【実施例】
【0026】
次に、
図3乃至6に示すように、トルコギキョウの花について本発明による増色処理の温度条件関係を調べる試験1乃至3を行った。
【0027】
(試験1)
図3の第1表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花を5,10,15,20℃の室温で処理した際における開花の状態を比較した表図であり、
図4は、半開期に処理を開始したトルコギキョウ「SO八雲小町」の8日目の状態を示した写真である。
【0028】
半開期と蕾期に収穫、調整した花を、室温が5,10,15,20℃で保たれた各装置内で切花栄養剤に活け、蛍光灯によって常時光を照射した状態で保管し、それぞれ観察した。このとき照射される光の光合成有効光量子束密度は100μmolm
−2s
−1とした。
【0029】
開花することで本来ピンク色になるトルコギキョウの切花について、花の色の明るさと、その花の色付きについて評価した。表図中のL
*は、明るさを示し、a
*は、正の方向で赤色、負の方向で緑色が強いことを示しており、b
*は、正の方向で黄色、負の方向で青色が強いことを示している。ちなみに、トルコギキョウ「SO八雲小町」では、a
*の値が大きければ切花が本来のピンク色の花色が濃いことを示している。
【0030】
図3の第1表及び
図4に示すように、開花した切花は室温を高くするにつれて、よりピンク色が濃くなり花の色づきが良好になる。特に、室温が20℃で花の色がきれいに出ることが確認できた。ちなみに、室温を高くすることにより、花を活けてから満開になるまでの日数は短くなっているが、鑑賞期間に差はなかった。また、蕾期より半開期に処理する方が色づきが良好になることがわかった。
【0031】
(試験2)
図3の第2表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花を20,25,30℃の室温で処理した際における花の色の状態を比較した表図であり、
図5は、半開期に処理を開始したトルコギキョウ「SO八雲小町」の5日目の状態を示した写真である。
【0032】
半開期と蕾期に収穫、調整した花を、室温が20,25,30℃で保たれた各装置内で切花栄養剤に活け、蛍光灯によって常時光を照射した状態で保管し、保管開始から5日目までそれぞれ観察した。このとき照射される光の光合成有効光量子束密度(PPFD)は100μmolm
−2s
−1とした。
【0033】
図3の第2表及び
図5に示すように、20,25,30℃の室温で光を当てた状態で保管することにより、室温が高くなるほど、早期に花色が濃くなった。また、蕾期より半開期に処理する方が色づきがより良好になることがわかった。
【0034】
(試験3)
図3の第3表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を30,35,40℃の室温で処理した際における開花の状態を比較した表図であり、
図6は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の切花に処理を開始して1日後の状態を示した写真である。
【0035】
収穫、調整した切花を、室温が30,35,40℃で保たれた各装置内で品質保持剤(前処理剤)に活け、蛍光灯によって常時光を照射した状態で処理開始から翌日までそれぞれ観察した。このとき照射される光の光合成有効光量子束密度(PPFD)は100μmolm
−2s
−1とした。
【0036】
図3の第3表及び
図6に示すように、室温が30,35℃の場合には、処理開始から翌日にかけて切花の色が濃くなったことが確認できた。その一方で、室温が40℃の場合には、処理開始から一気に開花が進むとともに、切花の色が薄くなった。
【0037】
次に、
図7乃至10に基づき、トルコギキョウの花について本発明による増色処理時に照射する光条件を調べる試験4乃至6を行った。
【0038】
(試験4)
図7の第1表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花に7日間、光を照射した際の評価を示した表図であり、
図8は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花に光の処理を開始して7日目の状態を示した写真である。
【0039】
収穫された半開期の花を、室温が25℃に保たれた装置内で切花栄養剤に活けるとともに、蛍光灯によって光合成有効光量子束密度が0,25,50,75,100μmolm
−2s
−1となる強度の光を常時照射した状態で保管し、該増色処理を開始し、満開になった7日目の状況を観察した(同日、圃場で採花した花も対照区として測定)。
【0040】
図7の第1表及び第8図に示すように、収穫された花に蛍光灯によって0,25,50,75,100μmolm
−2s
−1の光を常時照射しつつ保管すると、光強度に比例して花の色(ピンク色)が濃くなることが確認できた。特に、50μmolm
−2s
−1以上の光強度の光を照射することによって、圃場で栽培した切花(対照区)と比較して花の色がより良好に出ていることがわかる。
【0041】
(試験5)
図7の第2表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花に3日間・6日間、光を照射した際の評価を示した表図であり、
図9は、半開期のトルコギキョウ「SO八雲小町」の花に光の処理を開始して3日目の状態を示した写真である。
