特許第6233879号(P6233879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233879
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】容器の封印構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 55/02 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   B65D55/02
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-201629(P2013-201629)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-67292(P2015-67292A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】NECエンベデッドプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100150197
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】寒河江 誠
(72)【発明者】
【氏名】大木 誠
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−150860(JP,U)
【文献】 特開2009−232874(JP,A)
【文献】 特開2001−171719(JP,A)
【文献】 実開昭62−115377(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 55/02
B65D 6/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重ねられる上容器と下容器との間に収容空間を形成する容器と、
互いに重なる上容器と下容器のいずれか一方を貫通する貫通部を経由して他方の雌ねじ部に至りねじ込まれることで、これら両容器を連結する封印用ねじと、
前記貫通部内にねじ込まれた封印用ねじの頭部を臨むように、前記上容器と下容器のいずれか一方に形成された凹部と、
該凹部に挿入されて前記貫通部内の前記封印用ねじを覆う封印用キャップと、
該封印用キャップと前記上容器又は下容器との間に設けられて該封印用キャップを前記上容器又は下容器に連結する連結機構と、を具備し、
前記封印用キャップと前記凹部の内周面との間には、前記連結機構に通じる隙間を塞ぐ封止部材が設けられ、
前記連結機構は、前記凹部内の前記上容器又は下容器のいずれか一方に位置しかつ前記封印用ねじの頭部にて保持された固定部材をさらに具備し、
前記固定部材の先端部は、前記封印用キャップが前記凹部内に挿入される際、該挿入方向に対して交差する方向に弾性変形することにより、前記封印用キャップの本体部に形成された第2の被係合部に係合されることを特徴とする容器の封印構造。
【請求項2】
前記連結機構は、前記凹部への挿入方向に沿う前記封印用キャップの本体部先端に設けられて該挿入方向に対して交差する方向に突出した係合部と、前記凹部の周縁部に形成されて該係合部に係合される被係合部とを有し、
前記係合部は、前記封印用キャップが前記凹部内に挿入される際、該挿入方向に対して交差する方向に弾性変形することにより、前記被係合部に係合されることを特徴とする請求項1に記載の容器の封印構造。
【請求項3】
前記封止部材は、前記封印用キャップの本体部後端に設けられて前記凹部への挿入時に該凹部の開口部周縁を覆うフランジ部と、前記封印用キャップの本体部外側に設けられて前記凹部への挿入時に前記フランジ部と前記連結機構との間に位置する突状の返し部と、を有することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の容器の封印構造。
【請求項4】
前記封止部材は、前記封印用キャップの本体部後端に設けられて前記凹部への挿入時に該凹部の開口部周縁を覆うフランジ部と、前記封印用キャップの本体部外側に設けられて前記凹部への挿入時に前記フランジ部と前記連結機構との間に位置する突状の返し部と、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器の封印構造。
【請求項5】
