特許第6233873号(P6233873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233873
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】位相シフトマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/29 20120101AFI20171113BHJP
【FI】
   G03F1/29
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-86981(P2013-86981)
(22)【出願日】2013年4月17日
(65)【公開番号】特開2014-211502(P2014-211502A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101710
【氏名又は名称】アルバック成膜株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】望月 聖
(72)【発明者】
【氏名】中村 大介
(72)【発明者】
【氏名】小林 良紀
(72)【発明者】
【氏名】影山 景弘
【審査官】 今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−043888(JP,A)
【文献】 特開2011−013283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00−1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
少なくとも前記透明基板の表面に一定厚みで形成された部分を有するCrを主成分とし、300nm以上500nm以下の波長領域の光に対して180°の位相差をもたせることが可能な位相シフト層を有する位相シフトマスクの製造方法であって、
前記透明基板上に前記位相シフト層を形成する工程と、
前記位相シフト層をウェットエッチングして前記位相シフト層と前記透明基板とが平面視した境界部分を有するように前記位相シフト層をパターニングして位相シフトパターンを形成する工程と、を有し、
前記位相シフト層形成工程において、雰囲気ガス中における酸化性ガスの流量比を設定することで、平面視した前記位相シフト層と前記透明基板との境界部分における前記位相シフトパターンの厚みが前記一定値から減少して前記波長領域における異なる波長の光が位相差をもつように対応する傾斜領域を形成することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の製造方法において、
前記位相シフト層の成膜雰囲気としての成膜ガスが、不活性ガス、窒化性ガスと酸化性ガス、或いは窒化性ガスと酸化性ガスとを含み、総ガス流量に対して酸化性ガスの流量比が3.68〜14.69%の範囲から選択されてなることを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の製造方法において、
前記位相シフト層形成工程おいて、前記流量比によって前記境界部分における前記位相シフト層の厚みが前記一定値から減少する前記傾斜領域の幅と前記一定値厚みとの比を制御可能とすることを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の製造方法において、
前記位相シフト層の厚みが前記一定値から減少する前記傾斜領域の幅と前記一定値との比が、
(位相シフト層の厚みが減少する傾斜領域の幅)/(位相シフト層の厚み一定値)≦3、かつ、0ではない、
とされてなることを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか記載の製造方法において、
前記透明基板上に遮光層から遮光パターンを形成し、前記遮光パターン上に位相シフト層から位相シフトパターンを形成する工程を有するか、または、
前記透明基板上に位相シフト層を形成し、前記位相シフト層の上にNi、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、W及びHfから選択された少なくとも1種の金属を主成分とするエッチングストッパー層を介して形成し、前記エッチングストッパー層上に遮光層を形成して、パターン形成にて位相シフトパターンを形成する工程を有することを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細かつ高精度な露光パターンを形成することが可能な位相シフトマスクの製造方法に関し、特にフラットパネルディスプレイの製造に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体において、高密度実装を行うため、長い期間にかけてパターンを微細化が行われてきている。そのために、露光波長を短波長化するとともに、露光方法の改善など様々な手法が検討されてきた。フォトマスクにおいてもパターン微細化を行うために、複合波長を用い遮光膜パターン形成したフォトマスクから、パターン縁において光干渉を用いて、単波長を用い、より微細なパターン形成可能な位相シフトマスクが使用されるに至っている。
上記に示す、半導体用位相シフトマスクでは、文献1に示すようにi線単波長を用いたエッジ強調型の位相シフトマスクが使用されていたが、更なる微細化のために、文献2に示すようにArF単波長まで露光波長を短くし、かつ、半透過型の位相シフトマスクが使用されてきている。
【0003】
一方、フラットパネルディスプレイでは、低価格化を実現するために、高いスループットにて生産を行う必要があり、露光波長もg線、h線、i線の複合波長での露光にてパターン形成が行われている。
最近、上記フラットパネルディスプレイでも高精細な画面を形成するためにパターンプロファイルがより微細化されてきており、従来より使用されてきている、遮光膜パターンを形成したフォトマスクではなく、文献3に示すようにエッジ強調型の位相シフトマスクが使用されるに至っている。
【0004】
フラットパネル用のエッジ強調型の位相シフトマスクは、複合波長領域での露光となり、位相シフト効果がでる以外の波長では、位相シフト効果が十分でなくなる問題があり、さらに高効率の位相シフト効果が得られる位相シフトマスクが望まれる状況にあった。
上記エッジ強調型位相シフトマスクには、遮光膜をパターンした後に位相シフト膜を形成し、さらに位相シフト膜をパターンする文献3に記載の上置きタイプ位相シフトマスクのほかに、位相シフト膜、エッチストップ膜、遮光膜を基板より順に形成し、順々にパターニングする下置きタイプの位相シフトマスクがあるが、前記下置きタイプ位相シフトマスクにおいても同様の問題を有しており、さらに、露光手法を調整することによって微細パターンを形成する、半透過膜による、単層タイプ位相シフトマスクにおいても同様の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−272071号公報
【特許文献2】特開2006−78953号公報
【特許文献3】特開2011−13283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フラットパネル用位相シフトマスクは、ウェットエッチング処理にてパターンプロファイルが形成されるが、所定厚みで形成された位相シフトパターンプロファイルがダレる、つまり、厚みの減少度合いが設定した形状とは異なって、結果的に、位相シフト層の厚さに依存する光強度がゼロになる箇所が所望の状態とは異なり、パターン線幅(幅寸法)が太くなるなどマスクとしての高精細性が低下する可能性があるため好ましくないという問題があった。
