特許第6233885号(P6233885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233885
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】切花の保管方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 5/06 20060101AFI20171113BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A01G5/06
   A01G7/00 601Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-117004(P2014-117004)
(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公開番号】特開2015-228835(P2015-228835A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2016年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】591282205
【氏名又は名称】島根県
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】川村 通
(72)【発明者】
【氏名】小早川 洋美
(72)【発明者】
【氏名】田中 博一
(72)【発明者】
【氏名】加古 哲也
(72)【発明者】
【氏名】牧野 雄太朗
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−155713(JP,A)
【文献】 特開平04−108333(JP,A)
【文献】 特開平10−155371(JP,A)
【文献】 特開2004−168694(JP,A)
【文献】 特開2002−249401(JP,A)
【文献】 特開平01−165318(JP,A)
【文献】 特開平06−227904(JP,A)
【文献】 米国特許第05135771(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 5/06
A01G 7/00
A01G 9/14 − 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫された有色の切花を出荷前の少なくとも一部の期間保管する切花の保管方法であって、切花の保管温度を20〜35℃に設定するとともに、保管期間を1〜72時間とした切花の保管方法。
【請求項2】
上記保管温度を30〜35℃とした請求項1に記載の切花の保管方法。
【請求項3】
上記保管期間を24〜42時間とした請求項1又は2の何れかに記載の切花の保管方法。
【請求項4】
上記保管期間中、切花に光を照射した状態で保管する請求項1乃至3の何れかに記載の切花の保管方法。
【請求項5】
前記照射される光の光合成有効光量子束密度を、100〜200μmolm−2−1とした請求項4に記載の切花の保管方法。
【請求項6】
前記切花がトルコギキョウである請求項1乃至5の何れかに記載の切花の保管方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、収穫した切花を出荷までの少なくとも一部の期間保管する切花の保管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
切花は、一日の気温の低い時間帯に収穫された後、調整、出荷されるまでの期間、切花を冷蔵庫等によって室温2〜15℃程度の低温状態で保管することにより、蕾の開花を抑制できることが一般的に知られているが、切花が晩秋から冬期にかけた低温期に収穫された場合、開花時に切花の色付きが悪く、切花の品質に問題が生じることがあった。
【0003】
この問題に対処するため、生産者は加温や電照等によって栽培環境を改善する他、収穫後の切花に染料を吸収させて花弁を着色させる方法や、収穫後の切花を脱水・脱色処理をし、保存・乾燥処理した後に、染料を噴射、塗布する彩色処理を施すことによって、切花の色を良好にする特許文献1に記載の処理方法が従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−154845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献のものによれば、収穫時期によらず良好な色の切花を出荷することが可能になる一方で、花色の着色作業に手間とコストがかかり、また、生花として評価されなくなるという課題があった。
【0006】
本発明では、収穫した切花を出荷までの少なくとも一部の期間保管する切花の保管方法において、低温期の収穫時期によらず開花時の切花の色を良好にして、切花の品質を良好に保つことのできる切花の保管方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明は第1に、収穫された有色の切花を出荷前の少なくとも一部の期間保管する切花の保管方法であって、切花の保管温度を20〜35℃に設定するとともに、保管期間を1〜72時間としたことを特徴としている。
【0008】
第2に、上記保管温度を30〜35℃としたことを特徴としている。
【0009】
第3に、上記保管期間を24〜42時間としたことを特徴としている。
【0010】
第4に、上記保管期間中、切花に光を照射した状態で保管することを特徴としている。
【0011】
第5に、前記照射される光の光合成有効光量子束密度を、100〜200μmolm−2−1としたことを特徴としている。
【0012】
第6に、前記切花がトルコギキョウであることを特徴としている
【発明の効果】
【0013】
