(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され且つ記載されてきた一方で、このような実施形態はほんの一例として提供されることが、当業者にとって明らかになるであろう。多数の変更、変化、及び置換は現在、本発明から逸脱することなく、当業者によって想到されるだろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明を実行する際に利用され得ることを理解されたい。
【0025】
実施形態において、マイクロプレートアセンブリ(本明細書においては「マイクロプレート」でもある)は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のため提供される。本発明の実施形態のマイクロプレートは、PCR中の素早い且つ正確な熱制御のような、現在のPCRシステムの様々な利点を提供し得る。幾つかの実施形態において、マイクロプレートは、サイクルごとの蛍光測定により、1分につき6のPCRサイクルまで、及びそれより多いサイクルで提供される。別の実施形態において、マイクロプレートは、約10℃/秒の平均加熱ランプ速度を有するように提供される。別の実施形態において、マイクロプレートは、熱の均一性の能動的制御を有するように、+/−0.2℃又はそれより優れた温度内で熱制御を作りだすように提供される。
【0026】
幾つかの実施形態において、マイクロプレートは消耗可能でもよい。別の実施形態において、マイクロプレートは再利用可能でもよい。別の実施形態において、マイクロプレートは再使用可能でもよい。別の実施形態において、マイクロプレートは生物分解性でもよい。別の実施形態において、マイクロプレートは消耗不可能でもよい。
【0027】
〈ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のためのマイクロプレート〉
本発明の態様は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のためのマイクロプレートを提供する。実施形態において、マイクロプレートは、PCRサンプルを加熱するための金属材料及びバリヤー層を含む基板を含み、バリヤー層は、第1のポリマー材料で形成される。マイクロプレートは更に、PCRサンプルを含むための1つ以上のウェルを含み、1つ以上のウェルは、バリヤー層に密封された第2のポリマー材料で形成される。幾つかの場合において、第1のポリマー材料は第2のポリマー材料と異なる。一例において、第1のポリマー材料は第2のポリマー材料とは異なるガラス転移温度を有する。他の場合において、第1のポリマー材料は第2のポリマー材料と同じである。一例において、第1のポリマー材料は、第2のポリマー材料と同じ、又はほぼ同じガラス転移温度を有する。
【0028】
幾つかの実施形態において、基板は、少なくとも約1℃/秒、約2℃/秒、約3℃/秒、約4℃/秒、約5℃/秒、約6℃/秒、約7℃/秒、約8℃/秒、約9℃/秒、約10℃/秒、約11℃/秒、約12℃/秒、約13℃/秒、約14℃/秒、約15℃/秒、約16℃/秒、約17℃/秒、約18℃/秒、約19℃/秒、約20℃/秒、約25℃/秒、約30℃/秒、約35℃/秒、約40℃/秒、約45℃/秒、約50℃/秒、又はそれ以上のPCRランプ速度(又は加熱速度)を提供する。
【0029】
幾つかの実施形態において、PCRサンプルの加熱は、基板に電流を流すことにより達成され得る。別の実施形態において、PCRサンプルの加熱は、直流(DC)を基板に流すことにより達成され得る。別の実施形態において、PCRサンプルの加熱は、交流(AC)を基板に流すことにより達成され得る。
【0030】
幾つかの実施形態において、基板は、1マイクロメーター(「ミクロン」)以下、2ミクロン以下、3ミクロン以下、4ミクロン以下、5ミクロン以下、6ミクロン以下、7ミクロン以下、8ミクロン以下、9ミクロン以下、10ミクロン以下、11ミクロン以下、12ミクロン以下、13ミクロン以下、14ミクロン以下、15ミクロン以下、16ミクロン以下、17ミクロン以下、18ミクロン以下、19ミクロン以下、又は20ミクロン以下ずつ、PCRサンプルから分離される。他の実施形態において、基板は、少なくとも約0.1ミクロン、1ミクロン、2ミクロン、3ミクロン、4ミクロン、5ミクロン、10ミクロン、15ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、100ミクロン、500ミクロン、1000ミクロン、5000ミクロン、10000ミクロン、又はそれ以上ずつ、PCRサンプルから分離される。
【0031】
幾つかの実施形態において、第2のポリマー材料は、バリヤー層に熱密封される。別の実施形態において、第1のポリマー材料は第2のポリマー材料と化学的に適合性がある。別の実施形態において、金属材料はアルミニウム又はアルミニウム合金を含む。
【0032】
幾つかの実施形態において、基板は、電流が基板を流れる際に熱を発生するためのものである。別の実施形態において、基板は、直流(DC)が基板を流れる際に熱を発生させるためのものである。別の実施形態において、基板は、交流(AC)が基板を流れる際に熱を発生させるためのものである。
【0033】
幾つかの実施形態において、基板は、約1℃/秒と35℃/秒との間、約3℃/秒と25℃/秒との間、又は約5℃/秒と15℃/秒との間の速度で、1以上のウェルにおけるサンプルの温度を上げるためのものである。
【0034】
幾つかの実施形態において、基板は、PCRサンプルを加熱するための金属材料を含む。金属材料は、約5x10
−9オーム−mと1x10
−6オーム−mとの間、約1x10
−8オーム−mと1x10
−7オーム−mとの間、又は約2x10
−8オーム−mと8x10
−8オーム−mとの間の低効率を有し得る。
【0035】
幾つかの実施形態において、マイクロプレートは1つ以上のウェルを含み得る。幾つかの場合において、マイクロプレートは、1つのウェル、2つのウェル、3つのウェル、4つのウェル、5つのウェル、6つのウェル、7つのウェル、8つのウェル、9つのウェル、10のウェル、11のウェル、12のウェル、13のウェル、14のウェル、15のウェル、16のウェル、17のウェル、18のウェル、19のウェル、20のウェル、21のウェル、22のウェル、23のウェル、24のウェル、25のウェル、26のウェル、27のウェル、28のウェル、29のウェル、30のウェル、31のウェル、32のウェル、33のウェル、34のウェル、35のウェル、36のウェル、37のウェル、38のウェル、39のウェル、40のウェル、41のウェル、42のウェル、43のウェル、44のウェル、45のウェル、46のウェル、47のウェル、48のウェル、49のウェル、50のウェル、51のウェル、52のウェル、53のウェル、54のウェル、55のウェル、56のウェル、57のウェル、58のウェル、59のウェル、60のウェル、61のウェル、62のウェル、63のウェル、64のウェル、65のウェル、66のウェル、67のウェル、68のウェル、69のウェル、70のウェル、71のウェル、72のウェル、73のウェル、74のウェル、75のウェル、76のウェル、77のウェル、78のウェル、79のウェル、80のウェル、81のウェル、82のウェル、83のウェル、84のウェル、85のウェル、86のウェル、87のウェル、88のウェル、89のウェル、90のウェル、91のウェル、92のウェル、93のウェル、94のウェル、95のウェル、96のウェル、97のウェル、98のウェル、99のウェル、100のウェル、101のウェル、102のウェル、103のウェル、104のウェル、105のウェル、106のウェル、107のウェル、108のウェル、109のウェル、110のウェル、111のウェル、112のウェル、113のウェル、114のウェル、115のウェル、116のウェル、117のウェル、118のウェル、119のウェル、120のウェル、121のウェル、122のウェル、123のウェル、124のウェル、125のウェル、126のウェル、127のウェル、128のウェル、129のウェル、130のウェル、又はそれ以上のウェルを含み得る。幾つかの実施形態において、マイクロプレートは、1以上、5以上、10以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上、45以上、50以上、60以上、70以上、80以上、90以上、100以上、110以上、120以上、130以上、140以上、150以上、200以上、300以上、400以上、500以上、1000以上、又はそれ以上のウェルを含み得る。
