(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る物品管理装置1を示すとともに、顧客aから預り物3を預かって処理してから顧客aに返却する流れを示す図である。
図1では、図面の右側領域において点線で囲った枠が、物品管理装置1が適用される金融機関(ここでは銀行)の建物を想定していて、当該枠の内側が、銀行の内部エリアである。銀行の内部エリアには、今回の物品管理装置1や、いわゆる本金庫(最重要物を保管するための大型の金庫)2が設置されている。また、これからの説明では、顧客a、渉外担当者b、役席者cおよび事務担当者dという人物が主に登場する。
【0017】
ここでの顧客aは、原則として、銀行での取引を行いたい場合でも銀行に直接赴かない者(大口の得意先等)を想定している。渉外担当者bは、外回りで顧客aから依頼の取り次ぎをすること(渉外)を担当業務の一部とする銀行員である。役席者cは、銀行における渉外担当者bの上司である。事務担当者dは、渉外担当者bが顧客aから受任した取引を処理する課(預金課等)に所属する銀行員である。
【0018】
以下では、
図1を参照して、顧客aの所望する取引が処理される流れを簡単に説明する。ここでの取引は、一例として、顧客aが、現金と自身の通帳とを渉外担当者bに預けて、その現金を入金し、入金内容が記帳された通帳を返却してもらうことであるとする。ここでの現金および通帳を、以下では「預り物3」ということにする。預り物3には、ここで言う現金や通帳の他に、小切手や手形や証書等が挙げられる。
【0019】
この取引に先立って、役席者cは、新規(未使用)の預り帳4を渉外担当者bに払い出している(
図1の矢印(1)を参照)。預り帳4というのは、
図2において模式的に示されており、多数枚の預り証5を積層して綴じた帳面である。1枚の預り証5は、
図3において模式的に示されている。
預り証5は、紙片である。預り証5には、取引の依頼を受けた日付を記入するための注文日付欄5Aと、預り証5毎に割り振られる(預り証5の)識別番号である預り証番号5B(
図3では、00001)と、取引相手である顧客aの名前を記入するための顧客名欄5Cと、取引において印紙税の要否および印紙税の額(領収書に貼り付ける印紙の総額)を記入するための印紙欄5Dとが予め印刷されている。またに、預り証5には、顧客aの口座の番号、科目等(当座か普通か等)と、処理内容(今回依頼された取引の内容)と、今回取り引きされる金額および受取物件(今回の取引における預り物3の名前)とを記入するための取引内容欄5Eが予め印刷されている。また、預り証5には、依頼された取引を銀行側が処理した日付を記入するための処理日記入欄5Fと、お届け予定日(依頼された取引の処理を完了して預り物3を顧客aに返却する日であり、処理期日ともいう)を記入するための処理期日記入欄5Gとが予め印刷されている。また、預り証5には、お届け物件(顧客aに返却する預り物3の名前)を記入するためのお届け物件記入欄5Hと、取扱者(今回の取引の依頼を受けた渉外担当者b)の名前を記入するための取扱者名記入欄5Iとが予め印刷されている。なお、
図3における預り証5の印刷内容は、あくまで一例であり、銀行毎に異なっていてもよい。
【0020】
また、預り証5には、預り証番号が同じものが、顧客a用の控え(「預り証(客控え)5」ということにする)と、銀行側の控え(「預り証(店控え)5」ということにする)というように、少なくとも2種類ある。預り証番号が同じ複数の預り証5は、一綴り(ひとまとまり)になって、預り帳4に綴じられている。預り証番号が同じ複数(一綴り)の預り証5は、カーボン紙等を用いた複写伝票になっていて、たとえば、預り証(客控え)5に記入した内容が、預り証(店控え)5に複写されるようになっている。また、この実施形態では、1冊の預り帳4に、50綴り(50セット)の預り証5(預り証番号が同じ預り証5の綴り)が綴じられている。そのため、1冊の預り帳4では、預り証5の各綴り(各セット)の預り証番号が1番目〜50番目までの連番になっている。
図3の場合には、00001の預り証番号が、預り帳4における先頭の預り証5の預り証番号(「預り証先頭番号」ということにする)であるとすると、この預り帳4には、預り証番号が00002〜00050までの残り49綴りの預り証5が綴じられている。
【0021】
前述したように役席者cから新規(未使用)の預り帳4が払い出された渉外担当者bは、外回りで顧客aを訪問し、顧客aから所望の取引(ここでは、現金の入金)についての依頼を受ける。
この際、渉外担当者bは、預り帳4をめくって新規(未記入)の預り証5を見つけ、この預り証5の各記入欄に、今回の取引に関する必要事項を記入する。具体的には、注文日付欄5Aには、依頼を受けた本日の日付が記入され、顧客名欄5Cには、顧客aの名前が記入される。また、取引内容欄5Eには、顧客aの(今回は入金先となる)口座の番号と、科目等と、処理内容(今回は入金)と、取引される金額(今回は入金額)と、今回の預り物3を示す受取物件(今回は現金および通帳)とが記入される。また、処理期日記入欄5Gには、顧客aから指定された処理期日が記入される。また、お届け物件記入欄5Hには、顧客aに返却する預り物3の名前が記入され、取扱者名記入欄5Iには、今回の取引の依頼を受けた渉外担当者bの名前が記入される。なお、ここでの「記入」とは、数字や文字を記入するだけでなく、預り証5に印刷された事項を○(まる)等で囲ったり、捺印したりすることも含まれる。
【0022】
そして、
図1を参照して、渉外担当者bは、今回の取引に関する必要事項が記入された預り証5のうち、前述した預り証(客控え)5を発行して(預り帳4から切り離して)顧客aに手渡し(矢印(2)を参照)、その引き換えに、顧客aから預り物3(ここでは、現金および通帳)を顧客aから預かる(矢印(3)を参照)。つまり、渉外担当者bは、預り物3の持ち主である顧客aに対して当該預り物3と預り証(客控え)5とを引き換える。ここでの預り証5の預り番号が、今回の預り物3を識別するための識別情報となっている。なお、渉外担当者bが預り証(客控え)5を顧客aに手渡すタイミングと、渉外担当者bが顧客aから預り物3を受け取るタイミングとは、前後してもよいし、同じであってもよい。
【0023】
そして、渉外担当者bは、顧客aから預った預り物3と、先ほど顧客aに手渡した預り証(客控え)5と預り証番号が同じ預り証(店控え)5(預り帳4から切り離される)とを、透明な小袋6に収納して密封し、その他の用事がなければ、銀行へ戻る(矢印(4)を参照)。
