特許第6233872号(P6233872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233872
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】LEDの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20171113BHJP
【FI】
   H01L33/50
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-50950(P2013-50950)
(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-179384(P2014-179384A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2016年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】510009832
【氏名又は名称】エムテックスマート株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松永 正文
【審査官】 吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−124507(JP,A)
【文献】 特開2006−024615(JP,A)
【文献】 特開2002−335020(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/083841(WO,A1)
【文献】 特表2003−526212(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0032220(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップの側面から発光する量に対応して少なくとも蛍光体とバインダーとからなるスラーリーの蛍光体の比率を重量比で50%以下にしたバインダーリッチの第一のスラーリーを用意する工程と、LEDチップの周囲にマスクをセットする工程と、前記第一のスラーリーを充填するLEDチップとマスク間の体積は前記LEDチップ側面から発光する量と前記第一のスラーリーとの色変換に対応することと、前記マスクの開口部よりLEDチップの高さに対してプラスマイナス30マイクロメートルになるように前記第一のスラーリーを充填する工程と、前記バインダーの硬化を促進させる工程と、少なくともLEDチップの上部に第二の蛍光体リッチのスラーリーを充填または塗布する工程を含むことを特徴とするLEDの製造方法。
【請求項2】
前記マスクは粘着剤を施したプラスチックフィルムが、予めLED基板にラミネートされていることを特徴とする請求項1のLEDの製造方法。
【請求項3】
LEDを30乃至120℃に加温し、前記第一のスラーリーも第二のスラーリーも溶媒を含み、第一のスラーリーは複数回に分けて充填または塗布を複数層行い、充填または塗布する都度バインダーの硬化を促進させ、次いで前記第二のスラーリーを薄膜で積層することを特徴とする請求項1または2のLEDの製造方法。
【請求項4】
前記第二のスラーリーは赤色、緑色、黄色、青色の蛍光体の中から選択した複数の色の蛍光体とバインダーからなるスラーリーであって、前記各色のスラーリーに対応した複数の塗布器でそれぞれを薄膜で複数層塗布することを特徴とする請求項1乃至3のLEDの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLEDに蛍光体を施与してLEDを製造する方法に関する。
特に、本発明は樹脂、溶液、蛍光体を含むスラーリーなどをLEDに充填または塗布し乾燥硬化する方法に係わり、さらには白色発光LEDを製造するための方法に係わる。尚、本明細書中LED用部材とは完成品としてのLEDを製造する途中の中間部品としての部材等を意味しており、また本発明の塗布とは、連続的又は断続的なディスペンス、インクジェット、マイクロカーテン施与、スロットノズル施与、スクリーンプリンティング方式、霧化施与、スプレイ等を含むがこれらに限定するものではない。
【背景技術】
【0002】
従来、白色発光LEDの製造方法として紫外光や青色発光ダイオードにRGBや少なくとも一つのYAG、TAG,シリカ(silica)系などの蛍光体と2液反応熱硬化タイプシリコーンなどのバインダーを混合したスラーリー(slurry)をディスペンサー装置でディスペンス(dispense)したり、更に溶剤などを加えて粘度を低くし微粒子発生装置の一種であるスプレイ装置などを用いてLEDに直接スプレイ(spray)し被覆していた。
【0003】