前記突状の返し部は、前記封印用キャップが前記凹部内に挿入された場合、前記第2の被係合部に対して前記凹部の開口部側に位置することを特徴とする請求項4に記載の容器の封印構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品(ROM,CPU)及び該電子部品を搭載する基板といった重要部材を内部に収容する容器に係り、ねじ機構を弛めて開封しようとする不正を防止することができる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ等の遊技機、産業用ロボット、白物家電などの電子機器には、これらの動作を制御する電子部品(ROM,CPU)を搭載した基板が収容されることがある。そして、該基板が不正な改造を防止して電子器機器の機能を保証するため、又は内部に組み込まれている情報を保護するために、該基板を密封可能な基板ケースに収納することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1にはこのような基板ケースを密封するために使用されるねじについての技術が開示されている。
この基板ケースは、皿状部材に連結部が一体成型されると共に、キャップ状部材に有底円筒状部が一体成型される。これら有底円筒状部と連結部は、該有底円筒状部内に頭部を臨ませたビスにより固定される。
【0004】
また、有底円筒状部には、封印蓋が嵌入される。この封印蓋は、有底円筒状部に挿入される軸部の外周面に、突環部が突出形成される。突環部には、有底円筒状部の内周面に当接する周面部が形成されるとともに、該突環部における有底円筒状部に対する嵌入方向の前側端縁に、周面部から嵌入方向の前側に向かうにつれて軸中心に向けて傾斜するテーパ面が形成される。そして、封印蓋を有底円筒状部に嵌入した際に、突環部が有底円筒状部の内周面に食い込んで抜け止めされるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−232874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に示されるねじは、封印蓋を有底円筒状部に嵌入した際に、突環部が有底円筒状部の内周面に食い込んで抜け止めされる構成であるが、有底円筒状部への封印蓋の嵌入が緩い場合には、該封印蓋が簡単に外れてしまい、容器の不正開封が可能になるという課題がある。
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡易な構成により、封印蓋(封印用キャップ)の不正開封を防止した容器の封印構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明では、互いに重ねられる上容器と下容器との間に収容空間を形成する容器と、互いに重なる上容器と下容器のいずれか一方を貫通する貫通部を経由して他方の雌ねじ部に至りねじ込まれることで、これら両容器を連結する封印用ねじと、前記貫通部内にねじ込まれた封印用ねじの頭部を臨むように、前記上容器と下容器のいずれか一方に形成された凹部と、該凹部に挿入されて前記貫通部内の前記封印用ねじを覆う封印用キャップと、該封印用キャップと前記上容器又は下容器との間に設けられて該封印用キャップを前記上容器又は下容器に連結する連結機構と、を具備し、前記封印用キャップと前記凹部の内周面との間には、前記連結機構に通じる隙間を塞ぐ封止部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、互いに重なる上容器と下容器のいずれか一方を貫通する貫通部を経由して他方の雌ねじ部に至る封印用ねじにおいて、貫通部内の封印用ねじ頭部を臨むように、該上容器と下容器のいずれか一方に凹部が形成されている。
また、該凹部内には、貫通部内の封印用ねじを覆う封印用キャップが挿入されており、該封印用キャップと前記上容器又は下容器との間には、該封印用キャップを前記上容器又は下容器に連結する連結機構が設置されている。
そして、このような連結機構は、封印用キャップと凹部の内周面との間に設けられた封止部材によって、連結機構に通じる隙間が塞がれていることから、外部から解除工具によって連結機構が操作又は壊されることが未然に防止される。また、封止部材が壊された場合には、連結機構をこじ開けた上容器と下容器の強制開封がなされたと判断することができ、不正操作の有無を確認することができる。
すなわち、本発明に示す容器の封印構造では、封印用キャップと凹部の内周面との間に、連結機構に通じる隙間を塞ぐ封止部材を設けるという簡易な構成により、該容器の不正開封を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る容器の封印構造を示す断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る容器の分解斜視図である。
図3図2を下方側から見た斜視図である。
図4図2及び図3の容器を組み立てた状態を示す斜視図である。
図5図4のV−V線に沿って切断した断面図である。
図6図4のVI−VI線に沿って切断した断面図である。
図7】第1実施形態に係る容器の効果を説明するための断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る容器の分解斜視図である。
図9図8を下方側から見た斜視図である。
図10図8及び図9の容器を組み立てた状態を示す斜視図である。
図11図10のXI−XI線に沿って切断した断面図である。
