特許第6233832号(P6233832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6233832リザーバタンクおよび車両用ブレーキ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233832
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】リザーバタンクおよび車両用ブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 11/26 20060101AFI20171113BHJP
   B60T 17/06 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   B60T11/26 A
   B60T11/26 Z
   B60T17/06
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-146719(P2013-146719)
(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公開番号】特開2015-16831(P2015-16831A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】315019735
【氏名又は名称】オートリブ日信ブレーキシステムジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小堀 哲生
(72)【発明者】
【氏名】中村 元泰
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−035228(JP,U)
【文献】 特開2005−132226(JP,A)
【文献】 実開平02−081265(JP,U)
【文献】 特開2010−095243(JP,A)
【文献】 実開昭58−141826(JP,U)
【文献】 実開昭57−110422(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 11/26
B60T 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面の変位に伴って上下動するフロートと、前記フロートが規定位置に下がったのを検出する検出器と、を有する液面検出装置を備えたリザーバタンクであって、
内部に貯液室が形成されるリザーバ本体と、
前記リザーバ本体に設けられたフロートガイドと、
前記フロートガイドの下端に連続し、前記リザーバ本体の下面からさらに下方へ向けて突出形成された有底筒状の突出部と、を備え、
前記貯液室の底面と面一の仮想平面を基準面としたとき、前記検出器は、前記突出部の内側で前記基準面に交差する位置に配置されており、
前記フロートガイドの内径と前記突出部の内径とは同じであり、
前記フロートガイドおよび前記突出部の内側には、前記リザーバ本体の下面よりも下方に延出するフロート室が形成されており、
前記フロート室には前記フロートが配置されており、
前記フロートは、液面の変位に伴って前記検出器に近接したときに前記フロートの一部が前記突出部の内側に進入することを特徴とするリザーバタンク。
【請求項2】
請求項1に記載のリザーバタンクであって、
前記リザーバ本体の下面には、前記突出部を避けるようにブラケットの装着スペースが形成されていることを特徴とするリザーバタンク。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のリザーバタンクであって、
前記リザーバ本体の下部側面にはニップルが配置されていることを特徴とするリザーバタンク。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載のリザーバタンクを備えた車両用ブレーキ装置であって、
前記リザーバタンクから作動液の供給を受けるマスタシリンダ装置を備えることを特徴とする車両用ブレーキ装置。
【請求項5】
請求項に記載の車両用ブレーキ装置であって、
前記リザーバタンクは、連結ホースを介してマスタシリンダ装置にブレーキ液を供給する別体タンクであることを特徴とする車両用ブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリザーバタンクおよび車両用ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マスタシリンダ装置と、リザーバタンクとを備えた車両用ブレーキ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このリザーバタンクは、マスタシリンダ装置とは別体型のタンクとして構成されており、連結ホース等を介してマスタシリンダ装置に作動液を供給するように構成されている。リザーバタンク内には、作動液の液面の変位に伴って浮動するフロートと、このフロートが規定位置に下がったのを検出する検出器と、を有する液面検出装置が備わる。
