特許第6233895号(P6233895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6233895無線中継装置、データ送信方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233895
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】無線中継装置、データ送信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20171113BHJP
   H04W 48/10 20090101ALI20171113BHJP
   H04W 8/22 20090101ALI20171113BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20171113BHJP
【FI】
   H04W28/06 110
   H04W48/10
   H04W8/22
   H04W84/12
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-111402(P2015-111402)
(22)【出願日】2015年6月1日
(65)【公開番号】特開2016-225873(P2016-225873A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2016年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】菊川 義人
【審査官】 ▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−296243(JP,A)
【文献】 Santosh Abraham,Short Beacon, IEEE 802.11-12/0129r1,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/12/11-12-0129-02-00ah-short-beacon.pptx>,2012年 1月,Slides 1-14
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報要素のそれぞれについて、予め定められた判定基準に従ってビーコンフレームに設定するか否かを判定する判定部と、
前記判定部において設定すると判定された情報要素を用いてビーコンフレームを生成するフレーム生成部と、
前記フレーム生成部において生成されたビーコンフレームを通信端末へ送信する通信部と、
自装置へ帰属している通信端末が、前記フレーム生成部において生成されるサイズが縮小されたビーコンフレームを処理することができるか否かに関する情報を管理する無線情報管理部と、を備え、
前記フレーム生成部は、
自装置へ帰属している全ての通信端末のうち、1以上の通信端末が、前記フレーム生成部において生成されるサイズが縮小されたビーコンフレームを処理することができない場合、ビーコンフレームに設定し得る全ての情報要素を用いてビーコンフレームを生成する、無線中継装置。
【請求項2】
前記判定部は、
複数の情報要素のそれぞれについて、前記通信端末が自装置へ帰属するために必要な情報要素もしくは前記通信端末が自装置へ帰属している状態を維持するために必要な情報要素である場合、ビーコンフレームに設定すると判定する、請求項1に記載の無線中継装置。
【請求項3】
前記判定部は、
自装置が動作を継続している間、固定値として用いられる情報要素をビーコンフレームに設定しないと判定する、請求項2に記載の無線中継装置。
【請求項4】
前記判定部は、
自装置が動作を継続している間、動的に変更されうる情報要素であって、前記動的に変更され得る情報要素が、前回ビーコンフレームに設定した時と同じ内容である場合、ビーコンフレームに設定しないと判定する、請求項2又は3に記載の無線中継装置。
【請求項5】
無線中継装置へ帰属している通信端末が、サイズが縮小されたビーコンフレームを処理することができるか否かを判定し、
前記無線中継装置へ帰属している全ての通信端末のうち、1以上の通信端末が、サイズが縮小されたビーコンフレームを処理することができない場合、ビーコンフレームに設定し得る全ての情報要素を用いてビーコンフレームを生成し、
前記無線中継装置へ帰属している全ての通信端末が、サイズが縮小されたビーコンフレームを処理することができる場合、複数の情報要素のそれぞれについて、予め定められた判定基準に従ってビーコンフレームに設定するか否かを判定し、
ビーコンフレームに設定すると判定された情報要素を用いてビーコンフレームを生成し、
生成されたビーコンフレームを通信端末へ送信するデータ送信方法。
【請求項6】
前記予め定められた判定基準に従ってビーコンフレームに設定するか否かを判定する際に、
