(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
まず、本発明の実施形態の概略を説明する。本発明の実施形態は、APとCLを含んだ無線LANシステムにおいて、CLがAPに接続する際の仕組みに関する。
【0022】
ここで、本発明の実施形態では、APはCLからのプローブ要求を受信したとしても、すぐには応答せずに、AP間で情報交換を行うことによりまず情報を共有する。そして、APの各々が、この共有した情報と、各APで共通する同一のアルゴリズムとで接続APを選定する。更に、選定された1つのAPのみがCLのプローブ要求に対してプローブ応答を行う。CLは唯一プローブ応答をしたこのAPと接続をする。
【0023】
このことによってCLが接続するAPを選択するのではなく、APが接続先を決定することになり、上記アルゴリズムにより選定された最適なAPに接続可能となる。また、CLは1つのAPからのプローブ要求のみを受信して接続を行うので、接続を試みる対象のAPを変えながら、何度も接続を試みる必要がなくなる。
【0024】
これにより、CLが、自身の希望するAPに接続を試みるタイプのCLであっても、適切と考えられるAPにCLを速やかに接続させることが可能となり、上述した[本発明が解決すべき課題]を解決することができる。
【0025】
これに加えて、本実施形態では、重要業務などを行う重要なCLである重要CLと、それ以外の通常のCLである通常CLとが共存する場合についても考慮する。
このように異なる種類のCLが共存する場合には、接続先を制御することにより、重要CLを安定して通信させたいが、従来のQoS(Quality of Service)などの優先度通信技術では、そのような接続先の制御はできなかった。
【0026】
結果として、従来のシステムでは安定して通信させたい重要なCLであったとしても、重要ではない他のCLと同等に扱われるため、APの設置場所によっては接続に偏りが発生し、例えば条件の良いAPに接続が集中して重要業務を扱うCLのパフォーマンスも下がってしまうという課題があった。
【0027】
そこで、本実施形態では、重要なCLが存在する場合は予めAPに重要なCLの情報を重要CLとして登録しておく。そして、制御対象とするCLが重要CLであるか否かを考慮した上で接続先の制御を行うことにより、重要CLとそれ以外の通常CLを適切に接続させることを可能とする。
以上が本発明の実施形態の概略である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
<第1の実施形態>
まず、
図1に本実施形態全体の構成を示す。
図1を参照すると、本実施形態である無線LANシステム1は、第1のAP10、第2のAP20、第3のAP30、第4のAP40及び第5のAP50の5つのAPと、CL100とを含む。
【0029】
5つのAPは、無線LANアクセスポイントであり、それぞれ同じ機能を有している。また、5つのAPは、有線LAN200を介して相互に通信可能に接続されている。
【0030】
CL100は、APと無線通信を行う無線LANクライアント端末である。ここで、CL100は、本実施形態特有の端末ではなく、一般的な無線LANクライアント端末であるので、詳細な説明は省略する。
【0031】
5つのAPのそれぞれは、CL接続情報テーブル、AP選定アルゴリズム及び重要CL登録テーブルを持つ。
【0032】
AP選定アルゴリズムは、各テーブルに格納されている情報に基づいて接続先のAPを選定するためのアルゴリズムであり、各APで共通のものである。すなわち、AP選定アルゴリズム12、AP選定アルゴリズム22、AP選定アルゴリズム32、AP選定アルゴリズム42及びAP選定アルゴリズム52は全て同じものとなる。
【0033】
また、CL接続情報テーブル11、CL接続情報テーブル21、CL接続情報テーブル31、CL接続情報テーブル41及びCL接続情報テーブル51のそれぞれには、現在5つのAPのそれぞれに接続されているCLの台数を表す情報が格納される。加えて、CL接続情報テーブル11、CL接続情報テーブル21、CL接続情報テーブル31、CL接続情報テーブル41及びCL接続情報テーブル51のそれぞれには、各APがプローブ要求を受信する際に測定された、電波強度が格納される。
【0034】
更に、重要CL登録テーブル13、重要CL登録テーブル23、重要CL登録テーブル33、重要CL登録テーブル43及び重要CL登録テーブル53のそれぞれには、重要CLを認識するための情報が登録されている。例えば、重要CLを識別するための識別子として、重要CLのMACアドレスが登録されている。各APは、CLからのプローブ要求に含まれる送信元のCLのMACアドレスが、重要CL登録テーブルに登録されていたならば、この送信元のCLが重要CLであることを認識できる。また、各APは、CLからのプローブ要求に含まれる送信元のCLのMACアドレスが、重要CL登録テーブルに登録されていないならば、この送信元のCLが重要CLではなく、通常CLであることを認識できる。
【0035】
また、AP同士は例えば有線LAN200を介して、他のAPと所有している情報を送受信することにより、情報を共有し、共有した情報で自身のテーブルに格納されている情報を更新する。このように更新を行うため、CL接続情報テーブル11、CL接続情報テーブル21、CL接続情報テーブル31、CL接続情報テーブル41及びCL接続情報テーブル51のそれぞれに格納されている情報は同じものとなる。同様に、このように更新を行うため、重要CL登録テーブル13、重要CL登録テーブル23、重要CL登録テーブル33、重要CL登録テーブル43及び重要CL登録テーブル53のそれぞれに格納されている情報は同じものとなる。
【0036】
このように、本実施形態では、各APが更新により共有した同一の情報に基づいて、同一のアルゴリズムにより接続APを選定する。そのため、各APが算出する接続先のAPは同じAPとなり、APによって選定する接続先のAPが異なってしまうようなことはない。
【0037】
以上説明した機能ブロックは、本実施形態に特に関連する部分であり、他の機能ブロックについては図示を省略する。例えば、各APは、一般的なAPとして機能するための機能ブロックを含んでいるが、これらについては図示を省略する。
【0038】