渉外担当者bが銀行に戻ると、物品管理装置1において、今回の取引および預かり物3の内容が登録される(矢印(4)を参照)。次いで、役席者cが、先ほど預かり物3について登録された内容と、実際の預り物3(現物)とが一致していることを確認する(矢印(5)を参照)。具体的には、まず、役席者cの代理者(「取扱い確認者」とも呼ばれる)が、今回の取引内容および預り物3の確認(検品)を行ない、今回の確認が済んだことの証明として、物品管理装置1に所定の入力(確認入力)を行なう。次いで、役席者c自身が、代理者による確認入力に応じて、物品管理装置1に所定の入力(受領入力)を行なう。ちなみに、役席者cの代理者が検品するのではなく、役席者c本人が検品してもよい。また、受領入力は、役席者cでなく、事務担当者dによって行われても構わない。以上のような確認(確認処理)の後、預り物3(現物)が物品管理装置1に保管される。なお、役席者cによる確認の前から、預り物3(現物)が物品管理装置1に保管されても構わない。そして、事務担当者dが、物品管理装置1に保管された預り物3を取り出して、この預り物3についての顧客aから依頼された取引(今回は入金)の処理を行ってから当該預り物3を物品管理装置1に戻す(矢印(6)を参照)。
【0024】
顧客aから依頼された取引が完了すると、渉外担当者bは、物品管理装置1から預り物3(今回は入金の取引なので、顧客aに返却する預り物3は、原則として通帳のみである)を取り出して、顧客aを訪問する。ここでの訪問に先立って、役席者cは、今回の取引に関する処理が全て完了したとしたことを、今回の取引に係る預り証5の預り証番号に関連付けて、物品管理装置1に登録する(矢印(7)を参照)。そして、顧客aを訪問した渉外担当者bは、顧客aに預り物3を返却する(矢印(8)を参照)。そして、預り物3の返却と引き換えに、渉外担当者bは、顧客aから預り証(客控え)5を受け取る(矢印(9)を参照)。なお、預り物3の返却の際、渉外担当者bは、顧客aから預り証(客控え)5を受け取るのではなく、預り証(店控え)5に顧客aから受領印を押してもらって、当該預り証(店控え)5を持ち帰る場合もあり得る。一方、顧客aが不在である等の理由によって、預り物3を顧客aに返却できなかった場合には、渉外担当者bは、銀行に戻り、この預り物3(「未返却預り物3」ということにする)と店控えの預り証5とを収納した小袋6を物品管理装置1に再保管する(矢印(10)を参照)。未返却預り物3は、顧客aから依頼された取引についての処理が完了し、返却のために物品管理装置1から一旦取り出された処理済みの預り物3のことである。
【0025】
以上が、顧客aの所望する取引が処理される一連の流れである。なお、物品管理装置1に関して前述したように各銀行員によって行われた様々な処理については、以降で詳しく説明する。
次に、物品管理装置1について説明する。
物品管理装置1は、銀行の内部エリアにおいて本金庫2とは別の位置(具体的には、銀行員が業務を行う営業室)に常設されていて、前述した預り物3を含む重要な貴重品(以下では「物品」と総称する)を管理する重要物管理装置である。物品管理装置1は、所定時間(たとえば1時間)の間において火事から物品を保護できるように耐火性を有している。
【0026】
物品管理装置1は、収納ユニット10と、操作制御ユニット11とを含んでいる。収納ユニット10は、1台または複数台(ここでは1台)設けられている。操作制御ユニット11に対して収納ユニット10を連結することによって物品管理装置1が構成されている。
収納ユニット10の全体形状は、直方体形状であって、
図1では比較的縦長である。 収納ユニット10は、物品を収納するための複数(ここでは3つ)の収納部X〜Zで構成されている。収納部X、収納部Yおよび収納部Zは、上からこの順に並んでいる。物品管理装置1の利用者は、収納部X〜Zのいずれかに対して物品を取り出したり収納したりする(出し入れする)ことができる。
【0027】
収納部Xを参照して、各収納部は、正面(
図1の紙面手前側)に開口部を有する立方体状の空間であって物品を収納する収納スペース12と、収納スペース12の正面の開口部を開閉する扉13とを含んでいる。扉13の正面には、利用者(銀行員)が指を掛けるための凹状の取っ手14と、鍵穴15とが設けられている。
収納部X〜Zでは、扉13が、その裏側に物品を収容できる引き出しを構成している。取っ手14に指を掛けて手前に引くと、収納部内の物品が扉13(引き出し)とともに収納スペース12の外部へ引き出されるようになっていて、このときの収納部は、開いた状態にある。逆に、取っ手14に指を掛けて扉13を逆向き(物品管理装置1の奥側)に押し込むと、収納スペース12が扉13によって正面側から塞がれ、物品が収納スペース12内に収納された状態になり、このときの収納部は、閉じた状態にある。
【0028】
図4を参照して、収納部Xの収納スペース12は、渉外担当者bが顧客aから預った預り物3(厳密には、当該預り物3と預り証(店控え)5とを収納した小袋6であり、以下同じ)の保管スペースとなっている。収納部Xの収納スペース12には、上下に延びる複数の仕切り板17が設けられている。この実施形態では、仕切り板17は、3枚設けられていて、これらの仕切り板17は、収納スペース12の奥行き方向(扉13側と、扉13の反対側とを結ぶ方向であり、物品管理装置1の前後方向)に間隔と隔てて並んでいる。これら3枚の仕切り板17によって、収納部Xの収納スペース12は、前記奥行き方向において、4つの保管部18に仕切られている。4つの保管部18のそれぞれを、扉13に近い順に、保管部18A、18B、18Cおよび18Dと区別して呼ぶことがある。
【0029】
保管部18Aは、複数の渉外担当者bによって共同利用(共用)される保管部18であり、他の保管部18B〜18Dでの保管対象でない物品が収納される。
保管部18Bには、処理期日が当日(顧客aから取引の依頼を受けたその日をいい、以下同じ)である預り物3が保管される。保管部18Bは、仕切り板17よりも小さい複数の小仕切り板19によって、複数の小保管部20に仕切られている。各小保管部20は、いずれかの渉外担当者bの専用となっている。よって、渉外担当者bは、処理期日が当日である預かり物3があれば、その預かり物3を、自身専用の小保管部20に保管する。
【0030】
保管部18Cは、複数の渉外担当者bによって共用される保管部18であり、保管部18Cには、処理期日が当日の翌日である預かり物3が保管される。なお、ここで言う「翌日」とは直近の次の営業日(翌営業日)のことをいい、翌々日や、当日から所定日数後の場合においても、営業日を基準としている。
保管部18Dには、蛇腹状の仕切り部材21がセットされている(なお、
図4では仕切り部材21の途中部分を点線で簡略化して図示している)。保管部18Dは、仕切り部材21によって、前記奥行き方向に並ぶ多数の小保管部22に仕切られている。1つの小保管部22は、蛇腹状の仕切り部材21において上方へ開放された1つの凹状スペースである。たとえば、小保管部22は、1月分の日数に相当する個数(31個)設けられている。そして、保管部18Cに最も近い(扉13側の)小保管部22には、処理期日が当日の翌々日(つまり、翌日から1日後)である預かり物3が保管される。保管部18Cに2番目に近い小保管部22には、処理期日が当日の翌日から2日後である預かり物3が保管される。このように、保管部18Dでは、当日の翌々日以降の処理期日毎に、小保管部22が1つずつ設けられている。各小保管部22は、複数の渉外担当者bによって共用される。また、仕切り部材21の蛇腹部分を広げたり狭めたりすることによって、個々の小保管部22の広さを調節することができる。そのため、ある処理期日において多数の取引が集中していても、その処理期日に対応する小保管部22は、広くすることができるので、当該多数の取引に関する全ての預り物3を収納できる。一方、取引のない処理期日の小保管部22は、収納する預り物3がないので、省スペース化のために狭くすることができる。