【0036】
1つの実施形態において、マイクロプレートは24のウェルを含み得る。別の実施形態において、マイクロプレートは48のウェルを含み得る。別の実施形態において、マイクロプレートは54のウェルを含み得る。別の実施形態において、マイクロプレートは72のウェルを含み得る。別の実施形態において、マイクロプレートは96のウェルを含み得る。マイクロプレートは、使い捨て及び/又は再利用可能である。
【0037】
幾つかの実施形態において、マイクロプレートは24のウェルを含み、各ウェルは、5マイクロリットル(μl)と40μlとの間の容積を有し、96のウェルを含む場合、各ウェルは約0.5μlと5μlとの間の容積を有する。
【0038】
他の実施形態において、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のためのマイクロプレートは、PCRサンプルを加熱するための金属材料を含む基板を含み、コーティング層(本明細書において「バリヤー層」でもある)は基板の上に配置され、該コーティング層は第1のポリマー材料で形成され;及び1つ以上のウェルは、PCRサンプルを含むため、コーティング層に密封される第2のポリマー材料で形成される。幾つかの実施形態において、金属基板は、外部加熱エレメント又はペルティエ加熱ブロックを必要とすること無く、+/−1℃又はそれより優れた、+/−0.5℃又はそれより優れた、或いは+/−0.2℃又はそれより優れた、ウェル間の熱の均一性を提供する。
【0039】
他の実施形態において、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のためのマイクロプレートは、PCRサンプルを加熱するための金属材料を含む基板を含み;コーティング層は基板の上に配置され、該コーティング層は第1のポリマー材料で形成され;及び1つ以上のウェルはPCRサンプルを含むためのものであり、1つ以上のウェルは、コーティング層に密封される第2のポリマー材料で形成される。幾つかの実施形態において、金属基板は、全てのサイクルについての蛍光測定を含む、1分につき少なくとも1のPCRサイクル、1分につき少なくとも2のPCRサイクル、1分につき少なくとも3のPCRサイクル、1分につき少なくとも4のPCRサイクル、1分につき少なくとも5のPCRサイクル、1分につき少なくとも6のPCRサイクル、1分につき少なくとも7のPCRサイクル、1分につき少なくとも8のPCRサイクル、1分につき少なくとも9のPCRサイクル、又は1分につき少なくとも10のPCRサイクルを許容するのに十分な加熱効率を提供する。
【0040】
幾つかの実施形態において、マイクロプレートは更に、接触層に対向する基板の側面にて、赤外線放射(IR)標準化材料の層を含む。IR標準化層は、IR放射率を増加するのに役立ち、それにより、PCR中にマイクロプレートと1つ以上のウェルの、より効果的な熱調節を提供する。別の実施形態において、マイクロプレートは、コーティング層に対向する基板の側面にて、IR標準化材料の層を含み得る。幾つかの実施形態において、IR標準化層は、約10マイクロメーター(「ミクロン」)未満、約5ミクロン未満、約1ミクロン未満、約0.5ミクロン未満、又は約0.1ミクロン未満、の厚みを有し得る。
【0041】
幾つかの実施形態において、マイクロプレートは、約0.1mm未満、約0.2mm未満、約0.3mm未満、約0.4mm未満、約0.5mm未満、約0.6mm未満、約0.7mm未満、約0.8mm未満、約0.9mm未満、又は約1mm未満の厚みを有し得る。別の実施形態において、マイクロプレートは、約0.1mmと100mmとの間、約0.2mmと20mmとの間、約0.3と10mmとの間、又は約0.4mmと0.6mmとの間の厚みを有し得る。
【0042】
幾つかの実施形態において、コーティング層は、約10マイクロメーター(「ミクロン」)未満、約5ミクロン未満、約1ミクロン未満、約0.5ミクロン未満、又は約0.1ミクロン未満の厚みを有し得る。
【0043】
本発明の別の態様は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に使用するための、使い捨てサンプルホルダーを提供する。幾つかの場合における使い捨てサンプルホルダーは、ポリマー材料、金属材料(例えば、アルミニウム)、又は複合材料などの再利用可能な材料で形成される。
【0044】
幾つかの実施形態において、使い捨てサンプルホルダーは、第1のポリマー材料でコーティングされるアルミニウム基板、及び第1のポリマー材料に熱密封される複数のウェルを含む。複数のウェルは、第1のポリマー材料に適合性のある第2のポリマー材料で形成され得る。
【0045】
幾つかの場合において、使い捨てサンプルホルダーは、使い捨てサンプルホルダーの複数のウェルに熱を提供する為、アルミニウム含有の基板を含む。使い捨てサンプルホルダーは、約100g、90g、80g、70g、60g、50g、40g、30g、20g、15g、10g、5g、4g、3g、2g、1g、又はそれより低い重量未満の、又はそれに等しい重量を有し得る。幾つかの実施形態において、使い捨てサンプルホルダーは一回のみ使用のサンプルホルダーである。
【0046】
本発明の別の態様は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に使用するための低コストのサンプルホルダーを提供する。低コストのサンプルホルダーは、約2.0g/cm
3と4.0g/cm
3との間、又は2.7g/cm
3と3.0g/cm
3との間の密度を有する金属材料で形成される。基板は、約1℃/sと30℃/sとの間、又は5℃/sと15℃/sとの間の加熱速度で、低コストのサンプルホルダーの1つ以上のウェルに熱を提供するように構成され得る。幾つかの実施形態において、基板はアルミニウムを含む。幾つかの状況において、低コストのサンプルホルダーは更に、基板の上に第1のポリマー材料で形成されるバリヤー層を含む。低コストのサンプルホルダーの1つ以上のウェルは、第1のポリマー材料に接続される第2のポリマー材料で形成され得る。
【0047】
図1は、本発明の実施形態に従った、マイクロプレート(100)の概略断面側面図である。マイクロプレート(100)は、ポリプロピレンなどのポリマー材料で形成される1つ以上のチューブを含むモールディング(102)の中に、複数のウェル(101)(又はウェル状構造)を含む。チューブは、金属プレート(103)の表面に取り付けられる。幾つかの実施形態において、モールディング(102)のチューブの材料に適合性があり得るポリマー材料で形成されるコーティング層(又はバリヤー層)(104)の助けにより、チューブは、金属プレート(103)の表面に取り付けられる。金属プレートは、電気的に抵抗性のある材料で形成され得る。幾つかの実施形態において、金属プレートは、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成され得る。
図1のマイクロプレートは、ウェルの各々に配置されるアッセイ(105)を有する。
【0048】
幾つかの場合において、モールディング(102)は、単体のポリマー材料で形成され得る。モールディング(102)は、幾つかの場合において、射出成形により形成される。幾つかの状況において、モールディング(102)は、(溶接又は接着剤の助けなどにより)互いに取り付けられる複数のピースで形成される。
【0049】