しかも、近年におけるフラットパネルディスプレイの配線パターンの微細化に伴って、フラットパネルディスプレイの製造に用いられるフォトマスクにも微細な線幅精度の要求が高まっている。しかし、フォトマスクの微細化に対する露光条件、現像条件等の検討だけでは対応が非常に難しくなってきており、さらなる微細化を達成するための新しい技術が求められるようになってきている。
さらに、露光において上記の波長範囲の複合波長を適用可能とすること、つまり、露光強度の観点からも、異なる波長の光を同時に使用可能とし、同時に高精細性を維持可能とすることが要求されている。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、フラットパネルディスプレイの製造に用いて好適で、微細かつ高精度な露光パターンを形成することが可能で複合波長を適用可能な位相シフトマスクの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の位相シフトマスクの製造方法は、透明基板と、
少なくとも前記透明基板の表面に一定厚みで形成された部分を有するCrを主成分とし、300nm以上500nm以下の波長領域の光に対して180°の位相差をもたせることが可能な位相シフト層を有する位相シフトマスクの製造方法であって、
前記透明基板上に前記位相シフト層を形成する工程と、
前記位相シフト層をウェットエッチングして前記位相シフト層と前記透明基板とが平面視した境界部分を有するように前記位相シフト層をパターニングして位相シフトパターンを形成する工程と、を有し、
前記位相シフト層形成工程において、雰囲気ガス中における酸化性ガスの流量比を設定することで、平面視した前記位相シフト層と前記透明基板との境界部分における前記位相シフトパターンの厚みが前記一定値から減少して前記波長領域における異なる波長の光が位相差をもつように対応する傾斜領域を形成することを特徴とする。
本発明は、上記の製造方法において、
前記位相シフト層の成膜雰囲気としての成膜ガスが、不活性ガス、窒化性ガスと酸化性ガスとを、或いは窒化性ガスと酸化性ガスとを含み、総ガス流量に対して酸化性ガスの流量比が3.68〜14.69%の範囲から選択されてなることができる。
本発明は,上記の製造方法において、
前記位相シフト層形成工程おいて、前記流量比によって前記境界部分における前記位相シフト層の厚みが前記一定値から減少する前記傾斜領域の幅と前記一定値厚みとの比を制御可能とすることができる。
上記の製造方法において、
前記位相シフト層の厚みが前記一定値から減少する前記傾斜領域の幅と前記一定値との比が、
(位相シフト層の厚みが減少する傾斜領域の幅)/(位相シフト層の厚み一定値)≦3、かつ、0ではない、
とされてなることができる。
本発明は、上記のいずれか記載の製造方法において、
前記透明基板上に位相シフト層形成後に位相シフトパターンを形成するか、または、遮
光層から遮光パターンを形成し、前記遮光パターン上に位相シフト層から位相シフトパタ
ーンを形成する工程を有するか、または、
前記透明基板上に位相シフト層を形成し、前記位相シフト層の上にNi、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、W及びHfから選択された少なくとも1種の金属を主成分とするエッチストッパー層を介して形成し、前記エッチングストッパー層上に遮光層を形成して、パターニング形成にて位相シフトパターンを形成する工程を有することでもよい。
【0009】
本発明の位相シフトマスクの製造方法は、透明基板と、
少なくとも前記透明基板の表面に一定厚みで形成された部分を有するCrを主成分とし、300nm以上500nm以下の波長領域の光に対して180°の位相差をもたせることが可能な位相シフト層を有する位相シフトマスクの製造方法であって、
前記透明基板上に前記位相シフト層を形成する工程と、
前記位相シフト層をウェットエッチングして前記位相シフト層と前記透明基板とが平面視した境界部分を有するように前記位相シフト層をパターニングして位相シフトパターンを形成する工程と、を有し
前記位相シフト層形成工程おいて、雰囲気ガス中における酸化性ガスの流量比を設定することで、平面視した前記位相シフト層と前記透明基板との境界部分における前記位相シフトパターンの厚みが前記一定から減少して前記波長領域における異なる波長の光が位相差をもつように対応する傾斜領域を形成することにより、少なくとも、透明基板上における位相シフトパターンの単層部分において、露出した透明基板表面に向けて厚さが減少するように傾斜領域を形成することにより、この傾斜領域が露光に使用する所定波長の光において光強度がゼロになる厚さに対応する箇所が位相シフトパターンの輪郭に沿って形成される。同時に、上記の波長領域の複合波長となる光に対応する厚さに対応する箇所が、あたかも位相シフトパターンの輪郭に対して相似形のように形成されることで、露光において上記の波長範囲の複合波長を同時に適用可能とすることが可能となる。これにより、上記の波長範囲の複合波長を同時に露光に使用することができるので、露光時間の短縮、露光効率の向上を図ることが可能な位相シフトマスクを製造可能とすることができる。
複合波長を同時に露光に使用する位相シフトマスクとは、i線の365nm、h線の405nm、g線の436nmの効果を同時に得られる位相シフトマスクがよいが、i線の365nm、h線の405nmの各々の位相シフト効果が同時に得られる位相シフトマスクでもよい。
【0010】
本発明は、上記の製造方法において、
前記位相シフト層の成膜雰囲気としての成膜ガスが、不活性ガス、窒化性ガスと酸化性ガスとを、或いは窒化性ガスと酸化性ガスとを含み、総ガス流量に対して酸化性ガスの流量比が3.68〜14.69%の範囲から選択されてなることにより、前記傾斜領域における膜厚変化状態を所望の状態に制御することができる。これにより、前記傾斜領域の膜厚が上記の波長範囲の複合波長の光において光強度がゼロになる厚さに対応する複数点を有するように膜厚の減少度合いを制御して、上記の波長範囲の複合波長を同時に露光に使用することができる。
【0011】
本発明は,上記の製造方法において、
前記位相シフト層形成工程おいて、前記流量比によって前記境界部分における前記位相シフト層の厚みが前記一定値から減少する前記傾斜領域の幅と前記一定値厚みとの比を制御可能とすることにより、位相シフト層のパターン輪郭がダレない状態で形成できるので、複合波長の光において光強度がゼロになる厚さに対応する複数点の距離、すなわち位相シフトパターンの線幅、つまりマスクの線幅をより正確に設定することができる。これにより、より高精細化したウェット処理によるマスク製造が可能となる。
【0012】
上記の製造方法において、
前記位相シフト層の厚みが前記一定値から減少する前記傾斜領域の幅と前記一定値との比が、
(位相シフト層の厚みが減少する傾斜領域の幅)/(位相シフト層の厚み一定値)≦3、かつ、0ではない、とされてなること、つまり、
−3≦(厚みの減少する傾斜領域の幅)/(位相シフト層の厚み一定値)≦3
