特許第6233883号(P6233883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233883
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】PAPR用フルフェイスマスク
(51)【国際特許分類】
   A62B 18/08 20060101AFI20171113BHJP
【FI】
   A62B18/08 B
   A62B18/08 Z
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-515297(P2013-515297)
(86)(22)【出願日】2011年6月14日
(65)【公表番号】特表2013-528464(P2013-528464A)
(43)【公表日】2013年7月11日
(86)【国際出願番号】SE2011050729
(87)【国際公開番号】WO2011159233
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2014年5月20日
【審判番号】不服2016-3545(P2016-3545/J1)
【審判請求日】2016年3月8日
(31)【優先権主張番号】1050629-3
(32)【優先日】2010年6月18日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】512326780
【氏名又は名称】フェイスカバー・スウェーデン・エービー
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(72)【発明者】
【氏名】クロックセス、オリバー
【合議体】
【審判長】 冨岡 和人
【審判官】 金澤 俊郎
【審判官】 松下 聡
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第4852562(US,A)
【文献】 特表2003−500178(JP,A)
【文献】 米国特許第4764990(US,A)
【文献】 特開2003−10349(JP,A)
【文献】 米国特許第4498202(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0144382(US,A1)
【文献】 米国特許第5577495(US,A)
【文献】 米国特許第5104430(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 7/00 - 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの開口部(7,8)及び空気排出口(16)を有する、健康上有害な環境において使用されるPAPR(電動ファン付空気浄化呼吸器)用フルフェイスマスクであって、
前記フルフェイスマスクは歪みのない単一曲面を有する視界部(4)と、前記フルフェイスマスクと一体的なフィルタユニット(10乃至12)と、前記フルフェイスマスク内部の圧力を最適に調整するブロアユニット(2)を収容する区画(5)とを具え、該区画(5)は前記フルフェイスマスクの額部に位置し、該フルフェイスマスク内部に向けて開いており、前記ブロアユニット(2)は前記フィルタユニット(10乃至12)によって周囲環境から保護されるとともに、下方部材(28)及び上方部材(29)を有するハウジングを含み、該ハウジング内に差圧センサ(39)、軸方向吸気口(36)及び径方向排気口(37)を具えるファンホイール(35)、並びに該ファンホイール(35)を駆動するモータ(34)を具え、前記差圧センサ(39)は前記開口部(8)に通じ、濾過空気が前記開口部(7)を通じ前記ファンホイール(35)に吸引され、前記ハウジングに設けられた開口を通って前記フルフェイルマスク内部に吹出され、さらに、前記フルフェイスマスクが使い捨てされる場合に、前記ブロアユニット(2)の再利用を可能にするため前記ブロアユニット(2)は前記区画(5)に取外し可能に接続され、フェイス用シール部材(3)が別体として作られ、前記フルフェイスマスクに接合されている、
PAPR用フルフェイスマスク。
【請求項2】
前記フィルタユニット(10乃至12)が静電気フィルタ、HEPAフィルタ、カーボンフィルタ、又はこれらの組合せである、請求項1のPAPR用フルフェイスマスク。
【請求項3】
前記フィルタユニット(10乃至12)及びブロアユニット(2)を除く前記フルフェイスマスクがPET製である、請求項1又は2のいずれかのPAPR用フルフェイスマスク。
【請求項4】
前記フェイス用シール部材(3)が前記フルフェイスマスク内部の上方部分を下方部分からシールするインナーマスクを形成する一体部(51)を有する、請求項1のPAPR用フルフェイスマスク。
