(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6233861
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】噴霧器
(51)【国際特許分類】
A45D 34/04 20060101AFI20171113BHJP
B05B 7/32 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
A45D34/04 550
B05B7/32
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-134510(P2016-134510)
(22)【出願日】2016年7月6日
【審査請求日】2016年11月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514283825
【氏名又は名称】株式会社エアーサーフ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 悟
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−051774(JP,A)
【文献】
特表2005−527266(JP,A)
【文献】
特開2013−042930(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3182578(JP,U)
【文献】
特開2010−115590(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3159019(JP,U)
【文献】
特開平01−110304(JP,A)
【文献】
特開2007−159858(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3195743(JP,U)
【文献】
特許第4679142(JP,B2)
【文献】
特開2015−178085(JP,A)
【文献】
特開2015−177923(JP,A)
【文献】
特許第5020627(JP,B2)
【文献】
特許第4776141(JP,B2)
【文献】
特許第3981329(JP,B2)
【文献】
特公昭44−014563(JP,B1)
【文献】
国際公開第2014/177554(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
B05B 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮気体により塗布組成物を噴霧する噴霧器であって、先端に前記塗布組成物の噴霧ヘッドを有する噴霧器本体と、前記圧縮気体が充填された加圧タンクと、この加圧タンクから前記噴霧器本体に前記圧縮気体を供給する気体供給管とを備え、前記噴霧器本体は中空状に形成され、その先端部に前記噴霧ヘッドが組み込まれ、この噴霧ヘッドの後方に前記塗布組成物を供給する組成物供給タンクが着脱可能に装着されるカプラーが組み込まれ、このカプラーの後方に、前記塗布組成物を前記噴霧ヘッドから噴出させる操作部が組み込まれ、さらに、前記噴霧器本体の後端部で、前記操作部の後方に、前記圧縮気体の供給および停止をなす開閉弁が組み込まれ、この開閉弁が組み込まれた前記噴霧器本体の後端部の外形が、使用者の手のひらによって把持される略卵形の把持部となされており、前記噴霧ヘッド、前記カプラー、前記操作部、および、前記開閉弁が、前記噴霧器ヘッドの噴霧方向に沿うようにほぼ直線上に配置されていることを特徴とする噴霧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り扱いを容易にした噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のメイクアップ化粧料の肌への典型的な塗布具として、手指、スポンジ、パフ、ブラシ等がある。
一方、近年では、メイクアップ化粧料を噴霧することも提案されている。
例えば、特許文献1には、化粧料噴霧器を用いた化粧方法が記載されている。
この化粧料噴霧器は、噴霧器本体であるエアブラシと、このエアブラシと気体用ホースコネクター間に介挿される中空状の気体用ホースと、エアブラシにエアを供給するコンプレッサーと、を備えている。エアブラシは、化粧料を噴出させるノズルと、化粧料を供給する化粧料入れカップと、化粧料の噴出量を調整する調整レバーと、エア搬送用の気体用ホースを差し込む気体用ホースコネクターとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−42930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される従来の化粧料噴霧器は、手で把持し、指で調整レバーを引くことにより化粧料を噴霧するタイプの、いわゆるガンタイプであり、化粧という繊細な行為を行う器具としては操作性に欠けるものであった。また、顔に向けるという性質からもガンタイプの器具は好ましいものとは言えなかった。
