特許第6233896号(P6233896)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6233896
(24)【登録日】2017年11月2日
(45)【発行日】2017年11月22日
(54)【発明の名称】クレンジング化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/39 20060101AFI20171113BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20171113BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20171113BHJP
【FI】
   A61K8/39
   A61K8/37
   A61Q1/14
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-160737(P2015-160737)
(22)【出願日】2015年8月18日
(65)【公開番号】特開2016-44180(P2016-44180A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2016年11月28日
(31)【優先権主張番号】特願2014-167031(P2014-167031)
(32)【優先日】2014年8月20日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501304836
【氏名又は名称】ホシケミカルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136560
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊晴
(72)【発明者】
【氏名】川上 雅夫
【審査官】 松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−127342(JP,A)
【文献】 特開2008−195626(JP,A)
【文献】 特開2013−014540(JP,A)
【文献】 特開2009−057350(JP,A)
【文献】 特開2007−137847(JP,A)
【文献】 特開2009−035498(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/047743(WO,A1)
【文献】 特開2013−14539(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/052674(WO,A1)
【文献】 特開2006−22004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルおよび(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10よりなる群から選ばれる1種以上と、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルと、(C)水とを含有し、
前記(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルおよび(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10よりなる群から選ばれる1種以上の含有量が0.1〜10.0質量%であり、
前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.1〜10.0質量%であり、
前記(C)水の含有量が80質量%以上であり、
前記(A)中のジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルが、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールおよびコハク酸ビスエトキシジグリコールよりなる群から選ばれる1種以上であり、
前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルがモノ脂肪酸デカグリセリルであることを特徴とするクレンジング化粧料。
【請求項2】
前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルがモノラウリン酸デカグリセリルである請求項1記載のクレンジング化粧料。
【請求項3】
さらに、(D)多価アルコールおよびヒドロキシエチルウレアよりなる群から選ばれる1種以上を含有する請求項1または2に記載のクレンジング化粧料。
【請求項4】
さらに、(E)噴射剤を含有する請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のクレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関し、特に、刺激が少なく、クレンジング効果の優れた化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファンデーションやメイクアップ化粧料は、美しく装うだけでなく、汗や皮脂による化粧くずれを起こさないことが求められ、皮膚への密着が良好なファンデーションやメイクアップ化粧料が、消費者から強い支持を受けている。そのため、それらのファンデーションやメイクアップ化粧料は非常に落とし難く、かかる化粧料をきれいに落とすための強力なクレンジング力が必要とされていた。
【0003】
そこで、皮膚上の汚れやファンデーションおよびメイクアップ化粧料を除去するクレンジング化粧料としては、ふき取りタイプとして、オイル状、水中油型もしくは油中水型のエマルションのクリームや乳液状、また、洗い流すタイプとして、界面活性剤中油型エマルションのゲル状、親水性非イオン界面活性剤からなる液晶構造体を利用したクレンジング化粧料、両性界面活性剤を配合したクレンジング用組成物等が提案されていた。
【0004】
しかしながら、上記ふき取りタイプのクレンジング化粧料は、汚れは速やかに溶質するものの、ふき取りという操作が皮膚を痛める原因となったり、せっかく溶質した汚れをふき取りという操作で再度皮溝や毛穴に残してしまうという問題点があった。また、クレンジング化粧料のオイル成分等が皮膚に残るなど、皮膚刺激の原因になるという問題点があった。さらに、洗い流しタイプのクレンジング化粧料は、クレンジング力に優れはするものの、界面活性剤の量が非常に多いため、強い皮膚刺激の原因となるという問題点があった。そのため、低刺激で、感触の良好なクレンジング化粧料が求められていた。
【0005】