複数の情報要素のそれぞれについて、前記通信端末が自装置へ帰属するために必要な情報要素もしくは前記通信端末が自装置へ帰属している状態を維持するために必要な情報要素である場合、ビーコンフレームに設定すると判定する、請求項に記載のデータ送信方法。
【請求項7】
前記予め定められた判定基準に従ってビーコンフレームに設定するか否かを判定する際に、
自装置が動作を継続している間、固定値として用いられる情報要素をビーコンフレームに設定しないと判定する、請求項に記載のデータ送信方法。
【請求項8】
前記予め定められた判定基準に従ってビーコンフレームに設定するか否かを判定する際に、
自装置が動作を継続している間、動的に変更されうる情報要素であって、前記動的に変更され得る情報要素が、前回ビーコンフレームに設定した時と同じ内容である場合、ビーコンフレームに設定しないと判定する、請求項又はに記載のデータ送信方法。
【請求項9】
無線中継装置へ帰属している通信端末が、サイズが縮小されたビーコンフレームを処理することができるか否かを判定し、
前記無線中継装置へ帰属している全ての通信端末のうち、1以上の通信端末が、サイズが縮小されたビーコンフレームを処理することができない場合、ビーコンフレームに設定し得る全ての情報要素を用いてビーコンフレームを生成し、
前記無線中継装置へ帰属している全ての通信端末が、サイズが縮小されたビーコンフレームを処理することができる場合、複数の情報要素のそれぞれについて、予め定められた判定基準に従ってビーコンフレームに設定するか否かを判定し、
ビーコンフレームに設定すると判定された情報要素を用いてビーコンフレームを生成し、
生成されたビーコンフレームを通信端末へ送信することを無線中継装置に搭載されているコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線中継装置、データ送信方法及びプログラムに関し、特にビーコンフレームを送信する無線中継装置、データ送信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やゲーム機等、無線子機機能を有する無線機器を、無線アクセスポイントと無線LAN(Local Area Network)接続する技術が広く用いられている。無線LAN通信は、無線アクセスポイントと無線子機が特定の周波数帯の電波を利用することによって行われる。無線子機は、無線アクセスポイントから送信される電波が届く範囲に位置していれば、どこでもネットワークに接続出来る。
【0003】
特許文献1には、通信端末が、無線アクセスポイントから送信されたビーコンフレームと、存在通知フレームとを受信することによって、無線アクセスポイントへ接続することが記載されている。存在通知フレームは、ビーコンフレームよりもデータ量が少なく、無線アクセスポイントを識別可能な情報を含む。
【0004】
一般的に、無線アクセスポイントは、ユーザーが自宅に設置して使用するもの、外出先でも使用出来るモバイル機能を有したもの、飲食店や公共施設で誰もが利用可能なもの等がある。しかしアクセスポイントの利用数増加により、広範囲での無線LAN接続が可能になった一方、電波環境が混雑化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−159108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、無線アクセスポイントが、自装置へ通信端末が接続するために必要な情報を含むビーコンフレームを定期的に送信することが記載されている。しかし、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11nもしくはIEEE802.11ac等の新しい無線LAN通信規格が規定されるたびに、ビーコンフレームに設定する情報要素が増加している。そのため、ビーコンフレームのデータ量が増加している。データ量が増加したビーコンフレームが、定期的に送信されることによって、無線帯域の利用効率が低下するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、ビーコンフレームを送信する際に、無線帯域の利用効率の低下を抑えることができる無線中継装置、データ送信方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様にかかる無線中継装置は、複数の情報要素のそれぞれについて、予め定められた判定基準に従ってビーコンフレームに設定するか否かを判定する判定部と、前記判定部において設定すると判定された情報要素を用いてビーコンフレームを生成するフレーム生成部と、前記フレーム生成部において生成されたビーコンフレームを通信端末へ送信する通信部と、を備えるものである。
【0009】