とすることができる。ここで、距離がマイナスとは、前記傾斜領域がえぐれた形状、つまり、位相シフト層の厚み一定値の端点から透明基板の露出側ではなくその反対側に位相シフト層の厚みが減少していることを意味している。この場合でも、上記の範囲に設定することで、傾斜領域において、複合波長を同時に露光に使用することができる。なお、位相シフト層の厚みが減少する距離、つまり、傾斜領域の幅寸法が上記の範囲を超えた場合には、複合波長の光において光強度がゼロになる箇所が離れすぎてしまうことにより、マスクパターンに対する露光輪郭がぼやけてしまう可能性があるため好ましくない。


【0013】
本発明は、上記のいずれか記載の製造方法において、
前記透明基板上に位相シフト層形成後に位相シフトパターンを形成するか、または、遮光層から遮光パターンを形成し、前記遮光パターン上に位相シフト層から位相シフトパターンを形成する工程を有するか、または、
前記透明基板上に位相シフト層を形成し、前記位相シフト層の上にNi、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、W及びHfから選択された少なくとも1種の金属を主成分とするエッチングストッパー層を介して形成し、前記エッチングストッパー層上に遮光層を形成して、パターン形成にて位相シフトパターンを形成する工程を有することで、露光領域において、位相シフト層単層からなる位相シフトマスク、位相シフト層が上側に位置し、その下側に遮光層が位置するいわゆる上置き型の位相シフトマスク、位相シフト層が下側に位置し、その上側にエッチングストッパー層を介して遮光層が位置するいわゆる下置き型の位相シフトマスクに対応することができる。なお、いずれの場合でも、傾斜領域を含む前記境界部分は位相シフト層単層からなるものとされる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、フラットパネルディスプレイの製造に用いて好適で、微細かつ高精度な露光パターンを形成することが可能な位相シフトマスクの製造方法を提供することができる。


【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る位相シフトマスクを示す模式断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る位相シフトマスクの製造工程を説明する工程図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る位相シフトマスクを示す模式断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る位相シフトマスクの製造工程を説明する工程図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る位相シフトマスクを示す模式断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る位相シフトマスクの製造工程を説明する工程図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る位相シフトマスクを示す模式断面図である。
図8】本発明に係る位相シフトマスクの実験例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
以下では、本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る位相シフトマスクを示す模式断面図であり、図において、M1は位相シフトマスクである。
【0018】
本実施形態の位相シフトマスクM1は、図1に示すように、ガラス基板(透明基板)S表面に設けられ、180°の位相差をもたせることが可能な位相シフト層11単層からなる位相シフトパターン11aを有するものとされ、例えばFPD用ガラス基板に対するパターニング用マスクとして構成される。後述するように、当該マスクを用いたガラス基板のパターニングには、露光光にi線、h線及びg線の複合波長が用いられる。
【0019】
位相シフトマスクM1は、露光パターンの形成された露光領域において、平面視してガラス基板Sが露出する部分Cと、形成された位相シフトパターン11aとの境界部分B1において、位相シフトパターン11aの厚みが一定値T11とされる均一厚さ領域B1aと、この厚みの一定値T11から減少する傾斜領域B1bとを有する。
【0020】
透明基板Sとしては、透明性及び光学的等方性に優れた材料が用いられ、例えば、石英ガラス基板を用いることができる。透明基板Sの大きさは特に制限されず、当該マスクを用いて露光する基板(例えばFPD用基板、半導体基板)に応じて適宜選定される。本実施形態では、径寸法100mm程度の基板や、一辺50〜100mm程度から、一辺300mm以上の矩形基板に適用可能であり、更に、縦450mm、横550mm、厚み8mmの石英基板や、最大辺寸法1000mm以上で、厚み10mm以上の基板も用いることができる。
【0021】
また、透明基板Sの表面を研磨することで、透明基板Sのフラットネスを低減するようにしてもよい。透明基板Sのフラットネスは、例えば、20μm以下とすることができる。これにより、マスクの焦点深度が深くなり、微細かつ高精度なパターン形成に大きく貢献することが可能となる。さらにフラットネスは10μm以下と、小さい方が良好である。
【0022】
位相シフト層11は、Crを主成分とするものであり、具体的には、Cr単体、並びにCrの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選択される1つで構成することができ、また、これらの中から選択される2種以上を積層して構成することもできる。
【0023】
位相シフト層11は、300nm以上500nm以下の波長領域の何れかの光(例えば、波長365nmのi線、波長405nmのh線、波長436のg線)に対して略180°の位相差をもたせることが可能な厚さ(例えば、90〜170nm)で形成される。位相シフト層11は、例えば、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、レーザ蒸着法、ALD法等により成膜できる。
【0024】
位相シフトパターン11aは、均一厚さ領域B1aにおける厚さT11が、この境界部分B1以外における位相シフトパターン11aの厚さと等しくされるとともに、この厚さT11は、g線に対応した光強度がゼロになる厚さTg(例えば145.0nm)に対応した値とされている。あるいは、位相シフト層11の厚さT11はTgよりも大きな値とし、Th,Tiに対応する厚さを傾斜領域B1bに位置するようにすることができる。
【0025】
位相シフトパターン11aは、傾斜領域B1bにおいて厚さが変化する傾斜面11sを有する。具体的には、傾斜領域B1bの幅方向が、位相シフトパターン11aの厚さT11の端部11tから厚さゼロでガラス基板Sが露出する部分Cとの端部11uまでとされ、厚さが減少する向きにその幅寸法が設定される。
【0026】
傾斜領域B1bは、その傾斜面11s表面に、h線に対応した光強度がゼロになる厚さTh(例えば133.0nm)に対応した厚さと、i線に対応した光強度がゼロになる厚さTi(例えば120.0nm)に対応した厚さとされた箇所を有する。これらの厚さTg、厚さTh、厚さTiとなる箇所がそれぞれ所定の範囲に収まるように傾斜面11sの傾斜状態が設定されている。
【0027】
具体的には、傾斜領域B1bにおいて、位相シフトパターン11aの厚さT11に対する厚みの減少する距離B1bの比が、
−3≦B1b/T11≦3
となるように設定されている。ここで、傾斜領域B1bにおいて厚みの減少する距離B1bとは、平面視した傾斜面11sの幅寸法、言い換えると、平面視した傾斜領域の幅寸法B1bである。
