特許第6233875号(P6233875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6233875携帯型高圧ホース応急遮断工具及びこれを用いた高圧ホースの交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233875
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】携帯型高圧ホース応急遮断工具及びこれを用いた高圧ホースの交換方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/10 20060101AFI20171113BHJP
   F16L 55/18 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   F16L55/10
   F16L55/18 B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-124887(P2013-124887)
(22)【出願日】2013年6月13日
(65)【公開番号】特開2015-1242(P2015-1242A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2015年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】500418244
【氏名又は名称】株式会社交通建設
(73)【特許権者】
【識別番号】304042711
【氏名又は名称】有限会社高萩自工
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】久保 ▲隆▼男
(72)【発明者】
【氏名】緑川 和彦
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−82137(JP,U)
【文献】 実開昭51−25128(JP,U)
【文献】 特開平6−257681(JP,A)
【文献】 特開平9−229287(JP,A)
【文献】 実開平6−61390(JP,U)
【文献】 実開昭59−7968(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/10
F16L 55/18
F16K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線路の保守作業に用いられる車輌に備えられ、層内に鋼製の補強層を有し、前記車輌のエンジンの作動に伴うポンプの駆動により高圧の油が内部の流路を流通する高圧ホースを、外部から挟み込んで前記流路を保守現場で応急的に遮断する携帯型高圧ホース応急遮断工具であって、
一方の端部に、前記高圧ホースに当接する第一当接面を有する第一挟持部材と、
前記第一当接面に対向配置され前記第一当接面との間に配置された前記高圧ホースに当接する第二当接面を備えた第二挟持部材と、
外周面にねじ溝が形成され、前記第一挟持部材の第一当接面の反対側の端部に前記第一挟持部材をねじ送り可能に結合された軸部材と、
当該軸部材のねじ溝と螺合するねじ溝が内周面に形成されたナット部を有するとともに、前記第二挟持部材が結合されたC字状のフレームとを有し、
前記第一当接面及び前記第二当接面には、各々連続する凸曲形状の稜からなる稜線が正対して形成され、
前記第一挟持部材及び前記第二挟持部材は、横断面の形状が、前記軸部材の軸を挟む両側からそれぞれ前記稜に向かって互いに対称的に直線状に延び、前記稜を頂点とする三角形状の領域を含むように、前記稜に連続して設けられた一組の平面をそれぞれ備え、
前記第一挟持部材には、前記高圧ホースが当接する部位よりも前記フレーム寄りの位置に前記軸部材の軸に平行な貫通孔が形成され、
前記第二挟持部材には、一端が前記第二挟持部材の前記稜線上に固定され、前記第二挟持部材の前記稜線から前記第一挟持部材の前記稜線に向かって延び、他端が前記貫通孔に挿通されたガイド棒が備えられ、
前記第一挟持部材の前記フレーム側の端部には、前記フレームの前記第一挟持部材側の端部に係合可能に形成された形状を有するガイド部が形成され、