このような液面検出装置は、タンク内の液量が適正貯溜範囲の最低レベルとなったときにフロートを検出器で検出することによりタンク内における作動液の残留不足を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−319825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のリザーバタンクは、車両のエンジンルーム等のレイアウトに対応して貯液室が扁平状に形成されている。しかしながら、扁平状に形成すると、液面検出装置のフロートと検出器との距離が接近する位置関係となるため、タンク内のブレーキ液の残量が規定量ある場合でも、車両の加減速時や車両自体の傾斜時等にブレーキ液の液面が変動して、液面高さが誤検知されることが懸念される。このような液面高さの誤検知を防止するためには液面検出装置のフロートと検出器との距離をリザーバタンク内に十分に確保する必要があるが、このようにすると、リザーバタンクが高さ方向に大型化するという課題が生じてしまう。
【0005】
本発明は、液面検出装置のフロートと検出器との距離を十分に確保しつつ、高さ方向の小型化を図ることができるリザーバタンクおよび車両用ブレーキ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために創案された本発明のリザーバタンクは、液面の変位に伴って上下動するフロートと、前記フロートが規定位置に下がったのを検出する検出器と、を有する液面検出装置を備えたリザーバタンクであって、内部に貯液室が形成されるリザーバ本体と、前記リザーバ本体に設けられたフロートガイドと、前記フロートガイドの下端に連続し、前記リザーバ本体の下面からさらに下方へ向けて突出形成された有底筒状の突出部と、を備え、前記貯液室の底面と面一の仮想平面を基準面としたとき、前記検出器は、前記突出部の内側で前記基準面に交差する位置に配置されており、前記フロートガイドの内径と前記突出部の内径とは同じであり、前記フロートガイドおよび前記突出部の内側には、前記リザーバ本体の下面よりも下方に延出するフロート室が形成されており、前記フロート室には前記フロートが配置されており、前記フロートは、液面の変位に伴って前記検出器に近接したときに前記フロートの一部が前記突出部の内側に進入することを特徴とする。
【0007】
かかるリザーバタンクによると、液面検出装置の検出器は、貯液室内への突出が抑えられる状態に配置されるので、フロートと検出器との距離を確保しつつ、リザーバタンクの高さ方向の小型化を図ることができる。
【0008】
また、前記フロートは、液面の変位に伴って前記検出器に近接したときに前記フロートの一部が前記突出部の内側に進入する。これにより、突出部の内部空間を利用して、リザーバ本体の下面よりもさらに下方にフロートをストロークさせることができ、フロートのストローク量を増大させることができる。したがって、検出器とフロートとの距離を十分に確保しながら、高さ方向の小型化を図ることができる。
【0009】
また、前記リザーバ本体の下面に、前記突出部を避けるようにブラケットの装着スペースを形成するとよい。このようにすると、突出部に干渉することなく、リザーバ本体の下面を利用してリザーバタンクを安定して保持することができる。
【0010】
また、前記リザーバ本体の下部側面にニップルを配置するとよい。このようにすると、ニップルを通じて作動液をマスタシリンダ装置等に好適に供給することができる。
【0011】
また、本発明の車両用ブレーキ装置は、前記リザーバタンクを備えた車両用ブレーキ装置であって、前記リザーバタンクから作動液の供給を受けるマスタシリンダ装置を備えることを特徴とする。かかる車両用ブレーキ装置によれば、リザーバタンクの高さ方向の小型化を図ることができるので、マスタシリンダ装置を含む装置全体として小型化を図ることができる車両用ブレーキ装置が得られる。
【0012】
また、前記リザーバタンクは、連結ホースを介してマスタシリンダ装置にブレーキ液を供給する別体タンクとして構成するのがよい。このようにすると、エンジンルーム内等におけるレイアウト性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、液面検出装置のフロートと検出器との距離を十分に確保しつつ、高さ方向の小型化を図ることのできるリザーバタンクおよび車両用ブレーキ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るリザーバタンクを備えた車両用ブレーキ装置のエンジンルーム内における配置を示す一部断面側面図である。
図2】(a)はリザーバタンクの平面図、(b)は図2(a)におけるA−A線断面図である。