図12図10のXII−XII線に沿って切断した断面図である。
図13】第2実施形態に係る容器の組立工程を示す断面図である。
図14図13に続く容器の組立工程を示す断面図である。
図15図14に続く容器の組立工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明に係る容器の封印構造を具体的に示す断面図である。
この図1において符号1で示すものは容器であって、プラスチック材料により形成された上容器2、下容器3、封印用キャップ4を主な構成要素としている。
上容器2及び下容器3は、中心線Оを基準として互いに重ねられることで一体化するものであり、これらの間には、電子部品(ROM,CPU)及び該電子部品を搭載する基板(図示略)といった重要部材が収容される収納空間5が形成されている。
【0012】
互いに重なる上容器2と下容器3には、上容器2を貫通して(符号2Aで貫通部を示す)下容器3の雌ねじ部6に至りねじ込まれる封印用ねじ7が設けられている。
この封印用ねじ7は頭部7Aを有し、該頭部7Aとねじ込まれた下容器3との間に、上容器2を挟み込むことによって、これら上容器2及び下容器3を一体化させる。
また、容器1の上容器2には、貫通部2A内にねじ込まれた封印用ねじ7の頭部7Aを臨むように凹部8が形成されている。
【0013】
封印用キャップ4と上容器2との間には、該封印用キャップ4を上容器2に連結する連結機構10が設けられている。また、封印用キャップ4の本体部4Aと凹部8の内周面11との間には、連結機構10に通じる隙間12を塞ぐ封止部材20が設けられている。
【0014】
そして、上記のように構成された容器1の封印構造では、封印用キャップ4と凹部8の内周面11との間に設けられた封止部材20によって、封印用キャップ4を上容器2に連結する連結機構10に通じる隙間12が塞がれていることから、外部から解除工具によって連結機構10が操作又は壊されることが未然に防止される。また、封止部材20が壊された場合には、連結機構10をこじ開けた上容器2と下容器3の強制開封がなされたと判断することができ、不正操作の有無を確認することができる。
すなわち、本発明に示す容器1の封印構造では、封印用キャップ4と凹部8の内周面11との間に、連結機構10に通じる隙間12を塞ぐ封止部材20を設けるという簡易な構成により、該容器1の不正開封を防止できる。
【0015】
なお、本例では、容器1の一方側である上容器2に凹部8を形成し、該凹部8内から、該上容器2を、容器1の他方側となる下容器3に固定するための封印用ねじ7をねじ込むようにしたが、逆であっても良い。すなわち、下容器3に凹部8を形成し、該凹部8内から、該下容器3を、上容器2に固定するための封印用ねじ7をねじ込むようにしても良い。
また、封止部材20は、凹部8内において封印用キャップ4の本体部4A側に設けたが、上容器2の内周面11側に設けても良い。
【0016】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図2図7を参照して説明する。
これら図2図7は、図1の封印構造をさらに具体化した図であって、図2及び図3は、上容器2、下容器3、封印用キャップ4を主な構成要素とする容器1の分解図である。
上容器2及び下容器3は中心線Oを基準として互いに重ねられた状態で箱形状となるものであって、その内部に、電子部品(ROM,CPU)及び該電子部品を搭載する基板(図示略)といった重要部材が収容される収納空間5が形成される。また、封印用キャップ4は全体が円筒状に形成されている。
なお、上容器2、下容器3、封印用キャップ4は中心線Oを基準として互いに結合される。
【0017】
互いに重なる上容器2と下容器3には、上容器2を貫通する貫通部2Aを経由して下容器3の雌ねじ部6に至る封印用ねじ7が、中心線Oに沿うようにねじ込まれている。雌ねじ部6は、下容器3内でかつ内底面中央から上方に突出するように配置されている。
この封印用ねじ7は図中上側に位置する頭部7Aと、図中下側に位置するスクリュー部7Bとを有し、該頭部7Aとスクリュー部7Bがねじ込まれた下容器3との間に、上容器2を挟み込むことによって、これら上容器2及び下容器3を一体化させるものである。
また、容器1の上容器2には、貫通部2A内にねじ込まれた封印用ねじ7の頭部7Aを臨むように円柱状の凹部8が形成されている。そして、この凹部8内に、若干小径に形成された封印用キャップ4が矢印A方向に挿入される。
【0018】
封印用キャップ4と上容器2との間には、該封印用キャップ4を上容器2に連結する連結機構10が設けられている。
連結機構10は、凹部8への挿入方向(矢印A方向)に沿う封印用キャップ4の本体部4A先端に設けられて該挿入方向に対して交差する方向(矢印B方向)に突出した係合部13と、凹部8の周縁部に形成されて該係合部13に係合されるスリット状の被係合部14とを有している。また、被係合部14は、スリット上部の内周面11が内側(中心線O側)に突出した突出部を含んでいる。