前記ガイド棒及び前記ガイド部により、前記第一挟持部材の前記稜線を前記第二挟持部材の前記稜線と正対させた姿勢を保持したまま、前記軸部材を回転して前記第一挟持部材を前記第二挟持部材側へ変位自在に構成し、
前記車輌のエンジンが始動して前記高圧ホースの遮断位置に前記高圧が加えられた状態において前記高圧の油の流出を阻止することを特徴とする携帯型高圧ホース応急遮断工具。
【請求項2】
前記第二挟持部材は、前記C字状のフレームの開口部の内面との間に隙間を有するように前記C字状のフレームの一方の端面でのみ前記フレームと結合され、
前記C字状のフレームの他方の端部側に位置する前記軸部材と前記第一挟持部材との結合部と、前記第二挟持部材の前記フレームとの結合部とが、同一直線上に揃っていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型高圧ホース応急遮断工具。
【請求項3】
線路の保守作業に用いられる移動可能な車輌に備えられ、層内に鋼製の補強層を有し、前記車輌のエンジンの作動に伴うポンプの駆動により高圧の油が内部の流路を流通する高圧ホースが損傷した場合に当該高圧ホースを交換する方法であって、
前記エンジンを停止する停止ステップと、
前記エンジンが停止した状態で、請求項1又は2に記載の携帯型高圧ホース応急遮断工具を用いて、前記損傷した高圧ホースを、前記第一挟持部材の前記稜線を前記第二挟持部材の前記稜線と正対させた姿勢を保持したまま、前記軸部材を回転して前記第一挟持部材を前記第二挟持部材側へ変位し、前記第一挟持部材と前記第二挟持部材との間に挟み込んで内部の流路を遮断する応急遮断ステップと、
前記車輌のエンジンを始動させて前記ポンプを駆動する再始動ステップと、
前記駆動により前記高圧ホースの遮断位置に再度、前記高圧が加えられた状態において前記高圧の油の流出の阻止する高圧下遮断ステップと、
前記高圧ホースに前記携帯型高圧ホース応急遮断工具が挟み込まれ前記内部の流路を遮断した状態のまま、前記応急遮断ステップを行った場所から前記車輌を移動して退避させる移動ステップと、
前記移動ステップの後、前記損傷した高圧ホースを交換する交換ステップと、
を有することを特徴とする高圧ホースの交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧ホース内部の流路を遮断して、損傷部位から流体の流出を阻止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油、空気、水等の流体をポンプ等によって数十KPa〜数十MPaオーダの高圧とし、これを内部で流通させて用いる高圧ホースがある。高圧ホースの用途としては、各種作業装置の駆動や高圧水の噴射による洗浄等様々である。高圧ホースは、一般に、その配置の自由度や作業性の利便さから、ゴムや樹脂等の素材によって可撓性を有するものが多く、油圧シリンダ、エアブレーキ等の装置に油圧ホースやエアホースとして用いられている。
こうした高圧ホースには、磨耗や接触等により、外表面から内壁面に及ぶ損傷が発生することがある。その場合、高圧ホースが接続されているポンプの駆動を停止した後、高圧ホースの両端に取り付けられている継手やバルブ等から高圧ホースを取り外して、継手やバルブ等に栓をするという方法が用いられることが多い。
【0003】
ここで、高圧ホースを備える機械のひとつに、客車や貨物車が走行する線路のレールや枕木の点検及びこれらの交換、バラストの突き固め作業等の保守作業に用いられる、マルチプルタイタンパーやバラストレギュレータ等の保守用車輌がある。この保守作業は、線路上に移動可能な保守用車輌を配置して行う必要があるため、客車や貨物車が走行しない夜間等の時間帯に、保守作業を行うための所定の時間(閉鎖時間)が設定される。この閉鎖時間が終わると客車や貨物車の運行が始まる。そのため、保守作業を行うことはできなくなるので、保守作業には迅速さが求められる。そこで、例えば保守作業中に、保守用車輌の油圧ホースが損傷した場合、線路上に保守用車輌を停車した上で上記のように油圧ホースを交換して、継手やバルブ等に栓をすることは、時間がかかるため、大きな問題となる。
【0004】
また、長さが4、5mと比較的長い油圧ホースが複数あり、それらの各々の継手が一箇所に10〜20個密接して配設されている場合もある。この場合、複数の油圧ホースの長い胴部分が積層されることが多く、損傷した油圧ホースを手繰り寄せて、その油圧ホースの継手を他の高圧ホースから選別する作業に時間がかかる。よって、上記のように高圧ホースを継手等から取り外して栓をするのではなく、線路上で、応急的に油の流出を迅速に阻止して、当該保守用車輌を速やかに線路から退避させる技術が求められていた。