【0031】
収納部Xの変形例として、
図5に示すように、収納スペース12に、渉外担当者bの人数分の収納ボックス23が、前記奥行き方向に並んで収納されていてもよい。各収納ボックス23は、いずれかの渉外担当者bの専用である。各渉外担当者bは、預り物3がある場合、自身専用の収納ボックス23を収納スペース12から引き出し(
図5の点線および矢印参照)、この収納ボックス23に当該預り物3を収納して、収納ボックス23を収納スペース12に戻す。
【0032】
図6を参照して、収納部Yの収納スペース12は、事務担当者dが、顧客aから依頼された取引について処理しようとする際に、顧客aの預り物3を一時保管するスペースとなっている。収納部Yの収納スペース12には、上下に延びる1枚の仕切り板24が設けられていて、この仕切り板24によって、収納部Yの収納スペース12は、前記奥行き方向において、2つの保管部25に仕切られている。2つの保管部25のそれぞれを、扉13に近い順に、保管部25Aおよび25Bと区別して呼ぶことがある。
【0033】
保管部25Aは、処理期日が当日または翌日であって処理が途中(仕掛り中)の取引についての預かり物3が保管される。
保管部25Bには、蛇腹状の仕切り部材26がセットされている(なお、
図6では仕切り部材26の途中部分を点線で簡略化して図示している)。保管部25Bは、仕切り部材26によって、前記奥行き方向に並ぶ多数の小保管部27に仕切られている。1つの小保管部27は、蛇腹状の仕切り部材26において上方に開放された1つの凹状スペースである。たとえば、小保管部27は、前述した小保管部22(
図4参照)と同様に、当日の翌々日以降の処理期日毎に、1つずつ設けられている。よって、ある処理期日(当日の翌々日以降)の仕掛り中の取引についての預かり物3が、当該処理期日専用の小保管部27に保管される。また、仕切り部材26(
図4参照)と同様に、仕切り部材26の蛇腹部分を広げたり狭めたりすることによって、個々の小保管部27の広さを調節することができる。なお、顧客aから依頼された取引が完了した預り物3は、事務担当者dによって、収納部Xにおいてその取引の処理期日に対応するスペース(たとえば、該当する小保管部22であり、
図4参照)に戻される。
【0034】
図7を参照して、収納部Zの収納スペース12には、上下方向に延びる複数の仕切り板28が設けられている。この実施形態では、仕切り板28は、3枚設けられていて、これらの仕切り板28は、収納スペース12の前記奥行き方向に間隔と隔てて並んでいる。これら3枚の仕切り板28によって、収納部Zの収納スペース12は、前記奥行き方向において、4つの保管部29に仕切られている。4つの保管部29のそれぞれを、扉13に近い順に、保管部29A、29B、29Cおよび29Dと区別して呼ぶことがある。
【0035】
保管部29Aには、物品管理装置1における管理データを印刷(紙出力)したものである各種の管理帳票(後述する
図16〜
図21参照)等が保管される。
保管部29Bには、新規(未使用)の預り帳4が保管される。
保管部29Cおよび29Dは、前述した未返却預り物3(依頼された取引について処理済みの預り物3)を保管する処理済み用保管部である。保管部29Cには、未返却預り物3のうち保管期間が短いものが保管される(ここでの保管期間は、後述するように30日である)。保管部29Dには、未返却預り物3のうち保管期間が長いものが保管される(ここでの保管期間は、後述するように30日より長い)。つまり、保管部29Cは、未返却預り物3を第1の保管期間に亘って保管する第1処理済み用保管部であり、保管部29Dは、未返却預り物3を、第1の保管期間よりも長い第2の保管期間に亘って保管する第2処理済み用保管部である。このように、物品管理装置1では、持ち主(顧客a)に返却できなかった処理済みの預り物3を処理済み用保管部29Cおよび29Dにおいて再保管することができる。よって、預り物3の管理に関し、使い勝手の向上を図ることができる。
【0036】
以上のように、物品管理装置1は、預り物3を保管する複数の保管部(保管部18、25、29)を含んでいるが、預り物3の処理状況(依頼された取引についての処理が仕掛り中か否かや、未返却か否か)に応じて、当該預り物3の保管先となる保管部が異なっている。そのため、ユーザは、保管部18、25、29のいずれであるかによって、そのいずれかの保管部に収納された預り物3の処理状況を把握できるので、目的とする預り物3を間違えずに処理することができる。よって、預り物3の管理に関し、処理間違いを防止することができる。
【0037】
なお、収納部X〜Zの全てが、前述した引き出しでなくてもよい。たとえば、収納部X〜Zの少なくともいずれかにおいて、扉13が、正面視におけるいずれかの端部に設けられた回動軸(図示せず)を中心として回動可能であってもよい。この場合、閉状態の扉13が、物品を収納した収納スペース12を正面側から塞いでいて、この状態で取っ手14(
図1参照)に指を掛けて手前に引くと、扉13は、前述した回動軸周りに正面側へ回動して開き、収納スペース12が正面側に露出される。また、収納ユニット10における収納部X〜Zのレイアウトや個々の大きさは、
図1に限らず、任意に設定可能である。このことは、収納ユニット10を複数備える場合において、個々の収納ユニット10にも当てはまる。もちろん、前述した収納庫X〜Zの例に限定されるわけではなく、収納庫が、渉外担当者b毎に設けられていても良く、さらに、処理期日(1〜31日)毎に分けられていても良い。
【0038】
図1を参照して、収納部X〜Zにおけるそれぞれの収納部には、たとえば電磁ロックやソレノイド等で構成された施解錠機構16が内蔵されている。施解錠機構16は、自身を内蔵する収納部を閉じた状態で施錠したり、収納部を開くことができるように解錠したりすることができる。各収納部の施解錠機構16の施解錠動作は、後述するように操作制御ユニット11によって電気的に自動制御される。しかし、故障や停電等の緊急時には、収納部毎に予め準備された非常鍵(図示せず)を、対応する収納部の鍵穴15に差し込んで操作することによって、各収納部を手動で解錠し、収納部を開くことができる。もちろん、解錠するときとは逆向きに非常鍵(図示せず)を操作することによって再び収納部を施錠することもできる。
【0039】