そこで、特許文献1には、油剤、非イオン性界面活性剤、低級アルコール及び多価アルコールを含有する半透明化粧料で、非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルである半透明化粧料が、開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、(1)グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、及びソルビタン脂肪酸エステルから選択された1種又は2種以上からなる、HLB値が7以上12以下である非イオン界面活性剤、(2)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルから選択された1種又は2種以上からなる、HLB値が12以上である非イオン界面活性剤、(3)多価アルコール、及び(4)水を含有してなり、前記非イオン界面活性剤(1)と非イオン界面活性剤(2)との配合割合が質量比で10/90〜60/40の範囲内であって、前記水の含有量が65〜96質量%であるクレンジング化粧料が、開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、(A)水、(B)ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、(C)コハク酸ジエトキシエチル、(D)ポリエーテル変性シリコーン、並びに(E)直鎖状シリコーンおよび/又は環状シリコーンを含有してなる水性クレンジング化粧料が、開示されている。
【0008】
さらにまた、特許文献4には、(A)水70〜95重量%、(B)多価アルコール(C)ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、(D)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、(E)ポリビニルピロリドン、ポリオキシアルキレンジグリセリルエーテル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、コハク酸ジエトキシエチル、シクロヘキサン−1.4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールから選ばれる1種以上を含有してなる洗い流さないクレンジング化粧水組成物が、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−342116号公報
【特許文献2】特開2013−112633号公報
【特許文献3】特開2011−126805号公報
【特許文献4】特開2012−214406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術は、保湿効果は有するものの、クレンジング力は弱く、クレンジング化粧料として使用できるものではなかった。また、特許文献2に記載されている技術は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル等の界面活性剤を必須成分とするため、クレンジング力はあるものの、界面活性剤の量や種類を多く添加するため、界面活性剤が肌にあわない人が使用できず、しかも高コストになるという問題点があった。
【0011】
さらに、特許文献3に記載されている技術は、(D)ポリエーテル変性シリコーンと(E)直鎖状シリコーンおよび/又は環状シリコーンを必須とするものであり、近年の環境や肌への負担を考慮したノンシリコンに反するものであり、その改良が望まれていた。さらにまた、特許文献4に記載されている技術は、(D)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルを必須成分とするため、クレンジング力はあるものの、まだまだ皮膚刺激があり、目への刺激も含め、改良の余地を有するものであった。
【0012】
そこで、本発明の目的は、前記の従来技術の問題点を解決し、刺激が少なく、クレンジング効果の優れた化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定のエステルと特定の界面活性剤を組合せることによって、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明のクレンジング化粧料は、(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルおよび(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10よりなる群から選ばれる1種以上と、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルと、(C)水とを含有し、
前記(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルおよび(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10よりなる群から選ばれる1種以上の含有量が0.1〜10.0質量%であり、
前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.1〜10.0質量%であり、
前記(C)水の含有量が80質量%以上であることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の化粧料は、前記(A)中のジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルがシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールおよびコハク酸ビスエトキシジグリコールよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、前記(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルおよび(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10よりなる群から選ばれる1種以上の含有量が0.1〜10.0質量%であることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の化粧料は、前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.1〜10.0質量%であることが好ましく、前記(C)水の含有量が80質量%以上であることが好ましい。
【0017】