この距離B1bは、図1において、位相シフトパターン11aの厚さT11の端部11tから厚さゼロの端部11uまでとされ、均一厚さ領域B1aからガラス基板Sが露出する部分Cに向かう方向を正とし、位相シフトパターン11aの厚さT11の端部11tからガラス基板Sが露出する部分Cと反対側に向かう場合を負とする。なお、図1においては、端部11tから右側に向かう場合を正とし、左側に向かう場合を負とする。
【0028】
当該位相シフトマスクM1によれば、上記波長領域の光、特にg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)を含む複合波長を露光光として用いることで、位相の反転作用により光強度が最小となるようにパターン輪郭を形成して、露光パターンをより鮮明にすることができる。しかも、これらのブロードな複合波長の光に対していずれの波長でも位相シフト効果を得ることができる。これにより、パターン精度が大幅に向上し、微細かつ高精度なパターン形成が可能となる。位相シフト層は、例えば、酸化窒化炭化クロム系材料で形成することができ、上記位相シフト層の厚みは、i線、h線またはg線に対して同時に略180°の位相差をもたせる厚みをそれぞれパターン輪郭形状に沿って形成することができる。ここで「略180°」とは、180°又は180°近傍を意味し、例えば、180°±10°以下、または、180°±5°以下である。この位相シフトマスクによれば、上記波長領域の光を用いることで位相シフト効果に基づくパターン精度の向上を図ることができ、微細かつ高精度なパターン形成が可能となる。これにより、高画質のフラットパネルディスプレイを製造することができる。
【0029】
本実施形態の位相シフトマスクは、例えばFPD用ガラス基板に対するパターニング用マスクとして構成することができる。後述するように、当該マスクを用いたガラス基板のパターニングには、露光光にi線、h線及びg線の複合波長が用いられる。
【0030】
以下、本実施形態の位相シフトマスクM1を製造する位相シフトマスクの製造方法について説明する。
図2は、本実施形態に係る位相シフトマスクの製造方法を模式的に示す工程図である。
本実施形態の位相シフトマスクM1は、図2(J)に示すように、露光領域の外側に当たる周辺部に位置合わせ用のアライメントマークを有し、このアライメントマークが遮光層13aで形成されている。なお、アラインメントマーク形成のために本実施例では、遮光層が形成されているが、前記アライメントマーク用遮光層はなく、半透過層、具体的には位相シフト層にてアライメントマークを形成してもよい。
【0031】
まず、図2(a)に示すように、ガラス基板S上にCrを主成分とする遮光層13を形成する。次に、図2(b)に示すように、遮光層13の上にフォトレジスト層14を形成する。フォトレジスト層14は、ポジ型でもよいしネガ型でもよい。続いて、図2(c)に示すように、フォトレジスト層14を露光及び現像することで、遮光層13の上にレジストパターン14aが形成される。レジストパターン14aは、遮光層13のエッチングマスクとして機能し、遮光層13のエッチングパターンに応じて適宜形状が定められる。図2(c)では、ガラス基板Sの周縁の所定範囲内にわたって遮光層を残存させるべく、レジストパターン14aを形成した例を示す。フォトレジスト層14としては、液状レジストが用いられる。
【0032】
続いて、図2(d)に示すように、このレジストパターン14a越しに第1エッチング液を用いて遮光層13をウェットエッチングする。第1エッチング液としては、硝酸セリウム第2アンモニウムを含むエッチング液を用いることができ、例えば、硝酸や過塩素酸等の酸を含有する硝酸セリウム第2アンモニウムを用いることが好ましい。
【0033】
これにより、ガラス基板S上に所定形状にパターニングされた遮光層13aが形成される。遮光層13aのパターニング後、図2(e)に示すように、レジストパターン14aは除去される。レジストパターン14aの除去には、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。
【0034】
次に、位相シフト層11を形成する。位相シフト層11は、図2(f)に示すように、ガラス基板Sの上に遮光層11aを被覆するように形成される。位相シフト層11は、例えば、酸化窒化炭化クロム系材料からなり、DCスパッタリング法で成膜される。この場合、プロセスガスとして、窒化性ガス及び酸化性ガスの混合ガス、又は、不活性ガス、窒化性ガス及び酸化性ガスの混合ガスを用いることができる。成膜圧力は、例えば、0.1Pa〜0.5Paとすることができる。不活性性ガスとしては、ハロゲン、特にアルゴンを適用することができる。
酸化性ガスには、CO、CO、NO、NO、NO、O等が含まれる。窒化性ガスには、NO、NO、NO、N等が含まれる。不活性ガスとしては、Ar、He、Xe等が用いられるが、典型的には、Arが用いられる。なお、上記混合ガスに、CH等の炭化性ガスがさらに含まれてもよい。
【0035】
混合ガス中の窒化性ガス及び酸化性ガスの流量(濃度)は、位相シフト層11の光学的性質(透過率、屈折率など)を決定する上で重要なパラメータである。本実施形態では、不活性ガス31.7%以上35.9%以下、窒化性ガス53.6%以上60.6%以下、酸化性ガス3.6%以上14.7%以下の条件で、混合ガスが調整される。あるいは、不活性ガス85.3%以上96.4%以下、酸化性ガス3.6%以上14.7%以下の条件で、混合ガスが調整される。ガス条件を調整することで、位相シフト層11の屈折率、透過率、反射率、厚み等を最適化することが可能である。ここで、酸化性ガスとしては、二酸化炭素をあげることができる。上記条件の混合ガスで成膜することにより、例えばi線に関しての透過率が1〜20%である位相シフト層を得ることができる。透過率は0.5%以上であってもよい。
【0036】
位相シフト層11の厚みT11は、傾斜領域B1bにおいて、300nm以上500nm以下の波長領域にあるg線とh線とi線に対して180°の位相差をもたせることが可能な厚みとされる。180°の位相差が付与された光は、位相が反転することで、位相シフト層11を透過しない光との間の干渉作用によって、当該光の強度が打ち消される。このような位相シフト効果により、光強度が最小(例えばゼロ)となる領域が形成されるため露光パターンが鮮明となり、微細パターンを高精度に形成することが可能となる。
【0037】
本実施形態では、上記波長領域の光は、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)の複合光(多色光)であり、目的とする波長の光に対して180°の位相差を付与し得る厚みで位相シフト層11が形成される。上記目的とする波長の光はi線、h線及びg線のうち何れでもよいし、これら以外の波長領域の光でもよい。位相を反転するべき光が短波長であるほど微細なパターンを形成することができる。
位相シフト層11の膜厚は、透明基板Sの面内において露光領域内で境界部分B1以外では少なくとも均一であることが好ましい。
【0038】
位相シフト層11の反射率は、例えば、40%以下とする。これにより、当該位相シフトマスクを用いた被処理基板(フラットパネル基板又は半導体基板)のパターニング時にゴーストパターンを形成し難くして良好なパターン精度を確保することができる。
位相シフト層11の透過率及び反射率は、成膜時のガス条件によって任意に調整することができる。上述した混合ガス条件によれば、i線に関して1%以上20%以下の透過率、及び40%以下の反射率を得ることができる。透過率は0.5%以上であってもよい。
