(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記単位電池が、正極と負極とをセパレータを介して積層した電極積層体と、前記電極積層体と電解液を収容するラミネートフィルム外装材とを有するリチウムイオン二次電池である請求項12に記載の蓄電装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は電池モジュールを構成する単位電池100及びその予備加工工程を示す図である。この単位電池100としては、リチウムイオンが負極と正極とを移動することにより充放電が行われる、電気化学素子の1種であるリチウムイオン二次単位電池が用いられる。
【0025】
図1(A)は予備加工を施していない単位電池100を示している。単位電池100の電池本体部110は、複数のシート状正極と複数のシート状負極とがセパレータを介して積層された電極積層体、および電解液(いずれも図示しない)が、平面視で矩形のラミネートフィルム外装材内に収容された構造となっている。そして、電池本体部110の一方の端部(辺)からは正極引き出しタブ120が、また、前記一方の端部と対向する他方の端部(辺)からは負極引き出しタブ130が引き出されている。上記のような複数のシート状正極と複数のシート状負極とがセパレータを介して積層された積層方向をシート厚方向として定義する。
【0026】
正極引き出しタブ120及び負極引き出しタブ130は、いずれも平面状で、ラミネートフィルム外装材内において、それぞれ、シート状正極、シート状負極と直接またはリード体などを介して接続されている。ラミネートフィルム外装材は、熱融着樹脂層を有する金属ラミネートフィルムにより構成されている。より具体的には、例えば2枚の金属ラミネートフィルムが、熱融着樹脂層同士を相対して重ねられてラミネートフィルム外装材を構成し、シート状正極、シート状負極およびセパレータを有する電極積層体や電解液を、内部に収容した状態でラミネートフィルム外装材の外周辺が熱シールされることで、その内部が密閉されている。
【0027】
ここで、ラミネートフィルム外装材よりなる電池本体部110から引き出される正極引き出しタブ120や負極引き出しタブ130などの金属片は、「引き出しタブ」と称することとし、ラミネートフィルム外装材の内側でセパレータや電解液などを介して積層されているシート状正極やシート状負極を「電極」と称する。
【0028】
なお、電極積層体には、上記のように複数のシート状正極と複数のシート状負極とがセパレータを介して積層したものの他に、シート状正極とシート状負極とがセパレータを介し積層したものを巻回し、これが圧縮されることにより積層体をなすものも含まれる。
【0029】
上記のような単位電池100においては、正極引き出しタブ120の材質としてはアルミニウムまたはアルミニウム合金が、また、負極引き出しタブ130の材質としては、ニッケル、他の金属にニッケルメッキを施した材料(ニッケルメッキ材。例えば、ニッケルメッキをした銅など)、ニッケルと他の金属のクラッド(ニッケルクラッド材。例えば、ニッケル−銅クラッドなど)が一般的に用いられている。本実施形態においては、アルミニウム製の正極引き出しタブ120が、また、ニッケルメッキをした銅からなる負極引き出しタブ130がそれぞれ用いられている。
【0030】
以上のように構成される単位電池100に対して、電池モジュールに組み込み前段としての予備加工を実施する。まず、
図1(B)に示すように、銅製の継ぎ足しタブ部材140を、溶着部143で超音波溶着することで、正極引き出しタブ120に接続する。このような継ぎ足しタブ部材140を用いる理由について説明する。
【0031】
本発明に係る電池モジュールを構成する上では、単位電池100の正極引き出しタブ120と、この単位電池100に隣り合う単位電池100の負極引き出しタブ130とを、ネジによって機械的に銅製のバスバーに固着することで、電気接続を行うようにする。
【0032】
ここで、単位電池100のアルミニウムを含む正極引き出しタブ120と、銅製のバスバーとを機械的に固着させる構成では、電位差の問題により所定の年月が経過した後の導電性が劣化する可能性がある。
【0033】
そこで、本発明に係る電池モジュールにおいては、上述のように、単位電池100の正極引き出しタブ120には、銅製の継ぎ足しタブ部材140を溶着により接合しておく。そして、銅製の継ぎ足しタブ部材140と、バスバーとを機械的に固着することによって、電位差による導電性劣化の問題を解決する。このような構成によれば、機械的な電気接続部では、同種の金属材料による電気接続となり、電位差の問題がなく、年月の経過による導電性の劣化が発生することがほとんどなくなる。
【0034】
続く、
図1(C)の工程においては、正極引き出しタブ120に位置合わせ貫通孔124を設け、正極引き出しタブ120に継ぎ足された継ぎ足しタブ部材140に貫通孔145を設け、負極引き出しタブ130に位置合わせ貫通孔134及び貫通孔135を設ける。これらの貫通孔のうち、正極引き出しタブ120の位置合わせ貫通孔124及び負極引き出しタブ130の位置合わせ貫通孔134については、単位電池100を後に詳しく説明する単位電池収容体800にセットする際に利用する。
【0035】
単位電池収容体800には単位電池位置合わせ突起部860が設けられているが、単位電池100を単位電池収容体800に載置する際には、単位電池位置合わせ突起部860を位置合わせ貫通孔124、位置合わせ貫通孔134に貫通させるようにすれば、簡単に単位電池100を単位電池収容体800にセッティングすることが可能となり、製造効率がよい。
【0036】
また、継ぎ足しタブ部材140の貫通孔145、及び、負極引き出しタブ130の貫通孔135については、後述するように(1)単位電池100を単位電池収容体800に機械的に固定するため、(2)単位電池収容体800のバスバーにタブを電気的に接続するため、及び、(3)タブとセンス線、電源線を電気的に接続するために利用される。