次に、各APのハードウェア構成について説明をする。各APは、ハードウェアとして、CPUやメモリ等からなる制御部や、無線通信を行うためのアンテナや、有線通信を行うためのNIC(Network Interface Card)や、電源等を備えている。ただし、これらのハードウェア構成は一般的な構成であるので、図示は省略する。
【0039】
図1に示している各機能ブロックは、上記の制御部により実現される。また、APとしての一般的な機能についても上記の制御部により実現される。
【0040】
より具体的に説明すると、制御部内のメモリは、例えば、ファームウェアや各種の制御用プログラムやAP選定アルゴリズムを格納したROM(Read Only Memory)や、CPUがプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)等により実現される。
【0041】
そして、制御部内のCPUが、かかるメモリを構成するROMからファームウェアや各種の制御用プログラムやAP選定アルゴリズムを読み込み、読み込んだファームウェアや各種の制御用プログラムやAP選定アルゴリズムをRAMに展開させながら、これらのファームウェアや各種の制御用プログラムやAP選定アルゴリズムに基づいた演算処理を行なう。そして、CPUが、演算結果に基づいてAP内のハードウェアを制御することにより、APの各機能ブロックは実現される。つまり、APは、ハードウェアとソフトウェアが協働することにより実現することができる。
【0042】
次に、各APによる、AP選定アルゴリズムと各テーブルに格納されている情報とに基づいた接続先のAPを選定する処理について説明をする。
【0043】
まず、前提として本例では各APは
図2のように配置されている。また、各APは円形状の通信エリアを有しており、CL100は、この通信エリアに在圏している場合に、通信エリアに対応するAPと通信を行うことができる。すなわち、通信エリアは、CL100と各AP間とで送受信する電波が届く範囲である。
【0044】
具体的には、第1通信エリアAR1が第1のAP10に対応する通信エリアである。また、第2通信エリアAR2が第2のAP20に対応する通信エリアである。同様に、第3通信エリアAR3が第3のAP30に、第4通信エリアAR4が第4のAP40に、第5通信エリアAR5が第5のAP50に、それぞれ対応する通信エリアである。なお、図中では、有線LAN200による各AP間の接続については図示を省略する。
【0045】
以下の説明では、
図2のようにCL100は、第1通信エリアAR1、第2通信エリアAR2、及び第3通信エリアAR3の3つの通信エリアが重複する位置に在圏している。そのため、CL100が送信するプローブ要求は、第1のAP10、第2のAP20、及び第3のAP30のそれぞれが受信する。
【0046】
ここで、一般的な技術であれば、プローブ要求を受信した第1のAP10、第2のAP20、及び第3のAP30のそれぞれが、CL100に対してプローブ応答を送信する。そして、CL100が、自身の基準で、第1のAP10、第2のAP20、及び第3のAP30の何れかを接続先として選択する。
【0047】
しかしながら、本実施形態では、プローブ要求を受信した第1のAP10、第2のAP20、及び第3のAP30の、3台のAP内の何れか1台のみがプローブ応答を送信する。本実施形態における、かかる動作について
図3のシーケンス図を参照して説明を行う。
【0048】
まず、前提として本実施形態では、重要CL登録テーブル13、重要CL登録テーブル23、及び重要CL登録テーブル33のそれぞれに、重要CLを認識するための情報を登録する(ステップA101)。なお、今回、
図2に示した状況を例にとって説明をしているので、CL100からのプローブ要求が届かない第4のAP40及び第5のAP50については図示をしていないが、これら第4のAP40の重要CL登録テーブル43や、第5のAP50の重要CL登録テーブル53にも、同様に重要CLを認識するための情報を登録する。
【0049】
次に、CL100が接続動作に入りAP検索を開始したとする(ステップA102)。この場合、まずCL100は、プローブ要求をブロードキャストにて周囲のAPに対して送信する(ステップA103)。今回は、
図2に示した状況を例にとって説明をしているので、かかるプローブ要求を、第1のAP10、第2のAP20、及び第3のAP30が受信する。
【0050】
各APは、受信したこのプローブ要求から、CLからの受信電波強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、すなわち、CLとAPが通信するときの電波強度を測定する(ステップA104)。また、併せて、自APに接続しているCLの台数及びその種類を確認する。種類とは、自APに接続しているCLが、重要CLと、通常CLの何れかであるかということである。なお、自APに接続しているCLの台数及びその種類の確認は、このタイミングで行うのではなく、周期的に行うようにしてもよい。そのため、自APに接続しているCLの台数及びその種類の確認については、図示を省略する。
【0051】
また、上述したように、各APはこのプローブ要求に対してすぐに応答を行わない。そして、まず、AP同士で情報交換を行う(ステップA105)。具体的には、各APが確認した自APに既に接続しているCLの台数及びその種類と、各APが受信したプローブ要求に基づいて測定したCLの受信電波強度とをAP同士で送受信することにより、これらの情報を全てのAPで共有する。そして、共有した情報で、自APのCL接続情報テーブル(CL接続情報テーブル11、CL接続情報テーブル21、及びCL接続情報テーブル31)と、自APの重要CL登録テーブル(重要CL登録テーブル13、重要CL登録テーブル23、及び重要CL登録テーブル33)とを更新する。
【0052】
次に、各APは、ステップA105にてAP同士で交換した情報と、自身が記憶しているAP選択アルゴリズム(AP選定アルゴリズム12、AP選定アルゴリズム22、及びAP選定アルゴリズム32)とに基づいてCL100を接続させるAPを1つ選定する(ステップA106)。このAP選択アルゴリズムを利用する選定の方法については、
図4を参照して後述する。
【0053】
そして、選定したAPを、プローブ応答を実行するAPとして決定する(ステップA107)。ここで、上述のように各APは各々選定を行っているが、選定に用いる情報は予め共有されている同一の情報であり、AP選択アルゴリズムも同一のものである。従って、各APにおいて選定するAPは同一のものとなる。