【0039】
さらに、位相シフト層11の成膜条件として、雰囲気ガス中における酸化性ガスの流量比を設定することで、傾斜領域B1bの形状を設定する。
位相シフト層11の成膜時における酸化性ガスの流量を調節することで、位相シフト層11におけるエッチング状態を制御して傾斜面11sの形状を設定する。
【0040】
位相シフト層11の成膜雰囲気としての成膜ガスが、不活性ガス、窒化性ガスと酸化性ガス、或いは窒化性ガスと酸化性ガスとを含み、総ガス流量に対して酸化性ガスの流量比が3.68〜14.69%の範囲から選択されてなるとともに、酸化性ガスの流量比を減らすことで、位相シフトパターン11aの厚さT11に対する厚みの減少する距離B1bの比
B1b/T11
を小さくして、傾斜面11sの傾斜を大きくするとともに、酸化性ガスの流量比を増やすことで、この比の値を大きくする。
【0041】
酸化性ガスの流量比によって、傾斜面11sの傾斜状態をコントロールして、g線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)を含む複合波長を露光光として用いた際に、位相の反転作用により光強度が最小となるようにパターン輪郭を形成して、露光パターンをより鮮明にする厚さとなるように境界部分B1の傾斜領域B1bの厚さ変化をエッチング後に設定可能とすることができる。
【0042】
例を挙げると、成膜圧力は、0.4Paとし、スパッタ成膜時の混合ガスの流量比をAr:N:CO=71:120:7.3〜71:120:32.9に制御することができる。これにより、前記傾斜領域の膜厚が上記の波長範囲の複合波長の光において光強度がゼロになる厚さに対応する複数点を有するように膜厚の減少度合いを制御して、上記の波長範囲の複合波長を同時に露光に使用することができる。
【0043】
続いて、図2(g)に示すように、位相シフト層11の上にフォトレジスト層14が形成される)。次に、図2(h)に示すように、フォトレジスト層14を露光及び現像することで、位相シフト層11の上にレジストパターン14aが形成される。レジストパターン14aは、位相シフト層11のエッチングマスクとして機能し、位相シフト層11のエッチングパターンに応じて適宜形状が定められる。
【0044】
続いて、位相シフト層11が所定のパターン形状にエッチングされる。これにより、図2(i)に示すように、ガラス基板S上に所定形状にパターニングされた位相シフト層11aおよびガラス基板Sの露出した領域Cが形成される。位相シフト層11aのパターニング後、図2(j)に示すように、レジストパターン14aは除去される。レジストパターン14aの除去には、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。
【0045】
本実施形態において、位相シフト層11を形成する工程において、酸化性ガスの流量比によって境界部分B1における傾斜領域の幅B1bである位相シフト層11の厚みが一定値T11から減少する距離B1bと一定値厚みT11との比を制御可能とすることにより、位相シフトパターン11aの輪郭が所定範囲となるよう形成できるので、i線、h線、g線の複合波長の光において光強度がゼロになる厚さに対応する複数点の距離、すなわち位相シフトパターン11aの線幅、つまりマスクの線幅をより正確に設定することができる。これにより、より高精細化したウェット処理によるマスク製造が可能となる。
【0046】
以下、本実施形態に係る位相シフトマスクM1を用いたフラットパネルディスプレイの製造方法について説明する。
【0047】
まず、絶縁層及び配線層が形成されたガラス基板の表面に、フォトレジスト層を形成する。フォトレジスト層の形成には、例えばスピンコータが用いられる。フォトレジスト層は加熱(ベーキング)処理を施された後、位相シフトマスク1を用いた露光処理が施される。露光工程では、フォトレジスト層に近接して位相シフトマスクM1が配置される。そして、位相シフトマスク1を介して300nm以上500nm以下のg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)を含む複合波長をガラス基板の表面に照射する。本実施形態では、上記複合波長の光に、g線、h線及びi線の複合光が用いられる。これにより、位相シフトマスクM1のマスクパターンに対応した露光パターンがフォトレジスト層に転写される。
【0048】
本実施形態によれば、位相シフトマスクM1は、300nm以上500nm以下の波長領域の複合光に対して180°の位相差をもたせることが可能な位相シフト層11aを有する。したがって、上記製造方法によれば、上記波長領域の光を用いることで位相シフト効果に基づくパターン精度の向上を図ることができ、さらに焦点深度を深くすることができるため、微細かつ高精度なパターン形成が可能となる。また、露光エネルギー効率を向上することができ、低コスト化にもつながる。これにより、高画質のフラットパネルディスプレイを製造することができる。
【0049】
本発明者らの実験によれば、当該位相シフト層を有しないマスクを用いて露光した場合、目標とする線幅(2±0.5μm)に対して30%以上のパターン幅のずれが生じていたが、本実施形態の位相シフトマスクM1を用いて露光した場合、7%程度のずれに抑えられることが確認された。また、露光エネルギー効率を15%向上することができた。
【0050】
<第2実施形態>
以下では、本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の第2実施形態について、図面に基づいて説明する。
図3は、本実施形態に係る位相シフトマスクを示す模式断面図であり、図4は、本実施形態に係る位相シフトマスクの製造方法を模式的に示す工程図であり、図において、M2は位相シフトマスクである。なお、図3図4において、図1図2と対応する部分については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0051】
本実施形態の位相シフトマスクM2は、図3に示すように、ガラス基板(透明基板)S表面に設けられ、180°の位相差をもたせることが可能な位相シフトパターン11aが下側に位置し、その上側にエッチングストッパーパターン12bを介して遮光パターン13bが位置するいわゆる下置き型の位相シフトマスクとされる。
【0052】
位相シフトマスクM2は、図3および図4(g)に示すように、露光パターンの形成された露光領域において、平面視してガラス基板Sが露出する部分Cと位相シフトパターン11aとの境界部分B1と、位相シフトパターン11aの上側にエッチングストッパーパターン12bを介して遮光パターン13bが形成された遮光領域B2とを有する。遮光領域B2において、位相シフトパターン11aの厚みが一定値T11とされるとともに、平面視して、この露光パターンとなる遮光領域B2を囲むように位相シフトパターン11a単層とされる境界部分B1が位置している。境界部分B1では、遮光領域B2側に均一厚さ領域B1aが位置し、ガラス基板Sが露出する部分C側に傾斜領域B1bが位置している。
【0053】
本発明の位相シフトマスクブランクスMBは、図4(a)に示すように、ガラス基板S上に、DCスパッタリング法を用いて、Crを主成分とする位相シフト層11、Niを主成分とするエッチングストッパー層12及びCrを主成分とする遮光層13を順に成膜することで製造される。これらの各層はガラス基板S面内方向において、均一厚さとして成膜される。