このように、本実施形態では、顧客aからの預り物3を物品管理装置1において保管するようにしている。従来では、預り物3を保管するための専用のキャビネットが存在していた。このキャビネットは、キャスター付きであって、営業時間外は本金庫2に保管されていて、営業開始時に本金庫2から取り出されて役席者cの席の脇に配置され、営業終了時には本金庫2に戻される。このようなキャビネットを用いた運用では、営業開始時および営業終了時のそれぞれにおいて、キャビネットを役席者cの席と本金庫2との間で移動させねばならないし、セキュリティ上、複数人体制でキャビネットを移動させねばならないので、その手間が煩わしい。しかし、本実施形態では、営業室に常設された物品管理装置1において預り物3を常に(夜間を問わず)保管するようにしていることから、キャビネットに起因する手間を省けるし、各担当者が預り物にアクセスするまでの動線を短縮できるので、業務効率の改善を図れる。
【0040】
操作制御ユニット11は、収納ユニット10の天面に載置されている。操作制御ユニット11を構成する部品として、
図1では、操作制御ユニット11の筐体をなすユニット本体30と、表示操作部31(受付手段、報知手段)と、カードリーダ32と、プリンタ部33とが図示されている。
ユニット本体30は、ボックス状である。表示操作部31は、たとえば、液晶のタッチパネルであり、ユニット本体30の正面に設けられている。表示操作部31には、物品管理装置1の動作状況が表示されたり、物品管理装置1を動作させるために担当者(渉外担当者b、役席者cおよび事務担当者dを含む銀行員)によって操作されるボタン(タッチキー)が表示されたりする。
【0041】
カードリーダ32は、ユニット本体30(詳しくは、
図1では表示操作部31の右側)に内蔵されている。カードリーダ32に関連して、ユニット本体30の正面には、上下に延びる溝34が設けられている。また、担当者は、物品管理装置1を利用する際に必要なIDカード(図示せず)を有している。IDカードには、担当者毎に割り振られた識別情報(担当者ID)を記憶している。担当者が自身のIDカードを溝34に通すと、カードリーダ32は、当該IDカードに記憶された情報(ここでは担当者ID)を読み取ることができる。
【0042】
プリンタ部33は、たとえばユニット本体30の天面に載置されていて、操作制御ユニット11における処理内容や記憶内容を、様々な管理帳票(
図16〜
図21)等に記録して紙出力することができる。
次に、
図8を参照して、物品管理装置1の電気的構成について説明する。
操作制御ユニット11には、マイクロコンピュータ等で構成された制御部35(受付手段、報知手段、更新手段)が備えられている。制御部35は、CPUやメモリ(ROM、RAM)などを含んでいる。制御部35は、操作制御ユニット11だけでなく、物品管理装置1全体の動作を制御するためのものである。操作制御ユニット11では、制御部35に対して、前述した表示操作部31、カードリーダ32およびプリンタ部33のそれぞれと、I/F(インタフェース)部36と、記憶部37(記憶手段)とが電気的に接続されている。表示操作部31、カードリーダ32、プリンタ部33、制御部35、I/F部36および記憶部37は、操作制御ユニット11に含まれる。
【0043】
制御部35は、表示操作部31の表示やプリンタ部33による紙出力を制御したり、利用者が表示操作部31を操作した内容を受け付けたりすることができる。制御部35には、カードリーダ32がカード(前述したIDカード等)から読み取った情報(担当者ID等)が入力される。制御部35は、担当者IDによって担当者を認証することができる。
制御部35は、I/F部36を介して、収納ユニット10と通信できる。具体的には、制御部35は、I/F部36を介して、収納ユニット10の収納部(収納部X〜Z)のそれぞれにおける施解錠機構16に対して電気的に接続されている。制御部35は、前述したIDカードおよびカードリーダ32による担当者の認証が済むと、施解錠機構16の施解錠動作を制御することによって、収納部X〜Zのそれぞれを施解錠することができる。
【0044】
記憶部37は、前述した担当者ID等の必要な情報(詳しくは、後述するテーブル41、43および44の内容であり、
図10、
図12および
図13参照)を記憶している。
次に、前述した顧客aの所望する取引が処理される流れを詳しく説明する。
まず、
図1の矢印(1)において役席者cが新規の預り帳4を渉外担当者bに払い出す処理について説明する。払い出しに先立って、役席者cは、収納部Zを開き、保管部29B(
図7参照)から新規の預り帳4を取り出す。その際(新規の預り帳4の取り出しと同時、または、取り出しに前後して)、役席者cは、操作制御ユニット11の表示操作部31を操作して、今回払い出す預り帳4の情報を操作制御ユニット11に登録する。ここでの登録を「預り帳受払登録」ということにする。預り帳受払登録に関し、具体的には、表示操作部31には、
図9に示す預り帳受払登録画面40が表示されていて、役席者cは、預り帳受払登録画面40における入力欄に、必要事項を入力する。入力に際し、表示操作部31にはキーボードやテンキー等の入力手段が操作可能に表示されてもよい(表示操作部31に表示される他の画面においても同様)。
【0045】
預り帳受払登録画面40には、<預り帳受払登録>という見出しの下に、払出日入力欄40Aと、担当名入力欄40Bと、預り証先頭番号入力欄40Cと、連続番号入力欄40Dと、登録ボタン40Eとが表示されている。払出日入力欄40Aには、今回新規の預り帳4を払い出す日(払出日)が入力される。担当名入力欄40Bには、新規の預り帳4を受け取る渉外担当者bの名前(前述した担当者IDであってもよい)が入力される。預り証先頭番号入力欄40Cには、今回払い出す預り帳4における最初の預り証5の預り証番号(前述した預り証先頭番号)が記入される。連続番号入力欄40Dには、今回払い出す預り帳4における預り証番号が1番目〜50番目まで全て揃っている(連続している)か否かが〇×(まるばつ)で入力される。なお、欠番の預り証番号があれば、その預り証番号がどれであるかが追加入力されてもよい。また、ここでの入力には、前述したキーボードやテンキー等によって文字や数字を実際に入力することだけでなく、記憶部37に登録済みの複数のデータ(たとえば、担当者名)の中から該当するものを選択することも含まれる。
【0046】
役席者cが各入力欄40A〜40Dに入力した後に登録ボタン40Eにタッチすると、制御部35(
図8参照)は、今回の入力内容を、
図10に示すテーブル41にまとめて記憶部37に記憶させる。テーブル41には、今まで払い出された新規の預り帳4のそれぞれについて、預り帳4の払出日と、払出先の担当者名と、預り証先頭番号と、預り証番号の欠番の有無と、使用済日付とが登録される。払出日、担当者名および預り証先頭番号のそれぞれは、預り帳受払登録画面40において役席者cが入力した内容と一致している。預り証番号の欠番の有無は、連続番号入力欄40D(