さらにまた、本発明の化粧料は、前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルがモノ脂肪酸デカグリセリルであることが好ましい。
【0018】
また、本発明の化粧料は、さらに、(D)多価アルコールおよびヒドロキシエチルウレアよりなる群から選ばれる1種以上を含有することが好ましく、前記(D)中の多価アルコールが、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体、およびそれらの重合体よりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。また、さらに、(E)噴射剤を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、刺激が少なく、クレンジング効果の優れた化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のクレンジング化粧料について具体的に説明する。
本発明のクレンジング化粧料は、(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルおよび(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10よりなる群から選ばれる1種以上と、(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルと、(C)水とを含有し、前記(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルおよび(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10よりなる群から選ばれる1種以上の含有量が0.1〜10.0質量%であり、前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.1〜10.0質量%であり、前記(C)水の含有量が80質量%以上であることを特徴とするものである。これにより、刺激が少なく、クレンジング効果の優れた化粧料を提供することができる。また、保湿効果を与えることもでき、クレンジング化粧料としてだけでなく、保湿化粧料等の通常のスキンケア化粧料としても使用できる。さらに、界面活性剤の含有量を少なくした場合であっても、良好なクレンジング効果が得ることができる。そのため、界面活性剤が肌に合わない人でも使用できる化粧料を提供できる。
【0021】
また、本発明において、前記(A)中のジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルとは、ジカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルとのジエステル化合物であり、通常の化粧料等に使用できるものであれば、特に限定されない。
【0022】
さらに、本発明において、前記(A)中のジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルのジエステル化合物を構成するジカルボン酸の具体例としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、グルタル酸、アジピン酸、ペメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アセトンジカルボン酸、フタル酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジエステル化合物を構成するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテルなどを挙げることができる。具体的には、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどを例示することができる。本発明においては、クレンジング効果と保湿効果を付与する観点から、前記ジカルボン酸と、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとのジエステル化合物が用いられる。
【0023】
さらにまた、本発明において、前記(A)中のジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルとしては、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸とジエチレングリコールモノエチルエーテルとのジエステル化合物、具体的には、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第13版,第1巻,CTFA,2010年,p.331):BIS−ETHOXYDIGLYCOL CYCLOHEXANE 1,4−DICARBOXYLATEで表記される、シクロへキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールと称される化合物、並びにコハク酸とジエチレングリコールモノエチルエーテルとのジエステル化合物、具体的には、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第13版,第1巻,CTFA,2010年,p.331−332):BIS−ETHOXYDIGLYCOL SUCCINATEで表記される、コハク酸ビスエトキシジグリコールと称される化合物を用いることが好ましく、中でも、シクロへキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールを用いることがより好ましい。これにより、より刺激が少なく、クレンジング効果の優れた化粧料を提供することができ、さらに保湿効果を与えることもできる。
【0024】
また、本発明において、前記シクロへキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコールの具体例としては、例えば、日本精化株式会社製の「Neosolue−Aqulio(商品名)」等を挙げることができる。また、前記コハク酸ビスエトキシジグリコールの具体例としては、例えば、高級アルコール工業株式会社製の「ハイアクオスター DCS(商品名)」等を挙げることができる。
【0025】
さらに、本発明において、前記(A)中の(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10としては、通常の化粧料等に使用できるものであれば、特に限定されないが、例えば、日本精化株式会社製の「Neosolue−Aqua(商品名)」、「Neosolue−AquaS(商品名)」等を挙げることができる。
【0026】