【請求項5】
前記インナーマスク(51)が空気吸入開口部(53,54)を有する、請求項4のPAPR用フルフェイスマスク。
【請求項6】
前記開口部(53,54)に一方向弁が設けられている、請求項5のPAPR用フルフェイスマスク。
【請求項7】
前記インナーマスク(51)が、呼気時に前記フルフェイスマスクの内側にシール係合し、前記インナーマスク上方の圧が該インナーマスク下方の圧を上回ったときに空気の通り抜けを許容する、請求項4から6のいずれかのPAPR用フルフェイスマスク。
【請求項8】
前記フルフェイスマスクが、一体型弾力性シール用リム(61)を含む、請求項1のPAPR用フルフェイスマスク。
【請求項9】
前記差圧センサ(39)が赤外線発光体、赤外線反射光検出体、及び前記フルフェイスマスクの外側と内側との差圧に反応する赤外線反射面を具える、請求項1から8のいずれかのPAPR用フルフェイスマスク。
【請求項10】
前記赤外線反射面が、前記ブロアユニット(2)に設けられ、一方の側が周囲気圧を、他方の側が前記フルフェイスマスク内の圧を伝える柔軟性隔壁(40)の表面である、請求項のPAPR用フルフェイスマスク。
【請求項11】
前記フィルタユニット(10乃至12)、ブロアユニット(2)及びフェイス用シール部材(3)を除く前記フルフェイスマスクが、プラスチックフィルム又はシートが加熱され、同時に、熱が前記フルフェイスマスクの視界部に相当する箇所に届くことが防止され、前記視界部は成形表面に対し単一曲面が形成され、加熱された部分が冷却されるときに単一曲面の形状及び歪みのない視界部が維持されるという、1回の真空成形プロセスにより、透明なプラスチックで単体として製造されることを特徴とする、
請求項1のフルフェイスマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PAPR(Powered Air Purifying Respirator(電動ファン付空気浄化呼吸器))に関し、より具体的には、火災現場、建設現場、ウィルス存在下の環境というような健康上有害な環境において使用される電動ファン付空気浄化呼吸器用フルフェイスマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
人の身体保護のためには、手洗いは当然不可欠であるが、ウィルス存在下の環境にさらされる者の健康管理のために、マスクや呼吸器(respirators)がある。フェイスマスク又は外科手術用マスクは、その殆どが、飛沫や皮膚又は頭髪の一部を遮断し、着用者の顔がしぶきに接触するのを防ぐ、ゆったりとした使い捨てマスクであるが、これらは、例えば、顔に対する密閉性の問題、吸気時のマスク内側の負圧という理由から、ウィルス存在下の環境には不向きである。呼吸器、及びこれに関連する空気浄化呼吸器は、ろ過又は吸収作用によって汚染物質を取除くことで大小の粒子の吸入を防止できる空気濾過装置である。これらは、電源を具えていない空気浄化呼吸器(APR)、又は動力源を有する電動ファン付空気浄化呼吸器(PAPR)である。
【0003】
今日のPAPRは、単純な適合テストが要求されるだけであり、また、呼吸仕事量を増大させないため、APRに対して大きな利点を有する。しかしながら、髭の発育、しわ等の理由から、顔に対して完全な密閉性を実現させることは困難である。これらの問題によって、フェイスマスク内側に与えられている与圧が取り除かれてしまう。また、今日のPAPRにも、着用、安全な使用、取外しのために特別な訓練を要する、ファンの騒音が会話を妨げる、聴診器の使用が困難であるというような、いくつかの欠点がある。また、閉所恐怖症を惹き起こす恐れがある。
【0004】
また、厚いゴムその他の防音材で作られており、会話を困難にするから、特別なアンプ又は発話ダイアフラムを要し、また、電話での会話は事実上できない。
【0005】
他の大きな欠点は、下を向いたときの視界が制限されるため、特に、階段を上るときに、自分の足をどこに置いているのかを見ることが非常に困難という点である。
【0006】
さらに他の欠点は、現行のPAPRの重量が大きく、首に多くの緊張を生じさせるため、看護師、医師等の一般人には不快であるということである。
【0007】