図3】(a)はリザーバ本体の平面図、(b)は図3(a)におけるB−B線拡大断面図、(c)は同じく図3(a)における下部半体のB−B線拡大断面図である。
図4】(a)はリザーバ本体の側面図、(b)は図4(a)におけるC−C矢視図(下部半体の平面図)である。
図5】(a)は上部半体の底面図、(b)はリザーバ本体の底面図である。
図6】(a)はリザーバ本体の前面図、(b)はリザーバ本体の後面図である。
図7】ブラケットの一例を示す斜視図である。
図8】本実施形態のリザーバタンクにおける下部半体の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。以下では、マスタシリンダ装置に接続されるリザーバタンクを備えた車両用ブレーキ装置について例示するが、リザーバタンクが接続される装置を限定するものではない。また、以下の説明において、「前後」「左右」「上下」を言うときは、リザーバタンクを自動車の車体に取り付けた状態(図1に示す状態、「左右」は図2(a)参照)を基準とする。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の車両用ブレーキ装置は、リザーバタンク1と、マスタシリンダ装置15と、連結ホース16とを備えて構成される。リザーバタンク1は、エンジンルームEG内において、ブラケット70に保持され、例えば、エンジンフード10の下方においてエンジンルームEGの側壁EG1に支持されている。エンジンルームEGの後方部には、フロントウインド11の下端部を支持するとともにエンジンルームEGと車室R内とを区画するダッシュパネル12が配設されている。マスタシリンダ装置15は、このダッシュパネル12に取り付けられている。
マスタシリンダ装置15は、2つのブレーキ系統にブレーキ液を供給可能なタンデム型であり、軸線O1を車体の前後方向に向けて配設されている。マスタシリンダ装置15の上面には、連結ホース16の先端が接続されるサブリザーバタンク15aが設けられている。
連結ホース16は、リザーバタンク1とマスタシリンダ装置15のサブリザーバタンク15aと接続している。リザーバタンク1に貯溜された作動液(ブレーキ液)は、連結ホース16を介してマスタシリンダ装置15に供給される。
【0017】
リザーバタンク1は、高さが低く抑えられた幅広扁平状を呈しており、エンジンルームEGの後部のスペースを利用して配置される。リザーバタンク1は、ブレーキ液の供給口20を備えたリザーバ本体2と、供給口20を塞ぐキャップ5とを備えている。リザーバ本体2およびキャップ5は、いずれも硬質の樹脂製である。
なお、リザーバタンク1の下方には、図示しないエンジンやトランスミッション等、あるいはこれらの周辺機器、またはエンジンに変わる電動モータ等が配設されている。
【0018】
リザーバ本体2は、図2(b)に示すように、1つの平面で分割された下部半体3と上部半体4とからなる。リザーバ本体2の内部は、貯液室1aになっている。下部半体3と上部半体4とは、その対向端に形成されたフランジ3a,4aを互いに熱融着することで液密に接合される。
【0019】
下部半体3の略中央部には、略円筒状のフロートガイド6が立設されている。また、下部半体3の下面30aには、下方へ突出形成された有底円筒状の突出部31が設けられている。突出部31は、フロートガイド6の下端に連続するように形成されている。フロートガイド6の内径と突出部31の内径とは、同じであり、フロートガイド6と突出部31とが一体となって、その内側にフロート室7を形成している。
フロート室7には、液面検出装置OLが配設されている。液面検出装置OLは、リザーバ本体2内のブレーキ液量が適正貯溜範囲の最低レベルとなったこと(リザーバ本体2内のブレーキ液量異常)を検出するものであり、フロート26と、検出器27と、を備えている。
【0020】
フロート26は、発泡樹脂材等の軽量材からなり、リザーバ本体2内のブレーキ液の液面の変位に伴ってフロート室7内を浮動する(上下動する)。フロート26が下がると、フロート26の下端部26bが突出部31の内側に進入し、検出器27をまたぐようにして底部31aに当接する。フロート26は、断面略コ字状を呈しており、中央部の内部に永久磁石26aが取り付けられている。
【0021】
検出器27は、フロート26が規定位置に下がったのを検出するものである。検出器27は、図2(b)に示すように、突出部31の底部31aに設けられた断面上凸湾曲状の挿通孔31b内に配置されている。リザーバ本体2の底面(下部半体3の底面33)と面一の仮想平面を基準面Fとしたとき、検出器27は、基準面Fに交差する位置に配置されている(図3(b)(c)参照)。
【0022】
