特許第6233854号(P6233854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233854
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】ドライパウダー吸入器
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20171113BHJP
   A61M 13/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A61M15/00 Z
   A61M13/00
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-514563(P2015-514563)
(86)(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公表番号】特表2015-517861(P2015-517861A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(86)【国際出願番号】FR2013051213
(87)【国際公開番号】WO2013178949
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2016年5月12日
(31)【優先権主張番号】1255009
(32)【優先日】2012年5月31日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】コロン アルノー
(72)【発明者】
【氏名】バイエ マチュー
(72)【発明者】
【氏名】キルニアク マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ラウ アントワーヌ
【審査官】 鈴木 崇文
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−544387(JP,A)
【文献】 特表2004−537377(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0258118(US,A1)
【文献】 特表2008−528155(JP,A)
【文献】 特表2011−505219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
A61M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライパウダー吸入器であって、
主本体(10)と、
可撓性の帯状部材に並んで配置され、一回分の粉体をそれぞれ収容する複数の独立した貯蔵器(20)と、
前記吸入器の駆動のたびに各貯蔵器(20)を開封する開封手段(80)と、
吸入器の駆動前および/または駆動後に、開封手段(80)と対向する位置に個別の貯蔵器(20)を移動させる第1移動手段(40)と、
吸入器の駆動のたびに個別の貯蔵器(20)を、開封手段(80)に向けて移動させる第2移動手段(50)と、を備え
前記第1移動手段(40)は、前記個別の貯蔵器を受け入れる複数の凹部(41)を有する割出しホイール(40)からなり、
前記凹部(41)が、割出しホイール(40)の底壁面(42)と内側壁面(43)と、割出しホイール(40)に組み付けられる分離調整部材(400)に形成されている外側壁面(420)によって、形成されており、
前記分離調整部材(400)は、複数のスペーサー(420)によって繋がれた中央スリーブ(410)と環状外壁部(430)とからなり、
前記スペーサー(420)は、割出しホイール(40)の凹部(41)の外側壁面となる
ことを特徴とするドライパウダー吸入器。
【請求項2】
分離調整部材(400)を割出しホイール(40)に組み付けた後、凹部(41)のサイズが、貯蔵器(20)の窪み(21)の外側サイズと実質的に等しいか、もしくはわずかに大きい
ことを特徴とする請求項1に記載のドライパウダー吸入器。
【請求項3】
吸入部(200)と協働する可撓性空気室(61)と、当該可撓性空気室(61)と協働するトリガー部材(600)を有する吸入トリガー機構(60)を備え、