図1を引き続き参照すると、ウェル(101)は、少なくとも部分的にポリマー材料で形成されるモールディング(102)の側壁により、少なくとも部分的に画成される。モールディング(102)は、金属プレート(103)に対するモールディングレスティング(moulding resting)の底面を有し得る。これは、ウェルの各々に効果的な熱制御を提供し得る。
【0050】
幾つかの実施形態において、モールディング(102)は、接着剤などの結合材の助けにより金属プレート(103)に固定され得る。他の実施形態において、モールディング(102)は、クランプ又はファスナー(図示せず)の助けにより、金属プレート(103)に固定される。
【0051】
〈マイクロプレートの加熱〉
本発明の別の態様は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)加熱のためのウェルを有するマイクロプレート(又は消耗品)を提供する。幾つかの実施形態において、消耗品は、電流がマイクロプレートを流れることにより加熱され得る。マイクロプレートは、予め決定した期間、加熱され得る。加熱を含むサンプル処理は、コンピューターシステムの記憶場所に保管される機械読み込み可能な指示を実施するための1つ以上のプロセッサーを有する、コンピューターシステムにより調節され得る。
【0052】
熱は、電流が
図1のマイクロプレートを流れることにより生成され得る。幾つかの場合において、加熱は、抵抗加熱法である。加熱又は冷却の速度は、マイクロプレートの少なくとも1部を通る電流を変動すること、又はマイクロプレートにわたり適用される電位を変動することにより、調整され得る。
【0053】
幾つかの実施形態において、使い捨てマイクロプレート(本明細書において「消耗品」でもある)は、金属プレートに取り付けられるポリマーモールディングを伴う塗装金属プレートを含み得る。金属プレートは、モールディングに適合性のあるポリマー材料によりコーティングされ得る。ポリマーモールディングは、ポリマー材料で形成され得る。消耗品は、それ自体において、加熱エレメントであってもよい。消耗品は、電流が金属プレートを通ることにより直接加熱され得る。消耗品は、プレートに密に接触し、ポリマーの層によりプレートから分離される液体サンプル又はアッセイを含み、その結果、サンプルへの、及びサンプルからの熱伝達は早く、制御可能である。幾つかの実施形態において、ポリマーの層は、10ミクロンの厚み、又は本明細書で提供される他の厚み(上記を参照)を有し得る。
【0054】
幾つかの実施形態において、消耗品は、異なる可能な電力伝達路の数に沿って、電流を消耗品に通すことにより、加熱され得る。別の実施形態において、プレートの端部にある接触指は、バスバーのシステムに接続される。これらバスバーは、4つの変圧器の単回転二次巻線である。消耗品は、バスバーの上にある(又はそれとの電気接触状態にある)ように構成される。幾つかの実施形態において、消耗品はバスバーから取り外し可能である。別の実施形態において、記載された消耗品に類似する幾何学的形状の固定プレートは、バスバーに永続的に取り付けられる。
【0055】
幾つかの実施形態において、各変圧器に対する低電流の一次的動因は、トライアック装置の位相角のトリガーを使用して、比例して制御される。また、一対の一次巻線を使用することで、各変圧器に対する駆動の相対的な位相は、制御され得る。
【0056】
幾つかの実施形態において、プレートを通る電流は高く、プレートに適用される電圧は低い。幾つかの実施形態において、プレートを通る電流は、変圧器につき約50A、100A、150A、200A、300A、400A、500A、600A、700A、800A、900A、又は1000Aまでである。別の実施形態において、プレートに適用される電圧は、約0.1Vと1Vとの間、又は約0.25Vと0.5Vとの間である。
【0057】
幾つかの実施形態において、低い電圧及び低いプレート抵抗で操作するため、取り外し可能なプレートと固定されたバスバーとの間の接触は、重要である。別の実施形態において、プレートは、電気ボールねじにより作動されるマスターシリンダーによって駆動する、6つの小型水撃ラムを使用して、バスバー上の金メッキ接点に固定される。ラムは、各々約2000ニュートン(N)の力を及ぼし、それは、金属の表面に典型的に見出される酸化被膜を分裂して、プレートとバスバーとの間の非常に低い抵抗性の接触を作るために、アルミニウムの十分な変形をもたらす。
【0058】
マイクロプレートは、N行M列のウェルを含み、ここで「N」と「M」は、零より大きな整数である。幾つかの場合において、Nは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、又はそれ以上であり、Mは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、又はそれ以上である。行は、列に対して直角であり得、又は、列に対して0度より大きい、及び90度未満の角度で、列に対して角をなして配置され得る。例えば、行は、カラムに対して45度の角度で、角をなして配置される。
【0059】
例えば、マイクロプレートは、3行3列(3x3)のウェル、又は合計で9のウェルを含み得る。別の例として、マイクロプレートは、3x3、4x6、6x4、9x6、6x9のウェルを含み得る。
図10は、6行9列のウェル(1001)、又は合計54のウェルを有するマイクロプレート(1000)を示す。ウェルはポリマー材料で形成され、金属材料(例えば、アルミニウム)で形成される基板(1002)に隣接して配置される。基板(1002)は、複数の指(又は指状突起)(1003)を含む。各指(1003)は、頂部表面(ウェル(1001)に面する)及び底部表面を有する。指(1003)の各々の頂部表面は、頂部表面上のしわを定義する波模様を有する。指(1003)の各々の底部表面(図示せず)は、しわを定義する波模様を有し得る。指の頂部表面及び底部表面の少なくとも一部は、PCR中に電流がマイクロプレート(1000)を流れるのを促進するため、バスバーに接触するように構成される。
【0060】
幾つかの実施形態において、しわは、約0.1マイクロメーター(「ミクロン」)と1センチメートルとの間、又は1ミクロンと10ミリメートル(「mm」)との間の波形を有する。他の実施形態において、しわは、少なくとも約0.1ミクロン、1ミクロン、10ミクロン、100ミクロン、1mm、10mm、又は100mmの波形を有する。
【0061】
幾つかの実施形態において、マイクロプレートは、基板に隣接した複数のウェルを含む。基板はアルミニウムなどの金属材料で形成され、複数のウェルは、ポリマーマトリクスによって少なくとも部分的に画成される。幾つかの場合において、ポリマーマトリクスは各個別のウェルを画成する。他の場合において、ポリマーマトリクスは、ウェルの1つ以上の側壁を画成するが、ウェルの底部は、基板により画成される。幾つかの場合において、ウェルの底部は、基板に隣接したポリマー材料の層を含む。
【0062】
マイクロプレートは、電流がマイクロプレートを通るのを促進するためのシステムのバスバーと、マイクロプレートが電気伝達することを可能にするための、指状突起(
図10を参照)を含む。幾つかの場合において、マイクロプレートと複数のバスバーとの間の抵抗性は最小化され、幾つかの場合において、バスバーと接触するように構成される指状突起の表面上のしわ(又は隆起部)の助けにより、オーム性を与えられる。マイクロプレートの指状突起は、バスバーに硬く固定され得る。
【0063】
幾つかの場合において、マイクロプレートはその表面上に波模様を有するように形成される指を含み、それにより、しわを形成する。しわは、指の1つ以上の表面上に形成される任意の酸化被膜を除去するのに役立ち、それは、指とバスバーとの間の電気接触を改善するのに役立つ。
【0064】