検出器27は、図3(b)に示すように、リードスイッチ27aと、リードスイッチ27aに導通する端子27bと、挿通孔31bの開口部に装着されるキャップ部材27cと、シール部材27dと、を備えて構成される。リードスイッチ27aは、突出部31の底部31a(図2(b)参照)の中央部に配設されており、挿通孔31bの孔壁を挟んでフロート26の永久磁石26aに対向している。リードスイッチ27aは、通常時に開成状態にあり、フロート26が下がって永久磁石26aが接近すると、永久磁石26aの磁力で接点がつながり閉成状態となる。すなわち、リードスイッチ27aは、フロート26が下がってリザーバ本体2内の液量が適正貯溜範囲の最低レベルとなったときに作動し、その作動によってリザーバタンク1内の液量異常を検出するように構成されている。なお、端子27bには、図示しないコネクタが接続される。
【0023】
なお、図3(c)に示すように、フロートガイド6は、複数の縦スリット6aを備え、上部半体4との間に若干の空間を残す高さを有して形成されている。これにより、貯液室1aとフロート室7とは、縦スリット6aと上部半体4と間に形成される空間とを通じてブレーキ液が相互に流通できるように構成されている。
また、フロートガイド6の前後には、図4(b)に示すように、フロートガイド6と間隔を空けて第1補強リブ21と第2補強リブ22とが設けられている。
【0024】
下部半体3の後端下部には、図4(a)(b),図6(b)に示すように、直線管状の一対のニップル34が設けられている。各ニップル34は、連結ホース16(図1参照)を接続することが可能なホースジョイント部34aを備えている。また、各ニップル34は、リザーバ本体2の後方へ向けて下り勾配となるように傾斜している(図2(b)参照)。
【0025】
また、下部半体3の下面30aは、図5(b)に示すように、突出部31、挿通孔31b、および位置決め部材32を除いて平らな面とされている。これにより、下部半体3の下面30aには、ブラケット70が装着される装着スペース35a,35bが形成されている。この装着スペース35a,35bは、ブラケット70(図1図7参照)に載置可能である。
また、下部半体3の右壁2dには、図4(b)に示すように、固定片28が設けられている。固定片28は、ブラケット70にリザーバタンク1を固定する際に使用される部位であり、図示しない固定用のねじが挿通される取付孔28aが形成されている(図6(a)(b)参照)。
【0026】
上部半体4の上面には、図2(b)に示すように、円筒状に形成されたブレーキ液の供給口20が立設されている。供給口20は上部半体4と一体成形されている。
供給口20の内周面には、内側に向けて突出する鍔部20eが形成されている。鍔部20eは、供給口20の全周にわたって形成されている。鍔部20eには、網目状のフィルタ20gが載置される。
【0027】
リザーバ本体2内において鍔部20eの下面には、第1補強リブ21が接続されている。第1補強リブ21は、図3(a)に示すように、リザーバ本体2と供給口20との接続部20bを補強するように、供給口20の投影視上に配置されている。第1補強リブ21は、図4(b)に示すように、周方向リブ21aと径方向リブ21bと、から構成されており、平面視で略Y字状を呈し、リザーバ本体2の側壁間(左壁2cと右壁2dとの間)の中央部に配置されている。周方向リブ21aは、図3(a)に示すように、供給口20の周方向に沿うように形成され、径方向リブ21bとの接続部を中心として略左右側方に延出している(図4(b)参照)。
【0028】
周方向リブ21aのうち、図4(b)に示すように、右側方に延出する一方のリブ21a1は、他方のリブ21a2に比べて長く形成されている。図3(a)に示すように、リブ21a1は、鍔部20eの前部側を斜めに横切るように配置されており、鍔部20eに接続されている。リブ21a1の先端部は、鍔部20eの開口縁(内周縁)20fの近傍位置にまで達している。
【0029】
径方向リブ21bは、図4(b)に示すように、リザーバ本体2の前後方向に延出するリブである。本実施形態では、径方向リブ21bが下部半体3の左右方向の中心位置に配置されている。径方向リブ21bの前端部は、リザーバ本体2の前壁2aに達しており、前壁2aに接続されている(図3(a)、図4(b)参照)。
【0030】
第1補強リブ21は、図2(b)に示すように、下部半体3に形成される下半部211と、上部半体4に形成される上半部212とからなる。下半部211と上半部212は、下部半体3と上部半体4とを接合する際に端面同士(対向する上端、下端同士)が付き合わされて融着されるようになっている。つまり、第1補強リブ21は、リザーバ本体2の前部側において、上部半体4と供給口20との接続部20bおよび接続部20bの周囲部分に接続されるとともに、下部半体3の底面33に接続されている。
【0031】
リザーバ本体2の後部側には、第2補強リブ22がさらに配設されている。第2補強リブ22は、供給口20を挟んで第1補強リブ21の反対側に配設されている。第2補強リブ22は、図4(b)に示すように、一対のニップル34を通る中心線O2,O3間の中央部に配置されている。