前記吸入部(200)を介して吸入するときに前記可撓性空気室(61)が変形して、トリガー部材(600)が前記開封手段(80)を駆動し、それによって吸入時に開封手段(80)が貯蔵器を開封するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のドライパウダー吸入器。
【請求項4】
前記第2移動手段(50)は、非吐出位置と吐出位置との間で回動可能に取り付けられており、
前記第2移動手段(50)は、ばねまたは板ばねからなる弾性手段(70)によって、前記吐出位置に付勢され、ユーザーによる吸入によって解除されるブロック手段によって、前記非吐出位置に維持される
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載のドライパウダー吸入器。
【請求項5】
前記割出しホイール(40)は、前記第2移動手段(50)が有する揺動部材のピン(55)によって回転可能に支持されている
ことを特徴とする請求項4に記載のドライパウダー吸入器。
【請求項6】
前記開封手段(80)は、主本体(10)に対して静止し、前記貯蔵器の封止壁を切断する穿孔要素を有し、
当該穿孔要素は、切断した前記封止壁の一または複数の部分が、形成された一または複数の開口を塞がないよう構成されている
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のドライパウダー吸入器。
【請求項7】
開位置と閉位置との間で回動可能なように前記主本体(10)に軸支されている、少なくとも1つのカバー部材(11、12)を有する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のドライパウダー吸入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライパウダー吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入器は、従来から公知であり、様々な種類のものが存在する。
第1の種類の吸入器は、多数回分の紛体を収容する貯蔵器を備えている。当該吸入器は、駆動のたびに一回分の粉体を貯蔵器から取り出すことを可能にする計量手段を備え、ユーザーに投薬する際に一回分の紛体を吐出管に移動させる。
また、カプセルのように使用する直前に装填する独立した貯蔵器を備える吸入器も、先行技術に記載されている。このような装置の利点は、器具に全量を格納しておく必要がないため、器具がコンパクトになることである。しかしユーザーは、使用のたびに吸入器にカプセルを装填する必要があり、このような吸入器の使用は困難を伴う。
【0003】
別の種類の吸入器としては、複数回分の紛体が独立した複数の貯蔵器にあらかじめ収容されており、吸入器の駆動のたびに、それら貯蔵器のうちの一つを開封するものがある。この例では、一回分の紛体を投与する直前にのみ貯蔵器を開封するため、紛体をより効果的に気密状態にすることができる。このような独立した貯蔵器を構成するために、様々な技術が提案されている。例えば、細長いブリスターストリップや、回転する円板上に配置したブリスターなどである。
【0004】
上述した吸入器を含めて、既存のあらゆる吸入器は、その構造および機能に関して、長所および短所の両方を有する。そして、ある種の吸入器では、駆動のたびに行われる計量の正確性および再現性に関して問題がある。
また、投与の効率、すなわち、一回分の紛体のうち、どれだけの量がユーザーの肺に効率的に浸透して有益な治療効果を発揮するかについても、いくつかの吸入器にとっては課題である。この特定の課題に対する一つの解決策は、患者による吸入と一回分の紛体の放出とを同期させることである。
【0005】
しかし、この種の装置にも欠点がある。一回分の紛体は、一般的には、まず吸入前に吐出管に送られ、その後、吐出と吸入とを同期させる。すなわち、仮にユーザーが(複数回分を収容した貯蔵器、または、独立した一つの貯蔵器より)一回分の紛体を装填してから吸入を行うまでの間に、吸入器を落としたり、振ったり、あるいは好ましくない方法や不適切は方法で吸入器を操作すると、紛体の一部または全部がこぼれる恐れがあり、場合により、そうした紛体が器具内で拡散することがある。このような場合には、次回、装置を使う際に、過剰投与となる可能性が高い。
【0006】
紛体が一回分に満たないことに気付いたユーザーは、器具に新たに一回分の紛体を装填する。そして、新たな紛体の吸入時に、前回、器具内にこぼれた紛体が新たな紛体とともに排出されることなり、これが過剰投与の原因となる。