幾つかの場合において、PCRを促進するシステムは、本明細書に記載されるようなマイクロプレート、及びマイクロプレートの1つ以上の領域の温度を測定するための温度センサーを含み得る。温度センサーは、1つ以上の領域との電気接触における1つ以上の熱電対でもよい。熱電対は、熱領域との電気接触の状態にあってもよい。代わりに、温度センサーは、マイクロプレートの1つ以上の領域の温度を測定するための赤外線センサーでもよい。赤外線(「IR」)センサーは、非接触のIRセンサーであり、マイクロプレートの金属基板の温度を測定するように構成され得る。
【0065】
システムは、マイクロプレートの温度を測定するための、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、100、又はそれ以上のセンサーを含み得る。温度測定に使用されるセンサーの数は、マイクロプレートの熱領域の数に等しくてもよい。例えば、システムは、マイクロプレートの9つの熱領域における温度を測定するために9つのセンサーを含み得る。
【0066】
温度センサーは、マイクロプレートの熱領域における温度の連続測定を提供し得る。幾つかの場合において、これは、より正確な読み取りを送達するための較正を提供し得る。代わりに、温度センサーは、少なくとも0.01秒ごと、0.1秒ごと、1秒ごと、10秒ごと、30秒ごと、1分ごと、10分ごと、30分ごと、1時間ごと、2時間ごと、3時間ごと、4時間ごと、5時間ごと、6時間ごと、12時間ごと、1日ごと、2日ごと、又はそれ以上での温度測定など、断続的な温度測定を提供し得る。センサーは、プレートの特定の領域にどのくらいの熱が必要とされるかを決定するためのフィードバックを提供し得る。
【0067】
幾つかの実施形態において、マイクロプレートにわたる温度の変動は、10℃未満、5℃未満、1℃未満、0.9℃未満、0.8℃未満、0.7℃未満、0.6℃未満、0.5℃未満、0.4℃未満、0.3℃未満、0.2℃未満、0.1℃未満、又はそれ以下の温度未満である。これは、各領域における正確な熱制御のための温度(又は熱)領域の定義を可能にする。
【0068】
本明細書で提供されるマイクロプレートは、PCRを可能にする加熱のために構成され得る。幾つかの実施形態は、加熱を可能にする電子のソースと電気伝達の状態にあるマイクロプレートを提供し、それは、電流(「流れ」)の適用部材の助けにより提供され得る。共に、マイクロプレートを電流適用装置との電気接触にもたらすためのマイクロプレート、電流適用装置、及び任意の他の器具(例えば、バスバー)は、電流経路、又は電気回路(「回路」)を定義する。電流適用装置は、DCモード又はACモードの操作のために構成され得る。
【0069】
図2−5を参照すると、24のウェルを備えた消耗品(中心)は、本発明の実施形態に従って提供される。電力供給ユニット(PSU)も図示される。PSUは、AC又はDCの電力供給ユニットでもよい。
図2−5は、消耗品に熱を提供するための様々なトランス駆動パターンを図示する。幾つかの実施形態において、システムは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又はそれ以上のトランス駆動パターンを使用して提供される。幾つかの実施形態において、システムは12のトランス駆動パターンを使用して提供される。
図2−5のPSUに関連する矢印は、対応するモードにおける活性なPSUの相対位相合せを示す。関連する矢印の無いPSU又はPSU(複数)は、そのモードにおいてオフになっている(off in that mode)。特定の加熱パターンは、PSUの各々の位相整合の機能である。
【0070】
図2を参照すると、PSU1、PSU2、PSU3、及びPSU4の相対位相合せの第1の構成において、熱は、消耗品の頂部に提供される。
図3を参照すると、PSU1、PSU2、PSU3、及びPSU4の相対位相合せの第2の構成において、熱は、消耗品の側部に提供される。
図4を参照すると、PSU1、PSU2、PSU3、及びPSU4の相対位相合せの第3の構成において、熱は、消耗品の左側面(頂部から見た場合)に提供される。
図5を参照すると、PSU1、PSU2、PSU3、及びPSU4の相対位相合せの第4の構成において、熱は、消耗品の全て又は略全てに提供される。
【0071】
実施形態において、消耗品の加熱パターンは、消耗品の加熱速度と冷却速度との間のバランスの生成物であり得る。つまり、消耗品の中心が、加熱されるよりも急速に冷却される場合、冷却効果が結果として起こる。消耗品の側面が、中心よりも急速に加熱される場合、中心は、消耗品の側面に対してより冷たいままである。実施形態において、加熱速度及び冷却は、例えば、熱伝達の形態(即ち、伝導性、伝達性、又は放射性)及び形態間の相互作用;熱伝達係数;熱質量;初期温度;及びPSU電力などの、様々な因子に依存し得る。
【0072】
図2−5を参照すると、電流は、予め決定した加熱パターンをもたらし得る。金属プレートを通る異なる電流経路の使用は、領域の制御のためのプレート加熱領域としての消耗品の使用を可能にし、熱の均一性の能動的制御を可能にし得る。
【0073】
幾つかの実施形態において、プレートは、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、又は10以上の高圧エアジェットなど、高圧エアジェットの手段により下から冷却される。ジェットは、個々にスイッチをオンに、及びオフにされ得、気圧は、冷却の際に釣り合いを与えるために制御され得る。これは、適用される冷却力に領域の制御を効果的に与え得る。加熱デバイスはまた、冷却時でさえ、全体的な熱の均一性を維持するために使用され得る。幾つかの実施形態において、圧縮空気は、ビルディングエア供給から、又は小型の局所的な圧縮機から、或いはパルス幅変調方式(PWM)制御による4つの小型空気ポンプを使用することにより供給される。全ての場合において、利用される圧力は、0psiと50psiの間で制御され、空気は、4つの小型の0.7mm直径のノズルなどのノズルによってプレートの底面上に向けられ、それは、平らなプレートの境界層を貫通するための高速度ジェットをもたらす。
【0074】
プレートの端部のしわ寄せ;機械に位置付けられるプレートは、テストサンプルのコンテナを提供するだけでなく、抵抗性のある加熱エレメントでもある。加熱は、電流がアルミニウムベースのプレートを通る際に誘発される。プレートと回路の残りの間の接続は、誘発された熱が回路の残りに生じるように、プレートの抵抗性と比較して低い抵抗性である必要がある。低い抵抗性を達成するため、プレートのアルミニウムの指(又は指状突起)は、高伝導性のバスバーに硬く固定される。このような固定は、指とバスバーとの間にオーム性接触を提供でき、それは、加熱の改善を提供できる。指を硬く固定するのに必要とされる力に加えて、指は、その表面において波模様、しわを有するように形成され、その結果、それらが平らに固定されるように、指にコーティングした任意の酸化物又は汚れを分解する、プレートの表面上のワイピング行為が存在し、優れた接続を提供する。
【0075】
繰り返し作られた接続上で、>100ニュートンの高い力の供給等、この配置に対するエレメントの数が存在する。これは、オーバーセンタートグルタイプクランプ(over center toggle type clamp)を使用することにより達成される;そのクランプは、クランプを設定するのに必要とされる精度を減少する、ビルトイン・スプリングシステムを有し得る。水圧固定又はスクリュー固定等の、他の固定方法が使用され得る。固定ラムの非常に小さいドーム形成は、高い接触力、及び、反復可能な低い抵抗性の接続を提供するのに役立つ好ましい接触面積の両方を送達する、点又は面の接触よりむしろ、接触のアニュラリングを提供する。クランプの領域におけるプレートの表面に起伏を付けることは、クランプラムによって押しつぶされ平らにされるように、材料が固定表面にわたって移動及びワイプすることを可能にする。ワイピングのこのプロセスは、低い抵抗性の接触をもたらす様々なコネクター上で使用され得る。幾つかの場合において、プレフォームが押しつぶされ得る。プレフォームの大きさと深さは、ワイピング行為を決定する際に重要であり得る。しわの助けにより、マイクロプレートとバスバーとの間の抵抗性は最小化され、幾つかの場合において、マイクロプレート及び電流適用装置を有する電気回路の抵抗性より下にまで最小化され得る。