本発明において、前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、通常の化粧料等に使用できるものであれば、特に限定されない。
【0027】
また、本発明において、前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数としては、例えば、炭素数8〜20が好ましく、炭素数10〜16がより好ましく、炭素数12〜18がさらにより好ましい。脂肪酸は直鎖でも分岐鎖でも、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、脂肪酸の具体例としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸等を挙げることができる。中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸が好ましく、特にラウリン酸がより好ましい。
【0028】
さらに、本発明において、前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンの重合度は、例えば、平均重合度で3〜10であり、中でも8〜10が好ましく、特にデカグリセリンが好ましい。
【0029】
さらにまた、本発明において、前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル、ステアリン酸デカグリセリル、イソステアリン酸デカグリセリル、オレイン酸デカグリセリル等を挙げることができ、これらの中でも、特にラウリン酸デカグリセリルが好ましい。これらのポリグリセリン脂肪酸エステルは単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
本発明において、前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、太陽化学株式会社製の「サンソフト M−12J(商品名)」、日光ケミカルズ株式会社製の「NIKKOL Decaglyn 1−L(商品名)」等を挙げることができる。
【0031】
また、本発明において、前記(C)水としては、通常、化粧料等に使用できるものであれば限定されず、精製水等を使用することができる。
【0032】
さらに、本発明の化粧料は、(D)多価アルコールおよびヒドロキシエチルウレアよりなる群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。前記(D)中の多価アルコールとしては、通常の化粧料等に使用できるものであれば、特に限定されないが、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体、およびそれらの重合体よりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、プロパンジオールおよびジプロピレングリコールよりなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、1,3−ブチレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオールおよびプロパンジオールよりなる群から選ばれる1種以上であることがさらにより好ましい。かかる多価アルコールを含有することにより、より安定性をよくすることができ、さらに低刺激で保湿効果を高めることができる。
【0033】
さらにまた、前記(D)中のヒドロキシエチルウレアとしては、通常の化粧料等に使用できるものであれば、特に限定されないが、例えば、アクゾノーベル社製のハイドロバンス(商品名)等を使用することができる。かかるヒドロキシエチルウレアを含有することにより、より安定性をよくすることができ、さらに低刺激で保湿効果を高めることができる。
【0034】
また、本発明において、前記(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルおよび(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10よりなる群から選ばれる1種以上の含有量は、0.1〜10.0質量%であることが好ましく、1.0〜5.0質量%であることがより好ましく、1.5〜3.0質量%であることがさらにより好ましい。前記(A)ジカルボン酸ビス(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)エステルおよび(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10よりなる群から選ばれる1種以上の含有量をかかる範囲とすることで、刺激が少なく、優れたクレンジング効果が得られるだけでなく、使用時のべたつきを防止できるとともに、より安価で化粧料を提供することができる。
【0035】
さらに、本発明において、前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、0.1〜10.0質量%であることが好ましく、1.0〜7.0質量%であることがより好ましく、2.0〜5.0質量%であることがさらにより好ましい。前記(B)ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量をかかる範囲とすることで、刺激が少なく、優れたクレンジング効果が得られるだけでなく、使用時のべたつきを防止できるとともに、より安価で化粧料を提供することができる。
【0036】
さらにまた、本発明において、前記(C)水の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらにより好ましい。前記(C)水の含有量をかかる範囲とすることで、水により使用時のべたつきを防止できるとともに、より安価で化粧料を提供することができる。
【0037】
また、本発明において、前記(D)多価アルコールおよびヒドロキシエチルウレアよりなる群から選ばれる1種以上の含有量は、0.1〜10.0質量%であることが好ましく、1.0〜7.0質量%であることがより好ましく、2.0〜5.0質量%であることがさらにより好ましい。前記(D)多価アルコールおよびヒドロキシエチルウレアよりなる群から選ばれる1種以上の含有量をかかる範囲とすることで、より安定性をよくすることができ、さらに低刺激で保湿効果を高めることができる。
【0038】
