(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置について詳細に説明する。なお、本実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置は、以下に示す構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本実施形態においてロータリースクリーン印刷装置は、圧胴100と、ロータリースクリーン装置200とを備えて構成されている。
【0015】
圧胴100は、左右の機械フレーム101,101間に回動自在に支持されている。圧胴100には、図示はしないがその外周面に当該圧胴100の軸方向に沿った切欠き部が形成されている。切欠き部は当該圧胴100の周方向に沿って等間隔で複数(例えば、本実施形態では二箇所)形成されている。そしてこの切欠部内に被印刷物としてのシートの先端をくわえて保持する図示しないくわえ爪装置(保持部)が設けられている。
【0016】
一方、ロータリースクリーン装置200はロータリースクリーン201とスキージ213とを備えて構成されている。
【0017】
<ロータリースクリーン>
図2に示すように、ロータリースクリーン201はスクリーン版201Aと、スクリーン版201Aの両端(
図2では左右)にそれぞれ固定されたリング状のエンドリング201B、201Bとから構成されている。スクリーン版201Aは絵柄に応じた小孔をエッチングした薄い版材を円筒状にしてなる円筒体であり、エンドリング201Bはスクリーン版201Aを補強するための部材である。
【0018】
ここで、エンドリング201Bには、図示しない突出部(以下、エンドリング側突出部)と図示しない複数(本実施形態では二つ)の切欠き部(以下、エンドリング側切欠き部)と図示しないピン溝とが形成されている。エンドリング側突出部はエンドリング201Bの軸方向に対してスクリーン版201Aとは反対側の端部であってその外周面に半径方向外側に突出したフランジであって、このエンドリング側突出部に複数のエンドリング側切欠き部が周方向に等間隔に設けられている。ピン溝は、エンドリング側突出部の隣り合うエンドリング側切欠き部間に設けられ、当該エンドリング側突出部の外周面から軸心に向かってU字状に切り欠かれている。このエンドリング201Bは、支承部材202に支持されている。
【0019】
また、支承部材202には図示しない複数(本実施形態では二つ)の突出部(以下、支承部材側突出部)が形成されるとともに図示しないピンが設けられている。支承部材側突出部は支承部材202の軸方向に対してエンドリング201B側であってその内周面に半径方向内側に突出しており、周方向に等間隔(前記エンドリング側切欠き部と同間隔)に設けられている。なお、支承部材側突出部は前記エンドリング側切欠き部を軸方向に通過させることができるようにその形状を設定されている。また、ピンは一方の支承部材側突出部に、エンドリング201Bを支承部材202に取り付けた際にエンドリング201Bのピン溝に係合するように固定されている。
【0020】
エンドリング201Bを支承部材202に取り付ける場合は、エンドリング201Bのエンドリング側切欠き部と支承部材202の支承部材側突出部の周方向の位置を合わせた状態でロータリースクリーン201を軸方向に移動させエンドリング201Bを支承部材202の中空部に挿入し、軸方向でみて、支承部材側突出部及びピンをエンドリング側突出部の内側に位置付ける。続いて、支承部材202に対してロータリースクリーン201を回転させ、エンドリング201Bのピン溝と支承部材202のピンとの円周方向の位置を合わせたのち、支承部材202に対してロータリースクリーン201を軸方向に移動させ、エンドリング201Bのピン溝に支承部材202のピンを係合させる。これにより、エンドリング側突出部と支承部材側突出部とが円周方向でみて重なる状態となりロータリースクリーン201の支承部材202からの抜けが防止されると共に、エンドリング201Bのピン溝と支承部材202のピンとの係合により支承部材202に対するロータリースクリーン201の位相が正確に一致した状態(天地の見当が合った状態)でロータリースクリーン201の支承部材202に対する円周方向の移動が規制され、ロータリースクリーン201を支承部材202に支持させることができる。
【0021】
また、エンドリング201Bを支承部材202から取り外す場合は、まず、ロータリースクリーン201を軸方向でみて外側(支承部材202側)へ移動させ、エンドリング201Bのピン溝と支承部材202のピンとの係合を解除するとともに支承部材側突出部及び支承部材202のピンをエンドリング側突出部に対して軸方向でみて内側に位置付ける。続いて、エンドリング側突出部と支承部材側突出部とが円周方向でみて重なった状態となっているので、支承部材202に対してロータリースクリーン201を回転させ、エンドリング側切欠き部と支承部材側突出部の円周方向の位置を合わせた状態でロータリースクリーン201を軸方向に移動させる。これによりエンドリング201B(ロータリースクリーン201)を支承部材202から取り外すことができる。
【0022】
このように構成される本実施形態に係るロータリースクリーン201はロータリースクリーン回転駆動手段およびロータリースクリーン左右見当調整手段と、ロータリースクリーン着脱手段とを備えている。
【0023】
<ロータリースクリーン回転駆動手段およびロータリースクリーン左右見当調整手段>
以下、
図1ないし
図3を用いて本実施形態におけるロータリースクリーン回転駆動手段およびロータリースクリーン左右見当調整手段について説明する。
【0024】
本実施形態においてロータリースクリーン201をその両端側で回転駆動するロータリースクリーン回転駆動手段は、
図1および
図2に示す駆動用モータ209と、ギア209a,205a,206a,208,202aと、回転軸205,206と、連結部材207と、クラッチ210とを備えている。また、ロータリースクリーン左右見当調整手段は、前記駆動用モータ209が固定されるとともに圧胴100の機械フレーム101,101に揺動自在に支持されたサブフレーム204に設けられ、当該サブフレーム204にロータリースクリーン201の軸方向に沿って摺動自在に支持されるとともにロータリースクリーン201の軸方向両端を回動自在に支持する二つのロータリースクリーン用ブラケット203と、当該ロータリースクリーン用ブラケット203に回動自在に支持される回転軸205,206と、サブフレーム204内に配設されたロータリースクリーン位置調整用モータ211およびテンションシリンダ212とを備えている。
【0025】
図2を用いてより詳しく説明すると、サブフレーム204は、箱状に形成され、その長手方向がロータリースクリーン201の軸方向に沿って延びている。このサブフレーム204は、ロータリースクリーン201および圧胴100の近傍に配置されている。
なお、