【0076】
幾つかの実施形態において、プレートの温度は、サーモパイル型非接触センサーの3x3のアレイを使用して、プレートの下から測定され得る。別の実施形態において、温度測定は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、又はそれ以上のサーモパイル型非接触センサーの助けにより、行われ得る。別の実施形態において、温度測定は、ウェルの数を一致させるために選択されるセンサーの数により行われ得る。
【0077】
図6は、本発明の実施形態に従った、取付ブロック上のセンサーを示す。プレートの底部は、プレートの赤外線放射率を標準化するためのエポキシプライマーコーティングを有し、それは、正確なセンサー測定において役立ち得る。温度測定は、1つ以上のウェルとの熱接触測温において熱電対に動作可能に結合されるシステムの助けにより、行われ得る。
【0078】
幾つかの実施形態において、センサーと加熱領域との間の1対1のマッピングは存在しない。別の実施形態において、コンピューターは、12のプログラム化されたオプションなどの、プログラム化されたオプションの予め決定した数から最適なトランス駆動パターンを選択するための、センサーからの情報を使用する。別の実施形態において、トランス駆動パターンは、1秒につき約50回更新される。別の実施形態において、トランス駆動パターンは、1秒につき少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、又はそれ以上の回数で更新される。
【0079】
温度の赤外線サーモパイル測定;1つの実施形態は、プレートのアルミニウムベースプレートの温度を測定するための非接触の赤外線センサーのアレイを使用する。プレートの9つの領域の温度を測定するために使用される、我々の現在のアレイにおける9つのセンサーが存在する。これら温度は、加熱デバイスを制御し、所望される加熱パターンをもたらすために使用される。赤外線センサーは、業界標準の一部であるが、それらは、約1度の精度に対する標準として測定するだけでもよい。測定の正確さのための時間を得ることが望ましい;故に、1つの実施形態は、より正確な読み取りを計算するためにこの情報をその後使用する範囲にわたり、各センサーを調整する。センサーのこの「較正」は、測定されるべき多くの点を必要とし、これらは、より正確である値を与えるためそれらの間に推定される、アルゴリズムを追加するために使用される。この実施形態は、より正確な読み取りを送達するために組み合わせた「較正」とアルゴリズムの使用の少なくとも一部に基づいて、有利である。
【0080】
加熱制御アルゴリズム;加熱システムは、熱を複数の領域に提供するための多くの異なる方法で加熱され得る、複数の領域に抵抗性のある加熱エレメントからなる。領域の温度は、連続測定を提供する非接触の赤外線センサーのアレイによって測定される。電流を領域に流すことによって直接、及び隣接した領域からの熱移動を通じて間接的に、他の領域を加熱することなく、ほんの1つの領域を加熱することが出来ないため、システムの制御は複雑である。アルゴリズムは、どのくらいの熱がどこで必要とされるかを決定するための熱センサーからのフィードバックを使用する、この複雑な制御を提供するように発達される。このアルゴリズムは、所望の温度にまでプレートを素早く得るだけでなく、プレートにわたる温度の変動を最小にまで保つために使用され、その結果、全ての試験サンプルは、同じ実験的な状態を効果的に確認し、試験プレートにわたる、及びプレートからプレートまでの結果を比較しようとする際に重要である。ここでの斬新さは、その使用と同様、アルゴリズムの実際の性質にある。
【0081】
幾つかの実施形態において、システムは、プレートの加熱及び冷却を制御するために提供され、プレートとの熱伝達において消耗可能である。別の実施形態において、ソフトウェアを有するシステムは、プレートの加熱及び冷却を制御するために提供され、プレートとの熱伝達において消耗可能である。別の実施形態において、システムは、プレートの活動領域にわたる熱の均一性を維持するために提供され、一方でプログラム化された温度プロファイルを伴う。
【0082】
幾つかの実施形態において、ユーザーがプレート上のチューブを試薬で満たした場合、チューブの頂部は、透明密封フィルム等のカバーを使用して密封される。これは、蛍光の測定が、PCRの進行後にプレートの上から行われることを可能にし得る。電荷結合素子(CCD)カメラは、蛍光の出力を記録するために使用され得る。CCDカメラは、フィルターホイールを有し得る。励起のための放射は、フィルターを伴う(LEDの)発光ダイオードなどの、1つ以上の励起光源により提供され得る。
【0083】
代替案として、マイクロプレートは、ペルティエ加熱を利用する加熱デバイスの助けにより、加熱又は冷却され得る。幾つかの場合において、
図1のマイクロプレートは、マイクロプレートの下面の近辺におけるペルティエ加熱エレメントの助けにより、使用され得る。このような場合において、金属プレートは、マイクロプレートのウェル(又はチャンバ)の各々への熱の移動を許可し得る。幾つかの場合において、マイクロプレートは、ペルティエ加熱エレメントとの熱伝達の状態にあり、それは、電気エネルギーの消耗の際の温度勾配に対して、加熱エレメントの1つの側面から加熱エレメントの他の側面へと熱を移動し得る。
【0084】
図7は、化学的にドープされたn型(「N」)705又はp型(「P」)である、複数の半導体含有エレメント(又はペレット)を有するペルティエ加熱エレメント(700)を示す。
【0085】
図8は、マイクロプレート(800)より下にペルティエ加熱デバイス(801)を有する、マイクロプレート(800)を示す。ペルティエ加熱デバイス(801)は、p型805及びn型810の半導体の(又は「半導体」)材料を含み、電気的に導電材(815)は、1対のn型及びp型の半導体に接続する。ペルティエ加熱デバイス(801)は、n型及びp型の半導体の上に熱絶縁材料の層を含み得る。熱絶縁材料の層は、セラミック材料であってもよい。ペルティエ加熱デバイス(801)は、マイクロプレート(800)を加熱又は冷却し、マイクロプレート(800)のウェル(又はチャンバ)を含む。幾つかの場合において、マイクロプレート(800)は、上述のように、電流をマイクロプレート(800)に通すことに加えてペルティエ加熱デバイス(801)の助けにより、加熱され得る。
【0086】
別の代替案として、
図1のマイクロプレートは、マイクロプレートの1つ以上のウェルを加熱(又は冷却)するための、抵抗性のある、放射性の、又は対流的な加熱デバイスを伴う、(例えば、マイクロプレートの金属プレートに隣接した)マイクロプレートの下面の上に接触され得る。幾つかの場合において、
図1のマイクロプレートは、クランプ加熱デバイスと共に下面に接続され得る。クランプ加熱デバイスは、上述のように、マイクロプレートを通って導かれる電流の助けにより、供給される加熱と組み合わせて使用され得る。
【0087】
幾つかの場合において、本明細書で提供される加熱デバイスは、加熱及び冷却の両方のために使用され得る。例えば、
図7及び8のペルティエ加熱デバイスは、例えば、ペルティエ加熱デバイスの半導体含有エレメントを通る電流の流れの方向を調整することにより、マイクロプレートの1つ以上のウェルから熱を除去するために使用され得る。別の例として、冷却は、加熱デバイスの加熱速度を減少することによって提供され、それにより、対流の、伝導性の、又は放射性の熱伝達の助けにより、仮の定常状態の温度への冷却を可能にする。
【0088】
〈マイクロプレートの形成方法〉