【0037】
次に、以上のように準備加工された単位電池100を収容するための単位電池収容体800の詳細な構成について説明する。
図2及び
図3は電池モジュールを構成する上で用いられる単位電池収容体800を説明する図である。
【0038】
単位電池収容体800は、ABSなどの合成樹脂製の部材であり、単位電池収容体800においては、単位電池100などが組み付けられ、単位電池100同士などの配線が行われる。
【0039】
単位電池収容体800は、平板状の基体と、基体の2つの主面である表面および裏面の周縁部に形成された周縁隔壁部と、を有する。周縁隔壁部は、基体表面側に設けられた第1面周縁隔壁部と、基体裏面側に設けられた第2面周縁隔壁部と、から構成されている。ここで、
図2は単位電池収容体800の基体表面側を斜視的にみた図であり、
図3は単位電池収容体800の基体裏面側を斜視的にみた図である。
図2に示されている基体表面側の電池収容体の主面を第1面801、また、
図3に示されている基体裏面側の電池収容体の主面を第2面812として、以下、説明する。
【0040】
第1面801においては、基体表面の周縁を囲むように、基体表面から垂直方向に立設した第1面周縁隔壁部802が設けられている。この第1面周縁隔壁部802で囲まれた内側のエリアは、後述するカバー体によって遮蔽される。
【0041】
また、第1面801における第1面周縁隔壁部802で囲まれた内側のエリアにおいては、基体表面から垂直方向に立設した第1面区画分け隔壁部803が設けられており、第1面内で互いに隣接する単位電池100の間の隔壁を成し、単位電池100を収容する独立した収容室を供するようになっている。また、第1面区画分け隔壁部803は、一列に配列される端部に位置する単位電池100の隔壁としても機能する。第1面区画分け隔壁部803により、第1面801側においては、第1電池収容室807、第2電池収容室808、第3電池収容室809、第4電池収容室810の計4つの単位電池100の収容空間を構成することが可能となる。
【0042】
第1面801の一端側と、これに対向する他端側とにおいては、第1面周縁隔壁部802と、第1面区画分け隔壁部803との中間に位置し、基体表面から垂直方向に立設した第1面中間隔壁部805が設けられている。第1面区画分け隔壁部803と第1面中間隔壁部805との間の空間は、単位電池100のタブの電位を検出するセンス線などを這わせるための第1面センス線収容部811として利用される。
【0043】
第1面区画分け隔壁部803により形成される単位電池100の収容室に、単位電池100が収容されたとき、その引き出しタブが引き出される方向と、第1面区画分け隔壁部803が交差する箇所には、区画分け隔壁切り欠き部804が設けられている。また、同様に、前記引き出しタブが引き出される方向と第1面中間隔壁部805とが交差する箇所には、中間隔壁切り欠き部806が設けられている。
【0044】
電池モジュールが異常な状態で使用された結果、複数の単位電池のうち、1つの単位電池で異常が発生し、ラミネートフィルム外装材内に生じたガスがラミネートフィルム外装材外に排気するような場合であっても、区画分け隔壁切り欠き部804及び中間隔壁切り欠き部806が、上記のようなガスを排気する排気構造として機能し、当該ガスの隣接する単位電池への影響を低減することができるようになっている。
【0045】
第2面812においても、基体裏面の周縁部に囲むように、基体裏面から垂直方向に立設した第2面周縁隔壁部813が設けられている。この第2面周縁隔壁部813で囲まれた内側のエリアは、後述するカバー体によって遮蔽される。
【0046】
また、第2面812における第2面周縁隔壁部813で囲まれた内側のエリアにおいては、基体表面から垂直方向に立設した第2面区画分け隔壁部814が設けられており、第2面内で互いに隣接する単位電池100の間の隔壁を成し、単位電池100を収容する独立した収容室を供するようになっている。また、第2面区画分け隔壁部814は、一列に配列される端部に位置する単位電池100の隔壁としても機能する。第2面区画分け隔壁部814により、第2面812側においては、第5電池収容室818、第6電池収容室819、第7電池収容室820、第8電池収容室821の計4つの単位電池100の収容空間を構成することが可能となる。単位電池収容体800においては、第1面801と第2面812とで合わせて、計8つの単位電池100を収容する。
【0047】
第2面812の一端側と、これに対向する他端側とにおいては、第2面周縁隔壁部813と、第2面区画分け隔壁部814との中間に位置し、基体表面から垂直方向に立設した第2面中間隔壁部816が設けられている。第2面区画分け隔壁部814と第2面中間隔壁部816との間の空間は、単位電池100のタブの電位を検出するセンス線などを這わせるための第2面センス線収容部822として利用される。
【0048】
第2面区画分け隔壁部814により形成される単位電池100の収容室に、単位電池100が収容されたとき、その引き出しタブが引き出される方向と、第2面区画分け隔壁部814が交差する箇所には、区画分け隔壁切り欠き部815が設けられている。また、同様に、前記引き出しタブが引き出される方向と第2面中間隔壁部816とが交差する箇所には、中間隔壁切り欠き部817が設けられている。
【0049】
電池モジュールが異常な状態で使用された結果、複数の単位電池のうち、1つの単位電池で異常が発生し、ラミネートフィルム外装材内に生じたガスがラミネートフィルム外装材外に排気するような場合であっても、区画分け隔壁切り欠き部815及び中間隔壁切り欠き部817が、上記のようなガスを排気する排気構造として機能し、当該ガスの隣接する単位電池への影響を低減することができるようになっている。
