(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記結合に基づく三重核磁気共鳴法および磁気共鳴撮像法の各パルス系列を用いて前記プローブに起因する多重共鳴シグナルを検出する請求項1に記載の多核多重磁気共鳴画像化方法。
前記主鎖が、(メタ)アクリレートモノマーに由来する繰返し単位、(メタ)アクリルアミドモノマーに由来する繰り返し単位、アミノ酸モノマーに由来する繰返し単位およびヒドロキシ酸モノマーに由来する繰返し単位からなる群より選ばれた繰返し単位をさらに有する請求項1、2、4〜7のいずれかに記載の多核多重磁気共鳴画像化方法。
前記繰り返し単位の末端に、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、水酸基、チオール基、アミノ基、アジド基、マレイミド基、N−ヒドロキシスクシンイミド基およびトリクロロシリル基のいずれかの官能基を有する請求項1、2、4〜9のいずれかに記載の多核多重磁気共鳴画像化方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、生体内でのプローブの機能、生体内でのプローブを介した代謝反応などを正確で、かつ生体に対して低負荷で可視化することができる多核多重磁気共鳴画像化方法および多核多重磁気共鳴画像化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
〔1〕検体中のプローブに起因する多重共鳴シグナルを検出して画像化する多核多重磁気共鳴画像化方法であって、
(A)
1H、
13Cおよび
15Nからなる群より選ばれた少なくとも2種類の核磁気共鳴活性核を有し、かつ異なる共鳴周波数を有する少なくとも3個の核磁気共鳴活性核からなる結合を有する化合物からなるプローブを検体に付与するステップ、および
(B) 前記ステップ(A)でプローブが付与された前記検体に電磁波を照射して前記プローブの前記結合中の各核の間での磁化移動を行ない、当該磁化移動を利用して前記プローブに起因する多重共鳴シグナルを検出するステップ
を含むことを特徴とする多核多重磁気共鳴画像化方法、
〔2〕前記プローブとして、
1H−
13C−
15N結合、
1H−
15N−
13C結合または
1H−
13C−
13C結合を有する化合物からなるプローブと、前記結合に基づく三重核磁気共鳴法および磁気共鳴撮像法の各パルス系列とを用いて前記プローブに起因する多重共鳴シグナルを検出する前記〔1〕に記載の多核多重磁気共鳴画像化方法、
〔3〕前記プローブが、
式(x1)〜(x3):
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、R
1〜R
4はそれぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜9の炭化水素基、R
5は置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基、*は側鎖に直接またはリンカーを介して結合する。ただし、R
5が炭素数2〜4の炭化水素基である場合、当該炭化水素基中の少なくとも1つの炭素原子が前記側鎖に直接またはリンカーを介して結合する)
で表わされる繰返し単位からなる群より選ばれた少なくとも1種の繰返し単位を含む重合度が1〜5000の主鎖を有し、かつ前記側鎖として式(y1)〜(y3):
【0009】
【化2】
【0010】
〔式中、R
6は直接結合または置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基、Zは1価の官能基を示し、*は前記式(x1)〜(x3)における*に直接またはリンカーを介して結合する〕
で表わされる官能基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物である前記〔1〕または〔2〕に記載の多核多重磁気共鳴画像化方法、
〔4〕前記側鎖が、式(y1)または(y2)で表わされる官能基であり、前記式(y1)または(y2)におけるZが式(z1):
*−
15NH
2 (z1)
〔式中、*は前記式(y1)または(y2)で表わされる官能基に結合する結合手を示す〕
で表わされる官能基である前記〔3〕に記載の多核多重磁気共鳴画像化方法、
〔5〕前記式(y1)〜(y3)におけるZが式(z2)〜(z4):
*−
13CH
3 (z2)
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
〔式中、*は前記式(y1)〜(y3)で表わされる官能基に結合する結合手、dは1〜4の整数を示し、メチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい〕
で表される前記〔3〕に記載の多核多重磁気共鳴画像化方法、
〔6〕前記リンカーが、置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基および式(l1)〜(l3):
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
【化7】
〔式中、L’は置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基または式(l’):
【0017】
【化8】
【0018】
(式中、aおよびbはそれぞれ独立して1〜4の整数を示し、メチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい)
で表わされる官能基を示し、*は前記式(x1)〜(x3)における*または前記式(y1)〜(y3)における*に結合する〕
で表わされる官能基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基である前記〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の多核多重磁気共鳴画像化方法、
〔7〕前記主鎖と側鎖とがリンカーを介して結合しており、前記リンカーと前記側鎖とからなる構造が、式(y5)〜(y7):
【0019】
【化9】
【0020】
【化10】
【0021】
【化11】
〔式中、*は前記式(x1)〜(x3)における*に結合する結合手、aおよびbはそれぞれ独立して1〜4の整数を示し、式(y5)〜(y7)中のメチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい〕
で表わされる構造からなる群より選ばれた構造である前記〔3〕に記載の多核多重磁気共鳴画像化方法、
〔8〕前記主鎖が、(メタ)アクリレートモノマーに由来する繰返し単位、(メタ)アクリルアミドモノマーに由来する繰り返し単位、アミノ酸モノマーに由来する繰返し単位およびヒドロキシ酸モノマーに由来する繰返し単位からなる群より選ばれた繰返し単位をさらに有する前記〔3〕〜〔7〕のいずれかに記載の多核多重磁気共鳴画像化方法、
〔9〕前記主鎖が、式(a1)〜(a3):
【0022】
【化12】
【0023】
【化13】
【0024】
【化14】
(式中、R
1〜R
5は前記と同じ。R
7は水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基を示す)
で表わされる繰返し単位からなる群より選ばれた繰返し単位をさらに有する前記〔3〕〜〔7〕のいずれかに記載の多核多重磁気共鳴画像化方法、
〔10〕前記繰り返し単位の末端に、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、水酸基、チオール基、アミノ基、アジド基、マレイミド基、N−ヒドロキシスクシンイミド基およびトリクロロシリル基のいずれかの官能基を有する前記〔3〕〜〔9〕のいずれかに記載の多核多重磁気共鳴画像化方法、
〔11〕前記重合体の繰り返し単位の末端に有する官能基に、標的部位に特異的に結合する捕捉分子が結合されてなる前記〔10〕に記載の多核多重磁気共鳴画像化方法、
〔12〕検体中のプローブに起因する多重共鳴シグナルを検出して画像化するための多核多重磁気共鳴画像化装置であって、
前記プローブが、
1H、
13Cおよび
15Nからなる群より選ばれた少なくとも2種類の核磁気共鳴活性核を有し、かつ異なる共鳴周波数を有する少なくとも3個の核磁気共鳴活性核からなる結合を有する化合物からなるプローブであり、
前記結合に含まれる少なくとも3個の核磁気共鳴活性核それぞれの共鳴周波数に相当するRFパルスを印加するパルス印加部と、
前記プローブに勾配磁場を印加する勾配磁場印加部と、
前記結合に含まれる核磁気共鳴活性核それぞれの磁気共鳴信号を検出する検出部と、
所定のパルス系列が生成されるように前記パルス印加部と前記勾配磁場印加部とを制御する制御部と
を備えており、
前記所定のパルス系列が、
前記結合に含まれる各核磁気共鳴活性核間の磁化移動を行なうようにRFパルスおよび勾配磁場を前記プローブに印加して磁化移動を行なうための磁化移動パルス系列と、
前記磁気共鳴信号に位置情報を付加し、当該磁気共鳴信号を収集するための信号収集パルス系列と
を含むことを特徴とする多核多重磁気共鳴画像化装置、
〔13〕前記プローブが、第1核磁気共鳴活性核と当該第1核磁気共鳴活性核に磁気的に結合した第2核磁気共鳴活性核と当該第2核磁気共鳴活性核に磁気的に結合した第3核磁気共鳴活性核とからなる結合を有する化合物からなるプローブであり、
前記第1核磁気共鳴活性核に当該第1核磁気共鳴活性核の共鳴周波数に相当するRFパルスを印加する第1パルス印加部と、
前記第2核磁気共鳴活性核に当該第2核磁気共鳴活性核の共鳴周波数に相当するRFパルスを印加する第2パルス印加部と、
前記第3核磁気共鳴活性核に当該第3核磁気共鳴活性核の共鳴周波数に相当するRFパルスを印加する第3パルス印加部と、
前記プローブに勾配磁場を印加する勾配磁場印加部と、
前記第1核磁気共鳴活性核、前記第2核磁気共鳴活性核および前記第3核磁気共鳴活性核からなる群より選ばれた少なくとも1つの核磁気共鳴活性核の磁気共鳴信号を検出する検出部と、
所定のパルス系列が生成されるように前記第1パルス印加と前記第2パルス印加部と前記第3パルス印加部と前記勾配磁場印加部とを制御する制御部と
を備えており、
前記所定のパルス系列が、
前記第1核磁気共鳴活性核から第2核磁気共鳴活性核への磁化移動を行なった後、前記第2核磁気共鳴活性核から第3核磁気共鳴活性核への磁化移動を行ない、さらに前記第3核磁気共鳴活性核から前記第2核磁気共鳴活性核を経て前記第1核磁気共鳴活性核への磁化を行なうようにRFパルスおよび勾配磁場を前記プローブに印加して磁化移動を行なうための磁化移動パルス系列と、
前記磁気共鳴信号に位置情報を付加し、当該磁気共鳴信号を収集するための信号収集パルス系列と
を含む、〔12〕に記載の多核多重磁気共鳴画像化装置。
〔14〕前記磁化移動パルス系列は、前記制御部によって下記(a1)〜(a16):
(a1)前記第1核磁気共鳴活性核に90度の第1RFパルスを印加した後、当該第1核磁気共鳴活性核に180度の第2RFパルスをさらに印加するステップ、
(a2)前記第2RFパルスを印加すると同時または印加した後、前記第2核磁気共鳴活性核に180度の第3RFパルスを印加するステップ、
(a3)前記第1核磁気共鳴活性核に90度の第4RFパルスを印加した後、前記第2核磁気共鳴活性核に90度の第5RFパルスを印加するステップ、
(a4)前記第2核磁気共鳴活性核に180度の第6RFパルスを印加するステップ、
(a5)前記第6RFパルスを印加すると同時または印加した後、前記第3核磁気共鳴活性核に180度の第7RFパルスを印加するステップ、
(a6)前記第2核磁気共鳴活性核に90度の第8RFパルスを印加した後、前記第3核磁気共鳴活性核に90度の第9RFパルスを印加するステップ、
(a7)前記第2核磁気共鳴活性核に180度の第10RFパルスを印加するステップ、
(a8)前記第1核磁気共鳴活性核に180度の第11RFパルスと前記第3核磁気共鳴活性核に180度の第12RFパルスとを同時に印加するステップ、
(a9)前記第2核磁気共鳴活性核に180度の第13RFパルスを印加するステップ、
(a10)前記第3核磁気共鳴活性核に90度の第14RFパルスを印加するステップ、
(a11)前記第2核磁気共鳴活性核に90度の第15RFパルスを印加するステップ、
(a12)前記第2核磁気共鳴活性核に180度の第16RFパルスを印加するステップ、
(a13)前記第16RFパルスと同時または印加後に、前記第3核磁気共鳴活性核に180度の第17RFパルスを印加するステップ、