本発明の第2の態様にかかるデータ送信方法は、複数の情報要素のそれぞれについて、予め定められた判定基準に従ってビーコンフレームに設定するか否かを判定し、ビーコンフレームに設定すると判定された情報要素を用いてビーコンフレームを生成し、生成されたビーコンフレームを通信端末へ送信するものである。
【0010】
本発明の第3の態様にかかるプログラムは、複数の情報要素のそれぞれについて、予め定められた判定基準に従ってビーコンフレームに設定するか否かを判定し、ビーコンフレームに設定すると判定された情報要素を用いてビーコンフレームを生成し、生成されたビーコンフレームを通信端末へ送信することをコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、ビーコンフレームを送信する際に、無線帯域の利用効率の低下を抑えることができる無線中継装置、データ送信方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかる無線中継装置の構成図である。
図2】実施の形態2にかかるビーコンフレームを示す図である。
図3】実施の形態2にかかるビーコンフレームのFrame bodyに設定され得る複数のIEを3つのグループに分類したことを示す図である。
図4】実施の形態2にかかるビーコンフレームの生成処理の流れを示す図である。
図5】実施の形態2にかかるビーコンフレームの生成処理が実行された結果、生成されたビーコンフレームを示す図である。
図6】実施の形態2にかかる実施の形態2にかかるビーコンフレームの生成処理が実行された結果、生成されたビーコンフレームを示す図である。
図7】実施の形態3にかかる無線中継装置の構成図である。
図8】実施の形態3にかかるビーコンフレームの生成処理の流れを示す図である。
図9】実施の形態3にかかるビーコンフレームの生成処理の流れを示す図である。
図10】実施の形態3にかかるVender Specific IEを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。はじめに、図1を用いて本発明の実施の形態1にかかる無線中継装置10の構成例について説明する。無線中継装置10は、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することによって動作するコンピュータ装置であってもよい。無線中継装置10は、例えば、無線LAN(Local Area Network)通信におけるアクセスポイントであってもよい。もしくは、無線中継装置10は、モバイル通信における基地局であってもよい。
【0014】
無線中継装置10は、判定部11、フレーム生成部12及び通信部13を有している。判定部11、フレーム生成部12及び通信部13は、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することによって処理が実行されるソフトウェアもしくはモジュール等であってもよい。または、判定部11、フレーム生成部12及び通信部13は、回路もしくはチップ等のハードウェアによって構成されてもよい。
【0015】
判定部11は、複数の情報要素(Information Entity:IE)のそれぞれについて、予め定められた判定基準に従ってビーコンフレームに設定するか否かを判定する。複数の情報要素は、ビーコンフレームに設定され得る情報要素である。情報要素は、ビーコンフレームの所定の領域に設定される。予め定められた判定基準は、一つであってもよく、複数であってもよい。判定基準に関する情報は、無線中継装置10内のメモリに保持されてもよく、無線中継装置10と接続する他のコンピュータ装置等において保持されてもよい。
【0016】
ビーコンフレームは、無線中継装置10から、無線中継装置10が形成する通信エリア内に位置する通信端末へ送信される制御信号である。ビーコンフレームは、例えば、無線中継装置10が形成する通信エリア内に位置する通信端末に対して、無線中継装置10の存在を報知するために用いられる。ビーコンフレームには、無線中継装置10が形成する通信エリア内に位置する通信端末が、無線中継装置10へ帰属もしくは接続するために必要な情報が設定されてもよい。ビーコンフレームは、パイロット信号もしくは参照信号等と称されてもよい。
【0017】
フレーム生成部12は、判定部11において設定すると判定された情報要素を用いてビーコンフレームを生成する。言い換えると、フレーム生成部12は、ビーコンフレームに設定し得る全ての情報要素をビーコンフレームに設定せずに、ビーコンフレームに設定し得る全ての情報要素の内、一部の情報要素をビーコンフレームに設定してもよい。つまり、フレーム生成部12は、フレーム長を可変とするビーコンフレームを生成する。
【0018】