図3に示すように、サブフレーム204の軸方向両端の基端部には第一の連結用ブラケット204aが形成されており、圧胴100を支持する機械フレーム101に設けられた連結用ブラケット101aに第一の連結用ブラケット204aがピン214を介して揺動可能に連結されている。
【0026】
また、
図2に示すように、ロータリースクリーン用ブラケット203は、その先端部分がロータリースクリーン支持部203aを構成するとともに基端部分が回転軸支持部203bを構成している。ロータリースクリーン支持部203aは貫通孔を備えており、この貫通孔に上述した支承部材202が回動自在に支持されている。一方、回転軸支持部203bは枠状に形成され、軸方向に直交する面に貫通孔が形成されている。そして軸方向両側のロータリースクリーン用ブラケット203の回転軸支持部203bの貫通孔に、軸方向に平行に延びる回転軸205,206がそれぞれ回動自在に支持されている。さらに、回転軸支持部203bはそれぞれサブフレーム204内にロータリースクリーン201の軸方向に沿って延設された図示しないレールに摺動自在に支持されている。
【0027】
ここで、回転軸205と回転軸206とは、筒状の連結部材207を介して一体的に回転可能かつ軸方向に相対的に移動可能に連結されている。すなわち、連結部材207の一端側には回転軸205の一端が挿入され固定されている。これに対し、連結部材207の他端側の内周面と回転軸206の一端側の外周面とにそれぞれスプラインが形成され、これら連結部材207に形成されたスプラインと回転軸206の一端側に形成されたスプラインとが噛み合うように、連結部材207の他端側に回転軸206の一端側が挿入されている。
【0028】
また、回転軸205の他端にギア205aが形成されているとともに、一方(
図2では右側)の支承部材202の外周面にギア202aが形成されている。そして、回転軸205のギア205aと一方の支承部材202のギア202aとが中間ギア208を介して噛み合っているとともに、回転軸205のギア205aと駆動用モータ209のギア209aとが噛み合っている(
図1参照)。
さらに、回転軸206の他端にクラッチ210を介してギア206aが形成されているとともに、他方(
図2では左側)の支承部材202の外周面にギア202aが形成されている。そして、回転軸206のギア206aと他方の支承部材202のギア202aとが中間ギア208を介して噛み合っている。
【0029】
さらに、一方(
図2では右側)のロータリースクリーン用ブラケット203の回転軸支持部203bはロータリースクリーン位置調整用モータ211によって軸方向に移動可能に構成されている。すなわち、ロータリースクリーン位置調整用モータ211の駆動により回転する駆動ロッド211aの先端にはネジ211bが形成されている。これに対し、一方の回転軸支持部203bにはネジ211bに螺合する雌ネジが形成されたブロック239が固定され、このブロック239にネジ211bが螺着されている。これにより、ロータリースクリーン位置調整用モータ211の駆動に伴ってネジ211bが回転すると、一方の回転軸支持部203b(ロータリースクリーン用ブラケット203)が上述したサブフレーム204内に延設された図示しないレールに沿って軸方向に移動するようになっている。なお、ロータリースクリーン位置調整用モータ211はスクリーン版左右位置調整スイッチ308(
図5参照)を操作することにより駆動されスクリーン版201Aの左右(軸方向)の位置調整を行う。スクリーン版左右位置調整スイッチ308は、例えば左ボタンおよび右ボタンを備えてこれらの操作に応じてスクリーン版201Aの左右(軸方向)の位置を調整する形式、または移動方向と移動量を入力する形式のもの等とすることができる。
【0030】
さらに加えて、他方(
図2では左側)のロータリースクリーン用ブラケット203の回転軸支持部203bにはその軸方向に直交する面にテンションシリンダ212の先端が当接されている。テンションシリンダ212は、ロータリースクリーン201をその軸方向に延ばすように力をかけてテンションを与えるものであり、他方のロータリースクリーン用ブラケット203を一方のロータリースクリーン用ブラケット203とは反対側に押圧するように設定されている。これによりロータリースクリーン201はその軸方向に常に張力が加わった状態となっている。
【0031】
<ロータリースクリーン着脱手段>
続いて、
図1および
図3を用いて本実施形態におけるロータリースクリーン着脱手段について説明する。
図1に示すように、本実施形態においてロータリースクリーン着脱手段は、上述したサブフレーム204およびロータリースクリーン用ブラケット203と、サブフレーム204に第一,第二,第三リンク部材222,224,227を介して連結されるロータリースクリーン着脱用シリンダ228とを備えている。
【0032】
図1および
図3を用いてより詳しく説明すると、サブフレーム204の軸方向両端に形成された第二の連結用ブラケット204bに、第一リンク部材222がピン223を介して揺動可能に連結されている。第一リンク部材222は第二リンク部材224の遊端部にピン225を介して揺動可能に連結されている。第二リンク部材224の基端部は回転軸226に固定されている。
【0033】
ここで、前記第一リンク部材222及び第二リンク部材224はそれぞれ左右の機械フレーム101の内側に配設されている。回転軸226は機械フレーム101を貫通してその軸方向がロータリースクリーン201の軸方向と平行となるように配設されており、少なくともその一端(
図3では左側)が圧胴100の機械フレーム101の外側に突出している。
【0034】
そして、この機械フレーム101の外側において、回転軸226の前記一端には第三リンク部材227の基端部が固定されている。第三リンク部材227の遊端部はスクリーン版着脱用シリンダ228の駆動ロッド228aにピン229を介して揺動可能に連結されている。スクリーン版着脱用シリンダ228の本体はピン230を介して機械フレーム101に揺動可能に連結されている。また、第三リンク部材227の側面にはサブフレーム204の圧胴101側への揺動を規制するストッパ237が対向配置されている。
【0035】
<スキージ>
上述したロータリースクリーン201に対し、スキージ213は
図1および
図2に示すようにブレード213Aと、スキージバー213Bとを備え、ロータリースクリーン201内に貫挿されている。ブレード213Aはスクリーン版201Aの内側にあるインキをスクリーン版201Aの小孔から圧胴100側に供給する部材、要するに、スキージ本体である。スキージバー213Bはブレード213Aを支持する支持体であり、断面が矩形の矩形部を有している。ロータリースクリーン印刷装置では、ブレード213Aの先端がスクリーン版201Aの内周面に摺接することで、スクリーン版201A内に供給されたインキが前記小孔を介して被印刷物の印刷面に刷り移されるようになっている。
【0036】
このように構成される本実施形態におけるロータリースクリーン印刷装置はスキージ位置調整手段とスキージ交換補助手段とを備えている。