この位相シフトマスクブランクスMBの各相の成膜時において、位相シフト層11の成膜時における成膜条件は、上述した実施形態における成膜条件とされ、雰囲気ガスにおける酸化性ガスの流量比を設定することで、後工程であるエッチング時に傾斜面11sの傾斜状態を制御可能とされる。
【0054】
以下、上記位相シフトマスクブランクスMBから位相シフトマスクM2を製造する位相シフトマスクの製造方法について説明する。
【0055】
次に、図4(b)に示すように、位相シフトマスクブランクスMBの最上層である遮光層13の上にフォトレジスト層14が形成される。フォトレジスト層14は、ポジ型でもよいしネガ型でもよい。フォトレジスト層14としては、液状レジストが用いられる。
【0056】
続いて、図4(c)に示すように、フォトレジスト層14を露光及び現像することで、領域を除去して遮光層13の上にレジストパターン14aが形成される。レジストパターン14aは、遮光層13のエッチングマスクとして機能し、遮光層13のエッチングパターンに応じて適宜形状が定められる。一例として、遮光層13においては、レジストパターン14aの開口幅寸法に対応して開口幅を有する形状に設定される。
【0057】
次いで、図4(d)に示すように、このレジストパターン14a越しに第1エッチング液を用いて遮光層13をウェットエッチングする。第1エッチング液としては、硝酸セリウム第2アンモニウムを含むエッチング液を用いることができ、例えば、硝酸や過塩素酸等の酸を含有する硝酸セリウム第2アンモニウムを用いることが好ましい。ここで、エッチングストッパー層12は第1エッチング液に対して高い耐性を有するため、遮光層13のみがパターニングされて遮光パターン13aが形成される。遮光パターン13aは、レジストパターン14aに対応した開口幅を有する形状とされる。
【0058】
次いで、図4(e)に示すように、上記レジストパターン14a越しに第2エッチング液を用いてエッチングストッパー層12をウェットエッチングする。第2エッチング液としては、硝酸に酢酸、過塩素酸、過酸化水素水及び塩酸から選択した少なくとも1種を添加したものを好適に用いることができる。ここで、遮光層13及び位相シフト層11は第2エッチング液に対して高い耐性を有するため、エッチングストッパー層12のみがパターニングされてエッチングストッパーパターン12aが形成される。エッチングストッパーパターン12aは、遮光パターン13aおよびレジストパターン14aの開口幅寸法に対応した開口幅を有する形状とされる。
【0059】
次いで、図4(f)に示すように、レジストパターン14a越しに、つまり、レジストパターン14aを除去しない状態で、第1エッチング液を用いて位相シフト層11をウェットエッチングする。ここで、遮光パターン13aは位相シフト層11と同じCr系材料で構成され、遮光パターン13aの側面は露出しているため、位相シフト層11がパターニングされて位相シフトパターン11aが形成される。同時に、ガラス基板Sが露出する部分Cが形成される。位相シフトパターン11aは図3に詳細を示したように、傾斜領域B1bを有する形状とされる。同時に、遮光パターン13aもさらにサイドエッチングされて、位相シフトパターン11aの開口幅寸法よりも大きな開口幅を有する遮光領域B2形状を有する遮光パターン13bが形成される。
【0060】
次いで、第2エッチング液を用いて遮光パターン13bの側面から露出しているエッチングストッパー層12aをウェットエッチングして、遮光パターン13bに対応した開口幅を有するエッチングストッパーパターン12bとして、レジストパターン14aを除去する。レジストパターン14aの除去には、公知のレジスト剥離液を用いることができるため、ここでは詳細な説明を省略する。尚、レジストパターンの除去は遮光パターン13b形成後でも良好である。
【0061】
以上により、図4(g)に示すように、遮光領域B2を囲むように位相シフトパターン11a単層とされる境界部分B1が形成され、境界部分B1には、ガラス基板Sが露出する部分Cに位置している傾斜領域B1bと、遮光領域B2側に位置している均一厚さ領域B1aとが形成され、位相シフトパターン11bの開口幅よりも遮光パターン13b(及びエッチングストッパーパターン12b)の開口幅が広いエッジ強調型の位相シフトマスクM2が得られる。
【0062】
図4においては、位相シフトパターン11bの側面が垂直に形成されているように示しているが、実際には、図3に示すように、傾斜面11sが形成されている。また、遮光パターン13bの側面も同様であり、図4においては、垂直に形成されているように示しているが、実際には、図3に示すように、傾斜面13sが形成されている。
【0063】
本実施形態によれば、透明基板S上に、位相シフト層11、エッチングストッパー層12及び遮光層13をこの順で積層して位相シフトマスクブランクスMBを構成する際に、位相シフト層11形成時における酸化性ガスの流量比の設定によってエッチングレートを制御したことにより、エッジ強調型の位相シフトマスクM2を製造できる。従って、高精細な視認性の高い位相シフトマスクMを製造できる。
【0064】
本実施形態によれば、透明基板S上に、位相シフトパターン11a、エッチングストッパーパターン12b及び遮光パターン13aをこの順で積層した位相シフトマスクM2において、位相シフトパターン11bが単層となっている境界部分B1を形成し、上述した単層の位相シフトマスクM1と同様に、位相シフト層11の形成時における酸化性ガス流量比を設定することにより、傾斜面11sを含む境界部分B1の厚さ設定を所望の状態となるように制御したことにより、複合波長においても各波長に対応した厚み箇所を遮光領域B2形状(パターン輪郭)に沿った所定の範囲に位置させて高精細なエッジ強調型の位相シフトマスクM2を製造できる。
【0065】
また、位相シフト層11は、Crの酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選択される何れか1種で構成され、位相シフト効果が十分に発揮される膜厚となる傾斜面11sを有する。このような位相シフト効果が十分に発揮される膜厚を有するためには、エッチング時間が遮光層13のエッチング時間に対して1倍を越えるように長くなってしまうが、各層間の付着強度が十分高いことから、ラインラフネスが概直線状であり、かつ、複合波長とされる光に対する光学的には、パターン断面が垂直に対応した傾斜面11sを有する境界部分B1形状となる。このため、フォトマスクとして良好なパターンの形成を行うことが可能となる。
【0066】
また、エッチングストッパー層12としてNiを含む膜を使用することで、Crを含む遮光層13およびCrを含む位相シフト層11との付着強度を十分高めることができる。 このため、ウェットエッチング液にて遮光層13、エッチングストッパー層12及び位相シフト層11をエッチングするときに、遮光層13とエッチングストッパー層12の界面や、エッチングストッパー層12と位相シフト層11の界面からエッチング液がしみ込まないので、形成される遮光パターン13b、位相シフトパターン11aのCD精度を高めることができ、かつ、膜の断面形状をフォトマスクにとって良好な位相シフト効果を呈する傾斜面11sを有する境界部分B1形状とすることができる。
【0067】
さらに、遮光パターン13aのエッチング速度は、遮光層13の組成やエッチングストッパー層12と遮光層13との界面状態の影響を受ける。例えば遮光層13を、クロムを主成分とした層と酸化クロムを主成分とした層との2層の膜で構成した場合に、クロムを主成分とした層のクロム成分の比率を高くすればエッチング速度を高くできる一方で、クロム成分の比率を低くすればエッチング速度を低くできる。遮光パターン13aのエッチング量としては、例えば、200nm〜1000nmの範囲内で設定できる。
