(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ソース領域および前記ドレイン領域は、前記半導体層の表面に露出する表面層および当該表面層よりも下方に間隔を空けて形成された埋め込み層を含む複数の層からなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記ソース領域および前記ドレイン領域は、前記半導体層の表面から前記ゲートトレンチの底部に至るまで一様に形成されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記ソース領域および前記ドレイン領域は、前記半導体層の表面から前記ゲートトレンチの底部に至るまで一様に形成されている、請求項15〜17のいずれか一項に記載の半導体装置。
前記ゲートトレンチを形成する工程は、前記ソース領域および前記ドレイン領域が前記交差方向に互いに対向する対向領域に沿って前記ゲートトレンチを形成する工程と、前記ソース領域および前記ドレイン領域が前記交差方向に互いに対向しない非対向領域において前記ゲートトレンチから前記一方方向に沿って間隔を空けてサブトレンチを形成する工程とを含み、
前記ゲート電極を埋め込む工程は、前記ゲート絶縁膜を介して前記サブトレンチに前記ゲート電極を埋め込む工程を含む、請求項23に記載の半導体装置の製造方法。
前記ソース領域、前記ドレイン領域および前記ゲートトレンチ群が形成される領域を素子形成領域として一括して取り囲む素子分離領域を形成する工程をさらに含む、請求項23〜25のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
第2導電型の半導体基板と、前記半導体基板の上に形成され、かつ、前記半導体基板よりも低濃度な第2導電型のエピタキシャル層とを含む第2導電型の半導体層を準備する工程と、
第1導電型の不純物イオンを前記半導体層に選択的に注入することにより、前記エピタキシャル層に第1導電型ウェルを形成する工程と、
前記半導体層において前記第1導電型ウェルが形成された領域を選択的に除去することにより、前記エピタキシャル層に、前記第1導電型ウェルを貫通するゲートトレンチを互いに間隔を空けて複数形成する工程と、
前記ゲートトレンチから露出する前記エピタキシャル層に、第2導電型の不純物イオンを注入する工程と、
ゲート絶縁膜を介して前記ゲートトレンチにゲート電極を埋め込む工程と、
前記半導体層の表面の法線方向から見た平面視において、前記第1導電型ウェルにおいて隣り合う前記ゲートトレンチによって挟まれた領域が、前記ゲートトレンチの一端から他端に延びる方向に沿ったチャネル長を有するチャネル領域となるように、第1導電型の不純物イオンを前記半導体層に注入することによって、複数の前記ゲートトレンチに跨る第1導電型のドレイン領域を複数の前記ゲートトレンチの一端側に形成し、複数の前記ゲートトレンチに跨る第1導電型のソース領域を複数の前記ゲートトレンチの他端側に形成する工程とを含み、
前記ゲートトレンチを形成する工程は、前記平面視における前記チャネル領域の厚さが、前記チャネル領域と前記ゲート電極との間のビルトインポテンシャルによって発生する空乏層幅の2倍以下となるように、前記ゲートトレンチを形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法。
前記埋め込み層を形成する工程は、前記第2の加速エネルギを段階的に変化させることによって、前記ゲートトレンチの底部に至るまで互いに間隔が空くように、前記埋め込み層を複数形成する工程を含む、請求項31に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1の模式的な平面図である。また、
図2は、半導体装置1の模式的な拡大平面図である。また、
図3は、
図2における各切断面線から見た断面図であって、
図3(a)が切断面線IIIa−IIIaに対応し、
図3(b)が切断面線IIIb−IIIb対応し、
図3(c)が切断面線IIIc−IIIcに対応している。なお、
図2は、
図1の破線で囲んだ領域Sを拡大した図である。
【0038】
半導体装置1は、本発明の半導体層の一例としてのSOI(Silicon On Insulator)基板5を含む。SOI基板5は、p型の半導体基板2と、半導体基板2上に形成されたBOX層3と、BOX層3上に形成されたn
−型活性層4とを含む。半導体基板2は、一般的に使用される範囲のp型シリコン基板であり、仕様に制限はない。
BOX層3は、たとえば、半導体基板2の表面を酸化させて形成した酸化シリコンを含む埋め込み絶縁膜であり、0.5μm〜1.5μmの厚さで形成されている。なお、BOX層3の厚さは、半導体装置1の仕様(たとえば、使用電圧)により適宜変更可能であり、より薄く形成されていてもよいし、より厚く形成されていてもよい。
【0039】
n
−型活性層4は、0.5μm〜5.0μmの層厚でBOX層3上に形成されている。n
−型活性層4の不純物濃度は、たとえば、5.0×10
14cm
−3〜5.0×10
16cm
−3である。n型の不純物としては、たとえば、P(リン),As(砒素)等が挙げられる。
n
−型活性層4の表面には、外周領域と半導体素子が形成された第1素子形成領域6とを区画する素子分離領域7が形成されている。本願では、第1素子形成領域6に形成された半導体素子を便宜上、L−MOSSIT(Lateral-Metal Oxide Silicon Static Induction Transistor)と呼ぶこととする。
【0040】
素子分離領域7は、第1素子形成領域6の周囲を取り囲むように形成されている。本実施形態では、素子分離領域の一例として、n
−型活性層4の表面の法線方向から見た平面視(以下、単に平面視とする)において、第1素子形成領域6の周囲を四方から取り囲む矩形状に形成された素子分離領域7について説明する。
図3(a)〜(c)を参照すれば、素子分離領域7は、断面視において、互いに間隔を空けて形成された2つの素子分離用トレンチ18を含む二重トレンチ構造に形成されている。
【0041】
2つの素子分離用トレンチ18は、それぞれの底部がn
−型活性層4の表面からBOX層3の上部に接するように掘り下げて形成されている。素子分離用トレンチ18の側面と底部とを含む素子分離領域7におけるn
−型活性層4の表面には、素子分離用絶縁膜20が形成されている。素子分離用絶縁膜20は、たとえば、n
−型活性層4の表面を酸化させて形成したシリコン酸化膜である。なお、素子分離用絶縁膜20の膜厚は、たとえば、数nm〜100nmであるが、半導体装置1の仕様に応じて適宜変更可能である。
【0042】
素子分離用トレンチ18には、素子分離用絶縁膜20を介してp型の不純物が注入されたポリシリコン電極21が埋め込まれている。ポリシリコン電極21の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
19cm
−3〜5.0×10
20cm
−3である。
第1素子形成領域6は、n
−型活性層4の表面において横方向に間隔を空けて形成された複数のn
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9と、それぞれがn
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9に跨るように形成されていて、互いに間隔を空けて配列された複数のゲートトレンチ11により構成されているゲートトレンチ群10とを含む。
【0043】
図1および
図2を参照すれば、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9は、平面視において、ストライプ状に形成されており、互いに間隔を空けて交互に配列されている。また、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9は、その長手方向における一端および他端がいずれも素子分離領域7から一定の距離を空けた位置となるように形成されている。
【0044】
また、
図3(a)および
図3(b)を参照すれば、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9は、n
−型活性層4の表面において同一深さに形成されている。n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9のそれぞれの底部は、たとえば、n
−型活性層4の表面から、0.2μm〜1.0μmの位置に形成されている。n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9は同一濃度に形成されており、その不純物濃度は、たとえば、1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
21cm
−3である。
【0045】
ゲートトレンチ群10は、
図1および
図2を参照すれば、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9と同様に、平面視においてストライプ状に配列されており、n
−型活性層4の表面において横方向に間隔を空けて形成されている。すなわち、ゲートトレンチ群10は、互いに間隔を空けて交互に配列されたn
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9の間の領域に、それぞれ形成されている。
【0046】
ゲートトレンチ群10におけるゲートトレンチ11は、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9の間の間隔と同一の幅で形成されており、一対のn
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9に挟み込まれるように形成されている。換言すれば、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9は、それぞれゲートトレンチ11の端部に接するように形成されていて、ゲートトレンチ11により完全に分離されている。
【0047】
また、ゲートトレンチ11は、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9の長手方向におけるそれぞれの端部を跨る位置に形成されている。これにより、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9は、当該端部においても、ゲートトレンチ11により完全に分離されている。
さらに、ゲートトレンチ群10は、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9の端部と素子分離用トレンチ18との間に、ゲートトレンチ11と同形状のサブトレンチ16を含む。サブトレンチ16は、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9を直接跨るものではないが、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9が当該端部と素子分離用トレンチ18との間の領域において導通することを防止するために形成されている。
【0048】
なお、
図1および
図2では、サブトレンチの一例として1つのサブトレンチ16が形成された構成について示しているが、複数のサブトレンチが形成されていてもよい。したがって、2つ、3つ、またはそれ以上のサブトレンチが形成されていてもよい。
図3(a)および(c)を参照すれば、各ゲートトレンチ11は、n
−型活性層4の表面から深さ方向に向けて掘り下げるように形成されている。各ゲートトレンチ11の底部は、BOX層3の上部と接する深さに位置している。つまり、ゲートトレンチ11は、n
−型活性層4の層厚(0.5μm〜5.0μm)に対応した深さまで掘り下げて形成されている。
【0049】