以上のように構成される本発明によれば、収穫後の切花を適切な温度で適切な期間保管することにより、切花の色が良好になるため、切花の色付きが悪くなりやすい寒い時期においても切花の品質を向上させ、良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の切花の収穫・保管(増色)・流通を示すフロー図である。
図2】保管装置の概要を示した図である。
図3】第1乃至3表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花に所定の温度で処理した際における開花の状態を比較した表図である。
図4】半開期に処理を開始したトルコギキョウ「SO八雲小町」の8日目の状態を示した写真である。
図5】半開期に処理を開始したトルコギキョウ「SO八雲小町」の5日目の状態を示した写真である。
図6】トルコギキョウ「SO八雲小町」の切花に処理を開始して1日後の状態を示した写真である。
図7】第1乃至3表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花に所定の光を照射した際の評価を示した表図である。
図8】トルコギキョウ「SO八雲小町」の花に光の処理を開始して7日目の状態を示した写真である。
図9】半開期のトルコギキョウ「SO八雲小町」の花に光の処理を開始して3日目の状態を示した写真である。
図10】半開期のトルコギキョウ「SO八雲小町」の花に光の処理を開始して3日目の状態を示した写真である。
図11】トルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を24時間・42時間増色処理した際の評価を示した表図である。
図12】(A)は、試験開始時のトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真であり、(B)は、試験開始24時間後のトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真であり、(C)は、試験開始42時間後のトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真である。
図13】(A)は、試験開始時のトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真であり、(B)は、試験開始14日間が経過したトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真であり、(C)は、試験開始26日間が経過したトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面に基づき本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の切花の収穫・保管(増色)・流通を示すフロー図であり、図2は、保管装置の概要を示した図である。図1より、収穫されたトルコギキョウ等の切花は、生産者により調整された後、保管庫内に出荷までの期間保管し、トラック等の輸送方法によって出荷され、市場、生花店を経由して消費者の下に届けられる。出荷された切花は、消費者によって活けることで鑑賞できるようになる。このとき、収穫、調整後の切花は、冷蔵庫等によって室温2〜15℃程度の低温状態で保管することにより、蕾の開花を抑制し、鮮度を保つことが一般的に知られている。
【0016】
各種実験の結果、本発明者は、切花の収穫後から出荷前の所定期間における切花の保管方法において、切花を所定の温度条件に保つことができるとともに、切花に光を照射できる保管装置内で保管(増色)処理することによって、収穫後すぐに15℃以下の低温状態で保持された冷蔵庫等に保管する場合と比較して、切花開花時の花の色の状態が良好になることを見出した。以下、切花の色を増色させる増色装置として機能する上記保管装置と、これを用いた切花の保管(増色)方法ついて説明する。
【0017】
1)収穫
切花は、蕾が形成された出蕾期以降であって、特にその破蕾期(花弁が開き、その一部が見える時期)であって、トルコギキョウでは数輪以上が開花した段階で収穫する。
【0018】
2)調整
収穫された切花は、冷蔵庫等の低温下で水揚げを行い、品質保持剤(前処理剤)を添加して処理する。その後、長さを切り揃え、下葉の他、不要な枝、蕾を除去し、出荷規格に合わせて選別する。
【0019】
3)保管(増色処理)
選別された切花は、20〜35℃程度の温度に保つことのできる保管(増色)装置内に保管する。該保管(増色)装置内に保管された切花は、収穫後1〜72時間程度の間、常時光が照射された状態で保管処理(以下、増色処理)をする。これにより、切花の品質、特に切花の色付きを良好にすることができる。
【0020】
前記増色装置は、図2に示されるように、切花が保管される空間である保管室1と、該保管室1内の室温を設定した温度に保つことのできるヒーター(温度保持手段)2と、保管室内の切花に光を照射する照明装置(照射手段)3と、該照明装置3による照明を反射させるシート状の反射材4と、切花を収容する容器5と、切花の保管時間を管理するタイマー(図示しない)とを備えている。
【0021】
上記ヒーター2は、保管室内の室温を20〜35℃程度に保つことができるように構成されているが、室温が30℃以上であればより切花の品質向上の効果を得ることができる。
【0022】
上記照明装置3は、蛍光灯等による光を連続照射することができるように構成されている。ちなみに保管室内に保管されている切花に照射される蛍光灯等の人工光は、照射する光の光合成有効光量子束密度(PPFD)が、50〜200μmolm−2−1程度で色付が向上する効果がみられるが、より好ましくは、100〜200μmolm−2−1程度がよい。
【0023】
収穫、調整後、出荷される前に上記保管室に、タイマー制御によって、1〜72時間、より好ましくは24〜42時間の所定時間保管(増色)処理された切花は、その後、鮮度が保たれるように低温下で保管される。
4)出荷、開花