【0054】
そのため、各APが選定結果を他のAPとやり取りする必要はない。そして、各APは選定されたAPが自身であれば、プローブ応答するAPを、自身であると決定する。そして、各APは、自身をプローブ応答するAPとして決定したならばCL100に対してプローブ応答をする。一方で、各APは、自身をプローブ応答するAPとして決定しないならばCL100に対してプローブ応答をしない。
【0055】
結果として、1台のAPのみがCL100に対してプローブ応答を送信する。図中には、第3のAP30がCL100に対してプローブ応答を送信する場合について図示する(ステップA108)。
【0056】
プローブ応答を受信した、CL100は、プローブ応答の送信元のAPである第3のAP30との間で接続を確立するための処理を行う(ステップA109)。そして、CL100は第3のAP30と接続して無線LANによる通信を開始する。なお、ステップA109の処理は、一般的な無線LANによる接続の確立処理と同じ内容となるので、その詳細な説明は省略する。
【0057】
次に、各APにおいて、AP選定アルゴリズムに基づいて接続先のAPを選定して、プローブ応答を行う処理(
図3のステップA106以降の処理に相当)のより詳細な内容について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
図4の処理は、各APが記憶するAP選定アルゴリズム12、AP選定アルゴリズム22、AP選定アルゴリズム32、AP選定アルゴリズム42、及びAP選定アルゴリズム52に基づいて実現される。
【0058】
まず、各APは、CL100からのプローブ要求(を実現するパケット単位のデータ)を受信した際に測定された電波強度に基づいて、電波強度コストを算出する(ステップS11)。電波強度コストの算出は、表1として下記に示す電波強度コスト算出表に従って行う。なお、電波強度コストは、自APについての電波強度コストのみ算出するのではなく、他のAPの電波強度コストについても算出する。
【0060】
電波強度コスト算出表には、電波強度と電波強度コストとの対応が記載されている。この電波強度コスト算出表に記載のように、例えばCL100から受信したプローブ要求の電波強度が−40dBmであった場合は、電波強度コストは0となる。また、−65dBmの場合は、電波強度コストは10となる。更に、−80dBmの場合は、電波強度コストは30となる。
【0061】
次に、各APは、各APに既に接続しているCLの台数に基づいて、台数コストを算出する(ステップS12)。台数コストの算出は、表2として下記に示す台数コスト算出表に従って行う。なお、電波強度コストと同様に、台数コストは、自APについての台数コストのみ算出するのではなく、他のAPの台数コストについても算出する。
【0063】
台数コスト算出表には、CLの総数と台数コストとの対応が記載されている。加えて、台数コスト算出表には、CLの種類と台数コストとの対応が記載されている。本実施形態では、この双方に基づいて算出したコストの和を台数コストとする。
【0064】
この台数コスト算出表に記載のように、例えば既に接続しているCLが1台であり、このCLが通常CLである場合には、台数コストは1となる。なぜならば、CLの総数に対応する台数コストが0であり、CLの種類に対応する台数コストが1台分で1であり、これらの合算した値が1であるためだからである。
【0065】
また、例えば既に接続しているCLが15台であり、このCLが通常CLである場合には、台数コストは25となる。なぜならば、CLの総数に対応する台数コストが10であり、CLの種類に対応する台数コストが15台分で15であり、これらの和の値が25であるためだからである。
【0066】
更に、例えば既に接続しているCLが30台であり、このCLが通常CLである場合には、台数コストは60となる。なぜならば、CLの総数に対応する台数コストが30であり、CLの種類に対応する台数コストが30台分で30であり、これらの和の値が60であるためだからである。
【0067】
また、仮にCLが重要CLであるならば、1台の台数コストは31となる。例えば既に接続しているCLが1台であり、このCLが重要CLである場合には、台数コストは31となる。なぜならば、CLの総数に対応する台数コストが0であり、CLの種類に対応する台数コストが1台分で31であり、これらの和の値が31であるためだからである。
【0068】
なお、CLの総数に対応する台数コストと、CLの種類に対応する台数コストのこれらの和の値を、そのAPにおける台数コストとしている。ただし、CLの総数に対応する台数コストと、CLの種類に対応する台数コストの何れかの値のみをAPにおける台数コストとしてもよい。また、他にも、例えば重要CL1台の台数コストを例えば30とするが、通常CL1台の台数コストを0とするようにしてもよい。
【0069】
何れにせよ、このようにして算出した電波強度コストと台数コストの和が総コストとなる。各APはステップA105における情報交換で交換された、各APの電波強度の値、各APに既に接続しているCLの台数の値、及び各APに既に接続しているCLの種類から自APの総コストおよび他のAPの総コストを算出する。そして、算出した総コストを比較し、自APが全てのAPの中で最小の総コストのAPであるかを判定する(ステップS13)。
【0070】
ここで、自APの総コストの値が一番低く、自APが全てのAPの中で最小の総コストのAPであると判定できた場合には(ステップS13においてYes)、CL100に対してプローブ応答を送信する(ステップS14)。一方で、自APが全てのAPの中で最小の総コストのAPであると判定できない場合には(ステップS13においてNo)、CL100に対してプローブ応答を送信することなく、今回の処理を終了する。
【0071】
例えば、下記の表3がコスト算出結果とすると、第3のAP30が一番低い総コストである。そのため、第3のAP30のみがCL100に対してプローブ応答を送信し、第1のAP10及び第2のAP20はプローブ応答を送信しない。なお、かかるプローブ応答は、ステップA108において送信されるプローブ応答に相当するものである。
【0073】