通信部13は、フレーム生成部12において生成されたビーコンフレームを通信端末20へ送信する。通信部13は、通信端末20との間に設定された無線通信回線を介してビーコンフレームを通信端末20へ送信する。無線通信回線は、例えば、無線LAN(Local Area Network)通信方式を用いた無線LAN通信回線であってもよい。もしくは、無線通信回線は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)において規定されたLTE(Long Term Evolution)であってもよい。
【0019】
無線LAN通信方式は、例えば、IEEE802.11a、IEEE802.11g、IEEE802.11nもしくはIEEE802.11ac等であってもよく、その他の規格に定められた方式であってもよい。
【0020】
無線中継装置10は、通信端末20との間に無線LAN通信回線を設定する場合、親機として動作する。また、通信端末20は、子機として動作する。親機としての動作は、例えば、子機に関する認証処理を実行し、子機が親機に帰属することを許可するか否かを判定する処理であってもよい。
【0021】
通信端末20は、例えば、スマートフォン、携帯電話端末、タブレット型端末、もしくは通信機能を有するパーソナルコンピュータ等であってもよい。言い換えると、通信端末20は、プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することによって動作するコンピュータ装置であってもよい。通信端末20は、無線中継装置10から送信されたビーコンフレームを用いて、無線中継装置10へ帰属するための処理を実行する。通信端末20は、無線中継装置10へ帰属することによって、無線中継装置10を介してインターネット上の通信装置もしくはサーバ装置等と通信することができる。
【0022】
また、図1においては、無線中継装置10に一台の通信端末20が帰属している様子を示しているが、複数台の通信端末20が無線中継装置10に帰属してもよい。
【0023】
以上説明したように、無線中継装置10は、ビーコンフレームの送信において、フレーム長の異なるビーコンフレームを生成することができる。言い換えると、無線中継装置10は、ビーコンフレームを送信するたびに、フレーム長の異なるビーコンフレームを生成することができる。具体的には、無線中継装置10は、ビーコンフレームに設定し得る複数の情報要素について、予め定められた判定基準に従って、ビーコンフレームに設定するか否かを判定することができる。そのため、ビーコンフレームに設定しないと判定した情報要素の分だけ、ビーコンフレームのフレーム長が短くなる。
【0024】
無線中継装置10は、自装置が形成する通信エリア内の通信端末20に対して自装置の存在を通知するため、定期的にビーコンフレームを送信する必要がある。そのため、無線中継装置10を用いて、ビーコンフレームのフレーム長を短くするように情報要素をビーコンフレームに設定することによって、ビーコンフレームを送信するために用いられる無線通信回線の容量を減少させることができる。その結果、無線中継装置10を用いることによって、ビーコンフレームに設定し得る全ての情報要素を設定したビーコンフレームを定期的に送信する場合と比較して、無線帯域の利用効率を向上させることができる。
【0025】
(実施の形態2)
続いて、図2を用いて本発明の実施の形態2にかかるビーコンフレームの構成を説明する。図2のビーコンフレームは、例えば、IEEE802.11n等の無線LAN通信に用いられるビーコンフレームの構成を示している。
【0026】
図2に示されるように、ビーコンフレームは、Preamble、Mac header、Frame body及びFCS(Flame Check Sequence)から構成される。さらに、Frame bodyには、複数のIEが設定される。複数のIEは、例えば、Timestamp、Beacon Interval、Capability Information、SSID(Service Set Identifier)、Supported Rate、DS(Direct Sequence) Parameter、Traffic Indication Map、Country、HT(High Throughput) Operation、VHT(Very High Throughput) Operation、WMM(Wifi Multimedia)、Vender Specific及びRSN(Robust Security Network)等であってもよい。
【0027】