【0037】
<スキージ位置調整手段>
図1、
図2、
図4および
図6を用いて本実施形態におけるスキージ位置調整手段について説明する。
【0038】
図1および
図2に示すように、本実施形態においてスキージ位置調整手段は、サブフレーム204に揺動自在に支持されたスキージ着脱用シリンダ215と、サブフレーム204およびスキージ着脱用シリンダ215に揺動自在に支持されたアームとしての支持板217と、支持板217に回動自在に支持されたスキージ支持部材219と、同じく支持板217に回動自在に支持されたスキージ位置調整装置としての偏心スリーブ221と、支持板217に固定されたスキージ角度調整用モータ238とを備えている。
【0039】
スキージ着脱用シリンダ215は二段シリンダであり、その基端部がサブフレーム204の軸方向両端に形成された第三の連結用ブラケット204cに揺動自在に支持されている。より詳しくは、第三の連結用ブラケット204cにはピン216が固定されており、スキージ着脱用シリンダ215の基端部がこのピン216に揺動自在に軸支されている。
【0040】
支持板217は、板体であり、その一角には当該一角を円弧状に切り欠いてなる円弧状切欠き部が形成されて、この円弧状切欠き部にスキージ支持部材219が回動自在に支持されている。また、支持板217の他の一角には前述したスキージ着脱用シリンダ215がピン218を介して揺動自在に連結され、さらに他の一角には偏心スリーブ221が回動自在に支持されているとともに支持板217の圧胴100側への回動を規制するストッパ(当接部材)としてのネジ236に当接する当接面217aが形成されている。
【0041】
スキージ支持部材219はスキージバー213Bを着脱自在に保持する部材であり、曲面部と平面部とを有する概ね半円状に形成されたスキージ支持部219Aと、スキージ支持部219Aの平面部に対向して配置される押さえ板219Bと、押さえ板219Bの一端に固定されたハンドル219Cとを備えている。
【0042】
スキージ支持部219Aの曲面部には、ウォームホイール235(
図4参照)が設けられており、これに噛み合うウォーム234が支持板217に支持されている。このウォーム234にはスキージ角度調整用モータ238が連結されており、スキージ角度調整用モータ238を駆動するとウォーム234が回動し、ウォームギアを介してスキージ支持部材219が円弧状切欠き部に沿って回動中心P
2を中心として回動するように構成されている。
スキージ角度調整用モータ238は、印刷時においてはスキージ角度調整スイッチ311(
図5参照)によりスキージ213のスクリーン版201Aに対する当たりの角度(以下、スキージ角度という)を調整する。また、交換時等スキージ213の取り外しの際にはスキージ着脱用シリンダ215とともに自動的に駆動されてスキージ支持部材219をあらかじめ設定されたスキージ213の交換に適した角度(交換用角度)に位置付ける。
ここで、スキージ角度調整スイッチ311は、例えばプラスボタン及びマイナスボタンを設けてこれを操作する形式であってもよく、角度を数値入力する形式であってもよい。また、本実施形態においてはスキージ角度調整用モータ238を用いてウォーム234を回動させる例を示したが、手動でウォーム234を回動させ、ウォームギアを介してスキージ支持部材219を円弧状切欠き部に沿って回動中心P
2を中心として回動させるようにしてもよい。
【0043】
スキージ支持部219Aの平面部には、その中心にスキージバー213Bに嵌合する断面矩形状の矩形溝(矩形凹部)が形成されている。また、
図4に示すように、押さえ板219Bはその基端部がスキージ支持部219Aに固定されたピン219Dに回動可能に支持されており、
図4に実線で示すように矩形溝の開口部を覆う固定位置と
図4に二点鎖線で示すように矩形溝を開放する開放位置とに位置付けることができる。さらに、一端にハンドル219Cが固定され、他端にねじが形成されたピン219Eがスキージ保持部219Aに螺合しており、押さえ板219Bの遊端部にはピン219Eに係合する切欠き219Baが形成されている。このように構成されていることにより、ハンドル219Cを回転させることによって、ピン219Eのねじの作用により、押さえ板219Bをスキージ保持部219Aの平面部とハンドル219Cの下端面との間で挟持固定あるいは挟持を解除することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、印刷時において、
図1に示すようにロータリースクリーン201の中心P
1、スキージ213(スキージ支持部材219)の回動中心P
2、およびブレード213Aの先端とスクリーン版201Aとの接点P
3が一直線(
図1で示すL
1)上に位置するように、支持板217の配置およびスキージ支持部材219の角度を設定している。
【0045】
偏心スリーブ221は、支持板217に回動自在に支持されているとともにサブフレーム204の軸方向両端に形成された第四の連結用ブラケット204dに固定されたピン220に揺動自在に軸支されている。また、偏心スリーブ221のフランジ部には長穴221aが形成されており、この長穴221aには、支持板217に固定されたピン221bが嵌合されている。
この偏心スリーブ221は、印刷時において支持板217を介してブレード213Aの先端が圧胴100の上述した接点P
3における接線L
2上を移動するように、換言すると、偏心スリーブ221の回動中心P
4に対して支持板217を接線L
2に平行に位置調整するように偏心されている。すなわち、偏心スリーブ221を回転させると当該偏心スリーブ221の偏心作用によって支持板217が接線L
2に沿って平行移動し、これにより支持板217に支持されたブレード213Aの先端が接線L
2上を移動する。
【0046】
ここで、本実施形態において偏心スリーブ221の回動中心P
4は前記接線L
2上に配設され、上述した支持板217のネジ236に当接する当接面217aは前記接線L
2と面一となる位置に配設されている。ただし、当接面217aは必ずしも前記接線L
2と面一となる位置に設ける必要はなく、偏心ピン236に当接し且つ接線L
2に平行な面であればよい。
【0047】
上述したネジ236は、サブフレーム204に固定された第五の連結用ブラケット204eに螺合している。ネジ236はその先端が第五の連結用ブラケット204eから当接面217a側へ突出しており、印刷時におけるブレード213Aの圧胴100に対する押圧力を当該ネジ236の突出量で調整するように構成されている。ここで、ネジ236の突出量は、作業者によってネジ236を直接回して調整してもよいし、当該ネジ236に図示しないモータのギアを噛み合わせて遠隔操作によってネジ236を回し、その突出量を調整するようにしてもよい。
【0048】