また、各ゲートトレンチ11の間の間隔は、その深さ方向に沿って一定に形成されている。つまり、各ゲートトレンチ11のいずれの側面も、n
−型活性層4の表面に対してほぼ直角(90°の角度)になるように形成されている。
各ゲートトレンチ11の側面および底部、ならびに、各ゲートトレンチ11の間におけるn
−型活性層4の表面を覆うように、ゲート絶縁膜12が形成されている。ゲート絶縁膜12は、さらに、素子分離領域7に形成された素子分離用絶縁膜20と一体的に連なるように形成されている。ゲート絶縁膜12は、素子分離用絶縁膜20と同一の材料および同一の膜厚で形成されている。
【0050】
ゲートトレンチ11には、ゲート絶縁膜12を介してゲート電極13が埋め込まれている。ゲート電極13は、たとえば、p型の不純物が注入されたポリシリコンを含む。ゲート電極13の不純物濃度は、ポリシリコン電極21の不純物濃度と同一である。
ゲートトレンチ群10が形成された領域には、複数のゲート電極13に跨るように、ゲート配線19が形成されている。ゲート配線19は、複数のゲート電極13と一体的に連なるように形成されており、複数のゲート電極13に対して共通の配線となっている。ゲート配線19は、さらに素子分離領域7を覆うように形成されていて、素子分離用トレンチ18に埋め込まれたポリシリコン電極21と一体的に連なっている。そして、ゲート配線19上には、シリサイド膜14が形成されている。
【0051】
ゲートトレンチ群10において、隣り合うゲートトレンチ11によって挟まれた領域には、n
−型活性層4からなり、n
+型ドレイン領域9からn
+型ソース領域8に延びる方向に沿ったチャネル長を有するn
−型チャネル領域15が形成される。
図3(b)を参照すれば、ゲート配線19は、ゲート絶縁膜12を介してn
−型チャネル領域15と対向している。
【0052】
各ゲートトレンチ11の間の間隔、すなわち、平面視におけるn
−型チャネル領域15の厚さTは、n
−型チャネル領域15とゲート電極13との間のビルトインポテンシャルによって発生する空乏層の幅の2倍以下に形成されている。n
−型チャネル領域15の厚さは、この実施形態の場合、0.1μm〜0.35μmである。
素子分離領域7および第1素子形成領域6を覆うように層間絶縁膜23が形成されている。第1素子形成領域6には、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9を電気的に接続するためのソースコンタクト24およびドレインコンタクト25が、それぞれ層間絶縁膜23を貫通して形成されている。ソースコンタクト24およびドレインコンタクト25は、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9とそれぞれオーミック接合されている。
【0053】
また、素子分離領域7には、ゲート配線19と電気的に接続されるゲートコンタクト26が層間絶縁膜23を貫通してゲート配線19の上部に形成されている。これにより、ゲートコンタクト26は、ゲート配線19を介してゲート電極13およびポリシリコン電極21に接続される。
次に、
図4および
図5を参照して、半導体装置1の動作について詳細に説明する。
【0054】
図4は、半導体装置1がオフ時における動作を説明するための断面図である。
図5は、半導体装置1がオン時における動作を説明するための断面図である。
図4(a)および
図5(a)は、
図3(a)の図の一部を拡大したものであり、
図4(b)および
図5(b)は、
図3(c)の図の一部を拡大したものである。
まず、
図4を参照すれば、ソースコンタクト24に印加する電圧を0v、ゲートコンタクト26に印加する電圧を0vにする(すなわち、半導体装置1をオフにする)と、n
−型チャネル領域15およびゲート電極13におけるビルトインポテンシャルによって、隣り合うゲート電極13のそれぞれから、空乏層31がn
−型チャネル領域15に向けて(
図4(b)の矢印方向に向けて)拡がるように形成される。
【0055】
各ゲートトレンチ11の間の間隔、すなわち、平面視におけるn
−型チャネル領域15の厚さTは、n
−型チャネル領域15およびゲート電極13におけるビルトインポテンシャルによって発生する空乏層31の幅の2倍以下に形成されている。
したがって、隣り合うゲート電極13から拡がる空乏層31がn
−型チャネル領域15において互いに重なり合うことにより、n
−型チャネル領域15が完全に空乏化して電気的に遮断される。これにより、ドレインコンタクト25に所定の正電圧(+v)を印加しても、n
−型チャネル領域15は完全に空乏化しているので電流が流れることはない。
【0056】
一方、
図5(a)のように、ゲートコンタクト26に所定の正電圧(+v)を印加した場合(すなわち、半導体装置1をオンにした場合)、n
−型チャネル領域15に形成された空乏層31は縮小するか、消滅する。さらに、ゲートコンタクト26に印加する電圧を高くすると、
図5(b)に示すように、n
−型活性層4に含まれる電子がn
−型チャネル領域15に引き寄せられて、n
−型チャネル領域15における見かけ上のn型濃度が上昇する。
【0057】
このときに、ドレインコンタクト25に所定の正電圧(+v)を印加すると、電流は空乏層31が消滅したn
−型チャネル領域15(n
−型活性層4)を容易に通過することができ、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9間に電流が流れることとなる。とりわけ、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9によって挟まれたn
−型活性層4の上部の領域では、直線状の電気力線が形成される(
図5(b)の二点鎖線で示した直線参照)。電気力線の本数を多く描いているのは、電流が多く流れることを示している。
【0058】
他方、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9によって挟まれていないn
−型活性層4の下部の領域では、円弧状の電気力線が形成される(
図5(b)の二点鎖線で示した円弧状の曲線参照)。当該領域では、電気力線の総数が比較的に少ないので、電流は上部の領域よりやや流れにくい。
なお、ゲートトレンチ11は、n
+型ドレイン領域9からn
+型ソース領域8に延びる方向に沿ったチャネル長に相当する長さのドット状に、かつ等間隔に配列されていることが好ましい。このような構成であれば、各n
−型チャネル領域15において、チャネルの厚さを正確に調整することができる。また、各n
−型チャネル領域15における電流のばらつきを抑制することができるので、より低い動作抵抗値を得ることができる。
【0059】
以上のように、半導体装置1の構成によれば、半導体装置1がオフ時(ゲート電極13に電圧を印加しない時)には、n
−型チャネル領域15が完全に空乏化されて電気的に遮断されるので、n
−型チャネル領域15に電流は流れない。すなわち、半導体装置1の構成によれば、ノーマリオフの半導体装置を提供することができる。
一方、半導体装置1がオン時(ゲート電極13に電圧を印加する時)には、空乏層31を縮小もしくは消滅させてn
−型チャネル領域15を導通させることができる。しかも、従来のMOSFETのようにチャネルに反転層を用いるのではなく、n
−型活性層4からなる領域をn
−型チャネル領域15として利用することができるので、チャネルの厚さを比較的に厚くすることができる。また、反転層特有のキャリア易動度の低下を抑制することができる。その結果、低い動作抵抗値を有する半導体装置を提供することができる。
【0060】
ここで、反転層を用いない方法を利用した半導体装置として、SIT(Static Induction Transistor:静電誘導トランジスタ)とジャンクションFET(Field Effect Transistor)とを挙げることができる。
これらの半導体装置では、半導体基板に向かい合うゲート拡散領域を形成し、このゲート拡散領域に対する電圧を制御することによって当該領域間に形成された半導体基板の一部からなるチャネル領域を空乏層によって開閉する。そのため、チャネル幅を広くすることができ、また反転層特有のキャリア易動度の低下がないため、チャネルの電気抵抗値を小さくすることができる。
【0061】
しかしながら、不純物拡散によりゲート領域を形成しているので、ある程度の深さ方向の作り込みをする場合には、平面的なパターンを大きくせざるを得ない。したがって、SITおよびジャンクションFETでは、微細な作り込みができず、半導体素子のサイズが非常に大きくなるという問題がある。さらに、SITおよびジャンクションFETは、電圧を印加していない状態でも電流が流れてしまう、ノーマリオンが基本の半導体装置であるので、使い勝手が極めて悪いという根本的な問題もある。
【0062】
これに対して、半導体装置1の構成によれば、SITおよびジャンクションFETと異なり、ゲート電極13は、ゲート絶縁膜12を介してゲートトレンチ11に埋め込まれているので、不純物拡散はゲート絶縁膜12で区切られる。
これにより、ゲート電極13をn
−型活性層4の表面から深さ方向に作り込むことができるので、平面的なパターンが増大することを抑制することができる。その結果、半導体素子の微細化を図ることができるので、単位面積当たりのチャネル幅を大きく稼ぐことができる。また、ゲートトレンチ11を深く形成することによっても、チャネル幅を稼ぐこともできる。
【0063】
このように、半導体装置1では、SIT、ジャンクションFETおよびMOSFETが有する複数の弱点を同時に解決することができる。しかも、半導体装置1の構成によれば、LSIとして混載が極めて容易な横型の半導体装置であるので、他の半導体素子との親和性が極めて高い半導体装置を提供することができる。これらの点を鑑みて、この実施形態では、第1素子形成領域6に形成された半導体素子を、便宜上、L−MOSSIT(Lateral-Metal Oxide Silicon Static Induction Transistor)と呼ぶこととしている。
【0064】
また、半導体装置1の構成によれば、隣り合う各ゲートトレンチ11の間隔は、その深さ方向に沿って一定であるので、隣り合う各ゲートトレンチ11から拡がる空乏層31を互いにかつ確実にn
−型チャネル領域15において重ね合わせることができる。その結果、良好なノーマリオフ動作を実現することができる。
また、半導体装置1の構成によれば、ゲートトレンチ11は、n
−型活性層4の表面からBOX層3に至るように形成されているので、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9がn
−型活性層4の下部を介して導通することを効果的に抑制することができる。
【0065】
次に、
図6A〜
図6Gを参照して、半導体装置1の製造工程について説明する。
図6A〜
図6Gは、半導体装置1の製造工程の一例を説明するための断面図である。なお、
図6A〜
図6Gは、それぞれ
図3(a)に対応している。
半導体装置1を製造するには、
図6Aに示すように、SOI基板5が用意される。SOI基板5は、たとえば、p型のシリコン基板である半導体基板2の表面に、熱酸化処理を施して酸化シリコンからなるBOX層3を形成した後、n
−型活性層4を形成することにより得ることができる。
【0066】
次に、
図6Bに示すように、n
−型活性層4の表面にゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク27が一般的な方法で形成される。次に、ハードマスク27を介してn
−型活性層4にエッチング処理を施すことにより、ゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18が形成されて、第1素子形成領域6と素子分離領域7とが区画される。
【0067】
この際、各ゲートトレンチ11の間の間隔および2つの素子分離用トレンチ18の間の間隔は、いずれもn