【0005】
こうした問題に対し、従来、高圧ホースを直接遮断するという技術はなく、敢えて検討すると、例えば、損傷部位に粘着テープを巻きつけて、内部の流体の流出を阻止するという方法が考えられる。しかし高圧ホースは、通常の水道ホース等と異なり、内部の流体の圧力が数十KPa〜数十MPaと比較的大きいため、ポンプが動作すると、粘着テープが直ちに剥離してしまう。
また他にも、高圧ホースに適用できる技術を探してみると、特許文献1に記載の技術がある。これは、ホースの損傷箇所に所定の大きさの切込を入れて損傷箇所を拡大した後、この損傷箇所からホースの内部に基盤材を挿入し、この内部基盤材と、ホースの外部に当接させた基盤材とをボルトとナットで締め付け、損傷箇所を遮断するという技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−033183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、高圧ホースは、内部の耐圧性を高めるため、その内層と外層は強固に形成されることが多く、加えて、これら両層の間に鋼線等からなる補強層が形成されていることもある。そのため、特許文献1の技術のごとく、損傷部位に外表面から内壁面まで切り込みを入れる作業を行う場合、通常の水道ホース等よりもこうした作業に時間がかかってしまう。さらに、高圧ホースの内外で各々基盤材を対向させて、これらを連結して締め付ける作業も必要となるため、一層時間がかかってしまう。そのため特許文献1の技術は、高圧ホース内部の流路を迅速に遮断するという点においては、現実には有効ではない。
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、損傷した高圧ホース内部の流路を迅速に遮断することのできる作業性のよい工具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具のある態様を、線路の保守作業に用いられる車輌に備えられ、層内に鋼製の補強層を有し、前記車輌のエンジンの作動に伴うポンプの駆動により高圧の油が内部の流路を流通する高圧ホースを、外部から挟み込んで前記流路を保守現場で応急的に遮断する携帯型高圧ホース応急遮断工具であって、一方の端部に、前記高圧ホースに当接する第一当接面を有する第一挟持部材と、前記第一当接面に対向配置され前記第一当接面との間に配置された前記高圧ホースに当接する第二当接面を備えた第二挟持部材と、外周面にねじ溝が形成され、前記第一挟持部材の第一当接面の反対側の端部に前記第一挟持部材をねじ送り可能に結合された軸部材と、当該軸部材のねじ溝と螺合するねじ溝が内周面に形成されたナット部を有するとともに、前記第二挟持部材が結合されたC字状のフレームとを有し、前記第一当接面及び前記第二当接面には、各々連続する凸曲形状の稜からなる稜線が正対して形成され、前記第一挟持部材及び前記第二挟持部材は、横断面の形状が、前記軸部材の軸を挟む両側からそれぞれ前記稜に向かって互いに対称的に直線状に延び、前記稜を頂点とする三角形状の領域を含むように、前記稜に連続して設けられた一組の平面をそれぞれ備え、前記第一挟持部材には、前記高圧ホースが当接する部位よりも前記フレーム寄りの位置に前記軸部材の軸に平行な貫通孔が形成され、前記第二挟持部材には、一端が前記第二挟持部材の前記稜線上に固定され、前記第二挟持部材の前記稜線から前記第一挟持部材の前記稜線に向かって延び、他端が前記貫通孔に挿通されたガイド棒が備えられ、前記第一挟持部材の前記フレーム側の端部には、前記フレームの前記第一挟持部材側の端部に係合可能に形成された形状を有するガイド部が形成され、前記ガイド棒及び前記ガイド部により、前記第一挟持部材の前記稜線を前記第二挟持部材の前記稜線と正対させた姿勢を保持したまま、前記軸部材を回転して前記第一挟持部材を前記第二挟持部材側へ変位自在に構成し、前記車輌のエンジンが始動して前記高圧ホースの遮断位置に前記高圧が加えられた状態において前記高圧の油の流出を阻止することとした。
【0009】