図9参照)の入力内容(〇か×)と一致しており、連続番号入力欄40Dに〇(まる)が入力されていれば、欠番が「無」であり、連続番号入力欄40Dに×(ばつ)が入力されていれば、欠番が「有」である。使用済日付は、払い出した預り帳4における全ての預り証5が使用された日付(厳密には、最後の預り証5についての取引の処理が完了した日付)であり、最後の預り証5についての取引の処理の完了を確認した役席者cによる表示操作部31の操作によって入力される(追って説明する)。テーブル41は、表示操作部31において目視可能に表示されてもよい。
【0047】
以上のような新規の預り帳4についての役席者cによる登録が済むと、登録済みの預り帳4が、役席者cによって払出先に登録された渉外担当者bに対して手渡しで払い出される(
図1の矢印(1)を参照)。渉外担当者bは、払い出された預り帳4を持って外回りに出掛け、顧客aから取引の依頼を受けると、顧客aの預り物3と引き換えに、当該取引についての必要事項を記入した預り証(客控え)5を発行して顧客aに手渡す(
図1の矢印(2)および(3)を参照)。その後、渉外担当者bは、預かった預り物3と、顧客aに手渡した預り証(客控え)5と同じ預り証番号の預り証(店控え)5とを小袋6に収納し、銀行に戻る(
図1の矢印(4)参照)。銀行では、この預り物3の登録(必要事項の入力)が物品管理装置1に対して行われる。なお、ここでの登録(入力)は、預り物登録と呼ばれ、この預り物3に関する取引の期限管理や預り物3自体の管理等を目的とするものであり、預り物3を預かってきた渉外担当者b本人が行ってもよいし、当該渉外担当者b以外の担当者(役席者cや事務担当者d)が行ってもよい。
【0048】
預り物登録に関し、具体的には、表示操作部31には、
図11に示す預り物登録画面42が表示され、預り物登録画面42に対して必要事項が入力される。預り物登録画面42では、<預り物登録>という見出しの下に、種別入力欄42Aと、処理期日入力欄42Bと、預り証番号入力欄42Cと、預り物名入力欄42Dと、付帯物件入力欄42Eと、顧客名入力欄42Fと、預金有無入力欄42Gと、担当者名入力欄42Hと、登録ボタン42Iとが表示されている。
【0049】
種別入力欄42Aには、預け物3についての取引の処理期日が当日であるか翌日以降であるかが入力される。この実施形態では、当日処理の場合にタッチされる当日処理ボタン42Jと、翌日以降処理の場合にタッチされる翌日以降処理ボタン42Kとが預り物登録画面42に表示され、これらのボタンのいずれかへのタッチによって、種別入力欄42Aへの入力が達成される。この実施形態では、特に断りが無い限り、処理期日が翌日以降である場合を想定しており、翌日以降処理ボタン42Kが選択されるものとする。ちなみに、取引の処理期日が当日であって当日処理ボタン42Jが選択された場合には、処理が当日中に完了することから、物品管理装置1において預り物3を登録し、期限管理する必要がないため、預り物登録画面42における更なる入力は不要である。
【0050】
翌日以降処理の場合には、処理期日入力欄42Bに、処理期日が入力される。預り証番号入力欄42Cには、預り物3とセットになって小袋6に入れられた預り証(店控え)5の預り証番号が入力される。預り物名入力欄42Dには、預り物3の名前が入力される。なお、預り物登録画面42では、預り物3の数量が入力されてもよい。付帯物件入力欄42Eには、預り物3以外で顧客aから預かった付帯物件(たとえば印鑑等)の名前が入力される。顧客名入力欄42Fには、預り物3の持ち主である顧客aの名前が入力される。預金有無入力欄42Gに関し、今回の預り物3に現金が含まれている場合には、預金ありとなり、現金が含まれていない場合には、預金なしとなる。預金有無入力欄42Gには、預金のありなしが入力される。この実施形態では、預金ありの場合にタッチされる「あり」ボタン42Lと、預金なしの場合にタッチされる「なし」ボタン42Mとが預金有無入力欄42Gに表示され、これらのボタンのいずれかへのタッチによって、預金有無入力欄42Gへの入力が達成される。担当者名入力欄42Hには、今回の預り物3を顧客aから預かって当該預り物3についての取引を受任してきた渉外担当者bの名前が入力される。
【0051】
担当者(前述したように、預り物3を預かってきた渉外担当者b本人とは限らない)が各入力欄42A〜42Hに入力した後に登録ボタン42Iにタッチすると、制御部35は、今回の入力内容を、
図12に示すテーブル43にまとめて記憶部37に記憶させる。
テーブル43には、渉外担当者b毎に、渉外担当者bの名前(担当者名)と、それぞれの渉外担当者bが現在所持している(役席者cから払い出されている)全ての預り証5の預り証番号と、各預り証番号についての必要事項(預り証番号に対応する預り物3の関連情報)とが登録されている。
図12の場合、A、BおよびCという名前の3人の渉外担当者bについて、Aが預り証番号00001〜00100までの預り証5(つまり2冊の預り帳4)を所持していることと、Bが預り証番号00101〜00200までの預り証5(2冊の預り帳4)を所持していることと、Cが預り証番号00201〜00250…の預り証5(1冊以上の預り帳4)を所持していることとがテーブル43に登録されている。また、既に預り証(客控え)5が顧客aに手渡し済みである取引についての預り証番号(
図12の場合には00001〜00004の各預り証番号)については、前述した預り物登録画面42での入力内容として、処理期日、顧客名、預り物名および(預り物の)数量のそれぞれの具体的な内容が登録されている。処理期日、顧客名、預り物名および数量のそれぞれの内容は、預り物登録画面42における先ほどの入力内容と一致している。また、処理が完了した取引についての預り証番号(
図12の場合には00001、00003および00004の各預り証番号)については、処理完了日と、顧客aへの預り物3の返却状況(テーブル43において右から2番目の返却欄を参照)と、取引に使った印紙の額とがテーブル43に登録される(これらについては追って説明する)。
【0052】
以上のように、テーブル43では、顧客aから依頼を受けた取引について、その取引のために発行された預り証5の預り証番号と、この取引で顧客aが銀行から預かった預り物3の関連情報とが対応付けて登録される。テーブル43は、表示操作部31において目視可能に表示されてもよい。
なお、
図12でのテーブル43における登録内容は、あくまで一例である。たとえば、テーブル43には、顧客aから注文された取引の内容(入金や振込等)が一緒に登録されてもよい。そうすると、預り証番号と預り物3と取引の内容とが、まとめて対応付けられてテーブル43で管理されることになる。
【0053】
そして、テーブル43において預り物3の関連情報が(預り物登録画面42の入力内容に基づいて)登録された各預り証番号については、制御部35が、物品管理装置1における(預り証番号に対応付けられた)預り物3の出し入れ状況を常に監視しており、ここでの監視内容を、