−型活性層4の表面から深さ方向に沿って、一定の間隔になるように形成される。また、ゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18の各底部は、いずれもBOX層3の上部に至る深さまで形成される。ゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18が形成された後、ハードマスク27は除去される。
【0068】
次に、
図6Cに示すように、ゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18のそれぞれの底部および側面を含むn
−型活性層4の表面に熱酸化処理が施されて、ゲート絶縁膜12および素子分離用絶縁膜20が一体的に形成される。
次に、
図6Dに示すように、ゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18を埋め戻し、n
−型活性層4の表面を覆うようにポリシリコン層28が形成される。次に、ポリシリコン層28に、n
−型活性層4と反対の極性になるように、p型不純物が拡散される。p型不純物の拡散は、たとえば、ポリシリコン層28にp型不純物を1.0×10
15cm
−2程度のドーズ量で注入した後、p型不純物がゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18の底部に至るまで熱拡散処理を施すことにより行うことができる。
【0069】
次に、ポリシリコン層28上に、たとえば、スパッタ法によってシリサイド膜14が形成される。シリサイド膜14を形成することにより、後に形成されるゲート電極13、ポリシリコン電極21およびゲート配線19の抵抗値を下げることができると共に、後に注入されるn型不純物がゲート電極13、ポリシリコン電極21およびゲート配線19に混入することを防ぐことができる。
【0070】
次に、
図6Eに示すように、ゲート電極13、ポリシリコン電極21およびゲート配線19を形成すべき領域を覆うレジストマスク29が、シリサイド膜14上に選択的に形成される。そして、当該
レジストマスク29を介してシリサイド膜14およびポリシリコン層28、ならびに、ゲート絶縁膜12および素子分離用絶縁膜20の不要な部分にエッチング処理が施される。これにより、ゲート電極13、ポリシリコン電極21およびゲート配線19が一体的に形成される。ゲート電極13、ポリシリコン電極21およびゲート配線19が形成された後、レジストマスク29は除去される。
【0071】
次に、
図6Fに示すように、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9が形成されるべき領域以外の領域を選択的に覆うようにイオン注入マスク30が形成される。そして、イオン注入マスク30およびシリサイド膜14を介して、n型不純物が拡散される。n型不純物の拡散は、たとえば、n
−型活性層4が露出した部分にn型不純物を1.0×10
15cm
−2程度のドーズ量で注入した後、熱拡散処理を施すことによって行うことができる。これにより、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9が形成される。イオン注入マスク30は、熱拡散処理を施す前に除去される。
【0072】
次に、
図6Gに示すように、第1素子形成領域6および素子分離領域7を覆うように層間絶縁膜23が形成される。次に、第1素子形成領域6において、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9を接続するためのソースコンタクト24およびドレインコンタクト25が、また、素子分離領域7においてゲート電極13およびポリシリコン電極21を接続するためのゲートコンタクト26が、それぞれ層間絶縁膜23を貫通して形成される。なお、ソースコンタクト24、ドレインコンタクト25およびゲートコンタクト26が形成された後、各コンタクト24,25,26は、図示しない配線に接続される。以上の工程を経て、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1が製造される。
【0073】
次に、
図7および
図8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置32の模式的な断面図である。
図8は、n
+型ソース領域33およびn
+型ドレイン領域34の不純物濃度を示すグラフである。
半導体装置32が前述の第1実施形態に係る半導体装置1と相違する点は、複数の層を含むn
+型ソース領域およびn
+型ドレイン領域が形成されている点である。その他の構成は、半導体装置1の場合と同等の構成である。
図7において、前述の
図3(a)に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0074】
なお、本実施形態では、複数の層を含むn
+型ソース領域およびn
+型ドレイン領域一例として、3つの層を含むn
+型ソース領域33およびn
+型ドレイン領域34について説明する。
n
+型ソース領域33は、n
−型活性層4の表面に形成されたn
+型ソース表面層35と、さらにn
+型ソース表面層35よりも下方のn
−型活性層4に形成された複数の層(この実施形態では2つの層)からなるn
+型ソース埋め込み層37とを含む。具体的には、n
+型ソース埋め込み層37は、その底部がBOX層
3の上部と接するように形成されたn
+型ソース最深層40と、n
+型ソース表面層35とn
+型ソース最深層40との間に形成されたn
+型ソース中間層39とを含む。
【0075】
また、n
+型ドレイン領域34も同様に、n
−型活性層4の表面に形成されたn
+型ドレイン表面層36と、n
+型ドレイン表面層36よりも下方のn
−型活性層4に形成された複数の層(この実施形態では2つの層)からなるn
+型ドレイン埋め込み層38とを含む。具体的には、n
+型ドレイン埋め込み層38は、その底部がBOX層
3の上部と接するように形成されたn
+型ドレイン最深層42と、n
+型ドレイン表面層36とn
+型ドレイン最深層42との間に形成されたn
+型ドレイン中間層41とを含む。
【0076】
なお、
図7では、n
+型ソース表面層35およびn
+型ドレイン表面層36、ならびに、n
+型ソース埋め込み層37およびn
+型ドレイン埋め込み層38の配置の一例として、各層が互いに間隔を空けて形成されている構成を示している。
次に、
図8を参照して、n
+型ソース領域33およびn
+型ドレイン領域34の不純物濃度について説明する。
図8によれば、n
+型ソース領域33およびn
+型ドレイン領域34における不純物濃度は、n
−型活性層4の表面から深さ方向に向けて、3つの極大値Mと2つの極小値mを有するように変化している。
【0077】
この3つの極大値Mを含む領域が、n
+型ソース表面層35およびn
+型ソース埋め込み層37、ならびに、n
+型ドレイン表面層36およびn
+型ドレイン埋め込み層38が形成されている領域に対応している。また、2つの極小値mを含む領域が、n
+型ソース表面層35およびn
+型ソース埋め込み層37における各々の層の間の領域、ならびに、n
+型ドレイン表面層36およびn
+型ドレイン埋め込み層38における各々の層の間の領域に対応している。
【0078】
3つの極大値Mにおける不純物濃度は、たとえば、1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
21cm
−3である。なお、n
+型ソース表面層35およびn
+型ソース埋め込み層37、ならびに、n
+型ドレイン表面層36およびn
+型ドレイン埋め込み層38は、各々の層の間の領域において、薄く連なっていてもよい。
次に、
図9を参照して、半導体装置32の製造工程について説明する。
図9は、
図7の半導体装置32の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【0079】
半導体装置32の製造工程が前述の第1実施形態に係る半導体装置1の製造工程と相違する点は、
図6Eの工程後に、
図9の工程が行われる点である。
図6A〜
図6Eまでの工程は、半導体装置1の製造工程の場合と同様であるので、説明を省略する。
半導体装置32の製造工程では、
図9に示すように、
図6Fの工程と同様にイオン注入マスク30が形成される。そして、イオン注入マスク30を介して高電圧イオン注入法によって、n型不純物がn
−型活性層4の深さ方向に向けて選択的に注入される。
【0080】
n
+型ソース表面層35およびn
+型ドレイン表面層36を形成する際のドーピングエネルギは、たとえば、30keV〜70keVである。また、n
+型ソース中間層39およびn
+型ドレイン中間層41を形成する際のドーピングエネルギは、たとえば、150keV〜600keVである。また、n
+型ソース最深層40およびn
+型ドレイン最深層
42を形成する際のドーピングエネルギは、たとえば、300keV〜1300keVである。
【0081】
次に、n
−型活性層4に熱拡散処理が施される。これにより、n
−型活性層4に注入されたn型不純物が拡散して、
図8のような不純物濃度を有するn
+型ソース表面層35およびn
+型ドレイン表面層36、ならびに、n
+型ソース埋め込み層37およびn
+型ドレイン埋め込み層38が形成される。なお、イオン注入マスク30は、熱拡散処理を施す前に除去される。そして、
図6Gと同様の工程を経て、半導体装置32が形成される。
【0082】
以上のように、半導体装置32の構成によれば、高電圧イオン注入法により、3つの層を含むn
+型ソース領域33およびn
+型ドレイン領域34がn
−型活性層4の表面から深さ方向に亘ってそれぞれ形成されている。このとき、n
+型ソース領域33の各層35,39,40における電気力線およびn
+型ドレイン領域34の各層36,41,42における電気力線は、n
−型活性層4の表面から深さ方向に亘って概ね均等に分布している。
【0083】
すなわち、n
+型ソース領域
33およびn
+型ドレイン領域
34の各層によって挟まれたn
−型活性層4の各領域において、直線状の電気力線が形成される(
図7の二点鎖線で示した直線参照)。n
−型活性層4の表面から深さ方向に亘って、比較的多くの電気力線を描いているが、これは比較的に良好に電流を流すことができることを示している。
しかも、各電気力線は、n
−型活性層4の表面から深さ方向に亘って概ね均等に分布しているので、n
+型ソース領域33およびn
+型ドレイン領域34における電流のばらつきを効果的に抑制することができる。その結果、動作抵抗値の増加を効果的に抑制することができる半導体装置を提供することができる。
【0084】
次に、
図10および
図11を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置43の模式的な拡大平面図である。
図11は、
図10における切断面線XI−XIから見た断面図である。
半導体装置43が前述の第1実施形態に係る半導体装置1と相違する点は、n
+型ドレイン領域9に替えて、n
+型ドレイン領域44が形成されている点である。その他の構成は、半導体装置1の場合と同等の構成である。
図10および
図11において、前述の
図2および
図3(a)に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0085】
半導体装置43では、n
+型ドレイン領域44が、ゲートトレンチ群10の端部との間に所定の間隔が空くように形成されている。つまり、n
+型ドレイン領域44とゲートトレンチ群10との間にn
−型活性層4からなる耐圧保持領域58がゲートトレンチ11に跨って介在している。n
+型ドレイン領域44の側面とゲートトレンチ群10の端部との間の距離、すなわち、耐圧保持領域58の厚さDはたとえば、0.5μm〜100μmである。
【0086】
前述の第1実施形態における半導体装置1では、n
+型ドレイン領域