この構成によれば、軸部材を回転させると、第一挟持部材がねじ送り動作により第二挟持部材側へ変位する。高圧ホースは、第一当接面と第二当接面により左右から挟まれる。このとき、軸部材の回転トルクから導かれる軸力が、押圧力として高圧ホースに加えられる。そして第一挟持部材と第二挟持部材との間に挟まれた高圧ホースが、凸曲形状の稜線が形成された当接面によって強力に押し潰され、高圧ホース内部の流路が遮断される。加えて、軸部材のねじ溝とナット部のねじ溝との間に摩擦力が生じるので、第一挟持部材が第二挟持部材から離れる方向に容易に変位することがない。
【0010】
また前記2つの挟持部材の当接面に、各々連続する凸曲形状の稜からなる稜線が形成され、当該2つの稜線を正対させてもよい。この構成により、稜線どうしを正対させて高圧ホースを押し潰すので、高圧ホース内部の流路を効率的に遮断できる。
また前記第一挟持部材に前記軸部材の軸に平行な貫通孔を形成し、当該貫通孔に挿通されたガイド棒をさらに備えることとしてもよい。この構成により、第一挟持部材が第二挟持部材側へ変位するときの直進性が向上するので、高圧ホースを遮断する際の操作性をより向上できる。特に2つの挟持部材の当接面に、各々凸曲形状の稜線が形成されている場合、当該2つの稜線を正対させた姿勢を保持して第一挟持部材を変位させるとき、第一挟持部材が、軸部材の軸中心に回動することを防止するので、高圧ホースをより効率よく押し潰すことができる。
【0011】
また前記第一挟持部材の前記フレーム側の端部の形状を、前記フレームの前記第一挟持部材側の端部に係合可能に形成されたガイド部を形成してもよい。この構成により、第一挟持部材が第二挟持部材側へ変位するときの直進性が向上するので、高圧ホースを遮断する際の操作性をより向上できる。特に2つの挟持部材の当接面に、各々凸曲形状の稜線が形成されている場合、当該2つの稜線を正対させた姿勢を保持して第一挟持部材を変位させるとき、第一挟持部材が、軸部材の軸中心に回動することを防止するので、高圧ホースをより効率よく押し潰すことができる。
【0012】
また本発明に係る高圧ホースの交換方法のある態様を、線路の保守作業に用いられる移動可能な車輌に備えられ、層内に鋼製の補強層を有し、前記車輌のエンジンの作動に伴うポンプの駆動により高圧の油が内部の流路を流通する高圧ホースが損傷した場合に当該高圧ホースを交換する方法であって、前記エンジンを停止する停止ステップと、前記エンジンが停止した状態で、前記ある態様の携帯型高圧ホース応急遮断工具を用いて、前記損傷した高圧ホースを、前記第一挟持部材の前記稜線を前記第二挟持部材の前記稜線と正対させた姿勢を保持したまま、前記軸部材を回転して前記第一挟持部材を前記第二挟持部材側へ変位し、前記第一挟持部材と前記第二挟持部材との間に挟み込んで内部の流路を遮断する応急遮断ステップと、前記車輌のエンジンを始動させて前記ポンプを駆動する再始動ステップと、前記駆動により前記高圧ホースの遮断位置に再度、前記高圧が加えられた状態において前記高圧の油の流出の阻止する高圧下遮断ステップと、前記高圧ホースに前記携帯型高圧ホース応急遮断工具が挟み込まれ前記内部の流路を遮断した状態のまま、前記応急遮断ステップを行った場所から前記車輌を移動して退避させる移動ステップと、前記移動ステップの後、前記損傷した高圧ホースを交換する交換ステップと、を有することとした。
【0013】
この構成により、高圧ホースが損傷した場所で、高圧ホースを交換する時間が無くても、内部の流路を応急的に遮断し、その状態のまま車輌を別の場所に移動する。よって高圧ホースが損傷した場所で高圧ホースを交換する時間が無い場合であっても、高圧ホース内部から流体の過剰な流出を阻止することができる。
【発明の効果】
【0014】
従って、本発明のある態様によれば、軸部材を回転させるだけで、高圧ホースの内部の流路が遮断されるので、高圧ホースを継手から取り外す時間や、切り込みを入れる作業等の時間がかからない。よって、損傷した高圧ホース内部の流路を迅速に遮断できる。
また、一旦第一挟持部材をねじ送りして高圧ホースを押し潰せば、第一挟持部材の位置を容易に変位させないので、内部の流路を遮断した状態で、高圧ホース内部の流体に圧力が加えられても、流路の遮断状態を強固に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具を説明する正面図である。