【0050】
上記に示すように、単位電池収容体800は、第1面801において第1電池収容室807、第2電池収容室808、第3電池収容室809、第4電池収容室810の4つの単位電池100の収容室を有しており、第2面812において第5電池収容室818、第6電池収容室819、第7電池収容室820、第8電池収容室821の4つの単位電池100の収容室を有しており、両面で合わせて計8つの単位電池100の収容室を有している。仮にひとつの電池収容室に1つの単位電池100を収容するものとすると、本実施形態に係る単位電池収容体800では、最大で8つの単位電池100を収容することが可能である。なお、本発明における電池モジュールでは、単位電池収容体800で収容可能とする単位電池100の数は、この例に限定されるものではなく、単位電池収容体800の両面を利用するのであれば、単位電池収容体800で収容可能とする単位電池100の数は、任意の数とすることができる。
【0051】
単位電池収容体800の一方の端部(第1電池収容室807及び第8電池収容室821が配されている側の端部)においては、直列接続される単位電池100の電源が取り出せる第1コネクタ828が配される空間である第1コネクタ収容凹部824が設けられている。
【0052】
図4は第1コネクタ828の単位電池収容体800への取り付けを説明する図であり、
図4(B)は
図4(A)の要部拡大図である。単位電池収容体800の側壁には、第1コネクタ828を取り付けるための第1コネクタ取り付け開口部825と、その両側に第1コネクタ取り付けネジ孔826とが設けられており、第1コネクタ828を第1コネクタ取り付け開口部825にはめ込み、第1コネクタ取り付けネジ孔826に取り付けネジ829を螺着させることで、第1コネクタ828を単位電池収容体800に固着する。第1コネクタ収容凹部824の近傍には、第1面801と第2面812とを貫通する電源線用開口部827が設けられており、第1面801側に設けられる第1コネクタ828の電源線881を第2面812側に引き回せるようになっている。
【0053】
単位電池収容体800の一方の端部第4電池収容室810及び第5電池収容室818が配されている側の端部)においては、単位電池100からのセンス線、サーミスタ接続線からの出力が取り出せる第2コネクタ840が配される空間である第2コネクタ取り付け凹部832が設けられている。
【0054】
この第2コネクタ234からは、直列接続される各単位電池100のタブの電位情報、モジュール内の温度情報が取り出せるようになっている。このような各単位電池100のタブの電位情報によって、後述するバッテリー管理回路ユニット1100が各々の単位電池100の管理を行うことができるようになっている。
【0055】
電池モジュール1000を蓄電装置1200に装着する際には、電池モジュール1000をレール部材で位置規制しつつ、蓄電装置1200筐体の奥部にあるコネクタ(後述する第7コネクタ1152)に嵌合させるが、このとき、レール部材などに公差があると、第2コネクタ840と第7コネクタ1152との嵌合が困難となる。そこで、第2コネクタ840は、上記のような公差をカバーするように、若干変位可能に構成されている。
【0056】
このような第2コネクタ840について、
図5乃至
図7に基づいて説明する。
図5は第2コネクタ840のコネクタ取り付けパネル847への取り付けを説明する図であり、
図6はコネクタ取り付けパネル847の単位電池収容体800への取り付けを説明する図であり、
図7は単位電池収容体800に取り付けられた第2コネクタ840正面図である。
【0057】
第2コネクタ840の本体部841の両端には、2つの貫通孔843(
図5には不図示)が設けられており、これらの2つの貫通孔843にそれぞれブッシュ844が取り付けられているが、このブッシュ844の外径は、貫通孔843の内径より2Δbより小さくなっており、これによりブッシュ844に対して第2コネクタ840の本体部841は2Δbの変位を行い得るようになっている。
【0058】
この第2コネクタ840は、コネクタ取り付けパネル847のコネクタ取り付け開口部848にはめ込まれ、コネクタ取り付けパネル847のコネクタ取り付けネジ孔849と、ブッシュ844と、締結部材852の雌ネジ孔853とに挿入・螺着される取り付けネジ850によって、コネクタ取り付けパネル847に対して固着される。したがって、第2コネクタ840は、コネクタ取り付けパネル847に対して、2Δbの変位量で変位可能となっている。
【0059】
第2コネクタ取り付け凹部832におけるパネル取り付け基台部833には、パネル取り付け基台部833を形成する平面より突出するネジ孔周縁突状部835が設けられており、ネジ孔周縁突状部835の中心には、コネクタ取り付けパネル847を単位電池収容体800に対して取り付けるために利用されるパネル取り付けネジ孔834が設けられている。
【0060】
コネクタ取り付けパネル847の両側に設けられている取り付け切り欠き部851内に、挿通されるネジ孔周縁突状部835の外径は、取り付け切り欠き部851の内側部より2Δa小さくされており、コネクタ取り付けパネル847は単位電池収容体800に対して2Δa変位可能となる。
【0061】
第2コネクタ840が取り付けられたコネクタ取り付けパネル847は、コネクタ取り付けネジ孔849と、抜け止めワッシャー837と、取り付け切り欠き部851と、パネル取り付けネジ孔834とに挿通された取り付けネジ836によって、単位電池収容体800に取り付けられる。
【0062】
コネクタ取り付けパネル847は単位電池収容体800に対して2Δa変位可能となり、さらに、第2コネクタ840はコネクタ取り付けパネル847に対して2Δb変位可能となるので、第2コネクタ840は単位電池収容体800に対して2Δa+2Δbの変位が可能となる。ここで、Δa>Δbの寸法関係に設定することにより、レール部材によって位置規制されながら誘導される電池モジュール1000の第2コネクタ840は、より滑らかに第7コネクタ1152に嵌合する。