9に電圧を加えた際、空乏層の延びる余地がなく、ドレイン・ゲート耐圧は、ゲート絶縁膜12の耐圧で制限されていたが、第3実施形態における半導体装置43では、耐圧保持領域58方向に空乏層を延ばすことができるため、素子のドレイン・ゲート耐圧を大幅に向上させることができる。
【0087】
次に、
図12および
図13を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
図12は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置45の模式的な拡大平面図である。
図13は、
図12における切断面線XIII−XIIIから見た断面図である。
半導体装置45が前述の第1実施形態に係る半導体装置1と相違する点は、n
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9に替えて、n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47が形成されている点である。その他の構成は、半導体装置1の場合と同等の構成である。
図12および
図13において、前述の
図2および
図3(a)に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0088】
半導体装置45におけるn
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47は、前述の半導体装置1におけるn
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9と同様に、n
−型活性層4の表面の法線方向から見た平面視において、ストライプ状に形成されており、互いに間隔を空けて交互に配列されている。
n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47は、いずれも、n
−型活性層4の表面から深さ方向に向けて形成された比較的に高濃度な高濃度領域と、当該高濃度領域から当該深さ方向に直交する方向に向けて連続的に濃度が薄くなるように形成された低濃度領域とを含む。
【0089】
本実施形態では、高濃度領域および低濃度領域の一例として、高濃度領域48と、高濃度領域48の周縁部に形成された低濃度領域49とを含むn
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47について説明する。
n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47は、いずれも、n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47の中央部分にストライプ状に形成された比較的に高濃度な高濃度領域48と、高濃度領域48の周囲を取り囲むように形成された高濃度領域48よりも低濃度な低濃度領域49と含む。
【0090】
n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47の高濃度領域48は、n
−型活性層4の表面を掘り下げて形成されたストライプ状の高濃度領域用トレンチ50に、n型不純物が注入されたポリシリコンが埋め込まれて形成されている。高濃度領域用トレンチ50の底部は、BOX層3の上部に接するように形成されている。高濃度領域48の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
21cm
−3である。
【0091】
他方、n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47の低濃度領域49は、高濃度領域48のポリシリコンに注入されたn型不純物がn
−型活性層4に拡散することにより形成されている。なお、高濃度領域48の底部および低濃度領域49の底部は、いずれもBOX層3の上部に接するように形成されている。
半導体装置45におけるゲートトレンチ群10の側面は、n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47の低濃度領域49と接するように形成されている。すなわち、ゲートトレンチ群10に形成された各ゲートトレンチ11の端部は、n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47の低濃度領域49と接するように形成されている。
【0092】
次に、
図14A〜
図14Jを参照して、半導体装置45の製造工程を説明する。
図14A〜
図14Jは、図
12の半導体装置45の製造工程の一例を説明するための断面図である。
半導体装置45を製造するには、
図14Aに示すように、前述の第1実施形態と同様に、SOI基板5が用意される。
【0093】
次に、
図14Bに示すように、n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47の高濃度領域48を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク51が形成される。次に、ハードマスク51を介してn
−型活性層4にエッチング処理が施されて、
図14Cに示すように、高濃度領域用トレンチ50が形成される。高濃度領域用トレンチ50が形成された後、ハードマスク51は除去される。
【0094】
次に、
図14Dに示すように、高濃度領域用トレンチ50を埋め戻して、n
−型活性層4の表面を覆うようにn型不純物が添加されたポリシリコンが堆積される。ポリシリコンの堆積は、CVD法により行うことができる。次に、高濃度領域用トレンチ50に埋め込まれたポリシリコンがn
−型活性層4の表面とほぼ面一になるように、不要なポリシリコンにエッチバックが施される。これにより、n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47の高濃度領域48が形成される。
【0095】
次に、
図14Eに示すように、n
−型活性層4の表面にゲートトレンチ11および2つの素子分離用トレンチ18を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク52が形成される。
次に、
図14Fに示すように、ハードマスク52を介してn
−型活性層4にエッチング処理を施すことにより、ゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18が形成される。この際、各ゲートトレンチ11の間の間隔、および、2つの素子分離用トレンチ18の間の間隔は、いずれもn
−型活性層4の表面から深さ方向に沿って、一定の間隔になるように形成される。また、ゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18の底部は、いずれもBOX層3の上部に至る深さまで形成される。ゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18が形成された後、ハードマスク52は除去される。
【0096】
次に、
図14Gに示すように、ゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18の各底面および側面を含むn
−型活性層4の表面に熱酸化処理が施されて、ゲート絶縁膜12および素子分離用絶縁膜20が一体的に形成される。
この際に、高濃度領域用トレンチ50に埋め込まれたポリシリコンに注入されたn型不純物がn
−型活性層4に拡散して、n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47の低濃度領域49が形成される。n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47の低濃度領域49は、ゲートトレンチ11の側面に露出するように形成される。
【0097】
次に、
図14Hに示すように、ゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18を埋め戻し、n
−型活性層4の表面を覆うようにポリシリコン層28が形成される。次に、ポリシリコン層28に、n
−型活性層4と反対の極性になるように、p型不純物が拡散される。p型不純物の拡散は、たとえば、イオン注入法によりp型不純物を1.0×10
15cm
−2程度のドーズ量で注入した後、p型不純物がゲートトレンチ11および素子分離用トレンチ18の底部に至るまで熱拡散処理を施すことにより行うことができる。
【0098】
次に、ポリシリコン層28上に、たとえば、スパッタ法によってシリサイド膜14が形成される。シリサイド膜14を形成することにより、後に形成されるゲート電極13、ポリシリコン電極21およびゲート配線19の抵抗値を下げることができると共に、後に注入されるn型不純物がゲート電極13、ポリシリコン電極21およびゲート配線19に混入することを防ぐことができる。
【0099】
次に、
図14Iに示すように、ゲート電極13、ポリシリコン電極21およびゲート配線19を形成すべき領域を選択的に覆う開口を有するレジストマスク53が、シリサイド膜14上に形成される。そして、当該
レジストマスク53を介してシリサイド膜14およびポリシリコン層28、ならびに、ゲート絶縁膜12および素子分離用絶縁膜20の不要な部分にエッチング処理が施される。これにより、ゲート電極13、ポリシリコン電極21およびゲート配線19が一体的に形成される。ゲート電極13、ポリシリコン電極21およびゲート配線19が形成された後、レジストマスク53は除去される。
【0100】
次に、
図14Jに示すように、第1素子形成領域6および素子分離領域7を覆うように層間絶縁膜23が形成される。次に、第1素子形成領域6においてn
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47を接続するためのソースコンタクト24およびドレインコンタクト25が、また、素子分離領域7においてゲート電極13およびポリシリコン電極21を接続するためのゲートコンタクト26が、それぞれ層間絶縁膜23を貫通して形成される。なお、ソースコンタクト24、ドレインコンタクト25およびゲートコンタクト26が形成された後、各コンタクト24,25,26は、図示しない配線に接続される。以上の工程を経て、本発明の第4実施形態に係る半導体装置45が製造される。
【0101】
以上のように、半導体装置45では、n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47が、高濃度領域用トレンチ50に埋め込まれたn型不純物を含むポリシリコンによって、n
−型活性層4の表面からBOX層3の上部に至る深さまで均一に形成されている。したがって、n
−型チャネル領域15の全域に亘って、チャネル幅を確保することができる。
【0102】
また、半導体装置45では、n
+型ソース領域46における電気力線およびn
+型ドレイン領域47における電気力線を、n
−型活性層4の表面からBOX層3の上部に亘って一定にすることができる。これにより、n
+型ソース領域46およびn
+型ドレイン領域47を流れる電流のばらつきを効果的に抑制することができる。その結果、半導体装置45の動作抵抗値の増加を効果的に抑制することができる。
【0103】
次に、
図15および
図16を参照して、本発明の第5実施形態に係る半導体装置60について説明する。
図15は、本発明の第5実施形態に係る半導体装置60の模式的な拡大平面図である。
図16は、
図15における切断面線XVI−XVIから見た断面図である。
半導体装置60は、本発明の半導体層の一例としてのエピタキシャル基板61を含む。エピタキシャル基板61は、p型の半導体基板62と、半導体基板62上に形成され、半導体基板62よりも低濃度なp型のエピタキシャル層63とを含む。半導体基板62は、たとえばシリコン基板であり、その不純物濃度は、1.0×10
17cm
−3〜1.0×10
19cm
−3である。エピタキシャル層63は、たとえば、3μm〜10μmの層厚で形成されており、その不純物濃度は、5.0×10