図2】本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具を説明する平面図である。
図3】第一挟持部材が変位した状態を説明する図である。
図4】第一挟持部材が変位した状態を説明する図である。
図5】本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具の使用方法を説明する概略斜視図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具を説明する概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具は、線路の保守用車輌において用いられる油圧ホースを挟んで、内部の流路を遮断するために用いられる。流路を流通する流体である油に加えられる圧力は、15〜35MPaとされる。以下、その構成を、図面を参照して説明する。なお、図中に示された携帯型高圧ホース応急遮断工具を構成する各部材や装置の形状、大きさ又は比率は適宜簡略化及び誇張して示されている。
【0017】
(構成)
本発明の実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具1は、図1に示すように、高圧ホース9を同軸線上で両側から挟みこむ、第一挟持部材2及び第二挟持部材3を有する。また携帯型高圧ホース応急遮断工具1は、第二挟持部材3に固設されたガイド棒10を有する。また携帯型高圧ホース応急遮断工具1は、第一挟持部材2に固着された円筒軸受4と、円筒軸受4に連結された軸部材5と、軸部材5と螺合するナット部6とを有する。また携帯型高圧ホース応急遮断工具1は、ナット部6と第二挟持部材3を支持するフレーム7を有する。また携帯型高圧ホース応急遮断工具1は、軸部材5を回転させるハンドル部8を有する。これらの部材はいずれもステンレス製である。
【0018】
第一挟持部材2は、全体が角柱形状とされ、その側面の長手方向が、軸部材の軸線方向に直交配置される。またその断面が、図2に示すように、高圧ホース9側に縮径する略五角形状とされ、その終端は滑らかな凸曲形状の稜が形成された第一当接面2aとなる。第一当接面2aは、図1に示すように、この凸曲形状の稜が第一挟持部材2の上端から下端に亘って連続形成され、第一挟持部材2の高圧ホース9側の端部の稜線を形成している。第一挟持部材2は、このように構成された上で、高圧ホース9の外側面9aに当接する。
【0019】
また第一挟持部材2は、軸部材5の軸に平行に形成された貫通孔2bを有し、貫通孔2bには、ガイド部材10が挿設されている。ガイド棒10は、その一端部が、ナット部6側へ水平に突出するように、第二挟持部材3に固設され、第一挟持部材2の軸方向の変位をガイドする。この構成により、後述するように、上記した2つの稜線を正対させた姿勢を保持して第一挟持部材2を第二挟持部材3側へ変位させるとき、第一挟持部材が、軸部材の軸中心に回動することを防止する。
【0020】
また第一挟持部材2のフレーム7側の下端にはガイド部2cが、フレーム7に係合可能に形成されている。ガイド部2cはフレーム7の第一挟持部材2側の端部を上方から挟むように、フレーム7に係合している。この構成により、後述するように、上記した2つの稜線を正対させた姿勢を保持して第一挟持部材2を第二挟持部材3側へ変位させるとき、第一挟持部材が、軸部材の軸中心に回動することを防止する。
【0021】
第二挟持部材3は、第一挟持部材2と同様、全体が角柱形状とされ、その側面の長手方向が、軸部材の軸線方向に直交配置される。またその断面が、図2に示すように、高圧ホース9側に縮径する略五角形状とされ、その終端は滑らかな凸曲形状の稜が形成された第二当接面3aとなる。第二当接面3aは、図1に示すように、この凸曲形状の稜が第二挟持部材3の上端から下端に亘って連続形成され、第二挟持部材3の高圧ホース9側の端部の稜線を形成している。第二挟持部材3は、このように構成された上で、高圧ホース9の外側面9aに当接する。
【0022】
図1に示すように、第二当接面3aは第一当接面2aに対向配置され、高圧ホース9は第一当接面2aと第二当接面3aとの間に配置されている。また第一挟持第一部材2の稜線と、第二挟持部材3の稜線とは正対するように配置されている。よって、後述するように、第一挟持第一部材2が第二挟持部材3側へ変位すると、第一挟持部材2及び第二挟持部材3は、各々上記のように構成された稜線どうしを正対させて高圧ホース9を押し潰すので、第一当接面2a及び第二当接面3aはいずれも高圧ホース9を剪断することがない。そして高圧ホース9に大きな押圧力を加えて、高圧ホース9内部の流路を遮断できる。