(a14)前記第2核磁気共鳴活性核に90度の第18RFパルスを印加した後、前記第1核磁気共鳴活性核に90度の第19RFパルスを印加するステップ、および
(a15)前記第1核磁気共鳴活性核に180度の第20RFパルスを印加するステップ、
(a16)前記第20RFパルスを印加すると同時または印加後に、前記第2核磁気共鳴活性核に180度の第21RFパルスを印加するステップ
がこの順に実行されることによって生成されるRFパルス印加系列と、前記制御部によって下記(b1)〜(b12):
(b1)前記第1RFパルスと前記第2RFパルスとのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b2)前記第3RFパルスと前記第4RFパルスとのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b3)前記第4RFパルスと前記第5RFパルスとのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b4)前記第8RFパルスと前記第9RFパルスとのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b5)前記第9RFパルスと前記第10RFパルスとのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b6)前記第10RFパルスと前記第11RFパルスとのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b7)前記第12RFパルスと前記第13RFパルスとのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b8)前記第13RFパルスと前記第14RFパルスとのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b9)前記第14RFパルスと前記第15RFパルスとのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b10)前記第18RFパルスと前記第19RFパルスとのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b11)前記第19RFパルスと前記第20RFパルスとのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、および
(b12)前記第21RFパルスの印加後において、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ
がこの順に実行されることによって生成される勾配磁場印加系列と
を含む、前記〔13〕に記載の多核多重磁気共鳴画像化装置
に関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の多核多重磁気共鳴画像化方法および多核多重磁気共鳴画像化装置は、生体内でのプローブの機能、生体内でのプローブを介した代謝反応などを正確で、かつ生体に対して低負荷で可視化することができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
1.多核多重磁気共鳴画像化方法
本発明の多核多重磁気共鳴画像化方法は、検体中のプローブに起因する多重共鳴シグナルを検出して画像化する多核多重磁気共鳴画像化方法であって、
(A)
1H、
13Cおよび
15Nからなる群より選ばれた少なくとも2種類の核磁気共鳴活性核を有し、かつ異なる共鳴周波数を有する少なくとも3個の核磁気共鳴活性核からなる結合を有する化合物からなるプローブを検体に付与するステップ、および
(B) 前記ステップ(A)でプローブが付与された前記検体に電磁波を照射して前記プローブの前記結合中の各核の間での磁化移動を行ない、当該磁化移動を利用して前記プローブに起因する多重共鳴シグナルを検出するステップ
を含むことを特徴としている。
【0028】
本発明の多核多重磁気共鳴画像化方法は、前記プローブを検体に付与し、前記結合中の各核の間での磁化移動を利用して前記プローブに起因する多重共鳴シグナルを検出する点に1つの大きな特徴を有する。前記プローブは、放射線を発生しない天然に存在する原子核から構成され、しかも生体における存在率が低い配列を有する結合を有している。そのため、本発明の多核多重磁気共鳴画像化方法によれば、生体由来の夾雑物に起因するシグナルの検出を排除することができ、前記プローブのシグナルを選択的に検出することができる。また、本発明の多核多重磁気共鳴画像化方法によれば、前記プローブが用いられているので、多重磁気共鳴画像化装置という1つのモダリティのみで、検体の形態情報のみならず当該検体中におけるプローブの位置情報を得るとともに生体内でのプローブの機能、生体内でのプローブを介した代謝反応などを可視化することができる。したがって、本発明の多核多重磁気共鳴画像化方法によれば、生体内でのプローブの機能、生体内でのプローブを介した代謝反応などを正確で、かつ生体に対して低負荷で可視化することができる。
【0029】
(プローブ)
本発明の多核多重磁気共鳴画像化方法に用いられるプローブは、
1H、
13Cおよび
15Nからなる群より選ばれた少なくとも2種類の核磁気共鳴活性核を有し、かつ異なる共鳴周波数を有する少なくとも3個の核磁気共鳴活性核からなる結合を有する。前記核磁気共鳴活性核は、放射線を発生しない天然に存在する核磁気共鳴活性な原子核である。前記結合は、前記核磁気共鳴活性核のうちの少なくとも2種類の核磁気共鳴活性核を有し、かつ異なる共鳴周波数を有する少なくとも3個の核磁気共鳴活性核からなる。かかる結合では、少なくとも3個の核磁気共鳴活性核の間での磁化移動によって多重共鳴を起こすことができる。なお、少なくとも3個の核磁気共鳴活性核からなる結合においては、例えば、A
1−A
2−B結合(A
1およびA
2は同じ種類の核磁気共鳴活性核、BはA
1およびA
2と異なる種類の核磁気共鳴活性核を示す)のように同じ種類の核磁気共鳴活性核(A
1,A
2)が2個隣接していても、これらの核と結合する他の核磁気共鳴活性核の種類が異なる場合には、核磁気共鳴活性核(A
1,A
2)のそれぞれ共鳴周波数は互いに異なる。したがって、前記結合は、同じ種類の核磁気共鳴活性核を2個以上有していてもこれらの核が互いに異なる共鳴周波数を有するように連結されたものであればよい。前記結合としては、例えば、
1H−
13C−
15N結合、
1H−
15N−
13C結合、
1H−
13C−
13C結合などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの結合の中では、生体における存在率が低く、高い選択性で検出することができる観点から、
1H−
13C−
15N結合、
1H−
15N−
13C結合および
1H−
13C−
13C結合が好ましく、
1H−
13C−
15N結合がより好ましい。前記
1H−
13C−
15N結合は、
1Hの磁化を
13Cに移動させ、
13Cの磁化を
15Nに移動させ、
15Nの磁化を
13Cに戻し、
13Cの磁化を
1Hに戻すことによって検出することができる。また、前記
1H−
15N−
13C結合は、
1Hの磁化を
15Nに移動させ、
15Nの磁化を
13Cに移動させ、
13Cの磁化を
15Nに戻し、
15Nの磁化を
1Hに戻すことによって検出することができる。
1H−
13C−
13C結合は、
1Hの磁化を隣接する
13Cに移動させ、この
13Cの磁化を隣接する
13Cに移動させ、この
13Cの磁化を隣接する
13Cに戻し、この
13Cの磁化を
1Hに戻すことによって検出することができる。前記プローブは、当該プローブの検出感度を向上させる観点から、前記結合を複数個有することが好ましい。
【0030】
前記プローブとしては、例えば、
式(x1)〜(x3):
【0032】
(式中、R
1〜R
4はそれぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜9の炭化水素基、R
5は置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基、*は側鎖に直接またはリンカーを介して結合する。ただし、R
5が炭素数2〜4の炭化水素基である場合、当該炭化水素基中の少なくとも1つの炭素原子が前記側鎖に直接またはリンカーを介して結合する)
で表わされる繰返し単位からなる群より選ばれた少なくとも1種の繰返し単位を含む重合度が1〜5000の主鎖を有し、かつ前記側鎖として式(y1)〜(y3):
【0034】
〔式中、R
6は直接結合または置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基、Zは1価の官能基を示し、*は前記式(x1)〜(x3)における*に直接またはリンカーを介して結合する〕
で表わされる官能基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物(以下、「化合物A」ともいう)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0035】
前記化合物Aは、側鎖として式(y1)〜(y3)で表わされる官能基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基を有するため、
1H−
13C−
15N結合、
1H−
15N−
13C結合または
1H−
13C−
13C結合の各核の間での磁化移動を利用して高い選択性で検出することができる。前記化合物Aは、
1H−
13C−
15N結合、
1H−
15N−
13C結合および
1H−
13C−
13C結合のうちのいずれか1種類以上を有していればよい。なかでも、前記化合物Aは、少なくとも
1H−
13C−
15Nを有していることが好ましい。
【0036】
前記化合物Aの主鎖は、式(x1)〜(x3)で表わされる繰返し単位からなる群より選ばれた少なくとも1種の繰返し単位を含んでいる。前記繰返し単位の重合度は、高い感度を確保する観点から、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上であり、検体への付与の容易性を向上させる観点から、5000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは400以下である。前記主鎖は、直鎖状でもよく、分岐鎖状であってもよい。また、前記主鎖は、1種類の繰返し単位からなるものであってもよく、2種類以上の繰返し単位からなるものであってもよい。
【0037】
式(x1)〜(x3)において、R
1〜R
4は、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜9の炭化水素基である。前記炭素数1〜9の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数2〜9のアルケニル基、炭素数2〜9のアルキニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数1〜9のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数2〜9のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数2〜9のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヒキシニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子を含む官能基、具体的には、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、シアノ基、ニトロ基、スルホン酸基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0038】
式(x1)または(x2)において、R
5は、置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。前記炭素数1〜4の炭化水素としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数2〜4のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数2〜4のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記置換基は、R