14cm
−3〜5.0×10
15cm
−3である。エピタキシャル層63には、素子形成領域65と外周領域とを区画するn
−型ウェル領域64が形成されている。
【0104】
本実施形態では、n
−型ウェル領域の一例として、エピタキシャル層63の表面の法線方向から見た平面視において矩形状に形成されたn
−型ウェル領域64について説明する。n
−型ウェル領域64の底部は、エピタキシャル層63の表面から0.5μm〜5μmの深さ位置に形成されている。n
−型ウェル領域64の不純物濃度は、3.0×10
15cm
−3〜5.0×10
16cm
−3である。
【0105】
n
−型ウェル領域64には、前述の第1実施形態における半導体装置1と同様に、エピタキシャル層63の表面において横方向に間隔を空けて形成された複数のn
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67と、それぞれがn
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67に跨るように形成されていて、互いに間隔を空けて配列された複数のゲートトレンチ69により構成されているゲートトレンチ群68とを含む。
【0106】
n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67は、平面視において、ストライプ状に形成されており、互いに間隔を空けて交互に配列されている。n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67は、その長手方向における一端および他端がいずれもn
−型ウェル領域64とエピタキシャル層63との境界Bから、一定の距離を空けた位置となるように形成されている。
【0107】
n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67は、n
−型ウェル領域64の表面において、同一の深さで形成されている。n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67のそれぞれの底部は、たとえば、n
−型ウェル領域64の表面から、0.2μm〜1.0μmに至る深さまで形成されている。n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
21cm
−3である。
【0108】
ゲートトレンチ群68は、n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67と同様に、平面視においてストライプ状に配列されており、エピタキシャル層63の表面において横方向に間隔を空けて形成されている。すなわち、ゲートトレンチ群68は、互いに間隔を空けて交互に配列されたn
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67の間の領域に、それぞれ形成されている。
【0109】
ゲートトレンチ群68におけるゲートトレンチ69は、n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67の間の間隔と同一の幅で形成されており、一対のn
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67に挟み込まれるように形成されている。換言すれば、n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67は、それぞれゲートトレンチ69の端部に接するように形成されていて、ゲートトレンチ69により完全に分離されている。
【0110】
ゲートトレンチ69は、n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67の長手方向におけるそれぞれの端部を跨る位置に形成されている。これにより、n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67は、当該端部において、ゲートトレンチ69により完全に分離されている。
さらに、ゲートトレンチ群68は、ゲートトレンチ群68の長手方向における両端部において、n
−型ウェル領域64とエピタキシャル層63との境界Bを跨ぐように形成されたサブトレンチ77を含む。サブトレンチ77は、n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67を直接跨るものではないが、n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67が当該端部とn
−型ウェル領域64とエピタキシャル層63との境界Bとの間の領域において導通することを防止するために形成されている。
【0111】
ゲートトレンチ69は、n
−型ウェル領域64の表面から深さ方向に向けて掘り下げるように形成されている。また、ゲートトレンチ69の底部は、断面視において、n
−型ウェル領域64の底部を貫いて、エピタキシャル層63に至るように形成されている。また、各ゲートトレンチ69の間の間隔は、その深さ方向に沿って一定に形成されている。つまり、各ゲートトレンチ69の側面は、エピタキシャル層63の表面に対してほぼ直角(90°の角度)になるように形成されている。
【0112】
ゲートトレンチ69とエピタキシャル層63とが接する部分には、エピタキシャル層63よりも高濃度なp型不純物領域70が形成されている。p型不純物領域70の不純物濃度は、たとえば、5.0×10
16cm
−3〜1.0×10
18cm
−3である。
ゲートトレンチ69の側面および底部、ならびに、各ゲートトレンチ69の間におけるn
−型ウェル領域64の表面を覆うように、ゲート絶縁膜71が形成されている。ゲート絶縁膜71は、たとえば、n
−型ウェル領域64の表面を酸化させて形成したシリコン酸化膜である。なお、ゲート絶縁膜71の膜厚は、たとえば、数nm〜100nmであるが、半導体装置60の仕様に応じて適宜変更可能である。
【0113】
ゲートトレンチ69には、ゲート絶縁膜71を介してゲート電極72が埋め込まれている。ゲート電極72は、たとえば、p型の不純物が注入されたポリシリコンを含む電極材料からなる。ゲート電極72の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
19cm
−3〜5.0×10
20cm
−3である。
ゲートトレンチ群68において、隣り合うゲートトレンチ69によって挟まれた領域に、n
−型ウェル領域64からなり、n
+型ドレイン領域67からn
+型ソース領域66に延びる方向に沿ったチャネル長を有するn
−型チャネル領域74が形成されている。ゲートトレンチ69が形成されていない領域では、ゲート絶縁膜71を介してn
−型ウェル領域64の表面に形成されたゲート電極72が、n
−型チャネル領域74と対向している。
【0114】
各ゲートトレンチ69の間の間隔、すなわち、平面視におけるn
−型チャネル領域74の厚さは、前述の第1実施形態における半導体装置1と同様に、n
−型チャネル領域74とゲート電極72との間のビルトインポテンシャルによって発生する空乏層の幅の2倍以下に形成されている。
素子形成領域65の外周領域におけるゲートトレンチ群68の長手方向の両端部側には、矩形状のコンタクト領域76が形成されている。コンタクト領域76およびゲートトレンチ群68が形成された領域を覆うように、ゲート配線75が形成されている。ゲート配線75は、複数のゲート電極72に跨るように形成されていて、複数のゲート電極72に対して共通の配線となっている。ゲート配線75は、ゲート電極72と同一材料で形成されている。
【0115】
そして、素子形成領域65および素子形成領域65の外周領域全体を覆うように、層間絶縁膜78が形成されている。
素子形成領域65には、n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67を接続するためのソースコンタクト79およびドレインコンタクト80が、それぞれ層間絶縁膜78を貫通して形成されている。ソースコンタクト79およびドレインコンタクト80は、n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67とそれぞれオーミック接合されている。
【0116】
また、コンタクト領域76には、ゲート配線75を接続するためのゲートコンタクト81が、層間絶縁膜78を貫通してゲート配線75上に形成されている。これにより、ゲートコンタクト81は、ゲート配線75を介してゲート電極72に接続される。
次に、
図17A〜
図17Iを参照して、半導体装置60の製造工程を説明する。
図17A〜
図17Iは、
図15の半導体装置60の製造工程の一例を説明するための断面図である。
【0117】
半導体装置60を製造するには、
図17Aに示すように、エピタキシャル基板61が用意される。次に、n
−型ウェル領域64を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、当該イオン注入マスクを介してn型不純物が注入される。これにより、素子形成領域65と外周領域とを区画するn
−型ウェル領域64がエピタキシャル層63に形成される。n
−型ウェル領域64が形成された後、イオン注入マスクは除去される。
【0118】
次に、
図17Bに示すように、n
−型ウェル領域64の表面にゲートトレンチ69を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク82が形成される。
次に、
図17Cに示すように、ハードマスク82を介してn
−型ウェル領域64にエッチング処理を施すことにより、ゲートトレンチ69が形成される。この際に、各ゲートトレンチ69の間の間隔は、その深さ方向に沿って一定に形成される。また、ゲートトレンチ69の底部は、断面視において、n
−型ウェル領域64の底部を貫いて、エピタキシャル層63に至るように形成される。
【0119】
次に、
図17Dに示すように、ハードマスク82をイオン注入マスクとして、ゲートトレンチ69とエピタキシャル層63とが接する部分にp型不純物を注入して、エピタキシャル層63よりも高濃度なp型不純物領域70が形成される。p型不純物領域70が形成された後、ハードマスク82が除去される。
次に、
図17Eに示すように、ゲートトレンチ69の底面および側面を含む、n
−型ウェル領域64(エピタキシャル層63)の表面に熱酸化処理が施されて、ゲート絶縁膜71が形成される。
【0120】
次に、
図17Fに示すように、ゲートトレンチ69を埋め戻し、エピタキシャル層63およびn
−型ウェル領域64の表面を覆うようにポリシリコン層83が形成される。次に、ポリシリコン層83に、n
−型ウェル領域64と反対の極性になるように、p型不純物が拡散される。p型不純物の拡散は、たとえば、イオン注入法によりp型不純物を1.0×10
15cm
−2程度のドーズ量でポリシリコン層83に注入した後、p型不純物がゲートトレンチ69の底部に至るまで熱拡散処理を施すことにより行うことができる。
【0121】
次に、ゲートトレンチ69上に、たとえば、スパッタ法によってシリサイド膜73が形成される。シリサイド膜73を形成することにより、後に形成されるゲート電極72およびゲート配線75の抵抗値を下げることができると共に、後に注入されるn型不純物がゲート電極72およびゲート配線75に混入することを防ぐことができる。
次に、
図17Gに示すように、ゲート電極72およびゲート配線75を形成すべき領域を覆うレジストマスク84が、シリサイド膜73上に選択的に形成される。そして、当該
レジストマスク84を介してシリサイド膜73、ポリシリコン層83、および、ゲート絶縁膜71の不要な部分にエッチング処理が施される。これにより、ゲート電極72およびゲート配線75が形成される。ゲート電極72およびゲート配線75が形成された後、レジストマスク84は除去される。
【0122】
次に、