さらに、本発明において、増粘剤を含有することが好ましい。かかる増粘剤としては、本発明の効果が得られれば特に限定されず、通常、化粧料等に使用できるものを含有することができ、例えば、アクリレーツコポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸(昆布類粘質物)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カラギーナン(カラゲニン、カラゲナン)、キサンタンガム(ザンサンガム)、熱処理キサンタンガム、クインスシードガム、ローカストビーンガム(カロブビーンガム、イナゴマメガム)、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストラン、カードラン、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、マクロホモプシスガム、納豆菌ガム(納豆菌粘質物)、スクレロガム(スクレログルカン)、ラムザンガム、ウェランガム(ウェラン多糖類)、レバン、アグロバクテリウムスクシノグリカン、アゾトバクタービネランジーガム(アゾトバクタービネランジー多糖類)、アウレオバシジウム培養液、酵母細胞壁(酵母細胞膜)、β−グルカン(β1,3−グルカン、β1,3/1,6グルカン)、グァーガム(グァーフラワー、グァルガム)、グァーガム酵素分解物(グァーフラワー酵素分解物、グァルガム酵素分解物)、熱処理ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドシードガム(タマリンドガム、タマリンド種子多糖類)、セスバニアガム、カシアガム(カッシャガム)、アマシードガム、ダンマル樹脂、サバクヨモギシードガム(アルテミシアシードガム、サバクヨモギ種子多糖類)、トリアカンソスガム、サイリウムシードガム(サイリウムハスク)、アラビアガム(アカシアガム)、アラビノガラクタン、ガティガム(インディアンガム)、トラガントガム、カラヤガム、アーモンドガム(セドウガム)、エレミ樹脂、モモ樹脂、ファーセレラン、加工ユーケマ藻類、寒天、易溶化寒天、寒天部分分解物、アガロース、褐藻抽出物(褐藻粘質物)、フコイダン、フクロノリ抽出物(フクロノリ多糖類、フクロフノリ多糖類、フクロフノリ抽出物)、LMペクチン、HMペクチン、シュガービートペクチン、熱処理シュガービートペクチン、ポリガラクツロン酸、アロエベラ抽出物、オクラ抽出物、キダチアロエ抽出物、トロロアオイ、ダイズ多糖類(ダイズヘミセルロース)、キチン、キトサン、オリゴグルコサミン(キトサンオリゴ糖)、グルコサミン、コンニャク粉、グルコマンナン(コンニャクイモ抽出物)、セルロース、海藻セルロース、サツマイモセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(繊維素グリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(繊維素グリコール酸カルシウム)、発酵セルロース(醸造セルロース、ナタデココ)、微小繊維状セルロース、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸化架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、酸化デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプンカルボキシメチルデンプン、カチオンデンプン、酢酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、リン酸デンプン、リン酸ジデンプン、グリセロールジデンプン、グラフト化デンプン、ブリティッシュガム、可溶性デンプン、未変性アルファ化デンプン、変性アルファ化デンプン、滅菌乾燥デンプン、粒状デンプン、吸油性デンプン、デキストリン、白色デキストリン、黄色デキストリン、ブリティッシュガム、マルトデキストリン、クラスターデキストリン、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、グリコーゲン、ポリアクリル酸ナトリウム、ムチン、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸等を挙げることができるが、アクリレーツコポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、カラギーナン、ペクチン、コラーゲン、カルボキシメチルデンプンキサンタンガム、クインスシードガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステルおよびポリビニルピロリドン等が好ましく、中でもカルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、カラギーナン、ペクチン、コラーゲンおよびカルボキシメチルデンプンよりなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースよりなる群から選ばれる1種以上であることがさらにより好ましくカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースよりなる群から選ばれる1種以上であることがさらに最も好ましい。これにより、クレンジング力を高めることができる。
【0039】
本発明において、ヒドロキシエチルセルロースとしては、例えば、ダイセルファインケム株式会社製のHEC−SE400(商品名)、HEC−SE500(商品名)、HEC−SE600(商品名)、HEC−SE850(商品名)、HEC−SE900(商品名)、HEC−EE820(商品名)等を挙げることができ、カルボキシメチルセルロースとしては、例えば、ダイセルファインケム株式会社製のCMC−1110(商品名)、CMC−1120(商品名)、CMC−1130(商品名)、CMC−1140(商品名)、CMC−1150(商品名)、CMC−1160(商品名)、CMC−1170(商品名)、CMC−1180(商品名)、CMC−1190(商品名)、CMC−1220(商品名)、CMC−1230(商品名)、CMC−1240(商品名)、CMC−1250(商品名)、CMC−1260(商品名)、CMC−1330(商品名)、CMC−1350(商品名)、CMC−1380(商品名)、CMC−1390(商品名)、CMC−2200(商品名)、CMC−2260(商品名)、CMC−2280(商品名)、CMC−2450(商品名)等を挙げることができ、カルボキシビニルポリマーとしては、和光純薬工業社製のハイビスワコー103(商品名)、ハイビスワコー104(商品名)、ハイビスワコー105(商品名)等を挙げることができる。
【0040】
さらにまた、本発明において、油性成分を含有することが好ましい。かかる油性成分としては、本発明の効果が得られれば特に限定されず、通常、化粧料等に使用できるものを含有することができるが、揮発性の油性成分であることが好ましい。かかる、揮発性の油性成分としては、例えば、シクロペンタシロキサン等の環状シリコーン、軽質流動イソパラフィン、ドデカン、イソドデカン等を挙げることができる。これにより、よりクレンジング効果をあげることができる。