【0023】
円筒軸受4は、第一挟持部材2の第一当接面2aの反対側の端部に固着され、図中の双方向回転矢印で示すような軸部材5の回転運動を、図中の双方向直線矢印で示すような第一挟持部材2の直進運動に変換する。
軸部材5の外周面には、ねじ溝5aが形成されている。このねじ溝5aと螺合するねじ溝6aが、ナット部6の内周面に形成されている。これにより、第一挟持部材2は、軸部材5によって、ねじ送り可能に結合されている。また軸部材5の、円筒軸受4と反対側の端部5cは断面六角形状とされる。また、端部5cには挿通孔5bが形成され、この挿通孔5bの中に略円柱状のハンドル部8が挿設されている。ハンドル部8を回転させることで、軸部材5を回転させることができる。
【0024】
ハンドル部8の両端は中央部よりもやや拡径形成され、挿通孔5bの直径よりも大きくされている。これにより、ハンドル部8が、軸部材5の軸線と直交する方向に変位自在とされるので、挿通孔5bから露出する部分の長さを、手前側(図1中下側)と奥側(図1中上側)とで自在に調節できる。
フレーム7は略C字状に形成され、一方の端部7bには第二挟持部材3が固着され、他方の端部7cにはナット部6が固着されている。これにより、第一挟持部材2は、軸部材5が回転することで、第二挟持部材3とナット部6との間を、図中の双方向直線矢印で示すように、変位自在に構成されている。また軸部材5は、図中の双方向回転矢印で示すように、正逆自在に回転し、その回転方向によって、第一挟持部材2の変位は、第二挟持部材3側へもナット部6側へも切替えられる。
【0025】
高圧ホース9は、内層9dと外層9bとの間に、鋼線による補強層9cが配設されている。
本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具1は、上記した構成により、ハンドル部8を用いて軸部材5を回転させると、第一挟持部材2がねじ送り動作により第二挟持部材3側へ変位する。第一当接面2aと第二当接面3aが高圧ホース9の外表面9aに当接し、高圧ホース9は、図1、2に示すように、第一挟持部材2及び第二挟持部材3に左右から挟まれる。さらに続けて軸部材5を回転させると、軸部材5の回転トルクから導かれる軸力が、押圧力として高圧ホース9に加えられる。そして、図3、4に示すように、第一挟持部材2と第二挟持部材3との間でこれらと同軸線上に挟まれた高圧ホース9が、凸曲形状の稜線が形成された第一当接面2aと第二当接面3aによって強力に押し潰され、高圧ホース9内部の流路が遮断される。このとき、軸部材5のねじ溝5aとナット部6のねじ溝6aとの間に摩擦力が生じるので、第一挟持部材2が第二挟持部材3から離れる方向に、容易に変位することがない。
【0026】
(高圧ホースの交換方法)
次に、本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具1を2つ用いて行う高圧ホースの交換方法を説明する。ここで高圧ホース9は、保守用車輌であるバラストレギュレータの作業装置であるスタビライザーを駆動させる油圧ホースとする。スタビライザーは、バラストの初期沈下を行う作業装置である。この油圧ホースは、作動流体である油に圧力を加えるポンプ(不図示)に取り付けられ、このポンプはバラストレギュレータのエンジンの駆動に連動して動作するものとする。また、高圧ホース9に生じた損傷は、高圧ホース9の外表面9aから内壁面9eまで貫通する裂傷であるが、高圧ホース9は切断には至っていないものとする。
【0027】
まず、保守作業を行う作業者は、高圧ホース9に配設された作動油タンクレベルセンサ(不図示)の表示等により、高圧ホース9の損傷を検知したら、一旦保守作業を中止する。そして線路上でバラストレギュレータのエンジンを停止し、当該高圧ホース9内部に圧油を供給するポンプの動作を停止する。ポンプからは約17MPaの圧力が加えられた圧油が供給されるものとする。