従って、現行のPAPRには改善の必要性が大いにある。また、他の面では、改良された性能を有する、快適で、使い易く、安全な装置が常に必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一つの目的は、使い易く、快適に装着でき、他の装置の使用を妨げることのないPAPRを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、完全にクリアな視界を有するPAPRの製造方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、使い捨て可能なPAPRを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、ファンの騒音を最小にし、フルフェイスマスク内部の圧の調整能力を高め、当該マスク内部の圧力を最適に調整することができるブロアユニットを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、前記環境から保護し、ダクト及び流動損失を除去し、ワイヤを通じて接続される外部バッテリを選択的に使用できる再充電可能バッテリを再使用できる、フルフェイスマスク内部にブロアユニットを内蔵可能なPAPRを提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、一体型フィルタ、好ましくは、流れ抵抗が最少の静電気フィルタを有するPAPRを提供することである。
【0014】
本発明のこれらと他の目的は、請求項1で定められる本発明に係るPAPRによって達成される。
【0015】
本発明の好適な実施形態と発展形は下位の請求項の対象である。
【0016】
本発明は以下に説明する図面に表されている本発明の実施例の説明によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るPAPRの概略的な分解図。
図2】フェイスマスクとブロアユニットを分けた状態でフェイスマスクを裏から見た概略図。
図3図2のブロアユニットをフェイスマスクに装着したときの図。
図4】ブロアユニットの概略的な拡大分解図。
図5】インナーマスクを含むフルフェイスマスク用のガスケットの他の実施形態を表す図。
図6】別体型ハーネス及び一体型シール用リムを具える本発明に係るフェイスマスクのさらなる実施例を表す図。
図6a】一体型リムの拡大断面図。
図7図6のハーネスにフルフェイスマスクが装着された状態を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係るフルフェイスマスクの一つの実施形態を具現化したPAPRの概略的な分解図である。フルフェイスマスク1は右側に、ブロアユニット2は左側に示されている。この実施形態によれば、フェイス用シール部材3は顔に対してフルフェイスマスクの内部を密閉するために具えられる。
【0019】
フルフェイスマスク1は、好適にはPET(テレフタル酸ポリエチレン)を使用して真空成形によって、単体で成形されている。PETはその性質から好適なプラスチック素材であるが、他のプラスチック素材も同様に使用可能である。視界部4は単一曲面の表面であり、その最前部は線4aで示されている。
【0020】
本発明によれば、プラスチックフィルム又はシートが加熱され、同時に、熱がフルフェイスマスクの視界部に相当する箇所に届くことが防止されるという真空成形プロセスによって、単体の透明なプラスチックでフルフェイスマスクが製造されるから、視界部は明瞭で、いかなる歪んだ部分をも有していないということが実現される。当該真空成形プロセスにおいて、視界部は成形表面の方向へ吸引されることにより単一曲面が形成され、真空成形された後の加熱されたプラスチック部品が冷却されるときに、視界部は望みの形状に維持され、いかなる歪みもなく、完璧な視界を有し、完全にクリアである。
【0021】
額部にはブロアユニット2を収納する区画5があり、当該区画は、図2に明確に示されているように、フェイスマスク内部に向けて開いている。区画5は、フェイスマスクに実質的に直交する方向に延出している上壁6により突出部を形成している。図1に示す2つの開口部7,8が区画の上壁に設けられており、それらの機能は以下に説明する。さらに、当該上壁にはリム9が形成される。フィルタユニットは前記リムに接合される外壁部材10に設けられる。結果として出来たチェインバーにフィルタ部材11が入れられる。当該フィルタとブロアユニットの区画の上壁との間にはスペーサとして機能するフィルタ用の支持部材12が設けられる。弁座13は、図1に示すように、支持部材と一体にすることができる。
【0022】
現在のところ、フルフェイスマスクの額部のチェインバーにおけるブロアユニットの配置が好ましいが、ブロアユニットの区画をフルフェイスマスクの他の箇所に設けることができるということは明らかである。
【0023】
外壁部材10は、フィルタ区画内部に汚染物質が入らないように設計された空気吸入開口部14を有する。これは、例えば、フェイスマスク着用時のシャワー、又は屋外使用時の雨天のときに必要となる。
【0024】