そして、プローブ応答を送信したAPは、CL100との間で、接続を確立する処理を行う。かかる処理は、ステップA109における接続確立処理に相当するものである。そして、CL100が接続したならば、自APの接続台数に「1」を加算することにより、自APのCL接続情報テーブルを更新する(ステップS15)。また、自AP以外の他のAPに対して、自APの接続台数に「1」を加算するように通知する。なお、かかる通知は、このタイミングではなく、次回のステップA105の情報交換を行うタイミングで行うようにしてもよい。以上、
図3のシーケンス図及び
図4のフローチャートを参照して説明した処理により、本実施形態では、CL100を、CL100が自身の基準で選択するAPではなく、APが選定したAPへ接続させることが可能となる。
【0074】
上述の表3では、通常CLが各APに接続している状況で総コストを算出した例について説明をした。次に以下に示す表4及び表5を参照して、業務などの使用で安定して通信させたいCLである重要CLと、それ以外のCLである通常CLの適切な接続を考慮した総コストの算出について説明する。
【0075】
上述したように、予め重要CLのMACアドレスを各APの重要CL登録テーブルに登録しておくことにより、各APが重要CLであるか否かを判別できるようにしておく。そして、表2を参照して説明したように、各APは台数コストを算出するときに重要CLが接続しているAPについては重要CL1台の台数コストを31として計算する。
【0076】
ただし、この時プローブ要求を送信してきたCLが重要CLの場合にかぎり、重要CL1台の台数コストを1として計算する。つまり、既に接続している重要CLを通常CLとみなして台数コストを計算する。これにより、既に重要CLが接続しているAPの総コストが低くなり、既に重要CLが接続しているAPが、今回プローブ要求を送信した重要CLの接続先のAPとして選定されやすくなる。
【0077】
一方で、今回プローブ要求を送信したCLが通常CLの場合には、重要CL1台の台数コストを31として計算する。そのため。既に重要CLが接続しているAPの総コストが高くなり、既に重要CLが接続しているAPが、今回プローブ要求を送信した通常CLの接続先のAPとして選定されにくくなる。
【0078】
このようにすることにより、重要CLが接続しているAPを重要なAPとして位置づけて重要CLは重要APに集中させ、通常CLは非重要APに接続させることができ、CLの種類に応じた適切な接続制御を行うことができる。これにより、重要CLが接続しているAPに、後から通常CLが何台も接続されて通信が不安定になってしまうようなことを防止できる。つまり通常CLによる、不確定要素を取り除くことにより安定した通信を重要CLに対して提供できる。
【0079】
この点について、表4及び表5を参照して具体的に説明をする。まず、今回プローブ要求を送信したCLが通常CLの場合について下記の表4を参照して説明をする。
【0081】
表4は、第1のAP10に3台、第2のAP20にも3台、第3のAP30にも3台のCLが接続しており、第3のAP30の3台のうちの1台は重要CLである場合についてのものである。この場合でプローブ要求を送信してきたCLが重要CL以外の通常CLであれば、第3のAP30の台数コストは、重要CL1台の台数コスト31と通常CL2台の台数コスト2とから33となり、この場合の総コストは第2のAP20の13が一番低いので第2のAP20がプローブ応答を返し、CLが第2のAP20に接続することとなる。
次に、今回プローブ要求を送信したCLが重要CLの場合について下記の表5を参照して説明をする。
【0083】
表5は第1のAP10に3台、第2のAP20にも3台、第3のAP30にも3台のCLが接続しており、第3のAP30の3台のうちの1台は重要CLである場合についてのものである。この場合でプローブ要求を送信してきたCLが重要CLであれば、上述したように重要CL1台の台数コストを1として計算する。すると、第3のAP30の台数コストは通常通りの台数コストで3となり、この場合の総コストは第3のAP30の3が一番低いので第3のAP30がプローブ応答を返し重要CLが第3のAP30に接続することとなる。
【0084】
このように、重要CLが接続しているAPを重要なAPとして位置づけて重要CLは重要APに集中させ、通常CLは非重要APに接続させることができ、CLの種類に応じた適切な接続制御を行うことができる。
【0085】
以上説明したように、本実施形態では、接続可能なAPが複数存在する場合でも、APからのプローブ応答を送信する対象のAPを1台のみとする。これにより、CL100は、1つしかプローブ応答を受けないのでこのプローブ応答の送信元のAPに接続するしかない。つまり、CL100を、CL100が自身の基準で選択するAPではなく、APが選定したAPへ接続させることが可能となる。これにより、CLが複数のAPの中から誤って接続にふさわしくないAPを選択する危険性がなくなる、という効果を奏する。
【0086】
また、CL100は、プローブ要求を一度送信し、プローブ応答を一度受信すればよい。つまり、CL100を、一度の接続スキャンで最適なAPと接続させ、安定した通信を行わせることも可能となる、という効果も奏する。
【0087】
更に、CLは、プローブ要求を出した後に、プローブ応答があったAPと接続するという通常の動作を行うのみであり、特別な動作を行う必要はない。よって、汎用のCLにより本実施形態を実現することができるという効果も奏する。
【0088】
また、引用文献1の構成では、APを利用する可能性のある全てのCLについて識別情報(例えば、MACアドレス)と伝送するデータの種別を登録しておく必要があり、これらの情報を登録していないCLについては、APに接続させることができなかった。しかしながら、本実施形態であれば、登録をしていないCLであっても、APに接続させることが可能となる、という効果も奏する。
【0089】
更に、表4及び表5を参照して説明したようにして、重要CLが接続するAPを重要なAPとして位置づけて重要CLは重要APに集中させ、重要ではない端末は非重要APに接続させるという接続制御を行うことにより、重要CLの安定した通信を提供できる、という効果も奏する。
【0090】
<第2の実施形態>
次に、上述した第1の実施形態を変形した第2の実施形態について説明をする。なお、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略し、第1の実施形態と相違する点について詳細に説明をする。
【0091】
まず、第2の実施形態の構成について
図5を参照して説明する。