想定されている治療法によっては、このような過剰投与は極めて有害であり、あらゆる国の当局が、過剰投与の危険性を最小限に抑えるため、より厳格な規制を設けている。
【0007】
所定の部材、特に可動部材の組み立てに関して、動作時における大きな応力に耐えなければならないという、別の問題が生じるかもしれない。そのため、組み立ては、誤動作のリスクを避けるように、特別な信頼性が要求される。
ある特定の小さな部品に関しては、このような信頼できる組立を保証することは困難かもしれない。
【0008】
さらに別の問題が、ブリスターのような個別の貯蔵器を開封する開封手段を用いる装置について起こり得る。開封状態におけるばらつきを避けるため、ブリスターの実質的に同じ位置、できれば中央の位置を、いつも開封することが望まれる。
開封実行の一貫性を保証するため、開封手段に対するブリスターの位置を予め正確に位置決めすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2008/012458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的の一つは、ドライパウダー吸入器を提供することであり、特に、上述の欠点のないドライパウダー吸入器を提供することである。
特に、本発明の目的は、シンプルで、安価に製造・組み立てが可能で、組立時及び使用時の信頼性が高く、駆動のたびの計量の正確性と再現性を保証し、治療対象の領域、特に肺に、一回分の紛体の大部分を吐出することによって、治療の効果の観点で最適な投与量を実現し、一方で、安全かつ効果的な方法で過剰投与のリスクを避け、また、可能な限りコンパクトで、排出されるまで、すべての回数分の紛体について密閉性および純粋性を保証することが可能な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、ドライパウダー吸入器であって、主本体と、可撓性の帯状部材に並んで配置され、一回分の粉体をそれぞれ収容する複数の独立した貯蔵器と、前記吸入器の駆動のたびに各貯蔵器を開封する開封手段と、吸入器の駆動前および/または駆動後に、開封手段と対向する位置に個別の貯蔵器を移動させる第1移動手段と、吸入器の駆動のたびに個別の貯蔵器を、開封手段に向けて移動させる第2移動手段と、を備え、前記第1移動手段は、前記個別の貯蔵器を受け入れる複数の凹部を有する割出しホイールからなり、前記凹部が、割出しホイールの底壁面と内側壁面と、割出しホイールに組み付けられる分離調整部材に形成されている外側壁面によって、形成されており、前記分離調整部材は、複数のスペーサーによって繋がれた中央スリーブと環状外壁部とからなり、前記スペーサーは、割出しホイールの凹部の外側壁面となることを特徴とする。
【0012】
離調整部材を割出しホイールに組み付けた後、凹部のサイズが、貯蔵器の窪みの外側サイズと実質的に等しいか、もしくはわずかに大きいことが望ましい。
【0013】
入部と協働する可撓性空気室と、当該可撓性空気室と協働するトリガー部材を有する吸入トリガー機構を備え、前記吸入部を介して吸入するときに前記可撓性空気室が変形して、トリガー部材が前記開封手段を駆動し、それによって吸入時に開封手段が貯蔵器を開封するよう構成されていることが望ましい。
前記第2移動手段は、非吐出位置と吐出位置との間で回動可能に取り付けられており、前記第2移動手段は、ばねまたは板ばねからなる弾性手段によって、前記吐出位置に付勢され、ユーザーによる吸入によって解除されるブロック手段によって、前記非吐出位置に維持されることとしてもよい。
【0014】
前記割出しホイールは、前記第2移動手段が有する揺動部材のピンによって回転可能に支持されていることとしてもよい。
前記開封手段は、主本体に対して静止し、前記貯蔵器の封止壁を切断する穿孔要素を有し、当該穿孔要素は、切断した前記封止壁の一または複数の部分が、形成された一または複数の開口を塞がないよう構成されていることとしてもよい。
【0015】
開位置と閉位置との間で回動可能なように前記主本体に軸支されている、少なくとも1つのカバー部材を有することとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の上述した特徴および利点は、非限定的な例として示す以下の詳細な説明、および、添付図面を参照することにより、より明確となる。