【0063】
単位電池収容体800の(第1電池収容室807及び第8電池収容室821が配されている側の端部)においては、第1面801と第2面812との間を貫通する取手貫通孔854が設けられており、取手貫通孔854とその周囲が取手部855として機能するようになっている。このような取手部855は、電池モジュールの取り扱い性を向上させるものである。
【0064】
単位電池収容体800における第1面801の第4電池収容室810と、第2面812の第5電池収容室818との間には、第1面801と第2面812との間を貫通するバスバー引き回し貫通孔867が設けられている。
【0065】
本発明に係る電池モジュールにおいては、各電池収容室に配された電池が直列接続されるが、このバスバー引き回し貫通孔867によって、面間バスバー877を第1面801の第4電池収容室810と、第2面812の第5電池収容室818との間を跨がせることが可能となり、これにより、第4電池収容室810に収容される単位電池100と第5電池収容室818に収容される単位電池100とを、面間バスバー877を介して電気接続することができるようになっている。
【0066】
第1電池収容室807乃至第8電池収容室821のそれぞれの収容室には、基体表面または基体裏面から立設さようにして、それぞれ2つの単位電池位置合わせ突起部860が設けられている。
【0067】
それぞれの収容室の一方の単位電池位置合わせ突起部860は、正極引き出しタブ120の位置合わせ貫通孔124に、また、他方の単位電池位置合わせ突起部860は、負極引き出しタブ130の位置合わせ貫通孔134に嵌合するようになっており、これにより、単位電池100を単位電池収容体800に迅速に位置合わせしてセットすることが可能となり、製造効率上有効である。
【0068】
また、それぞれの収容室には、基体表面または基体裏面の平面から立設されたタブ部材載置部861が設けられている。タブ部材載置部861は単位電池収容体800に単位電池100がセットされたときに、単位電池100の正極引き出しタブ120、負極引き出しタブ130やこれらタブ間に配設されるバスバーを前記平面から所定距離離した状態で保つための構成である。
【0069】
タブ部材載置部861の一部にはタブ部材固着ネジ孔862が設けられており、このタブ部材固着ネジ孔862を利用してネジ止め行うことで、(1)単位電池100を単位電池収容体800に機械的に固定し、(2)単位電池収容体800のバスバーにタブを電気的に接続し、及び、(3)タブとセンス線、電源線を電気的に接続することができるようになっている。タブ部材固着ネジ孔862は、内周にネジパターンが切られた金属の筒状体が、樹脂で形成される単位電池収容体800に一体モールドで埋め込まれるような形で設けられることが好ましい。
【0070】
タブ部材載置部861におけるタブ部材固着ネジ孔862の一部には、十字状のリブ構造が設けられ、タブ部材固着ネジ孔862を補強するようになっている。また、タブ部材固着ネジ孔862のうち、タブ部材間バスバー876が設けられる箇所においては、相隣るタブ部材固着ネジ孔862の間に、ネジ孔間架橋部863が設けられ、安定的にタブ部材間バスバー876を載置することができるようになっている。さらに、このネジ孔間架橋部863の上面には、バスバー位置決め突起部864が設けられており、タブ部材間バスバー876に予め設けられる貫通孔にバスバー位置決め突起部864を嵌合することで、タブ部材間バスバー876を簡便にセットすることでき、製造効率を向上させるようになっている。
【0071】
また、第1面801の第1電池収容室807に収容される単位電池100の正極引き出しタブ120、及び、第2面812の第8電池収容室821に収容される単位電池100の負極引き出しタブ130はそれぞれ、センス線以外に電源線にも接続されるが、このために用いる端部バスバー875を固定するために、それぞれの収容室には端部バスバー固定枠865が設けられている。
【0072】
単位電池収容体800の外周における一の端部には第1端側突状ガイド部材870が、また当該端部と対向する他の端部には第2端側突状ガイド部材872が設けられている。
これら第1端側突状ガイド部材870、及び、第2端側突状ガイド部材872は、凸部が長手方向に連続するような構造であり、後述するレール部材における凹状ガイド部材1145に、これらをスライドさせることで、本発明に係る電池モジュール1000を蓄電装置1200の筐体に収容することが可能となる。
【0073】
第1端側突状ガイド部材870の両端部にはテーパー部871が、また、第2端側突状ガイド部材872の両端部にはテーパー部873がそれぞれ設けられることで、上記のように、レール部材における凹状ガイド部材1145に電池モジュール1000を差し込み入れる際には、差し込みが容易となり取り扱い性が向上する。また、レール部材における凹状ガイド部材1145から電池モジュール1000を取り外す際には、各テーパー部がアソビとなるので、電池モジュール1000の抜き去り方向に留意する必要性があまりなく、取り扱い性が向上する。
【0074】
第1端側突状ガイド部材870の幅と、第2端側突状ガイド部材872の幅とは、互いに異なるものを用いることで、想定していない姿勢で、電池モジュール1000が蓄電装置1200に対して抜き差しされることを防止することが可能となる。なお、第1端側突状ガイド部材870の幅は、或いは、第2端側突状ガイド部材872の幅は、基体表面または基体裏面と垂直な方向でみた長さとして定義することができる。
【0075】
第1端側突状ガイド部材870及び第2端側突状ガイド部材872はいずれも、基体表面および基体裏面とは異なる側面であって、対向する2つの側面に基体表面あるいは基体裏面の平面方向に沿って設けられるものである。