第2補強リブ22は、図4(b)に示すように、周方向リブ22aと径方向リブ22bと、から構成されており、平面視で略Y字状を呈している。周方向リブ22aは、図3(a)に示すように、供給口20から間隔を空けた位置において、供給口20の周方向に形成されている。周方向リブ22aは、径方向リブ22bとの接続部を中心として略左右側方に延出している。周方向リブ22aは、左側方および右側方に同じ長さに形成されている。なお、周方向リブ22aは、左右で異なる長さとしてもよい。
【0032】
径方向リブ22bは、図4(b)に示すように、下部半体3(リザーバ本体2)の前後方向に延出するリブである。本実施形態の径方向リブ22bは、図2(a)に示すように左右方向の中心位置(第1補強リブ21の径方向リブ21bの形成位置)から右側方に偏倚した位置に設けられている。第2補強リブ22の径方向リブ22bは、平面視でニップル34を通る中心線O2,O3(図4(b)参照)から等距離となる位置に配置されている。径方向リブ22bの後端部は、リザーバ本体2の後壁2bに達しており、後壁2bに接続されている(図4(b)参照)。
【0033】
第2補強リブ22は、前記した第1補強リブ21と同様に、図2(b)に示すように、下部半体3に形成される下半部221と、上部半体4に形成される上半部222とからなる。下半部221と上半部222は、下部半体3と上部半体4とを接合する際に端面同士(対向する上端、下端同士)が付き合わされて融着されるようになっている。つまり、第2補強リブ22は、リザーバ本体2の後部側において、上部半体4と供給口20との接続部20bの周囲部分に接続されるとともに、下部半体3の底面33に接続されている。
【0034】
また、図4(b)に示すように、リザーバ本体2の左壁2cには、リザーバ本体2の中央部に向けて延出する第3左補強リブ23および第4左補強リブ24が設けられている。第3左補強リブ23および第4左補強リブ24は、前後方向に間隔を空けて配置されており、図3(a)に示すように、それぞれの先端部はいずれも接続部20bの近傍に達している。
【0035】
第3左補強リブ23および第4左補強リブ24も、前記した第1補強リブ21等と同様に、下部半体3に形成される図示しない下半部と、上部半体4に形成される図示しない上半部とからなる。下半部と上半部は、下部半体3と上部半体4とを接合する際に端面同士(対向する上端、下端同士)が付き合わされて融着されるようになっている。つまり、第3左補強リブ23および第4左補強リブ24は、リザーバ本体2の左側部側において、上部半体4と供給口20との接続部20bの周囲部分に接続されるとともに、下部半体3の底面33に接続されている。
【0036】
さらに、図4(b)に示すように、リザーバ本体2の右壁2dにも、リザーバ本体2の中央部に向けて延出する第5右補強リブ25が設けられている。第5右補強リブ25の先端部は、図3(a)に示すように、接続部20bを超えて鍔部20eの下面に達している。
【0037】
第5右補強リブ25も前記した第1補強リブ21等と同様に、下部半体3に形成される図示しない下半部と、上部半体4に形成される図示しない上半部とからなる。下半部と上半部は、下部半体3と上部半体4とを接合する際に端面同士(対向する上端、下端同士)が付き合わされて融着されるようになっている。つまり、第5右補強リブ25は、リザーバ本体2の右側部側において、上部半体4と供給口20との接続部20bおよび接続部20bの周囲部分に接続されるとともに、下部半体3の底面33に接続されている。
【0038】
上部半体4の下面には、図5(a)に示すように、前後方向に間隔を空けて3つのストッパ41,42,43が垂設されている。3つのストッパ41,42,43は、図2(b)に示すように、フロート26の直上位置に向かって延出しており、フロートガイド6の上部からのフロート26の抜けを規制している。
【0039】
供給口20を塞ぐキャップ5は、供給口20の上部周面に形成されたフック部20c(図4(a)参照)に回転係止され、図示しないシール部材を介して開口を液密に閉塞する。
【0040】
ブラケット70の一例を図7に示す。ブラケット70は、鋼板材等からなり、基部71と、一対の支持腕72,73とを有している。基部71には、固定部71aが立設されており、固定部71aには、固定用の図示しないねじが挿通されるねじ孔71bが形成されている。基部71は、このねじ孔71bを通じて挿通されたねじをエンジンルームEGの側壁EG1に形成された図示しないねじ孔に螺合することによって側壁EG1に取り付けられる。基部71の上面には、リザーバ本体2の固定片28(図4(b)参照)が載置可能であり、基部71には、固定片28の取付孔28aに対応するねじ孔71cが形成されている。リザーバタンク1は、図示しない固定用のねじをこれらのねじ孔71c、取付孔28aに挿通して、図示しないナットで締め付けることにより、ブラケット70に固定される。
【0041】