【0005】
特に、前述した従来の技術では、化粧料の噴霧に際して、噴霧器本体を指先で保持するとともに、保持した指で調整レバーを操作しなければならないことから、噴霧器本体が、保持する手中で安定せず、操作が煩雑で、塗布方向がふらついてしまうという改善点が残されている。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決しようとするものであり、取り扱いが容易で、特に化粧料の噴霧に適した噴霧器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の噴霧器は、前述した課題を解決するために、圧縮気体により塗布組成物を噴霧する噴霧器であって、先端に前記塗布組成物の噴霧ヘッドを有する噴霧器本体と、前記圧縮気体が充填された加圧タンクと、この加圧タンクから前記噴霧器本体に前記圧縮気体を供給する気体供給管とを備え、前記噴霧器本体には、その先端部と後端部との間に、前記塗布組成物を供給する組成物供給タンクと、前記塗布組成物を前記噴霧ヘッドから噴出させる操作部が設けられているとともに、後端部に、使用者の手のひらによって把持される略卵形の把持部が形成されていることを特徴としている。
【0008】
このような構成とすることにより、噴霧器の使用者は、前記噴霧器本体の後端部に形成されている把持部を手のひらで包み込むように把持することによってこの噴霧器本体を保持する。
【0009】
ここで、使用者は、手のひらによって前記噴霧器本体をしっかりとつかむことができるので、この噴霧器本体を安定して保持することができる。
この保持は、主に、中指、薬指、および、小指によって行なわれ、人差し指および親指は、前記噴霧器本体に軽く添えられるか自由である。
【0010】
そして、前記噴霧器を保持した状態において、前述したように自由状態に近い親指若しくは人差し指で前記操作部を操作することにより、前記加圧タンク内の圧縮気体を前記気体供給管を経て前記噴霧器本体に供給することにより、前記組成物供給タンク内の塗布組成物を、前記噴霧器本体の噴霧ヘッドから噴霧することができる。
【0011】
このような噴霧操作に際し、前述したように、前記噴霧器本体が安定して保持されていることにより、塗布組成物を安定して噴霧することができ、均一な塗布を行なうことができる。
【0012】
そして、前記操作部を、使用者が前記把持部を把持した状態で、使用者の親指若しくは人差し指が位置させられる部位に設けておくことにより、前記噴霧器本体を把持した際に、親指若しくは人差し指が自然と前記操作部に対峙させられる。
【0013】
これによって、前記噴霧器本体を安定した状態で保持しつつ、前記操作部の操作が可能となり、より安定した塗布操作を行なうことができる。
【0014】
一方、前記加圧タンクを覆ってカバーを設けておき、このカバーに、その下部に前記加圧タンクを上方から覆う下部収容部を形成し、この下部収容部から上方へ向けて先細り状に本体保持部を連設し、この本体保持部の上端部に、前記噴霧器本体の先端部が着脱可能に装着される本体保持部を設けておくこともできる。
【0015】
このような構成とすることにより、前記噴霧器の不使用時に、前記噴霧器本体を前記カバーの上端部に形成されている前記本体保持部に差し込んで収納することができる。
【0016】
したがって、不使用時にあっては、前記噴霧器本体を前記加圧タンクと一体化することにより、この噴霧器をコンパクトに収納することができる。
【0017】
前記加圧タンクを前記カバーによって覆うようにした場合、前記カバーの側面に、前記気体供給管の一端部が挿通されるガイド孔を形成しておくことが望ましい。
【0018】
これによって、前記カバー内の前記加圧タンクと前記噴霧器本体とを連通する前記気体供給管の取り回しを容易にする。
【0019】
そして、前記カバーの側面に、前記組成物供給タンクが着脱可能に装着されるタンク保持部を形成しておくこともできる。
【0020】
このような構成とすることにより、不使用時等において前記組成物供給タンクを前記噴霧器本体から取り外して前記カバーに取り付けておくことができる。
【0021】
したがって、前記噴霧器本体の洗浄や保守時に、前記組成物供給タンクを紛失してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
このように、本発明の噴霧器にあっては、使用者による安定した保持を可能にして、取り扱いが容易で安定した噴霧操作を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】本発明の一実施形態にかかる噴霧器本体の平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態にかかる噴霧器本体の側面図である。