【0076】
第1端側突状ガイド部材870及び第2端側突状ガイド部材872は、周縁隔壁部(802,813)から突出あるいは基体から延在するように設けられるものある。また、各テーパー部は、前記突出する突出量あるいは延在する延長量が変化するものである、ということができる。
【0077】
単位電池収容体800においては、第1面801に配された単位電池100や各種配線を第1面カバー体910により、また、第2面812に配された単位電池100や各種配線を第2面カバー体920により遮蔽する構造を採る。
【0078】
このために、第1面カバー体910を第1面801にネジにより螺着するために用いられるカバー体固着ネジ孔869が、第1面801に16個設けられている。同様に、第2面カバー体920を第1面220にネジにより螺着するために用いられるカバー体固着ネジ孔869が、第2面812に同じく16個設けられている。それぞれの面に、カバー体固着ネジ孔869は16個設けられているが、全てのカバー体固着ネジ孔869でネジ留めする必要はない。また、カバー体固着ネジ孔869を一の面に設ける数は、16個に限らず任意の数とすることができる。
【0079】
次に、以上のように構成される単位電池収容体800に単位電池100などの各部品を組み付けて、本発明に係る電池モジュールとする工程について説明する。
【0080】
図8に示す工程においては、第1面801の第4電池収容室810に収容される単位電池100と、第2面812の第5電池収容室818に収容される単位電池100との導通のために利用される面間バスバー877をセットする。面間バスバー877をバスバー引き回し貫通孔867に挿通し、面間バスバー877に設けられている貫通孔をバスバー位置決め突起部864に嵌合することで、面間バスバー877の取り付けが完了する。面間バスバー877には、タブ部材固着ネジ孔862に対応する貫通孔も予め設けられている。
【0081】
図9に示す工程においては、タブ部材間バスバー876に設けられている貫通孔をバスバー位置決め突起部864に嵌合することで、タブ部材間バスバー876をタブ部材載置部861にセットする。タブ部材間バスバー876には、タブ部材固着ネジ孔862に対応する貫通孔も予め設けられている。また、この工程においては、端部バスバー固定枠865に、端部バスバー875をセットする。この端部バスバー875にも、タブ部材固着ネジ孔862に対応する貫通孔が予め設けられている。また、各電池収容室における斜線部に接着剤を塗布する。
【0082】
続く、
図10に示す工程においては、接着剤が塗布されている第1電池収容室807、第2電池収容室808、第3電池収容室809、第4電池収容室810のそれぞれに単位電池100を収容する。このとき、単位電池100の正極引き出しタブ120の位置合わせ貫通孔124及び負極引き出しタブ130の位置合わせ貫通孔134を、単位電池収容体800の単位電池位置合わせ突起部860に貫通させることで、簡便に位置合わせを行うことができ、製造効率がよい。図中、単位電池100の正極引き出しタブ120が引き出された側には(+)のマークを、また、負極引き出しタブ130が引き出された側には(−)のマークを記入している。
図10に示すように、隣り合う電池収容室に収容される単位電池100のタブの極性は、単位電池収容体800の一端部側おいて、相異なるようになっている。これによりタブ部材間バスバー876を介して、単位電池100のタブ同士が電気接続されると、直列接続を構成するようになっている。
【0083】
本実施形態では、単位電池100の引き出しタブの引き出し方向と垂直な方向に、単位電池100が一方向に複数配列され、さらに、隣り合う単位電池100のタブ同士が電気接続されることで、簡便に単位電池100の直列接続が実現できるようになっている。
【0084】
タブ部材固着ネジ孔862を利用してネジ889によって、タブ部材間バスバー876と単位電池100のタブの電気的及び機械的固着を行う。ここで、タブ部材間バスバー876を固着する2つのネジ889のうち一方のネジ889には、センス線端子888も合わせて固着する。センス線端子888は、第1面センス線収容部811に配されるセンス線887により第2コネクタ840と導通しており、第2コネクタ840から単位電池100のタブの電位情報を出力可能とされる。
【0085】
第1電池収容室807における単位電池100の継ぎ足しタブ部材140は、ネジ889によりは、端部バスバー875上で、電源線端子882とセンス線端子888と端部バスバー875と電気的及び機械的固着が施される。この電源線端子882は、電源線881により第1コネクタ828と導通しており、第1コネクタ828からは、電池モジュールとしての正極性の出力を取り出すことができるようになっている。
【0086】
また、第2電池収容室808と第3電池収容室809との間における2つの第1面区画分け隔壁部803の間には、電池モジュール1000の温度をモニタするためのサーミスタ886が設けられている。このサーミスタ886と、第2コネクタ840とはサーミスタ接続線885とで導通しており、第2コネクタ840からは電池モジュール1000の温度情報を出力可能とされる。
【0087】
続く、
図11に示す工程においては、単位電池収容体800の第1面801に、ネジ930により第1面カバー体910を取り付ける。ここで、
図16の斜視図も参照しつつ、第1面カバー体910について説明する。第1面カバー体910と第2面カバー体920とは鏡対称の関係にある以外は同様の構成を有しているので、以下、第1面カバー体910を例にとり説明する。
【0088】
第1面カバー体910は、単位電池収容体800の第1面801に収容される単位電池100、電源線881、センス線887やサーミスタ886などを遮蔽するアルミニウム製のカバー用の部材である。
【0089】