図5を参照すると、本実施形態である無線LANシステム2は、第1のAP10a、第2のAP20a、第3のAP30a、第4のAP40a及び第5のAP50aの5つのAPと、CL100と、アクセスポイント管理装置300とを含む。また、5つのAPとアクセスポイント管理装置300は、有線LAN200を介して相互に通信可能に接続されている。
【0092】
本実施形態は、第1の実施形態と以下の点で相違する。
まず、アクセスポイント管理装置300を更に含んでいる点で相違する。ここで、アクセスポイント管理装置300は、各APアクセスポイントを管理する装置である。
【0093】
アクセスポイント管理装置300は、CL接続情報テーブル301、AP選定アルゴリズム321及び重要CL登録テーブル303を含む。これらは、第1の実施形態において、各APが含んでいる同じ名称の機能ブロックと同じものである。そして、本実施形態では、CL100からのプローブ要求があった場合に、各APが接続先のAPを選定するのではなく、アクセスポイント管理装置300がこれらの機能ブロックにより、CL100の接続先となるAPを選定する。
【0094】
上述したように、各APにおいて選定を行う必要がないため、本実施形態では、各APはこれらの機能ブロックを含んでいない。この点も第1の実施形態と相違する点である。
【0095】
次に、
図6を参照して本実施形態の動作について説明をする。
図6は、本実施形態において、アクセスポイント管理装置300が、CL100からのプローブ要求に応答するAPを決定するために実行する処理を表すフローチャートである。
【0096】
CL100からのプローブ要求を受信した各APのそれぞれから、それぞれのAPが測定した自APにおけるプローブ要求の電波強度の情報と、プローブ要求を送信したCL100を識別する情報とを受信する(ステップS21)。なお、各APに既に接続されているCLの台数は、CL接続情報テーブル301に記憶されており、重要CLを認識するための情報は、重要CL登録テーブル303に登録されている。
【0097】
次に、アクセスポイント管理装置300はステップS21で受信した情報に基づいて、CL100からのプローブ要求を受信した各APのそれぞれの電波強度コストを算出する(ステップS22)。
【0098】
また、アクセスポイント管理装置300はステップS21で受信した情報、CL接続情報テーブル301に記憶されている情報、及び重要CL登録テーブル303に登録されている情報に基づいて、CL100からのプローブ要求を受信した各APのそれぞれの台数コストを算出する(ステップS23)。その際、重要なCLである重要CLが接続されていれば、重要CL1台の台数コストを31として計算する。ただし、プローブ要求を送信したCL100が重要CLの場合には重要CL1台の台数コストを1として計算する。その理由は、表4や表5を参照した説明の際に上述した通りである。
【0099】
次に、アクセスポイント管理装置300は、電波強度コストに台数コストを加えた総コストが最小のAPを特定する(ステップS24)。
【0100】
そして、アクセスポイント管理装置300は、特定した総コストが最小のAPにCL100への応答を行うことを指示する(ステップS25)。指示を受けたAPは、CL100に対して、プローブ応答を送信し、その後、接続を確立するための処理を行う。
【0101】
応答指示を受けたAPとCL100との接続が完了した後、アクセスポイント管理装置300は、CL100への応答を指示したAPから、CL100との接続が完了した旨の通知を受けて、このAPのCL100接続台数に「1」を加算する。(ステップS26)。
【0102】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。また、本実施形態によれば、アクセスポイント管理装置300を設けることにより、各APによる処理を軽減することが可能となる、という効果も奏する。
【0103】
<第3の実施形態>
次に、上述した第1の実施形態を変形した第3の実施形態について説明をする。なお、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略し、第1の実施形態と相違する点について詳細に説明をする。
【0104】
ここで、本実施形態の構成は、
図1を参照して説明した第1の実施形態と同様である。一方で、本実施形態では、動作の一部が第1の実施形態と相違するので、この点について
図7を参照して説明をする。
図7は、本実施形態において、CL100からのプローブ要求を受けた各APが、CL100からのプローブ要求に応答するAPを決定するために実行する処理を表すフローチャートである。
【0105】
第1の実施形態では、ステップS11において電波強度コストを算出した後に、ステップS12において台数コストを算出していた。
【0106】
しかし、本実施形態では、CL100からのプローブ要求を受けた各APが、電波強度コストを算出せず、CL100からのプローブ要求に応答する各APを決定するため電波強度コストを用いず、台数コストのみを用いる。これが第1の実施形態と相違する点である。
【0107】
そのため、本実施形態では、ステップS31において台数コストを算出する。そして、ステップS32では、総コストではなく、台数コストを用いた判定を行う。具体的には、自APが全てのAPの中で最小の台数コストのAPであるかを判定する。
【0108】
そして、自APの台数コストの値が一番低く、自APが全てのAPの中で最小の台数コストのAPであると判定できた場合には(ステップS32においてYes)、CL100に対してプローブ応答を送信する(ステップS33)。そして、ステップS15と同様にして、CL100との間で、接続を確立する処理を行い、CL100が接続したならば、接続台数に「1」を加算する処理を行う(ステップS34)。
【0109】
一方で、自APが全てのAPの中で最小の台数コストのAPであると判定できない場合には(ステップS32においてNo)、CL100に対してプローブ応答を送信することなく、今回の処理を終了する。
【0110】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。また、本実施形態によれば、電波強度を測定する必要をなくすことができるので、各APの構成を簡略化することが可能となる、という効果も奏する。
【0111】
<第4の実施形態>