このような構成により、係合部13は、図5に示されるように、封印用キャップ4を凹部8内に挿入した際、上容器2の内周面11(及びスリット上部の内周面11の突出部)と摺動した後、該挿入方向(矢印A方向)に対して交差する方向(矢印B方向)に弾性変形することにより、被係合部14に係合される。
【0019】
封印用キャップ4と凹部8の内周面11との間には、連結機構10に通じる隙間12を塞ぐ封止部材20が設けられている。
封止部材20は、封印用キャップ4の本体部4A後端に設けられて凹部8への挿入時に該凹部8の開口部9周縁を覆うフランジ部21と、封印用キャップ4の本体部4A外側に設けられて凹部8への挿入時にフランジ部21と連結機構10との間に位置する突状の返し部22と、を有する。
なお、フランジ部21は、封印用キャップ4が上容器2の凹部8内に取り付けられた場合には、該凹部8の開口部9に形成された段部8Aに嵌るように大きさが設定されている。
【0020】
そして、これらフランジ部21及び突状の返し部22によって、外部から連結機構10を操作することを禁止する。特に、図7に示されるように、フランジ部21を越えて、外部から解除工具Tが侵入した場合にも、封印用キャップ4の本体部4A外側に位置する突状の返し部22がその侵入を阻止し、封印用キャップ4による連結機構10の封印を完全に行うことが可能となる。
【0021】
そして、上記のように構成された第1実施形態では、まず、中心線Oを基準として下容器3に対して上容器2を重ね合わせるようにする。その後、図5に示すように、上容器2に形成された凹部8へ封印用キャップ4を矢印A方向に挿入するが、その際、上容器2の凹部8内に形成された連結機構10の被係合部14に、封印用キャップ4側に位置する係合部13を周方向に位置合わせるようにする。これにより、図5に示されるように、封印用キャップ4の係合部13が、上容器2の内周面11と摺動した後、該挿入方向(矢印A方向)に対して交差する方向(矢印B方向)に弾性変形し、その後、被係合部14に係合されることになる。
すなわち、第1実施形態では、連結機構10を構成する係合部13と被係合部14により、封印用キャップ4が上容器2に固定されることにより、該封印用キャップ4を容器1に結合させることができる。
【0022】
以上詳細に説明したように第1実施形態に示される容器1の封印構造によれば、上容器2を貫通して下容器3の雌ねじ部6に至る封印用ねじ7において、貫通部2A内の封印用ねじ7頭部7Aを臨むように、該上容器2に凹部8が形成されている。
また、該凹部8内には、貫通部2A内の封印用ねじ7を覆う封印用キャップ4が挿入されており、該封印用キャップ4と上容器2の間には、該封印用キャップ4を上容器2に連結する、連結機構10が設置されている。
【0023】
そして、このような連結機構10は、フランジ部21及び突状の返し部22からなる封止部材20によって、連結機構10に通じる隙間12が塞がれていることから、外部から解除工具Tによって連結機構10が操作又は壊されることが未然に防止される。また、封止部材20が壊された場合には、連結機構10をこじ開けた上容器2と下容器3の強制開封がなされたと判断することができ、不正操作の有無を確認することができる。
特に、図7に示されるように、フランジ部21を越えて、外部から解除工具Tが侵入した場合にも、封印用キャップ4の本体部4A外側に位置する突状の返し部22がその侵入を阻止し、封印用キャップ4による連結機構10の封印を完全に行うことが可能となる。
すなわち、第1実施形態に示される容器1の封印構造では、封印用キャップ4と凹部8の内周面11との間に、連結機構10に通じる隙間12を塞ぐ封止部材20を設けるという簡易な構成により、容器の不正開封を防止できる。
【0024】
なお、これら係合部13と被係合部14とは、図2図6に示されるように、中心線Oを中心として、円筒形状の封印用キャップ4の周方向に180°の間隔で2箇所設置されているが、その設置間隔は、120°で3箇所等であっても良く、適宜設定可能である。また、封止部材20は、凹部8内において封印用キャップ4の本体部4A側に設けたが、上容器2の内周面11側に設けても良い。
【0025】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図8図15を参照して説明する。
第2実施形態に示される容器1の封印構造が、第1実施形態に示される容器1の封印構造と異なるのは、封印用キャップ4及びその周辺構成である。
【0026】
すなわち、第2実施形態では、特に図8図10図11に示されるように、封印用キャップ4を上容器2に連結する連結機構10において、固定部材30及び第2被係合部33(後述する)をさらに具備している。
この固定部材30は、封印用ねじ7の頭部7Aにて保持されて下容器3に位置し、かつ下容器3の底部から上方に向けて2本の棒状部材31が立設されているものであって、凹部8への封印用キャップ4挿入時に、これら2本の棒状部材31が、凹部8の底部に形成された固定部材挿通孔8Bに挿通される。