本実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置において、支持板217とスキージ支持部材219と偏心スリーブ221とネジ236とによりスキージ支持手段が構成され、ウォーム234とウォームホイール235とにより角度調整装置が構成される。また、ネジ236と当接面217aとによりストッパ部が構成される。
【0049】
<スキージ交換補助手段>
続いて、
図1、
図2および
図6を用いて本実施形態に係るスキージ交換補助手段について説明する。
図1および
図2に示すように、本実施形態においてスキージ交換補助手段は、スライドレール231と、当該スライドレール231に蝶番233を介して回動自在に支持されたホイスト232とを備えている。
スライドレール231はロータリースクリーン201の軸方向に沿って延設されており、ロータリースクリーン201の上方において左右の機械フレーム101に支持されている。このスライドレール231は固定レール231A、中間レール231B、可動レール231Cから構成されている。
【0050】
固定レール231Aは左右の機械フレーム101に固定されている。中間レール231Bは固定レール231Aに、ロータリースクリーン201の軸方向に摺動可能に支持されている。可動レール231Cは中間レール231Bに、ロータリースクリーン201の軸方向に摺動可能に支持されている。換言すると、中間レール231Bが固定レール231Aと可動レール231Cの両方に摺動可能に連結されており、スライドレール231が伸縮可能な伸縮ガイドとして機能している。そして、このスライドレール231は、中間レール231Bおよび可動レール231Cを移動させることによって伸長する長さが、スキージバー213Bの軸方向の長さより長くなるように設定されている。なお、このスライドレール231は例えば特許文献2に開示されているスライドレールと同様の構成を有して長手方向に伸縮する案内レールであって、ここでは詳しい説明は省略する。
【0051】
更に、可動レール231Cの一端(
図2では左側)にはホイスト232の基端部が蝶番233を介してフレーム101の側面に沿って回動自在に支持されている。また、ホイスト232の遊端部にはスキージ支承部232Aと、押さえ板232Bと、ハンドル232Cと、図示しないスキージ昇降手段と、取っ手232Dとが設けられている。
【0052】
スキージ支承部232Aは、
図6に二点鎖線で示すホイスト作業位置において断面視矩形状のスキージバー213Bの側面および下面に嵌合するようにL字状に形成されている。
【0053】
押さえ板232Bは、スキージ支承部232Aの開口部を閉塞してスキージ支承部232Aに収納されたスキージバー213Bを固定するように構成されている。なお、押さえ板232Bはスキージ支承部232Aに図示しないネジを介して連結されており、前記ネジの先端に固定されたハンドル232Cを回転させることによってスキージ支承部232Aと押さえ板232Bとの締結を緩めると、押さえ板232Bを回動させることができるようになっている。これにより、押さえ板232Bを回動させ開口部を開放してスキージ支承部232Aからスキージバー213Bを取り外す、またはスキージ支承部232Aにスキージバー213Bを取り付けることができる。
【0054】
スキージ昇降手段は、スキージ支承部232Aと押さえ板232Bとを一体的にホイスト232の長手方向に移動させる手段であり、例えば、スキージ支承部232Aによって矩形部の底面がほぼ水平となるように支持されたスキージバー213Bを鉛直方向に移動させる。スキージ昇降手段としては、スキージ支承部232Aを送りねじを介してホイスト232に支持させ、この送りねじを手回しハンドル或いはモータで回転させるものでもよいし、スキージ支承部232Aとホイスト232とを連結するエアシリンダであってもよい。なお、取っ手232Dはホイスト232を移動させる際等に用いる。
【0055】
<制御装置>
続いて、
図5を参照しつつ本実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置による制御について説明する。
【0056】
図5に示すように、本実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置の制御装置300には、版交換スイッチ301、版装着完了スイッチ302、スクリーン版左右位置調整スイッチ308、ロータリエンコーダ303、印刷スタートスイッチ304、カウンタ305、印刷停止スイッチ306、スキージ交換スイッチ309、スキージ装着完了スイッチ310及びスキージ角度調整スイッチ311からの操作信号が入力されるとともに、タイマー307からの検出信号が入力される。
【0057】
また、制御装置300は、クラッチ210、ロータリースクリーン位置調整用モータ211、テンションシリンダ212、駆動用モータ209、スキージ着脱用シリンダ215、スクリーン版着脱用シリンダ228、スキージ角度調整用モータ238、及びタイマー307を駆動制御するようになっている。
【0058】
<印刷>
まず、制御装置300による印刷時の制御の流れを説明する。印刷を行う場合、制御装置300に印刷スタートスイッチ304の操作信号が入力され、ロータリエンコーダ303が一枚目のシート(被印刷物)の印刷開始位相を検出したら、制御装置300からスキージ着脱用シリンダ215に駆動ロッド215aを伸長させるよう指令が出力され、スクリーン版着脱用シリンダ228に駆動ロッド228aを収縮させるよう指令が出力される。これにより、第三リンク部材227、第二リンク部材224、第一リンク部材222を介してサブフレーム204全体がピン214を中心に圧胴100に近接する方向(
図1では反時計回り)に揺動するとともに、支持板217がピン220を中心にしてブレード213Aをスクリーン版201Aの内周面に近接させる方向(
図1では反時計回り)へと揺動するので、ロータリースクリーン用ブラケット203、支持板217を介してロータリースクリーン201が、圧胴100に対してスクリーン版201Aを離間させたロータリースクリーン脱位置から圧胴100に対してスクリーン版201Aを当接させたロータリースクリーン着位置(
図1に示す位置)に位置付けられるとともに、ロータリースクリーン201内においてスキージ213が、ブレード213Aの先端をスクリーン版201Aの内周面近傍にあって当該内周面から離間させたスキージ脱位置からブレード213Aの先端をスクリーン版201Aの内周面に接触させたスキージ着位置(
図6に実線で示す位置)に位置付けられる。なお、スキージ213はスキージ支持部材219により初期角度(スキージ着位置におけるスキージ支持部材219の角度であって新スキージ213のスキージ角度が最適になるようにあらかじめ設定された角度)に位置付けられている。このとき、支持板217の当接面217aがネジ236の先端に当接し、スキージ着脱用シリンダ215の付勢力により押圧される。
【0059】