次に、上述した第2の実施形態を変形した第4の実施形態について説明をする。なお、第2の実施形態と共通する部分については説明を省略し、第2の実施形態と相違する点について詳細に説明をする。
【0112】
ここで、本実施形態の構成は、
図5を参照して説明した第2の実施形態と同様である。一方で、本実施形態では、動作の一部が第2の実施形態と相違するので、この点について
図8を参照して説明をする。
図8は、本実施形態において、各APがCL100からのプローブ要求を受けた場合に、アクセスポイント管理装置300が、CL100からのプローブ要求に応答するAPを決定するために実行する処理を表すフローチャートである。
【0113】
第2の実施形態では、ステップS21において、プローブ要求を受信した各APから電波強度を受信し、ステップS22において電波強度コストを算出した後に、ステップS23において台数コストを算出していた。
【0114】
しかし、本実施形態では、アクセスポイント管理装置300が、電波強度コストを算出せず、CL100からのプローブ要求に応答する各APを決定するため電波強度コストを用いず、台数コストのみを用いる。これが第2の実施形態と相違する点である。つまり、本実施形態は、第2の実施形態と第3の実施形態を組み合わせた実施形態である。
【0115】
具体的には、本実施形態では、ステップS41において、各APからCL100からのプローブ要求を受けた旨の通知と、プローブ要求を送信したCL100を識別する情報とを受ける。
【0116】
次に、アクセスポイント管理装置300はステップS41で受信した情報、CL接続情報テーブル301に記憶されている情報、及び重要CL登録テーブル303に登録されている情報に基づいて、CL100からのプローブ要求を受信した各APのそれぞれの台数コストを算出する(ステップS42)。
【0117】
次に、アクセスポイント管理装置300は、台数コストが最小のAPを特定する(ステップS43)。
【0118】
そして、アクセスポイント管理装置300は、特定した総コストが最小のAPにCL100への応答を行うことを指示する(ステップS44)。指示を受けたAPは、CL100に対して、プローブ応答を送信し、その後、接続を確立するための処理を行う。
【0119】
その後、アクセスポイント管理装置300は、CL100への応答を指示したAPから、CL100との接続が完了した旨の通知を受けて、このAPのCL100接続台数に「1」を加算する。(ステップS45)。
【0120】
以上説明したように、本実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。また、本実施形態によれば、電波強度を測定する必要をなくすことができるので、各APの構成を簡略化することが可能となる、という第3の実施形態と同様の効果も奏する。
【0121】
以上4つの実施形態について説明をした。上述した各実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0122】
例えば、以上の説明では、APとCLの台数を特定して説明したが、これらの台数に限定はない。
【0123】
また他にも、第1の実施形態及び第3の実施形態において、CL100からの接続要求を受けた各APのうちの1つが、各APの総コストを算出してCL100からの接続要求に応答するAPを決定し、決定したAPに通知し、通知された各APがCL100からの接続要求に応答するようにしてもよい。つまり、アクセスポイント管理装置300を設けるのではなく、何れかのAPがアクセスポイント管理装置300と同様の処理を行うようにしてもよい。
【0124】
更に他にも、第1の実施形態及び第3の実施形態において、各AP間の一部又は全部は有線LAN200ではなく、無線LANネットワークで接続されるようにしてもよい。
【0125】
第2の実施形態及び第4の実施形態において、各APとアクセスポイント管理装置間の一部又は全部は無線LANネットワークで接続されるようにしてもよい。
【0126】
更に他にも、電波強度の値として受信電波強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)の値を利用するのではなく、他の値を用いるようにしてもよい。例えばRSSIに基づいて算出するS/N比(Signal to Noise Ratio)の値を用いるようにしてもよい。
【0127】
なお、上記の無線LANシステムに含まれる各AP、各CL、及びアクセスポイント管理装置のそれぞれは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の無線LANシステムに含まれる各AP、各CL、及びアクセスポイント管理装置のそれぞれより行なわれる接続先選定方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0128】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0129】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0130】
(付記1) 複数のアクセスポイントを有する無線LANシステムであって、
無線端末から前記複数のアクセスポイントに対して接続要求が送信されると、該接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々が前記接続要求を送信した無線端末に関する情報である第1の情報を取得し、
前記第1の情報と前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々に接続されている無線端末に関する情報である第2の情報とに基づいて、前記接続要求を送信した無線端末の接続先のアクセスポイントを選定し、該選定した接続先のアクセスポイントが前記接続要求を送信した無線端末に対して前記接続要求の応答をすることを特徴とする無線LANシステム。
【0131】
(付記2) 前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々が、前記第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記接続要求を送信した無線端末の接続先のアクセスポイントを選定し、自アクセスポイントが前記接続先として選定したアクセスポイントであるならば前記接続要求を送信した無線端末に対して前記接続要求の応答をすることを特徴とする付記1に記載の無線LANシステム。