第1面カバー体910には、第1面カバー体910が第1面801に取り付けられたとき、各電池収容室に収容されている単位電池100を押圧するための絞り加工(電池押圧絞り加工部911)が施されている。また、電池押圧絞り加工部911によって、単位電池100を押圧する面は押圧面912として定義される。電池押圧絞り加工部911に基づく押圧面912は、第1面カバー体910装着時、単位電池100の電極積層領域105を押圧することで、単位電池100の経年使用による膨張などを押さえ込み、単位電池100の寿命を伸ばす効果を有する。
【0090】
また、第1面カバー体910には、第1面カバー体910が第1面801に取り付けられたとき、カバー体固着ネジ孔869と対応する位置に、ネジ孔914が形成されている。ネジ孔914の周囲には、ネジ孔絞り加工部913が設けられることで、ネジ孔914の周囲における第1面カバー体910と第1面801とが密着する形で、第1面カバー体910が固着される。
【0091】
また、第1面カバー体910においては、第1面カバー体910が単位電池収容体800に取り付けられたとき、単位電池100の引き出しタブと対応するように、切り欠き部915が設けられている。このような切り欠き部915を設けることにより、電池モジュール1000の排気性能を確保することが可能となる。
【0092】
続く、
図12に示す工程においては、単位電池収容体800の第2面812において、タブ部材間バスバー876に設けられている貫通孔をバスバー位置決め突起部864に嵌合することで、タブ部材間バスバー876をタブ部材載置部861にセットする。タブ部材間バスバー876には、タブ部材固着ネジ孔862に対応する貫通孔も予め設けられている。また、この工程においては、端部バスバー固定枠865に、端部バスバー875をセットする。この端部バスバー875にも、タブ部材固着ネジ孔862に対応する貫通孔が予め設けられている。また、各電池収容室における斜線部に接着剤を塗布する。
【0093】
続く、
図13に示す工程においては、単位電池収容体800の第2面812において、接着剤が塗布されている第5電池収容室818、第6電池収容室819、第7電池収容室820、第8電池収容室821のそれぞれに単位電池100を収容する。このとき、単位電池100の正極引き出しタブ120の位置合わせ貫通孔124及び負極引き出しタブ130の位置合わせ貫通孔134を、単位電池収容体800の単位電池位置合わせ突起部860に貫通させることで、簡便に位置合わせを行うことができ、製造効率がよい。図中、単位電池100の正極引き出しタブ120が引き出された側には(+)のマークを、また、負極引き出しタブ130が引き出された側には(−)のマークを記入している。
図13に示すように、隣り合う電池収容室に収容される単位電池100のタブの極性は、単位電池収容体800の一端部側おいて、相異なるようになっている。これによりタブ部材間バスバー876を介して、単位電池100のタブ同士が電気接続されると、直列接続を構成するようになっている。
【0094】
本実施形態では、単位電池100の引き出しタブの引き出し方向と垂直な方向に、単位電池100が一方向に複数配列され、さらに、隣り合う単位電池100のタブ同士が電気接続されることで、簡便に単位電池100の直列接続が実現できるようになっている。
【0095】
タブ部材固着ネジ孔862を利用してネジ889によって、タブ部材間バスバー876と単位電池100のタブの電気的及び機械的固着を行う。ここで、タブ部材間バスバー876を固着する2つのネジ889のうち一方のネジ889には、センス線端子888も合わせて固着する。センス線端子888は、第1面センス線収容部811に配されるセンス線887により第2コネクタ840と導通しており、第2コネクタ840から単位電池100のタブの電位情報を出力可能とされる。
【0096】
第8電池収容室821における単位電池100の負極引き出しタブ130は、ネジ889によりは、端部バスバー875上で、電源線端子882とセンス線端子888と端部バスバー875と電気的及び機械的固着が施される。この電源線端子882は、電源線881により第1コネクタ828と導通しており、第1コネクタ828からは、電池モジュールとしての負極性の出力を取り出すことができるようになっている。
【0097】
続く、
図14に示す工程においては、単位電池収容体800の第2面812に、ネジ930により第2面カバー体920を取り付ける。
【0098】
続く、
図15に示す工程においては、第1コネクタ828にキャップ部材891を装着する。第1コネクタ828の導電端子には、8つの単位電池100を直列接続した分の電圧が印加された状態となる。そこで、電池モジュール1000を取り扱う上での安全性を担保するために、このようなキャップ部材891により、第1コネクタ828を遮蔽するようにしている。キャップ部材891には2つの係止片892が設けられており、これらに対応して単位電池収容体800の側壁部に設けられている2つの係止口890に、当該2つの係止片892を挿入することで、第1コネクタ828を覆うようにキャップ部材891を装着することができるようになっている。このキャップ部材891は、電池モジュール1000を蓄電装置1200に装着する際には、取り外される。
【0099】
以上の工程を経て、
図17の斜視図に示されるような電池モジュール1000が完成する。
【0100】
続いて、以上のような本発明に係る電池モジュール1000の管理を行うバッテリー管理回路ユニット1100の構成の概略について説明する。
図18、
図19、
図20はバッテリー管理回路ユニット1100の製造工程を説明する図である。また、
図21はバッテリー管理回路ユニット1100を示す図である。
【0101】