フィルタ部材11は、流れ抵抗の低い静電気フィルタが好ましい。適切な静電気フィルタはスウェーデンのMunktell Filter社のMESである。しかしながら、フィルタ部材はHEPAフィルタ、カーボンフィルタその他静電気フィルタ、HEPAフィルタ、又はカーボンフィルタの組合せでもよい。
【0025】
本発明の第一実施形態では、ブロアユニットの区画と、例えば、ゴム又はゴムと同様の機能を有する素材で作られた弾力性隔壁(ダイアフラム)15を有するフィルタユニットとの間の開口部7内に一方向弁が設けられている。これは、信頼性があり経済的な解決策である。より線形(linear)な機能が望まれるのであれば、ばね付のシール部材と協働する弁を使用してもよい。
【0026】
フェイスマスクの口部付近に空気排出口16が設けられている。図示されている実施例では、呼気弁が、空気排出口内に、弁座17及び柔軟性を有する、又はばね付の、呼気時に開き吸気時に閉じる隔壁(ダイアフラム)18を有する一方向弁を形成するように設けられている。ハウジング19は、空気排出開口部を有し、前記弁の外側に設けられている。当該ハウジングの体積は、PAPRの使用者が呼気を止め、吸気を始める間に弁が閉じ、周囲の空気が弁の内部に入り込むことを防止できるように、弁の外側の呼気量の体積を十分に作り出せるようにされるべきである。
【0027】
着用者の顔に対してフルフェイスマスク1を密閉させるシール部材3もまた単体で真空成形されるのが好ましい。その後、切除又は型打ちされ、フルフェイスマスクに適合する中央開口部20が設けられる。当該シール部材は、フルフェイスマスクの内側に横たわるように面するリム21、及びフルフェイスマスクのリム23に沿う折り目22を有することによって、着用者の顔に対して2重のシール面を形成するフェイスマスクの形状に適合するように形成されている。当該シール部材はポリエチレンによって作られるのが好ましい。
【0028】
フラップ24は、着用者の頭部の後ろで結合されるストラップによってフェイスマスクが顔を覆うように固定できるように、フェイスマスクの周囲に設けられる。慣習的に行われているように、着用者は、フェイスマスクを快適に着用し、同時に、フルフェイスマスクの内部とその周囲との間のシール効果を得るためにシール部材に十分な圧を与えることができるようにストラップを調節できる。なお、他の配置とすることも当然可能である。
【0029】
図2のガスケット25は、組立てられている状態で示されているブロアユニット2をシールするために区画5の上壁内の開口部の周りに設けられる。スナップ式フック部材26は、着用者に面するブロアユニットの一端に設けられ、フェイスマスク内の対応するシート部27に嵌まり、ブロアユニットをフェイスマスク内に取外し可能に固定する。当該スナップ式フック部材の延出部は、ブロアユニットがフルフェイスマスクに固定されたときに、ブロアユニットの区画の上壁内の開口部の周りに要求されるシール効果を得ることができる程度の十分な圧をガスケット25に与えられるようになっている。
【0030】
図3はブロアユニット2がフルフェイスマスク内の区画5に装着され、フェイスマスクにフェイスマスク用シール部材3が取外せないように好適に接合された状態を示している。
【0031】
図4には本発明のブロアユニットの分解図が示されている。これは下方部材28及び上方部材29を有するハウジングを含む。電気部品は、ブロアユニットが組立てられたときに、ハウジングの2つの区画を形成する下方部材及び上方部材の中央に位置するプリント基板30上に配置されている。
【0032】
当該プリント基板の下部の下方区画31には再充電可能バッテリ用、さらなる操作機能用のスペースがある。下方ハウジング部材の前部が概略的に示されているとおり、隔壁押しボタン32が壁面に設けられ、同様に、接触部材33がプリント基板に接触している。このような押しボタンは、フェイスマスクのブロアユニットの下部の壁面を通じて押すことで操作可能である。本発明の好ましい実施形態では、一つの押しボタンでブロアモータの動作・停止を操作でき、他の押しボタンでブロアユニットの前部に設けられているLEDライトを操作できる。さらに、図4には示されていないが、例えば、ブロアの作動、再充電可能バッテリの残量、フェイスマスク内の予期される圧等を表示するためのLED表示ランプがハウジングの下部の壁面に設けられるのがよい。また、ワイヤを通じて外部バッテリと接続させるためのコネクタを区画の壁面に設けることもでき、こうすることでフェイスマスクを取外すことなくバッテリを交換することができるようになる。
【0033】
ハウジングの上方部材には、ブロアユニットの機能部品が配設されている。電子回路それ自体は公知であるため詳細な説明は省略する。電池式モータ34はファンホイール35を駆動する。図示されている実施形態ではファンホイールは軸方向吸気口36及び径方向排気口37を有しているが、他の設計のものでもよい。濾過空気はファンホイールに吸引されてフィルタ部材から、ブロアユニットの区画の上壁にある開口部を通じて、ブロアユニットのハウジングの上方部材の開口部38を通り、図2に示すように、ハウジングに設けられた開口を通ってフルフェイルマスク内部に吹出される。