図13に示すテーブル44にまとめて記憶部37に記憶させている。
図13の場合、預り証番号が00001について、制御部35が、預り物3の名前(預り物名)が通帳であって、顧客名が○○商店であって、預り物3の数量が1であることを、テーブル43から参照してテーブル44に登録している。
【0054】
また、担当者は、預り物3を物品管理装置1に収納したり、物品管理装置1から取り出したりする場合には、前述したIDカードによる認証を受ける以外に、表示操作部31を操作して、対象となる預り物3の預り証番号を特定し、自身の名前(担当者名)と、種別(収納および取出のどちらか)と、収納先または取出先の収納部名(X〜Z)とを入力するようになっている。また、ここでの入力の日時は、記憶部37に記憶される。そのため、各担当者による表示操作部31の操作に応じて、制御部35は、テーブル44において、預り物3について、どの担当者がどの収納部に対していつ当該預り物3を出し入れしたのかを、預り証番号に対応付けて登録する。テーブル44は、表示操作部31において目視可能に表示される。そのため、表示操作部31を見た者は、
図13のテーブル44では、預り証番号00001の預り物3(通帳)について、2013(図面では、「13」と省略している)/8/15に、渉外担当者b(名前はA)が登録のために収納部Xに収納し、役席者cの代理(名前はD)が収納部Xから取出して確認(検品)の処理をし、役席者c(名前はE)が、前述した受領入力の処理を行ってから収納部Xに収納したことが分かる。そして、テーブル44では、この預り物3について、2013/8/30に、事務担当者d(名前はF)が収納部Xから取り出して収納部Yに一旦収納し、顧客aから依頼された取引(たとえば入金)の処理を行ってから、収納部Yから取り出して収納部Xに戻した後に、渉外担当者b(名前はA)が収納部Xから取り出して顧客aに返却に向かったことが分かる。
【0055】
ここでの預り物3の収納や取り出しは、当該預り物3について、顧客aから依頼された取引を完了させるための種々の処理(登録や、検品や、受領入力や、顧客aから依頼された取引自体の処理)に関わるものである。そのため、テーブル44における預り物3の収納や取り出しの履歴を参照すれば、当該預り物3についての処理状況(処理の進行状況)を把握できる。このように、制御部35は、担当者による預り物3の収納や取り出しための表示操作部31の操作によって、当該預り物3についての処理状況(ステータスや属性とみなすこともできる)を受け付け、当該預り物3についての処理状況と、当該預り物3の識別情報である預り証番号とを対応付けて記憶部37のテーブル44に記憶させていることになる。そのため、物品管理装置1に管理された預り物3を用いてこれから処理を行おうとするユーザ(ここでは担当者)は、当該預り物3の預り証番号に基づいて記憶部37の記憶内容(表示操作部31に表示されたテーブル44)を参照することによって、当該預り物3についての処理がどこまで進んでいるのか(仕掛り中か否かや、処理が完了して返却済か否か等)を把握できる。よって、預り物3の管理に関し、処理間違い(たとえば、受領入力が済んでいないのに、事務担当者dが、顧客aから依頼された取引を先に処理してしまうようなこと)を防止することができる。
【0056】
また、個々の預り物3の識別情報として、当該預り物3と引き換えられる預り証5の預り証番号(
図3の符号5Bを参照)を用いているので、物品管理装置1では、個々の預り物3および取引を、預り証番号に対応付けることによって、正確に管理することができる。よって、預り物3の管理に関し、品質向上を図ることができる。
以上までが、
図1の矢印(4)〜(6)の流れである。
【0057】
そして、顧客aから依頼された取引についての事務担当者dによる処理が完了すると、役席者cは、その取引に関する預り証番号について処理済登録を行う。ここでの処理済登録に関連して、表示操作部31には、
図14に示す処理済登録画面45が表示され、役席者cは、処理済登録画面45に対して必要事項を入力する。処理済登録画面45では、<処理済登録>という見出しの下に、預り証番号入力欄45Aと、処理完了日入力欄45Bと、印紙額入力欄45Cと、登録ボタン45Dとが表示されている。
【0058】
預り証番号入力欄45Aには、処理が完了した取引に対応する預り証番号が入力される。処理完了日入力欄45Bには、事務担当者dによる取引の処理が完了した日付が入力される。印紙額入力欄45Cには、取引における印紙の要否と、印紙が必要であった場合における印紙額とが入力される。この実施形態では、印紙が不要であったことを示す「なし」ボタン45Eと、200円の印紙が必要であったことを示す「200円」ボタン45Fと、400円の印紙が必要であったことを示す「400円」ボタン45Gと、600円の印紙が必要であったことを示す「600円」ボタン45Hと、2〜600円以外の額の印紙が必要であったことを示す「その他」ボタン45Iとが処理済登録画面45に表示される。これらのボタンのいずれかへのタッチによって、印紙額入力欄45Cへの入力が達成される。
【0059】
役席者cが各入力欄45A〜45Cに入力した後に登録ボタン45Dにタッチすると、制御部35は、今回の入力内容を
図12のテーブル43に反映し、これによってテーブル43を更新する。この実施形態の場合、預り証番号00001についての(顧客aから依頼された)取引の処理が2013/8/30に完了したので(
図13参照)、テーブル43における預り証番号00001のデータのうち、処理完了日に、2013/8/30が登録される。また、この取引で必要となった印紙額が200円なので、テーブル43における預り証番号00001のデータには、右端の印紙の欄に、200円と登録される。これにより、各預り証番号の取引に使用する印紙の額(枚数)が管理される。ちなみに、処理完了日と印紙の額とが登録された直後の時点では、テーブル43における返却欄(右から2番目の欄)は空欄のままである。
【0060】
また、役席者cが登録ボタン45Dにタッチしたときにおける預り証番号が、その預り証番号の預り証5が綴じられていた預り帳4において、処理済登録が最後となる預り証番号であれば、制御部35は、
図10のテーブル41も更新する。たとえば、
図10のテーブル41において、預り証先頭番号が00001である預り帳4において、最後となる預り証番号についての処理済登録がなされれば、当該最後となる預り証番号についての処理完了日が、当該預り帳4の使用済日付としてテーブル41に登録される。
【0061】
ちなみに、今までは、処理期日が翌日以降である場合を想定しているが、取引の処理期日が当日である場合(
図11に示す預り物登録画面42で当日処理ボタン42Jが選択された場合)には、この取引に関する預り物3は、預り証番号に対応付けて物品管理装置1で管理されていない。そのため、当該取引に関する事務担当者dによる処理が完了すると、その旨の報告を受けた役席者cは、当該取引の預り証番号について処理完了日が当日であるとして消込登録する。