ここで、スキージ角度を調整する場合、スキージ角度調整スイッチ311を操作してスキージ角度調整用モータ238を遠隔操作により駆動し、スキージ支持部材219を前記円弧状切欠き部に沿って回動させることにより行う。そして、このとき生じたブレード213A先端の接線L
2方向の位置のずれは、偏心スリーブ221を回転させてブレード213Aの先端を接線L
2方向に移動させることと、接線L
2に平行な(本実施形態では接線L
2に面一となる位置に形成された)当接面217aがネジ236に当接した状態で接線L
2方向に摺動することとにより修正する。また、上述したように、ブレード213Aのスクリーン版201Aへの押圧力の調整はネジ235の突出量を調整することにより行う。
【0060】
また、スクリーン版201Aの左右(軸方向)の見当合わせを行う場合はスクリーン版左右位置調整スイッチ308を作業者によって操作する。スクリーン版左右位置調整スイッチ308が操作されると、制御装置300は、ロータリースクリーン位置調整用モータ211にスクリーン版左右位置調整スイッチ308の要求に応じて駆動ロッド211aを回転させるよう指令を出力する。このとき、一方のロータリースクリーン用ブラケット203を他方のロータリースクリーン用ブラケット203から離反する方向に移動させると、ロータリースクリーン201も一体的に軸方向に移動し、他方のロータリースクリーン用ブラケット203はロータリースクリーン201を介してテンションシリンダ212の付勢力に抗して一方のロータリースクリーン用ブラケット203の移動に追従して軸方向に移動する。一方、ロータリースクリーン位置調整用モータ211を先程とは逆方向に駆動させると、一方のロータリースクリーン用ブラケット203は他方のロータリースクリーン用ブラケット203に近接する方向に移動する。この一方のロータリースクリーン用ブラケット203の移動によりロータリースクリーン201も一体的に軸方向に移動し、他方のロータリースクリーン用ブラケット203はテンションシリンダ212の付勢力により一方のロータリースクリーン用ブラケット203の移動に追従して軸方向に移動する。これにより、ロータリースクリーン201の左右見当合わせを行う。なお、左右の見当合わせは印刷中であっても印刷終了状態であっても行うことができる。
【0061】
その後、制御装置300は、印刷停止スイッチ306が操作される又はカウンタ305により計数されるシートの供給枚数が所定枚数になり、ロータリエンコーダ303が最終シート印刷完了位相を検出したら、スキージ着脱用シリンダ215に駆動ロッド215aを収縮するよう指令を出力するとともに、スクリーン版着脱用シリンダ228に駆動ロッド228aを伸長するよう指令を出力する。これにより、支持板217がピン220を中心にしてブレード213Aをスクリーン版201Aの内周面から離反させる方向(
図1では時計回り)へと揺動し、当該ブレード213Aをスキージ着位置からスキージ脱位置へ移動させるとともに、第三リンク部材227、第二リンク部材224、第一リンク部材222を介してサブフレーム204全体がピン214を中心に圧胴100から離反する方向(
図1では時計回り)に揺動して、ロータリースクリーン用ブラケット203、支持板217を介してロータリースクリーン201がロータリースクリーン着位置からロータリースクリーン脱位置に位置付けられて印刷終了状態となる。
【0062】
<スクリーン版交換>
続いて、版交換を行う場合は、まず、上述した印刷終了状態(ロータリースクリーン装置200がロータリースクリーン脱位置、スキージ脱位置に位置付けられた状態)において作業者がスキージ交換スイッチ309を操作すると、制御装置300からスキージ着脱用シリンダ215に対して駆動ロッド215aを収縮するよう指令が出力されるとともにスキージ角度調整用モータ238に対してスキージ支持部材219を交換用角度とするよう指令が出力される。これにより、支持板217がピン220を中心にしてブレード213Aをスクリーン版201Aの内周面から離反させる方向(
図1では時計回り)へと揺動するとともに、スキージ支持部材219が支持板217の円弧状切欠き部に沿って回動するので、ロータリースクリーン201内においてスキージ213がスキージ脱位置からスキージ213をロータリースクリーン201の軸心側へ退避させたスキージ交換位置(
図6に二点鎖線で示す位置)に位置付けられるとともに、スキージ支持部材219によりスキージ213が初期角度から交換用角度に位置付けられる。
【0063】
続いて、スキージ支持部材219のハンドル219Cを回転させ、ピン219Eのねじを緩めてスキージ支持部219Aの平面部とハンドル219Cの下端面との間の押さえ板219Bの挟持を解除して押さえ板219Bを回動させ、左右のスキージ支持部材219の矩形溝の上方開口を解放させる。その後、ホイスト232をホイスト退避位置(ホイスト232を当該ホイスト232がロータリースクリーン201の開口部と半径方向でみて重ならないように配置した位置。例えば、
図6に実線で示す位置)から上述したホイスト作業位置(より詳しくは、スライドレール231を収縮しホイスト232を軸方向でみてフレーム101に近接させたホイスト近傍位置にあってホイスト232をそのスキージ支承部232Aがスキージ交換位置に位置付けられたスキージ支持部材219に半径方向でみてほぼ重なるように配置した位置)に位置づける。その際、スキージ支承部232Aはスキージ支持部材219に支持されたスキージ213よりも下方(スキージ装着位置)に位置づける。そして、スキージ昇降手段によりスキージ支承部232Aを例えばスキージ装着位置(スキージ支承部232Aをスキージ支持部材219に支持されたスキージ213よりも下方に位置づけた状態)からスキージ取外し位置(スキージ支承部232Aをスキージ支持部材219に支持されたスキージ213よりも上方に位置づけた状態)へ鉛直方向に上昇させ、スキージバー213Bがスキージ支承部232Aに嵌ったらスキージ昇降手段によるスキージ支承部232A(スキージ213)の上昇を一旦停止させ、押さえ板232Bを回動させて開口部を閉塞し、ハンドル232Cを回転させ、スキージバー213Bをスキージ支承部232Aに挟持固定した後、スキージ昇降手段によるスキージ支承部232Aの上昇を再開させると、スキージバー213Bはスキージ支持部材219の矩形溝から外れ、これによりスキージバー213Bは左右のスキージ支持部材219からスキージ支承部232Aに載せ換えられる。
【0064】
続いて、スキージ昇降手段によりスキージバー213Bをスキージ支持部材219から離間した位置まで上昇させた後、スキージ213の上昇を停止させ、ホイスト232をホイスト近傍位置からホイスト離間位置(スライドレール231を伸長しホイスト232をロータリースクリーン201の軸方向でみてフレーム101から離間させた位置)へ移動させる。ホイスト232のホイスト離間位置への移動の際、スライドレール231は伸長しながらホイスト232を案内する。
【0065】