【
図5】本発明の一実施形態にかかる噴霧器本体を分解した状態の平面図である。
【
図6】本発明の一実施形態にかかる縦断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図において、符号1は本実施形態に関わる噴霧器を示している。この噴霧器1は、圧縮気体により塗布組成物を噴霧する噴霧器1であって、先端に前記塗布組成物の噴霧ヘッド2aを有する噴霧器本体2と、前記圧縮気体が充填された加圧タンク3と、この加圧タンク3から前記噴霧器本体2に前記圧縮気体を供給する気体供給管4とを備えている。前記噴霧器本体2には、その先端部と後端部との間に、前記塗布組成物を供給する組成物供給タンク5と、前記塗布組成物を前記噴霧ヘッド2aから噴出させる操作部Cが設けられているとともに、後端部に、使用者の手のひらによって把持される略卵形の把持部Gが形成されている。
【0025】
さらに詳述すれば、前記噴霧器本体2は中空状に形成されており、
図5および
図6に示すように、その先端部に前記噴霧ヘッド2aが組み込まれ、この噴霧ヘッド2aの後方に前記組成物供給タンク5が着脱可能に装着されるカプラー6が組み込まれ、このカプラー6の後方に、前記操作部Cが組み込まれ、さらに、この操作部Cの後方に、前記圧縮気体の供給および停止をなす開閉弁7が組み込まれている。
【0026】
前記カプラー6は、側部に前記組成物供給タンク5が装着されるタンク装着部6aを備えている。
このタンク装着部6aは、前記噴霧器本体2の側壁に形成されているタンク装着孔2bを経て外方へ露出させられている。
【0027】
また、このカプラー6は、前記噴霧ヘッド2aへ連通させられているとともに、前記組成物供給タンク5が装着された状態において、この組成物供給タンク5から塗布組成物が供給されるようになっている。
【0028】
一方、前記噴霧ヘッド2aに圧縮気体が供給されると、この圧縮気体が前記噴霧ヘッド2a内部を経て、この噴霧ヘッド2aの先端から噴出させられるが、この圧縮気体の流れによって、前記噴霧ヘッド2aに連通させられている前記カプラー6内部が負圧となされ、この負圧により、前記カプラー6に供給されている前記塗布組成物が吸引されて、前記圧縮気体とともに前記噴霧ヘッド2aから噴出させられるようになっている。
【0029】
前記組成物供給タンク5は、その先端部に、前記噴霧器本体2に形成されたタンク装着孔2bに挿入される円筒部が形成され、この円筒部の外面に、径方向外方に向かう係合突起8が突設されている(
図6参照)。
【0030】
この係合突起8は、前記タンク装着孔2bの内壁に径方向外方に向かって形成された切り欠き9に挿通させられるようになっている。
【0031】
そして、前記組成物供給タンク5は、その円筒部を、前記タンク装着孔2bに対峙させた後に、前記係合突起8を前記切り欠き9内に挿通させつつ前記タンク装着孔2bに挿入し、ついで、前記組成物供給タンク5を軸線回りに回動させて、前記係合突起8を前記噴霧器本体2の内壁に係合させることにより、前記タンク装着孔2b、すなわち、前記噴霧器本体2に装着される。
また、逆の操作によって、前記組成物供給タンク5は前記噴霧器本体2から取り外される。
【0032】
前記噴霧ヘッド2aは、前記開閉弁7に給気管10を介して連通させられており、前記開閉弁7が解放された際に、前記加圧タンク3内の圧縮気体が供給されるようになっている。なお、加圧タンク3には、気体供給管4への圧縮気体の供給バルブが設けられている。この供給バルブは圧縮気体の供給量を複数段階に調整可能にするための調整部を備えている。これにより、噴霧ヘッドからの微風噴射も可能になっている。
【0033】
前記操作部Cは、前記給気管10の途中を跨ぐようにして配置された操作レバー11を備えている。
【0034】
この操作レバー11は、
図5に示すように、その基端部が、前記噴霧器本体2の内部において揺動自在に支持されており、また、他端部が、前記噴霧器本体2の側壁にその長さ方向に沿って形成されたガイド孔2cを経て外方に位置させられている。
【0035】
そして、前記操作レバー11の中間部は、前記開閉弁7の開閉ロッド7aの動作面内において対峙させられており、その揺動動作によって、前記開閉ロッド7aの押圧およびその解除を行ない、前記開閉弁7の開閉を行なうようになっている。
【0036】
さらに、前記操作レバー11は、前記噴霧器本体2内において、その内壁との間に介装された圧縮スプリング12により、前記開閉弁7を閉状態とする方向に付勢させられている。
【0037】
前記操作レバー11は、使用者が前記把持部Gを把持した状態で、その他端部が、使用者の親指若しくは人差し指が位置させられる部位に設けられている。
【0038】
本実施形態においては、