【0062】
そして、預り物3を顧客aに返却に向かった渉外担当者bは、訪問先に顧客aがいれば、顧客aに預り物3(付帯物件があれば、付帯物件も含む)を返却し(
図1の矢印(8)を参照)、引き換えに、顧客aから預り証(客控え)5を受け取る(
図1の矢印(9)を参照)。顧客aから預り証(客控え)5を受け取った渉外担当者bは、銀行に戻り(
図1の矢印(10)を参照)、物品管理装置1の表示操作部31を操作して、受け取った預り証(客控え)5の預り証番号についてのテーブル43(
図12参照)の返却欄に返却「済」であることを登録する(預り証番号00001の返却欄を参照)。これにより、この預り証番号の取引に関する全ての処理が完了したことになる。
【0063】
一方、渉外担当者bが預り物3を顧客aに返却に向かったのに、顧客aが不在だった場合には、渉外担当者bは、預り物3を持って銀行に戻り(
図1の矢印(10)を参照)、表示操作部31を操作して、当該預り物3が未返却預り物3であることを登録してから、当該預り物3を収納部Zの保管部29C(
図7参照)に収納する。ここでの登録(未返却預り物登録)に関連して、表示操作部31には、
図15に示す未返却預り物登録画面46が表示され、渉外担当者bは、未返却預り物登録画面46に対して必要事項を入力する。未返却預り物登録画面46には、<未返却預り物登録>という見出しの下に、預り証番号入力欄46Aと、返却予定日入力欄46Bと、預り物名入力欄46Cと、付帯物件入力欄46Dと、顧客名入力欄46Eと、担当者名入力欄46Fと、登録ボタン46Gとが表示されている。
【0064】
預り証番号入力欄46Aには、顧客aから依頼された取引の処理が完了したものの未返却となった預り物3(つまり、未返却預り物3)に対応する預り証番号が入力される。返却予定日入力欄46Bには、未返却預り物3の返却予定日が入力される。この実施形態では、処理完了日から30日の保管期間が経過した後の最初の営業日を返却予定日としている。預り物名入力欄46Cには、未返却預り物3の名前が入力される。付帯物件入力欄46Dには、未返却預り物3に対する付帯物件の名前が入力される。顧客名入力欄46Eには、未返却預り物3の返却先の顧客aの名前が入力される。担当者名入力欄46Fには、今回の未返却預り物3についての取引を受任した渉外担当者bの名前が入力される。
【0065】
渉外担当者bが各入力欄46A〜46Fに入力した後に登録ボタン46Gにタッチすると、制御部35は、今回の入力内容を
図12のテーブル43に反映し、これによって当該テーブル43を更新する。たとえば、
図12における預り証番号00003を参照して、この預り証番号の場合、テーブル43の返却欄には、預り物3が未返却であることと、短期保管(保管期間が、前述した第1の保管期間であって、30日)であることと、保管予定日(10/14)とが新たに登録される。ちなみに、短期保管の保管予定日が過ぎても未返却のままの場合には、
図12における預り証番号00004を参照して、制御部35は、テーブル43の返却欄の登録内容を、長期保管(保管期間が、前述した第2の保管期間であって、たとえば短期保管後から60日)であることと、長期保管での保管予定日(11/11)とを含む内容へと更新する。つまり、制御部35は、短期保管の保管予定日が過ぎると、対象の未返却預り物3の保管態様を、短期保管から長期保管に切り替える。
【0066】
また、制御部35は、テーブル43おける未返却預り物3の預り証番号を常に監視している。そこで、短期保管および長期保管のそれぞれの保管期間について、保管期間の経過が近づいた場合(たとえば保管期間経過の数日前)に、制御部35は、保管期間の経過が近づいた旨を、表示操作部31において担当者に対して目視可能に報知したり、音声等で報知したりしてもよい。または、当該保管期間の経過が経過した場合(たとえば予定日における営業時間終了時や、当該予定日の翌日)に、制御部35は、保管期間が経過した旨を、表示操作部31で目視可能に報知したり、音声等で報知したりしてもよい。このように報知するようにすれば、物品管理装置1では、顧客aに返却できなかった処理済みの未返却預り物3を再保管する場合における保管期限の管理を、厳正に行うことができる。よって、預り物3の管理に関し、品質向上を図ることができる。
【0067】
短期保管において前述した報知が行われた場合、顧客aへの返却ができないままであれば、保管期間経過後に、担当者は、収納部Zの保管部29C(
図7参照)に収納されていた預り物3を、長期保管用の保管部29Dに入れ替える。長期保管において前述した報知が行われた場合、顧客aへの返却ができないままであれば、収納部Zの保管部29Dに収納されていた預り物3は、保管期間経過後に、銀行の規定によっては破棄されることがある。
【0068】
以上のように、この物品管理装置1では、預り証番号に対応付けて(つまり、預り証番号をキーとして)、預り帳4の払い出しから預り証(客控え)5の回収までの様々な情報が記憶部37(テーブル41、43および44)において管理されている。そこで、担当者が表示操作部31を操作することによって、制御部35は、記憶部37に記憶された情報のうち必要な情報が記録された様々な管理帳票を自動作成し、プリンタ部33(
図1参照)によって紙出力することができる。つまり、記憶部37は、預り物3に関する複数種類の管理帳票の内容を構成する複数種類の管理帳票データを、預り証番号に対応付けて(紐付けて)記憶していることになる。また、前述したように、預り帳受払登録(
図9参照)や、預り物登録(
図11参照)や、処理済登録(
図14参照)や、未返却預り物登録(
図15参照)での登録処理(つまり、預り物3についての処理状況の変化)に応じて、制御部35は、記憶部37のテーブル41、43および44(
図10、
図12および
図13参照)において対応するデータ(管理帳票データ)を更新する。つまり、預り物3の処理が進行するのに応じて、関連する各種管理帳票データが更新されることから、更新された管理帳票データを紙出力すれば、管理帳票を自動作成することができるので、管理帳票を手作業で作成する手間を省けて使い勝手がよい。よって、預り物3の管理に関し、使い勝手の向上を一層図ることができる。
【0069】
ここでの管理帳票の一例として、
図16では一時預り物管理表47が図示されていて、
図18では預り物回収状況確認表48が図示されていて、
図19では預り帳受払帳49が図示されていて、
図20では短期保管預り物記録帳50が図示されていて、
図21では長期保管預り物記録帳51が図示されている。
図16に示す一時預り物管理表47は、テーブル43(
図12参照)において、処理期日が同じ預り証番号のデータを抽出してまとめたものである。