1〜R
4における置換基と同様である。
【0039】
式(x1)〜(x3)において、*は、側鎖に直接またはリンカーを介して結合する部分を示す。なお、R
5が炭素数2〜4の炭化水素基である場合、当該炭化水素基中の少なくとも1つ、好ましくは1つの炭素原子が前記側鎖に直接またはリンカーを介して結合していればよい。
【0040】
式(y1)〜(y3)において、R
6は、直接結合または置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。前記炭素数1〜4の炭化水素基は、R
5における炭素数1〜4の炭化水素基と同様である。また、前記置換基は、R
1〜R
4における置換基と同様である。
【0041】
式(y1)〜(y3)において、*は、式(x1)〜(x3)における*に直接またはリンカーを介して結合する部分を示す。
【0042】
式(y1)〜(y3)において、前記Zは、1価の官能基である。前記1価の官能基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、アミノ基、ジメチルアミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基;チオール基;シアノ基などが挙げられる。なお、Zにおける炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基および炭素数2〜4のアルキニル基は、R
5における炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基および炭素数2〜4のアルキニル基と同じである。また、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられるが。本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0043】
前記側鎖が式(y1)または(y2)で表わされる官能基であって、感度を向上させることを目的とする場合には、前記Zとして、式(z1):
*−
15NH
2 (z1)
〔式中、*は前記式(y1)または(y2)で表わされる官能基に結合する結合手を示す〕
または、式(z2):
*−
13CH
3 (z2)
〔式中、*は前記式(y1)または(y2)で表わされる官能基に結合する結合手を示す〕
で表わされる官能基を用いることができる。
【0044】
また、前記側鎖が式(y1)〜(y3)で表わされる官能基であって、プローブに抗体をさらに結合させることまたは親水性を向上させることを目的とする場合には、式(z3):
【0046】
〔式中、*は前記式(y1)〜(y3)で表わされる官能基に結合する結合手、dは1〜4の整数を示し、メチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい〕
で表わされる官能基、または式(z4):
【0048】
〔式中、*は前記式(y1)〜(y3)で表わされる官能基に結合する結合手、dは1〜4の整数を示し、メチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい〕
で表わされる官能基を用いることができる。式(z3)および(z4)において、*は、前記式(y1)〜(y3)で表わされる官能基に結合する結合手であり、前記式(y1)〜(y3)の
13C、または
15Nと結合する。また、式(z3)および(z4)において、dは、抗体結合反応性の観点から、1以上、好ましくは2以上であり、親水性向上の観点から、4以下、好ましくは3以下である。なお、式(z3)および(z4)において、メチレン基の水素原子は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子などの他の原子で置換されていてもよい。
【0049】
前記側鎖が式(y3)で表わされる官能基であって、感度を向上させることを目的とする場合には、前記Zとして、式(z2)で表わされる官能基を用いることができる。
【0050】
なお、前記Zが式(z2)で表わされる官能基である場合、化合物Aは、コリンに類似する構造を有することから、腫瘍集積性が高いという性質を有する。また、前記Zが式(z3)で表わされる官能基のようにカルボキシル基を有する場合、化合物Aは、抗体などのように標的部位に特異的に結合する捕捉分子を結合させやすいという性質を有する。さらに、前記Zが式(z4)で表わされる官能基のように、スルホン酸基を有する場合、化合物Aは、親水性が高く、生体内で凝集しにくいという性質を有する。
【0051】
化合物Aが、主鎖と側鎖とがリンカーを介して結合した化合物である場合、前記リンカーは、化合物Aにおける十分な分子運動性、抗体結合反応性および親水性を確保する観点から、置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基および式(l1)〜(l3):
【0055】
〔式中、L’は置換基を有していてもよい炭素数1〜4の炭化水素基または式(l’):
【0057】
(式中、aおよびbはそれぞれ独立して1〜4の整数を示し、メチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい)
で表わされる官能基を示し、*は前記式(x1)〜(x3)における*または前記式(y1)〜(y3)における*に結合する〕
で表わされる官能基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基であることが好ましい。前記炭素数1〜4の炭化水素基は、R
5における炭素数1〜4の炭化水素基と同様である。また、前記置換基は、R
1〜R
4における置換基と同様である。式(l1)〜(l3)および式(l’)において、*は、前記式(x1)〜(x3)における*または前記式(y1)〜(y3)における*に結合する部分を示す。また、式(l’)において、aおよびbは、それぞれ独立して1〜4の整数であり、化学結合の安定性を確保する観点から、1以上、好ましくは2以上であり、十分な親水性および生体適合性を確保する観点から、4以下、好ましくは2以下である。なお、式(l’)において、メチレン基の水素原子は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子などの他の原子で置換されていてもよい。
【0058】
前記主鎖と側鎖とがリンカーを介して結合している場合、前記リンカーと前記側鎖とからなる構造は、式(y5)〜(y7):
【0062】
〔式中、*は前記式(x1)〜(x3)における*に結合する結合手、aおよびbはそれぞれ独立して1〜4の整数を示し、式(y5)〜(y7)中のメチレン基の水素原子は他の原子で置換されていてもよい〕
で表わされる構造からなる群より選ばれた構造であることが好ましい。化合物Aは、式(y5)で表わされる構造のようにコリンに類似する構造を有する場合、腫瘍集積性が高いという性質を有する。また、化合物Aは、式(y6)で表わされる構造のようにカルボキシル基を有する構造を有する場合、抗体などのように標的部位に特異的に結合する捕捉分子を結合させやすいという性質を有する。また、化合物Aは、式(y7)で表わされる構造のようにスルホン酸基を有する場合、化合物Aは、親水性が高く、生体内で凝集しにくいという性質を有する。
【0063】
式(y5)〜(y7)において、*は、主鎖である前記式(x1)〜(x3)における*に結合する結合手を示す。また、式(y5)〜(y7)において、aおよびbは、式(l’)におけるaおよびbと同じである。なお、式(y5)〜(y7)において、メチレン基の水素原子は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子などの他の原子で置換されていてもよい。
【0064】
化合物Aは、重合度制御および高分子化合物の分散度制御の観点から、好ましくは式(i1)〜(i12):
【0077】
で表わされる構造からなる群より選ばれた少なくとも1種の構造を有することが好ましい。なお、式(i1)〜(i12)において、aおよびbは、式(l’)におけるaおよびbと同じである。また、式(i1)〜(i12)において、メチレン基の水素原子は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子などの他の原子で置換されていてもよい。
【0078】
化合物Aは、2種類以上の繰返し単位を有する共重合体であってもよい。化合物Aが共重合体である場合、交互共重合体、ランダム共重合体およびブロック共重合体のいずれでもよい。
【0079】
化合物Aが共重合体である場合、前記主鎖は、式(X1)〜(x3)で表わされる繰返し単位の他に、(メタ)アクリレートモノマーに由来する繰返し単位、(メタ)アクリルアミドモノマーに由来する繰り返し単位、アミノ酸モノマーに由来する繰返し単位およびヒドロキシ酸モノマーに由来する繰返し単位からなる群より選ばれた繰返し単位をさらに有していてもよい。かかる繰返し単位としては、例えば、式(a1)〜(a3):
【0083】
〔式(a1)〜(a3)において、R
7は1価の官能基を示す〕
で表わされる繰返し単位などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。式式(a1)〜(a3)において、R
7の1価の官能基としては、例えば、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の炭化水素基などが挙げられる。前記炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記置換基は、R
1〜R
4における置換基と同様である。
【0084】
なお、化合物Aが共重合体である場合、高い感度を得る観点から、共重合体を構成する繰返し単位のすべてがその側鎖に式(y1)〜(y3)で表わされる官能基のいずれかを有することが好ましい。また、化合物が共重合体である場合、親水性の制御、生体内での吸着能の制御などのように目的に応じた制御を行なう観点から、共重合体を構成する繰返し単位の一部のみが式(y1)〜(y3)で表わされる官能基のいずれかを有していてもよい。
【0085】
前記プローブは、標的部位の特異的な検出、標的物質の動態、局在、薬効、代謝などの追跡をより的確に行なう観点から、標的部位に特異的に結合する捕捉分子が付加されていることが好ましい。前記捕捉分子としては、腫瘍などの標的部位に特異的に結合する物質、標的部位の周辺に存在する物質に特異的に結合する物質などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記捕捉分子の具体例としては、抗体、抗体フラグメント、酵素、生物活性ペプチド、グリコペプチド、糖鎖、脂質、核酸、分子認識化合物などが挙げられる。これらの捕捉物質は、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0086】
標的部位に特異的に結合する捕捉分子を化合物Aに付加させて用いる場合、化合物Aの繰返し単位の末端には、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、水酸基、チオール基、アミノ基、アジド基、マレイミド基、N−ヒドロキシスクシンイミド基およびトリクロロシリル基のいずれかの官能基を有することが好ましい。この場合、化合物Aの末端は、例えば、式(b1)〜(b9)のいずれかの構造を有する。炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。炭素数2〜12のアルケニル基としては、例えば、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。繰返し単位の末端における炭素数2〜4のアルキニル基は、R
5における炭素数2〜4のアルキニル基と同じである。
【0096】
なお、式(b1)〜(b9)において、eは、1〜11の整数である。また、式(b1)〜(b9)において、fは、0〜17の整数である。式(b1)〜(b9)において、R
8は、水素原子またはメチル基である。式(b1)〜(b9)において、*は、主鎖の繰返し単位に結合する。化合物Aの両末端は、同じ構造を有していてもよく、異なる構造を有していていもよい。
【0097】
化合物Aは、重合性化合物を重合させることで合成することができる。化合物Aは、例えば、式(j1)〜(j12)で表わされる化合物のいずれかを重合させることで合成することができる。
【0110】