図2に示すように、前記加圧タンク3を覆ってカバー13が設けられ、このカバー13が、その下部に前記加圧タンク3を上方から覆う下部収容部13aを備えているとともに、この下部収容部13aから上方へ向けて先細り状に連設され、その上端部に、前記噴霧器本体2の先端部が着脱可能に装着される本体保持部13bが設けられた構成となっている。
【0039】
前記カバー13は、前記本体保持部13b近傍において、前記加圧タンク3の上端部に係止具14を介して固定されるようになっている。
【0040】
前記係止具14は、前記下部収容部13aの上端部から上方へ突出させられており、その突出端に前記本体保持部13bが取り付けられている。
【0041】
前記カバー13の側面には、前記気体供給管4の一端部が挿通されるガイド孔13cが形成されているとともに、前記組成物供給タンク5が着脱可能に装着されるタンク保持部13dが形成されている。
【0042】
このタンク保持部13dは、前記組成物供給タンク5の先端部が嵌合させられる凹部によって構成されている。
【0043】
また、前記本体保持部13bには、上方へ向かって開口する凹部13eが形成され、この凹部13e内に前記組成物供給タンク5の先端が嵌合させられることにより、この組成物供給タンク5が倒立した状態で前記カバー13に支持されるようになっている。
【0044】
本実施形態においては、前記噴霧器本体2の把持部Gが略卵形に形成されていることにより、前記カバー13に装着した際に、これらの外形が滑らかな曲線で結ばれた形状となされ、全体として、前記噴霧器本体2を栓体とした化粧瓶状となされる。
【0045】
このように構成された本実施形態に関わる噴霧器1は、
図1に示すように、前記噴霧器本体2を前記カバー13の本体保持部13bに差し込むことによって収納状態とする。
【0046】
使用に当たっては、前記噴霧器本体2を前記カバー13から取り外し、その把持部Gを手のひらで包み込むようにして把持する。
【0047】
この状態において、把持した手の人差し指若しくは親指が、前記噴霧器本体2の側部に露出している前記操作レバー11に重畳させられる。
【0048】
これより、前記噴霧器本体2を握った状態で前記操作レバー11を操作することにより、前記開閉弁7を解放して、前記加圧タンク3内の圧縮気体を前記噴霧ヘッド2aへ送り込む。
【0049】
このような圧縮気体の供給により、前記噴霧器本体2の後方に負圧領域が形成され、この負圧によって、前記噴霧器本体2に装着された前記組成物供給タンク5に充填されている塗布組成物が、前記カプラー6を経て前記噴霧ヘッド2aに吸引されて、この噴霧ヘッド2aが噴霧される。
【0050】
ここで、前記噴霧器本体2が、使用者の手のひらによって包み込むように把持されていることにより、安定した保持状態を確保することができ、かつ、本実施形態においては、把持した状態で、前記操作レバー11に使用者の親指若しくは人差し指が自然と対峙させられる。
【0051】
したがって、使用者は、前記噴霧器本体2をしっかり保持することができるとともに、前記操作レバー11を容易に操作することができる。
この結果、安定した塗布作業を行なうことができる。
【0052】
一方、使用後においては、前記噴霧器本体2を前記組成物供給タンク5を装着した状態で前記カバー13の本体保持部13bに差し込んで収納する。
あるいは、前記組成物供給タンク5を前記噴霧器本体2から取り外し、この組成物供給タンク5を、前記カバー13の前記タンク保持部13dに移し替えて収納する。
【0053】
このように、前記組成物供給タンク5を前記噴霧器本体2から取り外しておくのは、使用後において、前記噴霧器本体2のカプラー6内を洗浄して詰まりを防止するようにする際に好適である。
【0054】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 噴霧器
2 噴霧器本体
2a 噴霧ヘッド
2b タンク装着孔
2c ガイド孔
3 加圧タンク
4 気体供給管
5 組成物供給タンク
6 カプラー
6a タンク装着部
7 開閉弁
7a 開閉ロッド
8 係合突起
9 切り欠き
10 給気管
11 操作レバー
12 圧縮スプリング
13 カバー
13a 下部収容部
13b 本体保持部
13c ガイド孔
13d タンク保持部
13e 凹部
14 係止具
C 操作部
G 把持部
【要約】
【課題】取り扱いが容易で、特に化粧料の噴霧に適した噴霧器を提供することを課題とする。
【解決手段】先端に塗布組成物の噴霧ヘッド2aを有する噴霧器本体2と、圧縮気体が充填された加圧タンク3と、この加圧タンクから前記噴霧器本体に前記圧縮気体を供給する気体供給管4とを備え、前記噴霧器本体には、その先端部と後端部との間に、前記塗布組成物を供給する組成物供給タンク5と、前記塗布組成物を前記噴霧ヘッドから噴出させる操作部Cが設けられているとともに、後端部に、使用者の手のひらによって把持される略卵形の把持部Gが形成されている。
【選択図】
図2