図18に示す工程では、コネクタパネル1110に、第3コネクタ1111及び第4コネクタ1112をネジ1115で取り付ける。バッテリー管理回路ユニット1100は、蓄電装置1200への取り付け性などを考慮すると、電池モジュール1000と略同寸法とすることが望ましいが、回路基板1120のみで前記寸法を確保しようとするとコスト面などが問題となるので、コネクタパネル1110を用いるようにしている。
【0102】
図19に示す工程では、バッテリー管理用の回路が搭載されている回路基板1120にたいして、回路の冷却のために一部に通気孔1126が設けられた側板1125を、回路基板1120のネジ孔部1127及びネジ1129により固着する。
【0103】
続く、
図20に示す工程では、回路基板1120とコネクタパネル1110とをネジ1130により固着する。
【0104】
図21に示す工程では、コネクタパネル1110に設けられている第3コネクタ1111、第4コネクタ1112のリード線1114を回路基板1120の各端子1123に電気接続する。
【0105】
以上のようにして構成されるバッテリー管理回路ユニット1100には、第3コネクタ1111、第4コネクタ1112、第5コネクタ1121が備えられている。
【0106】
次に、以上のようなバッテリー管理回路ユニット1100と電池モジュール1000とにより構成される蓄電装置1200について説明する。
【0107】
まず、複数の電池モジュール1000と、バッテリー管理回路ユニット1100とを収容するラック部材1200の構成について説明する。本実施形態のラック部材1200は、13個の電池モジュール1000と、2枚の基板からなるバッテリー管理回路ユニット1100とを収容するラック部材1200について説明するが、本発明においては、電池モジュール1000やバッテリー管理回路ユニット1100の数に特段の制限があるわけではない。
【0108】
図22はラック部材1200の構成を示す斜視図であり、
図23はラック部材1200から天板1220と第2側板1240を取り外した状態を示す図であり、
図24はラック部材1200を
図22のFの方向からみた正面図である。
【0109】
ラック部材1200の底部を構成する底板1210には、複数の下部ガイド部材1215が配設されている。一方、ラック部材1200の天井部を構成する天板1220には、複数の上部ガイド部材1225が配設されている。
【0110】
下部ガイド部材1215と上部ガイド部材1225とは対向しており、電池モジュール1000をラック部材1200に着脱する際、それぞれ上下で電池モジュール1000の案内を行うことができるようになっている。
【0111】
ラック部材1200に電池モジュール1000が装着された時には、隣り合う電池モジュール1000の間には、所定の間隔が開けられる程度にガイド部材が配されており、隣り合う電池モジュール1000同士の間には、十分な空間が確保されるようになっている。このため、蓄電装置1300を構成する電池モジュール1000から発生する熱が、装置内にこもってしまうようなことがない。
【0112】
さらに、底板1210には通風開口部1217が、また、天板1220には通風開口部1227がそれぞれ設けられており、隣り合う電池モジュール1000の間で空気の流れが滞らないように配慮されており、蓄電装置1300内の温度上昇を抑制することができるようになっている。
【0113】
底板1210と天板1220との間には、互いに対向するように第1側板1230と第2側板1240が設けられており、天板1220を両脇から支えるようになっている。
【0114】
第1側板1230及び第2側板1240においても、第1側板1230には通風開口部1237が、また、第2側板1240には通風開口部1247がそれぞれ設けられており、電池モジュール1000やバッテリー管理回路ユニット1100からの放熱を蓄電装置1300から逃がせるような工夫が施されている。
【0115】
なお、本発明に係る蓄電装置1300は、蓄電装置1300は縦積みとされて使用されることも想定されるために、上記のような通風開口部を設けておき、蓄電装置1300内の温度上昇を抑制することはきわめて重要となる。
【0116】
また、第1側板1230と第2側板1240との間には、複数のコネクタを有する背面板1250が設けられている。
【0117】
この背面板1250は、各電池モジュール1000の第2コネクタ840が嵌合する第7コネクタ1252と、バッテリー管理回路ユニット1100の第5コネクタ1121がそれぞれ嵌合する第8コネクタ1253とが設けられ、不図示の配線が施されることで、各電池モジュール1000のセンス情報、温度情報をバッテリー管理回路ユニット1100側に中継することができるようになっている。バッテリー管理回路ユニット1100はこれにより、各単位電池100の電位データと、各電池モジュール1000内の温度データを取得して、これに基づいて放電停止などの制御を行うようにしている。
【0118】
図25は、ガイド部材を利用して、蓄電装置1300のラック部材1200に電池モジュール1000をスライドしつつセットしている様子を示している。
図25に示すように、A側に電池モジュール1000をスライドさせることで、電池モジュール1000をラック部材1200に装着できるし、B側に電池モジュール1000をスライドさせることで、電池モジュール1000をラック部材1200から外すことが可能であるので、本発明に係る蓄電装置1300においては、電池モジュール1000の交換がきわめて容易となっている。
【0119】
電池モジュール1000をA側にスライドさせて、ラック部材1200に装着する際、ラック部材1200の背面側の背面板1250の第7コネクタ1252に、電池モジュール1000の第2コネクタ840を嵌合させるようにしなければならない。
【0120】
ガイド部材などに公差があると、第2コネクタ840と第7コネクタ1252との嵌合が困難となる。そこで、第2コネクタ840は、上記のような公差をカバーするように、若干変位可能に構成されている。
【0121】