なお、式(j1)〜(j12)において、aおよびbは、式(l’)におけるaおよびbと同じである。また、式(j1)〜(j12)において、メチレン基の水素原子は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子などの他の原子で置換されていてもよい。
【0113】
で表わされる
13C/
15N−ラベル化塩化コリン、式(p2):
【0115】
で表わされる
13C/
15N−ラベル化ポリ−2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどのコリンに類似した構造を有する化合物からなるプローブは、捕捉分子が付加されていない場合でも、EPR(Enhanced Permeability and Retention)効果により、生体内の正常部位と比べて腫瘍部位により多く集積する。したがって、これらの化合物からなるプローブを用い、生体内で集積したプローブを検出することによって、腫瘍の有無または腫瘍部位の特異的なイメージングが可能である。
【0116】
(多核多重磁気共鳴画像化方法の操作手順)
本発明の多核多重磁気共鳴画像化方法では、まず、前記プローブを検体に付与する〔ステップ(A)〕。
【0117】
検体への前記プローブの付与は、例えば、皮下注射、経口投与、経皮投与、静脈投与、腹腔内投与などによって行なうことができるが、本発明は、かかる例示に限定されるものではない。
【0118】
前記プローブを検体に付与する際には、当該プローブを分散媒に溶解させて用いることができる。前記分散媒は、プローブを溶解させるための液状の物質であればよく、例えば、生理食塩水、注射用蒸留水、リン酸緩衝水溶液(PBS)などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに。また、前記プローブは、分散媒の他に、必要に応じて薬理上許容できる添加物とともに用いてもよい。
【0119】
つぎに、前記ステップ(A)でプローブが付与された前記検体に電磁波を照射して前記プローブの前記結合中の各核の間での磁化移動を行ない、当該磁化移動を利用して前記プローブに起因する多重共鳴シグナルを検出する〔ステップ(B)〕。
【0120】
電磁波の照射に際しては、プローブに含まれる核磁気共鳴活性核の個数に応じた多重核磁気共鳴法のパルス系列と磁気共鳴撮像法のパルス系列とを用いる。例えば、前記プローブとして、
1H−
13C−
15N結合、
1H−
15N−
13C結合または
1H−
13C−
13C結合を有するプローブを用いる場合、前記結合に基づく三重核磁気共鳴法(例えば、
1H−{
13C−
15N}三重核磁気共鳴法、HNCO三重核磁気共鳴法、HNCA三重核磁気共鳴法、HN(CA)CO三重磁気共鳴法、HCACO三重磁気共鳴法など)のパルス系列と磁気共鳴撮像法のパルス系列とを用いることができる。
【0121】
前記多重核磁気共鳴法のパルス系列は、例えば、核磁気共鳴活性核の種類、その個数、その配列、それらの核磁気共鳴活性核の化学シフト、核磁気共鳴活性核同士のカップリング定数、などに基づいて適宜設定することができる。前記多重核磁気共鳴法のパルス系列としては、例えば、INEPT、HMQC、HSQC、HMBC、HCN、HNCA、HNCO、HN(CA)CO、HCACOなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0122】
また、前記磁気共鳴撮像法のパルス系列は、例えば、プローブに含まれる磁気共鳴活性核の縦緩和時間(T1)、横緩和時間(T2)などに基づいて適宜設定することができる。前記磁気共鳴撮像法のパルス系列としては、例えば、スピンエコー法、高速スピンエコー法、エコープラナーイメージング法、グラジエントエコー法、スポイルドグラジエントエコー法、コヒーレントグラジエントエコー法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0123】
前記プローブが
1H、
13Cおよび
15Nからなる群より選ばれた少なくとも2種類の核磁気共鳴活性核を有し、かつ異なる共鳴周波数を有する3個の核磁気共鳴活性核からなる結合(すなわち、第1核種と当該第1核種に磁気的に結合した第2核種と当該第2核種に磁気的に結合した第3核種とからなる結合)を有するプローブである場合、前記プローブをより選択的、かつ高感度で検出する観点から、前記ステップ(B)に用いられるパルス系列は、前記第1核種から第2核種への磁化移動を行なった後、前記第2核種から第3核種への磁化移動を行ない、さらに前記第3核種から前記第2核種を経て前記第1核種への磁化を行なうようにRFパルスおよび勾配磁場を前記プローブに印加して磁化移動を行なうための磁化移動パルス系列と、前記磁気共鳴信号に位置情報を付加し、当該磁気共鳴信号を収集するための信号収集パルス系列とを含むパルス系列であることが好ましい。
【0124】
電磁波を照射して前記プローブの前記結合中の各核の間での磁化移動を行なうことによって、前記プローブの前記結合中の各核に由来する多重共鳴シグナルの出現、消失、強度変化などに基づき、プローブの位置、存在量、構造などの情報を得、かかる情報に基づき画像を構築することができる。
【0125】
以上説明したように、本発明の多核多重磁気共鳴画像化方法は、多重磁気共鳴画像化装置という1つのモダリティのみで、検体の形態情報のみならず当該検体中におけるプローブの位置情報を得るとともに生体内でのプローブの機能、生体内でのプローブを介した代謝反応などを可視化することができ、正確で、かつ患者への負荷が少ない画像診断に使用されることが期待されるものである。
【0126】
2.多核多重磁気共鳴画像化装置
本発明の多核多重磁気共鳴画像化装置は、検体中のプローブに起因する多重共鳴シグナルを検出して画像化するための多核多重磁気共鳴画像化装置であって、
前記プローブが、
1H、
13Cおよび
15Nからなる群より選ばれた少なくとも2種類の核磁気共鳴活性核を有し、かつ異なる共鳴周波数を有する少なくとも3個の核磁気共鳴活性核からなる結合を有する化合物からなるプローブであり、
前記結合に含まれる少なくとも3個の核磁気共鳴活性核それぞれの共鳴周波数に相当するRFパルスを印加するパルス印加部と、
前記プローブに勾配磁場を印加する勾配磁場印加部と、
前記結合に含まれる核磁気共鳴活性核それぞれの磁気共鳴信号を検出する検出部と、
所定のパルス系列が生成されるように前記パルス印加部と前記勾配磁場印加部とを制御する制御部と
を備えており、
前記所定のパルス系列が、
前記結合に含まれる各核磁気共鳴活性核間の磁化移動を行なうようにRFパルスおよび勾配磁場を前記プローブに印加して磁化移動を行なうための磁化移動パルス系列と、
前記磁気共鳴信号に位置情報を付加し、当該磁気共鳴信号を収集するための信号収集パルス系列と
を含むことを特徴とする多核多重磁気共鳴画像化装置である。
【0127】
本発明の多核多重磁気共鳴画像装置は、プローブ中の結合に含まれる少なくとも3個の核磁気共鳴活性核それぞれの共鳴周波数に相当するRFパルスを印加するパルス印加部と、前記プローブに勾配磁場を印加する勾配磁場印加部と前記結合に含まれる核磁気共鳴活性核それぞれの磁気共鳴信号を検出する検出部と所定のパルス系列が生成されるように前記パルス印加部と前記勾配磁場印加部とを制御する制御部とを備え、前記所定のパルス系列が、前記結合に含まれる各核磁気共鳴活性核間の磁化移動を行なうようにRFパルスおよび勾配磁場を前記プローブに印加して磁化移動を行なうための磁化移動パルス系列と前記磁気共鳴信号に位置情報を付加し、当該磁気共鳴信号を収集するための信号収集パルス系列とを含むように構成されている点に1つの大きな特徴を有する。したがって、本発明の多核多重磁気共鳴画像装置は、検体の形態情報のみならず当該検体中におけるプローブの位置情報を得るとともに生体内でのプローブの機能、生体内でのプローブを介した代謝反応などを可視化することができる。したがって、本発明の多核多重磁気共鳴画像化装置によれば、生体内でのプローブの機能、生体内でのプローブを介した代謝反応などを正確で、かつ生体に対して低負荷で可視化することができる。
【0128】
前記プローブが、第1核磁気共鳴活性核と当該第1核磁気共鳴活性核に磁気的に結合した第2核磁気共鳴活性核と当該第2核磁気共鳴活性核に磁気的に結合した第3核磁気共鳴活性核とからなる結合を有する化合物からなるプローブである場合、前記プローブをより選択的、かつ高感度で検出する観点から、本発明の多核多重磁気共鳴画像装置は、
前記第1核磁気共鳴活性核に当該第1核磁気共鳴活性核の共鳴周波数に相当するRFパルスを印加する第1パルス印加部と、
前記第2核磁気共鳴活性核に当該第2核磁気共鳴活性核の共鳴周波数に相当するRFパルスを印加する第2パルス印加部と、
前記第3核磁気共鳴活性核に当該第3核磁気共鳴活性核の共鳴周波数に相当するRFパルスを印加する第3パルス印加部と、
前記プローブに勾配磁場を印加する勾配磁場印加部と、
前記第1核磁気共鳴活性核、前記第2核磁気共鳴活性核および前記第3核磁気共鳴活性核からなる群より選ばれた少なくとも1つの核磁気共鳴活性核の磁気共鳴信号を検出する検出部と、
所定のパルス系列が生成されるように前記第1パルス印加と前記第2パルス印加部と前記第3パルス印加部と前記勾配磁場印加部とを制御する制御部と
を備えており、
前記所定のパルス系列が、
前記第1核磁気共鳴活性核から第2核磁気共鳴活性核への磁化移動を行なった後、前記第2核磁気共鳴活性核から第3核磁気共鳴活性核への磁化移動を行ない、さらに前記第3核磁気共鳴活性核から前記第2核磁気共鳴活性核を経て前記第1核磁気共鳴活性核への磁化を行なうようにRFパルスおよび勾配磁場を前記プローブに印加して磁化移動を行なうための磁化移動パルス系列と、
前記磁気共鳴信号に位置情報を付加し、当該磁気共鳴信号を収集するための信号収集パルス系列と
を含むことが好ましい。
【0129】
以下、添付の図面を参照しながら、より詳細に説明するが、本発明は、かかる実施形態のみに限定されるものではない。なお、以下においては、前記プローブが、第1核磁気共鳴活性核と当該第1核磁気共鳴活性核に磁気的に結合した第2核磁気共鳴活性核と当該第2核磁気共鳴活性核に磁気的に結合した第3核磁気共鳴活性核とからなる結合を有する化合物からなるプローブである場合の多核多重磁気共鳴画像化装置を例として挙げて説明する。
図11は、本発明の一実施形態に係る多核多重磁気共鳴画像化装置の機能構成を示すブロック図である。
【0130】
図11に示される多核多重磁気共鳴画像化装置1は、撮像領域としての内部空間に配置された検体中のプローブに静磁場、勾配磁場およびRFパルスを与えるガントリー部10と、RFパルスをガントリー部10に送信し前記検体中のプローブにRFパルスを印加させるパルス印加部20と、電源部30と、パルス系列制御部40と、エコー信号を受信して検出する検出部50aと、前記エコー信号に基づくデータを収集するデータ収集部60と、コンピュータ70とを備えている。
【0131】
ガントリー部10は、静磁場を発生させる筒状の静磁場磁石11と、前記静磁場を均一化させる筒状のシムコイル12と、勾配磁場を発生させる筒状の勾配磁場コイル13と、RFパルスを検体中のプローブに照射するとともに当該RFパルスに起因するエコー信号を受信する筒状のRFコイル14とから構成されている。
【0132】
静磁場磁石11は、撮像領域に静磁場を発生させる機能を有している。静磁場磁石11を構成する磁石としては、例えば、超電導磁石、永久磁石などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。静磁場磁石11が超電導磁石から構成されたものである場合、当該静磁場磁石11は、電源と接続され、当該電源から供給された電流によって静磁場を形成させる。
【0133】
シムコイル12は、静磁場磁石11の内側に、当該静磁場磁石11と同軸上に設けられている。また、シムコイル12は、電源部30のシムコイル電源31と接続されている。シムコイル12は、種々の補償磁場を発生させる成分コイルから構成されている。このような構成が採用されたシムコイル12は、電源31から電流が供給されることにより、静磁場の不均一を低減する補償磁場を発生させ、静磁場を均一化させることができる。
【0134】