その後、版交換スイッチ301を操作すると、制御装置300からクラッチ210に対して回転軸206との接続を断つよう指令が出力されるとともに、テンションシリンダ212に対して駆動ロッドを収縮するよう指令が出力され、クラッチ210と回転軸206との接続、及び、テンションシリンダ212のロータリースクリーン用ブラケット203に対する押圧が解除される。
【0066】
制御装置300からの指令によりテンションシリンダ212のロータリースクリーン用ブラケット203に対する押圧が解除されたら、作業者により操作側(
図2では左側)の支承部材202とエンドリング201との係合および原動側(
図2では右側)の支承部材202とエンドリング201との係合をそれぞれ解除して旧版を取り外す。なお、支承部材202からエンドリング201(ロータリースクリーン201)を取り外す方法については上述した通りでありここでは詳しい説明は省略する。
【0067】
続いて、新スクリーン版201Aの両端にエンドリング201Bを取り付けた後、新スクリーン版201Aの原動側のエンドリング201Bを原動側の支承部材202に取り付け、その後、操作側の支承部材202を軸方向でみて内側へ移動させ、新スクリーン版201Aを回動させて新スクリーン版201Aの操作側のエンドリング201Bとの位相合わせを行い、支承部材202にエンドリング201Bを取り付ける。支承部材202にエンドリング201(ロータリースクリーン201)を取り付ける方法についても上述した通りでありここでは詳しい説明は省略する。
【0068】
支承部材202にエンドリング201Bを取り付けたら、ホイスト232をホイスト近傍位置へと移動させる。ホイスト232のホイスト近傍位置への移動の際、スライドレール231は収縮しながらホイスト232を案内する。
【0069】
ホイスト232をホイスト近傍位置に位置づけた後は、スキージ昇降手段によりスキージ213を下降させ、スキージバー213Bが左右のスキージ支持部材219の矩形溝に嵌ったらスキージ昇降手段によるスキージ213の下降を一旦停止させ、ホイスト232のハンドル232Cを操作して押さえ板232Bによる挟持を解除しスキージ支承部232Aの開口部を解放させた後、スキージ昇降手段によるスキージ213の下降を再開させると、スキージ支承部232Aの下降により、当該スキージ支承部232Aからスキージバー213が外れる。これによりスキージバー213Bはスキージ支承部232Aから左右のスキージ支持部材219に載せ換えられる。その後、左右のスキージ支持部材219の押さえ板219Bを当該押さえ板219Bの切欠き219Baの底面がピン219Eと当接する位置まで回動させ、当該押さえ板219Bによって矩形溝の開口部を閉塞し、ハンドル219Cを回動させることにより左右のスキージ支持部材219の矩形溝内にスキージバー213Bが固定される。
【0070】
スキージバー213Bをスキージ支持部材219に固定したら、ホイスト232をホイスト退避位置に位置づける。その後、スキージ装着完了スイッチ310が操作されると、制御装置300からスキージ着脱用シリンダ215に対して駆動ロッド215aを伸長するよう指令が出力されるとともに、スキージ角度調整用モータ238に対してスキージ支持部材219を初期角度とするよう指令が出力される。これにより、支持板217がピン220を中心にしてブレード213Aをスクリーン版201Aの内周面に近接させる方向(
図1では反時計回り)へと揺動するとともに、スキージ支持部材219が支持板217の円弧状切欠き部に沿って回動するので、ロータリースクリーン201内においてスキージ213がスキージ脱位置に位置付けられるとともに、スキージ支持部材219によりスキージ213が初期角度に位置付けられる。
【0071】
その後、作業者により版装着完了スイッチ302をONにする。版装着完了スイッチ302が操作されると、制御装置300からテンションシリンダ212に駆動ロッド212aを伸長するよう指令が出力されるとともに、駆動用モータ209をONに、且つタイマー307による計時をスタートするように指令が出力される。これにより、ロータリースクリーン201にテンションがかかった状態になり、駆動用モータ209のギア209a、回転軸205のギア205a、一方の中間ギア208、一方の支承部材202のギア202a、一方の支承部材202を介してロータリースクリーン201の一端に駆動用モータ209の駆動力が伝わる。さらに、ロータリースクリーン201の回転に伴って当該ロータリースクリーン201の他端に取り付けられた他方の支承部材202、他方の支承部材202のギア202a、他方の中間ギア208を介して回転軸206のギア206aが回転する一方、回転軸205の回転に伴って回転軸206が回転する。このとき、クラッチ210は回転軸206との接続を切断していることから、回転軸206のギア206aは当該回転軸206に対して自由に回転できる状態となっている。
【0072】
続いて、タイマー307が予め設定した第一設定時間だけ計時を行ったら、制御装置300からクラッチ210に回転軸206と接続するよう指令が出力され、ギア206aが回転軸206と一体的に回転するように駆動接続される。これにより、駆動用モータ209のギア209a、回転軸205のギア205a、回転軸205、連結部材207、回転軸206、クラッチ210、回転軸206のギア206a、他方の中間ギア208、他方の支承部材202のギア202a、他方の支承部材202を介してロータリースクリーン201の他端にも駆動用モータ209の駆動力が伝わり、ロータリースクリーン201の両端が駆動用モータ209により回転駆動される状態となる。
【0073】
そして、タイマー307が第二設定時間だけ計時を行ったら制御装置300から駆動用モータ209に停止の指令が出力される。以上により、スクリーン版201Aの交換が完了する。
【0074】
<スキージ交換>
スキージ213の交換を行う場合は、作業者がスキージ交換スイッチ309を操作すると、制御装置300からスキージ着脱用シリンダ215に対して駆動ロッド215aを収縮するよう指令が出力されるとともにスキージ角度調整用モータ238に対してスキージ支持部材219を交換用角度とするよう指令が出力される。これにより、支持板217がピン220を中心にしてブレード213Aをスクリーン版201Aの内周面から離反させる方向(
図1では時計回り)へと揺動するとともに、スキージ支持部材219が支持板217の円弧状切欠き部に沿って回動するので、ロータリースクリーン201内においてスキージ213がスキージ脱位置からスキージ213をロータリースクリーン201の軸心側へ退避させたスキージ交換位置に位置付けられるとともに、スキージ支持部材219によりスキージ213が交換用角度に位置付けられる。
【0075】