図1】本発明の好適な実施例におけるディスペンサ装置の開放前の断面図である。
図2】本発明の好適な実施例におけるディスペンサ装置の開放後かつ吸入前の断面図である。
図3】本発明の好適な実施例におけるディスペンサ装置の開放後かつ吸入後の断面図である。
図4図1から図3の吸入器の詳細部分断面図である。
図5】分離調整部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から図3は、ドライパウダー吸入器の好ましい一実施例を示している。
当該吸入器は、主本体10を含み、主本体10上には、装置を開状態にし、駆動の準備ができるように構成された二つのカバー部材11および12が、摺動可能に取り付けられる。
主本体10は、図に示すように、丸みを帯びた形状をしていてもよいが、その他、適切であれば、どのような形状でもよい。
【0018】
上側本体101は、主本体10に組み付けられ、マウスピース200が当該上側本体101に取着される。
マウスピース200は、吐出口5を有し、これを介して、ユーザーは装置の駆動中に吸入を行う。
吐出口5は、典型的には、マウスピース200ほぼ中央に位置する。
【0019】
カバー部材11および12は、共通の支軸を中心に、あるいは互いに係合するような状態で二つの平行な軸を中心に、揺動可能である。
装置を開状態にするための開放手段は、その他どのようなものであってもよく、変形例として、当該装置は、二つではなく一つのカバーのみを有するものであってもよい。
主本体10の内部には、ブリスターとしても知られる独立した複数の貯蔵器(簡潔化のため図示せず)が長尺のブリスターストリップ上に公知の方法で一列に並んで設けられている。図4には、ブリスター20が示されている。
【0020】
ブリスターストリップは、一回分の紛体をそれぞれ収容する複数個の凹部21を有するベース層または壁部と、各ブリスターを封止する封止層または壁部22とから構成されていることが望ましい。
初回使用時以前においては、ブリスターストリップは丸く巻かれた状態で主本体部10内、好ましくはその貯蔵部内にあり、ブリスターストリップを広げて前進させるため、例えば、回転手段である第1移動手段40が備えられている。
【0021】
例えば、主本体10に回動可能に取り付けられた第2移動手段50は、装置の駆動のたびに各ブリスター20を吐出位置に移動させる。
第2移動手段50は、非吐出位置と、ブリスターが上記開封手段と協働する吐出位置との間で回動可能なように取り付けられていれば有利である。
ブリスターストリップのうち、空になったブリスターを含む部分を、主本体10の別の場所、好ましくは、後に詳細に説明する受け入れ部において巻き取る構成とすれば有利である。
【0022】
当該吸入器は、ブリスター開封手段80を有し、当該ブリスター開封手段80は、好ましくは、ブリスターの封止層に開口を形成および/または当該封止層を切断する、穿孔手段および/または切断針を備える。
好ましくは、ブリスター開封手段は、主本体10および上側本体101に対して静止した穿孔要素80を備え、第2移動手段50による駆動のたびに、各ブリスター20が穿孔要素80に向けて移動する。
【0023】
したがって、穿孔要素80がブリスターを穿設することによってブリスターに開口が形成され、ユーザーによる吸入により、ブリスターから紛体が放出される。図4には、このときの様子が示されている。
なお、前記穿孔要素80は、貯蔵器の封止壁を切断し、かつ、切断した前記封止壁の一または複数の部分が、形成された一または複数の開口を塞ぐことがないよう構成されている。国際公開第2006/079750号および国際公開第2009/007640号が、このようなブリスター開封手段について記載しており、これらの内容は、参照により本願に含まれる。
【0024】
第1移動手段40は、ユーザーによる吸入のたびにブリスターストリップを前進させるよう構成されている。
第2移動手段50は、駆動時において各吸入の前の段階で、開封対象となるブリスターをブリスター開封手段80に向けて移動させるよう構成されている。
第2移動手段50は、ばね、または、その他の同等の要素からなる弾性要素70によって付勢される。装置が開状態の間は、当該弾性要素70に圧縮力がかかるようになっている。
【0025】
第1移動手段40は、ブリスターストリップを収容し案内する割出しホイールからなる。以下の記載においては、このような割出しホイール40を使用するものとして説明する。