本発明の別の態様は、マイクロプレートの形成方法を提供する。本明細書で提供されるマイクロプレートは、1つ以上の金属を有する基板を含み得る。幾つかの実施形態において、このような基板は、アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウム合金、又は複合材料を含み得る。幾つかの場合において、このような基板はアルミニウムを含む。電流は、基板との電気接触状態にある電極を通って基板に提供され得る。幾つかの場合において、低い又はほぼ低い抵抗性の電気接触は、アルミニウム基板に、及びそれを通って電流を提供するために、アルミニウム基板に提供され得る。
【0089】
幾つかの場合において、アルミニウム基板は、約5m−オーム、10m−オーム、15m−オーム、20m−オーム、25m−オーム、30m−オーム、35m−オーム、又は40m−オーム未満、又はそれらに等しい接続抵抗性で、電気接触部(又は電極)との電気伝達状態にあり、ここで、1m−オームは1x10
−6オームに等しい。このような電気接触部は、酸化アルミニウム、AlO
xなどのアルミニウム含有酸化膜の低い濃度を有し、ここで、「x」はゼロより大きな数である。
【0090】
幾つかの場合において、アルミニウム基板を有するマイクロプレートを製造する際、基板に電気接触を提供するため、波形はアルミニウム基板の領域に押しつぶし形成される(pressed of formed)。例えば、6つの電気接触領域が所望される場合、6つの電気接触領域の各々は、電気接触領域を形成する前に波形にされ得る。このような波形は、アルミニウム基板の表面に形成され得る任意の酸化アルミニウムを壊し、それにより、アルミニウム基板への低い又はほぼ低い抵抗性の電気接触を提供する。
【0091】
幾つかの実施形態において、マイクロプレートの1つ以上の構成部品は、ダイ(die)又は複数のダイの助けにより形成される。幾つかの場合において、マイクロプレートは、鍛造(例えば、展伸鍛錬)などの機械的な冷間成形処理によって形成される。例えば、
図1のマイクロプレートの金属プレートは、機械的な冷間成形処理を使用して形成され得る。マイクロプレートのウェルがポリマー材料で形成される場合において、ウェルは、押出し又は射出成形を使用して形成され得る。
【0092】
〈PCRシステム〉
本発明の別の態様は、PCRの加熱を含む、サンプル処理のためのシステムを提供する。システムは、中央処理、メモリー(ランダムアクセスメモリー及び/又は読み取り専用メモリー)、データ記憶装置(例えば、ハードドライブ)、通信ポート(COM PORTS)、及び入力/出力(I/O)モジュール(I/Oインターフェースなど)を備えた、コントローラーを含み得る。プロセッサーは、並列処理のための中央処理装置(CPU)又は複数のCPUであってもよい。メモリー及び/又はデータ記憶装置は、PCRの加熱法など、本明細書に提供される方法を実施するための、機械可読コードを有していてもよい。
【0093】
図9は、本発明の実施形態に従った、本明細書に提供されるマイクロプレートを使用してPCRを調節するためのシステム(900)を示す。システム(900)は、プロセッサー(901)、メモリー(902)、入力/出力モジュール(903)、通信インターフェース(904)、及びデータ記憶装置(905)を含む。システム(900)は、システム(900)を操作するユーザーにユーザーインターフェース(907)を提示するためのディスプレイ(906)に動作可能に繋がれ得る。ユーザーインターフェース(907)は、幾つかの場合において、1つ以上のテキスト形式の、図解の、音声の、及びビデオのエレメントを有するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)である。ディスプレイ(906)は、容量性のタッチスクリーン又は抵抗性のタッチスクリーンなどのタッチスクリーンでもよい。幾つかの実施形態において、ディスプレイ(906)は、システム(900)に隣接して配置される。他の実施形態において、ディスプレイ(906)は、システム(906)から離れて配置される。
【0094】
システム(900)は、本明細書に提供されるマイクロプレートを使用してPCRを行うための、PCRシステム(908)に動作可能に繋がれる。PCRシステム(908)は、システム(900)がPCRシステム(908)の助けによりPCR中に温度測定を行うことを可能にするためのセンサー(例えば、熱電対)を含み得る。
【0095】
メモリー(902)は、いくつか例を挙げると、ランダムアクセスメモリー(RAM)又は読み取り専用メモリー(ROM)、又はハードドライブでもよい。メモリーは、PCRシステム(908)を使用してPCRを行うための方法を実施するための、機械可読コードを含み得る。幾つかの実施形態において、メモリー(902)は、1つ以上の温度プロファイルを実行するための機械可読コードを含み、温度プロファイルは、時間の機能としての温度領域プロファイルを含み得る。
【0096】
1つの例において、ユーザーは、サンプルを有するPCRマイクロプレートをPCRシステム(908)に入力する。PCRマイクロプレートは、本明細書に記載の通りでもよい。ディスプレイのユーザーインターフェース(907)の助けにより、ユーザーは、システム(900)がサンプル処理を開始し、サンプル上でPCRを実行することを要求する。システム(900)は、PCRを行うためのサンプルにプログラム化した温度プロファイル(例えば、ランプ速度)を提供するため、メモリー(902)に保管されるコードを実行する。
【0097】
システム(900)は、ハウジングデータ、又はPCRのための指示を提供するための遠隔システムとの、有線通信又は無線通信の状態にあり得る(以下を参照)。システムへの及びシステムからの通信は、システムをもたらし、イントラネット又はインターネット(例えば、ワールドワイドウェブ)を通じた遠隔システムとの通信状態にある、ネットワークインターフェースによって促進され得る。
【0098】
本明細書に提供されるシステム及び方法の態様は、プログラミングにおいて具体化され得る。技術の様々な態様は、典型的に、機械可読媒体の型において実行又は具体化される、実行可能なコード及び/又は関連データの形態にある、「産物」又は「製品」であると考えられ得る。「保管」型の媒体は、様々な半導体メモリー、テープ駆動機構、ディスク駆動機構などの、コンピューター、プロセッサー等、又はそれらに関連するモジュールの、有形メモリーの何れか又は全てを含み、それは、ソフトウェアのプログラミングのための任意の時間にて、固定保管を提供し得る。ソフトウェアの全て又は一部は、時に、インターネット又は様々な他の通信ネットワークを通じて通信され得る。このような通信は、例えば、1つのコンピューター又はプロセッサーから別のものへの、例えば、管理運営サーバー又はホストコンピューターから、アプリケーションサーバー又は強度変換システムのコンピュータープラットフォームへのソフトウェアの充填を可能にし得る。故に、ソフトウェアエレメントを有し得る媒体の別の型は、有線及び光学的な地上通信ネットワークを通じて、及び様々なエアリンク(air−links)上で、ローカルデバイス間の物理インターフェースにわたり使用されるもの等の、光波、電波、及び電磁波を含む。有線リンク又は無線リンク、光学リンクなど、このような波を運ぶ物理エレメントはまた、ソフトウェアを運ぶ媒体として考慮され得る。本明細書で使用されるように、持続性の有形の「保管」媒体に制限されない限り、コンピューター又は機械により「読取り可能な媒体」などの用語は、実行のためのプロセッサーへの指示の提供に関与する任意の媒体を指す。
【0099】