次に、作業者は、本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具1をひとつ用意し、図1に示すように、第一挟持部材2と第二挟持部材3との間に、高圧ホース9の損傷部位よりポンプ側の任意の位置を配置する。このとき高圧ホース9の中心位置が、軸部材5の軸線上となるように配置する。
【0028】
次に、ハンドル部8を用いて軸部材5を回転させ、第一挟持部材2を第二挟持部材3側へ変位させる。第一挟持部材2の第一当接面2aが高圧ホース9の外表面9aに当接した後、さらに第一挟持部材2を送り込む。そして、高圧ホース9を,凸曲形状の稜線が形成された第一当接面2aと、同様に凸曲形状の稜線が形成された第二当接面3aとの間で押し潰す。これにより、図4に示すように、高圧ホース9の内壁面9eを密着させ、高圧ホース9内部の流路を遮断する(応急遮断ステップ)。
【0029】
高圧ホース9の内壁面9eが密着すると、高圧ホース9から伝達される反力が増加する。作業者はこの反力の増加を感じたら、ハンドル部8の回転を停止する。
次に、作業者はもうひとつの携帯型高圧ホース応急遮断工具1を用いて、上記同様、第一挟持部材2と第二挟持部材3との間に、高圧ホース9の損傷部位より作動油タンク側の任意の位置を配置する。以下、この位置において、携帯型高圧ホース応急遮断工具1により、高圧ホース9内部の流路を遮断する動作は上記と同様である。これにより、高圧ホース9が、損傷部位を挟んだポンプ側と作動油タンク側との2箇所で遮断され、損傷部位から油の流出が停止する。
【0030】
次に、この2つの携帯型高圧ホース応急遮断工具1を高圧ホース9に挟み込んだ状態のまま、バラストレギュレータのエンジンを再び始動する。エンジンの始動に伴い、高圧ホース9に接続されたポンプが動作を開始する。ポンプを動作させると、所定の圧力が、携帯型高圧ホース応急遮断工具1が挟み込んでいる高圧ホース9の高圧側の遮断位置に加わる。高圧ホース9は携帯型高圧ホース応急遮断工具1により強固に遮断されているため、圧油は遮断位置より先に移動できず、損傷位置から流出することはない。尚、この圧油は当該高圧ホース9に連結されているリリーフバルブ(不図示)から他の経路にバイパスされ、ポンプに還流することとなる。
【0031】
次に、作業者は、バラストレギュレータを線路上から、保守用車両の待避所である基地線へ移動する(移動ステップ)。このとき、バラストレギュレータの高圧ホース9と携帯型高圧ホース応急遮断工具1とは、上記した遮断状態のまま結合している。これは、一旦、第一挟持部材2をねじ送りして高圧ホース9を押し潰せば、ねじ溝間の摩擦力が第一挟持部材2の位置を容易に変位させないからである。よって内部の流路を遮断した状態で、高圧ホース9内部の油に圧力が加えられても、流路の遮断状態を強固に保持できる。これにより、高圧ホース9に携帯型高圧ホース応急遮断工具1が挟み込まれた状態のまま、応急遮断ステップを行った線路上からバラストレギュレータを移動させることができる。
【0032】
そして、バラストレギュレータを基地線に退避させれば、バラストレギュレータが停車していた線路上を、他の保守用車輌が通過したり作業したりすることが可能となるので、保守作業の遅延が拡大しない。
また、基地線上に退避したバラストレギュレータにおいては、損傷した高圧ホース9をその両端の継手から取り外し、新しい高圧ホースに交換する(交換ステップ)。上記のようにして、本実施形態に係る高圧ホースの交換方法が構成される。
【0033】
本実施形態に係る高圧ホースの交換方法によれば、高圧ホース9が損傷した線路上で、高圧ホース9を交換する時間が無くても、内部の流路を応急的に遮断し、その状態のまま保守用車輌を基地線に移動する。よって迅速な作業が求められる線路の保守作業において、高圧ホース9が損傷した線路上で高圧ホース9を交換する時間が無い場合であっても、高圧ホース9内部から油の過剰な流出を阻止することができる。
【実施例】
【0034】
本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具1の遮断能力を実証するために、耐圧試験を行った。
試験には、油圧用の鋼線補強ゴムホース(プラッサー&トイラー社製 定格圧力21MPa、長さ2m)を、内径が9.5mm及び12mmのものを2種類用意した。