【0068】
また、本実施形態においては、図3に示すように、位相シフト層11形成時における酸化性ガスの流量比の設定によってエッチングレートを制御したことにより、傾斜面11sが下に凸、つまり、傾斜面11sがガラス基板S側に湾曲した凹面となった例を示している。この場合、図1に示した第1実施形に比べ、h線、i線に対応した厚さがより狭い範囲に位置するので、露光パターン形状の正確性をより一層向上することができる。
【0069】
同時に、位相シフト層11形成時における酸化性ガスの流量比の設定によってエッチングストッパー層12と遮光層13、エッチングストッパー層12と位相シフト層11のそれぞれの界面における、遮光層13と位相シフト層11とのエッチングレートを好適な範囲に設定することができるので、遮光層13とエッチングストッパー層12の界面や、エッチングストッパー層12と位相シフト層11の界面付近でのエッチング量を制御して、形成される遮光パターン13b、位相シフトパターン11aのCD精度を高めることができ、かつ、膜の断面形状をフォトマスクにとって良好な傾斜面11sを有する形状とすることができる。
【0070】
本実施形態によれば、位相シフトマスク1は、300nm以上500nm以下の波長領域のいずれかの光に対して180°の位相差をもたせることが可能な傾斜面11sを有する位相シフトパターン11aを有する。したがって、上記製造方法によれば、上記波長領域の光を用いることで位相シフト効果に基づくパターン精度の向上を図ることができ、さらに焦点深度を深くすることができるため、微細かつ高精度なパターン形成が可能となる。これにより、高画質のフラットパネルディスプレイを製造することができる。
【0071】
また、本実施形態では、遮光層11を基板Sの全面に成膜した後、必要部位をエッチングすることで遮光パターン11aを形成したが、これに代えて、遮光層11の形成領域が開口するレジストパターンを形成した後、遮光層11を形成してもよい。遮光層11の形成後、上記レジストパターンを除去することにより、必要領域に遮光層11を形成することが可能となる(リフトオフ法)。なお、前記遮光パターンはなく、基板全面に位相シフト層が形成され、位相シフトパターンが形成される場合であってもよい。
【0072】
本発明の位相シフトマスクにおいては、透明基板と、該透明基板の表面に形成された、Crを主成分とする位相シフト層と、前記透明基板から離間する側の前記位相シフト層表面に形成された、Ni、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、W及びHfから選択された少なくとも1種の金属を主成分とするエッチングストッパー層と、前記位相シフト層から離間する側の前記エッチングストッパー層上に形成された、Crを主成分とする遮光層と、を備え、平面視した前記位相シフト層に形成された位相シフトパターンの線幅よりも前記遮光層に形成された遮光パターンの線幅が狭く設定される位相シフトマスクを製造する方法であって、前記透明基板に、前記位相シフト層と前記エッチングストッパー層と前記遮光層とを形成する工程と、前記遮光層上に所定の開口パターンを有するマスクを形成する工程と、この形成したマスク越しに前記遮光層と前記エッチングストッパー層とを順次エッチングして遮光パターンとエッチングストッパーパターンとを形成する工程と、前記マスク越しに前記位相シフト層をウェットエッチングし位相シフトパターンを形成する工程と、前記エッチングストッパー層を更にエッチングする工程と、を有し、前記位相シフト層のエッチングレートの前記透明基板側と前記エッチングストッパー層側とにおける比を設定し、エッチング処理時間を制御することで、前記位相シフト層の厚さ寸法に対する平面視した側面の幅寸法の比を所定の範囲に設定することができる。
【0073】
<第3の実施形態>
以下では、本発明に係る位相シフトマスクの製造方法の第3実施形態について、図面に基づいて説明する。
図5は、本実施形態に係る位相シフトマスクを示す模式断面図であり、図6は、本実施形態に係る位相シフトマスクの製造方法を模式的に示す工程図であり、図において、M3は位相シフトマスクである。なお、図5図6において、図1図4と対応する部分については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0074】
本実施形態の位相シフトマスクM3は、図5に示すように、ガラス基板(透明基板)S表面に設けられ、180°の位相差をもたせることが可能な位相シフトパターン11aが上側に位置し、その下側に遮光パターン13aが位置するいわゆる上置き型の位相シフトマスクとされる。
【0075】
位相シフトマスクM3は、図5および図6(l)に示すように、露光パターンの形成された露光領域において、平面視してガラス基板Sが露出する部分Cと位相シフトパターン11aとの境界部分B1と、位相シフトパターン11aの下側に遮光パターン13aが形成された遮光領域B3とを有する。遮光領域B3において、位相シフトパターン11aの厚みが一定値T11とされるとともに、平面視して、この露光パターンとなる遮光領域B3を囲むように位相シフトパターン11a単層とされる境界部分B1が位置している。境界部分B1では、遮光領域B3側に均一厚さ領域B1aが位置し、ガラス基板Sが露出する部分C側に傾斜領域B1bが位置している。
【0076】
本実施形態に係る位相シフトマスクの製造方法においては、まず、図6(a)に示すように、ガラス基板S上に遮光層13が形成される。
【0077】
次に、図6(b)に示すように、遮光層13の上にフォトレジスト層14が形成される。続いて、図6(c)(d)に示すように、フォトレジスト層14を露光及び現像することで、領域14pを除去して遮光層13の上にレジストパターン14aが形成される。レジストパターン14aは、遮光層13のエッチングマスクとして機能し、遮光層13のエッチングパターンに応じて適宜形状が定められる。
【0078】
続いて、図6(e)に示すように、遮光層13がエッチングにより所定のパターン形状にパターニングされる。これにより、ガラス基板S上に所定形状の遮光パターン13aが形成される。 遮光層13のエッチング工程においては、ウェットエッチング法又はドライエッチング法が適用可能であり、特に基板Sが大型である場合、ウェットエッチング法を採用することによって低コストにて均一性の高いエッチング処理が実現可能となる。遮光層11のエッチング液は適宜選択可能であり、遮光層11がクロム系材料である場合、例えば、硝酸第2セリウムアンモニウムと過塩素酸の水溶液を用いることができる。このエッチング液は、ガラス基板との選択比が高いため、遮光層11のパターニング時に基板10を保護することができる。一方、遮光層11が金属シリサイド系材料で構成される場合、エッチング液としては、例えば、フッ化水素アンモニウムを用いることができる。
遮光層13のパターニング後、図6(f)に示すように、レジストパターン14aは除去される。レジストパターン14aの除去には、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。
【0079】
次に、図6(g)に示すように、位相シフト層11が形成される。位相シフト層11は、ガラス基板Sのほぼ全面で遮光パターン13aを被覆するように形成される。