収穫、調整された切花は、上記増色装置で所定時間処理されて保管されたものが、順次輸送が可能となるように包装され、各地に輸送される。出荷された切花は市場、小売店等を介して消費者のもとに届けられ、活けることにより観賞される。なお、近年は、切花栄養剤(後処理剤)を利用することにより、一層の品質保持と鑑賞期間の延長が図られるようになっている。
【0024】
上記増色装置を用いた切花の保管方法によれば、特に秋期から冬期にかけての気温の低い時期に収穫されたものであっても、収穫後に比較的短い期間、増色装置による増色処理を行うことによって、開花時の切花の色付きを良好にすることができる。そのため、染料、吸液等の着色処理や薬品を用いることなく、低コスト且つ効率的に切花の品質を良好にすることができる。
【0025】
また、上述の条件で増色処理をすることで、半開期に収穫された切花は若干開花が進むものの、その後の花持ちは従来の保管方法によるものと同等であって、消費者が切花を活けて鑑賞する期間に差はない。さらに、開花時期を調整する場合には、収穫時期(切り前)を早くすることによって、開花するタイミングを需要に応じて調整することができる。
【実施例】
【0026】
次に、図3乃至6に示すように、トルコギキョウの花について本発明による増色処理の温度条件関係を調べる試験1乃至3を行った。
【0027】
(試験1)
図3の第1表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花を5,10,15,20℃の室温で処理した際における開花の状態を比較した表図であり、図4は、半開期に処理を開始したトルコギキョウ「SO八雲小町」の8日目の状態を示した写真である。
【0028】
半開期と蕾期に収穫、調整した花を、室温が5,10,15,20℃で保たれた各装置内で切花栄養剤に活け、蛍光灯によって常時光を照射した状態で保管し、それぞれ観察した。このとき照射される光の光合成有効光量子束密度は100μmolm−2−1とした。
【0029】
開花することで本来ピンク色になるトルコギキョウの切花について、花の色の明るさと、その花の色付きについて評価した。表図中のLは、明るさを示し、aは、正の方向で赤色、負の方向で緑色が強いことを示しており、bは、正の方向で黄色、負の方向で青色が強いことを示している。ちなみに、トルコギキョウ「SO八雲小町」では、aの値が大きければ切花が本来のピンク色の花色が濃いことを示している。
【0030】
図3の第1表及び図4に示すように、開花した切花は室温を高くするにつれて、よりピンク色が濃くなり花の色づきが良好になる。特に、室温が20℃で花の色がきれいに出ることが確認できた。ちなみに、室温を高くすることにより、花を活けてから満開になるまでの日数は短くなっているが、鑑賞期間に差はなかった。また、蕾期より半開期に処理する方が色づきが良好になることがわかった。
【0031】
(試験2)
図3の第2表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花を20,25,30℃の室温で処理した際における花の色の状態を比較した表図であり、図5は、半開期に処理を開始したトルコギキョウ「SO八雲小町」の5日目の状態を示した写真である。
【0032】
半開期と蕾期に収穫、調整した花を、室温が20,25,30℃で保たれた各装置内で切花栄養剤に活け、蛍光灯によって常時光を照射した状態で保管し、保管開始から5日目までそれぞれ観察した。このとき照射される光の光合成有効光量子束密度(PPFD)は100μmolm−2−1とした。
【0033】
図3の第2表及び図5に示すように、20,25,30℃の室温で光を当てた状態で保管することにより、室温が高くなるほど、早期に花色が濃くなった。また、蕾期より半開期に処理する方が色づきがより良好になることがわかった。
【0034】
(試験3)
図3の第3表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を30,35,40℃の室温で処理した際における開花の状態を比較した表図であり、図6は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の切花に処理を開始して1日後の状態を示した写真である。
【0035】
収穫、調整した切花を、室温が30,35,40℃で保たれた各装置内で品質保持剤(前処理剤)に活け、蛍光灯によって常時光を照射した状態で処理開始から翌日までそれぞれ観察した。このとき照射される光の光合成有効光量子束密度(PPFD)は100μmolm−2−1とした。
【0036】
図3の第3表及び図6に示すように、室温が30,35℃の場合には、処理開始から翌日にかけて切花の色が濃くなったことが確認できた。その一方で、室温が40℃の場合には、処理開始から一気に開花が進むとともに、切花の色が薄くなった。
【0037】
次に、図7乃至10に基づき、トルコギキョウの花について本発明による増色処理時に照射する光条件を調べる試験4乃至6を行った。
【0038】
(試験4)
図7の第1表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花に7日間、光を照射した際の評価を示した表図であり、図8は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花に光の処理を開始して7日目の状態を示した写真である。
【0039】
収穫された半開期の花を、室温が25℃に保たれた装置内で切花栄養剤に活けるとともに、蛍光灯によって光合成有効光量子束密度が0,25,50,75,100μmolm−2−1となる強度の光を常時照射した状態で保管し、該増色処理を開始し、満開になった7日目の状況を観察した(同日、圃場で採花した花も対照区として測定)。
【0040】
図7の第1表及び第8図に示すように、収穫された花に蛍光灯によって0,25,50,75,100μmolm−2−1の光を常時照射しつつ保管すると、光強度に比例して花の色(ピンク色)が濃くなることが確認できた。特に、50μmolm−2−1以上の光強度の光を照射することによって、圃場で栽培した切花(対照区)と比較して花の色がより良好に出ていることがわかる。