続いて、図3を用いて、ビーコンフレームのFrame bodyに設定され得る複数のIEが分類された3つのグループについて説明する。図3に示されるように、ビーコンフレームに設定され得る複数のIEは、常時付与、動的付与及び削減可能、の3つのグループもしくは3つのパターンに分類される。常時付与に分類されるIEは、常にビーコンフレームに設定されるIEである。例えば、常時付与に分類されるIEは、通信端末20が無線中継装置10に帰属するため、通信端末20が無線中継装置10に帰属している状態を維持するため、もしくは、通信端末20が無線中継装置10とデータを送受信するために必要なIEである。例えば、通信端末20は、無線中継装置10へ帰属する際に、無線中継装置10を識別するSSIDを受信することによって、無線中継装置10の存在を確認することができる。つまり、通信端末20が無線中継装置10へ帰属するために、通信端末20は、SSIDを受信することが必ず必要となる。そのため、SSIDは、常時付与のグループに分類されている。
【0028】
動的付与に分類されるIEは、必要に応じてビーコンフレームに設定されるIEである。例えば、動的付与に分類されるIEは、常時付与に分類されたIE以外のIEであって、無線中継装置10の動作が継続中に、管理者等によって設定変更され得るIEもしくは自律的に変更され得るIEである。
【0029】
例えば、無線中継装置10を管理する管理者等によって、無線中継装置10が適用するセキュリティ方式、もしくはセキュリティパラメータ等が変更されることがある。この場合、セキュリティ情報が設定されるRSNは、セキュリティ方式等が変更された場合に、ビーコンフレームに設定されてもよい。そのため、RSNは、動的付与のグループに分類されている。
【0030】
つまり、動的付与に分類されるIEは、常にビーコンフレームに設定されるのではなく、例えば、前回ビーコンフレームに設定された内容と異なる内容に更新されている場合にビーコンフレームに設定されてもよい。
【0031】
動的付与に分類されるIEは、通信端末20が無線中継装置10に帰属した後に、ビーコンフレームとは異なる制御信号にて、通信端末20へ送信されてもよい。
【0032】
さらに、動的付与に分類されるIEは、子機である通信端末20が、情報の取得を目的として送信するProbe Requestに対する応答メッセージであるProbe Responseに設定されてもよい。もしくは、動的付与に分類されるIEは、通信端末20が無線中継装置10に帰属する際の帰属シーケンス中に通信端末20へ送信されるメッセージであって、無線中継装置10の対応機能情報等を設定するAssociation Responseに設定されてもよい。
【0033】
削減可能に分類されるIEは、ビーコンフレームへの設定が不要とみなされるIEである。例えば、削減可能に分類されるIEは、常時付与及び動的付与に分類されたIE以外のIEであって、無線中継装置10の動作が継続中に、固定値として用いられるIEである。言い換えると、削減可能に分類されるIEは、変更されない、もしくは、変更される場合は無線中継装置10の動作の中断を伴うIEである。削減可能に分類されるIEは、通信端末20が無線中継装置10に帰属した後に、ビーコンフレームとは異なる制御信号にて、通信端末20へ送信されてもよい。
【0034】
例えば、削除可能に分類されるIEは、子機である通信端末20が、情報の取得を目的として送信するProbe Requestに対する応答メッセージであるProbe Responseに設定されてもよい。もしくは、削除可能に分類されるIEは、通信端末20が無線中継装置10に帰属する際の帰属シーケンス中に通信端末20へ送信されるメッセージであって、無線中継装置10の対応機能情報等を設定するAssociation Responseに設定されてもよい。
【0035】
つまり、Probe Response及びAssociation Responseには、ビーコンフレームに設定し得る全てのIEが設定されるようにしてもよい。
【0036】
図3が示す、3つのグループとそれぞれのグループに分類されたIEとの関係を示す情報は、例えば、無線中継装置10内のメモリ等に保持されてもよい。もしくは、3つのグループとそれぞれのグループに分類されたIEとの関係を示す情報は、無線中継装置10とは異なる他のサーバ装置等において保持されてもよい。
【0037】
また、動的付与及び削除可能に分類されるIEは、全てのビーコンフレームに設定されるのではなく、定期的もしくは任意のタイミングに、ビーコンフレームに設定されてもよい。例えば、ビーコンフレームを5回送信する間の任意の1回に動的付与及び削除可能に分類されるIEをビーコンフレームに設定してもよい。もしくは、動的付与に分類されるIEをビーコンフレームに設定する回数は、削除可能に分類されるIEをビーコンフレームに設定する回数よりも多くしてもよい。
【0038】
続いて、図4を用いて本発明の実施の形態2にかかるビーコンフレームの生成処理の流れについて説明する。はじめに、判定部11は、ビーコンフレームに設定し得る複数のIEのなかから一つのIEを選択する(S11)。ビーコンフレームに設定し得る複数のIEは、例えば、図2のFrame bodyに設定されるIEとして示されるIEである。
【0039】