特許文献1は本出願人により加熱したLEDチップ(chip)に蛍光体(phosphor)とバインダーと溶媒を含むスラーリーを圧縮エア(air)を用いて薄膜で多層にスプレイ塗布し、一般的なスプレイ方法ではコーティング(coating)することが難しいとされるLEDの側壁にも付着させてLEDを製造する方法が提案されている。
【0004】
特許文献2にはLEDチップにシリコーン(silicon)などのバインダー(binder)を被覆し硬化させて、その上に蛍光体、バインダー、溶剤からなるスラーリー(slurry)を塗布し、必要により拡散材などをそれらに混合して積層する方法が提案されている。
【0005】
非特許文献1などに開示されているようなディスペンサー(dispenser)を用いる方法はハイパワー(high power)でない砲弾型LEDやバックライト(back light)向けなどのカップ(cup)の内側に装着されたチップに前記スラーリーを充填して大量生産向けに多く採用されている。
【0006】
しかし、特許文献1の方法ではパルス的にスラーリーを塗布できるのでLEDチップの側壁もコーティングでき、また薄膜で多層に塗布するのでLEDチップのエッジカバーもよく、塗着効率も極めて高くできるが、セラミックスなどのLED基板に組み込まれたLEDとLEDの間まで塗布するか、不必要な個所はマスクをして塗布するので蛍光体の使用効率は低かった。特にLED間の距離が離れている場合は極めて効率が悪かった。
【0007】
特許文献2ではバインダーをLEDチップに被覆し硬化させた後、その上に蛍光体を含むスラーリーをエアスプレイ方法で塗布する方法が開示されているが、通常のエアスプレイで塗着効率も悪いうえに特許文献1よりも蛍光体の使用効率は更に低いことが容易に予想できる。
【0008】
一方、非特許文献1などに開示されるような簡易装置を使用して無溶剤のシリコーンなどのバインダーと蛍光体からなるスラーリーをディスペンサーなどで塗布する場合はマスキングを必要とせず生産性も高いが、図7に示すようにLEDチップの中央が盛り上がり、端部が薄くなって垂直光のみならず空間分布も悪く、ハイパワーの照明用としては不向きであった。
また仮にカップ状にしても膜厚が厚いため乱反射等で光のロスが生じ蛍光体のロスにつながっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2011/083841A1
【特許文献2】US8058088B2
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】武蔵エンジニアリングカタログ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
スクリーン印刷法ではバインダーのシリコーン樹脂などは2液硬化タイプを使用するのでポットライフの関係で長時間使用できず、しかしコーティング品質を安定させるために大量にスラーリーを作成する必要があったため、使用効率は極めて低かった。蛍光体膜を均一に形成できるUS6576488B2の電気泳動方式は理想的であったがプロセスが複雑で業界では敬遠されがちであった。
LEDチップに可能な限り薄く均一に蛍光体膜を形成させ、蛍光体の使用効率を上げることが業界では求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は前述の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は性能が従来工法より遥かに優れ蛍光体の使用効率の高いLED製造方法を提供することである。
【0013】
本発明は、LEDにバインダーのみまたは第1の蛍光体とバインダーからなり、その重量比率が0.00:1乃至1:1の混合体を少なくとも1層充填または塗布する第一の工程と、前記塗布した層またはLED部材の上に少なくともLEDの部分が開口されているマスクをセットする第二の工程と、第2の蛍光体と溶媒のみのスラーリー又は第2の蛍光体とバインダーの重量比率が1:0.00乃至1:0.5の混合体と溶媒からなるスラーリーを少なくとも1層充填または塗布する第三の工程からなり、マスク上に付着した蛍光体を回収することを特徴とするLEDの製造方法を提供する。
【0014】
前記本発明の製造方法において、前記第2の蛍光体は赤、緑、青、黄色から選択される1種類以上の蛍光体を選択し、前記マスクはそれぞれの色に対応して用意されることを特徴とするLEDの製造方法を提供する。
【0015】
前記本発明の製造方法において、前記第1の蛍光体及び第2の蛍光体は同一種類であることが好ましい。
【0016】
前記本発明の製造方法において、前記LEDはウェハーレベルLEDまたはLED実装基板であることが好ましい。
【0017】