従って、コンピューターにより実行可能なコードなどの機械可読媒体は、多くの形態を取り得、限定されないが、有形の記憶媒体、搬送波媒体、又は物理的伝送媒体を含む。持久記憶装置媒体は、例えば、図に示されるデーターベース等の実行のため使用され得るような、任意のコンピューター等における記憶装置の何れかなど、光学ディスク又は磁気ディスクを含む。非持久記憶装置媒体は、このようなコンピュータープラットフォームの主要な記憶装置など、ダイナミックメモリーを含む。有形の送信メディアは、同軸ケーブル;コンピューターシステム内にバスを含むワイヤーを含む、銅線及び光ファイバー、を含む。搬送波送信メディアは、高周波(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に生成されるもの等、電気信号又は電磁気信号、或いは音波又は光波の形態をとり得る。コンピューター読取り可能な媒体の共通の形態は、それ故、例えば:フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD−ROM、DVD又はDVD−ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、ホールの様式を伴う任意の他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROM、及びEPROM、FLASH−EPROM、任意の他のメモリーチップ又はカートリッジ、データ又は指示を運ぶ搬送波、このような搬送波を運ぶケーブル又はリンク、或いは、コンピューターがプログラミングコード及び/又はデータを読み取り得る任意の他の媒体を含む。コンピューター読取り可能な媒体のこれら形態の多くは、実行のためプロセッサーへの1つ以上の連続した、1つ以上の指示を運ぶのに関与し得る。
【0100】
本発明の別の態様は、PCRを実行するための方法を提供し、PCRにおいて、反応(例えば、蛍光情報、測定された温度)、PCRを実行するための指示(例えば、ランプ速度、予め決定した温度プロファイル)、及びデータ処理のための指示からの1つ以上のデータは、マイクロプレート上に、離れて、又は取り外し可能な装置に位置付けられる。これは、追加のセットアップを必要とすること無く様々なプラットフォームにわたってPCRが実行され得る、プラグアンドプレイのPCRを可能にし得る。
【0101】
幾つかの場合において、取り外し可能な装置は、
図9のシステム(900)など、PCRを実行するためのシステムと相互作用するように構成され得る。1つの例において、取り外し可能な装置は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ドライブ(例えば、USBスティック)、又はリムーバブルメモリーディスク(例えば、フラッシュドライブ)である。別の例において、取り外し可能なディスクは、コンパクトフラッシュ(登録商標)ディスク、又は、シリアルATAインターフェース(例えば、mini SATA、又はM−SATA)、又はPCメモリーカード国際協会(PCMIA、また、PCカード)のインターフェースと通信するように構成される装置である。
【0102】
幾つかの状況において、制御の指示と分析の指示の両方は、ユーザーが実験を進め、独立的にPCR反応を行うために使用されるサーマルサイクラーからの結果を分析できるように、取り外し可能な装置の上に提供される。PCRを実施するための機械可読の指示は、取り外し可能な装置に位置付けられ得る。幾つかの実施形態において、取り外し可能な装置は、取り外し可能な装置と相互作用するハードウェア(又は、システム(900)などのシステム)の型の識別を可能にする、(例えば、機械可読コード内で具体化されるような)指示及び/又は命令を含む。取り外し可能な装置は、ハードウェア上でPCRを実行するための処理の指示を含み得る。処理の指示は、取り外し可能な装置及び/又はサンプルの型に結合されるシステムの型に基づいて、予め決定され得る。取り外し可能な装置は、差し込まれるハードウェアの型の識別を助けることが出来、ハードウェア上にインストールされる必要無く、直接そのハードウェア上でPCRを実行するため、予め決定した命令/インターフェースを提供することが出来る。
【0103】
幾つかの実施形態は、取り外し可能な装置と、様々なプラットフォーム上で操作するように構成される、取り外し可能な装置に位置付けられるソフトウェアを提供する。試験システムのソフトウェアは、ユーザーがユーザーの実験を進行し、結果を理解することが出来るように、制御プログラムと分析プログラムの両方を収容する。機械自体を操作する一方で、機械は、実験計画及び結果の分析が試験システムから離れて生じることを可能にするように、離れて動作することも望ましい。このソフトウェアは、USBスティックなどの取り外し可能な装置、及び、例えばコンパクトフラッシュ(登録商標)、M−SATA、又はPCMCIA装置等の、他のリムーバブルメモリーディスクに存在し得る。
【0104】
このようなシステム及び装置は、様々な利点を提供する。例えば、取り外し可能な装置へ命令及び/又は指示することは、任意の追加の設置の必要性を排除出来る。PCRは、管理者の特権の必要性の無い、このような場合において実行され、PCRは機械にインストールされる必要無く、機械上で実行され得る。ハードウェア及び/又はソフトウェアの更新又は設置が、特定のサンプル上のPCRのためのシステム(例えば、システム(900))をセットアップすることが必要とされ得ないため、これは、サンプル処理のための均一なプラットフォームを提供する。取り外し可能な媒体は、適合性を可能にするように、データファイルとプログラムの両方を保管できる。
【0105】
本明細書に提供されるPCRシステムは、Windows(登録商標)ベースの(例えば、Windows(登録商標)7)及びLinux(登録商標)ベースの(例えば、Mac OS X)の操作システムなど、様々なソフトウェアプラットフォーム上での設置及び操作のために構成され得る。本明細書に提供されるシステムは、ラップトップコンピューター、スマートホン(例えば、Apple社のiPhone(登録商標))及びタブレット(例えば、Apple社のiPad(登録商標))などの、携帯電子デバイス上で実行され得る。幾つかの場合において、このようなシステムは、加熱システム(例えば、回路を定義するためマイクロプレートと通信状態にある現在のアプリケーション装置)等の、PCRのための周辺機器と通信できる。これは、様々なプラットフォームにわたる認識を準備するためのインターフェースを提供できる。
【0106】
本明細書に提供されるPCRシステムは、プラットフォーム独立型であってもよい。幾つかの状況において、システムが取り外し可能なメモリーデバイスを受け入れることが出来る限り、その後システムは、ソフトウェアを起動し、PCRを実行することが出来る。幾つかの場合において、全ての情報は、ソフトウェアを起動しているプラットフォーム上で何も保持されないように、取り外し可能な装置上に保管され、それは、除去されない場合、データのセキュリティー問題を減らし得る。データとアプリケーションは、取り外し可能な装置から移動され、システムは、計算能力、及び、ユーザーインターフェースや印刷などの関連する補助的機能を提供する。
【0107】
代わりに、PCRの命令及び/又は指示は、遠隔サーバー(例えば、「クラウド」)により保管され、有線又は無線のインターフェースなどのネットワークインターフェースを通じるシステム(例えば、システム(900))によりアクセスされる。ユーザーは、サンプルを有する本明細書に記載されるようなマイクロプレートを提供し、PCRを実行するための必要な指示を読みだすシステムを使用することにより、PCRを起動できる。PCRの経過を通じて集められるデータは、システム上に保管され、その後データ記憶装置を有する遠隔サーバーに対してアップロードされ得る。
【0108】
代わりに、PCRの命令及び/又は指示は、マイクロプレート内で統合されるメモリーデバイスに保管される。マイクロプレートは、
図9のシステム(900)などの、PCRを実行するためのシステムと相互作用するように構成される。システムは、メモリー装置を認識し、その後サンプル処理のためのシステムを準備するためのリーダーを含み得る。幾つかの実施形態において、メモリーデバイスは、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)である。
【0109】
〈ユーザーインターフェース〉