割出しホイール40の回転によって、ブリスターストリップが前進する。各吸入の前の段階では、開封前の完全なブリスターが、ブリスター開封手段80と対向する位置にある。
【0026】
第2移動手段50は、揺動部材を備え、割出しホイール40が、当該揺動部材50のピン55に回転可能に取り付けられていることが好ましい。
本装置の駆動サイクルは、以下の通りである。装置を開状態にする際、並行に配置された二つのカバー部材11、12が主本体10を中心にして、主本体10から相互に離れる方向に移動し、それによりばねの力を装置に加える。この状態では、割出しホイール40を、穿孔要素80の方に向けて移動させることができない。
【0027】
なぜなら第2移動手段50が適切なブロック手段(簡潔化のため図示せず)によって保持されているからである。国際公開第2009/077700号および国際公開第2009/136098号が、このようなブロック手段について記載しており、これらの内容は、参照により本願に含まれる。
ユーザーがマウスピースを介して吸入を行っている最中には、ブロック手段はブロックを解除し、割出しホイール40を針に向けて移動し、それによりブリスターを開封する。
【0028】
上述のように、開封手段80は、ユーザーによる吸入によって駆動されることが望ましい。吸入で開封手段80を作動させるために、好ましくは吸入によって変形する空気室61を備える吸入トリガー機構60を備える。
空気室61は、蛇腹形状に形成されるのが望ましい。
空気室61は、ブロック手段を解除するよう構成されている。ユーザーによる吸入は、空気室61を変形させてブロック手段によるブロックを解除し、第2移動手段50を移動可能することによって、各ブリスターをその開封位置に向けて移動させる。
【0029】
よってブリスターは、吸入によってのみ開封され、それと同時に空になる。したがって、ブリスターが開封されてから、空になるまでの間に、一回分の紛体の一部がこぼれる危険性がない。
吸入器は、さらに、各ブリスターの開封後に一回分の紛体を収容する、拡散室拡散室90を備える。拡散室90は、少なくとも一つ、好ましくは複数の、ビーズ91を備えていれば有利である。ビーズ91は、吸入の最中に、拡散室90内を移動する。それにより、具体的には、ブリスターが開封された後、空気と紛体の混合物の吐出を、より効率よく行い、装置の吸入効率を改善する。
【0030】
なお、開封手段、具体的には穿孔要素は、例えば拡散室90に繋がる経路を介して直接拡散室90に連通されていれば有利である。
吸入後、ユーザーが装置のカバーを閉状態にしたとき、すべての構成要素が最初の静止位置に戻る。これにより、装置は、新たな使用サイクルを開始できる状態になる。
本吸入器の好適な一態様において、ブリスターは、柔軟性のある長尺部材上に形成されており、これは、初期状態では、主として当該装置の主本体10内の貯蔵ハウジング内に、巻かれた状態で保存されている。
【0031】
巻かれた状態のブリスターストリップが、その後端(すなわちブリスターストリップの進行方向における後端)が主本体10に対して固定されていない状態で、貯蔵ハウジングの内壁に保持されていて、装置内でブリスターストリップのロールを、より簡単に組み付けることができるように構成されていれば有利である。
ブリスターストリップは、少なくとも一つ、好ましくは複数の凹部を有する割出しホイール40によって動かされる。そして、割出しホイール40の回転によって、ブリスターストリップが前進する。
【0032】
当然、上記構成に加えて、ブリスターを前進させるためのその他の手段を用いることができる。例えば、ブリスターストリップの側面を、適切な駆動手段と協働する形状に構成することができる。
また、ブリスターストリップの側面に沿って開口を形成し、当該開口と協働するスプロケットホイールによってブリスターストリップを前進させることもできる。
【0033】
一以上のブリスターを開封した後、ブリスターストリップのうち空になったブリスターの存する部分が詰まることがないように、簡単かつコンパクトに装置内に収容できなければならない。使用済みのブリスターストリップは、自動的に巻き取られ、再びロール状になれば有利である。
吸入器のさらに別の態様では、紛体カウンターまたはインジケーター(簡潔化のため図示せず)も備えることもできる。当該装置において、当該装置の主本体10の適切な窓部から見えるように、数字や記号を直接、ブリスターストリップに印をしてもよい。
【0034】