【0132】
(付記3) 前記複数のアクセスポイントは、各アクセスポイントで共通する選定基準を記憶していると共に、前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントの間で前記第1の情報と前記第2の情報とを送受信して共有することにより前記第1の情報と前記第2の情報とを取得し、
前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々が、前記の選定基準と前記共有された前記第1の情報及び前記第2の情報とに基づいて前記接続要求を送信した無線端末の接続先のアクセスポイントを選定することを特徴とする付記2に記載の無線LANシステム。
【0133】
(付記4) 付記1に記載の無線LANシステムであって、前記複数のアクセスポイントを管理するアクセスポイント管理装置を有しており、
前記アクセスポイント管理装置が、前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々から前記第1の情報を取得し、該第1の情報と前記第2の情報とに基づいて、前記接続要求を送信した無線端末の接続先のアクセスポイントを選定し、該選定した接続先のアクセスポイントに前記接続要求を送信した無線端末に対する前記接続要求の応答をさせる無線LANシステム。
【0134】
(付記5) 前記第2の情報は、少なくとも、前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントの自アクセスポイントに接続されている無線端末の台数を含み、
前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントのそれぞれについて、前記接続されている無線端末の台数を数値化し、該数値化した値に基づいて前記無線端末の接続先のアクセスポイントを選定することを特徴とする付記1乃至4の何れか1に記載の無線LANシステム。
【0135】
(付記6) 重要無線端末であると定めた無線端末を識別するための識別情報を記憶しておき、
前記識別情報に基づいて前記接続されている無線端末が前記重要無線端末であると識別されたなら、該接続されている重要無線端末の台数を数値化する際、該重要無線端末の台数を台数分大きくした後に数値化することを特徴とする付記5に記載の無線LANシステム。
【0136】
(付記7) 前記第1の情報は、前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントが測定した自アクセスポイントが前記受信した前記接続要求の電波強度を含み、
前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントのそれぞれについて、前記電波強度も数値化し、該数値化した値と、前記無線端末の台数を数値化した値との合計に基づいて前記接続要求を送信した無線端末の接続先のアクセスポイントを選定することを特徴とする付記5または6に記載の無線LANシステム。
【0137】
(付記8) 複数のアクセスポイントを有する無線LANシステムにおける前記アクセスポイントであって、
無線端末から自アクセスポイントに対して接続要求が送信されると、該接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々が前記接続要求を送信した無線端末に関する情報である第1の情報を取得し、
前記第1の情報と前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々に接続されている無線端末に関する情報である第2の情報とに基づいて、前記接続要求を送信した無線端末の接続先のアクセスポイントを選定し、自アクセスポイントが前記接続先として選定したアクセスポイントであるならば前記接続要求を送信した無線端末に対して前記接続要求の応答をすることを特徴とするアクセスポイント。
【0138】
(付記9) 複数のアクセスポイントを有する無線LANシステムの前記複数のアクセスポイントを管理するアクセスポイント管理装置であって、
無線端末から前記複数のアクセスポイントに対して接続要求が送信されると、該接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々が取得した前記接続要求を送信した無線端末に関する情報である第1の情報を取得し、
前記第1の情報と前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々に接続されている無線端末に関する情報である第2の情報とに基づいて、前記接続要求を送信した無線端末の接続先のアクセスポイントを選定し、該選定した接続先のアクセスポイントに前記接続要求を送信した無線端末に対する前記接続要求の応答をさせることを特徴とするアクセスポイント管理装置。
【0139】
(付記10) 複数のアクセスポイントを有する無線LANシステムが行う接続先選定方法であって、
無線端末から前記複数のアクセスポイントに対して接続要求が送信されると、該接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々が前記接続要求を送信した無線端末に関する情報である第1の情報を取得するステップと、
前記第1の情報と前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々に接続されている無線端末に関する情報である第2の情報とに基づいて、前記接続要求を送信した無線端末の接続先のアクセスポイントを選定し、該選定した接続先のアクセスポイントが前記接続要求を送信した無線端末に対して前記接続要求の応答をするステップとを有することを特徴とする接続先選定方法。
【0140】
(付記11) 複数の無線LANアクセスポイントを有する無線LANシステムにおいて、無線LAN端末からの接続要求を受信すると、前記接続要求を受信した無線LANアクセスポイントにおける該接続要求の電波強度と接続台数情報とに基づいて、前記接続要求を送信した無線LAN端末を接続する無線LANアクセスポイントを決定し、接続することが決定した無線LANアクセスポイントが、前記接続要求を送信した無線LAN端末に応答する無線LANシステム。
【0141】