これら2種類の内径の高圧ホースの一端を、リリーフバルブを介してポンプに接続し、高圧ホースをその中間位置で切断した後、切断位置からポンプ側150mmの位置で、図5に示すように、本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具1を用いて遮断した。尚、見やすいように、図中の遮断位置は、実際より切断位置に近接した位置に示している。その後、ポンプから下記の各々の圧力を加えた油を流入させ、遮断した箇所に圧力を加えて遮断状態とし、その後30分間における損傷部位からの油の流出を観察した。
(1)試験1:17.5MPa
(2)試験2:21.0MPa
(3)試験3:32.0MPa
2種類の内径の高圧ホース9に関して、(1)〜(3)いずれの場合も、30分間、油漏れは確認されなかった。これにより、本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具1の遮断能力を実証できた。
【0035】
(効果)
本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具1は、凸曲形状の稜線が形成された第一当接面2aと、同様に凸曲形状の稜線が形成された第二当接面3aとの間に高圧ホース9を挟む構成とされる。そして、第一挟持第一部材2が第二挟持部材3側へ変位すると、第一挟持部材2及び第二挟持部材3は、各々の稜線どうしを正対させて高圧ホース9を押し潰す。よって比較的堅牢な高圧ホース9であっても、内部の流路を遮断できる。
また本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具1は、軸部材5を回転させるためにハンドル部8を回転させるだけでよいので、簡易な構造とすることができるとともに携帯性がよい。また、電気・電子部品を特段必要としないので、雨風等の環境下であっても、故障する確率が低い。
【0036】
また本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具1は、ハンドル部8が、軸部材5の軸線と直交する方向に変位自在に挿設されるので、挿通孔5bから露出する部分の長さを、手前側(図1中下側)と奥側(図1中上側)とで自在に調節できる。よって、軸部材5を回転させる際、挿通孔5bから露出する部分の長さを、半回転ごとに手前側が長くなるように変位させれば、軸部材5をスムーズに回転させるので、携帯型高圧ホース応急遮断工具1の作業性がより向上する。
【0037】
(その他)
尚、第一挟持部材2及び第二挟持部材3の形状は、本実施形態に記載の形状に限られるものではなく、適宜変更されてよい。例えば、図6に示すように、第一挟持部材2を、平面状の第一当接面2a及び、4つの直方体状の固定部2dから構成し、この第一当接面2aと第二挟持部材3の第二当接面3aとの間で、高圧ホース9を挟む構成としてもよい。
【0038】
また、本実施形態に係る携帯型高圧ホース応急遮断工具1の素材は、ステンレスに限定されず、鉄等他の金属や強化樹脂製であってもよい。またナット部や第二挟持部材は、フレーム7とは個別に形成された後フレーム7と固着されて構成されてもよいし、最初からフレーム7と一体形成されてもよい。
また、高圧ホースは、ゴム製であっても樹脂製であってもよい。また高圧ホースは、外層と内層との間に補強層が設けられた構造に限定されるものでなく、数十KPa以上の比較的大きな圧力が加えられる流体が流通するものであれば、他の構造であってもよい。
【0039】
また本発明が適用される高圧ホースは、線路の保守用車輌に用いられる高圧ホースに限定されるものではなく、土木建設作業用の重機や、高圧で水を噴出して被洗浄物を洗浄する高圧洗浄器等、数十KPa以上の比較的大きな圧力が加えられる流体が流通するホースに用いることができる。
また、高圧ホース9は、損傷が発生して、内部の流路を遮断する必要がある状態である限り、切断状態であってもなくてもよい。損傷状態は裂傷でもピンホールでもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 携帯型高圧ホース応急遮断工具
2 第一挟持部材
2a 第一当接面
2b 貫通孔
2c ガイド部
3 第二挟持部材
3a 第二当接面
4 回転軸受
5 軸部材
5a ねじ溝(軸部材)
5b 挿通孔
6 ナット部
6a ねじ溝(ナット部)
7 フレーム
8 ハンドル部
9 高圧ホース
10 ガイド棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6