【0027】
また、固定部材30の先端部32は、封印用キャップ4の挿入方向(矢印A方向)に対して交差する方向(矢印B方向)に突出しており、凹部8への封印用キャップ4挿入時に、該封印用キャップ4の本体部4Aに押されて弾性変形することにより、該封印用キャップ4の本体部4Aに形成されたスリット状の第2被係合部33に係合される。
また、封印用キャップ4に形成された突状の返し部22は、封印用キャップ4が上容器2の凹部8内に挿入された場合、第2被係合部33に対して凹部8の開口部9側に位置している。これによって、フランジ部21を越えて、外部から解除工具Tが侵入した場合にも、突状の返し部22がその侵入を阻止し、封印用キャップ4による連結機構10(係合部13及び被係合部14による係合、固定部材30と被係合部22による係合)の封印を完全に行うことが可能となる。
【0028】
そして、上記のように構成された第2実施形態では、図13に示されるように、まず、中心線Oを基準として下容器3に対して上容器2を重ね合わせるようにする。その後、図14図15に示すように、上容器2に形成された凹部8へ封印用キャップ4を矢印A方向に挿入するが、その際、上容器2の凹部8底部に形成された貫通部2A、固定部材挿通孔8Bに、下容器3の雌ねじ部6、固定部材30の棒状部材31をそれぞれ周方向に位置合わせして挿通させる。
これにより、図14に示されるように、凹部8への封印用キャップ4挿入時に、固定部材30の先端部32が、封印用キャップ4の本体部4Aに押されて弾性変形することにより、該封印用キャップ4の本体部4Aに形成された第2の第2被係合部33に係合されることになる。これと同時に、封印用キャップ4の係合部13が、上容器2の内周面11と摺動した後、該挿入方向(矢印A方向)に対して交差する方向(矢印B方向)に弾性変形することにより、被係合部14に係合されることになる。
【0029】
すなわち、第2実施形態では、連結機構10を構成する係合部13と被係合部14により、封印用キャップ4が上容器2に固定されるとともに、これに加えて、該連結機構10に、固定部材30の先端部32と封印用キャップ4側の第2被係合部33とを係合させる構成を追加することにより、より強固に該封印用キャップ4を上容器2に結合させることができる。
【0030】
また、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、フランジ部21及び突状の返し部22からなる封止部材20によって、連結機構10に通じる隙間12が塞がれていることから、外部から解除工具Tによって連結機構10が操作又は壊されることが未然に防止される。また、封止部材20が壊された場合には、連結機構10をこじ開けた上容器2と下容器3の強制開封がなされたと判断することができ、不正操作の有無を確認することができる。
特に、図15に示されるように、封印用キャップ4に形成された返し部22は、封印用キャップ4が上容器2の凹部8内に挿入された場合、第2被係合部33に対して凹部8の開口部9側に位置している。これによってフランジ部21を越えて、外部から解除工具Tが侵入した場合にも、第2被係合部33に対して凹部8の開口部9側に位置する突状の返し部22がその侵入を阻止し、封印用キャップ4による連結機構10の封印を完全に行うことが可能となる。
すなわち、第2実施形態に示される容器1の封印構造では、封印用キャップ4と凹部8の内周面11との間に、連結機構10に通じる隙間12を塞ぐ封止部材20を設けるという簡易な構成により、容器の不正開封を防止できる。
【0031】
なお、固定部材30における2本の棒状部材31と、該棒状部材31が挿入される固定部材挿通孔8Bとは、図8図9に示されるように中心軸Oを中心として周方向に180°の間隔で2箇所設置されているが、その設置間隔は、120°で3箇所等であっても良く、適宜設定可能である。また、封止部材により覆われるべき「頭部」は、必ずしもねじの端部のドライバー等により操作される溝の切られた部分に限られるものではなく、凡そ外部から操作するためにねじに設けられる凸部、凹部、溝部、非円形部等の全ての部分を含むものとする。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、電子部品(ROM,CPU)及び該電子部品を搭載する基板といった重要部材を内部に収容する容器に係り、ねじ機構を弛めて開封しようとする不正を防止することができる技術に関する。
【符号の説明】
【0034】
1 容器
2 上容器
3 下容器
4 封印用キャップ
4A 本体部
5 収容空間
6 雌ねじ部
7 封印用ねじ
7A 頭部
8 凹部
9 開口部
10 連結機構
11 内周面
12 隙間
13 係合部
14 被係合部
20 封止部材
21 フランジ部
22 返し部
30 固定部材
32 先端部
33 第2被係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15