【0041】
(試験5)
図7の第2表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花に3日間・6日間、光を照射した際の評価を示した表図であり、図9は、半開期のトルコギキョウ「SO八雲小町」の花に光の処理を開始して3日目の状態を示した写真である。
【0042】
収穫された半開期と蕾期の花を、室温が20℃に保たれた装置内で切花栄養剤に活けるとともに、蛍光灯によって光合成有効光量子束密度が100,200μmolm−2−1となる強度の光を常時照射した状態で保管し、該増色処理を開始して3日目の状態と6日目の状態を観察した。
【0043】
図7の第2表及び第9図に示すように、花に100,200μmolm−2−1の強度の光を常時照射しつつ保管した場合、照射開始から3日目には切花の色つきが良好になるとともに、200μmolm−2−1の光を照射した花の方がより花の色が濃くあらわれていることが確認できる。このとき、上記増色処理を開始する際の花の状態が半開期であっても、蕾期であっても同様に色付きが向上していることが確認できる。
【0044】
(試験6)
図7の第3表は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の花に1日間・3日間・5日間、光を照射した際の評価を示した表図であり、図10は、半開期のトルコギキョウ「SO八雲小町」の花に光の処理を開始して3日目の状態を示した写真である。
【0045】
収穫された半開期の花を、室温が30℃に保たれた装置内で切花栄養剤に活けるとともに、蛍光灯によって光合成有効光量子束密度が100,150,200μmolm−2−1の強度の光を花に常時照射した状態で保管し、該増色処理を開始して1日目、3日目、5日目の状態をそれぞれ観察した。
【0046】
図7の第3表及び第10図に示すように、半開期の花を温暖な増色装置内で、光合成有効光量子束密度が100,150,200μmolm−2−1の光を照射して増色処理することにより、何れのケースも花の色が十分に出ており、花の品質が良好であった。上記条件で3日間増色処理を続けると、特に光合成有効光量子束密度が150μmolm−2−1で花の色がより濃くあらわれた。
【0047】
(試験7)
図11は、トルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を24時間・42時間増色処理した際の評価を示した表図であり、図12(A)は、試験開始時のトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真であり、図12(B)は、試験開始24時間後のトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真であり、図12(C)は、試験開始42時間後のトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真である。
【0048】
収穫時に色の出ていない切花を、室温10℃の冷蔵庫で暗黒下保管した切花と、室温30℃の装置内で蛍光灯(光合成有効光量子束密度100μmolm−2−1)を照射して保管した切花と、室温30℃の装置内で蛍光灯(光合成有効光量子束密度100μmolm−2−1)と紫外線を照射して保管した切花と、室温15℃の室内で保管した切花とに分け、それぞれの状態を観察した。
【0049】
図11及び図12に示すように、収穫時に色の出ていない切花を、上述の保管条件で処理することにより、処理開始から24時間後には、室温30℃で処理したものは半開状態を保ったままで花の色付きが改善されていることがわかる。また、処理開始から42時間後には、室温10℃の冷蔵庫で保管したものは変化が無く白色であり、室温15℃で保管したものは若干色づいている程度であるが、室温30℃で処理したものによれば、トルコギキョウの切花本来の色が鮮やかに出ていることが確認できる。
【0050】
(試験8)
次に、図13に基づき、本発明の増色装置によって増色処理したトルコギキョウ「SO八雲小町」の日持ち性について実験した。具体的には、上記で試験した、室温10℃の冷蔵庫で暗黒下保管した切花と、室温30℃の装置内で蛍光灯(光合成有効光量子束密度100μmolm−2−1)を照射して保管した切花と、室温30℃の装置内で蛍光灯(光合成有効光量子束密度100μmolm−2−1)と紫外線を照射して保管した切花と、室温15℃の室内で保管した切花とについて、日持ち試験室(温度20℃、湿度60%、1,000lx・12時間点灯/日)で切花栄養剤に活け、鑑賞価値がなくなるまで観察した。
【0051】
図13(A)は、試験開始時のトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真であり、図13(B)は、試験開始から14日間が経過したトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真であり、図13(C)は、試験開始から26日間が経過したトルコギキョウ「SO八雲小町」の切花を示した写真である。
【0052】
図13に示す結果によれば、保管方法に応じて切花の色付きに差は出ているが、増色処理をした場合であっても、室温10℃の冷蔵庫内で暗黒保管した切花や室温15℃の室内で通常に保管したものと比較して鑑賞期間の長さに差は出ないことが確認できる。
【0053】
本技術によれば、トルコギキョウ「SO八雲小町」の他、「キングオブイエローピンクフラッシュ」、「オーブカクテル」、「パーティピンク」等のその他の品種、さらには、高温と光を受けて活性し、花色が発現し易い切花であれば同様に開花時の色が増色し良好になる。
【符号の説明】
【0054】
1 保管室
2 ヒーター(温度保持手段)
3 蛍光灯(照射手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13