次に、判定部11は、選択中のIEが、常時付与に分類されたIEであるか否かを判定する(S12)。例えば、判定部11は、無線中継装置10内のメモリから図3に示す情報を抽出し、選択したIEが常時付与に分類されたIEに含まれているか否かを判定してもよい。
【0040】
フレーム生成部12は、ステップS12において、判定部11によって選択中のIEが常時付与に分類されたIEであると判定された場合、選択中のIEをビーコンフレームに設定する(S13)。次に、判定部11は、ステップS11において選択されていない未選択のIEが存在するか否かを判定する(S14)。未選択のIEが存在しない場合、処理を終了する。未選択のIEが存在する場合、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0041】
ステップS12において、判定部11は、選択中のIEが常時付与に分類されたIEではないと判定した場合、選択中のIEが動的付与に分類されたIEであるか否かを判定する(S15)。判定部11は、選択中のIEが動的付与に分類されたIEではないと判定した場合、ステップS14以降の処理を実行する。つまり、選択中のIEが動的付与に分類されたIEではない場合、選択中のIEは、削除可能に分類されたIEとなる。そのため、選択中のIEが削除可能に分類されたIEである場合、ビーコンフレームに選択中のIEを設定するステップS13の処理が実行されず、ステップS14以降の処理が実行される。
【0042】
ステップS15において、判定部11は、選択中のIEが動的付与に分類されたIEであると判定した場合、選択中のIEに設定された情報が更新されているか否かを判定する。(S16)。例えば、判定部11は、前回にステップS13においてビーコンフレームに設定された際のIEの情報と比較して選択中のIEに設定された情報が更新されているか否かを判定してもよい。もしくは、判定部11は、前回以前に、ステップS13においてビーコンフレームに設定された際のIEの情報と比較して選択中のIEに設定された情報が更新されているか否かを判定してもよい。
【0043】
ステップS16において、判定部11によって選択中のIEに設定された情報が更新されていると判定された場合、ステップS13以降の処理を実行する。判定部11は、ステップS16において、選択中のIEに設定された情報が更新されていないと判定した場合、ステップS14以降の処理を実行する。
【0044】
続いて、図5を用いて、図4に示すビーコンフレームの生成処理が実行された結果、生成されたビーコンフレームの構成について説明する。図5に示すビーコンフレームは、図4に示すビーコンフレームの生成処理において、動的付与に分類されたIEがビーコンフレームに設定されなかった場合のフレーム構成を示している。この場合、図5に示すように、Frame bodyには、常時付与に分類されたIEのみが設定される。
【0045】
続いて、図6を用いて、図4に示すビーコンフレームの生成処理が実行された結果生成されたビーコンフレームの構成について説明する。図6に示すビーコンフレームは、図4に示すビーコンフレームの生成処理において、動的付与に分類されたIEのうち、いくつかのIEがビーコンフレームに設定された場合のフレーム構成を示している。図6においては、動的付与に分類されたIEのうち、HT Operation、VHT Operation及びRSNがビーコンフレームに設定されたことを示している。
【0046】
ここで、通信端末20がビーコンフレームを受信した際の動作について説明する。例えば、無線中継装置10及び通信端末20は、予め、常時付与に分類されたIEに関する情報を共有していてもよい。これによって、通信端末20は、ビーコンフレームのA番目のビットからB番目までのビットまでに常時付与に分類されたIEが設定されることを予め認識してもよい(A及びBは、自然数とする)。常時付与に分類されたIEが設定される位置を予め認識することによって、通信端末20は、ビーコンフレームを受信した際に、常時付与に分類されたIEが設定されている領域を特定し、特定した領域から無線中継装置10へ帰属するために必要なIEを抽出することができる。
【0047】
さらに、常時付与に分類されたIEが設定されている領域の次のビット以降の領域に動的付与に分類されたIEが設定されていることが予め定められており、通信端末20と無線中継装置10とが、動的付与に分類されたIEに関する情報を共有してもよい。これによって、通信端末20は、動的付与に分類されたIEの領域を特定し、特定した領域から動的付与に分類されたIEを抽出することができる。
【0048】
また、ビーコンフレームのFrame bodyに、常時付与に分類されたIEのみが設定されているか、もしくは、動的付与に分類されたIEも設定されているかを示す情報を、MAC headerもしくはFrame bodyの先頭等に設定してもよい。通信端末20は、ビーコンフレームを受信した際に、常時付与に分類されたIEのみが設定されているか、もしくは、動的付与に分類されたIEも設定されているかを示す情報を確認することによって、探索すべき領域を特定することができる。例えば、常時付与に分類されたIEのみが設定されているとの情報が設定されている場合、通信端末20は、動的付与に分類されたIEを抽出するための処理を省略することができる。