本発明の別の態様は、ユーザーがPCRのシステムをセットアップし、PCRを監視し、及びPCRの結果を見ることが出来るようにするためのユーザーインターフェースを提供する。ユーザーインターフェースは、幾つかの場合において、ユーザーがPCRのシステムをセットアップし、PCRを監視し、及びPCRの結果を見ることが出来るようにするためのメニューエレメントなど、1つ以上のテキスト形式の、図解の、音声の、及びビデオのエレメントを有する、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)である。GUIは、PCR実験の実施を促進し得る。
図11−17は、本明細書に記載されるように、PCRの結果の分析及び視覚化の準備を可能にする、GUIのスクリーンショットを図示する。
図11−17のGUIは、
図9のシステム等の本明細書に提供されるシステム上で実施され、
図9のディスプレイなどのディスプレイの助けにより、ユーザーに提示され得る。
【0110】
図11は、「START A TEST」及び「ANALYSIS」を含む、様々なメニューオプションを有するGUIを示す。ユーザーは、GUIを有するシステムに繋げられるマイクロプレートにおけるサンプルのPCRを開始するため、START A TESTのオプションを選択できる。ユーザーは、PCRデータを分析するためANALYSISを選択できる。メニューオプションは、GUIがタッチスクリーンに表示される場合におけるマウス又はユーザーの指など、ポインティングデバイスの助けにより選択され得る。
【0111】
図12において、ユーザーはSTART A TESTを選択し、システムは、TEMPLATES及びHISTORYを含む、サブメニューオプションをユーザーに提示する。ユーザーは、PCRを実行するための様々な試験テンプレートにアクセスするためにTEMPLATESを選択できる。代わりに、ユーザーは、例えば、特定の時点にどんな試験が実行されたかなどの、PCRの履歴を確認するためにHISTORYを選択できる。このようなデータは、システムのデータ保管場所に保管され得る。ユーザーは、PCRを実行するためのシステムのセットアップを進めるため、STANDARD TESTを選択できる。
【0112】
図13を参照すると、STANDARD TESTの下、システムは、ユーザーがPCRの型を選択する(「SELECT PCR TYPE」)ように要求するよう、様々なPCRオプションをユーザーに提示する。システムは、RICTOR、PKC、Rac、Rho、Akt、及びRHEBを含む、様々なPCRの型のオプションをユーザーに提示する。ユーザーは、PCRの型のオプションを選択できる。次に、
図14を参照すると、システムは、ABI、Fast Advanced Master Mix、及びGene Expression Master Mixなどの、様々な化学タイプ(「CHEMISTRY TYPE」)をユーザーに提示する。次に、
図15を参照すると、システムは、トレーセッティング(「TRAY SETTINGS」)をユーザーに提示し、mTOR又はRPTORなどの対象の遺伝子(「GENES OF INTEREST」)を、ユーザーが選択することを可能にする。次に、
図16を参照すると、システムは、開始の温度と標的温度を含む、熱プロファイルのオプションをユーザーに提示する。ユーザーは、予め決定したオプションから選択でき、又は、温度セッティングを手動で入力できる。システムはその後、
図17に示されるように、確認画面をユーザーに提示する。確認画面は、PCR、サイクルの数(「REPEAT」)、トレーセッティング(「24のウェル」が
図17で選択された)において、他のセッティングの中で、システムがPCRを使用するサイクルごとの温度プロファイルを示す。温度プロファイルは慣例的な温度プロファイルであるが、所望されると、予め決定したセッティングが使用され得る。システムは、ユーザーに、セッティングを変更するための、又はPCRの実行を進める(「RUN TEST」)ためのオプションを提供する。
【0113】
〈実施例1:コーティングした金属プレート〉
公称的には0.4mmの厚さの金属プレートは、大縮尺でバルク処理した材料から作られ、ここで、金属(例えば、5トンの金属インゴット)は処理に加わり、圧延され、及び連続操作においてコーティングされる。材料は、半硬の状態にまで圧延されるアルミニウム合金であり、その後、ポリプロピレンに適合性のある材料により約10ミクロンの称呼厚みにまで片面(頂面)にコーティングされる。この材料は、ポリプロピレンが金属プレートに熱密封される(又は溶接される)のを可能にし、PCRを開始しない。シートの他の側面(底部)は、5ミクロンの称呼厚みまで、エポキシプライマーによりコーティングされた。これは、シートの底部側の赤外線放射率を標準化するために提示される。材料は、160mm幅のストリップに切り込みを入れられ、個々のプレートが作りだされる自動的なスタンピングラインに対してコイルを巻かれた形態で供給された。エポキシコーティングはその後、電気接触が行われるのを可能にするため、プレートの端部にある接点の指から選択的に除去された。
【0114】
〈実施例2:ポリプロピレンのモールディング〉
プレート上に配される液体サンプルを含むため、垂直なチューブ構造のアレイから成るポリプロピレンモールディングは、実施例1の金属プレートに溶接された。ポリプロピレンモールディングは、サンプル領域(又はウェル)を画成するため、複数のチューブで形成された。チューブの大きさとパターンは、ユーザーの選択の問題であり;プレートの真中において活動的に温度が制御される領域内で適合する任意のパターンが、使用され得る。2つの見慣れたオプションが選択された:9mmのピッチ上の6X4のチューブアレイ、及び4.5mmのピッチ上の8X12のアレイ。全体のアセンブリは10.5gの重さであり、容易に再利用可能であった。適切に、一回のみ使用のアイテムに関して、消耗品の製造費は低かった。
【0115】
特定のマイクロプレートが消耗可能な鉱石の再利用品であると記載されてきた一方で、幾つかの場合において、このようなマイクロプレートは消耗可能又は再利用可能である必要は無いことが認識されるであろう。幾つかの実施形態において、このようなマイクロプレートは、再使用可能、消耗不可能、又は再利用不可能でも良い。
【0116】
本明細書に提供されるシステム及び方法は、他のシステム及び方法と組み合わせられるか、又はそれらにより修正され得る。例えば、本明細書に提供されるシステム及び方法は、Gunterによる米国特許第6,635,492号(「Heating specimen carriers」)、Gunterによる米国特許第6,949,725号(「Zone heating of specimen carriers」)、GunterによるPCT公報WO/2001/072424(「Heating specimen carriers」)、GunterによるWO/2005/058501(「Heating samples in specimen carriers」)、及びGunterによるWO/2003/022439(「Zone heating of specimen carriers」)に記載のシステム及び方法と組み合わせられるか、又はそれらにより修正され得、それら特許及び特許公報は、引用により本明細書に全体的に組み込まれる。
【0117】
特定の実施が図示及び記載されてきた一方で、様々な修正がそれに付随して行われ、本明細書にて熟慮されることが、前述から理解されるべきである。また、本発明が、明細書内で提供される特定の例に限定されることは意図されていない。本発明が前述の明細書を参照して記載されてきた一方で、本明細書における好ましい実施形態の記載及び図示は、限定的な意味において解釈されるべきではないことを意味する。更に、本発明の全ての態様は、特定の描写、構成、又は状態及び可変に依存すると本明細書で説明される相対的比率に限定されないことが、理解される。本発明の実施形態の形態及び詳細における様々な修正は、当業者によって明らかとなるであろう。それ故、本発明はまた、任意のこのような修正、変更、及び同等物を含めることが熟慮される。