一対の支持腕72,73は、板状を呈しており、リザーバ本体2の下面30aの装着スペース35a,35b(図5(b)参照)に対応して前後方向に間隔を空けて設けられている。一対の支持腕72,73の間に形成される間隙Sは、リザーバ本体2の下面30aの突出部31を逃がすスペースとして機能する。つまり、一対の支持腕72,73は、リザーバ本体2の突出部31を避けるようにして(迂回するようにして)、リザーバ本体2の装着スペース35a,35bに対して当接可能である。
【0042】
一対の支持腕72,73の先端部72a,73aは、上方へ折曲されている。先端部72a,73aは、リザーバ本体2の左側方への移動を規制する。
また、前側の支持腕72には、係止溝72bが形成されている。この係止溝72bには、リザーバ本体2の下面30aに突出形成された位置決め部材32が係止可能である。この係止により、リザーバタンク1がブラケット70に対して位置決めされる。
なお、ブラケット70の形状は、前記した形状に限定されるものではなく、リザーバタンク1を支持することのできる形状であればよい。
【0043】
以上のようなリザーバタンク1を用いてブレーキ液を充填する際には、供給口20からキャップ5を外し、供給口20のフック部20cを利用して、図示しない供給ホースを供給口20に取り付けて行う。ブレーキ液は、供給ホースを通じて供給口20からリザーバ本体2内に高圧で供給され、ニップル34から連結ホース16を通じてマスタシリンダ装置15に供給される(図1参照)。
【0044】
次に、リザーバタンク1内においてブレーキ液の液面が変動した際の作用について説明する。
本実施形態では、前記のようにリザーバ本体2の下面30aに突出部31が形成されており、下面30aよりも下方にフロート室7が延出している。したがって、フロート26と検出器27との距離(間隔)が突出部31を有さないものに比べて十分に確保される状態となり、これらが離間した状態に維持される。これにより、車両の加減速時や車両自体の傾斜時等にブレーキ液の液面が変動して、液面がフロート26に対して傾斜した状態となっても、フロート室7の液面レベルは高い状態に保たれることとなる。したがって、液面高さの誤検知が生じ難くなる。
【0045】
ここで、比較例として、仮に、リザーバ本体2の下面30aが平らに形成され、下面30aよりも上方でフロート室7が完結しているとすると、車両の加減速時や車両自体の傾斜時等にブレーキ液の液面が変動して、液面がフロート26に対して傾斜したときに、フロート26と検出器27とが近付いた状態となり、液面高さの誤検知を生じるおそれがある。
【0046】
これに対して、本実施形態のリザーバタンク1では、前記のようにフロート26と検出器27との距離が十分に確保されるので、液面高さの誤検知を生じ難く、誤検知に対するタフネスが向上する。
また、突出部31を設けて下面30aよりも下方にフロート室7を延出した分、リザーバ本体2の高さ(供給口20を含む高さ)を比較例の高さよりも低く設定することができる。これにより小型化が可能となる。したがって、エンジンルームEG(図1参照)内の限られた車両搭載スペースの中で必要なブレーキ液の液量を確保しながら好適にリザーバタンク1を配置することができる。これにより、レイアウトの自由度が高まる。
また、リザーバ本体2の高さを低く設定できるので、供給口20の位置も低くすることができ、エンジンフード10とのクリアランスが拡大する。これにより、人が衝突した際において人へのダメージを低減することができる。また、リザーバ本体2の成形金型の小型化も可能となり、低コスト化が実現する。
【0047】
以上説明した本実施形態のリザーバタンク1によれば、液面検出装置OLの検出器27は、貯液室1a内への突出が抑えられる状態に配置されるので、フロート26と検出器27との距離を確保しつつ、リザーバタンク1の高さ方向の小型化を図ることができる。
【0048】
また、突出部31の内部空間を利用して、リザーバ本体2の下面30aよりもさらに下方にフロート26をストロークさせることができ、フロート26のストローク量を増大させることができる。したがって、検出器27とフロート26との距離を十分に確保しながら、リザーバタンク1の高さ方向の小型化を図ることができる。
【0049】
また、リザーバタンク1は、ブラケット70に固定され、連結ホース16を介してマスタシリンダ装置15にブレーキ液を供給する別体タンクとして構成されるので、エンジンルームEG内等におけるレイアウト性を向上させることができる車両用ブレーキ装置が得られる。
また、リザーバタンク1の高さ方向の小型化を図ることができるので、マスタシリンダ装置15を含む装置全体として、小型化を図ることができる車両用ブレーキ装置が得られる。
【0050】
また、リザーバ本体2の下面30aに、突出部31を避けるようにブラケット70の一対の支持腕72,73の装着スペース35a,35bが形成されているので、突出部31に干渉することなく、リザーバ本体2の下面30aを利用してリザーバタンク1を安定して保持することができる。