前記本発明の製造方法において、前記ウェハーレベルLEDまたはLED実装基板に少なくともLED部が開口したマスクをセットする第一の工程と、30乃至120℃に加温したLEDにバインダーのみまたは第1の蛍光体とバインダーの重量比が0.00:1乃至1:1からなる混合体を少なくともLEDの周囲に充填する第二の工程と、第2の蛍光体と溶媒からなるスラーリーまたは第2の蛍光体とバインダーの重量比が1:0.00乃至1:0.5の混合体と溶媒とからなるスラーリーを少なくとも1層充填または塗布する第三の工程とからなり、マスク上に付着した第2の蛍光体または第2の蛍光体とバインダーの混合体を回収することを特徴とするLEDの製造方法を提供する。
【0018】
前記本発明の製造方法において、前記少なくとも第2の蛍光体を含むスラーリーの塗布は圧縮ガスによるスプレイ流を、または微粒子生成装置で発生した微粒子をジェット流に乗せて搬送し塗布することを特徴とするLEDの製造方法を提供する。
【0019】
前記本発明の製造方法において、前記スプレイ流または微粒子をジェット流に乗せる搬送が5乃至200Hzのパルス的に行われることが好ましい。
【0020】
前記本発明の製造方法において、前記マスクを取り外し少なくとも第2の蛍光体を含むスラーリーの層の上からバインダーを5マイクロメートル以下の乾燥硬化膜厚で塗布することを特徴とするLEDの製造方法を提供する。
【0021】
本発明の製造方法によれば第1のバインダー又は第1の蛍光体とバインダーの混合体層はバインダーリッチであるので最終工程のレンズモールドでの密着性も問題ない。最初の層のバインダーまたは第1の蛍光体とバインダーの混合体には溶媒を加えて流動性を上げ、充填や例えばパルス的スプレイなどの塗布を容易に行うことができる。第2の蛍光体を含むスラーリー層の蛍光体はパルス的スプレイにインパクトを与えることによって又はジェット流に乗せて移送するのでバインダーまたはバインダーリッチの層に潜り込むように付着させることができる。
【発明の効果】
【0022】
上記のように本発明によればLEDの側壁やエッジのカバーができる、またはそれと同じ効果を得ることができるうえに、高価な蛍光体を容易に回収できるので、付加価値の高い高品質なLEDが低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来の特殊スプレイ塗布方式による略断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る略断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る略断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る略断面図である。
図5】本発明の実施の形態に係るマスクである。
図6】本発明により得られるLEDの略断面図である。
図7】従来のディスペンス方式による略断面図である。
図8】本発明の実施の形態に係る略断面図である。
図9】本発明の実施の形態に係る略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は発明の理解を容易にするための一例にすぎず本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において当業者により実施可能な付加、置換、変形等を施すことを排除するものではない。
【0025】
図面は本発明の好適な実施の形態を概略的に示している。
【0026】
図1においてLEDはスラーリーのパルス的スプレイ流にインパクトを与えながら薄膜で積層することによって、より具体的には本出願人が権利を有する特願2011−200395の方法や装置を使用して行うことにより側面も被覆でき塗着効率は90%以上が可能であり、好適な塗膜形成を行うことができるが不必要な個所まで塗布するので蛍光体の使用効率が極めて悪かった。基板上のLED間のピッチが広いと蛍光体の使用効率は10%に満たないことが多々あった。
【0027】
また性能を上げるためには薄膜が求められ蛍光体の比率をバインダーより多くする必要があり、蛍光体が多すぎると樹脂のレンズモールディングングの際に基板との密着性が悪くなるため一般的にはマスクが必要であった。
図2以降に示す本発明の形態の第1変形例においては図1に示すLEDなどと対応する部分については図1の参照番号に順次10,20,30,40,50,60をプラスして表記し以下には図1との相違を主として説明する。
【0028】