【0041】
また、本発明において、前記油性成分の含有量としては、発明の効果が得られれば特に限定されず、通常、化粧料等に使用できる量を含有することができるが、5質量%以内であることが好ましく、2〜3質量%であることがより好ましい。これにより、よりクレンジング効果をあげることができる。
【0042】
化粧料の使用方法としては、通常の化粧料の使用方法で使用できるが、泡吐出容器に充填して使用することもできる。かかる泡吐出容器とは、多孔質膜を有するもので、多孔質膜としては、例えば、スポンジ、焼結体、ネット等を挙げることができる。中でも、膜に付着残存した化粧料組成物が、乾燥固化して目詰まりを起こした場合、次回の吐出時に泡の流れによって、直ちに固化物を溶解して目詰まりを解消できることから、前記多孔質膜としては、薄肉であるネットであることが好ましい。また、かかるネットとしては、50〜500メッシュのものが好ましく、特に200〜400メッシュのものが、良好な泡を生成するため好ましい。また、このようなメッシュの材質として好ましいものとしては、ナイロン、ポリエステル等を挙げることができる。さらに、泡吐出容器には、このような膜が複数枚あることが好ましく、特に経済性、泡の安定性等の点から2枚であるのが好ましい。泡吐出容器に充填して使用することで、本発明の化粧料を泡として肌に塗布することができ、使用性を良好にできるとともに、より低刺激化することができる。
【0043】
さらに、本発明において、(E)噴射剤を含有することが好ましい。これにより、エアゾールの剤型の化粧料とすることができ、直接肌等にムース状で噴霧できるため、簡単に使用でき、さらにより刺激が少なく、特に、目への刺激を極めて小さくすることができる。また、アイライナー等のポイントメイク化粧料よりもファンデーションや口紅などのメイク化粧料へのクレンジング効果のより優れた化粧料を提供することができる。
【0044】
また、本発明において、前記(E)噴射剤としては、本発明の効果が得られれば限定されないが、例えば、炭酸ジアルキル、LPG、炭酸ガス等を挙げることができるが、環境等を考慮して、LPGであることが好ましい。
【0045】
さらに、本発明において、化粧料とは、人間の身体等に使用できるものであり、化粧品を主とするものであるが、医薬部外品、医薬品等の用途を排除するものではない。さらに、前記化粧品とは、基礎化粧品、メイクアップ化粧品、頭髪用化粧品、入浴剤等を含むものである。なお、本発明は、用途的にはクレンジング化粧水として使用することが好ましい。
【0046】
さらにまた、本発明において、本発明の効果が損なわれない範囲で、適宜他の成分等を添加することもできる。質的、量的範囲で上記以外の任意の成分を含有することができ、化粧料に通常含有される成分、例えば、油性成分、保湿剤、酸化防止剤、防腐剤、香料、各種ビタミン剤、キレート剤、着色剤、紫外線吸収剤、薬効成分、無機塩類等を含有することができる。
【0047】
以下、本発明について、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下、処方中の数値は質量%を示す。
【実施例】
【0048】
下記表1記載の処方に従って、実施例1および比較例1〜3の化粧料を作製した。下記<化粧料の評価方法>に従って評価した結果を、表中に併記する。
【0049】
【表1】
【0050】
<化粧料の評価方法>
化粧料の評価を以下の方法で行った。
(外観の確認)
目視にて、作製した化粧料の外観を観察した。
【0051】
(クレンジング力試験)
20〜30代女性16名に市販のメイクアップ化粧料(アイライナー)2.0mg/cmを手の甲に塗布してもらい、6時間後、実施例の化粧料または比較例の化粧料を0.1mg/cmを手の甲に塗布し、1分間一定の力及び速さでメイクアップ化粧料(アイライナー)をふきとった。その際のメイクアップ化粧料の落ちを下記5段階評価1で評価し、その平均点から下記基準1により判定した。
【0052】
(5段階評価1)
5点:非常に良い
4点:やや良い
3点:良い
2点:普通
1点:悪い
【0053】
(評価基準1)
平均点4点より大きい ◎
平均点3点より大きく4点以下 ○
平均点2点より大きく3点以下 △
平均点2点以下 ×
【0054】
(皮膚刺激性試験)
20〜30代女性16名に市販のメイクアップ化粧料(アイライナー)を使用してもらい、30分後、実施例の化粧料または比較例の化粧料を2gコットンに塗布し、1分間一定の力及び速さで顔面をふきとった。クレンジング後の刺激の有無について下記5段階評価2で評価し、その平均点から下記基準2により判定した。
【0055】
(5段階評価2)
5点:非常に良い
4点:やや良い
3点:良い
2点:普通
1点:悪い
【0056】
(評価基準2)
平均点4点より大きい ◎
平均点3点より大きく4点以下 ○
平均点2点より大きく3点以下 △
平均点2点以下 ×
【0057】
(目刺激性試験)
20〜30代女性12名に市販のメイクアップ化粧料(アイライナー)を目の周りに使用してもらい、30分後、実施例の化粧料または比較例の化粧料を2gコットンに塗布し、1分間一定の力及び速さで顔面をふきとった。クレンジング後の目への刺激の有無について下記4段階評価3で評価し、その平均点から下記基準3により判定した。
【0058】
(4段階評価3)
4点:全くない
3点:ない
2点:少しある
1点:とてもある
【0059】
(評価基準3)
平均点3点より大きい ◎
平均点2点より大きく3点以下 ○
平均点1点より大きく2点以下 △
平均点1点以下 ×
【0060】
下記表2〜表8記載の処方に従って、実施例2〜16、19〜21の化粧料を作製した。上記<化粧料の評価方法>に従って評価した結果を、表中に併記する。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】

【0065】
【表6】
【0066】
【表7】

【0067】
【表8】
【0068】
実施例1〜2の化粧料は、いずれもクレンジング力、皮膚刺激性および目刺激性において良好な結果が得られた。また、実施例3〜16、19〜21の化粧料は、いずれもクレンジング力および皮膚刺激性において良好な結果が得られた。さらに、実施例21の化粧料は、エアゾール剤型のため、アイライナー等のポイントメイク化粧料ではクレンジング力が「○」であったがファンデーションや口紅では「◎」で良好なクレンジング力を示した。それに対し、比較例1〜2の化粧料は、いずれもクレンジング力が著しく劣っていた。また、比較例3の化粧料は、クレンジング力は良好であるが、目刺激性において著しく劣っていた。