【0051】
また、前記リザーバ本体2の下部側面に、連結ホース16が接続されるニップル34が配置されているので、ニップル34を通じてブレーキ液をマスタシリンダ装置15に好適に供給することができる。
【0052】
さらに、第1補強リブ21の周方向リブ21aと径方向リブ21bとによりリザーバ本体2と供給口20との接続部20bが補強される。したがって、本実施形態のように、リザーバ本体2を扁平形状として小型化を図る形状とした場合においても、ブレーキ液の充填時にリザーバタンク1内が高圧に晒されることによる接続部20bでの変形が抑制され、ひいては、接続部20bが白化するのを好適に抑制することができる。
【0053】
また、供給口20を挟んで両側に第1補強リブ21と第2補強リブ22とが備わるので、これらの補強リブで供給口20の接続部20bを効果的に補強することができる。これにより、供給口20の接続部20bが白化するのをより好適に抑制することができる。
【0054】
また、第1補強リブ21は、リザーバ本体2の側壁間(左壁2cと右壁2dとの間)の中央部に配置されているので、側壁間の中央部にてバランスよくリザーバ本体2が補強されるとともに、供給口20の接続部20bを好適に補強することができる。
【0055】
また、第2補強リブ22は、一対のニップル34を通る中心線O2,O3間の中央部に配置されているので、中心線O2,O3間の中央部にてバランスよくリザーバ本体2および一対のニップル34が補強されるとともに、供給口20の接続部20bを好適に補強することができる。
【0056】
また、第1補強リブ21の径方向リブ21bおよび第2補強リブ22の径方向リブ22bは、リザーバ本体2の前壁2a、後壁2bにそれぞれ接続されているので、第1補強リブ21の周方向リブ21aおよび第2補強リブ22の周方向リブ22aが補強される。これによりリザーバ本体2と供給口20との接続部20bが補強される。したがって、作動液の充填時にリザーバタンク1内が高圧に晒されても、接続部20bでの変形がより好適に抑制され、ひいては、接続部20bが白化するのを好適に抑制することができる。
【0057】
図8にリザーバ本体2の変形例を示す。この変形例では、第1補強リブ21の周方向リブ21aを三股のリブとして形成し、第2補強リブ22の周方向リブ22aを平面視で円弧状に形成してある。
このように第1補強リブ21の周方向リブ21aを三股のリブとして形成することにより、リザーバ本体2の前部における供給口20の接続部20bをより好適に補強することができる。
また、第2補強リブ22の周方向リブ22aを平面視で円弧状に形成することにより、供給口20の接続部20bに対応した形態となるので、リザーバ本体2の後部における供給口20の接続部20bの周囲部分をより好適に補強することができる。
【0058】
前記実施形態では、リザーバ本体2に第1補強リブ21および第2補強リブ22を設けたが、リザーバ本体2に第1補強リブ21のみを設けてもよい。
また、供給口20の軸方向から見て第2補強リブ22(周方向リブ22a)を供給口20の接続部20bに重なるように(供給口20の投影視上に配置されるように)設けてもよい。
【0059】
また、リザーバタンク1は、マスタシリンダ装置15に直接的に取り付けて、マスタシリンダ装置15に一体のタンクとして構成してもよい。
【0060】
また、前記実施形態では、リザーバ本体2の側壁間(左壁2cと右壁2dとの間)の中央部に第1補強リブ21が配置されるものを示したが、これに限られることはなく、リザーバ本体2の側壁間(左壁2cと右壁2dとの間)の中央部、かつ一対のニップル34を通る中心線O2,O3間の中央部に、第1補強リブ21が配置されるようにリザーバ本体2を構成してもよい。
さらに、第1補強リブ21および第2補強リブ22のそれぞれが、リザーバ本体2の側壁間(左壁2cと右壁2dとの間)の中央部、かつ一対のニップル34を通る中心線O2,O3間の中央部に配置されるようにリザーバ本体2を構成してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 リザーバタンク
1a 貯液室
2 リザーバ本体
3 下部半体
4 上部半体
6 フロートガイド
7 フロート室
15 マスタシリンダ装置
16 連結ホース
20 供給口
20b 接続部
21 第1補強リブ
21a 周方向リブ
21b 径方向リブ
22 第2補強リブ
22a 周方向リブ
22b 径方向リブ
26 フロート
27 検出器
30a 下面(リザーバ本体の下面)
33 底面(貯液室の底面)
35a,35b 装着スペース
34 ニップル
70 ブラケット
72,73 支持腕
OL 液面検出装置
EG エンジンルーム
F 基準面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8