図17Hに示すように、n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67が形成される領域以外の領域を選択的に覆うイオン注入マスク85が形成される。そして、イオン注入マスク85およびシリサイド膜73を介して、n型不純物が拡散される。n型不純物の拡散は、たとえば、n
−型ウェル領域64が露出した部分にn型不純物を1.0×10
15cm
−2〜5.0×10
15cm
−2程度のドーズ量で注入した後、熱拡散処理を施すことによって行うことができる。これにより、n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67が形成される。イオン注入マスク85は、熱拡散処理を施す前に除去される。
【0123】
次に、
図17Iに示すように、素子形成領域65および素子形成領域65の外周領域全体を覆うように、層間絶縁膜78が形成される。次に、素子形成領域65においてn
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67を接続するためのソースコンタクト79およびドレインコンタクト80が、また、コンタクト領域76においてゲート電極72およびゲート配線75を接続するためのゲートコンタクト81が、それぞれ層間絶縁膜78を貫通して形成される。なお、ソースコンタクト79、ドレインコンタクト80およびゲートコンタクト81が形成された後、各コンタクト79,80,81は、図示しない配線に接続される。以上の工程を経て、本発明の第5実施形態に係る半導体装置60が製造される。
【0124】
以上のように、第5実施形態に係る半導体装置60では、前述の第1〜第4実施形態に係る半導体装置1,32,43,45と異なり、高価なSOI基板5を形成しなくとも、前述の半導体装置1と同様の効果を発揮することができる。
また、半導体装置60では、ゲートトレンチ69とエピタキシャル層63とが接する部分にp型不純物領域70が形成されているので、エピタキシャル層63に添加されたp型不純物が、ゲート絶縁膜71に吸収されp型濃度が低下することを効果的に抑制することができる。これにより、ゲートトレンチ69と接する部分におけるエピタキシャル層63が反対の極性であるn型に反転することを抑制することができる。その結果、n
+型ソース領域66およびn
+型ドレイン領域67間がn
−型ウェル領域64の下部を介して導通することを効果的に抑制することができる。
【0125】
次に、
図18を参照して、本発明の第6実施形態に係る半導体装置86について説明する。
図18は、本発明の第6実施形態に係る半導体装置86の模式的な断面図である。半導体装置86が前述の第5実施形態に係る半導体装置60と相違する点は、ゲートトレンチ69に替えて、ゲートトレンチ87が形成されている点である。その他の構成は、半導体装置60の場合と同等の構成である。
図18において、前述の
図16に示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0126】
半導体装置86におけるゲートトレンチ87の底部は、前述のゲートトレンチ69と異なり、断面視において、エピタキシャル層63の底部を貫いて、半導体基板62に至るように形成されている。
以上のように、半導体装置86の構成によれば、エピタキシャル層63よりも高濃度な半導体基板62を利用することにより、前述の半導体装置60のようなp型不純物領域70を形成しなくとも、前述の半導体装置60と同様の効果を発揮することができる。
【0127】
また、p型不純物領域70を形成しなくてもよいので、前述の半導体装置60における製造工程を簡略化(すなわち、
図17Dの工程を省略)することができる。
次に、
図19を参照して、本発明の第7実施形態に係る半導体装置91について説明する。
図19は、本発明の第7実施形態に係る半導体装置91の模式的な断面図である。
図19(a)は、前述の第1実施形態に係る第1素子形成領域6と、第2素子形成領域92とを示す模式的な断面図であり、
図19(b)は、第3素子形成領域93と、第4素子形成領域94と、第5素子形成領域95とを示す模式的な断面図である。なお、第1素子形成領域6の構成は、前述の第1実施形態において説明した通りであるので、同様の符号を付して、説明を省略する。
【0128】
半導体装置91は、L−MOSSITが形成された第1素子形成領域6と、CMOSが形成された第2素子形成領域92と、バイポーラトランジスタが形成された第3素子形成領域93と、キャパシタンスが形成された第4素子形成領域94と、レジスタンスが形成された第5素子形成領域95とを含む。第1〜第5素子形成領域6,92,93,94,95は、それぞれ素子分離領域7によって区画されている。
【0129】
まず、
図19(a)を参照して、第2素子形成領域92について説明する。第2素子形成領域92は、n−MOS領域96とp−MOS領域97とを含む。
n−MOS領域96におけるn
−型活性層4の表面には、p型ウェル領域98が形成されている。p型ウェル領域98は、たとえば、第1素子形成領域6におけるn
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9よりも深く形成されており、n
−型活性層4の表面から、0.8μm〜3μmに至る深さまで形成されている。p型ウェル領域98の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
16cm
−3〜1.0×10
17cm
−3である。
【0130】
p型ウェル領域98の素子分離領域7側の側面は、素子分離用トレンチ18の側面と接しており、p型ウェル領域98の素子分離領域7と反対側の側面は、後述するn型ウェル領域105の側面と接している。
p型ウェル領域98の内方領域には、n
+型のn−MOS用ソース領域99およびn−MOS用ドレイン領域100と、p
+型ウェルコンタクト領域101とが互いに間隔を空けて選択的に形成されている。
【0131】
n−MOS用ソース領域99およびn−MOS用ドレイン領域100は、前述の第1素子形成領域6におけるn
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9と同一深さおよび同一濃度で形成されている。
p
+型ウェルコンタクト領域101は、n−MOS用ソース領域99およびn−MOS用ドレイン領域100とほぼ同一の深さで形成されている。p
+型ウェルコンタクト領域101の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
20cm
−3である。
【0132】
n−MOS領域96におけるn
−型活性層4の表面には、n−MOS用ゲート酸化膜102を介してn−MOS用ゲート電極103が形成されており、n−MOS用ソース領域99およびn−MOS用ドレイン領域100との間の領域に、n−MOS領域96のn−MOS用チャネル領域104が形成される。つまり、n−MOS用ゲート電極103は、n−MOS用ゲート酸化膜102を介してn−MOS用チャネル領域104に対向するように形成されている。
【0133】
n−MOS用ゲート電極103は、第1素子形成領域6に形成されたゲート配線19と一体的に連なるように形成されている。すなわち、ゲートコンタクト26(
図1および
図2参照)を介してn−MOS用ゲート電極103に電力が供給される。n−MOS用ゲート電極103上には、シリサイド膜14が形成されている。
p−MOS領域97におけるn
−型活性層4の表面には、n型ウェル領域105が形成されている。n型ウェル領域105は、p型ウェル領域98とほぼ同一深さに形成されている。n型ウェル領域105の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
16cm
−3〜1.0×10
17cm
−3である。
【0134】
n型ウェル領域105の素子分離領域7側の側面は、素子分離用トレンチ18の側面と接しており、n型ウェル領域105の素子分離領域7と反対側の側面は、p型ウェル領域98の側面と接している。
n型ウェル領域105の内方領域には、p
+型のp−MOS用ソース領域106およびp−MOS用ドレイン領域107と、n
+型ウェルコンタクト領域108とが互いに間隔を空けて選択的に形成されている。
【0135】
p−MOS用ソース領域106およびp−MOS用ドレイン領域107は、n−MOS領域96におけるp
+型ウェルコンタクト領域101とほぼ同一の深さおよび同一濃度で形成されている。
n
+型ウェルコンタクト領域108は、前述の第1素子形成領域6におけるn
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9と同一深さおよび同一濃度で形成されている。
【0136】
p−MOS領域97におけるn
−型活性層4の表面には、p−MOS用ゲート酸化膜109を介してp−MOS用ゲート電極110が形成されており、p−MOS用ソース領域106およびp−MOS用ドレイン領域107との間の領域に、p−MOS領域97のp−MOS用チャネル領域111が形成される。つまり、p−MOS用ゲート電極110は、p−MOS用ゲート酸化膜109を介してp−MOS用チャネル領域111に対向するように形成されている。
【0137】
p−MOS用ゲート電極110は、n−MOS用ゲート電極103と同様に、第1素子形成領域6に形成されたゲート配線19と一体的に連なるように形成されている。すなわち、ゲートコンタクト26(
図1および
図2参照)を介してp−MOS用ゲート電極110に電力が供給される。p−MOS用ゲート電極110上には、シリサイド膜14が形成されている。このように、第2素子形成領域92には、CMOSが形成されている。
【0138】
次に、
図19(b)を参照して、第3素子形成領域93について説明する。第3素子形成領域93は、n
−型活性層4の表面に形成されたp型ベース領域112と、p型ベース領域112の内方領域に、互いに間隔を空けて選択的に形成されたp
+型ベース113およびn
+型エミッタ114と、p型ベース領域112外の領域に選択的に形成されたn
+型コレクタ115とを含む。
【0139】
p型ベース領域112は、たとえば、第2素子形成領域92におけるp型ウェル領域98と同一深さおよび同一濃度で形成されている。また、p
+型ベース113は、第2素子形成領域92におけるp−MOS用ソース領域106およびp−MOS用ドレイン領域107と同一深さおよび同一濃度で形成されている。また、n
+型エミッタ114およびn
+型コレクタ115は、たとえば、第1素子形成領域6におけるn
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9と同一深さおよび同一濃度で形成されている。このように、第3素子形成領域93には、バイポーラトランジスタが形成されている。
【0140】
次に、第4素子形成領域94について説明する。第4素子形成領域94は、n
−型活性層4の表面に形成されたキャパシタ用電極層116と、キャパシタ用電極層116の表面を選択的に掘り下げて形成された複数のキャパシタ用トレンチ117とを含む。
キャパシタ用電極層116は、素子分離領域7の素子分離用トレンチ18の側面から一定の距離を空けて形成されている。キャパシタ用電極層116は、たとえばn型拡散からなり、その不純物濃度は、1.0×10
16cm
−3〜1.0×10
20cm
−3である。
【0141】
複数のキャパシタ用トレンチ117は、第1素子形成領域6におけるゲートトレンチ11と同一形状および深さで形成されている。つまり、複数のキャパシタ用トレンチ117の底部は、キャパシタ用電極層116の底部を貫通して、BOX層3の上部と接するように形成されている。そして、キャパシタ用トレンチ117には、キャパシタ用絶縁膜118を介してキャパシタ用電極119が埋め込まれている。キャパシタ用電極119は、たとえば、第1素子形成領域6におけるゲート電極13と同一の材料および同一の膜厚で形成されている。
【0142】