勾配磁場コイル13は、シムコイル12の内側に、当該シムコイル12と同軸上に設けられている。また、勾配磁場コイル13は、電源部30の勾配磁場コイル電源32に接続されている。かかる勾配磁場コイル13は、図示しないx軸勾配磁場コイルとy軸勾配磁場コイルとz軸勾配磁場コイルとから構成されている。このような構成が採用された勾配磁場コイル13は、電源31から電流が供給されることにより、x軸方向への磁場勾配、y軸方向への磁場勾配およびz軸方向への磁場勾配のそれぞれを発生させることができる。なお、本明細書において、「x軸方向」は静磁場の方向に対し直交する方向、「y軸方向」は静磁場の方向に対し直交方向であり、かつx軸と直交する方向、「z軸方向」は、静磁場の方向に対し平行であり、y軸とx軸と直交する方向を示す。
【0135】
RFコイル14は、勾配磁場コイル13の内側に、当該勾配磁場コイル13と同軸上に設けられている。また、RFコイル14は、パルス印加部20と検出部50aとに接続されている。かかるRFコイル14は、検体中のプローブへのRFパルスの照射と、検体中のプローブの第1核種、第2核種および第3核種が前記RFパルスによって励起することに伴って発生したエコー信号の受信および検出部50aへの送信に兼用される。このような構成が採用されたRFコイル14は、パルス印加部20から送信されたRFパルスを検体中のプローブに照射するとともに当該RFパルスに起因するエコー信号を検体中のプローブから受信して検出部50aに送信することができる。これにより、第1核種、第2核種および第3核種それぞれの共鳴周波数に相当するRFパルスが検体中のプローブに照射され、当該RFパルスによる第1核種、第2核種および第3核種それぞれの励起に伴ってエコー信号が発生する。
【0136】
パルス印加部20は、RFコイル14および検出部50aに接続されている。パルス印加部20は、第1核磁気共鳴活性核に当該第1核磁気共鳴活性核の共鳴周波数に相当するRFパルスを印加する第1パルス印加部21と、前記第2核磁気共鳴活性核に当該第2核磁気共鳴活性核の共鳴周波数に相当するRFパルスを印加する第2パルス印加部22と、前記第3核磁気共鳴活性核に当該第3核磁気共鳴活性核の共鳴周波数に相当するRFパルスを印加する第3パルス印加部23とから構成されている。かかるパルス印加部20は、パルス系列制御部40の制御下で、所定のパルス系列設定情報にしたがってプローブ中の結合に含まれる各核種の共鳴周波数に相当するRFパルスを生成し、RFコイル14に送信する。
【0137】
電源部30は、パルス系列制御部40、シムコイル12および勾配磁場コイル13と接続されている。電源部30は、シムコイル12に電流を供給するシムコイル電源31と、勾配磁場コイル13に電流を供給する勾配磁場コイル電源32とから構成されている。シムコイル電源31は、パルス系列制御部40に制御されており、パルス系列設定情報にしたがってシムコイル12に電流を供給し、当該シムコイル12による補償磁場の発生を制御する。また、勾配磁場コイル13は、パルス系列制御部40に制御されており、パルス系列設定情報にしたがって勾配磁場コイル13に電流を供給し、当該勾配磁場コイル13による勾配磁場の発生を制御する。
【0138】
パルス系列制御部40は、コンピュータ70、パルス印加部20、電源部30の勾配磁場コイル電源32およびデータ収集部60と接続されている。かかるパルス系列制御部40は、コンピュータ70に制御されており、所定のパルス系列設定情報にしたがってパルス印加部20および勾配磁場コイル電源32を制御する。
【0139】
検出部50aは、RFコイル14およびデータ収集部と接続されている。検出部50aは、第1核種、第2核種および第3核種が前記RFパルスによって励起することに伴って発生したエコー信号である磁気共鳴信号をRFコイル14から受信し、検出する。かかる検出部50aは、RFコイル14から前記第1核磁気共鳴活性核の磁気共鳴信号を受信する第1受信部51と、RFコイル14から前記第2核磁気共鳴活性核の磁気共鳴信号を受信する第2受信部52と、RFコイル14から前記第3核磁気共鳴活性核の磁気共鳴信号を受信する第3受信部53とから構成されている。検出部50aで検出された磁気共鳴信号に関する情報は、データ収集部60に送信される。
【0140】
データ収集部60は、検出部50aおよびコンピュータ70と接続されている。データ収集部60は、検出部50aで検出された磁気共鳴信号をデジタル信号に変換し、磁気共鳴信号に関するデータを得る。前記データとしては、例えば、強度に関するデータ、ケミカルシフトに関するデータなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。かかるデータ収集部60は、収集したデータをコンピュータ70に送信する。
【0141】
コンピュータ70は、パルス系列制御部40およびデータ収集部60に接続されている。コンピュータ70は、演算装置71と、入力装置72と、出力装置73と、記憶部74とから構成されている。かかる演算装置71は、所定のパルス系列設定情報にしたがってパルス系列制御部40を制御するためのプログラム、データを画像化する処理を行なうためのプログラムを実行する。これにより、演算装置71は、パルス系列制御部40の動作を制御するとともに、収集されたデータについてフーリエ変換などの処理を行ない、検体中のプローブに含まれる核磁気共鳴活性核のスピンの画像データを作成する。入力装置72、出力装置73および記憶部74は、演算装置71に接続されている。演算装置71は、例えば、CPUなどから構成されている。入力装置72は、多核多重磁気共鳴画像化装置1の操作の指令、検体の情報などを演算装置に入力するための装置である。入力装置72としては、例えば、キーボード、音声入力装置などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。出力装置73は、演算装置71によって処理されたデータに基づく画像を表示または出力する。出力装置73としては、例えば、ディスプレイ、プリンタなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。記憶部74は、演算装置71に入力された情報、パルス系列を生成させるためのパルス系列設定情報およびプログラム、データを画像化する処理を行なうためのプログラムなどを記憶する。かかるコンピュータ70では、演算装置71によって作成された画像データが出力装置73に送信されることにより、出力装置73で画像として表示または出力される。
【0142】
パルス系列としては、例えば、
図12に示されるパルス系列などが挙げられる。以下、前記パルス系列を詳細に説明する。
図12は本発明の一実施形態に係る多核多重磁気共鳴画像化装置におけるパルス系列の一例を示す概略説明図である。なお、
図12に示されるパルス系列は、
図1に示されるパルス系列と同じである。
図12は、各RFパルスに対する符号および各ステップに対応する符号が付されている点で
図1と異なっている。
図12に示されるパルス系列は、RFパルスおよび勾配磁場を前記プローブに印加して磁化移動を行なうための磁化移動パルス系列(
図12中、「三重核磁気共鳴法」参照)と、前記磁気共鳴信号に位置情報を付加し、当該磁気共鳴信号を収集するための信号収集パルス系列(
図12中、「高速スピンエコーMRI」参照)とを含んでいる。
【0143】
前記磁化移動パルス系列は、下記(I)、(II)、(III)および(IV)の磁化移動をこの順で行なうようにRFパルスおよび勾配磁場を前記プローブに印加するための系列である:
(I)前記第1核磁気共鳴活性核から第2核磁気共鳴活性核への磁化移動、
(II)前記第2核磁気共鳴活性核から第3核磁気共鳴活性核への磁化移動、
(III)前記第3核磁気共鳴活性核から前記第2核磁気共鳴活性核への磁化移動、および
(IV)前記第2核磁気共鳴活性核から前記第1核磁気共鳴活性核への磁化移動。
【0144】
前記磁化移動パルス系列は、RFパルスの印加パターンであるRFパルス印加系列と、勾配磁場の印加パターンである勾配磁場印加系列とを含む。
【0145】
前記RFパルス印加系列は、パルス系列制御部40によって下記ステップ(a1)〜(a16):
(a1)前記第1核磁気共鳴活性核に90度の第1RFパルスP1を印加した後、当該第1核磁気共鳴活性核に180度の第2RFパルスP2をさらに印加するステップ、
(a2)前記第2RFパルスP2を印加すると同時または印加した後、前記第2核磁気共鳴活性核に180度の第3RFパルスP3を印加するステップ、
(a3)前記第1核磁気共鳴活性核に90度の第4RFパルスP4を印加した後、前記第2核磁気共鳴活性核に90度の第5RFパルスP5を印加するステップ、
(a4)前記第2核磁気共鳴活性核に180度の第6RFパルスP6を印加するステップ、
(a5)前記第6RFパルスP6を印加すると同時または印加した後、前記第3核磁気共鳴活性核に180度の第7RFパルスP7を印加するステップ、
(a6)前記第2核磁気共鳴活性核に90度の第8RFパルスP8を印加した後、前記第3核磁気共鳴活性核に90度の第9RFパルスP9を印加するステップ、
(a7)前記第2核磁気共鳴活性核に180度の第10RFパルスP10を印加するステップ、
(a8)前記第1核磁気共鳴活性核に180度の第11RFパルスP11と前記第3核磁気共鳴活性核に180度の第12RFパルスP12とを同時に印加するステップ、
(a9)前記第2核磁気共鳴活性核に180度の第13RFパルスP13を印加するステップ、
(a10)前記第3核磁気共鳴活性核に90度の第14RFパルスP14を印加するステップ、
(a11)前記第2核磁気共鳴活性核に90度の第15RFパルスP15を印加するステップ、
(a12)前記第2核磁気共鳴活性核に180度の第16RFパルスP16を印加するステップ、
(a13)前記第16RFパルスP16と同時または印加後に、前記第3核磁気共鳴活性核に180度の第17RFパルスP17を印加するステップ、
(a14)前記第2核磁気共鳴活性核に90度の第18RFパルスP18を印加した後、前記第1核磁気共鳴活性核に90度の第19RFパルスP19を印加するステップ、
(a15)前記第1核磁気共鳴活性核に180度の第20RFパルスP20を印加するステップ、および
(a16)前記第20RFパルスP20を印加すると同時または印加後に、前記第2核磁気共鳴活性核に180度の第21RFパルスP21を印加するステップ
がこの順に実行されることによって生成される系列である。パルス系列制御部40によって前記ステップ(a1)〜(a3)が実行されることにより、(I)前記第1核磁気共鳴活性核から第2核磁気共鳴活性核への磁化移動〔前記磁化移動(I)〕が行なわれる。つぎに、パルス系列制御部40によって前記ステップ(a4)〜(a6)が実行されることにより、前記第2核磁気共鳴活性核から第3核磁気共鳴活性核への磁化移動〔前記磁化移動(II)〕が行なわれる。その後、パルス系列制御部40によって前記ステップ(a7)〜(a13)が実行されることにより、前記第3核磁気共鳴活性核から前記第2核磁気共鳴活性核への磁化移動〔前記磁化移動(III)〕が行なわれる。最後に、パルス系列制御部40によって前記ステップ(a14)〜(a16)が実行されることにより、前記第2核磁気共鳴活性核から前記第1核磁気共鳴活性核への磁化移動〔前記磁化移動(IV)〕が行なわれる。
【0146】
前記RFパルス印加系列は、具体的には、
図12に示されるように、
(a1−1)前記第1核磁気共鳴活性核に印加される90度の第1RFパルスP1、
(a1−2)前記第1RFパルスP1の印加後に、前記第1核磁気共鳴活性核に印加される180度の第2RFパルスP2、
(a2)前記第2RFパルスP2の印加と同時または印加後に、前記第2核磁気共鳴活性核に印加される180度の第3RFパルスP3、
(a3−1)前記第3RFパルスP3の印加後に、前記第1核磁気共鳴活性核に印加される90度の第4RFパルスP4、
(a3−2)前記第4RFパルスP4の印加後に、前記第2核磁気共鳴活性核に印加される90度の第5RFパルスP5、
(a4)前記第5RFパルスP5の印加後に、前記第2核磁気共鳴活性核に印加される180度の第6RFパルスP6、
(a5)前記第6RFパルスP6の印加と同時または印加後に、前記第3核磁気共鳴活性核に印加される180度の第7RFパルスP7、
(a6−1)前記第7RFパルスP7の印加後に、前記第2核磁気共鳴活性核に印加される90度の第8RFパルスP8、
(a6−2)前記第8RFパルスP8の印加後に、前記第3核磁気共鳴活性核に印加される90度の第9RFパルスP9、
(a7)前記第9RFパルスP9の印加後に、前記第2核磁気共鳴活性核に印加される180度の第10RFパルスP10、
(a8−1)前記第10RFパルスP10の印加後に、前記第1核磁気共鳴活性核に印加される180度の第11RFパルスP11、
(a8−2)前記第11RFパルスP11の印加と同時に、前記第3核磁気共鳴活性核に印加される180度の第12RFパルスP12、