続いて、スキージ支持部材219のハンドル219Cを回転させ、ピン219Eのねじを緩めてスキージ支持部219Aの平面部とハンドル219Cの下端面との間の押さえ板219Bの挟持を解除して押さえ板219Bを回動させ、左右のスキージ支持部材219の矩形溝の上方開口を解放させる。その後、ホイスト232をホイスト退避位置からホイスト作業位置に位置づける。その際、スキージ支承部232Aはスキージ支持部材219に支持されたスキージ213よりも下方(装着位置)に位置づける。そして、スキージ昇降手段によりスキージ支承部232Aを例えばスキージ装着位置からスキージ取外し位置へ鉛直方向に上昇させ、スキージバー213Bがスキージ支承部232Aに嵌ったらスキージ昇降手段によるスキージ支承部232A(スキージ213)の上昇を一旦停止させ、押さえ板232Bを回動させて開口部を閉塞し、ハンドル232Cを回転させ、スキージバー213Bをスキージ支承部232Aに挟持固定した後、スキージ昇降手段によるスキージ支承部232Aの上昇を再開させると、スキージバー213Bはスキージ支持部材219の矩形溝から外れ、これによりスキージバー213Bは左右のスキージ支持部材219からスキージ支承部232Aに載せ換えられる。
【0076】
続いて、スキージ昇降手段によりスキージバー213Bをスキージ支持部材219から離間した位置まで上昇させた後、スキージ213の上昇を停止させ、ホイスト232をホイスト近傍位置からホイスト離間位置へ移動させる。ホイスト232のホイスト離間位置への移動の際、スライドレール231は伸長しながらホイスト232を案内する。
【0077】
その後、ホイスト232のハンドル232Cを回転させ、図示しないピンのねじの作用により、押さえ板232Bとスキージ保持部232Aの平面部との間の挟持を解除して押さえ板232Bを回動させ、スキージ支承部232Aの矩形溝の上方開口を解放させ、旧スキージ213を取り外す。
【0078】
その後、新しいスキージ213を取り付ける場合は、新しいスキージ213のスキージバー213Bをスキージ支承部232Aの矩形溝に嵌め込み、押さえ板232Bを回動させて開口部を閉塞し、ハンドル232Cを回転させ、図示しないピンのねじの作用により、押さえ板232Bとスキージ支承部232Aの平面部との間を挟持固定し、スキージ213を片持ち支持させる。
【0079】
続いて、スキージ昇降手段によりスキージ支承部232Aと押さえ板232Bを介してスキージ213を上昇させた後、ホイスト232をホイスト近傍位置へと移動させる。ホイスト232のホイスト近傍位置への移動の際、スライドレール231は収縮しながらホイスト232を案内する。
【0080】
ホイスト232をホイスト近傍位置に位置づけた後は、スキージ昇降手段によりスキージ213を下降させ、スキージバー213Bが左右のスキージ支持部材219の矩形溝に嵌ったらスキージ昇降手段によるスキージ213の下降を一旦停止させ、押さえ板232Bを操作して開口部を解放させた後、スキージ昇降手段によるスキージ213の下降を再開させると、スキージ支承部232Aの下降により、当該スキージ支承部232Aからスキージバー213が外れる。これによりスキージバー213Bはスキージ支承部232Aから左右のスキージ支持部材219に載せ換えられる。その後、左右のスキージ支持部材219の押さえ板219Bを当該押さえ板219Bの切欠き219Baの底面がピン219Eと当接する位置まで回動させ、当該押さえ板219Bによって矩形溝の開口部を閉塞し、ハンドル219Cを回動させることにより、図示しないピンのネジの作用により左右のスキージ支持部材219の矩形溝内にスキージバー213Bが固定される。
【0081】
スキージバー213Bをスキージ支持部材219に固定したら、ホイスト232をホイスト退避位置に位置づける。
【0082】
その後、スキージ装着完了スイッチ310が操作されると、制御装置300からスキージ着脱用シリンダ215に対して駆動ロッド215aを伸長するよう指令が出力されるとともに、スキージ角度調整用モータ238に対してスキージ支持部材219を初期角度とするよう指令が出力される。これにより、支持板217がピン220を中心にしてブレード213Aをスクリーン版201Aの内周面に近接させる方向(
図1では反時計回り)へと揺動するとともに、スキージ支持部材219が支持板217の円弧状切欠き部に沿って回動するので、ロータリースクリーン201内においてスキージ213がスキージ213をロータリースクリーン201の軸心側へ退避させたスキージ交換位置からスキージ脱位置に位置付けられるとともに、スキージ支持部材219によりスキージ213が初期角度に位置付けられる。以上によりスキージ213の交換が完了する。
【0083】
以上に説明した本実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置においては、以下の作用効果を奏する。
【0084】
まず、支持板217にスキージ支持部材219、スキージ角度調整用モータ238、及び偏心スリーブ221を支持させ、偏心スリーブ221をブレード213Aの先端とスクリーン版201Aとの接点P
3における圧胴100の接線L
2上を移動するように偏心させたことにより、スキージ角度調整スイッチ311を操作してスキージ角度調整用モータ238によりスキージ支持部材219を回動させてスキージ角度の調整を行った場合、この角度調整によって接点P
3からずれたブレード213Aの先端を、偏心スリーブ221を回転させて支持板217を接線L
2に沿って平行移動させることにより修正することができる。
【0085】
また、支持板217のネジ236に当接する当接面217aが前記接線L
2と平行(本実施形態では面一)となる位置に配設されていることにより、偏心スリーブ221によってブレード213Aを接線L
2上で移動させる際に偏心スリーブ221と協働して当接面217aとネジ236とにより支持板217を接線L
2に沿って平行移動させることができるとともに、偏心スリーブ221によってブレード213Aが移動する際、当接面217aは接線L
2に平行に移動するので、スキージ213をスキージ着位置に配置した状態におけるブレード213Aのスクリーン版201Aに対する押圧力を一定に保つことができる。
【0086】
また、インキの種類等に応じてスキージ角度を調整する場合、ウォーム234によってスキージ支持部材219を回動させてスキージ角度を調整するが、前述した三点P
1,P
2,P
3を一直線上に位置するようにしたことにより、ブレード213Aの角度調整の際にスキージ支持部材219を回動させた場合にはブレード213Aの先端はスクリーン版201Aの内周面に対して離間するように移動するので、ブレード213Aの先端がスクリーン版201A側に移動してスクリーン版201Aにブレード213Aからの過大な押圧力がかかることがなく、スキージ角度を調整することによりスクリーン版201Aを傷つけることがない。
【0087】
さらに、スキージ角度調整用モータ238を設け、スキージ213をホイスト作業位置に位置付けたときに自動でスキージ支持部219Aを交換用角度に調整する構成としたため、スキージ213の交換等の際、スキージバー213Bをスキージ支持部219Aからスキージ支承部232Aへ載せ換える場合、またはスキージバー213Bをスキージ支承部232Aからスキージ支持部219Aへ載せ換える場合は、スキージ支持部219Aの矩形溝の向きが常に交換に適した交換用角度となっているため、載せ換え作業を円滑に行うことができ、作業者の負担が低減する。