上記のような変位を可能とするための構成について説明する。
図26は電池モジュール1000の第2コネクタ840周辺の構成を説明する図であり、
図26(A)は電池モジュール1000の第2コネクタ840を正面から見た図であり、
図26(B)は
図26(A)のA−A断面図であり、
図26(C)は
図26(A)のB−B断面図である。
【0122】
図26(B)に示すように、単位電池収容体800のパネル取り付け基台部833には、パネル取り付け基台部833を形成する平面より突出するネジ孔周縁突状部835が設けられている。このネジ孔周縁突状部835の中心には、コネクタ取り付けパネル847を単位電池収容体800に対して取り付けるためのパネル取り付けネジ孔834が設けられている。
【0123】
コネクタ取り付けパネル847の両側に設けられている取り付け切り欠き部851内に、挿通されるネジ孔周縁突状部835の外径は、取り付け切り欠き部851の内側部より、図に示すように、2Δa小さくされており、コネクタ取り付けパネル847は単位電池収容体800に対して2Δa変位可能となる。
【0124】
また、
図26(C)に示すように、第2コネクタ840の貫通孔843にはブッシュ844が取り付けられているが、このブッシュ844の外径は、貫通孔843の内径より2Δbより小さくなっており、これによりブッシュ844に対して第2コネクタ840の本体部841は2Δbの変位を行い得るようになっている。
【0125】
コネクタ取り付けパネル847は単位電池収容体800に対して2Δa変位可能となり、さらに、第2コネクタ840はコネクタ取り付けパネル847に対して2Δb変位可能となるので、第2コネクタ840は単位電池収容体800に対して2Δa+2Δbの変位が可能となる。
【0126】
ここで、Δa>Δbの寸法関係に設定することが好ましい。レール部材によって位置規制されながら誘導される電池モジュール1000の第2コネクタ840は、2Δaの裕度により、第7コネクタ1252に対して大まかな位置決めがなされ、さらに、第2コネクタ840と第7コネクタ1252とが嵌合するタイミングで、2Δbの裕度により、第2コネクタ840が第7コネクタ1252と嵌合する。Δa>Δbの寸法関係に設定すると、このように、第2コネクタ840は、より滑らかに第7コネクタ1252に嵌合することが可能となる。
【0127】
図27は、ラック部材1200に押さえ板1260を固定した状態を示しており、本発明の実施形態に係る蓄電装置1300の完成した状態を示す図である。
【0128】
なお、
図27では図示していないが、各電池モジュール1000のキャップ部材891を取り外し、不図示の電源線により各電池モジュール1000を直列接続する。また、直列接続した両端の電源線は、バッテリー管理回路ユニット1100の第3コネクタ1111に入力する。以上のように、各電池モジュール1000とバッテリー管理回路ユニット1100をセットすることで蓄電装置1300が完成する。
【0129】
ステンレス製の押さえ板1260は、第1側板1230と第2側板1240に、ボルト・ナット1266によって固定されることで、背面板1250の第7コネクタ1252と電池モジュール1000の第2コネクタ840とが嵌合する方向に、電池モジュール1000を押圧する状態を維持できるようになっている。このように電池モジュール1000を押圧するように押さえ板1260が作用するので、蓄電装置1300の耐振動性・耐衝撃性を担保することが可能となる。
【0130】
押さえ板1260は、底板1210及び天板1220のいずれにも接触しないような設計とすることが好ましい。これは、底板1210と押さえ板1260との間の空間、及び天板1220と押さえ板1260との間の空間が開口となり、空気の流れるが遮られることなく、電池モジュール1000・バッテリー管理回路ユニット1100の温度上昇が抑制されるからである。
【0131】
また、押さえ板1260は、底板1210及び天板1220の中間の仮想面Pが横切るように配置されるとよい。
図28はこのような仮想面Pを点線によって示す図である。前記のように押さえ板1260が配置されていると、上下方向からみた電池モジュール1000の重心を押さえ板1260によって支持することとなり、効率的に蓄電装置1300に対し耐振動性・耐衝撃性を付与することができるからである。
【0132】
以上、本発明に係る蓄電装置1300においては、電池モジュール1000がガイド部材にガイドされて脱着できるようになっており、さらに、コネクタによる結線が可能とされている。さらに、背面板1250のコネクタと電池モジュール1000のコネクタとが嵌合する方向に、電池モジュール1000を押圧する押さえ板1260が設けられているので、本発明に係る蓄電装置1300によれば、電池モジュール1000の交換容易性を実現すると共に、蓄電装置の耐振動性・耐衝撃性を担保することが可能となる。
【0133】
本発明は、近年、クリーンエネルギーの蓄電の分野において、用途が急速に拡大しているリチウムイオン電池等の電池モジュールからなる蓄電装置に関するものである。蓄電装置は、単位電池や電池モジュールの交換容易性に加え、振動や衝撃に対して所定以上強い必要がある。ところが、従来、蓄電装置における単位電池や電池モジュールの交換容易性を実現することと、蓄電装置の耐振動性・耐衝撃性を担保することは背反する事象であり、双方を両立することは困難であった。これに対して、本発明に係る蓄電装置においては、電池モジュールがガイド部材にガイドされて脱着できるようになっており、さらに、コネクタによる結線が可能とされている。さらに、背面板のコネクタと電池モジュールのコネクタとが嵌合する方向に、電池モジュールを押圧する押さえ板が設けられているので、本発明に係る蓄電装置によれば、電池モジュールの交換容易性を実現すると共に、蓄電装置の耐振動性・耐衝撃性を担保することが可能となり、産業上の利用性が非常に大きい。