(a9)前記第11RFパルスP11および第12RFパルスP12の印加後に、前記第2核磁気共鳴活性核に印加される180度の第13RFパルスP13、
(a10)前記第13RFパルスP13の印加後に、前記第3核磁気共鳴活性核に印加される90度の第14RFパルスP14、
(a11)前記第14RFパルスP14の印加後に、前記第2核磁気共鳴活性核に印加される90度の第15RFパルスP15、
(a12)前記第15RFパルスP15の印加後に、前記第2核磁気共鳴活性核に印加される180度の第16RFパルスP16、
(a13)前記第16RFパルスP16の印加と同時または印加後に、前記第3核磁気共鳴活性核に印加される180度の第17RFパルスP17、
(a14−1)前記第17RFパルスP17の印加後に、前記第2核磁気共鳴活性核に印加される90度の第18RFパルスP18、
(a14−2)前記第18RFパルスP18の印加後に、前記第1核磁気共鳴活性核に印加される90度の第19RFパルスP19、
(a15)前記第19RFパルスP19の印加後に、前記第1核磁気共鳴活性核に印加される180度の第20RFパルスP20、および
(a16)前記第20RFパルスP20の印加と同時または印加後に、前記第2核磁気共鳴活性核に印加される180度の第21RFパルスP21
を含む系列である。ここで、前記(a1−1)および(a1−2)のRFパルスは、パルス系列制御部40によって前記ステップ(a1)が実行されることによって発生するパルスである。前記(a3−1)および(a3−2)のRFパルスは、パルス系列制御部40によって前記ステップ(a3)が実行されることによって発生するRFパルスである。前記(a6−1)および(a6−2)のRFパルスは、パルス系列制御部40によって前記ステップ(a6)が実行されることによって発生するRFパルスである。前記(a14−1)および(a14−2)のRFパルスは、パルス系列制御部40によって前記ステップ(a14)が実行されることによって発生するパルスである。前記(a2)、(a4)、(a5)、(a7)、(a9)、(a10)、(a11)、(a12)、(a13)、(a15)および(a16)のRFパルスは、それぞれ、パルス系列制御部40によって前記ステップ(a2)、(a4)、(a5)、(a7)、(a9)、(a10)、(a11)、(a12)、(a13)、(a15)および(a16)が実行されることによって発生するRFパルスである。
【0147】
また、前記勾配磁場印加系列は、パルス系列制御部40によって下記ステップ(b1)〜(b12):
(b1)前記第1RFパルスP1と前記第2RFパルスP2とのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b2)前記第3RFパルスP3と前記第4RFパルスP4とのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b3)前記第4RFパルスP4と前記第5RFパルスP5とのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b4)前記第8RFパルスP8と前記第9RFパルスP9とのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b5)前記第9RFパルスP9と前記第10RFパルスP10とのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b6)前記第10RFパルスP10と前記第11RFパルスP11とのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b7)前記第12RFパルスP12と前記第13RFパルスP13とのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b8)前記第13RFパルスP13と前記第14RFパルスP14とのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b9)前記第14RFパルスP14と前記第15RFパルスP15とのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b10)前記第18RFパルスP18と前記第19RFパルスP19とのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、
(b11)前記第19RFパルスP19と前記第20RFパルスP20とのインターバルにおいて、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ、および
(b12)前記第21RFパルスP21の印加後において、前記プローブに勾配磁場を印加するステップ
がこの順に実行されることによって生成される系列である。
【0148】
前記勾配磁場印加系列は、具体的には、
図12に示されるように
(b1)前記第1RFパルスP1と前記第2RFパルスP2とのインターバルに、前記プローブに印加される勾配磁場、
(b2)前記第3RFパルスP3と前記第4RFパルスP4とのインターバルに、前記プローブに印加される勾配磁場、
(b3)前記第4RFパルスP4と前記第5RFパルスP5とのインターバルに、前記プローブに印加される勾配磁場、
(b4)前記第8RFパルスP8と前記第9RFパルスP9とのインターバルに、前記プローブに印加される勾配磁場、
(b5)前記第9RFパルスP9と前記第10RFパルスP10とのインターバルに、前記プローブに印加される勾配磁場、
(b6)前記第10RFパルスP10と前記第11RFパルスP11とのインターバルに、前記プローブに印加される勾配磁場、
(b7)前記第12RFパルスP12と前記第13RFパルスP13とのインターバルに、前記プローブに印加される勾配磁場、
(b8)前記第13RFパルスP13と前記第14RFパルスP14とのインターバルに、前記プローブに印加される勾配磁場、
(b9)前記第14RFパルスP14と前記第15RFパルスP15とのインターバルに、前記プローブに印加される勾配磁場、
(b10)前記第18RFパルスP18と前記第19RFパルスP19とのインターバルに、前記プローブに印加される勾配磁場、
(b11)前記第19RFパルスP19と前記第20RFパルスP20とのインターバルに、前記プローブに印加される勾配磁場、および
(b12)前記第21RFパルスP21の印加後に、前記プローブに印加される勾配磁場
を含む系列である。前記(b1)〜(b12)の勾配磁場は、それぞれ、パルス系列制御部40によって前記ステップ(b1)〜(b12)が実行されることによって発生する勾配磁場である。
【0149】
前記所定のパルス系列設定情報は、磁化移動パルス系列設定情報と信号収集パルス系列設定情報とを含んでいる。また、前記RFパルス印加系列情報は、パルス系列制御部40に前記ステップ(a1)〜(a16)の各ステップを実行させるためのRFパルス印加系列情報と、パルス系列制御部40に前記ステップ(b1)〜(a12)の各ステップを実行させるための勾配磁場印加系列情報とを含んでいる。
【0150】
図13は、本発明の一実施形態に係る多核多重磁気共鳴画像化装置におけるパルス系列の変形例を示す概略説明図である。
図13に示されるパルス系列は、パルス系列制御部40によって前記ステップ(a14)の後に、前記ステップ(a15)および前記ステップ(a16)が実行される代わりに、前記ステップ(a14)の後に、
(a17)前記第2核磁気共鳴活性核に90度の第22RFパルスP22を印加するステップ、
(a18)前記第1核磁気共鳴活性核に180度の第23RFパルス23を印加するステップ、および
(a19)前記第2核磁気共鳴活性核に90度の第24RFパルス24を印加するステップ
が実行されることによって生成される系列をRFパルス印加系列として含む系列である。
【0151】
なお、本発明の多核多重磁気共鳴画像化装置は、第1受信部51と第2受信部52と第3受信部53とから構成される検出部50aの代わりに、
図14に示されるように、第1核種が前記RFパルスによって励起することに伴って発生したエコー信号、第2核種が前記RFパルスによって励起することに伴って発生したエコー信号および第3核種が前記RFパルスによって励起することに伴って発生したエコー信号のいずれかをRFコイル14から受信する受信部54から構成された検出部50bを備えていてもよい。
【0152】
以上説明したように、本発明の多核多重磁気共鳴画像化装置は、検体の形態情報のみならず当該検体中におけるプローブの位置情報を得るとともに生体内でのプローブの機能、生体内でのプローブを介した代謝反応などを可視化することができ、正確で、かつ検体への負荷が少ない画像診断に使用されることが期待されるものである。
【実施例】
【0153】
実験例1
式(cl):
【0154】
【化64】
【0155】
で表わされる
13C/
15N−ラベル化塩化コリンの重水溶液(溶液中における
13C/
15N−ラベル化塩化コリンの濃度:6mg/mL、30mg/mLまたは120mg/mL)1mL、1M
13C−ラベル化乳酸の重水溶液1mLおよび水1mLそれぞれを試料として用いた。各試料を7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル上に並べて配置した。
【0156】
つぎに、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−磁気共鳴画像化方法により、前記試料の
1H−磁気共鳴画像を撮像した。
1H−磁気共鳴画像化方法では、高速スピンエコー法を用い、積算回数2回、撮像時間16秒間、繰り返し時間(TR)1000ms、エコートレイン数(ETL)8および撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
【0157】
また、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像化方法により、前記試料の
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像を撮像した。
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像化方法では、高速スピンエコー法を
1H−{
13C}二重共鳴に拡張した撮像法を用い、積算回数32回、撮像時間256秒間、繰り返し時間(TR)1000ms、エコートレイン数(ETL)8および撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
【0158】
さらに、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法により、前記試料の
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像を撮像した。なお、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法で分子プローブ由来の
1H核を選択し、その
1H核に対して傾斜磁場(G
phaseおよびG
read)で位置情報を付加した。
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法では、積算回数32回、撮像時間256秒間、繰り返し時間(TR)1000ms、エコートレイン数(ETL)8および撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法では、位置情報付加に必要な複数回の信号収集を短時間で行なうために、高速スピンエコー法を
1H−{
13C−
15N}三重共鳴に拡張した撮像法を用いた。
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法を行なう際のパルス系列として、
1H−{
13C−
15N}三重核磁気共鳴法のパルス系列と高速スピンエコー法のパルス系列とを組み合わせたパルス系列を用いた。実験例1において、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法で用いられたパルス系列を
図1に示す。図中、細いバーは90°励起パルス、太いバーは180°収束パルスを示す。遅延間隔は、1/4
1J
CH=1.967ms、および1/4
1J
CN=35msに設定した。また、位相サイクルは、φ1=x,−x、φ2=2(x),2(−x)、φ3=4(y), 4(-y)、レシーバー=2(−y),4(−y)、2(y)に設定した。
【0159】