【0042】
収穫された半開期と蕾期の花を、室温が20℃に保たれた装置内で切花栄養剤に活けるとともに、蛍光灯によって光合成有効光量子束密度が100,200μmolm
−2s
−1となる強度の光を常時照射した状態で保管し、該増色処理を開始して3日目の状態と6日目の状態を観察した。
【0043】
図7の第2表及び第9図に示すように、花に100,200μmolm
−2s
−1の強度の光を常時照射しつつ保管した場合、照射開始から3日目には切花の色つきが良好になるとともに、200μmolm
−2s
−1の光を照射した花の方がより花の色が濃くあらわれていることが確認できる。このとき、上記増色処理を開始する際の花の状態が半開期であっても、蕾期であっても同様に色付きが向上していることが確認できる。
【0044】
(試験6)
図7の第3表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花に1日間・3日間・5日間、光を照射した際の評価を示した表図であり、
図10は、半開期のトルコギキョウ「SO八雲小町」の花に光の処理を開始して3日目の状態を示した写真である。
【0045】
収穫された半開期の花を、室温が30℃に保たれた装置内で切花栄養剤に活けるとともに、蛍光灯によって光合成有効光量子束密度が100,150,200μmolm
−2s
−1の強度の光を花に常時照射した状態で保管し、該増色処理を開始して1日目、3日目、5日目の状態をそれぞれ観察した。
【0046】
図7の第3表及び第10図に示すように、半開期の花を温暖な増色装置内で、光合成有効光量子束密度が100,150,200μmolm
−2s
−1の光を照射して増色処理することにより、何れのケースも花の色が十分に出ており、花の品質が良好であった。上記条件で3日間増色処理を続けると、特に光合成有効光量子束密度が150μmolm
−2s
−1で花の色がより濃くあらわれた。
【0047】
(試験7)
図11は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を24時間・42時間増色処理した際の評価を示した表図であり、
図12(A)は、試験開始時のトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真であり、
図12(B)は、試験開始24時間後のトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真であり、
図12(C)は、試験開始42時間後のトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真である。
【0048】
収穫時に色の出ていない切花を、室温10℃の冷蔵庫で暗黒下保管した切花と、室温30℃の装置内で蛍光灯(光合成有効光量子束密度100μmolm
−2s
−1)を照射して保管した切花と、室温30℃の装置内で蛍光灯(光合成有効光量子束密度100μmolm
−2s
−1)と紫外線を照射して保管した切花と、室温15℃の室内で保管した切花とに分け、それぞれの状態を観察した。
【0049】
図11及び
図12に示すように、収穫時に色の出ていない切花を、上述の保管条件で処理することにより、処理開始から24時間後には、室温30℃で処理したものは半開状態を保ったままで花の色付きが改善されていることがわかる。また、処理開始から42時間後には、室温10℃の冷蔵庫で保管したものは変化が無く白色であり、室温15℃で保管したものは若干色づいている程度であるが、室温30℃で処理したものによれば、トルコギキョウの切花本来の色が鮮やかに出ていることが確認できる。
【0050】
(試験8)
次に、
図13に基づき、本発明の増色装置によって増色処理したトルコギキョウ「SO八雲小町」の日持ち性について実験した。具体的には、上記で試験した、室温10℃の冷蔵庫で暗黒下保管した切花と、室温30℃の装置内で蛍光灯(光合成有効光量子束密度100μmolm
−2s
−1)を照射して保管した切花と、室温30℃の装置内で蛍光灯(光合成有効光量子束密度100μmolm
−2s
−1)と紫外線を照射して保管した切花と、室温15℃の室内で保管した切花とについて、日持ち試験室(温度20℃、湿度60%、1,000lx・12時間点灯/日)で切花栄養剤に活け、鑑賞価値がなくなるまで観察した。
【0051】
図13(A)は、試験開始時のトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真であり、
図13(B)は、試験開始から14日間が経過したトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真であり、
図13(C)は、試験開始から26日間が経過したトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真である。
【0052】
図13に示す結果によれば、保管方法に応じて切花の色付きに差は出ているが、増色処理をした場合であっても、室温10℃の冷蔵庫内で暗黒保管した切花や室温15℃の室内で通常に保管したものと比較して鑑賞期間の長さに差は出ないことが確認できる。
【0053】
本技術によれば、トルコギキョウ「SO八雲小町」の他、「キングオブイエローピンクフラッシュ」、「オーブカクテル」、「パーティピンク」等のその他の品種、さらには、高温と光を受けて活性し、花色が発現し易い切花であれば同様に開花時の色が増色し良好になる。