【0088】
また、サブフレーム204に支持板217を支持させたことにより、支持板217によるスキージ213の左右(軸方向)の支持位置を互いに近接させることが可能となり、スキージ213の長さを最小限にしてスキージ213の軽量化を図ることができ、作業者の負担を大幅に軽減することができる。
【0089】
また、印刷開始時又は印刷終了時等においてスキージ213とロータリースクリーン201とを同時にロータリースクリーン脱位置に移動させることが可能となり、ロータリースクリーン201およびスキージ213の移動に係る時間を従来と比較して短縮することができ、印刷時の効率を向上させることができる。つまり、従来のロータリースクリーン装置では、ロータリースクリーン201を圧胴100に対して着脱させる手段とスキージ213をロータリースクリーン201に対して着脱させる手段とが独立して駆動される構成となっており、例えば、印刷終了時にあっては、スクリーン版201Aをブレード201Aから保護するためにまずスキージ213をロータリースクリーン201の軸心側へ移動させた後、ロータリースクリーン201を圧胴100から離間させる必要がありロータリースクリーン201の離間が即時に行われないこと、また印刷終了直後にはロータリースクリーン201が圧胴100から離間している必要があることから、最終シートの印刷途中でスキージ213をロータリースクリーン201の軸心側へ移動させて印刷終了直後にロータリースクリーン201が圧胴100から離間した状態になるようにしていたため、最終シートが印刷不良となってしまっていた。これに対し、本実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置においては、サブフレーム204に支持板217を支持させたことにより、最終シートを印刷した直後にスキージ213とロータリースクリーン201とを同時にロータリースクリーン脱位置に移動させることができるため、最終シートを無駄にすることなく印刷を行うことが可能となるという利点がある。
【0090】
また、ロータリースクリーン201の軸方向両端を回転駆動する構成としたことにより、ロータリースクリーン201の一端を回転駆動する場合に比較して、印刷中にブレード201Aをスクリーン版201Aの内周面に押し当てることによってロータリースクリーン201の左右(軸方向)の回転にずれが生じ、これが左右の見当のずれにつながるということがないため、印刷品質を向上させることができる。
【0091】
また、従来のロータリースクリーンの両側を回転駆動する構成にあっては、支承部材202のロータリースクリーン用ブラケット203に対する周方向の位置が決まっているため、エンドリング201Bをスクリーン版201Aに取り付ける際に相互の周方向の基準位置がずれた場合、左右のエンドリング201Bをそれぞれ支承部材202に取り付けたときにスクリーン版201Aが左右(軸方向)でねじれて、これが左右の見当のずれにつながるおそれがあった。これに対し、本実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置においては、ロータリースクリーン回転駆動手段がクラッチ210を備えることにより、ロータリースクリーン201を回転駆動する際にはまずクラッチ210と回転軸206との接続を断った状態でロータリースクリーン201の両端をそれぞれ支承部材202に取り付けることができるので、エンドリング201Bをスクリーン版201Aに取り付ける際に相互の周方向の基準位置が多少ずれていたとしても、スクリーン版201Aをねじることなく支承部材202に取り付けることができ、ロータリースクリーン201の原動側と操作側とで見当がずれることが無く、印刷品質を向上させることができる。
【0092】
更に加えて、駆動用モータ209により一定時間ロータリースクリーン201を片側駆動した後にクラッチ210を接続することにより、印刷時には、ロータリースクリーン201の左右(軸方向)両側で、ギアの状態(一方の支承部材202のギア202aと一方の中間ギア208と回転軸205のギア205aとの位相状態と他方の支承部材202のギア202aと他方の中間ギア208と回転軸206のギア206aとの位相状態)が相互に一致した状態となるため、バックラッシュが原因で左右の見当がずれることも防止することができる。
【0093】
しかも、本実施形態においては回転軸206のギア206aと回転軸206とが相互に自由に回転可能な状態または一体的に回転可能な状態のいずれかを選択することもできる。
【0094】
また、フレーム101に近接したホイスト近傍位置とフレーム101から離間したホイスト離間位置との間をスライドレール231に支持されつつ移動するホイスト232を設け、ホイスト232の揺動中心をロータリースクリーン201の軸方向に平行となるように構成したため、ホイスト232はフレーム101の側面に沿って揺動することができ、ホイスト退避位置に位置づけられたとしてもフレーム101の側面から大きく突出することが無く作業者の邪魔にならない。また、ロータリースクリーン201の端部開口からロータリースクリーン201のインキの状態を目視したり、ロータリースクリーン201内部へアクセスする際に、ホイスト232が邪魔にならないので、確認作業や調整作業、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0095】
また、このホイスト232のホイスト近傍位置或いはホイスト離間位置への移動中に、スキージ213はロータリースクリーン201の内部を通ることになるが、ロータリースクリーン201のエンドリング210Bの開口が大径となっているため、スキージ213がエンドリング201Bに接触することが無く、また、スキージ昇降手段によりスキージ213を上昇させているため、交換位置に位置付けられているスキージ支持部材219(ウォームホイール235)に接触することもないので、スキージ213やエンドリング201B、スキージ支持部材219が損傷することが無い。
【0096】
また、ホイスト232を片持ち支持可能なスライドレール231を使用することにより、ホイスト232をホイスト近傍位置に位置付けたときにはホイスト232もスライドレール231もフレーム101の外側にほとんど突出しないため、作業の邪魔になることが無く、さらにこのようなホイスト232とスライドレール231の構成により、スキージの交換作業を一人の作業者で行うことができる。
【0097】
なお、上述した本実施形態に係るロータリースクリーン印刷装置において、スキージ213を着脱位置及びホイスト退避位置に移動させるために設けられたスキージ着脱用シリンダ215、及び、ロータリースクリーン201及びスキージ213を印刷位置とホイスト退避位置との間で移動させるために設けられたスクリーン版着脱用シリンダ228は、シリンダに代えてモータを用いてもよい。