実験例1において、
1H−磁気共鳴画像を撮像した結果を
図2(a)、
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像を撮像した結果を
図2(b)、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像を撮像した結果を
図2(c)、
図2(a)〜(c)の各画像における各試料の配置図を
図2(d)に示す。図(d)中、(a)は6mg/mL
13C/
15N−ラベル化塩化コリン重水溶液、(b)は30mg/mL
13C/
15N−ラベル化塩化コリン重水溶液、(c)は120mg/mL
13C/
15N−ラベル化塩化コリン重水溶液、(d)は1M
13C−ラベル化乳酸の重水溶液、(e)は水を示す。
【0160】
図2(a)に示された結果から、
1H−磁気共鳴画像化方法を行なった場合、すべての試料中の
1Hに起因するシグナルが検出されることがわかる。また、
図2(b)に示された結果から、
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像法を行なった場合、水中の
1Hに起因するシグナルが検出されないが、
13C/
15N−ラベル化塩化コリン中の
1H−{
13C}および
13C−ラベル化乳酸中の
1H−{
13C}それぞれに起因するシグナルが検出されることがわかる。
【0161】
これに対して、
図2(c)に示された結果から、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法を行なった場合、水の
1Hに起因するシグナルおよび
13C−ラベル化乳酸の
1H−{
13C}に起因するシグナルが検出されず、
13C/
15N−ラベル化塩化コリンの
1H−{
13C−
15N}に起因するシグナルのみが特異的に検出されることがわかる。
【0162】
これらの結果から、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法を行なうことにより、
13C/
15N−ラベル化塩化コリンの
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像を得ることができることができることがわかる。
実験例2
式(p2):
【0163】
【化65】
【0164】
で表わされる
13C/
15N−ラベル化ポリ−2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(分子量44000、以下、「
13C/
15N−PMPC」という)の水溶液(溶液中における
13C/
15N−PMPCの濃度:8mg/mL)0.5mL、
13C−ラベル化ポリ−2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(分子量35000、以下、「
13C−PMPC」という)水溶液(溶液中における
13C−PMPCの濃度:8mg/mL)0.5mL、脂肪酸の一つであるオレイン酸(1.1体積%
13C−オレイン酸を含有する)0.5mLおよび水0.5mLそれぞれを試料として用いた。各試料を円筒型コイル上に並べて配置した。
【0165】
つぎに、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−磁気共鳴画像化方法により、前記試料の
1H−磁気共鳴画像を撮像した。
1H−磁気共鳴画像化方法では、スピンエコー法を用い、積算回数1回、撮像時間16秒間、繰り返し時間(TR)1000ms、エコートレイン数(ETL)8および撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
【0166】
また、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像化方法により、前記試料の
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像を撮像した。
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像化方法では、スピンエコー法を
1H−{
13C}二重共鳴に拡張した撮像法を用い、積算回数16回、撮像時間512秒間、繰り返し時間(TR)1000msおよび撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
【0167】
さらに、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法により、前記試料の
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像を撮像した。
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法では、
1H−{
13C−
15N}三重核磁気共鳴法のパルス系列とスピンエコー法のパルス系列とを組み合わせたパルス系列を用いて、積算回数1024回、撮像時間32768秒間、繰り返し時間(TR)1000msおよび撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
【0168】
実験例2において、
1H−磁気共鳴画像を撮像した結果を
図3(a)、
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像を撮像した結果を
図3(b)、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像を撮像した結果を
図3(c)、(a)〜(c)の各画像における各試料の配置図を
図3(d)に示す。
図3(d)中、(a)は水、(b)は
13C/
15N−PMPC水溶液、(c)は
13C−PMPC水溶液、(d)はオレイン酸を示す。
【0169】
図3(a)に示された結果から、
1H−磁気共鳴画像化方法を行なった場合、すべての試料中の
1Hに起因するシグナルが検出されることがわかる。また、
図3(b)に示された結果から、
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像法を行なった場合、
13C/
15N−PMPC、
13C−PMPCおよびオレイン酸それぞれの
1H−{
13C}に起因するシグナルが検出されることがわかる。
【0170】
これに対して、
図3(c)に示された結果から、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法を行なった場合、
13C/
15N−ラベル化PMPCの
1H−{
13C−
15N}に起因するシグナルのみが特異的に検出されることがわかる。
【0171】
これらの結果から、
1H−
13C−
15N結合を有する化合物からなるプローブを用いて
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法を行なうことにより、従来の
1H−磁気共鳴画像化方法の欠点であった内在性の水、脂質などに起因する内在性ノイズシグナルを除去することができ、
1H−
13C−
15N結合を有する化合物からなるプローブのみを高い選択性で画像化できることがわかる。
【0172】
実験例3
13C/
15N−PMPC水溶液(
13C/
15N−PMPCの分子量44000、溶液中における
13C/
15N−PMPCの濃度:8mg/mL)0.5mL、
13C−PMPC水溶液(
13C−PMPCの分子量35000、溶液中における
13C−PMPCの濃度:8mg/mL)0.5mL、オレイン酸(1.1体積%
13C−オレイン酸を含有する)0.5mLおよび水0.5mLそれぞれを試料として用いた。各試料を円筒型コイル上に並べて配置した。
【0173】
つぎに、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−磁気共鳴画像化方法により、前記試料の
1H−磁気共鳴画像を撮像した。
1H−磁気共鳴画像化方法では、高速スピンエコー法を用い、積算回数1回、撮像時間16秒間、繰り返し時間(TR)1000ms、エコートレイン数(ETL)8および撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
【0174】
また、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像化方法により、前記試料の
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像を撮像した。
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像化方法では、高速スピンエコー法を
1H−{
13C}二重共鳴に拡張した撮像法を用い、積算回数16回、撮像時間16秒間、繰り返し時間(TR)1000ms、エコートレイン数(ETL)32および撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
【0175】
さらに、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法により、前記試料の
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像を撮像した。
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法では、
図1に示されるパルス系列を用い、積算回数1024回、撮像時間1024秒間、繰り返し時間(TR)1000ms、エコートレイン数(ETL)32および撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
【0176】
実験例3において、
1H−磁気共鳴画像を撮像した結果を
図4(a)、
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像を撮像した結果を
図4(b)、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像を撮像した結果を
図4(c)、(a)〜(c)の各画像における各試料の配置図を
図4(d)に示す。
図4(d)中、(a)は水、(b)は
13C/
15N−PMPC水溶液、(c)は
13C−PMPC水溶液、(d)はオレイン酸を示す。
【0177】
図4(a)に示された結果から、
1H−磁気共鳴画像化方法を行なった場合、すべての試料中の
1Hに起因するシグナルが検出されることがわかる。また、
図4(b)に示された結果から、
1H−{
13C}二重磁気共鳴画像法を行なった場合、
13C/
15N−PMPC、
13C−PMPCおよびオレイン酸それぞれの
1H−{
13C}に起因するシグナルが検出されることがわかる。
【0178】
これに対して、
図4(c)に示された結果から、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法を行なった場合、
13C/
15N−ラベル化PMPCの
1H−{
13C−
15N}に起因するシグナルのみが特異的に検出されることがわかる。
【0179】
これらの結果から、
1H−
13C−
15N結合を有する化合物からなるプローブを用いて
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法を行なうことにより、従来の
1H−磁気共鳴画像化方法の欠点であった内在性の水、脂質などに起因する内在性ノイズシグナルを除去することができ、
1H−
13C−
15N結合を有する化合物からなるプローブのみを高い選択性で画像化できることがわかる。
【0180】
実施例1
Balb/c nu−nu雌マウス(6週齢)の右腹部に、マウス大腸癌細胞colon26懸濁液(1.9×10
6細胞/50μL50体積%ゲルマトリックス(インビトロジェン社製、商品名:Geltrex)含有生理食塩水溶液)50μLを皮下注射するとともに、当該マウスの左腹部に、マウス大腸癌細胞colon26懸濁液(0.8×10
6細胞/50μL50体積%ゲルマトリックス(インビトロジェン社製、商品名:Geltrex)含有生理食塩水溶液)50μLを皮下注射した。
【0181】
皮下注射終了後11日目のマウスの尾静脈に、
13C/
15N−PMPC生理食塩水溶液(250mg/mL生理食塩水溶液)200μLを投与した。投与終了から4日間経過後、マウスの癌組織を摘出した。
【0182】