位相シフト層11の成膜方法としては、電子ビーム(EB)蒸着法、レーザ蒸着法、原子層成膜(ALD)法、イオンアシストスパッタリング法等が適用可能であり、特に大型基板の場合には、DCスパッタリング法を採用することによって、膜厚均一性に優れた成膜が可能である。なお、DCスパッタリング法に限られず、ACスパッタリング法やRFスパッタリング法が適用されてもよい。
位相シフト層11は、クロム系材料で構成される。特に本実施形態では、位相シフト層11は、窒化酸化炭化クロムで構成される。クロム系材料によれば、特に大型の基板上において良好なパターニング性を得ることができる。
【0080】
位相シフト層11の成膜においては、上述した実施形態における成膜条件と同様にして、酸化性ガス(二酸化炭素ガス)の雰囲気ガス中における流量比を設定することで、エッチング工程における位相シフト層11のエッチングレートを制御し、傾斜面11sの傾斜状態をコントロールする。
【0081】
続いて、図6(h)に示すように、位相シフト層11の上にフォトレジスト層14が形成される。次に、図6(i)(j)に示すように、フォトレジスト層14を露光及び現像することで、位相シフト層11の上にレジストパターン14aが形成される。レジストパターン14aは、位相シフト層11のエッチングマスクとして機能し、位相シフト層11のエッチングパターンに応じて適宜形状が定められる。
【0082】
続いて、図6(k)に示すように、位相シフト層11が所定のパターン形状にエッチングされる。これにより、ガラス基板S上に所定形状の位相シフトパターン11aおよびガラス基板Sの露出した領域Cが形成される。位相シフト層11のエッチング工程は、ウェットエッチング法又はドライエッチング法が適用可能であり、特に基板Sが大型である場合、ウェットエッチング法を採用することによって低コストで均一性の高いエッチング処理が実現可能となる。位相シフト層11のエッチング液は、適宜選択可能であり、本実施形態では、硝酸第2セリウムアンモニウムと過塩素酸の水溶液を用いることができる。このエッチング液は、ガラス基板との選択比が高いため、位相シフト層11のパターニング時に基板Sを保護することができる。
【0083】
位相シフトパターン11aの形成後、レジストパターン14aは除去され、図6(l)に示すように、本実施形態に係る位相シフトマスクM3が製造される。レジストパターン14aの除去には、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。
【0084】
本実施形態によれば、透明基板S上の露光領域において、遮光領域B3として遮光パターン13a、位相シフトパターン11aをこの順で積層した位相シフトマスクM3は、位相シフトパターン11aが単層となっている境界部分B1を形成し、上述した単層の位相シフトマスクM1や下置き型の位相シフトマスクM2と同様に、位相シフト層11の形成時における酸化性ガス流量比を設定することにより、傾斜面11sを含む境界部分B1の厚さ設定を所望の状態となるように制御することができる。これにより、複合波長においても各波長に対応した厚み箇所を遮光領域B3形状(パターン輪郭)に沿った所定の範囲に位置させて高精細なエッジ強調型の位相シフトマスクM3を製造できる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0086】
特に、境界部分B1における傾斜面11sの傾斜状態に関しては、位相シフト層11の形成時における酸化性ガス流量比を設定することにより、図1図3図5図7のように、傾斜面11sが最も傾斜の緩い最も寝た図1の状態から、図3図5になるにつれて傾斜面11sが立ち上がって傾斜がきつくなるとともに、図7に示す例では、傾斜面11sの傾斜が逆向きになり、ガラス基板Sの露出する領域Cとの端部11uが均一厚さの端部11tよりもガラス基板Sの露出する領域Cとは逆側に位置するようにえぐれている状態までを設定するができる。この図7に示す例では、厚みの減少する距離B1bがマイナスとなり、位相シフトパターン11aの厚さT11に対する比の値が負となるため、−3≦B1b/T11≦0
となるように設定できる。
【0087】
本発明の製造方法において、前記位相シフト層の成膜雰囲気としての成膜ガスが、不活性ガスと窒化性ガスと酸化性ガス、或いは窒化性ガスと酸化性ガスとを含み、総ガス流量に対して酸化性ガスの流量比が
3.68〜14.69%
の範囲から選択されてなることが可能である。
本発明では、平面視した前記位相シフト層に形成された位相シフトパターンにおいて前記境界部分の平面視した前記透明基板と反対側にCrを主成分とする遮光層に形成された遮光パターンを有し、前記遮光層を前記位相シフト層よりも前記透明基板側に形成する工程を有するか、または、前記遮光層を前記位相シフト層の前記透明基板とは反対側に、Ni、Co、Fe、Ti、Si、Al、Nb、Mo、W及びHfから選択された少なくとも1種の金属を主成分とするエッチングストッパー層を介して形成する工程を有することができる。
【0088】
上記効果を確認するため、次の実験を行った。即ち、ガラス基板S上に、スパッタリング法により、位相シフト層11たるクロムの酸化窒化炭化膜を145nmの厚さで成膜した。
【0089】
この位相シフト層11上にレジストパターン14aを形成し、このレジストパターン14a越しに硝酸セリウム第2アンモニウムと過塩素酸との混合エッチング液を用いて位相シフト層11をエッチングして位相シフトパターン11aを形成することで、エッジ強調型の位相シフトマスクM1を得た。
【0090】
上記の製造工程において、位相シフト層11の成膜条件として雰囲気ガスの酸化性ガス流量を変化させて、エッチング後の傾斜領域の幅寸法B1bの値を測定した。
その結果を、位相シフト膜11の厚さT11に対する比と、不活性ガスとしてのArと窒化性ガスとしてのNと酸化性ガスとしてのCOの流量との関係として表1に示す。
ここで、流量比とは、
二酸化炭素流量/(Arガス流量+Nガス流量+CO流量)×100
の値であり、
距離/膜厚とは、
(平面視した傾斜面11sの幅B1b)/(位相シフト層11の厚さT11)
の値である。
【0091】
【表1】
【0092】
さらにこの結果を、位相シフト膜11の厚さT11に対する比と、不活性ガスとしてのArと窒化性ガスとしてのNと酸化性ガスとしてのCOの流量比との関係として表2および図8に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
これらの結果から、位相シフト層11の成膜時における酸化性ガスの流量を調節することで、位相シフト層11におけるエッチング状態を制御して傾斜面11sの傾斜形状を設定すること、つまり、酸化性ガスの流量比を減らすことで、位相シフトパターン11aの厚さT11に対する厚みの減少する距離B1bの比B1b/T11の値を小さくして、傾斜面11sの傾斜を大きくするとともに、酸化性ガスの流量比を増やすことで、この比の値を大きくし、傾斜面11sの傾斜を小さくすることが可能であることがわかる。
【0095】
以上、本発明の実施例について説明したが、成膜ガスには窒化性ガスと酸化性ガスのみを用いてもよい。
【符号の説明】
【0096】
MB…位相シフトマスクブランクス、
S…ガラス基板(透明基板)
11…位相シフト層
11a…位相シフトパターン
12…エッチングストッパー層
12a,12b…エッチングストッパーパターン
13…遮光層
13a,13b…遮光パターン
14…レジスト
14a…レジストパターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8