(付記12) 付記11に記載の無線LANシステムにおいて、前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれは、それぞれに接続している無線LAN端末の接続台数情報を共有し、前記無線LAN端末からの接続要求を受信した無線LANアクセスポイントのそれぞれが、それぞれの無線LANアクセスポイントにおける該接続要求の電波強度と前記接続台数情報とに基づいて、前記接続要求を送信した無線LAN端末を接続する無線LANアクセスポイントを決定し、接続することを決定した無線LANアクセスポイントが、前記接続要求を送信した無線LAN端末に応答する無線LANシステム。
【0142】
(付記13) 付記11に記載の無線LANシステムにおいて、無線LANアクセスポイント管理装置をさらに有し、前記無線LANアクセスポイント管理装置が、前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれにおける無線LAN端末の接続台数情報を保持し、前記無線LAN端末からの接続要求を受信した無線LANアクセスポイントのそれぞれにおける該接続要求の電波強度と前記接続台数情報とに基づいて、前記接続要求を送信した無線LAN端末を接続する無線LANアクセスポイントを決定し、接続することを決定した無線LANアクセスポイントが、前記接続要求を送信した無線LAN端末に応答する無線LANシステム。
【0143】
(付記14) 付記11乃至13に記載の無線LANシステムにおいて、予め定めた基準で、接続要求の電波強度と接続台数を数値化し、接続要求の電波強度の数値と接続台数の数値との合計に基づいて、接続する無線LANアクセスポイントを決定する無線LANシステム。
【0144】
(付記15) 付記14に記載の無線LANシステムにおいて、前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれには、予め重要無線LAN端末であると定めた無線LAN端末の識別情報が登録されており、重要無線LAN端末が接続されている場合は、接続台数を数値化する際、重要無線LAN端末の台数を台数分大きくした後に数値化する無線LANシステム。
【0145】
(付記16) 複数の無線LANアクセスポイントを有し、無線LAN端末からの接続要求を受信すると、前記接続要求を受信した無線LANアクセスポイントにおける接続台数情報に基づいて、前記接続要求を送信した無線LAN端末を接続する無線LANアクセスポイントを決定し、接続することが決定した無線LANアクセスポイントが、前記接続要求を送信した無線LAN端末に応答する無線LANシステムであって、予め定めた基準で、接続台数を数値化し、接続台数の数値の合計に基づいて、接続する無線LANアクセスポイントを決定するものであり、予め重要無線LAN端末であると定めた無線LAN端末の識別情報が登録されており、重要無線LAN端末が接続されている場合は、接続台数を数値化する際、重要無線LAN端末の台数を台数分大きくした後に数値化する無線LANシステム。
【0146】
(付記17) 付記16に記載の無線LANシステムにおいて、前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれには、予め重要無線LAN端末であると定めた無線LAN端末の識別情報が登録されており、前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれは、それぞれに接続している無線LAN端末の接続台数情報を共有し、前記無線LAN端末からの接続要求を受信した無線LANアクセスポイントのそれぞれが、それぞれの無線LANアクセスポイントの前記接続台数情報に基づいて、前記接続要求を送信した無線LAN端末を接続する無線LANアクセスポイントを決定し、接続することを決定した無線LANアクセスポイントが、前記接続要求を送信した無線LAN端末に応答する無線LANシステム。
【0147】
(付記18) 付記16に記載の無線LANシステムにおいて、無線LANアクセスポイント管理装置をさらに有し、前記無線LANアクセスポイント管理装置には、予め重要無線LAN端末であると定めた無線LAN端末の識別情報が登録されており、前記無線LANアクセスポイント管理装置が、前記複数の無線LANアクセスポイントのそれぞれにおける無線LAN端末の接続台数情報を保持し、前記無線LAN端末からの接続要求を受信した無線LANアクセスポイントの前記接続台数情報に基づいて、前記接続要求を送信した無線LAN端末を接続する無線LANアクセスポイントを決定し、接続することを決定した無線LANアクセスポイントが、前記接続要求を送信した無線LAN端末に応答する無線LANシステム。
【0148】
(付記19) 無線LANアクセスポイント(以下AP)と無線LANクライアント(以下CL)から構成される無線LANシステムにおけるAPとCLの接続において、CLから送信されるブロードキャストのプローブ要求をもとにAP同士がCLの接続するAPを決定するための通信を行うことを特徴とする無線LANシステム。
【0149】
(付記20) さらに、AP同士は同じ選択アルゴリズムで接続させるAPを決定しCLの接続先をAPが決定することを特徴とする付記19に記載の無線LANシステム。
【0150】
(付記21) さらに、CLの接続を許可されたAPのみがCLからのプローブ要求に対してプローブ応答を送信することで、CLは1度のスキャンで最適なAPと接続できること特徴とする付記19又は20に記載の無線LANシステム。
【0151】
(付記22) さらに、重要な業務などを扱う重要CLに安定した通信を提供するために、重要CLを条件の良いAPに優先的に接続させることを特徴とする付記19乃至21の何れか1に記載の無線LANシステム。
【解決手段】複数のアクセスポイントを有する無線LANシステムが、無線端末から前記複数のアクセスポイントに対して接続要求が送信されると、該接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々が前記接続要求を送信した無線端末に関する情報である第1の情報を取得し、前記第1の情報と前記接続要求を受信した複数のアクセスポイントの各々に接続されている無線端末に関する情報である第2の情報とに基づいて、前記接続要求を送信した無線端末の接続先のアクセスポイントを選定し、該選定した接続先のアクセスポイントが前記接続要求を送信した無線端末に対して前記接続要求の応答をする。