つぎに、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法により、前記癌組織の
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像を撮像した。
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法では、
図1に示されるパルス系列を用い、積算回数1024回、撮像時間1065秒間、繰り返し時間(TR)1000ms、エコートレイン数(ETL)32および撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
【0183】
なお、参照として、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−磁気共鳴画像化方法により、前記癌組織の
1H−磁気共鳴画像を撮像した。
1H−磁気共鳴画像化方法では、高速スピンエコー法を用い、積算回数1回、撮像時間80秒間、繰り返し時間(TR)2500ms、エコートレイン数(ETL)8および撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
【0184】
実施例1において、
1H−磁気共鳴画像を撮像した結果を
図5(a)、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像を撮像した結果を
図5(b)、
1H−磁気共鳴画像と
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像とを重ね合わせた結果を
図5(c)に示す。
【0185】
また、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用いた
13C−磁気共鳴スペクトロスコピーにより、前記癌組織の
13C−磁気共鳴スペクトルを測定した。
【0186】
実施例1において、癌組織の
13C−磁気共鳴スペクトルを調べた結果を
図6に示す。
【0187】
図5(a)〜(c)に示された結果から、癌組織において、シグナルが検出されていることがわかる。また、
図6に示された結果から、
13C/
15N−PMPCのメチル基の
13Cのシグナルが観測されたことから、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法によって検出されたシグナルが
13C/
15N−PMPCの
1H−{
13C−
15N}に起因するシグナルであることがわかる。これらの結果から、
13C/
15N−PMPCがEPR効果によって癌組織に集積していることがわかる。
【0188】
実施例2
Balb/c nu−nu雌マウス(6週齢)の右腹部に、マウス大腸癌細胞colon26懸濁液(1.9×10
6細胞/50μL50体積%ゲルマトリックス(インビトロジェン社製、商品名:Geltrex)含有生理食塩水溶液)50μLを皮下注射するとともに、当該マウスの左腹部に、マウス大腸癌細胞colon26懸濁液(0.8×10
6細胞/50μL50体積%ゲルマトリックス(インビトロジェン社製、商品名:Geltrex)含有生理食塩水溶液)50μLを皮下注射した。
【0189】
皮下注射終了後11日目のマウスの尾静脈に、
13C/
15N−PMPC生理食塩水溶液(72.5mg/mL生理食塩水溶液)200μLを皮下注射した。
【0190】
皮下注射終了から1日間経過後、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法により、前記マウスの
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像を撮像した。
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法では、
図1に示されるパルス系列を用い、積算回数1024回、撮像時間1024秒間、繰り返し時間(TR)1000ms、エコートレイン数(ETL)32および撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
【0191】
なお、参照として、7T動物用MRI装置〔ブルカー・バイオスピン(Bruker BioSpin社製)〕および7T MRI用3核(
1H/
13C/
15N)円筒型コイル〔ドーティー・サイエンティフィック(Doty Scientific)社製〕を用い、
1H−磁気共鳴画像化方法により、前記マウスの
1H−磁気共鳴画像を撮像した。
1H−磁気共鳴画像化方法では、高速スピンエコー法を用い、積算回数1回、撮像時間80秒間、繰り返し時間(TR)2500ms、エコートレイン数(ETL)8および撮像範囲(FOV)5×5cm
2の条件を用いた。
【0192】
実施例2において、
1H−磁気共鳴画像を撮像した結果を
図7(a)、
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像を撮像した結果を
図7(b)、
1H−磁気共鳴画像と
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像とを重ね合わせた結果を
図7(c)に示す。
【0193】
図7(a)〜(c)に示された結果から、マウスの癌部位において、
13C/
15N−PMPCの
1H−{
13C−
15N}に起因するシグナルが検出されていることがわかる。これらの結果から、
1H−
13C−
15N結合を有する化合物からなるプローブを用いて
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法を行なうことにより、マウス個体の
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像を撮像することができることがわかる。
【0194】
実施例3
Balb/c nu−nu雌マウス(6週齢)の右腹部に、マウス大腸癌細胞colon26懸濁液(1.9×10
6細胞/50μL50体積%ゲルマトリックス(インビトロジェン社製、商品名:Geltrex)含有生理食塩水溶液)50μLを皮下注射するとともに、当該マウスの左腹部に、マウス大腸癌細胞colon26懸濁液(0.8×10
6細胞/50μL50体積%ゲルマトリックス(インビトロジェン社製、商品名:Geltrex)含有生理食塩水溶液)50μLを皮下注射した。
【0195】
皮下注射終了後11日目のマウスの尾静脈に、
13C/
15N−PMPC生理食塩水溶液(250mg/mL生理食塩水溶液)200μLを投与した。投与終了から4日間経過後、マウスの右腹部および左腹部の癌組織、肝臓、腎臓および心臓の各組織〔癌組織0.59〜1.5g(平均1.0g)、肝臓組織0.88〜1.1g(平均1.0g)、腎臓組織0.19〜0.31g(平均0.27g)、心臓組織0.13〜0.19g(平均0.16g)〕を得た。得られた組織を、10体積%トリクロロ酢酸水溶液に入れて可溶化させた。得られた可溶化物を14000×gで30分間の遠心分離に供し、上清を得た。得られた上清を凍結乾燥させた後、組織重量の4倍量の重水に再溶解させて試料を得た。
【0196】
つぎに、クライオプローブを装備した600MHzのNMR装置(Bruker社製)を用い、前記試料の
1H−{
13C−
15N}−NMRスペクトルを測定した(積算回数16回)。また、得られた
1H−{
13C−
15N}−NMRスペクトルより
1H−{
13C−
15N}三重共鳴NMRシグナルのS/N比を求め、各組織における
13C/
15N−PMPCの蓄積量を算出した。
【0197】
実施例3で得られた各組織の
1H−{
13C−
15N}−NMRスペクトルを
図8に示す。また、実施例3において、各組織における
13C/
15N−PMPCの蓄積量を調べた結果を
図9に示す。
図8および
図9中、「肝臓」、「腎臓」および「心臓」は、それぞれ「肝臓組織」、「腎臓組織」および「心臓組織」を意味する。
【0198】
図8に示された結果から、左腹部および右腹部の癌組織でのみ、
13C/
15N−PMPCの
1H−
13C−
15Nの
1Hに帰属される
1H−{
13C−
15N}三重共鳴NMRシグナルのピークが検出されることがわかる。これに対し、肝臓組織、腎臓組織および心臓組織からはシグナルが検出されないことがわかる。また、
図9に示された結果から、右腹部癌には10.8I.D.%/g組織質量(5.4mg/g組織質量)、左腹部癌には10.4I.D.%/g組織質量(5.0mg/g組織質量)の
13C/
15N−PMPCが蓄積していることから、
13C/
15N−PMPCは、皮下注射終了から4日日経過後には、癌組織に蓄積しているが、癌組織が存在しない臓器から完全にクリアランスされていることがわかる。これらの結果から、癌組織に特異的に蓄積する
13C/
15N−PMPCのように、生体に対して作用する機能を有するプローブを用いて、本発明の多核多重磁気共鳴画像化方法を行なった場合には、生体内におけるプローブの動態を調べることができることが示唆される。
【0199】
以上の結果から、
1H−
13C−
15N結合を有する化合物からなるプローブを用いて
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像化方法を行なうことにより、生体の
1H−{
13C−
15N}三重磁気共鳴画像が得られ、しかも生体におけるプローブの動態を直接観察することができることから、
1H、
13Cおよび
15Nからなる群より選ばれた少なくとも2種類の核磁気共鳴活性核を有し、かつ異なる共鳴周波数を有する少なくとも3個の核磁気共鳴活性核からなる結合を有する化合物からなるプローブを用いる本発明の多核多重磁気共鳴画像化方法によれば、生体内でのプローブの機能、生体内でのプローブを介した代謝反応などを正確で、かつ生体に対して低負荷で可視化することができると考えられる。
【0200】
実施例4
式(p2)のnが60である
13C/
15N−PMPC(分子量18000)の重水溶液(溶液における
13C/
15N−PMPCの濃度:0.7μM、0.1μM、0.07μM、または0.03μM)0.5mLを、クライオプローブを装備した700MHzのNMR装置(Bruker社製)に付して、それぞれの各
13C/
15N−PMPCの重水溶液の
1H−{
13C−
15N}−NMRスペクトルを測定した(積算回数256回)。つぎに、得られた
1H−{
13C−
15N}−NMRスペクトルから信号対雑音比(S/N)を算出した。
【0201】
また、前記において、式(p2)のnが60である
13C/
15N−PMPC(分子量:18000)の重水溶液(溶液における
13C/
15N−PMPCの濃度:0.7μM、0.1μM、0.07μM、または0.03μM)を用いる代わりに、式(p2)のnが40である
13C/
15N−PMPC(分子量12000)の重水溶液(溶液における
13C/
15N−PMPCの濃度:0.6μM、0.1μM、0.06μM、または0.03μM)、式(p2)のnが33である
13C/
15N−PMPC(分子量10000)の重水溶液(溶液における
13C/
15N−PMPCの濃度:0.5μM、0.1μM、0.05μM、または0.025μM)または式(p2)のnが1である場合と等価である式(j1)(式中、a=2、b=2)で表される化合物(
13C/
15N−MPC)の重水溶液(溶液における
13C/
15N−MPCの濃度:1μM)を用いたことを除き、前記と同様の操作を行ない、信号対雑音比(S/N)を算出した。
【0202】
13C/
15N−PMPCの濃度と信号対雑音比との関係を
図10に示す。図中、黒矩形は式(p2)のnが60である
13C/
15N−PMPC(分子量18000)、黒四角は式(p2)のnが40である
13C/
15N−PMPC(分子量12000)、黒三角は式(p2)のnが33である
13C/
15N−PMPC(分子量:10000)、黒丸は式(p2)のnが1である場合と等価である式(j1)(式中、a=2、b=2)で表される化合物を示す。
【0203】
図10に示された結果から、式(p2)のnが1である場合と等価である式(j1)(式中、a=2、b=2)で表される化合物(
13C/
15N−MPC)の信号対雑音比と比べ、重合度が高くなるほど、
13C/
15N−PMPCの信号対雑音比が高くなる傾向にあることがわかる。これらの結果から、主鎖の重合度が1であるモノマーからなるプローブよりも、主鎖の重合度が2以上の重合体からなるであるプローブのほうが好ましいことが示唆される。