変形例として、数字や記号を記した一以上の回転盤やリングを有するカウンターを用いることも考えられる。国際公開第2008/012458号および国際公開第2011/154659号が、このようなカウンターについて記載しており、これらの内容は、参照により本願に含まれる。
本発明の目的は、例えば、装置の操作ミスや不完全な操作時に、吐出していない紛体を一回分とカウントしてしまうのを避けることである。したがって、カウンターあるいはインジケーターは、ユーザーが吸入をしたときのみ駆動されることが望ましい。なぜなら、ブリスターを開封して、収容されている紛体を吐出できるようにするのは、この吸入だからである。なお、カウンターは、吸入後、ユーザーが装置を閉状態にしたときに駆動されると有利である。
【0035】
移動可能なカバー部材12は、適切なハウジングにより摺動可能に保持された打ち金部材(cocking member)800に連結されている。これにより打ち金部材800が主本体10に対しカバー部材12と共に揺動するのが望ましい。
打ち金部材800は、上記ハウジング内に配置されたばね70(望ましくはコイルばね)に抗して移動するようにしてもよい。打ち金部材800は、一端がばね70に接続され、他端が第2移動手段、具体的には主本体10上で揺動するように取り付けられ、かつ、割出しホイール40が回転可能に支持された、揺動部材50と協働する。
【0036】
移動可能なカバー部材12が開くと、打ち金部材800がハウジング内を移動し、ばね70を圧縮する。第2移動手段の揺動部材50は、吸入時にのみ解除される上述のブロック手段によって移動が防止されている。
したがって、開位置において、吸入がなされない状態では、カバー部材11および12を閉じても、打ち金部材800が静止位置に戻り、ばね70が伸長するだけである。
【0037】
よってユーザーは、吸入器を開くことによって、吸入システムの駆動の準備することになる。ユーザーが吸入を行わず吸入器を閉じた場合には、ブリスターストリップやブロック手段が移動することはなく、装置が元の状態に戻るだけである。
これにより、吸入器を開状態にしてから閉状態にするまでの間に、ユーザーが吸入を行っていないにも関わらず、偶然の、あるいは不完全な駆動によって、ブリスター(および有効な一回分の物質)が損なわれる危険性がない。
【0038】
このように、ブリスターを開封し、空にし、紛体をユーザーの肺に吐出し、ブリスターストリップを移動させて新たな満杯のブリスターを開封手段に対置させ、紛体を一回分とカウントするという動作は、ユーザーが吸入を行ったときのみ生じる。
第2移動手段、具体的には設定手段と協働する揺動部材をブロックするブロック手段は、ユーザーによる吸入に反応する可撓性空気室61に、トリガー部材600を介して接続されており、ユーザーが吸入を行うと、可撓性空気室61が変形し、トリガー部材600を回動させて、ブロック手段を解除する。
【0039】
これにより、揺動部材50を押圧している打ち金部材800で圧縮された状態にあるばね70の力の作用により、上記第2移動手段を、その吐出位置に向けて移動させることができる。この移動によって、満杯のブリスターが開封され、一回分の紛体が吐出される。
可動支持手段50にカム面51が形成され、その表面を打ち金部材800が摺動する。打ち金部材800は、カバー部材12が開放されると、ばね70を圧縮し、カバー部材12が閉じられると、ばね70の圧縮が解放される。
【0040】
カム面51に接触している部分で、打ち金部材800が摺動しやすいように、打ち金部材800の端部が丸みを有する部分801を有していることが望ましい。
本実施の形態において、可動支持手段は、主本体10に対して揺動可能に取り付けられた揺動部材50として形作られる。
上記のようにカム面51が、揺動部材50に形成されているので、カバー部材12が開放されている間、ばね70に負荷がかけられ、揺動部材50は打ち金部材800によって吐出位置に向けて力を加えられ、ばね70が圧縮される。
【0041】
カム面51は、好ましくは、頂点によって分離される少なくとも2つの異なる斜面部分を含むようにしてもよい。
カバー部材12を閉状態から開け始める時に、打ち金部材800は、ロード部(第1の斜面)を摺動し、上述のようにばね70が圧縮される。ばね70に負荷がかかって圧縮されていき、カム面51の第2の斜面が、装置が開放状態になったときのみ係合する位置に設けられている。打ち金部材800は、好ましくは、第2の斜面に対し、実質的に垂直な方向に力を加える。