【0034】
フルフェイスマスク内部の予期された過度の圧力を調整できるように、ブロアユニットは差圧計を具える。図1及び4に示されている実施形態では、柔軟性隔壁40を有する差圧センサ39は、赤外線発光体と当該隔壁に反射した赤外線用の赤外線反射光検出器との連携体41とともに使用される。当該センサは、スペーサ42によって形成される間隔を空けてプリント基板30の上方に配設される柔軟性隔壁40、及びフィルタユニットを通じて図1に示すブロアユニットの区画5の上壁の個別の開口部8に通じ周囲の環境と接する管44を有し、且つ、プリント基板に装着されるカバー43を具える。隔壁40は、スペーサ又はスペーサ内若しくはカバー内の隔壁用の座部の直径よりも大きい直径を有し、当該隔壁の下方及び上方には空き領域が設けられている。
【0035】
フィルタユニットの外部の圧がフルフェイスマスクの内部の圧よりも大きい場合、隔壁は下方に向けて凹み、フルフェイスマスクの内部の圧がフィルタユニットの外部の圧よりも大きい場合、隔壁は上方に向けて凹む。当該センサは赤外線の反射を検出、反応し、プリント基板上のマイクロプロセッサに適切な電気回路を通じて信号を送り、フルフェイスマスク内の予期された過度の圧力を適切に調整するようにブロアモータをコントロールする。
【0036】
モータ34はマイクロプロセッサによってコントロールされるセンサを有する小型モータである。マイクロプロセッサは、例えば、圧やバッテリ充電量に係る信号をも受信する。受信した信号のデータに基づいて、マイクロプロセッサは、可聴式、及び/又は可視式の警告信号、指示をモータのコントロールのために送信する。
【0037】
図5には、フルフェイスマスク用シール部材のさらなる実施形態が示されている。シール部材50は、フルフェイスマスク内部の上方部分を下方部分からシールするインナーマスクを形成する一体部51を有する。一体部51の前方端52はフルフェイスマスクの空気排出口の上方の内表面にシール係合する。図5に示されているように、上方部分及び下方部分は開口部53,54を通じて繋がっている。一方向弁を開口部に設けてもよい。別の実施形態では、前方端52は、フルフェイスマスクの内表面に対して、呼気時は密着し、吸気時は開くように柔軟に作られる。
【0038】
インナーマスクの目的は呼気の空気量を減らし、ブロアユニットが停止している場合のフルフェイスマスク内部における二酸化炭素の増加を抑えることにある。同時に、このことによりフルフェイスマスクをAPRモード、すなわち、空気浄化呼吸器として使用できることにもなる。
【0039】
より順応性のある本発明に係るPAPR用フルフェイスマスクとするためにインナーマスクを設けることが可能であるが、インナーマスクが不要である場合は、取外すこともできる。この選択を簡素化するために、フルフェイスマスクのシール部材50と繋がっているインナーマスクの図5の破線55で示す位置に切り取り線を設けることもできる。
【0040】
本発明に係るフルフェイスマスクの第二実施形態は概略的に図示されている。図1乃至5に示されている実施形態と本実施形態との違いのみを説明する。
【0041】
フルフェイスマスク60は、これまでの実施形態のフルフェイスマスクと比べて、シール用リム61が設けられている点で異なる。リム61は、フルフェイスマスクの周囲に密接する連続帯部材63を具え、そのリム61に隣接するハーネス62の取付座をも形成している。帯部材63に取付けられるストラップ64は、着用者の顔に対してフルフェイスマスクを締付ける機能を有する。
【0042】
フルフェイスマスクのシール用リム61の適した実施形態は図6aに示されている。当該リムは、折り部65及びフルフェイスマスクに隣接している部分の延長とおおよそ直交している自由端66が設けられる。この実施形態では、シール用リムは符号67に示される着用者の顔に適応するように機能する。
【0043】
当該リムは同様の効果を与える異なった形状でもよいのは当然であるが、図示されているように、弾力性があるのがよく、また、フルフェイスマスクの1回の真空成形においてリムを含めて製造することも、当然、可能である。
【0044】
図7には、ハーネス62が装着されたフルフェイスマスク60が示されている。
【0045】
図6,7に係る実施形態の一つの大きな利点は、フルフェイスマスクを単体で製造することができ、余計なシール部材が不要ということである。ハーネスは、フェイスマスクを捨てる場合に再使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-6a】
図7