複数のキャパシタ用トレンチ117の間の領域、および素子分離用トレンチ18とキャパシタ用トレンチ117との間の領域におけるキャパシタ用電極層116の表面には、n
+型不純物領域120が形成されている。n
+型不純物領域120は、たとえば、第1素子形成領域6におけるn
+型ソース領域8およびn
+型ドレイン領域9と同一深さおよび同一濃度で形成されている。このように、第4素子形成領域94には、キャパシタンスが形成されている。
【0143】
次に、第5素子形成領域95について説明する。第5素子形成領域95は、素子分離領域7に区画された領域全体に形成されたp型の不純物領域121と、不純物領域121の内方領域において、互いに間隔を空けて選択的に形成された第1p
+型不純物領域122および第2p
+型不純物領域123とを含む。
p型の不純物領域121は、たとえば、第2素子形成領域92におけるp型ウェル領域98と同一深さおよび同一濃度で形成されている。また、第1p
+型不純物領域122および第2p
+型不純物領域123は、たとえば、第2素子形成領域92におけるp−MOS用ソース領域106およびp−MOS用ドレイン領域107と同一深さおよび同一濃度で形成されている。このように、第5素子形成領域95には、レジスタンスが形成されている。
【0144】
そして、第1〜第5素子形成領域6,92,93,94,95を覆うように層間絶縁膜23が形成されている。
第1素子形成領域6におけるソースコンタクト24、ドレインコンタクト25およびゲートコンタクト26は、層間絶縁膜23上に配置された電極132にそれぞれ接続されている。
【0145】
第2素子形成領域92には、n−MOS用ソース領域99、n−MOS用ドレイン領域100、p
+型ウェルコンタクト領域101、p−MOS用ソース領域106、p−MOS用ドレイン領域107、および、n
+型ウェルコンタクト領域108を接続するためのコンタクト124が層間絶縁膜23を貫通して、それぞれに接続されている。コンタクト124は、層間絶縁膜23上に配置された電極125にそれぞれ接続されている。
【0146】
また、第3素子形成領域93には、p
+型ベース113、n
+型エミッタ114、およびn
+型コレクタ115を接続するためのコンタクト126が層間絶縁膜23を貫通して、それぞれに接続されている。コンタクト126は、層間絶縁膜23上に配置された電極127にそれぞれ接続されている。
また、第4素子形成領域94には、n
+型不純物領域120を接続するためのコンタクト128が層間絶縁膜23を貫通して、それぞれに接続されている。コンタクト128は、層間絶縁膜23上に配置された電極129にそれぞれ接続されている。
【0147】
また、第5素子形成領域95には、第1p
+型不純物領域122および第2p
+型不純物領域123を接続するためのコンタクト130が層間絶縁膜23を貫通して、それぞれに接続されている。コンタクト130は、層間絶縁膜23上に配置された電極131にそれぞれ接続されている。
そして、第1素子形成領域6には、図示しない配線層がさらに形成されており、当該配線層を介して、第1〜第5素子形成領域6,92,93,94,95に電力が供給される。
【0148】
このような半導体装置91は、たとえば、前述のL−MOSSITの製造工程(
図6A〜
図6G)において主要な部分を同時に作り込み、異なる部分については、別途製造工程を追加することにより製造することができる。
以上のように、半導体装置91によれば、L−MOSSITと他の半導体素子を同時に作り込むことが可能であるので、製造工程を簡略化できながらも、優れた多機能性を有する半導体装置を提供することができる。また、L−MOSSITの構成によれば、LSIとして混載が極めて容易であるので、他の半導体素子との親和性が極めて高い半導体装置を提供することができる。
【0149】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の第1〜第4実施形態において、矩形状に第1素子形成領域6を取り囲む二重トレンチ構造の素子分離用トレンチ18について説明したが、第1素子形成領域6を取り囲めればどのような形状であってもよい。したがって、素子分離用トレンチ18は、たとえば、楕円形であっても、8角形であってもよい。
【0150】
また、2つの素子分離用トレンチ18の間隔は、n
−型チャネル領域15とゲート電極13との間のビルトインポテンシャルによって発生する空乏層幅の2倍以上に形成されていてもよい。
また、前述の第2実施形態では、n
+型ソース表面層35とn
+型ソース最深層40との間に形成されたn
+型ソース中間層3
9を含むn
+型ソース領域33について説明したが、n
+型ソース表面層35とn
+型ソース最深層40との間に2つ以上の中間層が形成されていてもよい。すなわち、3つ以上の層を含むn
+型ソース領域が形成されていてもよい。
【0151】
また、同様に、n
+型ドレイン表面層36とn
+型ドレイン最深層42との間に形成されたn
+型ドレイン中間層41とを含むn
+型ドレイン領域34について説明したが、n
+型ドレイン表面層36とn
+型ドレイン最深層42との間に2つ以上の中間層が形成されていてもよい。すなわち、3つ以上の層を含むn
+型ドレイン領域が形成されていてもよい。
【0152】
また、前述の第1〜7実施形態では、p型の半導体基板2,62が形成された構成について説明したが、導電型を反転させたn型の半導体基板2,62が形成された構成であってもよい。この場合、他の不純物領域等の導電型も反転された構成となる。
また、前述の第1〜7実施形態において説明した半導体装置1,32,43,45,60,86,91の各々の構成は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で組み合わせることができる。その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。この明細書および図面から抽出される特徴の例を以下に示す。
[項1]半導体層と、前記半導体層の表面において横方向に間隔を空けて形成され、いずれも第1導電型のソース領域およびドレイン領域と、前記半導体層の表面の法線方向から見た平面視において、それぞれが前記ソース領域および前記ドレイン領域に跨るように形成されていて、互いに間隔を空けて配列された複数のゲートトレンチと、隣り合う前記ゲートトレンチによって挟まれた前記半導体層からなり、前記ドレイン領域から前記ソース領域に延びる方向に沿ったチャネル長を有する第1導電型のチャネル領域と、ゲート絶縁膜を介して前記ゲートトレンチに埋め込まれたゲート電極とを含み、前記平面視における前記チャネル領域の厚さは、前記チャネル領域と前記ゲート電極との間のビルトインポテンシャルによって発生する空乏層幅の2倍以下である、半導体装置。
この構成によれば、半導体装置がオフ時(ゲート電極に電圧を印加しない時)には、チャネル領域とゲート電極との間のビルトインポテンシャルによって、空乏層がゲート電極から半導体層(チャネル領域)に向けて拡がるように形成される。このとき、平面視におけるチャネル領域の厚さは、空乏層幅の2倍以下であるので、隣り合うゲート電極から拡がる空乏層がチャネル領域において互いに重なり合うことにより、チャネル領域が完全に空乏化して電気的に遮断される。すなわち、この構成によれば、ノーマリオフの半導体装置を提供することができる。
一方、半導体装置がオン時(ゲート電極に電圧を印加する時)には、空乏層を縮小もしくは消滅させてチャネル領域を導通させることができる。しかも、従来のMOSFETのようにチャネルに反転層を用いる訳ではないため、反転層特有のキャリア易動度の低下を抑制することができる上、チャネルの厚さも比較的厚くすることができる。これにより、反転層特有のキャリア易動度の低下を抑制することができる。その結果、低い動作抵抗値を有する半導体装置を提供することができる。
ここで、反転層を用いない方法を利用した半導体装置として、SIT(Static Induction Transistor:静電誘導トランジスタ)とジャンクションFET(Field Effect Transistor)とを挙げることができる。
これらの半導体装置では、半導体基板に向かい合うゲート拡散領域を形成し、このゲート拡散領域に対する電圧を制御することによって当該領域間に形成された半導体基板の一部からなるチャネル領域を空乏層によって開閉する。そのため、チャネル幅を広くすることができ、また反転層特有のキャリア易動度の低下がないため、チャネルの電気抵抗値を小さくすることができる。
しかしながら、不純物拡散によりゲート領域を形成しているので、ある程度の深さ方向の作り込みをする場合には、平面的なパターンを大きくせざるを得ない。したがって、SITおよびジャンクションFETでは、微細な作り込みができず、半導体素子のサイズが非常に大きくなるという問題がある。さらに、SITおよびジャンクションFETは、電圧を加えていない状態でも電流が流れてしまう、ノーマリオンが基本の半導体装置であるので、使い勝手が極めて悪いという根本的な問題もある。
これに対して、項1に記載の構成によれば、SITおよびジャンクションFETと異なり、ゲート電極は、ゲート絶縁膜を介してゲートトレンチに埋め込まれているので、不純物拡散はゲート絶縁膜で区切られる。
これにより、平面的なパターンが増大することを抑制することができるので、半導体素子のサイズの微細化を図ることができる。その結果、単位面積当たりのチャネル幅を大きく稼ぐことができる。また、ゲートトレンチを深く形成することによっても、チャネル幅を稼ぐこともできる。
このように、項1に記載の構成によれば、SIT、ジャンクションFETおよびMOSFETが有する複数の弱点を同時に解決することができる。しかも、この構成によれば、LSIとして混載が極めて容易な横型の半導体装置であるので、他の半導体素子との親和性が極めて高い半導体装置を提供することができる。
[項2]隣り合う前記ゲートトレンチの間隔は、その深さ方向に沿って一定である、項1に記載の半導体装置。
この構成によれば、隣り合う各ゲートトレンチから拡がる空乏層を互いにかつ確実にチャネル領域において重ね合わせることができる。その結果、良好なノーマリオフ動作を実現することができる。
[項3]前記ソース領域および前記ドレイン領域は、前記半導体層の表面に露出する表面層および当該表面層よりも下方に間隔を空けて形成された埋め込み層を含む複数の層からなる、項1または2に記載の半導体装置。
この構成によれば、ソース領域およびドレイン領域を半導体層の深さ方向にも分布させることができる。これにより、ソース領域における電気力線およびドレイン領域における電気力線を、各々の表面層と埋め込み層との間において均等に分布させることができるので、ソース領域およびドレイン領域を流れる電流のばらつきを効果的に抑制することができる。その結果、半導体装置の動作抵抗値の増加を効果的に抑制することができる。
[項4]前記埋め込み層は、前記ゲートトレンチの底部に至るまで、互いに間隔を空けて複数形成されている、項3に記載の半導体装置。
[項5]前記ソース領域および前記ドレイン領域は、前記半導体層の表面から前記ゲートトレンチの底部に至るまで一様に形成されている、項1または2に記載の半導体装置。
この構成によれば、ソース領域における電気力線およびドレイン領域における電気力線を、半導体層の表面からゲートトレンチの底部に亘って均等に分布させることができる。これにより、ソース領域およびドレイン領域を流れる電流のばらつきを効果的に抑制することができる。その結果、半導体装置の動作抵抗値の増加を効果的に抑制することができる。
[項6]前記ソース領域および前記ドレイン領域は、前記半導体層に埋め込まれたポリシリコンからなる、項5に記載の半導体装置。
[項7]前記ドレイン領域は、前記ゲートトレンチの端部との間に所定の間隔が空くように形成されている、項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
この構成によれば、各ゲートトレンチの端部とドレイン領域との間の領域にも空乏層が拡がることになるので、半導体装置のドレイン・ゲート間耐圧がゲート絶縁膜の厚さに依存することを抑制することができる。その結果、半導体装置の耐圧を向上させることができる。