【0049】
また、フレーム生成部12は、ビーコンフレームに設定したIEの設定場所を示すビットマップ情報等をビーコンフレームのいずれかの領域に設定してもよい。これによって、フレーム生成部12が異なるフレーム長のビーコンフレームを生成したとしても、通信端末20は、ビットマップ情報を用いることによって、ビーコンフレームに設定されたIEの位置を特定し、抽出することができる。
【0050】
以上説明したように、本発明の実施の形態2にかかる無線中継装置10は、無線中継装置10に対する通信端末20の帰属、帰属している状態の維持、もしくは、データの送受信に不要なIEを、ビーコンフレームから削除することができる。そのため、無線中継装置10は、定期的に送信するビーコンフレームのサイズを縮小することができるため、無線利用効率を改善することができる。
【0051】
また、ビーコンフレームのサイズを縮小することによって、ビーコンフレームの送信時間を短縮することができる。そのため、無線中継装置10が、ビーコンフレームを送信する際の消費電力を低減させることができる。
【0052】
(実施の形態3)
続いて、図7を用いて本発明の実施の形態3にかかる無線中継装置30の構成例について説明する。無線中継装置30は、図1の無線中継装置10に無線情報管理部31を追加した構成である。無線中継装置30における判定部11、フレーム生成部12及び通信部13は、図1の無線中継装置10と同様であるため詳細な説明を省略する。
【0053】
無線情報管理部31は、無線中継装置30に帰属している1以上の通信端末20が、フレーム生成部12において生成されるサイズが縮小されたビーコンフレームを受信することができるか否かに関する情報を有している。
【0054】
フレーム生成部12が生成する、サイズを縮小したビーコンフレームは、IEEE802.11n等において策定されたビーコンフレームの構成と異なる。そのため、無線中継装置30は、フレーム生成部12において生成されるサイズが縮小されたビーコンフレームを受信することができない通信端末20が無線中継装置30に帰属している場合、サイズを縮小しない通常のビーコンフレームを送信する。通常のビーコンフレームは、IEEE802.11n等において策定されているビーコンフレームである。
【0055】
続いて、図8及び図9を用いて本発明の実施の形態3にかかるビーコンフレームの生成処理の流れについて説明する。図8及び図9においては、不要なIEを削除し、縮小したフレームサイズのビーコンフレームを処理することができない通信端末20が存在する場合を考慮した無線中継装置30の処理について説明する。
【0056】
はじめに、親機である無線中継装置30は、子機である通信端末20が自装置に帰属したことを検出する(S21)。ステップS21においては、無線中継装置30は、通常のビーコンフレームを送信しているとする。そのため、縮小したビーコンフレームを処理することができない通信端末20も、縮小したビーコンフレームを処理することができる通信端末20も無線中継装置30に帰属することができる。また、無線中継装置30は、通常のビーコンフレームのVender Specific IEに、縮小したビーコンフレームを生成する機能(以下、縮小ビーコンフレーム生成機能と称する)に対応していることを示す情報を設定する。
【0057】
ここで、図10を用いて、Vender Specific IEについて説明する。図10は、Vender Specific IEの構成を示している。Element IDには、Vender Specific IEを示すID情報が設定される。lengthには、Vender Specific IEのサイズを示す情報が示されている。Frame bodyは、3byteのOUI、1byteのOUI Type及び1byteのInformationが設定される。OUIには、ベンダーを識別する情報が設定され、OUI Typeには、どのような情報を設定するかを識別する情報が設定されてもよい。Informationに、縮小ビーコンフレーム生成機能に対応しているか否かを示す情報が設定されてもよい。例えば、Informationの先頭ビットに1が設定されている場合、無線中継装置30が縮小ビーコンフレーム生成機能に対応していることを示し、Informationの先頭ビットに0が設定されている場合、無線中継装置30が縮小ビーコンフレーム生成機能に対応していないことを示してもよい。また、Informationの先頭1ビット以外のビットについては、他の情報を示すために予め予約されている領域であってもよい。また、縮小ビーコンフレーム生成機能に対応しているか否かを示す情報は、先頭ビット以外のビットに設定されてもよい。