【0042】
これにより、ばねにより負荷が加えられた位置が安定する。
変形例として、第2の斜面には、開放状態のときに、打ち金部材800を位置決めする、当接溝(abutment notch)を設けてもかまわない。
吸入の後に、すなわち吐出位置において、ブロッキング手段が解放され、可動支持手段50は、圧縮されたばね70によって上方に移動させられる。
【0043】
カバー部材11、12が、対称的に開閉できるように、当該カバー部材11、12が適当なギヤを介して互いに噛み合っていることが望ましい。
それらのギヤは、支軸16、17に近接した位置で相互に噛み合うことができる。
割出しホイール40は、それぞれのブリスター20の窪み21を受け入れるための凹部41を少なくとも一つ、望ましくは5つ有している。
【0044】
凹部41は、割出しホイール40と一体となっている底壁面42と内側壁面43で形成されるのが望ましい。
本発明では、凹部41の外側壁面420は、分離調整部材(separate adjustment element )400で形成されている。
したがって、組み立て時において、ブリスター20の封止壁22が凹部41の外側に向くようにして、ブリスター20の少なくとも一つの窪み21を凹部41に配置することにより、ブリスターストリップが、割出しホイール40に組み付けられる。
【0045】
それ故、分離調整部材400は、凹部41の外側壁420が、ブリスター20の窪み21の外側のサイズと実質的に同じ、もしくはわずかに大きめになるように割出しホイール40に取着される。
これにより、全ての窪み21が、割出しホイール40の実質的に同じ位置に位置決めされ、装置の駆動ごとに、繰り返し可能な開封動作が各ブリスター20の実質的に同じ位置に対して実施されることになる。
【0046】
さらには、分離調整部材400が、ブリスター20の窪み21を凹部41内に位置決めするため、ブリスターストリップが、割出しホイール40からずれるおそれがない。
分離調整部材400は、支軸50のピン55が挿通される空洞中央スリーブ410を有するのが望ましい。
環状外壁部430は、図5に示すように円筒状もしくは多角状形状をしており、割出しホイール40に分離調整部材400が組み付けられた後に、凹部41の外側壁面となる複数のスペーサー420を介して、空洞中央スリーブ410に繋がっている。
【0047】
空洞中央スリーブ410と環状外壁部430とスペーサー420との間には、分離調整部材400を割出しホイール40に組み付けるため、一つもしくはそれ以上の開口部440が形成される。
したがって、本発明により、以下の特徴を有するドライパウダー吸入器を提供することが可能である。
【0048】
・複数回分の紛体が、密封された複数のブリスターに個別に収容される。例えば、30回あるいは60回分が、丸く巻かれた状態の長尺部材上に収容される。
・紛体は、ユーザーによる吸入によってなされる穴開けによって放出される。ブリスターの穴開けは、圧縮力解放機構と組み合わされた吸入検出機構によってなされる。
・ブリスターと係合し、吸入のたびにブリスターストリップを移動させて、新しい満杯のブリスターを、適切な開封手段によって開封される位置に移動させるのに適切な形状を有する駆動手段。
【0049】
・吸入器が開けられたが、吸入は行われていないときに、紛体が失われるのを防止する手段。
・吸入が行われたときのみ紛体を一回分とカウントするよう構成されたドーズインジケーター。
上述したとおり、本発明の装置により、その他の特徴も提供される。
【0050】
なお、上述の様々な特徴は、吸入器に同時に備えられているように記載されているものであっても、個別に備えることができる。
具体的には、貯蔵器開封手段のタイプや、紛体インジケーターの有無や、それぞれ独立した複数のブリスターが互いにどのような位置関係にあるかにかかわらず、吸入トリガー機構を利用することができる。
【0051】
打ち金部材および吸引トリガー機構は、その他の方法で形成されていてもよい。
同様のことが、装置のその他の要素にも当てはまる。
当業者は、添付のクレームに定義される本発明の範囲を逸脱しない範囲において、様々な変形を施すことができる。具体的には、図面を参照して説明した装置の様々な特性や機能は、適切であればどのような方法を用いてでも互いに組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5