孔20と膜22からなり、膜22は、過度の圧力がある場合に孔20の領域で壁14に対して内部から押圧して、孔を封止する。これは、図1に示される。図2に示されているように外部の過度の圧力がある場合には、孔20を通して外側から流れる空気が膜22を内側に押圧するので、圧力制御バルブ18が開いて空気が空洞12に流れ込むことができる。
【0020】
漏れ検知システムを検査する際、第一段階では、空洞12の内部の内部圧力P1が約1013mbarの大気圧に相当するまで、漏れ検出装置の環境からの空気で空洞12が充填される。初めて空洞12を充填する時、空洞12の外側の外部圧力P2は、少なくとも大気圧でなければならならず、内部圧力P1が大気圧に調整されなければならない。
【0021】
空洞が充填されたあと、空洞12の外側の外部圧力P2、すなわち漏れ検出装置10を囲む領域に行き渡った圧力P2を、内部圧力P1より低い真空圧力まで低下させる。典型的には、真空圧力は300mbarより低い。
【0022】
内部圧力P1に比べて外部圧力P2を下げた後、テストリークを通して内部から外側へ流れる気体の漏れ速度を、外部圧力P2の増加を測定することによって測定する。
そのため、テストリークだけにより圧力P2が増加するように、漏れ検出装置は気密検査室内に収容される。
【0023】
測定を実行する間、外部圧力P2が上昇する一方で、内部圧力P1は外部圧力P2に対して連続的に低下し、徐々に外部圧力P2に接近する。漏れ速度が測定されたあと、漏れ検出装置10は大気圧の外気からなる気体雰囲気中に入れられる。それから外部圧力P2は、少なくとも1000mbar(大気圧)になり、このように、空洞12の内部に行き渡っている内部圧力P1より高くなる。それから、漏れ検出装置10を囲む空気は、自動的にテストリーク16を通して、及び圧力制御バルブ18を通して、内部圧力P1が外部の周囲圧力P2に相当するまで、空洞12へ流れる。内部圧力P1が外部圧力P2に相当するか、又は少なくとも、十分な980mbarの大気圧に相当すると、新しい検査の実行のために空洞が再充填される。その後、新規な検査のためにステップb)c)及びd)が用いられてよい。
図1
図2