【0058】
図8に戻り、無線中継装置30の通信部13は、通信端末20から送信されたAssociation Requestメッセージを受信する(S22)。通信端末20は、無線中継装置30に帰属している通信端末である。無線中継装置30から通信端末20へ送信された通常ビーコンフレームのVender Specific IEに、縮小ビーコンフレーム生成機能に対応していることが示されている場合、通信端末20は、自装置が縮小ビーコンフレーム生成機能に対応しているか否かを示す情報を設定したAssociation Requestメッセージを無線中継装置30へ送信する。
【0059】
例えば、通信端末20は、Association Requestに、図10に示すVender Specific IEを設定してもよい。通信端末20は、縮小ビーコンフレームを処理することができる場合、Informationの先頭ビットに1を設定し、縮小ビーコンフレームを処理することができない場合、Informationの先頭ビットに0を設定してもよい。
【0060】
無線中継装置30に複数の通信端末20が帰属している場合、無線中継装置30は、複数の通信端末20から送信されたAssociation Requestメッセージを受信する。通信部13は、それぞれの通信端末20から送信されたAssociation Requestに設定されているInformationの先頭ビットを確認する。さらに、通信部13は、それぞれの通信端末20が、縮小ビーコンフレームを処理することができるか否かに関する情報を無線情報管理部31へ出力する。
【0061】
次に、無線中継装置30の判定部11は、無線情報管理部31において管理されている情報を用いて、無線中継装置30に帰属している全ての通信端末20が、縮小ビーコンフレームを処理することができるか否かを判定する(S23)。通信端末20が縮小ビーコンフレームを処理することができるとは、縮小ビーコンフレームに設定された情報を正常に読み出すことができることであってもよい。
【0062】
判定部11は、全ての通信端末20が、縮小ビーコンフレームを処理することができると判定した場合、図9のステップS11以降の処理を実行する。図9に示すステップS11〜S16は、図4に示すステップS11〜S16と同様である。そのため、図9に示すステップS11〜S16に関する詳細な説明を省略する。
【0063】
判定部11において、縮小ビーコンフレームを処理することができない通信端末20が無線中継装置30に帰属していると判定された場合、フレーム生成部12は、ビーコンフレームに設定し得る全てのIEを設定した通常のビーコンフレームを生成する(S24)。フレーム生成部12は、通常のビーコンフレームを設定すると、処理を終了する。
【0064】
以上説明したように、図8及び図9の処理を実行することによって、無線中継装置30は、通常のビーコンフレームを送信し、1以上の通信端末20が自装置に帰属した場合、1以上の通信端末20が自装置への帰属を維持するために用いるビーコンフレーム、もしくは、1以上の通信端末20がデータの送受信を行うために必要なビーコンフレームとして、サイズを縮小したビーコンフレームを送信するか否かを判定することができる。無線中継装置30は、縮小したビーコンフレームを処理することができない通信端末20が自装置に帰属している場合、通常のビーコンフレームを送信する。
【0065】
これより、無線中継装置30には、縮小したビーコンフレームを処理することができない通信端末20も帰属することができる。そのため、現在、数多く存在する縮小したビーコンフレームを処理することができない通信端末20に機能追加を強いることなく新たに無線中継装置30を導入することもできる。
【0066】
また、縮小したビーコンフレームを処理することができる通信端末20のみが無線中継装置30に帰属している場合、通信端末20は、縮小されたビーコンフレームを受信することができる。この場合、通信端末20における消費電力が削減されるという効果を奏する。
【0067】
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、無線中継装置10もしくは無線中継装置30における処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0068】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0069】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 無線中継装置
11 判定部
12 フレーム生成部
13 通信部
20 通信端末
30 無線中継装置
31 無線情報管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10