[項8]前記ソース領域および前記ドレイン領域は、それぞれ前記ゲートトレンチの端部に接するように形成されている、項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
[項9]前記半導体層がn型シリコンからなり、前記ゲート電極がp型ポリシリコンからなる、項1〜8のいずれか一項に記載の半導体装置。
[項10]前記複数のゲートトレンチは、前記チャネル長に相当する長さのドット状に形成されたゲートトレンチが等間隔に配列されることによって構成されている、項1〜9のいずれか一項に記載の半導体装置。
この構成によれば、各チャネル領域の厚さおよび形状は、ほぼ等しく形成される。その結果、各チャネル領域間におけるチャネルの厚みおよびキャリア易動度のばらつきを効果的に抑制することができる。
[項11]前記半導体層は、支持基板と、BOX層を介して前記支持基板上に積層された活性層とを含むSOI基板からなり、前記ゲートトレンチは、前記活性層の表面から前記BOX層に至るように形成されている、項1〜10のいずれか一項に記載の半導体装置。
この構成によれば、隣り合うゲートトレンチに挟まれた活性層がチャネル領域となる。このとき、ゲートトレンチは、支持基板と活性層とを完全に分離するBOX層に至るように形成されているので、ソース領域およびドレイン領域が活性層下部を介して導通することを効果的に抑制することができる。
[項12]前記半導体層は、第2導電型半導体層と、前記第2導電型半導体層に形成された第1導電型ウェルとを含む基板からなり、前記ゲートトレンチは、前記第1導電型ウェルを貫通して前記第2導電型半導体層に至るように形成されている、項1〜10のいずれか一項に記載の半導体装置。
この構成によれば、隣り合うゲートトレンチに挟まれた第1導電型ウェルがチャネル領域となる。このとき、ゲートトレンチは、第1導電型ウェルを貫通して反対の極性である第2導電型半導体層に至るように形成されているので、ソース領域およびドレイン領域が第1導電型ウェルの下部を介して導通することを抑制することができる。
また、この構成によれば、前述の項11に記載の半導体装置の構成とは異なり、BOX層を形成する必要がないので、その分において製造工程を簡略化することができる。その結果、比較的に安価に半導体装置を製造することができる。
[項13]前記第2導電型半導体層は、基板と、前記第1導電型ウェルが形成され、前記基板よりも低濃度なエピタキシャル層とを含み、前記エピタキシャル層は、前記ゲートトレンチと接する領域に形成され、前記エピタキシャル層において前記ゲートトレンチと接する領域以外の領域よりも不純物濃度が高い高濃度領域を含む、項12に記載の半導体装置。
この構成によれば、ゲートトレンチとエピタキシャル層が接する部分において、エピタキシャル層に注入された第2導電型の不純物が、その後の工程で形成されるゲート絶縁膜に浸透することを効果的に抑制することができる。これにより、当該ゲート絶縁膜と接する部分におけるエピタキシャル層が第1導電型に反転することを抑制することができる。その結果、ソース領域およびドレイン領域がエピタキシャル層を介して導通することを効果的に抑制することができる。
[項14]第1導電型領域を選択的に有する半導体層の当該第1導電型領域に、ゲートトレンチを互いに間隔を空けて複数形成する工程と、ゲート絶縁膜を介して前記ゲートトレンチにゲート電極を埋め込む工程と、前記半導体層の表面の法線方向から見た平面視において、隣り合う前記ゲートトレンチによって挟まれた前記第1導電型領域が、当該ゲートトレンチの一端から他端に延びる方向に沿ったチャネル長を有するチャネル領域となるように、第1導電型の不純物イオンを前記半導体層に注入することによって、複数のゲートトレンチに跨る第1導電型のドレイン領域を当該複数のゲートトレンチの一端側に形成し、当該複数のゲートトレンチに跨る第1導電型のソース領域を当該複数のゲートトレンチの他端側に形成する工程とを含み、前記複数のゲートトレンチを形成する工程は、前記平面視における前記チャネル領域の厚さが、前記チャネル領域と前記ゲート電極との間のビルトインポテンシャルによって発生する空乏層幅の2倍以下となるように、前記ゲートトレンチを形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法。
この方法によれば、前述の項1に関して述べた効果と同様の効果を奏することのできる構造の半導体装置を製造することができる。
[項15]前記ソース領域および前記ドレイン領域を形成する工程は、第1の加速エネルギで第1導電型の不純物イオンを前記半導体層に注入することによって、前記半導体層の表面に露出する表面層を形成する工程と、前記第1の加速エネルギよりも高い第2の加速エネルギで第1導電型の不純物イオンを前記半導体層に注入することによって、当該表面層よりも下方に埋め込み層を形成する工程とを含む、項14に記載の半導体装置の製造方法。
この方法によれば、前述の項3に関して述べた効果と同様の効果を奏することのできる構造の半導体装置を製造することができる。
[項16]前記埋め込み層を形成する工程は、前記第2の加速エネルギを段階的に変化させることによって、前記ゲートトレンチの底部に至るまで互いに間隔が空くように、前記埋め込み層を複数形成する工程を含む、項15に記載の半導体装置の製造方法。
この方法によれば、前述の項4に関して述べた効果と同様の効果を奏することのできる構造の半導体装置を製造することができる。
[項17]第1導電型領域を選択的に有する半導体層の当該第1導電型領域に、互いに間隔を空けてソース用トレンチおよびドレイン用トレンチを形成する工程と、前記ソース用トレンチおよび前記ドレイン用トレンチに第1導電型のポリシリコンを埋め込むことによって、当該ポリシリコンからなるソース領域およびドレイン領域を形成する工程と、前記半導体層の表面の法線方向から見た平面視において、それぞれが前記ソース領域および前記ドレイン領域に跨るように、互いに間隔を空けて複数のゲートトレンチを形成し、同時に、隣り合う前記ゲートトレンチによって挟まれた前記第1導電型領域からなり、前記ドレイン領域から前記ソース領域に延びる方向に沿ったチャネル長を有するチャネル領域を形成する工程とを含み、前記複数のゲートトレンチを形成する工程は、前記平面視における前記チャネル領域の厚さが、前記チャネル領域と前記ゲート電極との間のビルトインポテンシャルによって発生する空乏層幅の2倍以下となるように、前記ゲートトレンチを形成する工程とを含む、半導体装置の製造方法。
この方法によれば、半導体層の表面からゲートトレンチの底部に亘って埋め込まれたポリシリコン内において、ソース領域における電気力線およびドレイン領域における電気力線を均等に分布させることができる。これにより、ソース領域およびドレイン領域を流れる電流のばらつきを効果的に抑制することができるので、半導体装置の動作抵抗値の増加を効果的に抑制することができる半導体装置を提供することができる。
[項18]前記複数のゲートトレンチを形成する工程は、隣り合う前記ゲートトレンチの間隔を、その深さ方向に沿って一定に形成する工程を含む、項14〜17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
この方法によれば、各ゲートトレンチの側面の全面からチャネル領域に向けて拡がる空乏層は、チャネル領域において互いにかつ確実に重なり合うことになるので、良好なノーマリオフ動作を実現できる半導体装置を提供することができる。
[項19]前記半導体層は、支持基板と、BOX層を介して前記支持基板上に積層され、前記第1導電型領域を提供する活性層とを含むSOI基板からなり、前記複数のゲートトレンチを形成する工程は、前記活性層の表面から前記BOX層に至るように前記ゲートトレンチを形成する工程を含む、項14〜18のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
この方法によれば、前述の項11に関して述べた効果と同様の効果を奏することのできる構造の半導体装置を製造することができる。
[項20]前記半導体層は、第2導電型半導体層と、前記第2導電型半導体層に形成され、前記第1導電型領域を提供する第1導電型ウェルとを含む基板からなり、前記複数のゲートトレンチを形成する工程は、前記第1導電型ウェルを貫通して前記第2導電型半導体層に至るように前記ゲートトレンチを形成する工程を含む、項14〜18のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
この方法によれば、前述の項12に関して述べた効果と同様の効果を奏することのできる構造の半導体装置を製造することができる。
[項21]前記第2導電型半導体層は、基板と、前記第1導電型ウェルが形成され、前記基板よりも低濃度なエピタキシャル層とを含み、前記半導体装置の製造方法は、前記複数のゲートトレンチの形成後、前記ゲートトレンチに露出する前記エピタキシャル層に、第2導電型の不純物イオンを注入する工程をさらに含む、項20に記載の半導体装置の製造方法。
この方法によれば、前述の項13に関して述べた効果と同様の効果を奏することのできる構造の半導体装置を製造することができる。
[項22]支持基板と、BOX層を介して前記支持基板の上に積層された活性層とを含むSOI基板からなる半導体層と、前記半導体層の表面から深さ方向に向けて形成された比較的に高濃度な高濃度領域、および、前記高濃度領域から前記半導体層の深さ方向に直交する方向に向けて濃度が薄くなるように形成された低濃度領域をそれぞれ有し、かつ、前記半導体層の表面において横方向に互いに間隔を空けて形成された第1導電型のソース領域および第1導電型のドレイン領域と、前記半導体層の表面の法線方向から見た平面視において、それぞれが前記ソース領域および前記ドレイン領域に跨るように形成され、互いに間隔を空けて配列された複数のゲートトレンチであって、それぞれが前記活性層の表面から前記BOX層に至るように形成された複数のゲートトレンチと、ゲート絶縁膜を介して前記ゲートトレンチに埋め込まれたゲート電極と、前記半導体層において隣り合う前記ゲートトレンチによって挟まれた領域からなり、前記横方向に沿ったチャネル長を有する第1導電型のチャネル領域とを含み、前記平面視における前記チャネル領域の厚さは、前記チャネル領域と前記ゲート電極との間のビルトインポテンシャルによって発生する空乏層幅の2倍以下である、半導体装置。
この構成によれば、前述の項1に関して述べた効果と同様の効果を奏する構造の半導体装置を提供することができる。
[項23]前記ドレイン領域は、前記ゲートトレンチの端部との間に所定の間隔が空くように形成されている、項22に記載の半導体装置。
この構成によれば、各ゲートトレンチの端部とドレイン領域との間の領域にも空乏層が拡がることになるので、半導体装置のドレイン・ゲート間耐圧がゲート絶縁膜の厚さに依存することを抑制することができる。その結果、半導体装置の耐圧を向上させることができる。
[項24]前記ソース領域および前記ドレイン領域は、それぞれ前記ゲートトレンチの端部に接するように形成されている、項22に記載の半導体装置。
[項25]前記ソース領域および前記ドレイン領域は、前記半導体層の表面から前記ゲートトレンチの底部に至るまで一様に形成されている、項22〜24のいずれか一項に記載の半導体装置。
この構成によれば、ソース領域における電気力線およびドレイン領域における電気力線を、半導体層の表面からゲートトレンチの底部に亘って均等に分布させることができる。これにより、ソース領域およびドレイン領域を流れる電流のばらつきを効果的に抑制することができる。その結果、半導体装置の動作抵抗値の増加を効果的に抑制することができる。
さらに、この構造において、前記ソース領域および前記ドレイン領域は、前記半導体層に埋め込まれたポリシリコンを含んでいてもよい。
[項26]前記ソース領域および前記ドレイン領域は、前記半導体層に埋め込まれたポリシリコンを含む、項25に記載の半導体装置。