図16の場合には、処理期日が2013/8/30となっているデータを預り証番号毎にまとめている。また、一時預り物管理表47では、各預り証番号について、担当者名(顧客aから取引を受任した渉外担当者bの名前)、取扱日(取引を受注した日付であり(
図3の符号5A参照)、たとえばテーブル43に記憶されている)、処理完了日(未処理または仕掛中の場合には空欄)および預り物名等が印刷されている。なお、一時預り物管理表47では、必要に応じて、預金有無や各種捺印欄(現金受領印や預金承認印の欄)や、取引を処理した事務担当者dの名前記入欄(処理者の欄)が印刷されてもよい。一時預り物管理表47を見れば、各預り証番号における取引について処理済か否かを速やかに把握できる。
【0070】
なお、一時預り物管理表47では、
図17の変形例に示すように、顧客名の表示欄、預り物3の数量の表示欄、受付欄(「受付」という見出しの欄)、受渡欄(「受渡」という見出しの欄)、および、受領者欄(「受領者」という見出しの欄)等が別途表示されてもよい。受付欄において、担当者欄(「担当者」という見出しの欄)では、銀行での預り物3の受付を担当した事務担当者dの名前が表示され、検証欄(「検証」という見出しの欄)には電子印が入力される。受渡欄において、担当者欄には、顧客aから依頼された取引の処理を行なった事務担当者dの名前が表示され、検印欄には電子印が入力される。渉外担当者bが預り物3の現物を取り出す処理を行うと、受領者欄には、当該渉外担当者bの名前が表示される。
【0071】
図18に示す預り物回収状況確認表48は、渉外担当者bに払い出された個々の預り帳4について、テーブル41(
図10参照)およびテーブル43(
図12参照)から、当該預り帳4に綴じられた全ての預り証5(預り証番号)に関するデータを抽出して、まとめたものである。ここでのデータは、顧客aからの預り証(客控え)5の回収状況を意味している。預り物回収状況確認表48には、銀行の支店名といった書誌的事項の他に、対象とする預り帳4の払出日、当該預り帳4における一連の預り証番号(連番)、当該預り帳4が払い出された渉外担当者bの名前とが印刷されている。また、預り物回収状況確認表48には、各預り証番号について、その預り証(客控え)5の回収日付(未返却でなければ、原則として処理完了日と同じ)と、使用した印紙の額(印紙を使用した場合に限る)とが印刷されている。また、ここでの回収日付は、テーブル43(
図12参照)において返却欄に返却「済」が登録されている預り証番号については、具体的な日付となっているが、当該返却欄に返却「済」が登録されていなければ、回収日付の具体的な日付は記載されていない。また、預り物回収状況確認表48には、欠番となった預り証番号がどれかということが記載されてもよい(右端の欄における「欠番」という記載を参照)。
【0072】
預り物回収状況確認表48を見れば、どの預り証番号の取引について顧客aへの預り物3の返却が未だなのかを把握できるので、預り物3の未返却によるトラブルを事前に予防できる。
図19に示す預り帳受払帳49には、テーブル41(
図10参照)の内容とほぼ同じ内容が記載されている。必要に応じて、顧客名が追加で印刷されてもよい。預り帳受払帳49を見れば、各渉外担当者bが現在所持している預り帳4の使用状況を全て管理できる。特に、預り物回収状況確認表48と預り帳受払帳49とを併せて見れば、各渉外担当者bが現在所持している預り帳4について、未使用の預り証5(預り証番号)と未回収の預り証5とをまとめて把握できるので、預り証5に関わるトラブルや不正を防止できる。
【0073】
図20に示す短期保管預り物記録帳50は、テーブル43(
図12参照)において、短期保管の預り物3についてのデータを預り証番号に対応付けて抽出し、まとめたものである。短期預り物記録帳50には、保管日(未返却預り物登録画面46において登録をした日付であり、たとえばテーブル43に記憶されている)と、未返却預り物3の取引を受任した担当者の名前と、預り証番号と、顧客名と、預り物名と、預り物3の数量と、返却予定日とが印刷されている。また、短期保管預り物記録帳50には、未返却預り物3を顧客aに返却した実際の日付(返却日)と、返却予定日を過ぎても未返却の未返却預り物3を長期保管に切り替える日(長期組入日)とを記入する欄や、役席者c等によるチェックが記入される確認欄とが印刷されていてもよい。
【0074】
図21に示す長期保管預り物記録帳51は、テーブル43(
図12参照)において、長期保管の預り物3についてのデータを預り証番号に対応付けて抽出し、まとめたものであって、その記載内容は、短期保管預り物記録帳50の記載内容とほぼ同じである。ただし、長期保管預り物記録帳51における保管日は、短期保管預り物記録帳50における長期組入日と一致している。また、長期保管の未返却預り物3は、返却予定日を過ぎても未返却であれば、銀行の規定によって破棄される場合もあるので、長期保管預り物記録帳51には、短期保管預り物記録帳50での長期組入日の代わりに、未返却預り物3を破棄する日(破棄日)を記入する欄が印刷されていてもよい。
【0075】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、預り証5にICチップが内蔵されていて、当該ICチップのIdm等の識別情報を預り証番号の代わりに用いることによって、預り物3の個別管理をしてもよい。また、当該ICチップには、預り証5に記入される事項(
図3参照)が電子データとして記憶されてもよい。この場合、物品管理装置1には、当該ICチップを読み取る読取手段(アンテナを有するICチップリーダ等)が備えられており、物品管理装置1は、預り証5のICチップを読み取ることによって、預り物3の管理のために必要な情報を自動で取得することができる。さらに、この場合には、物品管理装置1は、預り証(店控え)5とともに小袋6に入った預り物3の出し入れを、当該ICチップによって自動で追跡できるので、預り物3の出し入れ間違いを防止してセキュリティの向上を図れる。
【0076】
また、預り証5の記入内容を読み取る読取装置(OCR等)が物品管理装置1と別体または一体で設けられてもよい。当該読取装置によって預り証5の記入内容を読み取れば、前述した預り物登録(
図11参照)における担当者による預り証5の記入内容の手入力を省略できる。なお、当該読取装置が物品管理装置1とは別体で設けられている場合、当該読取装置と物品管理装置1とは通信可能に接続されていて、当該読取装置による読み取り内容が無線通信または有線通信によって物品管理装置1に入力される。
【0077】
また、期限管理された各預り証番号について、処理期日に迫ると(処理期日経過前だけでなく処理期日経過後も含む)、前述した短期保管や長期保管のように、表示操作部31等による報知(アラーム)がなされてもよい。
また、前述した小袋6(
図1および
図4参照)にタグ(ICタグ等)を付けて管理してもよい。その場合、物品管理装置1では、小袋6に入れる預り物3の現物と、小袋6に付いているタグのIDとを関連付けて管理することになる。