図2においてLEDチップ11やワイヤー12に干渉しないようにマスク14をセットする。そしてマスク開口からバインダーまたはバインダーリッチのスラーリーを充填又は塗布し、また必要によりバインダーの硬化を促進させた後その上に第2の蛍光体からなるスラーリーを充填又は塗布する。前記バインダーまたは第1の蛍光体とバインダーの混合体は充填又は塗布しやすくまた気泡が混入しにくいように溶媒で希釈したほうが好ましい。またより蛍光体を均一分散させるために第1蛍光体を含むスラーリーも第2の蛍光体を含むスラーリーも複数回に分けて充填又は塗布を行いうことが肝要である。バインダーまたは第1の蛍光体を含むスラーリーを充填する場合の乾燥硬化したスラーリーの充填レベルはLEDの高さの±30マイクロメートルにした方がエッジカバーを良くしトータル膜厚を少なくすることができ、空間的色温度を調整しやすくできるので好ましい。また充填後の蛍光体の沈降を防ぐためにも、いずれの混合体やスラーリーも充填又は塗布を行う都度バインダーの硬化は促進たさせた方が好ましい。
【0029】
図3においてLED又はそれを含む基板等はバインダーまたは第1の蛍光体を含む混合体でコーティングされる。混合体には溶媒や拡散材を加えても良い。塗布装置は問わないがインパクトを付加したパルス的スプレイが好適である。
基板全体をコーティングする場合は後工程のレンズモールド樹脂の密着性を考慮すると蛍光体の含有量は重量比で50%以下が好ましく、理想的には3乃至30%が好ましい。理由はバインダーのみより蛍光体が存在するとチクソトロピック性が向上し側壁の垂れやエッジの引けが起こりにくいからである。また含有量はLEDの側面から発光する量と体積当たりの色変換により決定すべきである。またマスクをセットする際は指触乾燥程度にバインダーの硬化を促進させることが好ましい。
また第2の蛍光体とバインダーを含むスラーリーを塗布する際はマスクを基板より少し浮かせた方がマスク上のバインダーの硬化のスピードを抑えられるので回収の面からは都合がよい。通常LEDは吸着加熱テーブルで吸着して熱伝導を良くするので、吸着力を弱めることにより達成できる。充填または塗布後はすばやくマスクを除去し吸着させて30乃至120℃に加熱したテーブルからの熱伝導を上げることでバインダーの硬化を急速に促進させることができる。
【0030】
図4においてLED31の周辺、または必要によりLED上部まで充填されたバインダーまたは第1の蛍光体を含むスラーリーの塗布層の少なくとも一部とLEDの上部に第2のスラーリーを塗布器でスプレイ塗布し蛍光体層35を形成させる。塗布器はトラバースしながら蛍光体粒度分布を考慮して薄膜で3乃至15層スプレイ塗布したほうがより均一に蛍光体を分散できるので性能は向上する。LEDの色温度分布を理想的なものにするためにLEDの上部にマスク34をセットしマスク開口部と塗布領域はLEDの構造、LED周囲または上部の蛍光体の比率などにより決定すべきである。
またフィリップチップタイプを除きマスクの位置はワイヤー32より高い位置にセットすることによりハンドリングが容易になるため自動化が図れる。
【0031】
図5はマスク44でLEDチップやワイヤ−が干渉しないように開口が形成してある。
【0032】
図6は本発明により形成された塗膜である。バインダーまたは第1の蛍光体を含むスラーリー層53は複数層でよくまた第2の蛍光体を含むスラーリー層55も複数層にした方が好ましい。バインダーが実質的に0の第2蛍光体のみのスラーリーの塗布後は振動等で蛍光体が離脱しないようにバインダーのみで薄膜でカバーコート層55の形成もできる。もちろんのこと基板全体を例えば5マイクロメートル以下にコートできる。
【0033】
図7は従来のディスペンサーなどにおけるLED61に蛍光体が含まれるスラーリーを塗布した略図で中央部の膜厚が厚くエッジ(edge)がカバー(cover)できないので色温度にバラツキが生じる。又塗布量が少ないとリード線62が接合されるパッド付近は陰になり塗布されにくい。
【0034】
図8図9はバインダーまたはバインダーリッチ層78に第2の蛍光体または第2の蛍光体とバインダーからなる粒子79がスプレイ流またはジェット流で衝突し潜り込むイメージを表している。
【0035】
従来技術では、例えば平均粒度分布が8マイクロメートル前後で1マイクロメートル以下から30マイクロメートルの分布をしている比重の高い蛍光体と、比重の比較的低いバインダーと、必要により加えた溶媒とからなるスラーリーを単位面積当たり±1.5%のバラツキをもって一回で薄膜塗布するのは至難の業であった。またミクロ的に見たら粒子の大きい部位と小さい部位は当然存在する。
【0036】
本発明では特願2011−200395の技術を第1のバインダーまたはスラーリーや第2の蛍光体を含むスラーリーの分散や充填、塗布に応用し図示しない例えばスラーリーが充填されたシリンジと塗布器と小型ポンプで循環回路を形成し、必要によりシリンジ内のスラーリーを撹拌して均一に分散させながら循環させ、又はスラーリーが充填されたシリンジを含む循環回路内に撹拌兼ポンプ機構を形成することにより塗布器に加圧流を経由させてシリンジ上流に戻して循環させ、又は二つのシリンジ間のスラーリーに差圧をもって交互に移動させ、片方のシリンジへの移動は15KPa乃至40Kpaの液圧差で流速を上げ噴流を発生させながら均一に分散させたスラーリーを吐出して薄膜で可能な限り多層に塗布する。
特にバインダーが事実上0又は極端に少ないスラーリーの分散には流速をあげて分散することが重要である。
【0037】
このようにすることにより確率の面からも塗布膜の粒度分布を均一にすることができる。更に循環回路の好ましい部位に超音波等の振動を付加することにより良好な分散状態を保つことができる。更に好適な塗膜形成ではLEDの表面を電気泳動と同じく導電性を持たせることにより、例えばスプレイ塗布の場合、霧化された粒子を静電気などで帯電させることにより静電反発で霧化粒子同士の凝集を防ぎ微粒子も付着させることができるので理想的な蛍光体塗布ができる。
【0038】
また本発明は、一種類のスラーリーを単一の塗布器で多層に塗布することに限定するものでなく、複数の塗布器で複数の蛍光体を多層塗布することも出来る。すなわち、本発明によれば、1つの塗装ブース内に複数の塗布器を設置した塗布装置を用い、種類の異なる複数の蛍光体をLEDに積層し乾燥させてLEDを製造することができる。上記少なくとも2種類の蛍光体の積層は少なくとも赤色、緑色、黄色、青色の蛍光体から選択することが出来る。
【0039】
また、上記少なくとも第2の蛍光体を含むスラーリーの蛍光体は少なくともバインダ−を実質的に0にまた可能な限りバインダーを少なくするようにしたスラーリーとすると回収し蛍光体の再利用の面で好適である。
【0040】
蛍光体の回収に適してさえいればマスクの寸法や形状、材質は問わないが、高性能のまま蛍光体を回収し再利用する場合は蛍光体で研磨されにくいセラミックス系材質が理想である。
【0041】
またコンタミネーションの面からもLED表面や蛍光体に使用される材質と同じか影響を与えない例えばセラミックなどの材質が好ましい。
特にマスクを再使用し回収効率を高めるためには、マスクを建築用の外壁ボードなどに施される汚染防止などのフッ素系やセラミックス系の処理剤で被覆するとゲル化が進んだマスク上の塗膜も剥離しやすい。また高速生産向けには、例えばフッ素系やポリイミドアミド樹脂に代表されるような予め耐熱、耐溶剤性のプラスチックフィルムを基板上に部分的に或いは面に基板側にシリコーン系、架橋したアクリル系ウレタン系等の耐熱、耐溶剤性の粘着剤を施して予めラミネートすることもできる。
【0042】
塗布器がエアスプレイあるいはエアアシストスプレイあるいは特に第2蛍光体からなるスラーリーを粒子製造装置で粒子化した後ジェット流で蛍光体粒子を搬送する場合、LED基板表面でのそれらのパターン幅は1乃至20mm程度になるようにすることが好ましい。パターン幅はチップの形状や種類によりチップ全体の所望するそれぞれの部位の膜厚を考慮して選択すべきである。LEDチップのエッジや側壁を所望する膜厚にするには、特願2011−200395によるインパクトを備えたパルス的スプレイ方法やジェット流で搬送する場合でも蛍光体粒子もジェット流もパルス的に行うとより効果的である。
【0043】
スプレイする場合などフロー性やバインダーの硬化を促進させること、スプレイなどの塗膜形成時に発生する気化熱による温度低下などを考慮してLEDを30乃至120℃の範囲に加温し、LEDとスプレイヘッドとの距離を5乃至90mmに設定し、LEDに到達する際のスプレイパターン幅を1乃至20mmとし、スプレイエア圧を0.1乃至0.4MPaでパルス的に噴出させ、パルス的にインパクトを与えながらスプレイすることが好適である。
更にシリコーンなどの濡れにくいバインダーからなるスラーリーを使用する場合には塗布材にインパクトを与えながらLED用被塗物表面に衝突させなければ特に側壁やエッジ付近をカバーするのは難しい。
【0044】
単色或いは複数色に関わらず特に第2蛍光体を含むスラーリーは層ごとに或いは必要とする層や最終層の一つ前の層で色温度や重量を測定し、必要により塗布量を補正しながら所望する品質にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば特に付加価値の高いLEDを高品位に保ちながら高価な蛍光体を回収して再利用するので、従来プロセスより使用効率を10倍以上も高くできることから、大幅なコストを低減ができる。
【符号の説明】
【0046】
1,11,21,31,41,51,61,71 LEDチップ
2,12,22,32,42,52,62 ワイヤー
3,63 蛍光体層
13,23,33,43,53 バインダー、第1蛍光体層
14,34,44 マスク
15,25,35,55 第2蛍光体層
56 バインダー(カバー層)
78 第1の蛍光体
79 第2の蛍光体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9